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発明の名称 アミン環境ガス洗浄装置用鋼板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−209304
公開日 平成8年(1996)8月13日
出願番号 特願平7−16275
出願日 平成7年(1995)2月2日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】大関 和夫
発明者 大内 博史 / 小林 順一 / 冨田 幸男
要約 目的
アミン水溶液を使用するガス洗浄装置材料として使用するのにふさわしい強度を備え、かつ粒界割れと粒内割れの両方のアミン割れ発生に対して感受性が低い耐環境助長割れ性に優れた鋼板を提供する。

構成
重量で、C 0.05〜0.35%、Si 0.05〜1.0%、Mn 0.2〜1.5%、S 0.04%以下、P 0.035%以下、Ni 0.2%以下、Cr 0.05〜1.15%、Mo 0.01〜0.60%、N 0.006%以下を含有し、さらに必要に応じて、Cu 0.05〜0.5%、V0.01〜0.3%、Ti 0.01〜0.1%、Nb 0.01〜0.1%、B 0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含有し、残部が実質的にFeからなるアミン環境ガス洗浄装置用鋼板。
特許請求の範囲
【請求項1】 重量%で、C 0.05〜0.35%、Si 0.05〜1.0%、Mn 0.2〜1.5%、S 0.04%以下、P 0.035%以下、Ni 0.2%以下、Cr 0.05〜1.15%、Mo 0.01〜0.60%、N 0.006%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とするアミン環境ガス洗浄装置用鋼板。
【請求項2】 重量%で、Cu 0.05〜0.5%、V 0.01〜0.3%の一方または両方を含有する請求項1記載のアミン環境ガス洗浄装置用鋼板。
【請求項3】 重量%で、Ti 0.01〜0.1%を含有する請求項1または2記載のアミン環境ガス洗浄装置用鋼板。
【請求項4】 重量%で、Nb 0.01〜0.1%を含有する請求項1、2、または3の何れか1項に記載のアミン環境ガス洗浄装置用鋼板。
【請求項5】 重量%で、B 0.0003〜0.005%を含有する請求項1、2、3、または4の何れか1項に記載のアミン環境ガス洗浄装置用鋼板。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アミン水溶液環境において良好な耐環境助長割れ性を有するガス洗浄装置用鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アミン水溶液を使用して炭化水素ガスから硫化水素および二酸化炭素といった酸性ガス不純物を除去するガス洗浄装置内面に発生する鋼の割れが問題となっている。ガス洗浄装置内のアミン水溶液は、吸収塔において酸性ガス不純物を吸収してそれらの濃度が高くなったリッチ液と再生塔において酸性ガスを放出してそれらの濃度が低くなったリーン液に分類でき、アミン水溶液は装置内を循環しながらリッチ液とリーン液を繰り返す。ガス洗浄装置内の割れは、リッチ液環境とリーン液環境の両方で発生する。このうちリッチ液環境での割れは、硫化物応力割れや水素誘起割れといった鋼中に侵入する水素が原因となるものである。それに対し、リーン液環境での割れについては、これまでいくつかの研究がなされ、環境中の二酸化炭素が割れ発生に不可欠であるか、あるいは割れ発生を著しく助長し、鋼が一定の電位条件にあることが必須であることが報告されており(たとえば、R.N.Parkinsら、Materials Performance誌、27巻、1月号、19頁、1988年)、その機構は活性経路割れ型応力腐食割れであると考えられている。このリーン液環境での環境助長割れが、アミン割れと呼ばれている。
【0003】このようなアミン割れの対策としては、応力条件の緩和、あるいは環境条件の緩和が有効であると考えられるが、割れ感受性に影響を与える鋼成分についての発明は少なく、鋼材の改良によるアミン割れ防止技術は確立していなかった。唯一、本発明者らが特許出願した特願平5−099893号ではNi含有量を0.2%以下に制限することを提案している。なお、硫酸を添加してpH8とした60℃20%モノエタノールアミン水溶液中でアノード電位を印加した実験室内SSRT(低ひずみ速度法)試験の結果、Cの増加、Pの減少、Nの増加が、割れ深さを指標とする粒界割れ感受性を低減するのに有効であったとの報告があるが(富樫、杉本、腐食防食 '94講演集、63頁、1994年)、本発明者らが実施したガス洗浄装置内試験ではそれらの効果は認められなかった。その第一の理由は、SSRT試験で測定される割れ深さを割れ感受性指標とすることが原理的に不適当なためである。すなわち、SSRT試験では主たる割れ(メイン・クラック)の残存部分(リガメント)が荷重に耐えられなくなった時点で延性破壊的に破断するのであり、割れ深さが材料強度、破壊靱性に依存してしまう。また、SSRT試験で測定されたのはメイン・クラックではなくその他の副たる割れ(サブ・クラック)の深さであったが、その最大測定値でも24μmにすぎず結晶粒径と比較して十分大きな値とはいえず、粒界割れ感受性を議論するには小さすぎると考えられる。さらに、実験室試験環境が実際の装置で割れが発生する環境を真に再現していたかどうかの検証はなされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らのその後の検討により、アミン割れには成長の遅い粒内割れと成長性が強く鋼板の貫通にいたる可能性の高い粒界割れがあることがわかった。そして、前者の防止にはNiの規制が有効であるが、後者に対しては効果がないことが判明した。
【0005】本発明は、アミン水溶液を使用するガス洗浄装置材料として使用するのにふさわしい強度を備え、かつ粒界割れと粒内割れの両方のアミン割れ発生に対して感受性が低い耐環境助長割れ性に優れた鋼板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を解決するため、CrおよびMoを適量添加し、かつそれらの上限濃度を規制し、さらにNiおよびNの上限濃度を規制することにより、強度に優れ、かつ耐アミン割れ性に優れたアミン環境ガス洗浄装置用鋼板を得ることを特徴とする。
【0007】すなわち、本発明の要旨とするところは、重量%として、C 0.05〜0.35%、Si 0.05〜1.0%、Mn 0.2〜1.5%、S 0.04%以下、P 0.035%以下、Ni 0.2%以下、Cr 0.05〜1.15%、Mo 0.01〜0.60%、N 0.006%以下を含有し、さらに必要に応じて、Cu 0.05〜0.5%、V 0.01〜0.3%、Ti 0.01〜0.1%、Nb 0.01〜0.1%、B 0.0003〜0.005%の1種または2種以上を含有して残部が実質的にFeからなるアミン環境ガス洗浄装置用鋼板にある。ここで、アミン環境とはアミンを10〜70重量%含有する水溶液であると定義し、アミンの種類としてはモノエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンがある。また、洗浄対象のガスは、天然ガス、石油の分留・精製にともない生ずる炭化水素を主成分とするプロセスガス、オフガス等の石油ガス、各種燃料の燃焼廃ガスを指し、それらの被洗浄ガスから除去されるのは硫化水素および二酸化炭素である。
【0008】
【作用】本発明における対象鋼板の化学成分範囲の限定理由について説明する。まず、Cは、強度を確保するために必要な元素であり、0.05%未満の低い含有量では所定の強度が得られず、また0.35%超では靱性および溶接性が劣化することから0.05〜0.35%とした。
【0009】Siは、脱酸剤として必要であることに加えて、強度を高めるのに有効な成分であるが、0.05%未満では効果がなく、1.0%を超えると鋼の性質を脆化するためその範囲を0.05〜1.0%としたが、好ましくは0.10〜0.30%である。Mnは、強度の確保および熱間加工時の割れ、溶接時の熱間割れ防止のために必要であるが、0.2%未満では効果がなく、1.5%を超えると溶接性を阻害するとともに焼戻し脆化感受性を高めるため0.2〜1.5%としたが、好ましくは0.4〜1.2%である。
【0010】Sは、MnS系介在物を形成して低温靱性に有害な成分であり、少ないほど好ましく、その含有量を0.04%以下とした。Pは、粒界偏析を起こして加工の際き裂を生じさせやすくする有害成分であり、少ないほど好ましく、その含有量を0.035%以下とした。Niは、本発明者らが開示した特願平5−099893号で明らかなように、0.2%を超えると粒内割れが発生しやすくなるため、低ければ低いほど好ましく、その含有量を0.2%以下とした。
【0011】CrおよびMoは、強度を高めるために本発明に必須の元素である。Crは炭化物形成元素として0.05%以上添加すると強度向上に効果がある。Moは母地に固溶するとともに炭化物などを形成して0.01%以上添加すると強度向上に効果がある。しかし、上記のような広く知られた強度への影響とは異なり、アミン割れ感受性に及ぼすCrおよびMo含有量の影響については知られていなかった。そこで、本発明者らは、表1に化学成分を示す多数の鋼板を製造し、これらから採取した試験片に4点曲げ荷重を与えたまま、実際のガス洗浄装置内のリーン液環境中に設置した。この実験結果を図1に示す。実験方法は後述する。図1から明らかなように、Cr量1.15%、Mo量0.60%までは粒界割れの発生は皆無であったが、Cr、Mo量がそれらの値を超えると粒界割れが生じることが明らかになった。
【0012】このような実験結果から、アミン水溶液中での耐割れ感受性を維持しつつ、高強度を得るCr量範囲として0.05〜1.15%、Mo量範囲として0.01〜0.60%とした。Nは、炭素鋼、低合金鋼の場合、靱性を低下させることから、通常は少ないほど好ましい。ただし、クロム・モリブデン鋼やステンレス鋼などでは、意図的に添加し、強度向上に利用される場合がある。しかし、アミン割れ感受性に及ぼすN含有量の影響については知られていなかった。そこで、本発明者らは、表2に化学成分を示すようにCr量約1%、Mo量約0.5%であり、種々のN量を含有する数種の鋼板を製造し、これらから採取した試験片を4点曲げ荷重を与えたまま、20%ジイソプロパノール水溶液を用いて石油ガスを処理する実際のガス洗浄装置の再生塔底部のリーン液環境中に3年間設置した。この実験結果を図2に示す。実験方法は後述する。図2から明らかなように、N量0.006%までは粒界割れの発生は皆無であったが、N量がその値を超えると粒界割れが生じることが明らかになった。この理由は、粒界に偏析したNが周囲のフェライトに対し局部カソードとして働くため、粒界に沿ったフェライトのアノード溶解を助長し、活性経路割れ型応力腐食割れを助長するためと考えられる。このような実験結果から、アミン水溶液中での耐割れ感受性を保つために、N量上限を0.006%とした。
【0013】Cuは、溶接性を阻害することなく強度向上に効果があり、0.05%以上添加すると効果が得られるが、0.5%を超えると熱間加工性を阻害するので、0.05〜0.5%とした。Vは、炭化物などを形成し0.01%以上添加すると強度向上に著しい効果があるが、0.3%を超えると溶接性および再熱割れ性を阻害するので0.01〜0.3%とした。
【0014】Tiは、窒化物を形成し結晶粒径を微細化し靱性を向上する効果があり、0.01%以上添加するとその効果が得られる。しかし、0.1%を超えるとかえって靱性を低下させることに加えて強度も低下させるので、0.01〜0.1%とした。Nbは、炭化物などを形成して強度向上に効果があることに加えて、結晶粒径を微細化し靱性を向上する効果があり、0.01%以上添加するとその効果が得られる。しかし、0.1%を超えるとかえって靱性を低下させるとともに溶接性をも阻害するので0.01〜0.1%とした。
【0015】Bは、焼入れ性を向上させる元素として焼入れ焼もどし鋼の強度向上のために添加されたり、粒界強度を高める元素としてクリープ特性を高める目的で耐熱鋼に添加される。本発明では、焼ならし、または焼ならしおよび焼もどし状態においても0.0003%以上添加することにより上記の効果が期待できるが、0.005%を超えてもその効果は増大しないことに加えて、熱間加工性を阻害することから0.0003〜0.005%とした。
【0016】
【実施例】本発明の奏する効果を明確にするため、実施例について説明する。表1に化学成分を示すA−1〜A−15、B−1〜B−5、C−1〜C−5、および表2に化学成分を示すD−1〜D−5を溶製し、これに熱間加工を施し20mmの板厚に圧延した。これらから厚さ3mm、幅10mm、長さ115mmの短冊型試験片を採取した。これら試験片を剛性が十分に高い枠に装着し、ボルトを締め込むことにより、試験片の中央部40mmがそれぞれの鋼種の降伏応力の80%の表面応力となるように4点曲げ方式でたわみを与えた。試験片を装着した枠をガス洗浄装置アミン再生塔底部に設置した。本ガス洗浄装置では、20%ジイソプロパノールアミン水溶液を使用し、石油ガスを処理している。3年後、試験片を取り出し、試験片中央断面を研磨、エッチング後、光学顕微鏡で観察し、割れ発生の有無および割れ経路を観察した。また、中央断面に観察される割れのうち最長のものについて引張応力側表面からの割れ深さを測定し、最大割れ深さとした。
【0017】これらの結果を表1および表2に示す。図1は、表1に示したA−1〜A−15およびB−1〜B−5について、Cr、Mo含有量と粒界割れ発生との関係を示したものである。また、図2は、表2に示したA−14、15およびD−1〜D−5について、N含有量と粒界割れ最大深さの関係を示したものである。表1中B−1〜B−5は本発明に規定するCr、Mo成分量を逸脱した成分であり、表1および図1に示すように該環境中で粒界割れが生じた。しかし、本発明にしたがった鋼板A−1〜A−15では粒界割れは生じなかった(図1参照)。一方、表1中C−1〜C−5は本発明で規定するNi量を逸脱した成分であり、粒内割れが生じた。
【0018】表2中D−1〜D−5は、CrとMoの含有量をそれぞれ約1%、約0.5%とし、Niを添加せず、これらのN含有量が本発明の規定を逸脱する鋼であり、粒界割れが生じた。これらに対し、本発明にしたがったA−14、15では、Cr、Mo、Niの成分がD−1〜D−5と同等であってもNが0.006%以下であったため割れが生じなかった(図2参照)。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本発明鋼板をアミン水溶液を使用するガス洗浄装置材料として使用すれば、該装置にはアミン割れが生じず、産業上の効果は極めて顕著である。




 

 


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