| 発明の名称 |
低温靱性に優れた高硬度耐摩耗鋼の製造方法 |
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| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平8−41535 |
| 公開日 |
平成8年(1996)2月13日 |
| 出願番号 |
特願平6−178436 |
| 出願日 |
平成6年(1994)7月29日 |
| 代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】大関 和夫
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| 発明者 |
岡村 義弘 / 徳納 一成 |
| 要約 |
目的 耐焼戻し軟化性と低温靱性を有するブリネル硬さHB500以上の高硬度耐摩耗鋼の製法を提供する。
構成 C:0.30〜0.50%、Si:0.40〜1.50%、Mn:0.40〜1.50%、Cr:0.10〜1.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ti:0.005〜0.050%、Nb:0.005〜0.050%、B:0.0005〜0.0030%、sol.Al:0.01〜0.10%、N:0.0010〜0.0060%を基本成分として含有し、必要に応じてCu、Ni、V、Caの1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を1000〜1250℃に加熱し、熱間圧延した後、A3 変態点以上の温度から10℃/sec以上の冷却速度で100℃以下の温度まで冷却する焼入れ処理を行い、続いて150℃以上450℃以下の温度で焼戻し処理する。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 重量%でC :0.30〜0.50%、Si:0.40〜1.50%、Mn:0.40〜1.50%、P :0.010%以下、S :0.005%以下、Cr:0.10〜1.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ti:0.005〜0.050%、Nb:0.005〜0.050%、B :0.0005〜0.0030%、sol.Al:0.01〜0.10%、N :0.0010〜0.0060%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000〜1250℃に加熱し、熱間圧延した後、A3 変態点以上の温度から10℃/sec以上の冷却速度で100℃以下の温度まで冷却する焼入れ処理を行い、続いて150℃以上450℃以下の温度で焼戻し処理することを特徴とする低温靱性に優れた高硬度耐摩耗鋼の製造方法。 【請求項2】 重量%でC :0.30〜0.50%、Si:0.40〜1.50%、Mn:0.40〜1.50%、P :0.010%以下、S :0.005%以下、Cr:0.10〜1.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ti:0.005〜0.050%、Nb:0.005〜0.050%、B :0.0005〜0.0030%、sol.Al:0.01〜0.10%、N :0.0010〜0.0060%を含有し、さらにCu:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.5%、V :0.01〜0.10%からなる硬度改善元素群、または介在物形態制御作用のあるCa:0.0005〜0.0050%の1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000〜1250℃に加熱し、熱間圧延した後、A3 変態点以上の温度から10℃/sec以上の冷却速度で100℃以下の温度まで冷却する焼入れ処理を行い、続いて150℃以上450℃以下の温度で焼戻し処理することを特徴とする低温靱性に優れた高硬度耐摩耗鋼の製造方法。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は土木作業用の機械設備などに使用される耐摩耗鋼に関し、鉱石や土砂などによる摩擦熱による耐焼戻し軟化性を有し、かつ低温靱性に優れたブリネル硬さHB500以上の高硬度耐摩耗鋼の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年ブルドーザーやパワーシャベルなどの建設機械、クラッシャーやシュートなどの鉱山設備および大型ダンプトラックの荷台などの高性能化、軽量化が進み、その摩耗を受ける部分には耐用期間の延長のため耐摩耗鋼が使用されている。最近、さらに耐用年数の延長を図るため、より高硬度化の傾向にある。しかしながら、高硬度化は反面靱性が低下するため、衝撃が加えられた場合に割れを生じ、このため高硬度化には限界があり、より安全性の確保が重要課題である。 【0003】従って、これらに使用される鋼材は、高硬度に加え、安全性の面から高靱性が要求されており、さらに岩盤地帯などでの岩石塊との重切削摩耗により鋼材表面が焼戻しされて耐摩耗性が著しく低下するため、耐焼戻し軟化性を具備することが望まれている。一般に、これらの用途に使用される耐摩耗鋼は、通常、焼入れまま、または焼入れ・焼戻し熱処理によって製造されているが、耐用期間を延長する目的から高硬度化の傾向にある。 【0004】かかる用途に使用される従来例としては、特開昭63−83225号公報「高硬度鋼板の製造方法」において、C:0.15〜0.45%、Si:0.20〜1.50%、Mn:0.50〜2.50%、Cr:0.60〜1.80%、Al:0.020〜0.080%、Ti:0.010〜0.050%、B:0.0010〜0.0060%を含む鋼が提案されており、低コスト化のため直接焼入れ法を採用し、またBの焼入れ性向上効果を活用し、焼入れままで製造されている。しかしながら、このものはHB500以下の硬さの内容のものであり、かつ焼入れままのため靱性が不十分で、さらに使用中における摩擦熱による耐焼戻し軟化性に対して硬度の低下が懸念される。 【0005】また、特公昭64−10564号公報「耐摩耗鋼の製造方法」においては、C:0.05〜0.40%、Si:0.1〜0.88%、Mn:0.5〜2.0%、Ti:0.005〜0.10%、B:0.0005〜0.005%、sol.Al:0.005〜0.10%、N:0.005%以下、H:0.0002%以下を含み、焼入れ冷却時の冷却停止温度を150〜300℃とすることにより、内部健全性などに優れた鋼の製造方法が提案されている。しかしながら、このものはHB450以下の耐摩耗鋼であり、それ以上の高硬度を得ようとすると焼入れ冷却停止温度を150〜300℃とした時に、所定の板厚範囲にわたって十分安定した硬さと靱性を得るのは困難である。 【0006】また、特公平1−21846号公報「耐遅れ破壊性の優れた耐摩耗性鋼板の製造方法」においては、C:0.15〜0.45%、Si:0.05〜1.00%、Mn0.05〜0.30%、Cr:0.05〜1.00%、Mo:0.03〜0.85%、sol.Al:0.010〜0.15%、B:0.0003〜0.0025%を含む鋼が提案されており、低Mn化により遅れ破壊特性を改善することを主眼としている。しかしながら、このものは、焼入れままではHB500以上の硬さが得られるが、400℃の焼戻しではHB450以下の硬さに軟化し、さらに靱性値も焼入れまま材と同等か、もしくはそれ以下に低下しており、安全性が不十分である。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上記従来例のものは、いずれも高硬度が得られるものの、HB500以上の高硬度耐摩耗鋼においては、靱性面の配慮がなされておらず、また、特に鉱山設備機械においては、岩石塊と鋼材との切削摩耗により表面が焼戻しされることから、焼入れままで高硬度が確保されていても、使用中において軟化して耐摩耗性が著しく低下するおそれがあり、本来の目的である耐用年数の延長がはかれない等の問題があった。 【0008】本発明は、上記課題を解決した、低温靱性に優れたHB500以上の高硬度耐摩耗鋼の製造方法を提供することを目的とするものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、低温靱性および耐焼戻し軟化性に優れたHB500以上の高硬度耐摩耗鋼を開発することを目的に、鋼および製造方法について種々実験した結果、HB500以上の高硬度材で靱性を得るには細粒化が重要であるが、さらに焼入れまま材では高靱性が得られず、低温焼戻しが必要であること、またこの焼戻し処理においては焼戻し脆化と焼戻し軟化を抑制する必要があることを知見した。それにはSiとNbを組合わせ添加することで、焼戻し脆化と焼戻し軟化を同時に抑制でき、目的の鋼が製造できることを見出した。 【0010】本発明は、このような知見に基づいて構成したもので、その要旨とするところは、重量%でC:0.30〜0.50%、Si:0.40〜1.50%、Mn:0.40〜1.50%、P:0.010%以下、S:0.005%以下、Cr:0.10〜1.50%、Mo:0.05〜1.00%、Ti:0.005〜0.050%、Nb:0.005〜0.050%、B:0.0005〜0.0030%、solAl:0.01〜0.10%、N:0.0010〜0.0060%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片、あるいは上記成分組成にさらにCu:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.5%、V:0.01〜0.10%の硬度改善元素群、または介在物形態制御作用のあるCa:0.0005〜0.0050%の1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000〜1250℃に加熱し、熱間圧延した後、A3変態点以上の温度から10℃/sec以上の冷却速度で100℃以下の温度まで冷却する焼入れ処理を行い、続いて150℃以上450℃以下の温度で焼戻し処理することを特徴とする低温靱性に優れた高硬度耐摩耗鋼の製造方法にある。 【0011】 【作用】以下に本発明を詳細に説明する。まず、本発明において鋼の成分組成を上記のように限定した理由を述べる。 C:Cは耐摩耗性の支配因子である硬さを確保するために0.30%以上が必要である。しかし、0.50%を超えると溶接性および焼割れが生じ易くなる。従って、C含有量を0.30〜0.50%とした。 【0012】Si:Siは焼戻し処理および使用時の摩擦熱による耐軟化性を向上させる元素である。図1は、0.40%C−0.48%Mn−0.75%Cr−0.28%Mo−0.012%Ti−0.025%Nb−0.0012%B系にSi量を変化させ、850℃再加熱焼入れ処理し、その後400℃焼戻し処理した時の表面硬さおよび靱性の変化を調査した結果である。Siが0.40%未満では目的の硬さHB500以上が得られず、また1.50%を超えると靱性が低下する。従って、Siの含有量を0.40〜1.50%とした。 【0013】Mn:Mnは焼入れ性の確保と靱性向上を図るために0.40%以上必要であるが、1.50%を超えると靱性の低下および焼割れ発生のおそれがある。従って、Mnの含有量を0.40〜1.50%とした。 P、S:P、Sはいずれも本発明の特性である低温靱性を低下させる有害な不純物元素であり、特に粒界強度を改善するためにはできるだけ低く抑えることが望ましい。従って、P≦0.010%、S≦0.005%とした。 【0014】Cr:Crは安価に焼入れ性を向上できる主要な元素であるが、0.10%未満ではその効果が小さく、1.50%を超えると靱性に有害である。従って、Crの含有量を0.10〜1.50%とした。 Mo:Moは焼入れ性および靱性改善に効果があり、特に粒界強化元素として有効であるが、0.05%未満ではその効果が期待できず、1.00%を超えると硬度および靱性改善効果が飽和する。従って、Moの含有量を経済性と効果の点から0.05〜1.00%とした。 【0015】Ti:TiはB添加時にフリーNを固定し、焼入れ性に有効な固溶B量を確保するとともに、オーステナイト粒径を微細化させるために0.005%以上の添加が必要である。しかしながら、Tiが0.050%を超えると著しく靱性が低下する。従って、Tiの含有量を0.005〜0.050%とした。 Nb:Nbはオーステナイト粒径を微細化させ、靱性改善に有効である。特にSiとの相乗作用により、焼戻しおよび使用時の摩擦熱による耐軟化性を向上させ、かつ靱性の低下を抑制する効果がある。図2は、0.40%C−0.60%Si−0.48%Mn−0.75%Cr−0.28%Mo−0.012%Ti−0.0012%B系鋼と、この系に0.025%Nbを添加した鋼について850℃焼入れ処理した後、150〜450℃に焼戻し処理した時の表面硬さと靱性の関係について調査した結果であり、Si+Nb添加系鋼はSi添加系鋼に比べ高靱性が得られることが分かる。Nbが0.005%未満ではその効果がなく、また0.050%を超えると靱性が低下する。従って、Nbの含有量を0.005〜0.050%とした。 【0016】B:Bは焼入れ性を著しく高め、硬度および靱性向上に有効であるが、0.0005%未満ではその効果が小さく、0.0030%を超えるとB化合物の析出による焼入れ性の低下により靱性低下をもたらす。従って、Bの含有量を0.0005〜0.0030%とした。 N:NはTiと結合してTiNを形成し、オーステナイト粒の粗大化を防止するために必要であるが、0.0010%未満ではその効果が小さく、また0.0060%を超えると靱性が低下する。従って、Nの含有量を0.0010〜0.0060%とした。 【0017】sol.Al:sol.Alは脱酸上0.01%以上の添加が必要であるが、0.10%を超えると非金属介在物が増加するため靱性が低下するおそれがある。従って、sol.Alの含有量を0.01〜0.10%とした。 さらに、本発明では上記基本成分の他に、Cu、Ni、VおよびCaの1種または2種以上添加することができる。 【0018】Cu、Ni、V成分は鋼の硬さを向上させるという均等的作用をもつもので、厚手材に対して有効であり、所望の効果を確保するためには、それぞれ含有下限量をCu:0.05%、Ni:0.05%、V:0.01%とする必要がある。しかし、それぞれCu:1.0%、Ni:1.5%、V:0.10%を超えて含有させると硬さの上昇の割には靱性が低下するおそれがある。 【0019】Ca:Caは硫化物系介在物の形態制御に効果があり、靱性向上、特に方向性改善効果が顕著であるが、0.0005%未満ではその効果がなく、0.0050%を超えると鋼の清浄性を損ない靱性低下をもたらす。 次に本発明のもう一つの骨子である製造方法について述べる。上記のような鋼成分組成であっても耐焼戻し軟化性と低温靱性およびHB500以上の高硬度鋼を得るためには、製造方法が適切でなければならない。ここで、鋼片の加熱、圧延条件および焼入れ、焼戻し条件の限定理由について説明する。 【0020】まず上記成分組成の鋼片を、1000〜1250℃に加熱後、熱間圧延し、一旦冷却した後、再びAc3 変態点以上の温度に加熱して、Ar3 変態点以上から焼入れ処理するか、または1000〜1250℃に加熱後、熱間圧延し、直ちにAr3 変態点以上の温度から焼入れ処理する必要がある。加熱温度の下限を1000に限定したのは、圧延後Ar3 変態点以上からの直接焼入れの温度を確保するためには1000℃以上とする必要があるからであり、一方、上限は結晶粒粗大化防止の点から1250℃とする必要があり、従って加熱温度範囲を1000〜1250℃と限定した。 【0021】また、熱間圧延された鋼は、Ar3 変態点以上から直接焼入れ処理するか、あるいは、熱間圧延後一旦冷却し、再びAc3 変態点以上の温度に加熱して焼入れ処理する必要がある。これはオーステナイト状態からの焼入れによって完全マルテンサイト組織を得るためである。Ar3 変態点未満およびAc3 変態点未満からの焼入れでは十分に焼きが入らず、焼入れ硬さが低下し、焼戻し後において目的の高硬度および靱性の高いミクロ組織は得られない。 【0022】また、焼入れ冷却速度は板厚中心まで十分に焼きが入り、完全なマルテンサイト組織が得られる10℃/sec以上の冷却速度とする必要があり、これを外れると十分に焼きが入らず、焼戻し後において目的の高硬度および靱性の高いミクロ組織は得られない。次に、冷却停止温度は高すぎると残留オーステナイトが生成し、十分な焼入れ硬さを得ることができず、その結果、焼戻し後の硬度が低下するおそれがある。従って、冷却停止温度を100℃以下に限定した。 【0023】次に、焼入れ処理された鋼板は、その後150℃以上450℃以下の温度で焼戻し処理する必要がある。図3は、後述する表1の鋼Aについて850℃再焼入れ処理した後、焼戻し温度100〜500℃の範囲に焼戻し処理した時の表面硬さと靱性について調査した結果である。焼戻し温度が150℃未満では、HB500以上の高硬度を得ることができるが、高靱性が得られない。また、焼戻し温度が450℃を超えると硬さが低下し、耐摩耗性が低下する。従って、焼戻し温度を150℃以上450℃以下に限定した。 【0024】このような製造工程で得られた鋼は、細粒の焼戻しマルテンサイト組織となり、高硬度で高靱性が得られ、かつ使用中における焼戻し軟化が抑制され、耐摩耗性が改善される。 【0025】 【実施例】表1、表2(表1のつづき−1)、表3(表1のつづき−2)および表4(表1のつづき−3)に示す組成を有する鋼を溶製して得た鋼片を、表5に示す本発明法と比較法の各々の製造条件に基づいて、板厚15〜40mmの鋼板に製造した。 【0026】これらについて、母材のブリネル硬さ試験による表面硬さ、2mmVノッチシャルピー試験による靱性、引掻き摩耗試験による硬さ変化(耐焼戻し軟化性)を調査した。なお、引掻き摩耗試験は、試験鋼板表面に接触させた矩形の圧子を面圧100kg/cm2 、摩耗(摩擦)速度1.0m/sec以上の条件で移動させた後、表面硬さを測定した。 【0027】これら表1〜表4の化学組成を有する鋼と表5で示す製造条件とによって得られた母材の表面硬さ、靱性、および引掻き摩耗後の表面硬さの試験結果を表6に示す。 【0028】 【表1】
【0029】 【表2】
【0030】 【表3】
【0031】 【表4】
【0032】 【表5】
【0033】 【表6】
【0034】本発明例(本発明鋼と本発明法とを組合わせた1−A〜12−L)においては、母材の表面硬さはHB500以上と十分に高く、また本発明の特徴である低温靱性も高い値を示し、さらに引掻き摩耗後の表面硬さもHB500以上が確保され、耐焼戻し軟化性にも優れている。これに対し、本発明法であっても本発明により限定された化学組成範囲を逸脱した比較鋼(M、N、O、P、Q)と組合わせた比較例においては、比較例13−MではSi量、比較例14−NではC量がそれぞれ低く、表面硬さがHB500以下に低下している。比較例15−OではMoが添加されておらず、靱性が低下している。比較例16−PではNbが添加されておらず、細粒化が不十分となり、靱性が低下している。比較例17−QではBが添加されておらず、焼入れ性が低下し、表面硬さおよび靱性が低下している。 【0035】次に、本発明鋼であっても本発明法の範囲を逸脱した比較法(18〜24)と組合わせた比較例においては、比較例18−Aは鋼片の加熱温度が低いため、直接焼入れにおいてAr3 点温度が十分確保できず、焼入れ不足となり、表面硬さおよび靱性が低下している。比較例19−Aは鋼片加熱温度が高く、オーステナイト粒が粗大化し、靱性が低下している。比較例20−Aは再加熱焼入れ温度がAc3 変態点より低いため焼入れ不足となり、表面硬さおよび靱性が低下している。比較例21−Aは焼入れ処理の冷却速度が小さいため、十分に焼きが入らず、表面硬さおよび靱性が不十分である。比較例22−Fは、焼入れ処理時の冷却停止温度が高いために残留オーステナイトが生成し、十分な焼入れ硬さを得ることができず、表面硬さおよび靱性が不十分である。比較例23−Fは、焼戻し処理が施されておらず、靱性が不十分である。比較例23−Fは、焼戻し温度が高いために表面硬さが低下している。 【0036】 【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本発明の成分範囲および製造方法により、表面硬さおよび靱性、かつ使用中における焼戻し軟化が抑制できるHB500以上の高硬度耐摩耗鋼の製造が可能となった。その結果、耐摩耗性が著しく改善され、産業上の効果が極めて顕著である。
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