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発明の名称 工作機械の位置決め装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−187646
公開日 平成8年(1996)7月23日
出願番号 特願平7−1758
出願日 平成7年(1995)1月10日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外3名)
発明者 熊本 聰 / 伊東 正頼 / 伊良 博史 / 覚張 勝治 / 田代 早苗 / 遠藤 克仁
要約 目的
複数のリニアモータを用いた工作機械の位置決め装置においてサーボ機構の高ポジションゲイン,高サーボ剛性を実現できる工作機械の位置決め装置を提供する。

構成
対で設けられている案内手段5,9により移動体7が固定体3に対して往復動自在に支持されている。リニアモータLMの一次側部材21又は二次側部材15の一方が固定体3に設けられ他方が移動体7に設けられているので、移動体7はリニアモータLMから推力を得て移動する。移動体7の位置は位置検出手段37,39が検出して制御部27へ伝達し、制御部27はサーボ機構により位置決めをする。偶数個のリニアモータLMは、案内手段5,9の中点Cに対して均等に振分けられているので、均等な推力が得られる。また、位置検出手段37,39が中点Cに設けられているので、移動体7の正確な位置を検出することができ、各リニアモータLMに対して均等で近い位置に配置されることになる。
特許請求の範囲
【請求項1】 工作機械の固定体に線形移動可能に設けられた移動体の位置決め装置において、移動体を移動方向へ案内すべく対をなして設けられた案内手段と、一次側部材または二次側部材の一方が固定体に設けられ他方が移動体に各々設けられて前記移動体を移動方向へ駆動する偶数個のリニアモータと、前記移動体の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段からの検出信号に基づいて前記リニアモータを駆動制御する制御部とを有し、前記リニアモータが前記対をなす案内手段の中点に関して均等に振分け配置されると共に、前記位置検出手段が前記中点に設けられていることを特徴とする工作機械の位置決め装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は工作機械の位置決め装置に係り、さらに詳しくは、リニアモータを用いて高精度の位置決めをすることができる工作機械の位置決め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、加工機におけるワークテーブル等の位置決め装置としては、サーボモータとボールネジによる移動を位置検出手段としてのフィードバックスケールにより検出し、セミクローズド又はフルクローズドサーボシステムで制御することにより移動位置決めを行っている。フルクローズドサーボシステムの場合、通常加工点に近い側面等にフィードバックスケールを配置することにより加工点等の位置決め精度の向上を図っている。
【0003】また、位置決め装置により移動する移動体が大型の場合には、フィードバックスケールを移動体の両側面に設け、読取りヘッドを両側に配置して位置情報を得ることが行われている。
【0004】しかしながら、このようにボールネジ,ボールナットやギヤ機構を用いてサーボモータの回転力を直線移動に変換する場合には、ボールナット等の製作精度や、ギヤのバックラッシュ等により位置決め精度に限界がある。そこで、フルクローズドサーボシステムを、リニアモータを用いて直線的な移動をする位置決め装置に適用することが考えられる。
【0005】リニアモータを用いて移動体の移動,位置決めを行う場合には、リニアモータの推力の限界からリニアモータを複数設ける必要があり、図2および図3に示されるようになると考えられる。
【0006】図2(A)に示される位置決め装置1の場合では、固定体としてのベッド3の左右(図2(A)中左右)両端付近に案内手段の一方である一対のガイドレール5を設け、移動体としてのテーブル7下面の左右両端付近に案内手段の他方であるスライダ9が対をなして設けられている。従って、テーブル7はスライダ9によりガイドレール5に沿って往復動自在に支持されることになる。
【0007】ベッド3上部には、前記一対のガイドレール5の中点Cを通る対称軸11に関して対称位置に2条の溝13,13を有しており、この溝13,13の内側側面には各々リニアモータLMの二次側部材15が移動方向(図2(A)中紙面直交方向)に沿って取付けられている。従って、4個の二次側部材15が対称軸11に関して左右対称位置に振分けられている。そして、図2(A)中ベッド3の右側外面には位置検出手段としてのリニアスケール17Rが設けられている。
【0008】一方、テーブル7下面には、前記対称軸11に関して対称位置に2列の突出部19,19を有しており、この突出部19の両側側面には各々リニアモータLMの一次側部材21が移動方向に沿って設けられている。従って、4個の一次側部材21は対称軸11に関して左右対称位置に振分けられると共に、前記二次側部材15に一定の間隔をおいて対向している。
【0009】また、テーブル7の右側外面にはアーム23を介して読取りヘッド25Rが前記リニアスケール17R位置まで伸びて設けられており、この読取りヘッド25Rは制御部27に接続されている。従って、読取りヘッド25Rにより検出されたテーブル7の位置は制御部27にフィードバックされることとなる。
【0010】以上の位置決め装置1におけるサーボ機構が、図2(B)に示されている。すなわち、読取りヘッド25Rがリニアスケール17Rからテーブル7の位置を読取って制御部27にフィードバックし、制御部27が指令と読取った値との偏差をとってゲインを決定し、増幅器29を経てリニアモータLMを駆動するものである。
【0011】また、図3(A)に示される位置決め装置31の場合では、位置検出手段が前述した右側のリニアスケール17Rおよび読取りヘッド25Rに加えて図3(A)中左側の外面にもリニアスケール17Lおよび読取りヘッド25Lが設けられている。その他の構造は前述の場合と同様であるので、同じ部位には同じ符号を用いて説明は省略する。
【0012】また、図3(B)に示されているサーボ機構では、右側のリニアスケール17Rからの情報は図3(A)における右側の溝13に設けられている二つのリニアモータLMの位置決めに用いられ、左側のリニアスケール17Lからの情報は図3(A)における左側の溝13に設けられている二つのリニアモータLMの位置決めに用いられるようになっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述したような複数のリニアモータLMを使用した場合には、テーブル7のヨーイング,ピッチング,ローリング等のぶれのため以下のような問題が生じてくる。
【0014】すなわち、図2に示される場合においては、リニアスケール17Rに近いリニアモータLMに対してはポジションゲインをあげることができるが、リニアスケール17Rから遠いリニアモータLMに対してポジションゲインをあげることができない。ポジションゲインをあげるとサーボ機構が不安定になってハンチングを起こし、行ったり来たりすることになるからである。
【0015】また、図3に示される場合においては、テーブル7の左右両側において位置検出を行っているので、一つのテーブル7において二系列のサーボ機構が存在することになる。このため、両サーボ機構の精度が完全に一致しない場合、特に両リニアスケール17R,17Lの精度が不一致の場合には、位置決めしてサーボロック状態となった後でも双方のサーボ間で引っ張り合いすることがあり、このような場合には過大な発熱をするおそれがある。
【0016】この発明の目的は、以上のような従来の技術に着目してなされたものであり、複数のリニアモータを用いた工作機械の位置決め装置においてサーボ機構の高ポジションゲイン,高サーボ剛性を実現できる工作機械の位置決め装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明に係る工作機械の位置決め装置は、上記の目的を達成するために、工作機械の固定体に線形移動可能に設けられた移動体の位置決め装置において、移動体を移動方向へ案内すべく対をなして設けられた案内手段と、一次側部材または二次側部材の一方が固定体に設けられ他方が移動体に各々設けられて前記移動体を移動方向へ駆動する偶数個のリニアモータと、前記移動体の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段からの検出信号に基づいて前記リニアモータを駆動制御する制御部とを有し、前記リニアモータが前記対をなす案内手段の中点に関して均等に振分け配置されると共に、前記位置検出手段が前記中点に設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
【作用】この発明による工作機械の位置決め装置では、対をなして設けられている案内手段の働きにより移動体が固定体に対して往復動自在に支持されている。そして、リニアモータの一次側部材または二次側部材の一方が固定体に設けられ他方が移動体に設けられているので、移動体はリニアモータから推力を得て移動する。移動体の位置は位置検出手段により検出されて制御部へ伝達され、制御部はサーボ機構により位置決めをする。この時、偶数個のリニアモータは、対をなしている案内手段の中点に対して均等に振分け配置されているので、均等な推力が得られる。また、位置検出手段が前記中点に設けられているので、移動体の正確な位置を検出することができると共に、位置検出手段が各リニアモータに対して均等で近い位置に配置されることになるので、サーボ機構におけるポジションゲインを同一にでき且つ高めることができる。
【0019】
【実施例】以下、この発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【0020】図1(A),(B)には工作機械の位置決め装置33およびそのサーボ機構が示されている。なお、従来技術の欄で前述したものと共通の部位には同じ符号を用いることとして重複した説明は省略する。
【0021】この実施例における固定体としてのベッド3では、2条の溝13がその間にあるの中央部35の中心(前述した一対のガイドレール5の中点Cに一致する)を通る対称軸11に対して左右(図1(A)において左右)対称に設けられている。この溝13の各側面にはリニアモータLMの二次側部材15が各々設けられているので、全部で4個(偶数個)の二次側部材15が前述した中点Cから均等に振分けられて配置していることとなる。
【0022】また、中央部35上面にはリニアスケール37を読み取るための読取りヘッド39が上方へ突出して設けられている。
【0023】一方、可動体としてのテーブル7においても、前記対称軸11に対して左右対称に振り分けた位置にリニアモータLMの4個(偶数個)の一次側部材21が取付けられている。
【0024】また、前記中央部35に対向するテーブル7の下面位置にはスケール取付け部41が下方へ設けられており、前記リニアスケール37が取付けられている。従って、前述の読取りヘッド39はこのリニアスケール37に対向することになるので、テーブル7位置の読取位置は、対称軸11上となる。
【0025】以上のように構成される位置決め装置33のサーボ機構が図1(B)に示されている。すなわち、テーブル7の位置は、リニアモータLMの配置に関する対称軸11の位置において読み取られて制御部27にフィードバックされ、テーブル7の位置決めを行う。
【0026】このような工作機械の位置決め装置33によれば、テーブル7の位置検出を複数のリニアモータLMに対してできるだけ近い位置で行うことができるので、サーボ機構の安定を保持しつつポジションゲインを全体的に上げることが可能になる。また、同時にサーボ機構は一つなので、サーボ機構同士の引き合いを防止することができる。
【0027】また、テーブル7の位置検出を対称軸11の位置において行うので、正確な位置を検出することができる。
【0028】なお、この発明は、前述した実施例に限定されることなく、適宜な変更を行なうことにより、その他の態様で実施し得るものである。例えば、前述の実施例においてはベッド3側に二次側部材15を取付け、テーブル7側に一次側部材21を取付けたが、逆にベッド3側に一次側部材21を、テーブル7側に二次側部材15を取付けても全く同様の作用効果を得ることができる。
【0029】また、前述の実施例においては、対称軸11の左右に各々2個づつ合計4個のリニアモータLMを設けたが、その数は限定されない。すなわち、大きな推力が必要な場合には、適宜その数を増加させればよい。但し、対称軸11に関して左右等しく振り分けた位置に配置する条件を満たさなければならない。
【0030】さらに、前述の実施例においては、図1(A)に示されるように、対称軸11の左右においてリニアモータLMを同じ高さ位置に設けたが、この場合に限らず、ベッド3およびテーブル7の形状によりリニアモータLM取付け高さが変化しても構わない。但し、この場合においても、対称軸11に関して左右等しく振り分けた位置に配置する条件を満たさなければならない。
【0031】
【発明の効果】請求項1の発明による工作機械の位置決め装置は対をなして設けられている案内手段の働きにより、リニアモータの一次側部材または二次側部材の一方が設けられている固定体に対して、一次側部材または二次側部材の他方が設けられている可動体が往復動自在に支持されている。このため、移動体はリニアモータから直接推力を得て移動するので、ボールネジ・ナットやギヤ装置等を用いる必要がない。このため、リニアモータを用いた位置決めにおいては、ボールネジ等の製作精度やバックラッシュによる誤差が生じないので、サーボ機構により位置決めする際に高精度の位置決めが可能となる。さらに、偶数個のリニアモータは、対をなしている案内手段の中点に対して均等に振分け配置されているので、各々のリニアモータが最大推力まで均一で使用でき且つポジションゲインを高めることができるので高剛性サーボシステムが構築できる。
 

 
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