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発明の名称 加工装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−155738
公開日 平成8年(1996)6月18日
出願番号 特願平6−302244
出願日 平成6年(1994)12月6日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
発明者 畑 本 光 興 / 滝 口 泉
要約 目的
局所的な加工を容易に行うことができる加工装置を提供する。

構成
陰極としての工具11を備え、この工具11の先端部11aと所定の間隙h1 を介して対向させたワーク12を陽極とした電解によってこのワーク12の加工を行う加工装置において、工具11およびワーク12と接触することなく、この工具11の先端部11a近傍の一部または全部を囲むように配設された、陽極としてのシールド材13をさらに備える。
特許請求の範囲
【請求項1】陰極としての工具を備え、この工具の先端部と所定の間隙を介して対向させた工作物を陽極とした電解によってこの工作物の加工を行う加工装置において、前記工具および前記工作物と接触することなく、この工具の前記先端部近傍の一部または全部を囲むように配設された、陽極としてのシールド材をさらに備えたことを特徴とする加工装置。
【請求項2】前記シールド材の電位を、前記工作物の電位と同一または近傍の電位としたことを特徴とする請求項1の加工装置。
【請求項3】前記シールド材が前記工具に相対的に固定された状態で前記工作物の工作面上を相対的に移動するように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の加工装置。
【請求項4】前記シールド材をカーボン、導電性セラミックまたは導電性プラスチックで形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の加工装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば電解加工装置或いは電解複合加工装置等、電解によって工作物の加工を行う加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電解によって工作物の加工を行う加工装置が、電解加工装置や電解複合加工装置等として知られている。
【0003】図5は、従来の電解加工装置の一構成例を概念的に示す断面図である。同図において、工具51は、導電性材料で形成されている。この工具51は、所定の電解溶液中に、先端部51aがワーク52の加工面52aと所定の間隙を介して対向するように配設される。さらに、この工具51には、電源53の−端子が接続される。一方、ワーク52には、この電源53の+端子が接続される。このような装置によれば、工具51を陰極、ワーク52を陽極とした電解の作用によってワーク52に陽極溶出を生じさせることができ、これにより、このワーク52の加工を行うことができる。
【0004】また、従来の電解複合加工装置としては、例えば特開昭53−132893号公報において開示されている装置などが知られている。この電解複合加工装置では、導電性の回転工具を陰極とし、ワークを陽極としている。そして、回転工具とワークとの間に介在させた研磨材に電解溶液を供給しながら、回転工具を回転させている。このような装置によれば、電解作用によってワーク表面に生じる不動態膜を機械的に除去しながら電解加工を行うことができ、これにより、加工能率の向上を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような加工装置には、電解によって陽極溶出が生じる面積が工具の先端部の面積に対して非常に大きくなってしまうため、局所的な加工を行うことが困難であるという欠点があった。
【0006】本発明者は、図6に示したような電解加工装置を用いて、加工面積の測定実験を行った。なお、図6において、図5と同じ符号を付した構成部は、それぞれ図5の場合と同じものを示している。図6に示したように、この実験においては、工具61として、断面が円弧状の先端部61aを備え、且つ、この先端部61aを残して電気絶縁材62で覆ったものを使用した。また、工具61の直径はφ1mmとし、先端部61aとワーク52との距離hは0.5mmとした。この実験の結果、先端部61aと対向する位置を中心として明確には半径8〜16mmの領域(図中L)で、ワーク52の陽極溶出が発生した。
【0007】なお、ワークの表面に段差やエッジがある場合には、電荷集中度が変わるので、陽極溶出領域の面積も変化する。
【0008】このように陽極溶出領域の面積が大きいことは、ワークの加工面が大面積である場合にはあまり問題とならないが、ワーク表面の狭い領域に対して局所的な加工を行うような場合には、既に加工された面にまで陽極溶出が生じてしまい、加工精度を悪化させるおそれがあった。
【0009】本発明は、このような従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、局所的な加工を容易に行うことができる加工装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る加工装置は、陰極としての工具を備え、この工具の先端部と所定の間隙を介して対向させた工作物を陽極とした電解によってこの工作物の加工を行う加工装置において、前記工具および前記工作物と接触することなく、この工具の前記先端部近傍の一部または全部を囲むように配設された、陽極としてのシールド材をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
【作用】シールド材を工具および工作物と接触することなくこの工具の先端部近傍の一部または全部を囲むように配設し、且つ、このシールド材に正電位を印加して陽極とすることにより、工具の先端部から供給された負電荷がシールド材の外側へ移動し難くなるような電場を形成することができる。これにより、工作物の陽極溶出領域を制限することができるので、局所的な加工が容易となる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例について、電解加工装置に適用した場合を例にとって説明する。
【0013】図1は、本実施例に係る電解加工装置の構成を概念的に示す断面図である。
【0014】同図において、工具11は、導電性材料で形成されている。この工具11は、先端部11aがワーク12の加工面12aと間隙h1 を介して対向するように配設されている。
【0015】また、シールド材13としては、リング状に形成された導電性材料が用いられている。このシールド材13は、図示されていない支持手段によって、工具11の先端部11aの近傍の周囲を囲むように支持されている。ここで、このシールド材13は、工具11と非接触となるように配設されており、また、ワーク12とも間隙h2 だけ隔てて非接触に配設されている。
【0016】シールド材13としては、電解による溶出が生じ難い材料を使用することが望ましい。後述するように、シールド材13にはワーク12と同様の正電位が印加されるからである。例えば、カーボン、導電性セラミックまたは導電性プラスチックが、シールド材13の形成材料として適している。
【0017】なお、工具11、ワーク12およびシールド材13は、所定の電解溶液中に配設されている。
【0018】電源14は、+端子がワーク12に接続されており、−端子が工具11に接続されている。これにより、ワーク12を陽極とし、工具11を陰極とした電解を生じさせることが可能となる。
【0019】また、電源14の+端子は、電圧制御用の素子15を介して、シールド材13にも接続されている。素子15としては、例えば、可変抵抗(図2(a)参照)や可変電源(同図(b)参照)を使用することができる。これにより、シールド材13の電位を、ワーク12の電位と同一の電位或いは異なる電位に、任意に設定することが可能となる。
【0020】工具11およびシールド材13は、図示していない移動手段により、ワーク12に対して相対的に移動させることができる。このとき、工具11とシールド材13との相対的な位置関係は固定される。これにより、工具11およびシールド材13を移動させること或いはワーク12を移動させることにより、ワーク12の表面の所望の領域の電解加工を行うことができる。
【0021】図1の電解加工装置において、電解加工を行う際には、シールド材13の電位をワーク12の電位と同一・近傍の電位或いは少し高い電位に設定する。これにより、シールド材13とワーク12との間に間隙があるにも拘らず、このシールド材13による電界の作用によって、ワーク12の陽極溶出をシールド材13の外側ではほとんど生じさせないようにすることができる。そして、このようにして陽極溶出領域を制限することにより、局所的な加工が容易となる。
【0022】なお、本実施例では、シールド材13としてリング状のものを使用したが、必ずしもリング状に限定されるものではなく、他の形状のものを使用しても本発明の効果を得ることが可能である。
【0023】図3は、シールド材の他の構成例を説明するための斜視図であり、工具31、ワーク32およびシールド材33とが示されている。なお、電源および電圧制御用の素子については、図1の場合と同様であるので、図3では省略した。図3に示したように、工具31として円板回転電極を使用する場合には、フォーク状のシールド材を用いることが望ましい。
【0024】また、図4は、シールド材の第3の構成例を説明するための斜視図であり、工具41、ワーク42およびシールド材43とが示されている。なお、図4においても、電源および電圧制御用の素子については、図1の場合と同様であるので省略した。図4に示したように、工具41として板状電極を使用する場合には、長スリット状のシールド材を用いることが望ましい。
【0025】以上説明した実施例では、本発明を電解加工装置に適用した場合を例にとって説明したが、例えば電解複合加工装置等に適用することも可能である。すなわち、電解によって工作物の加工を行う加工装置であれば、本発明の効果を得ることができる。
【0026】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係る加工装置によれば、シールド材によって工作物の陽極溶出領域を制限することができるので、局所的な加工を容易に行うことができる。
 

 
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