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発明の名称 2軸押出機の内部状態計測方法および装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−142164
公開日 平成8年(1996)6月4日
出願番号 特願平6−255583
出願日 平成6年(1994)10月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
発明者 水沼 巧治 / 小林 昭美 / 八木 正幸
要約 目的
2軸押出機に対して連続的かつ良好な計測を達成すると同時に、生産機にも好適に適用することができる、内部状態測定方法および装置を提供する。

構成
バレル12の軸方向位置の少なくとも1個所(スクリュー16の軸のニーディング部を含む位置)における軸直角方向の断面上の所定位置での複数の圧力および温度を計測する圧力、温度センサPmとTmおよびPnとTnと、前記所定位置に対応するスクリュー16の回転位置を設定する位置センサ24と、演算CPU32、内部メモリ34、出力ディスプレイ36、プリンタ38を含むコンピュータシステム30とを設け、前記計測および設定信号Pa、Ta、24aをマルチプレクサ26および信号処理器28を介してスクリュー16の複数回転分を連続的にコンピュータシステム30に入力することにより、前記所定位置での複数の圧力、温度分布およびこれに関連する所要の運転データ等を出力表示するように構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】 バレル内で噛合回転する2軸スクリュー部で、樹脂原料を混練溶融して押出成形する2軸押出機において、前記バレルの軸方向位置の少なくとも1個所における軸直角方向の断面上の所定位置で複数の圧力および/または温度を計測し、これら計測値をスクリューの複数回転分を連続的にコンピュータシステムに入力することにより、前記所定位置での複数の圧力および/または温度分布およびこれに関連する所要の樹脂特性データを演算出力することを特徴とする2軸押出機の内部状態計測方法。
【請求項2】 バレル内で噛合回転する2軸スクリュー部で、樹脂原料を混練溶融して押出成形する2軸押出機において、前記バレルの軸方向位置の少なくとも1個所における軸直角方向の断面上の所定位置で複数の圧力および/または温度を計測する圧力および/または温度センサと、前記所定位置に対応するスクリュー回転位置を設定する位置センサと、さらに演算CPU、内部メモリ、出力ディスプレイ/プリンタを含むコンピュータシステムとを有し、前記計測および設定信号をそれぞれマルチプレクサおよび信号処理器を介してスクリューの複数回転分を連続的に前記コンピュータシステムに入力することにより、前記所定位置での複数の圧力および/または温度分布並びにこれに関連する所要の樹脂特性データをディスプレイ/プリンタ出力するように構成することを特徴とする2軸押出機の内部状態計測装置。
【請求項3】 圧力および/または温度を計測するバレルの軸方向位置は、バレル内におけるスクリュー軸ニーディング部を含む位置に対応する前記バレル部分に設定してなる請求項2記載の2軸押出機の内部状態計測装置。
【請求項4】 圧力および/または温度を計測するバレルの軸直角方向の断面上の所定位置は、バレル内の2軸スクリュー噛合部近傍の位置を含むように設定してなる請求項2記載の2軸押出機の内部状態計測装置。
【請求項5】 圧力および/または温度分布の出力表示は、圧力および/または温度計測値の平均値、最大値、最小値およびこれらのスクリュー回転毎の変動幅の代表値を数値表示するように構成してなる請求項2記載の2軸押出機の内部状態計測装置。
【請求項6】 さらに、スクリュー駆動用モータの負荷電流および電圧、バレル温調器のヒータ出力および冷却水流量を含む押出機運転状態データの1つ以上を、信号処理器を介してコンピュータシステムに入力するように構成してなる請求項2記載の2軸押出機の内部状態計測装置。
【請求項7】 さらに、押出機出口部における溶融樹脂の温度、圧力および色相を含む原料出口状態データの1つ以上を、信号処理器を介してコンピュータシステムに入力するように構成してなる請求項2記載の2軸押出機の内部状態計測装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2軸押出機の内部状態、すなわち混練溶融中の原料(樹脂)の挙動を、連続的に計測する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、押出機の内部状態計測は、スクリューの最適設計もしくは運転条件の最適設定のために不可欠である。
【0003】しかるに、この種の内部状態計測には、従来より、運転中の押出機を急停止かつ急冷却した上で、スクリューを引抜き(もしくはバレルを2つ割りに分割してスクリューを取出し)、観察する方法、あるいはバレルに透明観察窓を設け、運転中に直接内部状態を観察する方法が採用されている。しかるに、これらの方法は、いずれも以下に述べるような難点を有していた。
【0004】すなわち、先ず前者の方法は、押出機が一時的に停止することから、連続的もしくは安定的な計測が不可能であり、また後者の方法は、透明観察窓が壊れやすくかつバレル壁面条件が変動することから、実際的には正確な計測が困難であると同時に、生産機への適用も不適であった。
【0005】そこで、本出願人は、先に、前記難点を克服する新規技術を開発し、提案を行った(特開平6−31795号公報参照)。すなわち、前記技術によれば、バレルの軸方向に沿って複数の放射温度計および圧力計を設けることにより、バレル内のスクリュー溝内の原料樹脂の温度および圧力分布をそれぞれ軸方向にグラフィック表示できるように構成されている。従って、本技術によれば、内部状態を連続的かつ良好に計測できると同時に、実験機および生産機の双方に対しても好適に適用し得ることは明らかである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、前記技術(以下、従来技術と称する)は、以下に述べるような基本的難点を有していた。
【0007】すなわち、前記従来技術においては、一般的(もしくは特定の場合)には、前述したように、連続的かつ良好な計測を達成すると同時に、生産機にも好適に適用し得るが、これらは通常の押出機(単軸押出機)に対しては可能であるが、2軸押出機に対しては適用し得ないものであった。そして、混練溶融中の原料樹脂が、単軸押出機においてはバレル内を均質に充満しているが、2軸押出機においては完全には充満せず、空隙が存在すると共に2軸スクリューの関係位置によって混練溶融状態が異なることが、前記の原因であることが判明した。換言すれば、混練溶融中の原料樹脂の内部状態は、バレルの同一断面に関して、単軸押出機においては、バレル内の原料樹脂は均質に充満されているので、断面上任意の一点のみの計測(前記従来技術においては、同一断面に関して1つの温度計および圧力計のみが設けられている)によって、断面上全ての点について把握される。しかし、2軸押出機においては、バレル内の原料樹脂は空隙を有すると共に位置によって混練溶融状態を異にするので、断面上任意の一点のみの計測によっては、断面上全ての点については把握し得ないことが判明した。
【0008】そこで、本発明の目的は、2軸押出機に対して連続的かつ良好な計測を達成すると同時に、生産機にも好適に適用することができる、内部状態計測方法および装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】先の目的を達成するために、本発明に係る2軸押出機の内部状態計測方法は、バレル内で噛合回転する2軸スクリュー部で、樹脂原料を混練溶融して押出成形する2軸押出機において、前記バレルの軸方向位置の少なくとも1個所における軸直角方向の断面上の所定位置で複数の圧力および/または温度を計測し、これら計測値をスクリューの複数回転分を連続的にコンピュータシステムに入力することにより、前記所定位置での複数の圧力および/または温度分布およびこれに関連する所要の樹脂特性データを演算出力することを特徴とする。
【0010】また、前記方法を実施するための発明に係る2軸押出機の内部状態計測装置は、バレル内で噛合回転する2軸スクリュー部で、樹脂原料を混練溶融して押出成形する2軸押出機において、前記バレルの軸方向位置の少なくとも1個所における軸直角方向の断面上の所定位置で複数の圧力および/または温度を計測する圧力および/または温度センサと、前記所定位置に対応するスクリュー回転位置を設定する位置センサと、さらに演算CPU、内部メモリ、出力ディスプレイ/プリンタを含むコンピュータシステムとを有し、前記計測および設定信号をそれぞれマルチプレクサおよび信号処理器を介してスクリューの複数回転分を連続的に前記コンピュータシステムに入力することにより、前記所定位置での複数の圧力および/または温度分布並びにこれに関連する所要の運転データ等をディスプレイ/プリンタ出力するように構成することを特徴とする。
【0011】この場合、圧力および/または温度を計測するバレルの軸方向位置は、バレル内におけるスクリュー軸ニーディング部を含む位置に対応する前記バレル部分に設定すると共に、圧力および/または温度を計測するバレルの軸直角方向の断面上の所定位置は、バレル内の2軸スクリュー噛合部近傍の位置を含むように設定することができる。
【0012】また、圧力および/または温度分布の出力表示は、圧力および/または温度計測値の平均値、最大値、最小値およびこれらのスクリュー回転毎の変動幅の代表値を数値表示するように構成することができる。
【0013】さらに、コンピュータシステムには、信号処理器を介して、さらに、スクリュー駆動用モータの負荷電流および電圧、バレル温調器のヒータ出力および冷却水流量を含む押出機運転状態データの1つ以上を入力し、あるいはさらに、押出機出口部における溶融樹脂の温度、圧力および色相を含む原料出口状態データの1つ以上を入力するように構成することができる。
【0014】
【作用】本発明によれば、混練溶融中の原料樹脂の内部状態を計測する圧力および/または温度センサは、バレルの軸直角方向の同一断面上における所定の複数位置に設定されている。従って、原料樹脂の内部状態は、この原料樹脂がバレル内において空隙を有しかつ位置によって混練溶融状態を異にしていても、前記所定の複数位置を適切に選定することにより、連続的かつ良好に計測表示することができる。また、生産機に対しても好適に適用することができる。
【0015】
【実施例】次に、本発明に係る2軸押出機の内部状態計測方法の実施例につき、この方法を実施する装置との関係において、以下詳細に説明する。
【0016】図1および図2において、先ず2軸押出機10は、一般的には、ヒータ12aを有するバレル12内で、スクリューが互いに噛合回転するようモータ14を介して駆動される2つのスクリュー16(16L、16R)からなり、そしてこのスクリュー16により、バレル12内をホッパ18から押出機出口部20方向へ向けて流動する樹脂原料22を、混練溶融した後、押出成形するように構成されている。
【0017】しかるに、本発明においては、前記構成において、そのバレル12の軸方向位置の少なくとも1個所(スクリュー16の軸のニーディング部を含む位置に対応するバレル部分)における軸直角方向の断面上の所定位置で、複数(図2を参照して後述される)の圧力および温度を計測する圧力、温度センサPm、TmとPnとTn(図1においては軸方向位置M、Nの2個所に設定されている)と、前記所定位置に対応するスクリュー16の回転位置を設定するようにスクリュー駆動軸の一部に取付けられる位置センサ24と、さらに演算CPU32、内部メモリ34、出力ディスプレイ36、プリンタ38を含むコンピュータシステム30とを設ける。
【0018】そして、前記計測および設定信号Pa、Ta、24aをそれぞれマルチプレクサ26および信号処理器28を介して、スクリュー16の複数回転分を連続的にコンピュータシステム30に入力することにより、前記所定位置での複数の圧力、温度分布(後述する図3および図4を参照して詳述される)およびこれに関連する所要の運転データ等をディスプレイ36およびプリンタ38に出力表示するよう構成されている。なお、図中の参照符号40はA/D変換器、42は出力インタフェース、44はブザー、そして46はフロッピディスクをそれぞれを示す。また、参照符号32aは切替信号,32bはトリガ信号をそれぞれ示す。
【0019】そこで、前記複数の所定位置につき説明すると、これらはバレル内の原料樹脂の空隙部もしくは特異状態部等の特定点(言換えれば、原料樹脂の内部状態の把握上、特定されるべき特異点)を、特に(もしくは適切に)含むように設定されている。すなわち、これら所定位置を例示する図2において、例えば圧力センサPが挿着される各所定位置A、B、Cの圧力は、一般的に、強い剪断力が作用する位置C(両スクリュー16L、16Rの噛合部近傍)において最も高く、これから順に位置Bへ、さらに位置Aへと(空隙部が存在する場合は特に)低減されている。なお、これら所定位置における具体的な圧力、温度分布は、次に詳述される。
【0020】すなわち、図3(なお本図は、図1の軸方向位置Mにおける実験例であり、原料がポリポロピレンで、スクリュー回転数が193.6rpmの時の多数回転分の重ね書きプリンタ38の出力を示す)を参照すると、先ず、位置M1における温度分布Tm1は、原料樹脂が未溶融であるため低温である(図4の温度分布Tn2を比較参照)ことを示している。また、両位置M2、M3における圧力分布Pm2、Pm3は、共に圧力0の領域を有しており、空隙が存在することを示している。前者Pm2の方がピーク圧力は高いが、圧力の0領域の幅が広いことから、ここでの空隙の度合は、大きいことが理解される。
【0021】次に、図4(図1の軸方向位置Nにおける図3に対応する実験例である)を参照すると、先ず、位置N2における温度分布Tn2は、原料樹脂温度が溶融点近くまで上昇して溶融が進行していることを示している。また、各位置N1、N3、N4における各圧力分布Pn1、Pn3、Pn4は、いずれも、空隙が解消されて溶融樹脂で均質に充満され、従って圧力が比較的上昇しかつ安定していることを示している。なお、前記所定位置は、使用される樹脂材料等に対応して任意適宜に選定することができ、また圧力および温度分布の出力表示は、必要に応じて圧力、温度計測値の平均値、最大値、最小値およびこれらのスクリュー回転毎の変動幅の代表値を数値表示するように構成することができる。
【0022】このように、本発明によれば、混練溶融中の原料樹脂の内部状態を計測する圧力および/または温度センサが、バレルの軸直角方向の同一断面上における所定の複数位置に設定されているので、原料樹脂の内部状態を、この原料樹脂がバレル内において空隙を有しかつ位置によって混練溶融状態を異にしていても、前記所定の複数位置を適切に選定することにより、連続的かつ良好に計測表示することが可能となる。言換えれば、2軸押出機において、スクリューの最適設計および運転条件の最適設定が可能となる。また、生産機に対しても好適に適用されることが可能となる。
【0023】次に、本発明は、種々の追加もしくは変更を実施することができる。すなわち、例えば図示されているように、スクリュー駆動用モータ14の負荷電流、電圧(モータ動力)およびスクリュー回転数、バレル温調器50のヒータ12aの出力および冷却水(図示せず)の流量等を含む押出機の運転状態データの1つもしくはそれ以上を、さらに、各信号ライン14a、50aおよび信号処理器28を介してコンピュータシステム30に入力することができる。なお、この場合、これら各運転状態データと前述した原料樹脂の内部状態とを同時に計測し、演算、表示、記録し、そして対比検討することにより、前記両者(運転条件と内部状態)の関係を的確に把握して、これらを最適化することができる。因みに、スクリュー回転数は、原料樹脂の剪断速度に比例し、モータ動力は原料樹脂に対する負荷エネルギに対応し、バレル温調器負荷は各バレルセクションの熱収支に対応することは明らかである。
【0024】また、例えば、同じく図示されているように、押出機出口部20における溶融樹脂の温度T0 、圧力P0 および色相(図示せず)等を含む原料出口状態データの1つもしくはそれ以上を、さらに各信号ライン20a、20bおよび信号処理器28を介して、同じくコンピュータシステム30に入力することができる。この場合、原料樹脂の前記出口および内部状態を同時に計測し、そして表示、記録することにより、前記両者間の関係を的確に把握して製品の品質を向上することができる。因みに、例えば、出口部温度の基準範囲からの逸脱は、樹脂物性の低下を意味し、出口部圧力の不当な変動は、押出し状態の不安定性を意味し、色相の異常な悪化は、混練溶融状態等の不適切さを意味することは明らかである。
【0025】以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、本発明の精神を逸脱しない範囲内において多くの改良変更が可能である。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る2軸押出機の内部状態計測方法および装置は、要約的に説明すると、混練溶融中の原料樹脂の内部状態を計測する圧力および/または温度センサが、バレルの軸直角方向の同一断面上における所定の複数位置に設定されているので、原料樹脂の内部状態を、この原料樹脂がバレル内において空隙を有しかつ位置によって混練溶融状態を異にしていても、前記所定の複数位置を適切に選定することにより、連続的かつ良好に計測表示することが可能となる。言換えれば、2軸押出機において、スクリューの最適設計および運転条件の最適設定を容易に達成することができる。また、生産機に対しても好適に適用することが可能となる。
 

 
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