| 発明の名称 |
加圧鋳造機における加圧ピンの制御方法およびその装置 |
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| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平8−132211 |
| 公開日 |
平成8年(1996)5月28日 |
| 出願番号 |
特願平6−262787 |
| 出願日 |
平成6年(1994)10月26日 |
| 代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
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| 発明者 |
岩 本 典 裕 / 高 村 昌 幸 / 松 田 泰 |
| 要約 |
目的 引け巣発生の防止に最適なように加圧ピンのストロークを自動的に制御し、鋳造品の品質の向上を図る。
構成 加圧ピン10を駆動する加圧ピンシリンダ12の無負荷でのストロークSを計測し、加圧ピン10のストロークSから所定の微小量αを減じた(S−α)を加圧ピンのストロークとして設定し、キャビティ内に溶湯の充填が開始されてから所定の待ち時間を経過した後に加圧ピン10を前進させるとともに、加圧ピンの実際のストロークSf を計測し、加圧ピンのストローク検出値Sf と、設定ストローク(S−α)との値を比較し、加圧ピンのストロークが設定ストローク(S−α)になるように前記加圧ピンシリンダへ供給する圧油の圧力、流量、溶湯の充填完了から加圧ピンを前進させるまでの待ち時間のうち少なくとも1のパラメータを補正する。 |
特許請求の範囲
【請求項1】金型のキャビティ内に充填された溶湯をすくなくとも1つの加圧ピンで局部的に加圧する加圧鋳造機における加圧ピンの制御方法であって、前記加圧ピンを駆動する加圧ピンシリンダの無負荷でのストロークSを計測し、前記加圧ピンのストロークSから所定の微小量αを減じた(S−α)を加圧ピンのストロークとして設定し、キャビティ内に溶湯の充填が開始されてから所定の待ち時間を経過した後に加圧ピンを前進させ、前記加圧ピンの実際のストロークSf を計測し、前記加圧ピンのストローク検出値Sf と、設定ストローク(S−α)との値を比較し、その比較の結果、Sf=(S−α)でなかったとき、次回の鋳造サイクルにおれるストローク検出値Sf を設定ストローク(S−α)に近づけるために、前記加圧ピンシリンダへ供給する圧油の圧力、流量、溶湯の充填完了から加圧ピンを前進させるまでの待ち時間のうち少なくとも1のパラメータを補正することを特徴とする加圧鋳造機における加圧ピンの制御方法。 【請求項2】金型のキャビティ内に充填された溶湯を凝固直前に加圧ピンで局部的に加圧する加圧鋳造機における加圧ピンの制御装置であって、加圧ピンのストローク量を検出するストローク検出手段と、加圧ピンを駆動する加圧ピンシリンダに供給する流体の圧力、流量を制御する加圧ピン油圧制御回路と、前記加圧ピンのストローク検出値Sf と、設定ストローク(S−α)との値を比較し、その比較の結果、Sf =(S−α)でなかったとき、次回の鋳造サイクルにおれるストローク検出値Sf を設定ストローク(S−α)に近づけるために、前記加圧ピンシリンダへ供給する圧油の圧力、流量、溶湯の充填完了から加圧ピンを前進させるまでの待ち時間のうち少なくとも1のパラメータを補正するストローク補正手段と、前記ストローク補正手段による補正結果に基づいて前記加圧ピンシリンダ制御油圧回路を制御する制御部を具備したことを特徴とする加圧鋳造機における加圧ピンの制御装置。 【請求項3】前記ストローク検出手段は、前記加圧ピンシリンダに供給される圧油の流量を検出する流量カウンタと、この流量カウンタによって検出された流量を加圧ピンのストローク量に変換する手段とからなることを特徴とする請求項2に記載の加圧鋳造機における加圧ピンの制御装置。 【請求項4】金型のキャビティ内に充填された溶湯に凝固直前に油圧シリンダにより加圧ピンを押し込んで鋳巣を減少または解消するようにした加圧鋳造機において、油圧供給源と、前記油圧供給源からの圧油の圧力を調整する圧力調整部と、前記圧力調整部で圧力調整された作動油の圧力を補償する圧力補償部と、前記圧力補償部で圧力調整された作動油の流量を調整する流量調整部と、前記流量調整部で流量を調整された作動油の方向を切り換る方向切換弁と、前記方向切換弁に接続され加圧ピンの進退動作を行う油圧シリンダとからなる加圧ピン油圧制御回路と、前記加圧ピンのストローク量を検出する手段と、前記加圧ピンの位置に応じて、前記油圧シリンダの前進および動作時間を制御する制御装置を備えたことを特徴とする加圧鋳造機における加圧ピンの制御装置。 【請求項5】前記ストローク検出手段は、方向切換弁を通過した作動油の流量を所定の単位でカウントする流量カウンタを備え、この流量カウンタを加圧ピンの進退動作を行う油圧シリンダと、前記方向切換弁の間に接続し、前記流量カウンタによって計測した流量を、あらかじめ記憶した流量と加圧ピンの位置との対応関係データから加圧ピンの位置を間接的に計測することを特徴とする請求項4に記載の加圧鋳造機における加圧ピンの制御装置。 【請求項6】前記加圧ピン油圧制御回路を加圧鋳造機の中子シリンダ油圧回路とは独立して設けたことを特徴とする請求項2または請求項4に記載の加圧鋳造機における加圧ピンの制御装置。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ダイカストマシンなどの加圧鋳造機において、金型内に充填された溶湯を局部的に加圧するために用いる加圧ピンの制御方法および制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に加圧鋳造では、金型内のキャビティに充填されてから溶湯が冷却されて凝固する際に、体積の収縮により鋳造品の組織に内引けが発生しやすい傾向がある。また、キャビティには、溶湯を高速で射出するため、溶湯に空気が巻き込まれ、鋳物の内部に鋳巣を生じることなる。このような内引け、鋳巣などの欠陥をなくすため、キャビティ内の溶湯が凝固する直前に加圧ピンを溶湯に押し込んで局部的に加圧することによって引け巣の発生を防止することが行われている。 【0003】この加圧ピンによる局部加圧方法の実施に際しては、鋳造条件に応じた適切な加圧力と、加圧をするときのタイミングを適切に決定することが重要となる。従来のこの種の加圧ピンの制御に関する公知技術としては、例えば、特公昭59−156560号公報、特開昭58−9758号公報、特開平4−118167号公報に開示されている。 【0004】特公昭59−156560号公報による加圧ピン制御は、加圧ピンの加圧タイミングをタイマーを用いて一定に制御するものであり、特開昭58−9758号公報によれば、金型温度をセンサで検出し、この検出温度に基づいて加圧ピンの動作を制御するものである。特開平4−118167号公報では、加圧ピンのストロークを検出し、検出値が所定のストロークになるように、加圧ピンをキャビティ内に前進させるタイミングを制御し、これによって、適正な条件の下で溶湯を加圧するようにした加圧ピンの制御方法が提案されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の特公昭59−156560号公報の技術においては、鋳込み開始の金型温度と、型安定時の凝固温度が異なるため、タイマーで加圧ピンの動作のタイミングを制御しても鋳物の品質にバラツキを生じることがあった。特開昭58−9758号公報の技術によれば、金型温度または溶湯温度と加圧タイミングのタイミングの関係が明確でないと加圧ピンの動作を制御しにくいという問題があり、さらに、金型温度も、溶湯温度と射出圧力の関係を一定にすることが困難であった。 【0006】さらに、特開平4−118167号公報による加圧ピン制御方法では、加圧ピンの位置を直接計測できるというメリットがある反面、金型ごとにセンサを取り付け、あらかじめ加圧ピンの最適なストロークを金型、鋳造条件に対応させて加圧ピンごとに設定する必要がある。加圧ピンのストロークが誤って設定されてしまった場合には、その設定値のまま加圧ピンが制御されてしまう問題があった。 【0007】また、一の金型に複数の加圧ピンを設け、それぞれ加圧ピンを駆動するシリンダのストロークが異なるものでは、それぞれについて、センサを取り付け、最適となる加圧ピンのストロークを調整しなければならない。このような加圧ピンのストロークの設定は、加圧ピン毎、鋳造条件毎に微妙に異なり、煩些な労力を要していた。そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、引け巣発生の防止に最適なように加圧ピンのストロークが自動的に制御されるようにして鋳造品の品質の向上に資する加圧ピンの制御方法およびその制御装置を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するために、本発明は、金型のキャビティ内に充填された溶湯をすくなくとも1つの加圧ピンで局部的に加圧する加圧鋳造機における加圧ピンの制御方法であって、前記加圧ピンを駆動する加圧ピンシリンダの無負荷でのストロークSを計測し、前記加圧ピンのストロークSから所定の微小量αを減じた(S−α)を加圧ピンのストロークとして設定し、キャビティ内に溶湯の充填が開始されてから所定の待ち時間を経過した後に加圧ピンを前進させ、前記加圧ピンの実際のストロークSf を計測し、前記加圧ピンのストローク検出値Sf と、設定ストローク(S−α)との値を比較し、その比較の結果、Sf =(S−α)でなかったとき、次回の鋳造サイクルにおれるストローク検出値Sf を設定ストローク(S−α)に近づけるために、前記加圧ピンシリンダへ供給する圧油の圧力、流量、溶湯の充填完了から加圧ピンを前進させるまでの待ち時間のうち少なくとも1のパラメータを補正することを特徴とするものである。 【0009】また、本発明は、前記の目的を達成するために、金型のキャビティ内に充填された溶湯を凝固直前に加圧ピンで局部的に加圧する加圧鋳造機における加圧ピンの制御装置であって、加圧ピンのストローク量を検出するストローク検出手段と、加圧ピンを駆動する加圧ピンシリンダに供給する流体の圧力、流量を制御する加圧ピン油圧制御回路と、前記加圧ピンのストローク検出値Sf と、設定ストローク(S−α)との値を比較し、その比較の結果、Sf =(S−α)でなかったとき、次回の鋳造サイクルにおれるストローク検出値Sf を設定ストローク(S−α)に近づけるために、前記加圧ピンシリンダへ供給する圧油の圧力、流量、溶湯の充填完了から加圧ピンを前進させるまでの待ち時間のうち少なくとも1のパラメータを補正するストローク補正手段と、前記ストローク補正手段による補正結果に基づいて前記加圧ピンシリンダ制御油圧回路を制御する制御部を具備したことを特徴とするものである。 【0010】前記の加圧ピンの制御装置では、前記ストローク検出手段はアブソリュート式あるいはイクンリメンタル式の変位センサなどを用いることができるほか、加圧ピンシリンダに供給される圧油の流量を検出する流量カウンタと、この流量カウンタによって検出された流量を加圧ピンのストローク量に変換する手段とから構成できる。 【0011】また、本発明は、金型のキャビティ内に充填された溶湯に凝固直前に油圧シリンダにより加圧ピンを押し込んで鋳巣を減少または解消するようにした加圧鋳造機において、油圧供給源と、前記油圧供給源からの圧油の圧力を調整する圧力調整部と、前記圧力調整部で圧力調整された作動油の圧力を補償する圧力補償部と、前記圧力補償部で圧力調整された作動油の流量を調整する流量調整部と、前記流量調整部で流量を調整された作動油の方向を切り換る方向切換弁と、前記方向切換弁に接続され加圧ピンの進退動作を行う油圧シリンダとからなる加圧ピン油圧制御回路と、前記加圧ピンのストローク量を検出する手段と、この加圧ピンの位置に応じて、前記油圧シリンダの前進および動作時間を制御する制御装置を備えたことを特徴とするものである。 【0012】前記ストローク検出手段は、方向切換弁を通過した作動油の流量を所定の単位でカウントする流量カウンタを備え、この流量カウンタを加圧ピンの進退動作を行う油圧シリンダと、前記方向切換弁の間に接続し、前記流量カウンタによって計測した流量を、あらかじめ記憶した流量と加圧ピンの位置との対応関係データから加圧ピンの位置を間接的に計測するように構成することができる。 【0013】また、加圧ピン油圧制御回路は加圧鋳造機の中子シリンダ油圧回路とは独立して設けることが好ましい。 【0014】 【作用】まず、溶湯をキャビティに充填する前に無負荷の状態で加圧ピンのストロークSが計測され、計測した加圧ピンのストロークSからわずかに手前位置の所定の微小量αを減じた(S−α)がその鋳造サイクルでの加圧ピンの最適なストロークとして設定される。キャビティ内に溶湯が充填が開始され、所定の時間が経過すると、加圧ピンが前進してその実際のストロークSf が計測される。この加圧ピンのストローク検出値Sf と、設定ストロークS−αの値とは比較されて、加圧ピンのストロークが設定ストローク(S−α)になるように加圧ピンシリンダへ供給する圧油の圧力、流量または、溶湯の充填完了から加圧ピンを前進させるまでの待ち時間といった実際の加圧ピンのストロークを決定するパラメータの値が補正され、次回の鋳造サイクルからは、この補正されたパラメータに基づいて加圧ピン油圧制御回路が動作し、加圧ピンのストロークは、一定の設定値になるように制御される。 【0015】また、本発明では、金型を用いた加圧鋳造中の鋳物に対して、油圧シリンダによりスクイズピンを凝固直前に押込んで鋳巣を減少または解消すべく、凝固直前に押込んだ加圧ピンのストローク量を、流量カウンタなどによって計測した流量と、予め求めた加圧ピンの位置と流量との対応関係から間接的に計測し、加圧ピンの適正ストロークと比較し、加圧鋳造時のストロークが適正範囲に外れないように、加圧ピンの動作が制御される。 【0016】 【実施例】以下、本発明による加圧ピンの制御方法および制御装置の一実施例について添付の図面を参照して説明する。 【0017】図1は、加圧ピンの制御方法を実施するための装置の構成を示すブロック図である。符号10は加圧ピンを示す。この加圧ピン10は、加圧ピンシリンダ12のピストンロッド11に連結されるもので、駆動されたときにその先端は金型14を貫通してキャビティ13内に突出するようになっている。金型14は、図2に示されるように、ダイカストマシンの固定盤に取り付けてられた固定型16と、可動盤上に設置された可動型17とからなり、溶湯18は図示しない射出スリーブによって加圧充填される。 【0018】加圧ピンシリンダ12に圧油を供給する油圧源2は、タンク3、フィルタ4、油圧ポンプ5およびポンプモータ6を含んでいる。また、この油圧源2は、図示されないダイカストマシンの中子シリンダ用油圧回路と共用するようになっている。 【0019】圧油はこの油圧源2から電磁方向制御弁22を介して加圧ピンシリンダ12に導入される。電磁方向制御弁22は、その中立位置において、油圧源回路14から延出するパワーラインが接続されているPポートをブロックポジション、ポート23を加圧ピンシリンダ12のヘッド側のシリンダ室12aに連通するポートとし、加圧ピンシリンダ12のエンド側のシリンダ室12bに連通するポート24がタンクポートTに連通するように接続されている。ソレノイド22a、22bは、ダイカストマシンの制御盤26に接続されており、この制御盤26を通じてダイカストマシンの図示しない離型剤スプレーの動作と連動して電磁方向制御弁22が切り替わるように構成されている。 【0020】加圧ピンシリンダ12へ供給する圧油の圧力および流量を制御する加圧ピンシリンダ制御回路28は、アキュームレータ30、圧力補償弁31、比例電磁リリーフ弁32、比例電磁方向流量制御弁33、チェック弁34とから構成されている。 【0021】圧力補償弁31は、アキュームレータ30の下流に接続され、負荷圧力の変動を補償するとともに比例電磁リリーフ弁32によって制御される圧力の変動に対応させて、比例電磁方向流量制御弁33に導入される圧油の圧力を一定にするためのものである。比例電磁方向流量制御弁33を通って実際に加圧ピンシリンダ12へ供給する作動油の流量は、比例電磁方向流量制御弁33の開度を調整することによって制御される。この比例電磁方向流量制御弁33は、ソレノイド33aが付勢されると、入り口側の管路と出口側の管路が連通するようになっているととともに、後述されるマイクロプロセッサが組み込まれた制御部40によってアンプ35を介してソレノイド33aの励磁の度合いに応じて開度量が制御されるようになっている。 【0022】一方、比例電磁リリーフ弁32は、アンプ36を介して設定圧力に応じて励磁されるソレノイド32aを有しており、制御部40から圧力設定信号出力がアンプ36に与えられ、油圧回路の最大圧力が設定されるように構成されている。 【0023】次に、制御部40は、マイクロプロッセッサを搭載した中央処理装置41と、プログラムが格納されたROMおよびデータを随時読み書きできるRAMとを備えた主記憶装置42と、入力装置43ならびに出力装置44とを備えている。中央処理装置41は、入力装置43を介して、加圧ピンシリンダ12のストローク量を検出するストローク検出器45と、ダイカストマシンの制御盤26と、加圧ピンの制御に必要な所要の設定データを入力するためのキーボード46とが接続されている。 【0024】前記ストローク検出器45は、この実施例では、アブソリュート式の変位検出器で、差動変圧器を使用している。このアブソリュート式のストローク検出器45は、原点位置をセンサ自体で決定するために、あるストロークにおける出力値は常に一定となるものである。このストローク検出器45は、加圧ピンシリンダ12内に収納して設けることができる。 【0025】すなわち、図6に示すように、加圧ピンシリンダ12のシリンダヘッド80にコイル部82が固定され、ピストン83内部にコイル部82を覆うようにスリーブ状のコア81が内蔵されている。そして、ピストン83が動くと内蔵されたスリーブコア81もいっしょに動くため、コイル部82とスリーブコア81の位置関係がずれて、ピストン83の位置に応じた電圧を出力するようになっている。このピストン83と加圧ピン10は一体に連結されているために、ピストン83の位置を検出することによって、加圧ピン10のストロークを検出できる。 【0026】このようにアブソリュート式のストローク検出器45を内蔵した加圧ピンシリンダ12を用いることにより、ストローク検出センサ45専用のスペースを小さくすることができ、金型における加圧ピンユニットによる制約を最小限にすることができる。なお、ストローク検出器45としては、アブソリュート式に限るものではなく、インクリメンタル式のものを採用することもできる。 【0027】制御部40には、鋳造サイクルが開始されて離型剤のスプレー装置が作動したときに、スプレー作動信号が入力され、また、金型14のキャビティへの溶湯の充填が終了したときには、充填完了信号が入力されるようになっている。なお、溶湯の充填完了の検出には、図示しない射出プランジャーの押圧力の変化あるいは射出速度の低下を検出して充填完了信号を出力する公知の技術が適用される。 【0028】一方、出力装置44には、表示装置としてCRT47が接続されており、加圧ピン12の制御に必要な設定データをCRT47の画面に表示される指示に従ってキーボード46から入力することができ、また、鋳造サイクルの進行状況を表す各種データが表示されるようになっている。また、制御部40には、信号線50、51を介して流量制御弁34のアンプ35、比例電磁リリーフ弁33のアンプ36と接続されている。 【0029】次に、加圧ピンの制御方法について、図3のフローチャートを参照しながら、以下に説明する。まず、キーボート46から種々のデータ、すなわち、定数α、圧力P、流量Q、待ち時間T1、および押圧時間T2が入力される(ステップS1)。これらは、加圧ピン10の最適なストロークを決定するためのパラメータとして、入力されるデータである。定数αは、加圧ピン毎に鋳造条件に応じて予め定められた微小な定数である。ここで、所定の微小量αの値は、フルストロークの一歩手前の位置で加圧するためのストローク残存量に相当する値であって、加圧ピン10の径や金型の大きさに関係なく定まり、通常、2〜3mmの範囲内にある。本発明では、実際のストローク検出量Sf が、無負荷ストロークをSとして、設定値(S−α)に近づくか、または一致するように加圧ピン10の移動制御を行うことによって、巣の発生を抑制する。 【0030】図2において、加圧ピン10が無負荷の状態で最前進端まで前進するときの全ストロークをSとすると、中央処理装置41は、S−αのストローク量を最適なストロークとして算出するとともに、実際に前進したストロークの計測値であるストロークSf と比較し、その比較結果に基づいて、加圧ピン10についてのストローク検出量Sf が設定値(S−α)に漸近するように、圧力P、流量Q、待ち時間T1等ののパラメータを補正する。 【0031】圧力Pは、加圧ピンシリンダ12に供給される圧油の作動圧力であり、特に製品のワレに影響を与えるもので比例電磁リリーフ弁32によって設定される。流量Qは、加圧ピンで押えている位置よりも離れた位置にある鋳巣の減少または解消に大きな効果を与える。この流量Qは加圧ピンシリンダ12に供給する単位時間あたりの圧油の流量で、流量カウンタ25によって測定され、比例電磁方向流量制御弁33の開度を調整することによって設定されるようになっている。また、待ち時間T1は、加圧ピン10を凝固直前に押し込むタイミングをとるための時間であって、鋳物全体の密度に影響を与える。キャビティ13への溶湯充填完了の時点から、加圧ピン10が実際に前進を開始するまでの待ち時間を表している。押圧時間T2は、加圧ピン10の前進開始時を起算時点として、加圧ピン10がそれ以上前進しなくなり、その時点での位置を実測するまでの時間を表わしている。これらα、待ち時間T1、押圧時間T2は、過去の経験により得たデータおよび鋳造条件に応じてあらかじめ設定され、待ち時間T1、押圧時間T2については、制御部40が内蔵する図示しないタイマ手段によって計時されるようになっている。 【0032】次に、鋳造サイクルの開始とともに金型14が開かれ、図示しない離型剤スプレーによって、キャビティ成形面に離型剤が吹き付けられる。この離型剤の塗付と同時に、加圧ピンシリンダ12に圧油が供給される。また、この離型剤スプレーの作動信号は、ダイカストマシンの制御盤26から制御部40に出力されるので(ステップS2)、この信号を取り込んだ中央処理装置41は、無負荷でフルストロークを往復する加圧ピン10の前進全ストロークSをストローク検出器45を介して検出する。中央処理装置41は、ストローク検出器44の出力信号に基づいて加圧ピンシリンダ12の全ストロークSを演算し、その結果のデータを記憶装置42に記憶する(ステップS3)。 【0033】金型14のキャビティ13へ溶湯が充填され始め、やがて充填完了を知らせる充填完了信号がダイカストマシン制御盤26から制御装置40に与えられる(ステップS4)。この溶湯充填完了時点から図示しないタイマが作動して、第1の待ち時間T1時間が経過すると(ステップS5)、電磁方向制御弁22のソレノイド22aが付勢され、圧油が加圧ピンシリンダ12のヘッド側のシリンダ室12aに供給される。 【0034】これによって、凝固直前の溶湯を局部的に加圧すべく、加圧ピン10は前進を開始し、キャビティ13の溶湯への加圧が開始される。また、これと同時に加圧ピン10のストロークの計測が開始され、第2の待ち時間T1を計時するタイマが作動する(ステップS6)。加圧ピン10が時間T2が経過すると(ステップS7)、この時点でストローク検出器45を介して加圧ピン10が実際に進んだストロークSf が検出され、その計測値は記憶装置42に記憶される(ステップS8)。 【0035】このようして得られた加圧ピン10の検出ストロークSf は、設定ストローク(S−α)と比較される。この比較では、許容誤差βを考慮し、実際には、ストロークSf は設定ストローク(S−α)±βの範囲内にあるかどうかが判断され(ステップS9)、その判断結果に応じて次の処理が実行される。なお、検出ストロークSf 、設定ストローク(S−α)、許容誤差βの相対関係は図4に示す通りである。 【0036】ステップS10は、Sf <(S−α)−β 、すなわち加圧ピン10の押し込みが不十分であった場合の処理である。この場合は、加圧ピン10は、鋳造条件から最適な値として設定されたストローク(S−α)から許容誤差を引いた値(S−α)−βまで到達していないので、ストロークを増大させる必要がある。従って、次回の鋳造サイクルに際して加圧ピンシリンダ10のストロークを初期設定値(S−α)に近づけるため、作動油の圧力P、流量Q、あるいは溶湯の充填終了から加圧ピン10が前進し始めるまでの時間T1のうち、すくなくとも一つのパラメータについて、一定の微小量だけ加減する補正を行い、この補正値で次回のサイクルを行うため、これらのパラメータの再設定を行う。 【0037】その場合、圧力Pと流量Qについては、値を大きくするほど加圧ピン10の加圧力は増大し、また前進速度も大きくなるので、ストロークを増やすために、ΔP、ΔQが加算される。これとは逆に、充填開始から加圧ピンシリンダ12が作動し始めるまでの待機時間T1については、加圧ピン10のストロークを増大させるために、補正量ΔTは減算され、タイマの設定時間としてT1−ΔTのデータが記憶装置42に記憶される。この場合、補正されないパラメータ、例えば、ΔQとΔT1が加算される場合には、ΔPには0の値が設定される。なお、補正量ΔT1、ΔP、ΔQの値は、適宜鋳造条件に応じて経験的に決定される。このようにして、例えば、圧力PがP+ΔPに補正された場合には、次回の鋳造サイクルでは、補正値に対応する圧力設定信号が出力装置44を介してアンプ36に出力され、このアンプ出力によって比例電磁リリーフ弁33の設定圧力がP+ΔPに設定される。また、流量QがQ+ΔQに補正された場合も同様に、開度設定信号がアンプ35に出力され、このアンプ35の出力に比例した開度に比例電磁方向流量制御弁33が制御される。 【0038】一方、ステップS11は、Sf >(S−α)+β 、すなわち加圧ピン10を押し込みすぎた場合の処理である。この場合は、加圧ピン10の先端位置が設定ストローク(S−α)よりも実際には前進しすぎているので、次回以降の鋳造サイクルでは、ストロークを減少させる必要がある。従って、ステップS10とは反対に加圧ピンシリンダ12の作動油圧力P、流量Qについては、補正量ΔP、ΔQを減算し、加圧ピン10シリンダを作動させるまでの待機時間Tについては、ΔTだけ加算する。 【0039】なお、ステップS9で、(S−α)−β≦Sf ≦(S−α)+βが成立するときには、補正処理をする必要がなく、従って補正を実行することなく、今回のサイクルでの処理は終了し、次回のサイクルのスタート待ちとなる。 【0040】以上のようにして、加圧ピンのストロークは、鋳造サイクルを重ねるにつれて、学習により最適値に向かって修正されるので、結果的に巣の発生を効果的に防止して鋳造品の品質を向上させることができる。 【0041】以上説明した実施例は、単一の加圧ピン10についての制御について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、加圧ピン10を複数備えたダイカストマシンにも適用することができる。すなわち、加圧ピンごとに方向制御弁23を介して加圧ピンシリンダ12を油圧源20と接続し、アキュームレータ30の下流側で油圧配管を54、55を加圧ピンごとに分岐させ、それぞれに加圧ピンシリンダ制御回路28と同等の制御回路を設けることによって、複数の加圧ピンに対応することができる。このような複数の加圧ピンの場合でも、加圧ピンごとにその溶湯充填完了後のストロークを検出し、上述したフローチャートの処理に従って、ストローク検出値Sf と、設定ストローク(S−α)との比較結果に基づいて、それぞれ加圧ピンシリンダ12に供給される圧油の圧力P、流量Qまたは、溶湯の充填完了から加圧ピンが作動するまでの待ち時間T1、またはこれらのパラメータを組み合せて補正することによって、個々の加圧ピンごとにストロークを調整する必要なしに設定ストロークが自動的に調整されうる。 【0042】次に、本発明の他の実施例について図5を参照して説明する。 【0043】この図5の油圧回路図において、油圧供給源60は、第1実施例と同様にダイカストマシンの中子シリンダの油圧回路と共用される。この油圧源60は、ポンプモータ61によって駆動される油圧ポンプ62を備えている。フィルタ63を介してタンク65から吸い込まれた油は、油圧ポンプ62で加圧されて4ポート3位置の電磁方向制御弁66を介して加圧ピン10を駆動する加圧ピンシリンダ67に供給される。 【0044】この実施例では、ソレノイド66aを励磁してポートPとポートAが連通するように電磁方向制御弁66を切り換えると、パイロットチェック弁68を介して圧油が加圧ピンシリンダ67のエンド側のシリンダ室67aに供給されて加圧ピン10は前進する。ソレノイド66bを励磁してポートPとポートBとが連通すると加圧ピン10は復帰するようになっている。なお、前記パイロットチェック弁68は、加圧ピンシリンダ67のヘッド側のシリンダ室67bから戻る圧油をパイロット圧に導いているので、加圧ピン10の負荷が大きすぎるときは開いて、圧油がタンク側に放出される。 【0045】このような電磁方向制御弁66は、初期調整や、上述した第1実施例の場合と同じように、全ストロークSを計測するするため加圧ピン10を無負荷で進退させるときなどに加圧ピンシリンダ67の作動油の流れの方向を制御する場合に主として用いられ、凝固直前の溶湯を加圧ピン10によって局部加圧するときには、局部加圧のために専用に設けた加圧ピン油圧回路70によって、加圧ピン10に供給される圧油の圧力および流量が制御されるようになっている。 【0046】この加圧ピン油圧回路70は、油圧ポンプ62から供給される圧油を蓄圧するアキュームレータ71と、減圧弁72、圧力補償弁73、比例電磁方向流量制御弁74、比例電磁リリーフ弁75、逃し弁76などから構成されている。 【0047】アキュームレータ71には、フィルタ77を通って油圧ポンプ62から圧油が供給され、このアキュームレータ71で所定の圧力に加圧された圧油は、減圧弁72によって出口側が所定の圧力に調整され、また、圧油には、加圧ピン10の作動に伴う負荷の変動は比例電磁リリーフ弁73によって補償される。比例電磁式方向流量制御弁74は、作動油の方向を切り換えるとともに、流量を調整してそのソレノイドが励磁されたときに開いて、加圧ピンシリンダ67のエンド側のシリンダ室67aに圧油を供給する。 【0048】加圧ピンシリンダ67に供給する圧油の設定圧力は、比例電磁式リリーフ弁75によって、また、その圧油の流量は比例電磁式方向流量制御弁74によって設定、調整されることは、第1実施例と同様であるが、図5では、制御装置の詳細については、図示が省略されている。 【0049】なお、逃し弁76は、アキュームレータ71に蓄圧されている圧油をタンク側に放出するときに開く弁で、圧油はオリフィス79を介して減圧されてタンク側に導出される。 【0050】この実施例では、特に加圧ピンシリンダ67に供給される圧油の流量を所定の単位でカウントする流量カウンタ78が加圧ピンシリンダ67と電磁方向制御弁66の間に設けられている。圧油の流量には加圧ピン10のストロークが比例する関係があることから、この関係を利用して加圧ピン10の位置を間接的に計測するようになっている。なお、図5において、85は油圧ポンプ62の吐出圧力の上限を設定するリリーフ弁を示している。 【0051】以上の実施例の構成において、加圧ピン10を動作させる手順について説明する。まず、溶湯を射出スリーブに入れて射出すると、溶湯がキャビティに充填される。その時、射出シリンダの圧力が上昇するので、これが検知されて制御装置40へ送られる。制御装置40は、計測した加圧ピン10のストロークに応じて設定された待ち時間T1、押圧時間T2、流量Q、圧力Pに基づいて、比例電磁式方向流量制御弁74、比例電磁式リリーフ弁75を制御する。この流量Q、圧力Pは個々に独立して、または相互に制御することにより、加圧ピン10の発進のタイミングや、動作時間や、ストローク(位置)を制御することができる。 【0052】この加圧ピン10の制御としては、例えば、第1実施例と同様な制御が行われる。すなわち、プランジャチップが高速射出のリミットスイッチを踏むと、圧力補償弁73、減圧弁72の設定圧力に達した時点で待ち時間T1後に、比例電磁式方向流量制御弁74のソレノイドが励磁される。このとき、加圧ピンシリンダ67に供給される流量Qは、微細に制御され、鋳物に対して加圧ピン10に対してスクイズを行う。この時の流量カウンタのカウント値が加圧ピン10のストロークと比例するため、あらかじめ、カウント値とストロークとの対応関係のデータが記憶されており、制御装置の演算部は、このデータを参照してカウント値をストローク量に変換し、これにより凝固直前に押し込んだ加圧ピン10のストロークを間接的に計測できる。 【0053】この計測したストローク値と、加圧ピン10のストロークの適正値とが比較され、加圧ピン10が適正位置で停止した場合には、加圧ピン10を加圧状態に時間T2だけ保持した後、比例電磁式方向流量制御弁74が非励磁とされて、加圧ピン10は後退し、次の鋳造サイクルの射出開始まで待機する。 【0054】一方、加圧ピン10のストロークが適正値から外れた場合には、第1実施例と同様な補正処理が実行される。すなわち、加圧ピン10のストロークが適正値よりも短い場合は、そのストロークに比例させて、流量Qを多く、圧力Pを高くし、時間T1を短くする。スクイズピン10のストロークが適正値よりも長い場合は、流量Qを少なく、圧力Pを低くし、待ち時間T1を長くする。 【0055】こうして、流量Q、圧力P、待ち時間T1を補正し、次回の鋳造サイクル以降では、加圧ピン10のストロークが最適値に向かって学習により修正されるのは、第1実施例の場合と同様である。 【0056】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、加圧ピンのストローク検出値と、設定ストロークとの値を比較し、この比較の結果に応じて加圧ピンの作動油の圧力、流量などの加圧ピンのストロークを決定するパラメータを補正することにより、加圧ピンのストロークを予め設定する必要なしに鋳造サイクルを連続するにつれて学習により最適なストロークに制御されるので、加圧ピンによって溶湯の効果的な加圧が可能となり、引け巣の発生を防止して鋳造品の品質向上を達成することができる。また、複数の加圧ピンシリンダを備えた金型に本発明を適用することによって、それぞれの加圧ピンについて一つ一つストロークを設定する必要なしに、自動的に最適ストロークに制御される効果を奏するものである。 【0057】また、加圧ピンのストロークを変位センサなどの他、流量計を用いて計測することで、加圧ピンの動作を制御し、金型を用いた加圧鋳造中の鋳物に対して油圧シリンダにより加圧ピンを凝固直前に適切に押込んで鋳巣を減少または解消することができる。 【0058】さらに、加圧ピンを作動させる油圧回路を独立して制御することにより、鋳造機側の圧力変動を受けることなく、圧ピンを高精度に動作させることができる。
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