| 発明の名称 |
熱変位式Tダイ |
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| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平8−118455 |
| 公開日 |
平成8年(1996)5月14日 |
| 出願番号 |
特願平6−255419 |
| 出願日 |
平成6年(1994)10月20日 |
| 代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
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| 発明者 |
新 田 諭 / 脇 田 隆 一 |
| 要約 |
目的 ダイスリット間隙の初期調整を容易かつ正確にできるようにし、また、ダイスリット間隙の調整範囲の拡大と熱変位式アクチュエータによるダイスリット間隙の制御性の向上を達成する。
構成 一対のリップ22、23を可動リップとして構成し、一方の可動リップ22には手動操作式のダイボルト28を配置するとともに、他方の可動リップ23には熱変位式アクチュエータによる自動操作式のダイボルト30を配置し、手動操作式のダイボルト28の配列ピッチを自動操作式のダイボルト30の配列ピッチよりも小さく設定する。 |
特許請求の範囲
【請求項1】一対のリップによって形成されたダイスリット間隙をそれぞれリップの幅方向に複数個のダイボルトを押引して調整する熱変位式Tダイにおいて、前記一対のリップを可動リップとして構成し、一方の可動リップには手動操作式のダイボルトを配置するとともに、他方の可動リップには熱変位式アクチュエータによる自動操作式のダイボルトを配置し、前記手動操作式のダイボルトの配列ピッチを前記自動操作式のダイボルトの配列ピッチよりも小さく設定したことを特徴とする熱変位式Tダイ。 【請求項2】熱変位式アクチュエータは、加熱ヒータと、一端が金型の取付フランジに固定され、他端が可動リップから近づく側で自由端となり前記加熱ヒータを外周に密着したヒートスリーブを有する熱直動型アクチュエータからなり、前記ダイボルトは、前記ヒートスリーブの自由端側でロックナットにより固定的に締結されることを特徴とする請求項1に記載の熱変位式Tダイ。 【請求項3】熱変位式アクチュエータは、加熱ヒータと、一端が金型の取付フランジに固定され、他端が可動リップから離れる側で自由端となり前記加熱ヒータを外周に密着したヒートスリーブを有し、前記ヒートスリーブがダイボルトよりも熱膨張係数の大きな材料からなる熱差動型アクチュエータであり、前記ダイボルトは、前記ヒートスリーブの自由端側でロックナットにより固定的に締結されることを特徴とする請求項1に記載の熱変位式Tダイ。 【請求項4】前記ヒートスリーブは、前記金型の取付フランジの雌ねじに螺合する雄ねじ部を有し、この雄ねじ部に前記取付フランジの両面側からそれぞれナットを締結して前記ヒートスリーブを位置決め固定することを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の熱変位式Tダイ。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、フィルム、シート等の押出成形機で用いられる熱変位式Tダイに係り、特に、ダイボルトの熱膨張収縮を利用してリップの間に形成するダイスリット間隙を調整する熱変位式Tダイの改良に関する。 【0002】 【従来の技術】この種のTダイでは、一対のリップとしては、一方が固定リップ、他方が可動リップとされている。ダイボルトは、固定リップと可撓リップとの間に形成されるダイスリット間隙の調整を行うために可撓リップに連結され、このダイボルトでダイスリット間隙を調整し成形するフィルム等の厚さの調整をしている。従来のTダイでは、手動式でダイボルトを操作するものの他、熱変位式アクチュエータの熱膨張、熱収縮を制御し、ダイスリット間隙を自動制御するようにしたものが知られている(例えば、実公平5−40993号公報参照)。 【0003】そこで、図5に、熱変位式アクチュエータとして熱差動型のものを利用した従来のTダイを示す。Aダイ本体60と、Bダイ本体61の先端にはそれぞれ可撓リップ62と固定リップ63が形成されており、この可撓リップ62と固定リップ63とが対向する面によってダイスリット間隙64が形成されている。 【0004】可撓リップ62を有するAダイ本体60には、可撓リップ62の上に取付フランジ65が突き出るようになっており、この取付フランジ65に全体を参照番号66で示す熱差動型アクチュエータの一端がねじによって固定されている。この熱差動型アクチュエータ66は、ダイボルト67が同軸的に挿通されているヒートスリーブ68と、このヒートスリーブ68の外周面に密着するようにして嵌装される温度調整可能なヒータ69とから基本的に構成されるものである。この場合、押一方型として構成され、ダイボルト67の先端は、ヒートスリーブ68との相対移動を案内するためのガイド71を貫通して可撓リップ62に当接している。また、ダイボルト67には、その末端部に調節ねじ70が連結されており、この連結ねじ70をヒートスリーブ68の自由端側端部に螺合してダイボルト67による押圧力を手動操作で初期設定できるようになっている。ダイボルト67の材質には、低熱膨張鋳鉄や炭化けい素などのエンジニアリングセラミックス系のものが用いられ、これに対してヒートスリーブ68、調整ねじ70は鋼系の材料が使用され、ヒートスリーブ68に熱膨張率のより大きな材料が用いられている。 【0005】この熱差動型のアクチュエータでは、ダイボルト67とヒートスリーブ68とで熱膨張率に差のある材料が用いられているので、ヒートスリーブ68は、加熱によってその自由端側が上方に伸長する。一方、ダイボルト67は低熱膨張鋳鉄やセラミックス等を材質とするため、熱膨張量はヒートスリーブ68に比べると小さい。この熱膨張量の差によって、ダイボルト67は、その末端部のフランジ上面と調整ねじ70の下面が上方に移動するので、可撓リップ62に対する押付荷重が減少してダイスリット間隙64を広くすることができる。逆にヒートスリーブ68を冷却すると、ダイボルト67に較べてヒートスリーブ68は大きく収縮するので、相対的にダイボルト67は可撓リップ62を押し下げるような作用を加え、ダイスリット間隙64は狭くなる。 【0006】従って、押出されたフィルム等の厚さを測定する検出器として、赤外線等の厚さ計をTダイの下流側に設け、この厚さ計によって検出した測定結果に基づいてヒートスリーブ68を加熱するヒータ69の温度を制御することによって、フィルムの厚さを一定に自動制御することができる。 【0007】最近の熱変位式の自動Tダイには、図5の押一方型の他にも、可撓リップを押し引き両方の方向に変位させるようにした押引型の熱変位アクチュエータを備えたものや、従来、固定リップとされた側のリップについても、その全幅あるいはその一部をフレキシブルな構造として、熱変位型アクチュエータを用いて自動式にダイスリット間隙を調整できるような機構を備えた自動Tダイが実用化されるに至っている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱変位式のアクチュエータを利用したダイスリット間隙の調整の場合、操作量が少なく熱伸縮量は小さいので、調整範囲が狭いという問題点が指摘されている。このため、特に、ダイスリット間隙の初期設定の操作が繁雑であった。また、特に押引両域にわたって可撓リップを操作する場合、ダイボルトとヒータスリーブに噛み合うねじ部の間のバックラッシュに起因してヒータの温度が加熱側と冷却側をまたがって変化するときに不感帯を通過しなければならず、制御性が大きく低下するということが課題として残されている。 【0009】そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、ダイスリット間隙の初期調整を容易かつ正確にできるようにし、これに加えてダイスリット間隙の調整範囲の拡大と熱変位式アクチュエータによるダイスリット間隙の制御性の向上を達成するようにした熱変位式Tダイを提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するために、本発明は、一対のリップによって形成されたダイスリット間隙をそれぞれリップの幅方向に複数個のダイボルトを押引して調整する熱変位式Tダイにおいて、前記一対のリップを可動リップとして構成し、一方の可動リップには手動操作式のダイボルトを配置するとともに、他方の可動リップには熱変位式アクチュエータによる自動操作式のダイボルトを配置し、前記手動操作式のダイボルトの配列ピッチを前記自動操作式のダイボルトの配列ピッチよりも小さく設定したことを特徴とするものである。 【0011】前記の熱変位式アクチュエータとしては、加熱ヒータと、一端が金型の取付フランジに固定され、他端が可動リップから近づく側で自由端となり前記加熱ヒータを外周に密着したヒートスリーブを有する熱直動型アクチュエータを用いることができ、前記ダイボルトは、前記ヒートスリーブの自由端側でロックナットにより固定的に締結されることが好ましい。 【0012】また、前記熱変位式アクチュエータは、加熱ヒータと、一端が金型の取付フランジに固定され、他端が可動リップから離れる側で自由端となり前記加熱ヒータを外周に密着したヒートスリーブを有し、前記ヒートスリーブがダイボルトよりも熱膨張係数の大きな材料からなる熱差動型アクチュエータを用いることができ、前記ダイボルトは、前記ヒートスリーブの自由端側でロックナットにより固定的に締結される。 【0013】さらに、前記ヒートスリーブは、前記金型の取付フランジの雌ねじに螺合する雄ねじ部を有し、この雄ねじ部に前記取付フランジの両面側からそれぞれナットを締結して前記ヒートスリーブを位置決め固定することが好ましい。 【0014】 【作用】本発明によれば、手動操作式のダイボルトと熱変位型アクチュエータによる自動操作式のダイボルトを併用して、ダイスリット間隙の初期調整は手動式ダイボルトにより行い、押出機の自動運転中は、ダイスリット間隙を熱変位式のアクチュエータにより自動調整して厚さプロファイルが制御される。手動操作式ダイボルトによってダイスリット間隙の初期調整をする場合は、ダイボルトからは大きな操作力が可撓リップに作用し、これに加えて、配列ピッチを小さく設定しているので、可撓リップを相応に変形でき、調整範囲を広くすることができる。 【0015】また、ヒートスリーブとダイボルトの間の締結にロックナットを付加することによって、バックラッシュをなくすことができる。このバックラッシュをなくすことで、ヒータ温度の加熱側と冷却側にまたがる不感帯がなくなり、ヒートスリーブの伸縮量に対して可撓リップの変位量が線形的に変化し、制御性が向上する。 【0016】 【実施例】以下、本発明による熱変位式Tダイの一実施例について添付の図面を参照して説明する。図1は、2軸延伸フィルム成形用の熱変位式自動Tダイに適用した実施例の構成を示した断面図である。押出成形機の備えるTダイは、第1のダイ本体20と第2のダイ本体21とが固定され、そのリップは両ダイ本体20、21とも可撓性が付与された構造のリップとなっており、それぞれの下方先端に突出するようにしてダイスリットを形成する第1の可撓リップ22と、第2の可撓リップ23が設けられている。この一対の第1可撓リップ22、第2可撓リップ23のそれぞれの相対する対向面によって、溶融樹脂が通るダイスリット間隙24が形成されている。樹脂は、リップ間隙24から押し出されることで、フィルム状に成形され、第1ダイ本体20、第2ダイ本体21の下流に配設されているロール対25、26の間に押し出され、このロール対25、26に挟持されて連続的に引き出されるようになっている。 【0017】ダイスリット間隙24を調整するためのダイボルトとしては、第1ダイ本体20には手動操作式のダイボルト28が使用され、第2ダイ本体21には、熱変位式のアクチュエータにより自動操作されるダイボルト30が用いられている。 【0018】手動操作のダイボルト28は、第1ダイ本体20側の可撓リップ22に沿って金型幅方向に所定数設けられるもので、その金型幅方向の配列ピッチは第2ダイ本体21側の可撓リップ23に対して配設される熱変位式のダイボルト30の配列ピッチに較べて小さく設定しており、例えば、手動操作式のダイボルト28、28、…の配列ピッチは、金型幅が1300mmのTダイの場合、20mm、これに対して第2ダイボルトの配列ピッチは30mmというように手動操作式のダイボルト28の配列ピッチが熱変位式のダイボルト30の配列ピッチに較べて小さく、従って、ダイボルト28はより狭い間隔で配列されている。 【0019】手動操作式のダイボルト28は、押引形のもので、その先端部に雄ねじ部33が形成され、この雄ねじ部33を可撓リップ22にねじ込んだ後で、ロットナット34を用いてこれを締め付けることで可撓リップ22に接合されている。また、第1ダイ本体20には、雌ねじが切られている支持部31が設けられ、この支持部31に、手動操作式のダイボルト28の外周の雄ねじ部32が螺着するようになっている。従って、ダイボルト28のボルト頭35を工具を用いて手動で回すことによって、ダイボルト28を前進または後退させて、可撓リップ22を押引できるように構成されている。 【0020】一方、自動操作式のダイボルト30は、押引型でその先端には可撓リップ23に螺着する雄ねじ部40が形成されており、この雄ねじ部40にロックナット41を締め付けて強固に可撓リップ23と接合されている。 【0021】この実施例では、ダイボルト30を介して可撓リップ23を押引する熱変位式アクチュエータとしては、熱直動型のアクチュエータが用いられている。この熱直動型のアクチュエータは、ヒートスリーブ42と、このヒートスリーブ42の外側に密着して嵌挿されているスリーブ加熱用ヒータ44とから構成されるもので、ダイボルト30は、ヒートスリーブ42に同軸的に挿入され、ヒートスリーブ42の自由端側の雌めじに雄ねじ部40で螺合する。また、特に、ヒートスリーブ42とは、ロックナット45を用いて弛まないように締結固定されている。 【0022】一方、ヒートスリーブ42の固定端側では、第2ダイ本体21から突き出た取付フランジ37の雌ねじに螺合する雄ねじ部38が形成されていて、取付フランジ37の両側から第1操作ナット46、第2操作ナット47で締め付けて固定されている。この第1操作ナット46、第2操作ナット47は、ロックナットとして用いられる他、手動操作によってダイボルト30を押し引きする操作にも使用される。 【0023】このような熱変位アクチュエータでは、ヒータ44によりヒートスリーブ42を加熱すると、ヒートスリーブ42の熱膨張とともにダイボルト30は、可撓リップ23を押圧してダイスリット間隙24を狭くする。逆に、ヒートスリーブ42を冷却すれば、ダイスリット間隙24を広くすることができる。 【0024】一方、手動操作により可撓リップ23を押す方向に調整するには、まず第2操作ナット47を予め緩めておいておき、第1操作ナット46を締めていくと、ヒートスリーブ42は可撓リップ23側に変位するので、このヒートスリーブと結合している第2ダイボルトで可撓リップ23を徐々に押し付けることができる。逆に、可撓リップ23を引く方向に調整するには、まず第1操作ナット46を緩めておいてから第2操作ナット47を締め付けていくと、ヒートスリーブ42が可撓リップ23から離れる方向に変位するので可撓リップ23を引き側に調整できる。 【0025】本実施例は、以上のように構成されるものであり、次に、押出機の自動運転との関連においてその作用について説明する。まず、ダイスリット間隙24を初期設定するときのダイボルトの操作について説明する。この初期設定は、自動操作式のダイボルト30については固定しておいて、主として手動操作式のダイボルト28を用いて行う。従って、可撓リップ23側では、ヒートスリーブ42の位置を決めておくため、第1操作ナット46、第2操作ナット47をそれぞれ締め付けてから、ロックナット45を締めてヒートスリーブ42とダイボルト30の相対的位置がずれないようにロックしておく。 【0026】次に、可撓リップ22を押引してダイスリット間隙24を調整する。この場合、工具を用いて手動式のダイボルト28を回しながら、ダイスリット間隙24を所定の間隔に調整する。このようにして行うダイスリット間隙24の調整の場合は、手動式のダイボルト28からは大きな操作力を可撓リップ22に与えることができ、前述したように、配列ピッチを小さく設定しているので、ダイスリット間隙24の調整を広い範囲にわたって簡易に行うことができる。 【0027】こうしてダイスリット間隙24を初期調整した後で、成形運転に入ることになる。押出し成形されたフィルムの厚さプロファイルは、フィルムの全幅方向に亘って厚さ計によって検出され、また、ヒータ44により加熱されるヒートスリーブ42の温度も同時に検出される。検出された厚さプロファイルは、あらかじめ記憶されている目標プロファイルと比較され、その厚さむらが算出される。自動制御モードによる運転では、厚さプロファイルが基準範囲に入るように加熱するヒータ44を制御するフィードバック制御が実行され、このヒータ温度の制御を通じてヒートスリーブ42の熱伸縮量を調整しながらダイボルト30で可撓リップ23を押し引きしてダイスリット間隙24を調整する。このような自動制御モードによる運転は、プロファイル成形開始と同時に行われる。フィルムの厚さむらが所定の基準値より小さい場合には、自動制御モードのまま生産運転に移行する。 【0028】これに対して、厚さむらが基準値よりも大きい場合には、運転モードを手動運転モードに切り替えてから、手動操作側のダイボルト28を前述した初期設定の場合と同じように手動で操作することによって、ダイスリット間隙24の大きさを調整する。これは熱変位式アクチュエータによるリップ変位量は基本的に小さいので、操作量の大きな手動操作のダイボルト28でその調整を補うためである。調整後、厚さむらが改善されたのを確認してから、自動運転モードの生産運転に移行する。 【0029】こうして自動運転モードを継続していくと、運転状況によっては熱変位式アクチュエータによって自動操作されるダイボルト30では、それまでの押しから引きに転じようとする。 【0030】この場合、ダイボルト30のねじ部40と、ヒートスリーブ42の雌ねじ部との間にはバックラッシュが存在し、このバックラッシュによって、本来、温度変化によるヒートスリーブ42の変位量に対しては比例関係にある可撓リップ23の変位量がバックラッシュの隙間分だけ減少する。図2は、バックラッシュが存在するときのヒータ44の温度の変化量と可撓リップ23の変位量の関係を例示したグラフで、ある範囲ではヒータ44の温度が変化しても、そのヒートスリーブ42の変位量はバックラッシュに相殺されて可撓リップ23の変位量に直結しない。この図2では可撓リップ23の変位量が零の領域がバックラッシュ域に相当している。このバックラッシュ域は、ヒータ温度の加熱側と冷却側との境い目をまたがるようにして存在し、結局、全体としてリップ変位量は少なくなる。 【0031】これを防止するために、ロックナット45を締め付けてロックしておくと、ダイボルト30とヒートスリーブ42の間のねじ接合部のバックラッシュは、ロックナット45によって、完全に殺されているためにバックラッシュ域にあたる不感帯に陥ることなく、例えば、図3に示す如くにスムーズな連続線形制御を続けることができる。 【0032】なお、自動運転中に、例えば、樹脂の特性変化等の外乱に起因して、フィルムの厚さプロファイルが上下限許容値に到達した場合には、警報が発せられると同時に必要に応じて手動操作側のダイボルト28の最適操作量を算定、表示するようにすることもできる。 【0033】このときオペレータは、その表示を見ながら、手動側のダイボルト28を操作して迅速に対応することができる。 【0034】次に、図4は、第2の実施例を示した図である。この実施例では、第1実施例と同様に第1ダイ本体20に取付けたダイボルト28には手動式のダイボルトが配列されている。第2ダイ本体21側に配列するダイボルト30を介して可撓リップ23を押引する熱変位アクチュエータとしては、熱差動型のアクチュエータが用いられている。ダイボルト28の配列ピッチがダイボルト30の配列ピッチに較べて小さくなっているのは、前記第1実施例と同様である。 【0035】熱差動型のアクチュエータは、ヒートスリーブ51と、このヒートスリーブ51の外側に密着させて嵌挿されているスリーブ用ヒータ52とから構成されるもので、ダイボルト30は、ヒートスリーブ51に同軸的に挿入され、先端部で雄ねじ部53を介して可撓リップ23にロックナット54を用いてねじ接合されている。ダイボルト30の他端側はヒートスリーブ51の自由端側でねじ部58で螺合するとともにロックナット59により弛まないようにヒートスリーブ51に固定されている。このロックナット59を締め付けた場合には、第1実施例と同様に雄ねじ部58のバックラッシュを殺してダイボルト30をヒートスリーブ51に締結する作用をする。 【0036】一方、ヒートスリーブ51の固定端側では、第2ダイ本体の取付フランジ50の雌ねじに螺合する雄ねじ部73が形成されていて、取付フランジ50の両側から第1操作ナット56、第2操作ナット57で締め付けて固定されている。この第1操作ナット56、第2操作ナット57は、ロックナットとして用いられる他、初期設定時等にヒートスリーブ51の位置を決めるために押引する操作にも使用される。すなわち、手動操作で可撓リップ23を押す方向に調整するには、まず第2操作ナット57を予め緩めておいておき、第1操作ナット56を締めていくと、ヒートスリーブ51は可撓リップ23側に変位するので、このヒートスリーブ51と結合しているダイボルト30で可撓リップ23を徐々に押し付けることができる。逆に、可撓リップ23を引く方向に調整するには、まず第1操作ナット56を緩めておいてから第2操作ナット57を締め付けていくと、ヒートスリーブ51が可撓リップ23から離れる方向に変位するので可撓リップ23を引き側に調整できる。 【0037】この熱差動型アクチュエータでは、ダイボルト30とヒートスリーブ51とでは、熱膨張率に差のある材料が用いられている。ヒートスリーブ51の材質には、ステンレス材が用いられている。一方、ダイボルトは低熱膨張鋳鉄やセラミックス等を材質に用い、熱膨張量をヒートスリーブ51に比べると小さくなるようにしている。 【0038】この熱膨張量の差によって、ヒートスリーブ51が加熱されるとヒートスリーブ51の伸びに較べてダイボルト30の伸びが小さいので、ヒートスリーブ51がダイボルト30を引く結果、可撓リップ23に対する押付荷重が減少し、ダイスリット間隙24を広くすることができる。 【0039】逆にヒートスリーブ51を冷却すると、ダイボルト30に較べてヒートスリーブ51は大きく収縮するので、ダイボルト30が可撓リップ23を押し下げ、ダイスリット間隔24は狭くなる。 【0040】以上のように構成される実施例では、手動操作のダイボルト28でダイスリット間隙24の初期調整をし、熱差動型のアクチュエータにより厚さプロファイル自動制する自動御運転を第1実施例と同様にして実施する。 【0041】また、自動運転中は、ロックナット56によりダイボルト30とヒートスリーブ51のねじ接合部のバックラッシュをなくしているので、可撓リップ23の変化をヒートスリーブ51の温度変化に線形的に追従させることができるのも第1実施例と同様である。 【0042】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、前記一対のリップを可動リップとして構成し、一方の可動リップには手動操作式のダイボルトを配置するとともに、他方の可動リップには熱変位式アクチュエータによる自動操作式のダイボルトを配置し、前記手動操作式のダイボルトの配列ピッチを前記自動操作式のダイボルトの配列ピッチよりも小さく設定しているので、ダイスリット間隙の初期調整は、手動操作式のダイボルトを用いて操作性良く広い範囲に亘って調整することができ、一方、自動運転中の厚さプロファイルの制御は、熱変位式アクチュエータによりダイスリット間隙を自動調整し、また、運転状況に応じて手動操作式のダイボルトを用いてダイスリット間隙を調整し熱変位式アクチュエータによる調整を補うこともできる。 【0043】また、熱変位式アクチュエータでは、ヒートスリーブとダイボルトとのねじ接合部をロックナットで固定することによって、バックラッシュをなくすことができるので、ダイボルトが押しから引きに、あるいは引きから押しに転じるときの不感帯域がなくなり、可撓リップ変位の制御性を一層高めることができる。
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