| 発明の名称 |
バイト工具による主軸回転角制御式切削加工方法 |
|
| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平8−118101 |
| 公開日 |
平成8年(1996)5月14日 |
| 出願番号 |
特願平6−255553 |
| 出願日 |
平成6年(1994)10月20日 |
| 代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外3名)
|
| 発明者 |
伊達 隆夫 / 河野 真 / 覚張 勝治 / 荒木 正文 |
| 要約 |
目的 バイト半径に関係なく一本のバイト工具により任意の前すくい角をもって任意の内径の穴加工、任意の外径の外周面加工などを行うこと。
構成 自身の中心軸線周りの回転角を定量的に制御可能な主軸51にバイト工具50を取り付け、主軸中心Csの被加工物に対する相対的な移動軌跡Lが切削すべき形状に適合し、且つ所定の前すくい角βが設定されるべく主軸51と被加工物とを軸制御により少なくとも主軸51の回転軸線に直交する平面に沿って相対変位させて主軸と被加工物との間に相互補間運動を行わせ、主軸51の回転角を前記軸制御に対して所定の相関関係をもって同期制御することにより主軸50の全回転角位置にて被加工物の加工面に対するバイト工具50の刃先方向を所定の前すくい角βをもって所定の方向に保ち、前記相互補間運動による補間軌跡により決まる形状に切削する。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 自身の中心軸線周りの回転角を定量的に制御可能な主軸にバイト工具を取り付け、主軸中心の被加工物に対する相対的な移動軌跡が切削すべき形状に適合し、且つ所定の前すくい角が設定されるべく主軸と被加工物とを軸制御により少なくとも前記主軸の回転軸線に直交する平面に沿って相対変位させて主軸と被加工物との間に相互補間運動を行わせ、前記主軸の回転角を前記軸制御に対して所定の相関関係をもって同期制御することにより主軸の全回転角位置にて被加工物の加工面に対するバイト工具の刃先方向を所定の前すくい角をもって所定の方向に保ち、前記相互補間運動による補間軌跡により決まる形状に切削することを特徴とするバイト工具による主軸回転角制御式切削加工方法。 【請求項2】 前記バイト工具として被加工物に実質的に点接触するシングルポイントバイト工具を使用することを特徴とする請求項1に記載のバイト工具による主軸回転角制御式切削加工方法。
|
発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、バイト工具による切削加工方法に関し、特に同時多軸制御機能を有するNC工作機械などによる切削加工に使用するバイト工具による主軸回転角制御式の切削加工方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、ボーリング工具などのバイト工具による切削加工は、バイト工具を主軸に装着し、主軸の回転数を制御して主軸を軸線方向、即ちZ軸方向へ移動させることにより、ワークテーブル上に位置決め配置されている被加工物に対してバイト工具によって工具固有のバイト半径の穴加工を行う。この切削加工は、ボーリング加工と云われ、バイト工具のバイト半径により一義的に決まる内径のストレート穴の加工に限定される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来のバイト工具による切削加工は、バイト工具を単に回転させるだけの単純な主軸回転式切削加工であり、この切削加工においては、ストレート穴の加工に限定され、しかもバイト工具のバイト半径により加工穴径が一義的に決まるため、加工穴径毎に所要のバイト半径を有するバイト工具を準備し、また加工穴径の変更の度に主軸に装着するバイト工具を加工穴径に適合するバイト工具に交換する必要がある。 【0004】またバイト工具の前すくい角はチップ形状、バイト工具の主軸に対する取付角度等によって機械的に決まるから、加工穴径が同じであっても、被削材の種類などに応じて前すくい角を変更する場合には、工具交換、工具取付角変更などを行う必要がある。 【0005】本発明は、上述の如き問題点に着目してなされたものであり、バイト半径に関係なく一本のバイト工具により任意の内径の穴加工、任意の外径の外周面加工、その他、テーパ加工、球面加工、多角形加工、ねじ切り加工などを行うことができ、しかも工具交換、工具取付角変更を必要とすることなく前すくい角を任意に変更することができるバイト工具による新規な切削加工方法を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】上述の如き目的を本発明によれば、自身の中心軸線周りの回転角を定量的に制御可能な主軸にバイト工具を取り付け、主軸中心の被加工物に対する相対的な移動軌跡が切削すべき形状に適合し、且つ所定の前すくい角が設定されるべく主軸と被加工物とを軸制御により少なくとも前記主軸の回転軸線に直交する平面に沿って相対変位させて主軸と被加工物との間に相互補間運動を行わせ、前記主軸の回転角を前記軸制御に対して所定の相関関係をもって同期制御することにより主軸の全回転角位置にて被加工物の加工面に対するバイト工具の刃先方向を所定の前すくい角をもって所定の方向に保ち、前記相互補間運動による補間軌跡により決まる形状に切削することを特徴とするバイト工具による主軸回転角制御式の切削加工方法によって達成される。 【0007】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法は、前記バイト工具として被加工物に実質的に点接触するシングルポイントバイト工具を使用することを詳細な特徴としている。 【0008】 【作用】上述の如き構成によれば、主軸と被加工物との相対的な軸制御により主軸と被加工物との間に相互補間運動が行われつつ軸制御に対する主軸の回転角の同期制御によって主軸の全回転角位置にて被加工物の加工面に対するバイト工具の刃先方向が所定の前すくい角をもって所定値に保たれ、相互補間運動による補間軌跡により決まる形状に所定の前すくい角をもって切削が行われる。 【0009】バイト工具としてシングルポイントバイト工具を使用することにより、総形バイト工具による場合に比して切削抵抗が小さく、このことにより軸制御による相互補間運動の速度、即ち切削速度を速めることが可能になる。 【0010】 【実施例】以下に本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。 【0011】図1は本発明による主軸回転角制御式切削加工方法による切削加工の原理を内周面加工に適用した例を示している。 【0012】バイト工具50は自身の中心軸線周りの回転角を定量的に制御可能な主軸51に取り付けられ、主軸中心Csの被加工物Wに対する相対的な移動軌跡が切削すべき形状に適合したものになるように主軸51と被加工物Wとを軸制御、この場合、X軸制御とY軸制御とにより主軸51の回転軸線に直交する平面に沿って相対変位させて主軸51と被加工物Wとの間に真円の相互補間運動を行わせ、主軸51の回転角をX軸制御とY軸制御とに対して所定の相関関係をもって同期制御することにより、主軸51の全回転角位置にて被加工物Wの内周面に対するバイト工具50の刃先方向を所定の方向に保ち、換言すれば前すくい角βを一定に保ち、前記相互補間運動による補間軌跡(主軸中心軌跡)Lにより決まる形状、即ち真円の横断面形状に切削する。 【0013】なお、図1において、符号a、b、cは各々主軸51が符号A、B、Cにより示されて各回転角位置に位置している時の主軸中心Csの位置を示しており、これらは補間軌跡L上にある。 【0014】ここで、バイト工具50のバイト半径をTr、被加工物Wの加工半径R、前すくい角βを90度とすると、R>Trの前提条件の下に、主軸中心Csと被加工物Wの中心CwとはR−Trだけ偏心しており、補間軌跡Lは、R−Trを半径とし、被加工物Wの中心Cwと同心の真円となる。 【0015】なお、ここで云う前すくい角β=90度とは、便宜上、X軸を原線とする被加工物中心Cw周りの角度θで見て、バイト工具50の刃先と被加工物Wとの接触位置の角度と、補間軌跡L上にて主軸中心Csが位置している位置の角度とが同じことを云う。 【0016】この場合、補間軌跡Lが真円を描くべく、X軸制御とY軸制御の座標値は、被加工物中心Cw周りの角度を媒体変数として、相互に90度の位相差を有する三角関数式により与えられ、補間軌跡Lの半径は、前すくい角βを一定とした場合、被加工物Wの加工半径Rに応じて変化する。換言すれば、補間軌跡Lの半径に応じて一つのバイト工具50によって、R>Trの限定範囲で、任意の加工半径Rの内周面加工が行われることになる。 【0017】つぎに、所定の加工半径Rによる内周面加工において、バイト工具の前すくい角βを変化させる方法を図2(a)、(b)を参照して説明する。なお、図2(a)は前すくい角βを90度よりΔβだけ増加した場合を、図2(b)は前すくい角βを90度よりΔβだけ減少した場合を各々示している。 【0018】加工半径Rを一定として、前すくい角βを90度より増加あるいは低減する場合には、X軸を原線とする被加工物中心Cw周りの角度θで見て、バイト工具50の刃先と被加工物Wとの接触位置の角度に対して補間軌跡L上にて主軸中心Csが位置している位置の角度を、前すくい角βの90度よりの増減量Δβに応じた角度Δθだけ進み側あるいは遅れ側に変化させる。 【0019】この角度変化により、バイト工具50の有効バイト半径が低減するから、前すくい角βの90度よりの増減量Δβに応じて補間軌跡Lの半径を増大させる。 【0020】これによりバイト半径に関係なく一本のバイト工具50により任意の内径の穴加工を行うことができた上で、工具交換、工具取付角変更を必要とすることなく前すくい角βを任意に変更することができる。 【0021】図3は本発明による主軸回転角制御式切削加工方法による切削加工の原理を外周面加工に適用した例を示している。なお、図3において図1に対応する部分は図1に付した符号と同一の符号を付けてその説明を省略する。 【0022】この場合も、X軸制御とY軸制御とにより主軸51の回転軸線に直交する平面に沿って相対変位させて主軸51と被加工物Wとの間に真円の相互補間運動を行わせ、主軸51の回転角をX軸制御とY軸制御とに対して所定の相関関係をもって同期制御することにより、主軸51の全回転角位置にて被加工物Wの外周面に対するバイト工具50の刃先方向を所定の方向に保ち、換言すれば前すくい角βを一定に保ち、前記相互補間運動による補間軌跡Lにより決まる形状、即ち真円の横断面形状に切削する。 【0023】この場合も、補間軌跡Lが真円を描くべく、X軸制御とY軸制御の座標値は、被加工物中心Cw周りの角度を媒体変数として、相互に90度の位相差を有する三角関数式により与えられ、補間軌跡Lの半径は、前すくい角βを一定とした場合、被加工物Wの加工半径Rに応じて変化する。換言すれば、補間軌跡Lの半径に応じて一つのバイト工具50によって、任意の加工半径Rの外周面加工が行われることになる。 【0024】なお、外周面加工の場合、補間軌跡Lの半径は被加工物Wの半径より大きくても、小さくてもよく、この両者に拘束関係はなく、図3に示されているように、主軸中心Csが被加工物Wの外周面より外側にある場合以外に、図4に示されているように、主軸中心Csが被加工物Wの外周面より内側にある場合が考えられる。 【0025】つぎに、所定の加工半径Rによる外周面加工において、バイト工具の前すくい角βを変化させる方法を図5(a)、(b)を参照して説明する。なお、図5(a)は前すくい角βを90度よりΔβだけ増加した場合を、図5(b)は前すくい角βを90度よりΔβだけ減少した場合を各々示している。 【0026】加工半径Rを一定として、前すくい角βを90度より増加あるいは低減する場合には、上述の内周面加工と同様に、X軸を原線とする被加工物中心Cw周りの角度θで見て、バイト工具50の刃先と被加工物Wとの接触位置の角度に対して補間軌跡L上にて主軸中心Csが位置している位置の角度を、前すくい角βの90度より増減量Δβに応じた角度Δθだけ進み側あるいは遅れ側に変化させる。 【0027】この角度変化により、バイト工具50の有効バイト半径が低減するから、前すくい角βの90度よりの増減量Δβに応じて補間軌跡Lの半径を減少(主軸中心Csが被加工物の外周面より外側にある場合)あるいは増大(主軸中心Csが被加工物の外周面より内側にある場合)する。 【0028】これによりバイト半径に関係なく一本のバイト工具50により任意の外径の外周面加工を行うことができた上で、工具交換、工具取付角変更を必要とすることなく前すくい角βを任意に変更することができる。 【0029】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法で使用されるバイト工具50はシングルポイントバイト工具であってよい。ここで云うシングルポイントバイト工具は、被加工物に実質的に点接触する形式のバイト工具、換言すれば非総形のバイト工具の総称であり、これには、穴ぐりバイト、中ぐりバイト、突切りバイト、ねじ切りバイト、丸こまバイト、旋削バイトなどがある。 【0030】図6は本発明による主軸回転角制御式切削加工方法の実施に使用するNC工作機械の一例を示している。NC工作機械は、ベッド1と、ベッド1上にY軸方向に移動可能に設けられてY軸テーブル3と、Y軸テーブル3上にX軸方向に移動可能に設けられてX軸テーブル5とを有し、X軸テーブル5上に被加工物Wを固定載置される。Y軸テーブル3はY軸サーボモータ7によってY軸方向に駆動され、X軸テーブル5はX軸サーボモータ9によってX軸方向に駆動され、X軸テーブル5上の被加工物Wは、Y軸サーボモータ7によるY軸テーブル3のY軸方向の移動とX軸サーボモータ9によるX軸テーブル5のX軸方向の移動により、X軸とY軸による水平面に沿ってX座標とY座標による任意に座標位置に軸制御する。 【0031】NC工作機械のコラム11にはZ軸スライダ13が上下方向、即ちZ軸方向に移動可能に装着されており、Z軸スライダ13はZ軸サーボモータ15によってZ軸方向に駆動される。 【0032】Z軸スライダ13には主軸頭17が取り付けられており、主軸頭17には主軸51がZ軸と同一方向の軸線周り、即ちC軸周りの回転可能に装着されている。 【0033】主軸51は主軸モータであるC軸サーボモータ21により回転駆動されると共にC軸回転角を定量的に制御され、主軸51にはバイト工具50が装着される。 【0034】ここで、X軸とY軸による被加工物Wの移動平面は主軸51の回転軸線、即ちC軸(Z軸)に直交する平面である。 【0035】X軸サーボモータ9、Y軸サーボモータ7、Z軸サーボモータ15、C軸サーボモータ21の各々にはロータリエンコーダ25、27、29、31が装着されており、このロータリエンコーダ25、27、29、31は各軸のサーボモータ9、7、15、21の回転角を検出し、回転角情報をNC装置33へ出力する。このうちC軸サーボモータ21のロータリエンコーダ31は、アブソリュート型のロータリエンコーダにより構成され、主軸51の回転角をX軸方向あるいはY軸方向を絶対基準位置として計測する。 【0036】NC装置33は、図7に示されているように、NC加工プログラムを実行して各軸指令を出力するプログラム実行部35、プログラム実行部35より軸指令を入力して補間演算を行う補間演算部37とを有し、補間演算部37は、X、Y、Z、Cの各軸の移動量を指令値として各軸の位置制御・駆動部39、41、43、45へ出力する。 【0037】位置制御・駆動部39、41、43、45は、各々同軸のロータリエンコーダ25、27、29、31より回転角情報を入力し、位置フィードバック補償制御により演算される各軸の操作量をもって各軸のサーボモータ9、7、15、21の駆動を制御する。 【0038】本発明により主軸回転角制御式切削加工方法においては、主軸中心の被加工物Wに対する相対的な移動軌跡が切削すべき形状に適合したものになるようにX、Y、Zの各軸の指令量をNC加工プログラムで設定しておき、このNC加工プログラムの実行によってバイト工具50と被加工物WとをX、Y、Zの軸制御、少なくともX、Yの軸制御によって主軸51の回転軸線に直交する平面に沿って相対変位させてバイト工具50と被加工物Wとの間に相対補間運動を行わせ、主軸51の回転角をX、Y、Zの各軸の軸制御に対して所定の相関関係をもって同期制御し、主軸51の全回転角位置にて被加工物Wの加工面に対するバイト工具50の刃先方向を所定の方向に保って、即ち所定の前すくい角をもってバイト工具50により、被加工物Wを、相対補間運動による補間軌跡により決まる形状に切削する。 【0039】この場合、X、Yの2軸の各軸制御は相互に90度の位相差を有する三角関数を含む方程式により定義される軌跡を描くよう行われる。 【0040】この主軸回転角制御式切削加工方法においては、主軸51の回転角制御と、X、Yの同時2軸制御、あるいはX、Y、Zの同時3軸制御との組み合わせにより、バイト工具50のバイト半径に関係なく一本のバイト工具によって任意の前すくい角をもって、任意の内径の穴加工、任意の外径の外周面加工、テーパ加工、球面加工、多角形加工、ねじ切り加工などを行うことができ、またシングルポイントバイト工具の使用のもとに、切削加工速度が総形バイト工具を使用したヘール加工に属する切削加工法による場合に比して3〜20倍に向上する。 【0041】次に本発明により主軸回転角制御式切削加工方法における移動制御と同期制御との詳細を円筒内外面加工について詳細に説明する。 【0042】円筒面の半径をR、1回転当たりのZ軸方向送り量をp、Z軸方向送り開始位置のZ軸座標をZoとすると、各回転角位置における刃先の座標位置(Xt,Yt,Zt)はX軸方向を原線とする角度θを媒体変数として下式の関数式により与えられる。 Xt=LrcosθYt=LrsinθZt=Zo−(p/2π)θ【0043】円筒内面加工では、図1に示されているように、刃先軌跡のXY平面における加工面外向き法線ベクトル→n=(nx,ny)は下式により示される。 nx=−cosθny=−sinθ【0044】従って、主軸中心軌跡Lを定義する主軸中心座標位置(Xs,Ys,Zs)は下式により示される。 【数1】Xs={(R2 +Tr2 −2R・TrcosΔβ)1/2 }cosθYs={(R2 +Tr2 −2R・TrcosΔβ)1/2 }sinθZs=Zt−Tz【0045】この場合、主軸中心座標位置(Xs,Ys)によるX軸とY軸との同時2軸制御により、バイト工具50と被加工物Wとの間に相互円弧補間運動が行われ、その円弧補間軌跡として、主軸中心軌跡Lは、(R2 +Tr2 −2R・TrcosΔβ)1/2 を半径Lrとする真円をなす。 【0046】円筒内面加工では、前すくい角βの90度よりの変化量Δβが0であれば、X軸方向を原線とする主軸回転角度αは下式により示される。 【数2】α=tan-1(ny/nx)=tan-1(−sinθ/−cosθ)=θ+π【0047】そしてこの主軸回転角度αは前すくい角βの90度よりの変化量Δβに応じて角度Δθだけ変化する。即ちα=θ+π±Δθとなる。 【0048】上述の条件を満たしてX、Y、Zの各軸の軸制御が行われ、この軸制御に対して主軸回転角度αが同期制御されることにより、バイト工具50は主軸51の全回転角位置にて被加工面に任意の前すくい角βをもってバイト半径Trを最小半径とする任意の半径Rの円筒内面加工を行う。 【0049】これによりバイト半径に関係なく一本のバイト工具50により任意の半径の円筒内面加工を行うことができた上で、工具交換、工具取付角変更を必要とすることなく前すくい角βを任意に変更することができる。 【0050】円筒外面加工では、図3に示されているように、刃先軌跡のXY平面における加工面外向き法線ベクトル→n=(nx,ny)は円筒内面加工とは逆方向のベクトルとなり、下式により示される。 nx=cosθny=sinθ【0051】従って、主軸中心軌跡Lを定義する主軸中心座標位置(Xs,Ys,Zs)は下式により示される。 【数3】Xs={(R2 +Tr2 +2R・TrcosΔβ)1/2 }cosθYs={(R2 +Tr2 +2R・TrcosΔβ)1/2 }sinθZs=Zt−Tz円筒外面加工では、前すくい角βの90度よりの変化量Δβが0であれば、X軸方向を原線とする主軸回転角度αは下式により示される。 【数4】α=tan-1(ny/nx)=tan-1(sinθ/cosθ)=θ【0052】そしてこの主軸回転角度αは前すくい角βの90度よりの変化量Δβに応じて角度Δθだけ変化する。即ちα=θ±Δθとなる。 【0053】従って、円筒内面加工時と同様に、X、Y、Zの各軸の軸制御が行われ、この軸制御に対して軸回転角度αが同期制御されることにより、この場合もバイト工具50は主軸51の全回転角位置にて被加工面に任意の前すくい角βをもって任意の半径Rの円筒外面加工を行う。 【0054】これによりバイト半径に関係なく一本のバイト工具50により任意の半径の円筒外面加工を行うことができた上で、工具交換、工具取付角変更を必要とすることなく前すくい角βを任意に変更することができる。 【0055】なお、Xs={(R2 +Tr2 +2R・TrcosΔβ)1/2 }cosθとYs={(R2 +Tr2 +2R・TrcosΔβ)1/2 }sinθは、主軸中心Csが、図3に示されているように、Z軸方向で見て被加工物Wの外側にある場合に成立し、図4に示されているように、主軸中心CsがZ軸方向で見て被加工物Wの内側にある場合には、Xs={(R2 +Tr2 −2R・TrcosΔβ)1/2}cosθ、Ys={(R2 +Tr2 −2R・TrcosΔβ)1/2 }sinθとなる。 【0056】めねじ切り加工は円筒内面加工と同様の同期制御で、Zs=Zt−Tzがねじピッチに応じて適正値に設定されればよく、またおねじ切り加工は円筒外面加工と同様の同期制御で、Zs=Zt−Tzがねじピッチに応じて適正値に設定されればよく、何れの場合も、その他のことは円筒内外面加工と同様に行われることによって、一つのバイト工具50によって任意のねじ径のめねじ或いはおねじのねじ切り加工が任意の前すくい角をもって行われる。 【0057】これによりバイト半径に関係なく一本のバイト工具50により任意のねじ径のめねじ或いはおねじのねじ切り加工を行うことができた上で、工具交換、工具取付角変更を必要とすることなく前すくい角βを任意に変更することができる。 【0058】テーパ加工等、Z軸方向において径変化があるZ軸回転体の切削加工の場合には、補間軌跡Lの半径LrをZの関数fLr(z)、1回転当たりのZ軸方向送り量をp、Z軸方向送り開始位置のZ軸座標をZoとすると、fLr{Zo−(p/2π)θ}をもって、補間軌跡Lの半径Lrを変化させればよい。 【0059】なお、主軸回転角度αは、上述の円筒内外面加工の場合と同じであってよく、この場合も、一つのバイト工具50によってZ軸方向に任意に径変化するZ軸回転体が任意の前すくい角をもって行われる。 【0060】これによりバイト半径に関係なく一本のバイト工具50によりZ軸方向に任意に径変化するZ軸回転体の加工を行うことができた上で、工具交換、工具取付角変更を必要とすることなく前すくい角βを任意に変更することができる。 【0061】テーパ加工、球面加工、多角形加工、フランジ面加工、自由形状加工などにおいても、それらの切削形状に応じて円筒面加工における場合と同等に、X、Y、Zの各軸の軸制御が行われ、この軸制御に対して主軸回転角度が同期制御されることにより、一つのバイト工具50で任意の前すくい角をもってテーパ加工、球面加工、多角形加工、フランジ面加工、自由形状加工が行われる。 【0062】テーパ加工、球面加工、多角形加工、フランジ面加工における軸制御について詳細な説明が必要ならば、本願出願人と同一の出願人による特願平6−211137号の明細書および図面を参照されたい。 【0063】上述の軸制御および主軸回転角制御は、上述の関数式の演算をNC装置内部で行って座標位置データを得る方法と、NC加工プログラム作成時点で予め座標位置データを点群データとしてプログラムに記述しておく方法の何れにより行われてもよい。 【0064】以上に於ては、本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。 【0065】 【発明の効果】以上の説明から理解される如く、本発明によるバイト工具による主軸回転角制御式切削加工方法によれば、バイト工具と被加工物との相対的な軸制御によりバイト工具と被加工物との間に相互補間運動が行われつつ軸制御に対する主軸回転角の同期制御によって主軸の全回転角位置にて被加工物の加工面に対するバイト工具の刃先方向が任意の所定値に保たれ、相互補間運動による補間軌跡により決まる形状に切削が行われるから、バイト半径に関係なく一本のバイト工具により、工具交換、工具取付角変更を必要とすることなく、任意の前すくい角をもって任意の内径の円筒内外周面加工、その他、テーパ加工、球面加工、多角形加工、ねじ切り加工などが行われる。 【0066】バイト工具としてシングルポイントバイト工具を使用することにより、総形バイト工具による場合に比して切削抵抗が小さくなり、このことにより軸制御による相互補間運動の速度、即ち切削速度を総形バイト工具を使用したヘール加工に属する切削加工法による場合に比して3〜20倍程度速くすることが可能になる。
|
|