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発明の名称 力制御ロボット
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−112792
公開日 平成8年(1996)5月7日
出願番号 特願平6−247967
出願日 平成6年(1994)10月13日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
発明者 神 野 誠 / 吉 見 卓 / 永 滝 真太郎
要約 目的
ロボット手先部に取り付けられたエンドエフェクタで誘導する場合に、エンドエフェクタが加工対象物等に衝突し破損するのを防ぐとともに、接触した状態でもスムーズなエンドエフェクタの誘導が可能な力制御ロボットを提供する。

構成
ロボットのエンドエフェクタ5に加わる反力を検出する力覚センサ4を備え、ジョイスティック6を介して位置姿勢制御手段8に指示する移動指令値に基づきエンドエフェクタ5をこの移動指令値に対応する目標位置へ誘導可能な力制御ロボットにおいて、移動指令値を力覚センサ4により検出した反力の関数として補正する補正手段11を備え、移動指令値に対応する目標位置が力覚センサ4により検出した反力の方向へ所定修正量だけ修正されるように、力覚センサ4により検出した反力に基づいて位置姿勢制御手段8へ作用する力制御手段12を備えることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】ロボットのエンドエフェクタに加わる反力を検出する力覚センサを備え、操作手段を介して位置姿勢制御手段に指示する移動指令値に基づき前記エンドエフェクタをこの移動指令値に対応する目標位置へ誘導可能な力制御ロボットにおいて、前記移動指令値を前記力覚センサにより検出した反力の関数として補正する補正手段を備えることを特徴とする力制御ロボット。
【請求項2】ロボットのエンドエフェクタに加わる反力を検出する力覚センサを備え、操作手段を介して位置姿勢制御手段に指示する移動指令値に基づき前記エンドエフェクタをこの移動指令値に対応する目標位置へ誘導可能な力制御ロボットにおいて、前記移動指令値を前記力覚センサにより検出した反力の関数として補正する補正手段を備え、前記移動指令値に対応する目標位置が前記力覚センサにより検出した反力の方向へ所定修正量だけ修正されるように、前記力覚センサにより検出した反力に基づいて前記位置姿勢制御手段へ作用する力制御手段を備えることを特徴とする力制御ロボット。
【請求項3】前記補正手段は、前記力覚センサにより検出した反力の大きさが、所定反力値より大きい場合に前記移動指令値を減少させる補正をし、前記所定反力値以下の場合に前記移動指令値を保持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の力制御ロボット。
【請求項4】前記力制御手段は、前記力覚センサにより検出する反力が予め設定した目標押し付け力となるように、前記目標位置を所定修正量だけ修正することを特徴とする請求項2に記載の力制御ロボット。
【請求項5】前記補正手段は、前記力覚センサにより検出した反力の大きさが、所定反力値より大きい場合に前記移動指令値を減少させる補正をし、前記所定反力値以下の場合に前記移動指令値のままにし、前記移動指令値に対応する目標位置が前記力覚センサにより検出した反力の方向へ所定修正量だけ修正されるように、前記力覚センサにより検出した反力に基づいて前記位置姿勢制御手段へ作用する力制御手段を備え、前記力制御手段は、前記力覚センサにより検出する反力が予め設定した目標押し付け力となるように、前記目標位置を所定修正量だけ修正し、予め設定した前記目標押し付け力は、前記所定反力値より大きく設定されていることを特徴とする請求項2に記載の力制御ロボット。
【請求項6】前記補正手段は、前記移動指令値に対応する目標位置へ向く移動方向ベクトルと前記力覚センサにより検出した反力の方向ベクトルとのなす角度が、所定角度範囲外のときには前記移動指令値を減少させる補正をし、所定角度範囲内のときには前記移動指令値を保持することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項5のいずれかに記載の力制御ロボット。
【請求項7】前記操作手段は、ジョイスティックであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の力制御ロボット。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジョイスティック等の操作手段でロボットのエンドエフェクタの誘導が可能な力制御ロボットに関する。
【0002】
【従来の技術】ロボットの手先部に取り付けられたエンドエフェクタを誘導する方法としては、ロボットの操作ペンダントに設けられたスイッチを用い限られた方向へ限られた速度で誘導する方法や、ジョイスティック等により誘導する方法がある。
【0003】スイッチやジョイスティックを用いてエンドエフェクタを誘導する場合に、エンドエフェクタが加工対象物や組立対象物や障害物などに衝突し、これらを破損する危険性がある。特に、エンドエフェクタを教示する段階においては、エンドエフェクタを加工対象物や組立対象物に接近させて教示を行う必要も生じるので、この危険性はより高くなる。
【0004】スイッチを用い所定の方向へ所定の速度でエンドエフェクタを誘導する場合には、ロボットに力覚センサが備えられていれば、過大な力を検出した場合にエンドエフェクタを誘導している方向の移動動作を停止することは容易である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ジョイスティック等の操作手段を用いて操作する場合には、操作者は3次元の任意の方向へ任意の速度で誘導しているため、時時刻刻変化する誘導方向や速さに対して単純な操作で動作を制限することは容易でない。また、単に動作を停止することにより上記の危険性を回避しようとすることは、スムーズな操作に支障を来すことになる。このため、破損等の危険を回避しつつ任意の方向へ移動できることが望ましい。
【0006】そこで本発明の目的は、上記従来技術の有する問題を解消し、ロボット手先部に取り付けられたエンドエフェクタを誘導する場合にエンドエフェクタが加工対象物や組立対象物や障害物などに衝突してロボットやエンドエフェクタ、加工対象物、組立対象物などを破損することを防止するとともに、加工対象物等と接触した状態でもスムーズなエンドエフェクタの誘導が可能な力制御ロボットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明による力制御ロボットは、ロボットのエンドエフェクタに加わる反力を検出する力覚センサを備え、操作手段を介して位置姿勢制御手段に指示する移動指令値に基づき前記エンドエフェクタをこの移動指令値に対応する目標位置へ誘導可能な力制御ロボットにおいて、前記移動指令値を前記力覚センサにより検出した反力の関数として補正する補正手段を備えることを特徴とする。
【0008】また、ロボットのエンドエフェクタに加わる反力を検出する力覚センサを備え、操作手段を介して位置姿勢制御手段に指示する移動指令値に基づき前記エンドエフェクタをこの移動指令値に対応する目標位置へ誘導可能な力制御ロボットにおいて、前記移動指令値を前記力覚センサにより検出した反力の関数として補正する補正手段を備え、前記移動指令値に対応する目標位置が前記力覚センサにより検出した反力の方向へ所定修正量だけ修正されるように、前記力覚センサにより検出した反力に基づいて前記位置姿勢制御手段へ作用する力制御手段を備えることを特徴とする。
【0009】また、前記補正手段は、前記力覚センサにより検出した反力の大きさが、所定反力値より大きい場合に前記移動指令値を減少させる補正をし、前記所定反力値以下の場合に前記移動指令値を保持することが好適である。
【0010】また、前記力制御手段は、前記力覚センサにより検出する反力が予め設定した目標押し付け力となるように、前記目標位置を所定修正量だけ修正することが好適である。
【0011】また、前記補正手段は、前記力覚センサにより検出した反力の大きさが、所定反力値より大きい場合に前記移動指令値を減少させる補正をし、前記所定反力値以下の場合に前記移動指令値のままにし、前記移動指令値に対応する目標位置が前記力覚センサにより検出した反力の方向へ所定修正量だけ修正されるように、前記力覚センサにより検出した反力に基づいて前記位置姿勢制御手段へ作用する力制御手段を備え、前記力制御手段は、前記力覚センサにより検出する反力が予め設定した目標押し付け力となるように、前記目標位置を所定修正量だけ修正し、予め設定した前記目標押し付け力は、前記所定反力値より大きく設定されていることが好適である。
【0012】また、前記補正手段は、前記移動指令値に対応する目標位置へ向く移動方向ベクトルと前記力覚センサにより検出した反力の方向ベクトルとのなす角度が、所定角度範囲外のときには前記移動指令値を減少させる補正をし、所定角度範囲内のときには前記移動指令値を保持することが好適である。
【0013】また、前記操作手段は、ジョイスティックであることが好適である。
【0014】
【作用】操作者がジョイスティック等の操作手段を介してエンドエフェクタが移動すべき目標位置を時系列的に次々と指示すると、これらの目標位置を対応する移動指令値が位置姿勢制御手段へ指示され、位置姿勢制御手段は指示された移動指令値に基づき対応する目的位置へエンドエフェクタを誘導する。エンドエフェクタに加わる反力を力覚センサで検出し、位置姿勢制御手段へ指示した移動指令値を検出した反力の関数として補正手段によって補正する。
【0015】補正手段は、例えば、力覚センサにより検出した反力の大きさが、所定反力値より大きい場合には前記移動指令値を減少させる補正をし、所定反力値以下の場合には以前に指示した移動指令値を保持する。これによって、検出した反力が大きすぎる場合すなわちエンドエフェクタが加工対象物等へ所定反力値より大きい力を与えるように誘導される場合には、移動指令値を減少させ、エンドエフェクタが加工対象物等へ接近する速度を小さくし過大な力が作用することを防止する。
【0016】力制御手段は、移動指令値に対応する目標位置へ誘導されるエンドエフェクタが反力を受けた場合に、力覚センサにより検出した反力の方向へ所定修正量だけ目標位置を修正するように、位置姿勢制御手段へ働きかける。この結果、力覚センサで検出される反力が小さくなる方向へ、当初設定した目標位置が修正される。力制御手段によるこの修正は、例えば、力覚センサにより検出する反力が予め設定した目標押し付け力に等しくなるように行われる。
【0017】補正手段と力制御手段との両者を備える場合には、移動指令値を検出した反力の関数として補正するとともに、検出した反力の方向へ所定修正量だけ目標位置を修正することができる。
【0018】移動方向ベクトルと検出した反力の方向ベクトルとのなす角度が所定角度範囲外のときには、移動方向ベクトルの方向近辺に反力を与える加工対象物等が存在することになり、この場合、移動指令値を減少させる補正をする。この角度が所定角度範囲内のときには、移動方向ベクトルの方向近辺に反力を与える加工対象物等が存在しないことになるので前記移動指令値を保持する。
【0019】
【実施例】以下に本発明の力制御ロボットの実施例について図面を参照して説明する。
【0020】図2および図4乃至図8を参照して、本発明の第1実施例について説明する。
【0021】図4は力制御ロボットの全体構成を示す図である。力制御ロボットは、基本的にはロボット本体1と、ロボット本体1を制御するためのコントローラ2と、操作手段としてのジョイスティック6を備えた操作ペンタント3とから構成されている。ロボット本体1は6軸円筒座標型ロボットであり、手先部には6軸力覚センサ4を介してディスクグラインダ等のエンドエフェクタ5が装着されている。6軸力覚センサ4はエンドエフェクタ5が加工対象物等から受ける反力の方向と大きさを3次元的に検出する。
【0022】ジョイスティック6は、3次元の任意の方向へエンドエフェクタ5を誘導可能な3次元ジョイスティックである。図5に示すように、例えばジョイスティック6をXj方向へ倒せば、エンドエフェクタ5は、任意の座標系のX方向へ誘導されるようになっている。ここで座標系は、例えばベース座標系やワーク座標系やツール座標系などのいずれに設定してもよい。また、エンドエフェクタ5の位置の制御誘導から姿勢の制御誘導へ切り替えることも可能である。
【0023】図2に、本実施例の制御ブロック図を示す。同図において、エンドエフェクタ5に所定の作業を教示するために、エンドエフェクタ5を目標位置に時系列的に誘導するようにジョイスティック6を操作すると、これらの目標位置に対応する移動指令値が、補正手段11を介して位置姿勢制御手段10へ指示される。位置姿勢制御手段10は図示しないモータ等の駆動手段に接続されている。
【0024】補正手段11は、6軸力覚センサ4で検出した反力のデータを受け、この反力のデータの関数として、ジョイスティック6により指示される移動指令値を補正する。
【0025】補正手段11による補正の種々の態様を図6乃至図8に示す。図6乃至図8において、縦軸はジョイスティック6の単位倒れ角あたりのエンドエフェクタ5の移動速度を示し、自由空間におけるエンドエフェクタの1サンプルリング時間当たりの移動量を1としたときの係数Aとして表現されている。例えば、係数Aが1のときジョイスティック6の単位倒れ角あたりの自由空間におけるエンドエフェクタ5の移動速度をVとすると、係数AがA1のときにはジョイスティック6の単位倒れ角当たりの移動速度はA1・Vで表現される。より具体的には、例えば、係数Aが1のときジョイスティック6の単位倒れ角あたりのエンドエフェクタ5の移動速度を1cm/sとすると、係数Aが0.1のときにはエンドエフェクタ5の移動速度が0.1cm/sとなる。また、横軸は6軸力覚センサ4によって検出した反力の大きさFを示す。反力の大きさFは、6軸力覚センサ4によって検出された検出力成分をFx,Fy,Fzとするとき、F=(Fx・Fx+Fy・Fy+Fz・Fz)1/2 と表される。
【0026】図6は、反力の大きさFがF1以下では係数Aを1に設定し、FがF1を越えると係数Aを1より小さい定数A1に設定する補正の例である。ここで定数A1の値は例えば0.1などの適当な値に設定される。
【0027】図6に示す補正の例によれば、反力FがF1を越えると、係数Aは1からA1に補正され、エンドエフェクタ5の移動速度は小さくなる。この結果、エンドエフェクタ5に反力を与える加工対象物等に接近する速度が小さくなり、エンドエフェクタ5と作業対象物等の衝突の衝撃を低下させることが可能になり、対象物の破損を防止することができる。
【0028】図7に示す補正は、反力の大きさFがF1以下では係数Aを1に設定し、FがF1を越えF2以下の領域では、係数Aが直線的に減少するように設定し、FがF2を越える領域では、係数Aを1より小さい定数A1に設定する補正の例である。図7に示す補正によれば、図6に示す補正を行う場合に比べ、エンドエフェクタ5と作業対象物等の衝突の衝撃等の回避をより正確に制御することが可能になる。
【0029】図8に示す補正は、図7に示す補正を微分係数が連続的になるように滑らかに、例えば2次曲線で表されるように、係数Aを変化させた補正の例である。図8に示す補正は、図6や図7に示す補正に比べ、より高度な制御が可能になる。
【0030】なお、図6乃至図8において、反力の大きさFが大きい領域では、係数Aを1より小さい定数A1に補正する例を示したが、定数A1を0に設定してもよい。ただし、単に定数A1を0とするだけでは、ジョイスティック6による誘導ができなくなってしまう。
【0031】本実施例の構成によれば、補正手段11を設け、ジョイスティック6による移動指令値を6軸力覚センサ4により検出した反力の大きさFの関数で変化させることができるので、エンドエフェクタ5を教示などする場合にエンドエフェクタ5が加工対象物や組立対象物等に接触した際に、過大な反力がかかる前に、エンドエフェクタ5を誘導する速度を速やかに減少させることができ、この結果、衝突の衝撃を低下させることが可能になり、ロボット本体1やエンドエフェクタ5、加工対象物、組立対象物などの破損を回避することができる。
【0032】次に、図3および図9を参照して本実施例の第2実施例について説明する。
【0033】図3に示すように本実施例では、エンドエフェクタ5を目標位置に時系列的に誘導するようにジョイスティック6を操作すると、これらの目標位置に対応する移動指令値が、直接、位置姿勢制御手段10へ指示される。また、6軸力覚センサ4と位置姿勢制御手段10との間に力制御手段が設けられている。
【0034】力制御手段12は、検出した反力の大きさFが予め設定した目標押し付け力Fdに比べて大きい場合に、移動指令値に対応する目標位置が検出した反力の方向へ所定修正量だけ修正されるように、位置姿勢制御手段10へ作用するものである。
【0035】力制御手段12の作用を図9を参照して説明する。図9において、エンドエフェクタ5であるグラインダは加工対象物7に接触した状態にある。ベクトル1は、操作者がジョイスティック6によりエンドエフェクタ5を誘導しようとしている誘導方向ベクトルであり、移動指令値に対応する目標位置へ向かうベクトルである。ベクトル2は、検出された反力の方向に方向を有し大きさが所定修正量△Vの修正ベクトルである。
【0036】移動指令値に対応する目標位置を検出した反力の方向へ修正される所定修正量△Vは式(1)に示される。
△V=G・(F−Fd) (F>Fd) (1)
ここで、Gは力制御ゲイン、Fdは目標押し付け力、Fは検出した反力の大きさを表す。
【0037】図9に示すように、誘導方向ベクトルであるベクトル1と修正ベクトルであるベクトル2とのベクトル和であるベクトル3が、修正された誘導方向ベクトルとなる。
【0038】ベクトル1とベクトル2が反対方向に向いている場合には、操作者が与える移動指令と式(1)による所定修正量△Vが釣り合った位置で見かけ上は停止することになる。従って、誘導方向ベクトル1と修正ベクトル2が概ね同程度の大きさとなるように係数Aや力制御ゲインGなどを設定するようにすれば必要以上に過大な反力が加わることはない。
【0039】本実施例の構成によれば、力制御手段12を設けたことにより、反力の大きさFが目標押し付け力Fdより大きい場合には、反力の方向に所定修正量△Vだけ、目標位置が修正される。この結果、エンドエフェクタ5を教示などする場合にエンドエフェクタ5が加工対象物等に接触した際に過大な反力がかかる前に、エンドエフェクタ5を誘導する速度を速やかに減少させることができ、衝突の衝撃を低下させることが可能になり、ロボット本体1やエンドエフェクタ5、加工対象物、組立対象物などの破損を回避することができる。
【0040】なお、式(1)は最も基本的な式を示したものである。本実施例はこれに限らず、検出される反力が目標の押し付け力となるように、比例項、積分項、微分項などを適当に組み合わせて所定修正量△Vを設定してもよい。
【0041】また、本来ならば、Fd=0として反力を受けた方向にエンドエフェクタ5を逃がすことも可能であるが、6軸力覚センサ4の検出誤差や移動時のエンドエフェクタ5の慣性力の影響があるため、不感帯を設ける意味で、Fd>0とした方がよい。
【0042】また、式(1)の代わりに、 △V=CONST (F>Fdの場合) (2)
により、所定修正量△Vを設定してもよい。この場合、反力の大きさFが、目標押し付け力Fdより大きい場合には、測定される反力が一定の速度で減少する方向に目標位置が修正されることになる。
【0043】次に、本発明の第3実施例について図1、図10及び図11を参照して説明する。
【0044】一般的には、自由空間ではエンドエフェクタ5を高速で誘導したいのに対して、加工対象物等7と接触するときには、自由空間における場合と同様の速度で誘導することは不可能である。すなわち、自由空間における移動と加工対象物等との接触しながらの移動とが混在する状況では単一の手法のみで制御することは困難である。また、誘導方向ベクトルであるベクトル1と修正ベクトルであるベクトル2とが、同程度の大きさになるように力制御ゲインGを上げることは容易ではない。
【0045】本実施例は、このような状況に対応できるものであり、図1に示すように補正手段11と力制御手段12との両者が設けられている。本実施例では、補正手段11による補正を図7に示すように、反力の大きさFがF1より小さい範囲では係数Aを1に設定し、FがF1とF2との間では係数Aは1からA1まで変化し、FがF2を越えるとA1に設定される。
【0046】さらに、力制御手段12においては、式(1)または式(2)における目標押し付け力Fdは、図4におけるF2以上の大きさに設定されている。上述のように、F1、F2、Fdを設定することにより、非接触時すなわちFがF1より小さいときには、係数Aは1であり、エンドエフェクタ5は大きな誘導速度で誘導される。エンドエフェクタ5が加工対象物等に接触し、FがF1以上であるがFd以下である範囲では、図7に従って補正手段11のみが機能し、エンドエフェクタ5の誘導速度は減少させられる。さらに、Fが大きくてFdを越えた場合には、補正手段11に加えて、力制御手段12が機能し、補正手段11により係数AがA1に設定されるとともに、力制御手段12により反力の方向に所定修正量△Vだけ目標位置が修正される。
【0047】本実施例の構成によれば、補正手段と力制御手段12とを備えているので、加工対象物等との非接触状態では高速な誘導が可能であり、接触状態では、反力の大きさFに応じてきめ細かい制御を行うことができる。すなわち、教示などの場合に、エンドエフェクタ5が加工対象物等に接触した際に補正手段11により誘導速度を縮小または減少させて、衝突の衝撃を低下させることができ、ロボット本体1やエンドエフェクタ5、加工対象物、組立対象物などの破損を防止することができる。
【0048】さらに、6軸力覚センサ4により検出した反力の方向にジョイスティック6による移動指令値を力制御手段12を介して修正することにより、仮に加工対象物等に過大な力が加わった場合でも、速やかにその反力を除去することができる。
【0049】また、反力が加わった状態でも、ジョイスティック6による移動が可能なため、操作者の意図する方向へエンドエフェクタ5を誘導することができ、例えば、対象物表面に沿って誘導することも可能である。
【0050】なお、本実施例では補正手段11を図7に従って設定した場合を示したが、本実施例はこれに限らず図6または図8に従って設定してもよい。この場合、図6においては、FdはF1より大きい値に設定され、図8においてはFdはF2より大きく設定される。図7や図8のように連続的に移動指令を変化させる場合は、関数値が切り替わる際の移動指令の不連続性がなくなり安定した動作が可能になる。
【0051】次に、本発明の第4実施例を図10および図11を参照して説明する。第1実施例等では、検出される反力の方向に関わらずジョイスティック6で指示した移動指令値を補正していた。しかしながら、反力が減少する方向にエンドエフェクタ5が移動している場合には、特に、移動指令値減を補正する必要性はない。本実施例はこの思想に基づくものである。
【0052】そこで、本実施例では、補正手段11は、第1実施例等とは異なり、移動方向ベクトルと検出した反力の方向ベクトルとのなす角度に応じて係数Aを設定するように補正される。
【0053】図11に、エンドエフェクタ5と加工対象物7との接触した状態を示す。移動指令値による誘導方向ベクトルが、ベクトル1aの場合とベクトル1bの場合とが示されている。誘導方向ベクトルがベクトル1aの場合は、反力が減少する方向にエンドエフェクタ5が移動している場合に相当し、誘導方向ベクトルがベクトル1bの場合は、反力が増加する方向にエンドエフェクタ5が移動している場合に相当する。ベクトル2は6軸力覚センサ4によって検出された反力の方向ベクトルである。ベクトル2に対して、所定角度範囲として60度の角度を考える。
【0054】補正手段11による補正は次のように行われる。
【0055】誘導方向ベクトルがベクトル1aの場合には、反力が減少する方向にエンドエフェクタ5が移動しているので補正する必要はなく、補正手段11は図10(a)に従う。
【0056】一方、誘導方向ベクトルがベクトル1bの場合には、反力が増加する方向にエンドエフェクタ5が移動しているので補正する必要があり、補正手段11は図10(b)に示すように、反力の大きさがF1を越えると係数AをA1に設定する補正を実行する。
【0057】なお、2つのベクトルのなす角が所定角度範囲内にあるかどうかを判断するためには、2つのベクトルの内積をとればよい。また、所定角度範囲は60度に設定することに限られず、他の適当な角度でもよい。また、A1=0に設定しても問題ない。
【0058】本実施例の構成によれば、補正手段11を、移動方向ベクトルと検出した反力の方向ベクトルとのなす角度に応じて係数Aを設定するように機能させるので、反力の減少する方向には通常の空間を誘導する速度でエンドエフェクタ5を誘導することがで、よりスムーズな誘導が可能になる。
【0059】以上、種々の実施例について説明したが、上述の実施例において、ジョイスティック5による移動指令をエンドエフェクタ5の並進方向の移動について述べたが、必ずしもこれに限らず、姿勢軸を誘導する場合でも本発明は適用できる。ここでの姿勢軸は、エンドエフェクタに固定された座標系やベース座標系、ワーク座標系などの軸回りの回転を意味している。上述の説明と同様に、ジョイスティック6による姿勢軸の移動指令値を力覚センサの検出値つまり反力の関数で変化させればよく、また、力覚センサにより検出した反力の方向に式(1)等を用いて移動指令値を修正すればよい。従って、ジョイスティック6では、姿勢の変化を与え、式(1)等では並進方向に反力を減少する方向に移動することになる。また、モーメントを検出して力制御により姿勢を変化させることも可能であるが、並進方向に変化させる方がより容易である。
【0060】さらに、ジョイスティック5でロボットの関節各方向、つまりジョイント座標系で誘導する場合にも同様の方法で誘導でることはいうまでもない。
【0061】また、操作手段としてジョイスティックを用いる場合を示したが、本発明はこれに限らず、他のジョグ動作指令手段を用いてもよい。
【0062】また、力覚センサとして6軸力覚センサを用いた場合を示したが、6軸に限らず、より少ない並進3軸方向の1軸方向の反力を検出可能なものを用いてもよい。
【0063】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明の構成によれば、補正手段あるいは力制御手段を設けたので、ロボット手先部に取り付けられたエンドエフェクタで誘導する場合にエンドエフェクタが加工対象物等に衝突して破損することを防止するとともに、加工対象物等と接触した状態でもスムーズなエンドエフェクタの誘導が可能な力制御ロボットを提供することができる。
 

 
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