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発明の名称 射出成形機の保圧制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−25442
公開日 平成8年(1996)1月30日
出願番号 特願平6−168496
出願日 平成6年(1994)7月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
発明者 田澤 進一 / 村川 和生 / 菅野 寛
要約 目的
溶融樹脂保圧特性関数を簡単に構成すると共に、この特性関数およびこれに対する補正保圧力を正確に設定することができる射出成形機の保圧制御方法を提供する。

構成
金型10内へ充填した溶融樹脂12を加圧する射出成形機14の保圧制御方法からなり、事前試験運転において溶融樹脂の温度Tおよび/またはその相当値(圧力差ΔP)、保圧力Pおよびこれら各条件下における生産対象金型10による成形製品18の重量Wを、重量、温度、圧力および位置の各検出器20、22、24、26を介して繰返し計測することにより、溶融樹脂の温度T、保圧力Pおよび比容積比VCからなる比容積比特性関数と、この関数に対する異常温度時の良品生産のための補正保圧力とを演算処理部28を介して演算設定し、次いで実生産運転においてその保圧力Pを前記関数および補正保圧力並びに制御部30、保圧力制御手段32およびスクリュー装置34を介して制御する。
特許請求の範囲
【請求項1】 金型内へ充填した溶融樹脂を加圧してその冷却固化に伴う収縮を補充する射出成形機の保圧制御方法からなり、射出成形機の事前試験運転において溶融樹脂の温度および/またはその相当値、保圧力およびこれら各条件下における生産対象金型による成形製品の重量を繰返し計測することにより、これらの計測データから溶融樹脂の温度、保圧力および比容積比からなる比容積比特性関数と、この比容積比特性関数に対する異常温度時の良品生産のための補正保圧力とを演算設定し、射出成形機の実生産運転においてその保圧力を前記比容積比特性関数および前記補正保圧力を介して制御することを特徴とする射出成形機の保圧制御方法。
【請求項2】 溶融樹脂の温度相当値は、射出成形機内のノズル部を流動する溶融樹脂の前記ノズル部の2点間における圧力差である請求項1記載の射出成形機の保圧制御方法。
【請求項3】 溶融樹脂の温度および/またはその相当値は、溶融樹脂の射出成形機内への充填開始から保圧切換えまでの間を分割して測定した複数の測定値の平均値である請求項1記載の射出成形機の保圧制御方法。
【請求項4】 成形製品の重量は、溶融樹脂のそれぞれ温度および/またはその相当値および保圧力の各条件毎にそれぞれ成形した複数の製品の測定値の平均値である請求項1記載の射出成形機の保圧制御方法。
【請求項5】 溶融樹脂比容積比特性関数は、溶融樹脂の温度、保圧力および比容積比から溶融樹脂の等圧温度上昇における熱膨張率および等温加圧における圧縮率を演算設定することにより、特定の基準温度、圧力における比容積に対する任意の温度、圧力における比容積の比を、圧力をパラメータとする複数の等圧比容積比直線群から表示してなる請求項1記載の射出成形機の保圧制御方法。
【請求項6】 比容積比特性関数に対する補正保圧力は、良品生産中の溶融樹脂の温度および圧力を計測して等圧比容積比直線群における良品生産時の保圧力に対する等圧比容積比直線および比容積比を演算設定しておくことにより、前記良品生産時の比容積比と等しくなるような保圧力に設定する請求項5記載の射出成形機の保圧制御方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金型内へ充填した溶融樹脂を加圧してその冷却固化に伴う収縮を補充する射出成形機の保圧制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、射出成形機においては、その使用溶融樹脂材料が温度および圧力に対応して比容積が変動する粘弾性体であり、その成形製品は、成形中の製品重量を一定にして品質を安定化させるため、通常充填溶融樹脂の冷却固化に対応して加圧力を制御する、いわゆる保圧制御が適用される。なお、この保圧制御は公知であり、この制御には、いわゆる溶融樹脂のP(圧力)−V(比容積)−T(温度)線図に基づくプロファイル制御、すなわち圧力Pをパラメータとする比容積V−温度T線図を介して温度Tの変動に対応して比容積Vを一定とするよう圧力Pを制御する方法(以下、単にP−V−T制御と称する)が、従来から好適に適用されている。
【0003】このように、このP−V−T制御によれば、製品の重量が成形工程を通して一定に維持されるので、安定した品質が確保される。
【0004】なお、このP−V−T制御において、P−V−T線図の作成には、既知の物性データが用意されていない場合は、その都度特別の計測装置を用いて前記物性データを予め計測しなければならない。しかるに、このような計測には多大の手間を必要とするので、近来この不便を解消すべく、前記データ計測および線図の作成を射出成形機の事前試験運転中に、この射出成形機を利用して行う(以下、射出成形機利用計測方式と称する)ことが提案されている(例えば、特開平3−277522号公報参照)。
【0005】この射出成形機利用計測方式によれば、物性データが存在しない場合でも、比較的容易に前記P−V−T線図を作成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述したP−V−T制御に係る射出成形機の保圧制御方法は、前記射出成形機利用計測方式においても、なお次に述べるような難点を有していた。
【0007】すなわち、先ず初めに、P−V−T制御においては、その溶融樹脂の物性データが温度、圧力および比容積であり、そして比容積の単位は体積対重量の比であることから、そのP−V−T線図が双曲線となるため、線図の作成および関数化処理が複雑となると共に、溶融樹脂データベースの追加等が困難となる難点を有している。また、従来の射出成形機利用計測方式においては、前記重量計測に係る製品の成形が、計測装置の関係からその付属金型を用いて、すなわち射出成形機の生産対象金型を用いることなく、行われていることから、この計測データによる前記特定関数およびその補正保圧力が前記生産対象金型による実生産運転に対して合致しない。このことは、生産対象金型は成形品形状、ランナ形状等に対応してそれぞれ固有の特性を備えているので、成形製品の品質が低下する難点を有している。
【0008】なお、この難点は、金型の必要とする型締め力が限界的であるため、金型が成形時に微小に型開きするような場合には、一層助長される。そして、前記合致しない特定関数および補正保圧力に対する修正は、処理が繁雑であると共に正確度を期待できないものである。
【0009】そこで、本発明の目的は、溶融樹脂の保圧に適用する溶融樹脂特性関数を比較的簡単に構成すると共に、この特性関数およびこれに対する補正保圧力を正確に設定することができる射出成形機の保圧制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】先の目的を達成するために、本発明に係る射出成形機の保圧制御方法は、金型内へ充填した溶融樹脂を加圧してその冷却固化に伴う収縮を補充する射出成形機の保圧制御方法からなり、射出成形機の事前試験運転において溶融樹脂の温度および/またはその相当値、保圧力およびこれら各条件下における生産対象金型による成形製品の重量を繰返し計測することにより、これらの計測データから溶融樹脂の温度、保圧力および比容積比からなる比容積比特性関数と、この比容積比特性関数に対する異常温度時の良品生産のための補正保圧力とを演算設定し、射出成形機の実生産運転においてその保圧力を前記比容積比特性関数および前記補正保圧力を介して制御することを特徴とする。
【0011】この場合、溶融樹脂の温度相当値は、射出成形機内のノズル部を流動する溶融樹脂の前記ノズル部の2点間における圧力差とし、溶融樹脂の温度および/またはその相当値(前記対応圧力差)は、溶融樹脂の射出成形機内への充填開始から保圧切換えまでの間を分割して測定した複数の測定値の平均値に設定することができる。
【0012】また、成形製品の重量は、溶融樹脂のそれぞれ1つの温度および/またはその相当値および保圧力の各条件毎にそれぞれ成形した複数の製品の測定値の平均値に設定することができる。
【0013】さらに、溶融樹脂比容積比特性関数は、溶融樹脂の温度、保圧力および比容積比から溶融樹脂の等圧温度上昇における熱膨張率および等温加圧における圧縮率を演算設定することにより、特定の基準温度、圧力における比容積に対する任意の温度、圧力における比容積の比を、圧力をパラメータとする複数の等圧比容積比直線群から表示するように構成することができる。
【0014】さらにまた、比容積比特性関数に対する補正保圧力は、良品生産中の溶融樹脂の温度および圧力を計測して等圧比容積比直線群における良品生産時の保圧力に対する等圧比容積比直線および比容積比を演算設定しておくことにより、前記良品生産時の比容積比と等しくなるような保圧力に設定することができる。
【0015】
【作用】本発明においては、溶融樹脂の保圧に適用される溶融樹脂特性関数は、その溶融樹脂データが温度、圧力および比容積比から構成されている。言い換えれば、従来のこの種の制御方法における比容積が比容積比(比容積の変化割合)に変更されている。従って、本発明の溶融樹脂特性関数は、その制御線図上の制御線が従来の比容積双曲線から比容積比直線へと変更することにより、簡単(一次式)に構成し得ることは明らかである。また、本発明においては、溶融樹脂特性関数およびこれに対する補正保圧力は、その設定に係る重量計測に関する製品成形が、射出成形機の生産対象金型自体を用いて行われるよう構成されている。従って、本発明の溶融樹脂特性関数及び補正保圧力は、実生産運転において、仮に前記生産対象金型が成形中に微小に型開きするようなことがあっても、正確に適応し得ることは明らかである。
【0016】
【実施例】次に、本発明に係る射出成形機の保圧制御方法の実施例につき添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0017】図1は、本発明に係る射出成形機の保圧制御方法の一実施例を示すシステムブロック図である。本発明の保圧制御方法は、基本的には、金型10のキャビティ10a内へ充填した溶融樹脂12を加圧して、その冷却固化に伴う収縮を補充する射出成形機14の保圧制御方法からなる。そして、射出成形機14の事前試験運転において、溶融樹脂12の温度Tおよび/またはその相当値〔本実施例においては、ノズル部16を流動する溶融樹脂12のこのノズル部の2点間における圧力差ΔP(図2参照)〕、保圧力P、およびこれら各条件下における生産対象金型10による成形製品18の重量Wを、それぞれ重量、温度、圧力および位置の各検出器20、22、24、26により繰返し計測する。これにより、先ず、これらの計測データから溶融樹脂12の温度T、保圧力Pおよび比容積比VCからなる比容積比特性関数と、この比容積比特性関数に対する異常温度時の良品生産のための補正保圧力とを、演算処理部28により演算設定する。次いで、射出成形機14の実際生産運転において、その保圧力Pを比容積比特性関数および補正保圧力を介すると共に、制御部30、保圧力制御手段(電磁圧力弁)32およびスクリュー装置34を経由して制御するよう構成されている。
【0018】なお、図中の参照符号36は、溶融樹脂特性関数および/または補正保圧力等の良品成形条件を記憶する記憶部を示し、また参照符号38は記憶部36等のデータを演算処理部28に対して設定する設定器を示し、そして参照符号40および42はそれぞれスクリュー回転モータおよび油圧ポンプを示す。
【0019】このように、本発明によれば、射出成形機内の溶融樹脂は、温度T、圧力Pおよび比容積比VCからなる比容積比特性関数を介して保圧制御される。しかるに、ここで本発明の前記比容積比特性関数は、これまでの説明から既に理解されるところであるが、溶融樹脂はその圧力が一定であれば、その比容積は温度に比例する。すなわち、公知のように、溶融樹脂の特性は、いわゆるスペンサー−ギルモア(Spenser-Gilmore )の状態方程式で表されることを利用するものである。そこで、前記スペンサー−ギルモアの状態方程式およびこの式から導かれる本発明の前記特性関数について説明する。
【0020】先ず、スペンサー−ギルモアの状態方程式は、次式【数1】

【0021】で表される。因みに、前記式(1)は、前述したように、温度Tの変動に対応して比容積Vを一定とするように圧力(保圧力)Pを制御する、いわゆるP−V−T制御に適用される基礎方程式である。
【0022】そこで、次に、本発明の比容積比特性関数について説明するが、この特性関数は、同じく前述したように、温度T、圧力Pおよび比容積比VCからなる樹脂特性を有し、そしてこの樹脂特性は、生産対象金型10による成形製品18の重量Wを計測することにより求められる。すなわち、今キャビティ12aの容量をQとすると、比容積はQ/Wで表されるので、これを前記式(1)に代入すると、次式【数2】

【0023】が導かれ、さらに1/W=Mとして整理すると、次式【数3】

【0024】が導かれる。すなわち、前記式(3)が、本発明の比容積比特性関数を規定する基礎方程式であり、そして前記式(3)は、重量Wの逆数Mが温度Tに比例しかつ圧力Pに反比例する一次関数である。従って、制御線図上の制御線、すなわち圧力Pをパラメータとする重量Wの逆数M−温度T線図は、直線に設定されることを示している。因みに、P−V−T制御線図上の制御線は双曲線となるが、このことは前述した通りである。そこで、前記式(3)において圧力Pを一定Pcとすると、次式【数4】

【0025】が導かれる。そして、これは、圧力Pをパラメータとする複数の直線群として、次式【数5】

【0026】と記述することができ、そしてこれはまた、或る基準の温度Tc、圧力Pcの時の値として、次式【数6】

【0027】に対する比として、次式【数7】

【0028】と記述することができる。すなわち、前記式(5)が、本発明の等圧比容積比直線を表わす特性関数である。そして、この直線群を使用することにより、温度変動を保圧力で補正することができる。
【0029】なお、ここで、特性関数式(5)は、その樹脂特性を温度Tからその相当値、すなわち圧力差ΔP(図2参照)へ代替されることができる。すなわち、図2を参照して、溶融樹脂12の粘度ηと圧力差ΔPとの関係は、等温かつニュートン流体の場合、次式【数8】

【0030】で表される。ここで、流量Qを一定として、K=8LQ/(πR4 )とおくと、次式【数9】

【0031】と記述される。一方、粘性非ニュートン流体の粘度ηと温度Tとの関係は、次式【数10】

【0032】で表される。流量Qを一定とすると、剪断速度γも一定になる。
【0033】従って、前記式(6)、(7)から、次式【数11】

【0034】が導かれる。そして、この場合、ΔPとTとの関係は、温度Tの変動幅が良品が生産される微小範囲内で、C*Tの絶対値が1より小さい場合では一次式であると見做されるので、前記特性関数式(5)は、その温度Tを圧力差ΔPに置換することにより、次式【数12】

【0035】に変換することができる。すなわち、本発明は、圧力差ΔPに係る関数式(8)を用いて、言換えれば、温度変動をノズル部16における圧力差変動として検出しても、温度Tに係る前記関数式(5)を用いる場合と同様に、保圧制御を達成することが可能である。
【0036】ところで、本発明においては、前述のように、各種樹脂特性データの計測もしくは演算処理が行われる。そこで、以下に、これらに関して、次の項目、すなわち成形製品の平均重量の測定、比容積比の設定、等圧比容積比直線(特性関数)の作成、良品成形時の等圧比容積比直線の作成および温度変動に対する補正保圧力の設定の各項目に従って、順次説明する。なお、この説明において、溶融樹脂の温度Tと、その相当値(圧力差)ΔPに関しては、温度Tを主体的に圧力差ΔPを従属的に説明する。
【0037】先ず、成形製品の平均重量の測定においては、良品を成形できる基準成形条件(圧力P0 および基準温度T0 )を設定して、成形した複数の製品の平均重量W00を求め、その後前記基準成形条件(P0 、T0 )を変更して、各成形条件(P1 ,T1 )、(P1 ,T2 ) … (P2 ,T1 )、(P2 ,T2 )における、それぞれに対応する平均重量,W11、W12 … W21、W22を求める。
【0038】なお、この場合、基準成形条件は任意に選定することができ、また基準成形条件からの前記変更は、良品が成形される範囲内で行われる。
【0039】また、温度Tは、例えば溶融樹脂の射出成形機内への充填開始から保圧切換えまでの間をn分割して測定したn個の測定値の平均値とする。なお、温度Tが圧力差ΔPに代替される場合は、前記説明における温度およびその符号Tが、圧力差およびその符号ΔPに置換される。なお、この場合、前記各圧力差ΔPは、前記各温度Tに対応してそれぞれ計測される。
【0040】次に、比容積比の設定においては、前述したように、キャビティ12aの容量をQとすると、比容積はQ/Wで表されるので、基準および各成形条件下におけるそれぞれの比容積は、V00=Q/W00、V11=Q/W11、V12=Q/W12、…として求めることにより、比容積比VCすなわち基準比容積に対する各成形条件下の比容積の比を、VC11=V11/V00、VC12=V12/V00、…として求めることができる(表1参照)。なお、この場合にも、温度Tを圧力差ΔPに代替すると、温度およびその符号Tは、圧力差およびその符号ΔPに置換され、また表1は表2に変更される。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】次に、等圧比容積比直線の作成においては、先ず溶融樹脂の等圧温度上昇における熱膨張率(等圧熱膨張率)および等温加圧における圧縮率(等温圧縮率)を計測演算し、次いでこの計測演算データから、基準の温度、圧力における比容積に対する任意の温度、圧力における比容積の比を、圧力をパラメータとする複数の直線(すなわち、等圧比容積比直線)群として作成する。ところで、前記直線群(特性関数)は、前述したように、近似的には前記の一次式(5)
【数13】

【0044】で表されるべきものであるので、図3において、例えば圧力PjにおけるPOINTの略として示す点群POj1(T1 ,VCPj,T1 )、POj2(T2 ,VCPj,T2 )、…POjm(Tm ,VCPj,Tm )から、最少二乗法を用いて、設定すべき一次式VC(T)P=P1=aPj+bPj・Tにおける、その係数aPj、bPj、すなわち次式【数14】

【0045】を求めることにより、前記直線群(等圧比容積比直線)を作成することができる。
【0046】なお、温度Tを圧力差ΔPに代替する場合には、温度およびその符号Tが圧力差およびその符号ΔPに置換されると共に、前記式(5)が前記式(8)に変更される。
【0047】すなわち、前記説明において、近似的には次式(8)
【数15】

【0048】で表されるべきものであるので、図3において、例えば圧力Pjにおける点群POj1 (ΔP1 ,VC Pj,ΔP1)、POj2 (ΔP2 ,VC Pj,ΔP2)、…POjm(ΔPm ,VC Pj,ΔPm)から、最少二乗法を用いて、設定すべき一次式VC(ΔP)P=P1=aPj+bPj・ΔPにおける、その係数aPj、bPjは、次式【数16】

【0049】を求めることにより、前記直線群(等圧比容積比直線)を作成することができると置換変更される。
【0050】次に、良品成形時の等圧比容積比直線の作成においては、前述した等圧比容積比直線群から、良品成形時(圧力Ps、温度Ts)の一次式の係数as、bsを既知の係数から比例配分により求める(図4参照)。すなわち、求める圧力Psの前後の既知の圧力を、Pj 、Pj+1 ;但し、Pj ≦Ps≦Pj+1 とし、そして係数αを、α=(Ps−Pj )/(Pj+1 −Pj とおくと、良品成形時の保圧力に対する等圧比容積比直線は、次式【数17】

【0051】となり、従ってこの係数aPs、bPsから、P=Ps、T=Tsの時の比容積比は、次式【数18】

【0052】となる。すなわち、良品成形時の等圧比容積比直線が作成される。なお、温度Tを圧力差ΔPに代替する場合には、温度およびその符号Tが圧力差およびその符号ΔPに置換されることは明らかである。
【0053】最後に、温度変動に対する補正保圧力の設定、すなわち温度が基準温度Tsから基準外温度Ts′へ変動した場合に、比容積比を一定に維持するよう保圧力を基準圧力Psから補正圧力Ps′へ変更する補正は、下記のように行われる。すなわち、圧力(保圧力)がPs′の時の比容積比は、下記のように係数aPs' 、bPs' を設定すれば、式(9)の場合と同様に、次式【数19】

【0054】で表され、従って、温度がTs′の時の比容積比は、次式【数20】

【0055】で表される。そこで、両状態(Ps、Ts)、(Ps′、Ts′)の時の比容積比を一定にするには、【数21】

【0056】が成立すればよく、従って、前記両式(10)、(11)から、次式【数22】

【0057】が導かれる。すなわち、前記式(12)を解くことにより、所要の前記係数aPs' 、bPs' を設定することができる。なお、この場合、前記解には、解析的手法は適用できないので、繰返し計算を行う。すなわち、比容積比の初期値を或る手順で求め、この初期値と、圧力、温度がPs、Tsである時の目標比容積比VC(Ts)P=Psとの間の差を、許容値以内とするように繰返し計算を行う。例えば、図5を参照して、基準圧力Psにおける等圧比容積比直線と、もう1つの既知圧力Pkにおける等圧比容積比直線とから、温度Ts′における比容積比がVC(Ts)P=Psと等しくなる圧力s′を求める。そこで、前記既知圧力Pkでの等圧比容積比直線を選定するために、PkをPs近傍の圧力で、Ts′>Tsの時 Pk>PsTs′<Tsの時 Pk<Psの温度と比容積比の関係式が、既知の圧力(PjまたはPj+1)とする。このようにして、求めるPs′はPsとPkの間の圧力となるので、範囲を1/2ずつ狭めながら目標の圧力を求めることができる。すなわち、(1) 補正圧力(保圧力)の初期値を求める。
【0058】ΔPi=1/2・(Pk−Ps)とする。
【0059】(2) i=Ps+ΔPi(3) 比例配分の方法で係数APi、bPiを求め、圧力Pi温度Ts′の時の比容積比VC(Ts′)P=Piを演算する。
【0060】(4) この比容積比VC(Ts′)P=Piと、圧力Ps温度Tsの時の比容積比VC(Ts)P=Psとを比較し、そしてこの時両者の差が許容値以内ならば (5)へVC(Ts′)P=Pi<VC(Ts)P=Psならば、ΔPi=1/2・ΔPi、Pi=Pi−ΔPiVC(Ts′)P=Pi>VC(Ts)P=Psならば、ΔPi=1/2・ΔPi、Pi=Pi+ΔPi(3)へ、そしてこれにより、(5) Piを補正保圧力として設定することができる。
【0061】なお、温度Tを圧力差ΔPに代替する場合、すなわち樹脂温度変動に伴う圧力差変動に対する補正保圧力の設定において、圧力差が基準圧力差ΔPから基準外圧力差ΔP′へ変動した場合に、比容積比を一定に維持するよう保圧力を基準圧力Psから補正圧力Ps′へ変更する場合には、前述と同様に、温度およびその符号Tが圧力差およびその符号ΔPに置換されることは明らかである。
【0062】このように、本発明においては、溶融樹脂の保圧に適用される溶融樹脂特性関数は、その溶融樹脂データが温度、圧力および比容積比から構成されている。言い換えれば、従来のこの種の制御方法における比容積が比容積比(比容積の変化割合)に変更されている。従って、本発明の溶融樹脂特性関数は、その制御線図上の制御線が従来の比容積双曲線から比容積比直線へと変更されることにより、簡単(一次式)に構成されることは明らかである。また、本発明においては、溶融樹脂特性関数およびこれに対する補正保圧力は、その設定に係る重量計測に関する製品成形が、射出成形機の生産対象金型自体を用いて行われるよう構成されている。従って、本発明の溶融樹脂特性関数および補正保圧力は、実生産運転において、仮に前記生産対象金型が成形中に微小な型開きをするようなことがあっても、正確に適応されることは明らかである。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る射出成形機の保圧制御方法は、金型内へ充填した溶融樹脂を加圧してその冷却固化に伴う収縮を補充する射出成形機の保圧制御方法において、予め射出成形機の事前試験運転において溶融樹脂の温度および/またはその相当値、保圧力およびこれら各条件下における生産対象金型による成形製品の重量を繰返し計測することにより、これらの計測データから溶融樹脂の温度、保圧力および比容積比からなる比容積比特性関数と、この比容積比特性関数に対する異常温度時の良品生産のための補正保圧力とを演算設定し、射出成形機の実生産運転においてその保圧力を前記比容積比特性関数および前記補正保圧力を介して制御するよう構成されている。
【0064】換言すれば、本発明においては、溶融樹脂の保圧に適用される溶融樹脂特性関数は、その溶融樹脂データが温度、圧力および比容積比から構成されている。しかも、従来のこの種の制御方法における比容積が、比容積比(比容積の変化割合)に変更されている。従って、本発明の溶融樹脂特性関数は、その制御線図上の制御線が、従来の比容積双曲線から比容積比直線へと変更されることにより、簡単(一次式)に構成されることは明らかである。また、本発明においては、溶融樹脂特性関数およびこれに対する補正保圧力は、その設定に係る重量計測に関する製品成形が、射出成形機の生産対象金型自体を用いて行われるよう構成されている。従って、本発明の溶融樹脂特性関数および補正保圧力は、実生産運転において、仮に前記生産対象金型が成形中に微小な型開きがあっても、正確に適応し得ることは明らかである。
 

 
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