| 発明の名称 |
射出成形機の保圧制御方法および装置 |
|
| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平8−25441 |
| 公開日 |
平成8年(1996)1月30日 |
| 出願番号 |
特願平6−168495 |
| 出願日 |
平成6年(1994)7月20日 |
| 代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】浜田 治雄
|
| 発明者 |
村川 和生 / 田澤 進一 / 奥谷 敏 |
| 要約 |
目的 溶融樹脂の保圧に適用する溶融樹脂特性関数を射出成形機の事前試験運転においてこの射出成形機自体を介して計測設定することができる射出成形機の保圧制御方法およびその装置を提供する。
構成 溶融樹脂10を金型12内へ充填する保圧力制御手段14付きスクリュー装置16内において、溶融樹脂10の冷却固化温度T、保圧力P、比容積比VCおよび製品成形データを検出する温度、圧力および位置検出器18、20、22からなる検出部24と、事前の試験運転において、検出部24からの検出値に基づき、本発明に係る溶融樹脂比容積比特性関数およびこの関数に関する補正保圧力を演算設定する演算処理部26と、実生産運転において、異常樹脂温度時に補正保圧力を演算処理部26へ適用することによりスクリュー保圧力制御手段14をフィードバック制御する制御部28と、良品成形条件等を記憶する記憶部30と、記憶部30等のデータを演算処理部26に対して設定する設定器32とから構成される。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 金型内へ充填した溶融樹脂を加圧してその冷却固化に伴う収縮を補充する射出成形機の保圧制御方法において、溶融樹脂の前記加圧を、溶融樹脂の温度、圧力および比容積比からなる比容積比特性関数に基づいて制御することを特徴とする射出成形機の保圧制御方法。 【請求項2】 溶融樹脂の比容積比特性関数は、溶融樹脂の温度、圧力および比容積比から溶融樹脂の等圧温度上昇における熱膨張率および等温加圧における圧縮率を演算設定することにより、特定の基準温度、圧力における比容積に対する任意の温度、圧力における比容積の比を、圧力をパラメータとする複数の等圧比容積比直線群から表示するように構成してなる請求項1記載の射出成形機の保圧制御方法。 【請求項3】 溶融樹脂の温度、圧力および比容積および/または比容積比は、射出成形機に付設する検出演算手段を介して、射出成形機の生産運転に先立つ試験運転において、予め計測算定してなる請求項1記載の射出成形機の保圧制御方法。 【請求項4】 溶融樹脂の温度、圧力および比容積および/または比容積比は、物性値として既知である請求項1記載の射出成形機の保圧制御方法。 【請求項5】 溶融樹脂を金型内へ充填する保圧力制御手段付きスクリュー装置内において、溶融樹脂の樹脂温度、保圧力、比容積比および製品成形データを検出する検出部と、事前の試験運転において、前記検出部から検出された樹脂温度、保圧力および比容積比から溶融樹脂の比容積比特性関数を演算設定すると共に、同じく検出された前記製品成形データから前記比容積比特性関数に対する異常樹脂温度時の良品生産のための補正保圧力を演算設定する演算処理部と、実際の生産運転において前記異常樹脂温度時に前記補正保圧力を前記演算処理部へ適用することにより、前記スクリュー保圧力制御手段をフィードバック制御する制御部とから構成することを特徴とする射出成形機の保圧制御装置。 【請求項6】 溶融樹脂の特性関数および/または補正保圧力等の良品成形条件を記憶する記憶部と、これらを演算処理部に対して設定する設定器とを有する請求項5記載の射出成形機の保圧制御装置。 【請求項7】 溶融樹脂の比容積比特性関数は、検出部の検出値から溶融樹脂の等圧温度上昇における熱膨張率および等温加圧における圧縮率を演算設定することにより、特定の基準温度、保圧力における比容積に対する任意の温度、保圧力における比容積の比を、保圧力をパラメータとする複数の等圧比容積比直線群から表示するように構成してなる請求項5記載の射出成形機の保圧制御装置。 【請求項8】 異常樹脂温度に対する補正保圧力は、良品生産中の溶融樹脂の温度および圧力を計測して等圧比容積比直線群関数における良品生産時の保圧力に対する等圧比容積比直線および比容積比を演算設定しておくことにより、前記良品生産時の比容積比と等しくなるような保圧力に演算設定される請求項5記載の射出成形機の保圧制御装置。
|
発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、金型内へ充填した溶融樹脂を加圧してその冷却固化に伴う収縮を補充する射出成形機の保圧制御方法および装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、射出成形機においては、その使用溶融樹脂材料が温度および圧力に対応して比容積が変動する粘弾性体である。このため、その成形製品は、成形中の製品重量を一定にして品質を安定化させるため、通常充填溶融樹脂の冷却固化に対応して加圧力を制御する、いわゆる保圧制御が適用される。なお、この保圧制御は公知であり、この制御には、いわゆる溶融樹脂のP(圧力)−V(比容積)−T(温度)線図に基づくプロファイル制御、すなわち圧力Pをパラメータとする比容積V−温度T線図を介して温度Tの変動に対応して比容積Vを一定とするよう圧力Pを制御する方法(以下、単にP−V−T制御と称する)が、従来から好適に適用されている。 【0003】このように、従来のP−V−T制御によれば、製品の重量が成形工程を通して一定に維持されるので、品質の安定性が確保される。 【0004】なお、このP−V−T制御において、P−V−T線図の作成には、既知の物性データが用意されていない場合は、その都度特別の計測装置を用いて、前記物性データを予め計測しなければならない。しかるに、これらの計測作業には多大の手間を必要とするので、近来この不便を解消すべく、前記データ計測および線図作成を、射出成形機の事前試験運転中に行うこと(以下、事前線図作成方式と称する)が提案されている(例えば、特開平3ー277522号公報参照)。 【0005】この事前線図作成方式によれば、物性データが存在しない場合でも、比較的容易に前記P−V−T線図を作成することができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した従来のP−V−T制御に係る射出成形機の保圧制御方法およびその装置は、以下に述べるような難点を有していた。 【0007】なお、この難点は、主としてP−V−T線図に係る溶融樹脂の物性データの計測および線図の作成並びに関数化処理に関するものである。従って、特に前述した事前線図作成に係るものであるので、以下の説明においては、この作成方式に関して述べる。 【0008】すなわち、先ず初めに、P−V−T制御においては、その線図を構成する溶融樹脂の物性データが圧力、比容積および温度から形成されており、この中の比容積はその単位を溶融樹脂の体積対重量の比で表している。しかるに、これらの単位の中の前記重量は、射出成形機自体を介して計測することはできない。なお、圧力、温度および体積(体積比)は、後述する本発明の説明においても詳述されるように、容易に計測し得るので、仮に事前線図作成方式を採用したとしても、従来の方法および装置においては、なお少なくとも重量計測装置は特別に必要であり、従ってかなりの費用と手間を要することには変わりがなかった。 【0009】また、前記P−V−T制御においては、そのP−V−T線図が、物性上から双曲線となるので、線図作成および関数化処理が複雑となる難点を有していた。さらに、このようなP−V−T制御においては、一般に、溶融樹脂データベースの追加が困難である等の難点も有していた。 【0010】そこで、本発明の目的は、溶融樹脂の保圧に適用される溶融樹脂の特性関数を比較的簡単に構成すると共に、この特性関数を構成する溶融樹脂データを、射出成形機の事前試験運転において、この射出成形機自体を介し特別の計測装置を要することなく容易に計測することができる射出成形機の保圧制御方法および装置を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】先の目的を達成するために、本発明に係る射出成形機の保圧制御方法は、金型内へ充填した溶融樹脂を加圧してその冷却固化に伴う収縮を補充する射出成形機の保圧制御方法において、溶融樹脂の前記加圧を、溶融樹脂の温度、圧力および比容積比からなる比容積比特性関数に基づいて制御することを特徴とする。 【0012】この場合、溶融樹脂の比容積比特性関数は、溶融樹脂の温度、圧力および比容積比から溶融樹脂の等圧温度上昇における熱膨張率および等温加圧における圧縮率を演算設定することにより、特定の基準温度、圧力における比容積に対する任意の温度、圧力における比容積の比を、圧力をパラメータとする複数の等圧比容積比直線群から表示するように構成することができる。 【0013】また、溶融樹脂の温度、圧力および比容積および/または比容積比は、射出成形機に付設する検出演算手段を介して、射出成形機の生産運転に先立つ試験運転において、予め計測算定することができる。さらに、溶融樹脂の温度、圧力および比容積および/または比容積比は、物性値として既知である。 【0014】一方、本発明に係る射出成形機の保圧制御装置は、溶融樹脂を金型内へ充填する保圧力制御手段付きスクリュー装置内において、溶融樹脂の樹脂温度、保圧力、比容積比および製品成形データを検出する検出部と、事前の試験運転において、前記検出部から検出された冷却温度、保圧力および比容積比から溶融樹脂の比容積比特性関数を演算設定すると共に、同じく検出された前記製品成形データから前記比容積比特性関数に対する異常樹脂温度時の良品生産のための補正保圧力を演算設定する演算処理部と、実際の生産運転において前記異常樹脂温度時に前記補正保圧力を前記演算処理部へ適用することにより前記スクリュー保圧力制御手段をフィードバック制御する制御部とから構成することを特徴とする。 【0015】この場合、溶融樹脂の特性関数および/または補正保圧力等の良品成形条件を記憶する記憶部と、これらを演算処理部に対して設定する設定器と設ける。 【0016】また、溶融樹脂の比容積比特性関数は、検出部の検出値から溶融樹脂の等圧温度上昇における熱膨張率および等温加圧における圧縮率を演算設定することにより、特定の基準温度、保圧力における比容積に対する任意の温度、保圧力における比容積の比を、保圧力をパラメータとする複数の等圧比容積比直線群から表示するように構成することができる。 【0017】さらに、異常冷却温度に対する補正保圧力は、良品生産中の溶融樹脂の温度および圧力を計測して等圧比容積比直線群関数における良品生産時の保圧力に対する等圧比容積比直線および比容積比を演算設定しておくことにより、前記良品生産時の比容積比と等しくなるような保圧力に演算設定することができる。 【0018】 【作用】本発明においては、溶融樹脂の保圧に適用される溶融樹脂の特性関数は、温度、圧力および比容積比からなる溶融樹脂データから演算設定される複数の等圧比容積比直線群から表示されている。言い換えれば、本発明においては、従来のこの種の方法および/または装置における溶融樹脂データの中の比容積が比容積比(比容積の変化割合)に変更される。これにより、制御線図上の制御線が比容積双曲線から比容積比直線へと変更される。従って、本発明によれば、溶融樹脂の特性関数が簡単(一次式)となることは明らかであり、しかもこの関数を構成する溶融樹脂データは、その単位が温度、圧力および長さ(体積)から構成されており、比容積そのものは含まれていないことから、いずれも射出成形機の事前試験運転においてこの射出成形機自体を介して、重量測定装置など特別の計測装置を要することなく、容易に計測することができる。 【0019】 【実施例】次に、本発明に係る射出成形機の保圧制御方法につき、この方法を実施する装置との関係において、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。 【0020】図1は、本発明に係る射出成形機の保圧制御方法を実施する装置の一実施例を示すシステムブロック図である。本発明の保圧制御装置は、基本的には、溶融樹脂10を金型12のキャビティ12a内へ充填する保圧力制御手段(電磁圧力弁)14付きスクリュー装置16内において、溶融樹脂10の樹脂温度T、保圧力P、比容積比VCおよび製品成形データを検出する温度検出器18、圧力検出器20および位置検出器22からなる検出部24と、事前の試験運転において、検出部24から検出された樹脂温度T、保圧力Pおよびスクリュー位置から演算された比容積比VCから溶融樹脂の比容積比特性関数を演算設定すると共に、同じく検出された製品成形データから比容積比特性関数に対する、異常樹脂温度時の良品生産のための補正保圧力を演算設定する演算処理部26と、実際の生産運転において、異常樹脂温度時に補正保圧力を演算処理部26へ適用することによりスクリュー保圧力制御手段14をフィードバック制御する制御部28と、溶融樹脂の特性関数および/または補正保圧力等の良品成形条件を記憶する記憶部30と、および記憶部30等のデータを演算処理部26に対して設定する設定器32とから構成されている。なお、図中の、参照符号36はスクリュー回転モータを示し、そして38は油圧ポンプを示す。 【0021】このように、本発明によれば、金型12内へ充填される溶融樹脂10は、比容積比特性関数に基づく加圧力で保圧制御することにより、その冷却固化に伴う収縮を補充するように構成されている。なお、ここで、本発明の前記比容積比特性関数は、これまでの説明から既に理解されるところであるが、溶融樹脂はその圧力が一定であれば、その比容積は温度に比例する。すなわち、公知のように、溶融樹脂の特性は、いわゆるスペンサー−ギルモア(Spenser-Gilmore )の状態方程式で表わされることを利用するものである。そこで、前記状態方程式およびこれから導かれる本発明の前記特性関数について説明する。 【0022】先ず、スペンサー−ギルモアの状態方程式は、次式【数1】
【0023】で表わされる。なお、前記式(1)は、これから導かれるPVT制御双曲線線図を介して、温度Tの変動に対応して比容積Vを一定とするように圧力Pを制御する、いわゆるP−V−T制御に適用される基礎方程式であるが、このことは既に前述した通りである。 【0024】そこで、次に、本発明の比容積比特性関数について説明するが、このために先ず、同じ重量の溶融樹脂が直径Dの円筒(スクリューバレル)内に存在する場合を想定すると(図2参照)、この場合、比容積=断面積・長さ/重量となり、次式【数2】
【0025】が成立するので、これから、比容積Vとストローク長Lの関係は、次式【数3】
【0026】で表わされる。そこで、前記式(2)を前記スペンサー−ギルモアの状態方程式(1)に代入すると、言い換えれば、前記式(1)中の比容積Vをストローク長Lで置換えると、前記状態方程式(1)は、次式【数4】
【0027】に変換される。そして、さらに整理すると、次式【数5】
【0028】が導かれる。すなわち、前記式(3)が、本発明の比容積比特性関数を規定する基礎方程式であり、そして前記式(3)は、ストローク長Lが温度Tに比例し、圧力Pに反比例する一次関数であること、従って制御線図上の制御線、すなわち圧力Pをパラメータとするストローク長L−温度T線図は、直線に設定されることを示している。すなわち、前記式(3)において圧力Pを一定Pcとすると、次式【数6】
【0029】が導かれる。そして、前記式(4)は、圧力Pをパラメータとする複数の直線群として、次式【数7】
【0030】と記述することができる。そして、このストローク長L(T)P=Piは、或る基準の温度Tc、圧力Pcにおけるストローク長L(Tc)P=Pi=cPc+dPc・Tcとの比として、次式【数8】
【0031】と記述することができる。すなわち、前記式(5)が、本発明の等圧比容積比直線を表わす特性関数である。そして、この直線群を使用することにより、温度変動を保圧力で補正することができる。 【0032】ところで、本発明においては、前記比容積比特性関数の他に、良品成形時の等圧比容積比直線および温度変動に対する補正保圧力が設定される。そして、この設定は、これに要する溶融樹脂物性データの計測および演算処理を射出成形機自体を介して行なうことにより達成される。そこで、次に、これらの計測および演算処理につき以下順次説明する。なお、この計測および演算処理は、前述のように、射出成形機自体を介することなく、別に設ける特別の計測装置を用いて行うこともできる。しかしながら、この場合は、かなりの費用と手間が別に必要となることは明らかである。 【0033】先ず、比容積比特性関数の設定は、溶融樹脂の等圧温度上昇における熱膨張率(等圧熱膨張率)および等温加圧における圧縮率(等温圧縮率)を計測演算し、これから、特定の基準温度、圧力における比容積に対する任意の温度、圧力における比容積の比を、圧力をパラメータとする複数の等圧比容積比直線から作成することにより達成される。 【0034】すなわち、等圧熱膨張率は、図3において、一定圧力P1の下で温度Tiを変化させ、この時のストローク差LP1,Ti を計測する。なおこの場合、ストロークと比容積(重量)の比例関係を保持するため、計測はバレル16b径の左右両側で2回行い、その計測差を対象とする。但し、ノズルおよびバレル前部の形状が既知であって、等価ストロークLeを計算できる場合には、右側1回のみの計測で充分である。 【0035】次に、等温圧縮率は、図4において、一定温度T1の下で圧力Pjを変化させて、この時のストローク差LPj,T1 を計測する。なお、この計測は、等圧熱膨張率計測の場合と同様に、等価ストロークLeを計算できる場合を除き、2回行なわれる。そして、この計測を温度Tiを変化させて繰返し行うことにより、異なる温度のストローク差LPj,Ti を計測する。 【0036】そして、最後に、等圧比容積比直線の作成は、図5を参照して、圧力P1における等圧熱膨張ストローク差の前記計測結果LP1,Ti から、温度T1、圧力P1におけるストローク差LP1,T1 に対する比容積比、すなわち、次式【数9】
【0037】を演算する。そして前記式(6)の点を基準にして、等温圧縮ストローク差の前記計測結果LPj,Ti の点から、比容積比CSPj,Ti の点、すなわち次式【数10】
【0038】を演算する。そして、その上で、最少二乗法を使用して圧力Pをパラメータとして一次式に近似すべく、POINTの略として示す点群POj1(T1 ,CSPj,T1 )、POj2(T2 ,CSPj,T2 )、…POjm(Tm ,CSPj,Tm )を用いて、設定すべき一次式VC(T)P=P1=aPj+bPj・Tの係数、すなわち次式【数11】
【0039】を求める。これにより、等圧比容積比直線群を作成することができる。 【0040】次に、良品成形時の等圧比容積比直線は、前述した等圧比容積比直線群から良品成形時の一次式の係数as、bsを既知の係数から比例配分して求めることにより設定することができる(図6参照)。すなわち、求める圧力Psの前後の圧力をPj 、Pj+1 、但し、Pj ≦Ps≦Pj+1 とし、そして係数αを、α=(Ps−Pj )/(Pj+1 −Pj )とおくと、良品成形時の保圧力に対する等圧比容積比直線は、次式【数12】
【0041】として設定され、この係数aPs、bPsから、P=Ps、T=Tsの時の比容積比は、次式【数13】
【0042】として設定することができる。 【0043】前述した等温圧縮率および等圧熱膨張率に基づく、等圧比容積比直線を作成する手順を示せば、図7に示す通りである。 【0044】最後に、温度変動に対する保圧力の補正、すなわち温度が基準温度Tsから基準外温度Ts′へ変動した場合に、保圧力を基準圧力Psから補正圧力Ps′へ変更する補正は、比容積比を一定に維持するよう、次のようにして設定される。すなわち、圧力(保圧力)がPs′の時の比容積比は、下記のように係数aPs'、bPs' を設定すれば、式(7)の場合と同様に、次式【数14】
【0045】で表される。従って、温度がTs′の時の比容積比は、次式【数15】
【0046】で表される。そこで、両状態(Ps、Ts)、(Ps′、Ts′)の時の比容積比を一定にするには、次式【数16】
【0047】が成立すればよく、従って前記両式(7)、(8)から次式【数17】
【0048】が導かれる。すなわち、前記式(9)を解くことにより、所要の前記係数aPs'、bPs' を設定することができる。なお、この場合、前記解には解析的手法は適用できないので、繰返し計算を行う。すなわち、比容積比の初期値を或る手順で求め、この初期値と、圧力、温度がPs、Tsである時の目標比容積比VC(Ts)P=Psとの間の差を許容値以内とするよう繰返し計算を行う。例えば、図8を参照して、基準圧力Psにおける等圧比容積比直線と、もう1つの既知圧力Pkにおける等圧比容積比直線とから、温度Ts′における比容積比がVC(Ts)P=Psと等しくなる圧力s′を求める。そこで、前記既知圧力Pkでの等圧比容積比直線を選定するために、PkをPs近傍の圧力で、次式Ts′>Tsの時 Pk>PsTs′<Tsの時 Pk<Psの温度と比容積比の関係式が既知の圧力(PjまたはPj+1)とする。この時、求めるPs′はPsとPkの間の圧力となるので、範囲を1/2ずつ狭めながら目標の圧力を求めることができる。すなわち(1) 補正圧力(保圧力)の初期値を求める。 【0049】ΔPi=1/2・(Pk−Ps)とする。 【0050】(2) Pi=Ps+ΔPi(3) 比例配分の方法で係数APi、bPiを求め、圧力Pi温度Ts′の時の比容積比VC(Ts′)P=Piを演算する。 【0051】(4) この比容積比VC(Ts′)P=Piと、圧力Ps温度Tsの時の比容積比VC(Ts)P=Psとを比較し、この時両者の差が許容値以内なら (5)へ、VC(Ts′)P=Pi<VC(Ts)P=Psならば、ΔPi=1/2・ΔPi、Pi=Pi−ΔPiVC(Ts′)P=Pi>VC(Ts)P=Psならば、ΔPi=1/2・ΔPi、Pi=Pi+ΔPi(3)へ、そしてこれにより(5) Piを補正保圧力として設定する。 【0052】このように、本発明によれば、金型内へ充填される溶融樹脂は、溶融樹脂の温度、圧力および比容積比(比容積の絶対値ではなく比容積の変化割合)からなる比容積比特性関数を介して、しかもその補正保圧力により加圧制御される。従って、溶融樹脂の冷却収縮が良好に補充され、射出成形製品の品質が確保される。さらに、本発明の前記比容積比特性関数は、これを構成する溶融樹脂データの単位が温度、圧力および長さ(比容積比)から構成されていることから、いずれも射出成形機の事前試験運転において、この射出成形機自体を介して簡単に、すなわち特別の計測装置、殊に重量計測装置を要することなく、しかも使用樹脂に即応して計測設定することができる。従って、従来のこの種のものに比較して、設定樹脂特性の偏差が皆無になると同時に、操作性、殊に安全性が、重量測定に伴う高温溶融樹脂取扱いがなくなるので向上される。また、金型、製品取出し機、重量測定装置等のインタフェース或いは周辺装置が不要となるので、構造が簡単となると同時に、自動化への対応が容易となる等の利点が併せて発揮される。 【0053】以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、その精神を逸脱しない範囲内において多くの設計変更が可能である。 【0054】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る射出成形機の保圧制御方法は、金型内へ充填した溶融樹脂を加圧してその冷却固化に伴う収縮を補充する射出成形機の保圧制御において、溶融樹脂の前記加圧を、溶融樹脂の温度、圧力および比容積比からなる比容積比特性関数を介して制御するよう構成されている。また、本発明に係る射出成形機の保圧制御装置は、溶融樹脂を金型内へ充填する保圧力調整装置付きスクリュー内において、溶融樹脂温度、保圧力、比容積比および製品成形データを検出する検出部と、事前の試験運転において、前記検出部から検出された冷却温度、保圧力および比容積比から溶融樹脂比容積比特性関数を演算設定すると共に、同じく検出された前記製品成形データから前記比容積比特性関数に対する、異常樹脂温度時の良品生産のための補正保圧力を演算設定する演算部と、実生産運転において、前記異常樹脂温度時に前記補正保圧力を前記演算部へ適用することにより、前記スクリュー保圧力調整装置をフィードバック制御する調整部とから構成される。 【0055】すなわち、要約的に換言すれば、本発明においては、金型内へ充填される溶融樹脂は、溶融樹脂の温度、圧力および比容積比(比容積の絶対値ではなく比容積の変化割合)からなる比容積比特性関数を介して、その補正保圧力により加圧制御される。従って、溶融樹脂の冷却収縮が良好に補充されて射出成形製品の品質が確保される。さらに、本発明の前記比容積比特性関数は、これを構成する溶融樹脂データの単位が温度、圧力および長さ(比容積比)から構成されていることから、いずれも射出成形機の事前試験運転において、この射出成形機自体を介して簡単に、すなわち特別の計測装置、殊に重量計測装置を要することなく、しかも使用樹脂に即応して計測設定することができる。従って、従来のこの種のものに比較して、設定樹脂特性の偏差が皆無になると同時に、操作性、殊に安全性が、重量測定に伴う高温溶融樹脂取扱いがなくなるので向上する。さらに、金型、製品取出し機、重量測定装置等のインタフェース或いは周辺装置が不要となるので、構造が簡単となると同時に、自動化への対応が容易となる等の利点が併せて発揮される。
|
|