| 発明の名称 |
工作機械の主軸頭潤滑冷却装置 |
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| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平8−25174 |
| 公開日 |
平成8年(1996)1月30日 |
| 出願番号 |
特願平7−87039 |
| 出願日 |
平成7年(1995)4月12日 |
| 代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
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| 発明者 |
細 川 裕 / 細 井 春 治 |
| 要約 |
目的 主軸と主軸頭内部の温度を統合的に温度管理できるように潤滑油移送手段を用いて主軸頭を潤滑した油を主軸の冷却油回路の冷却装置に戻すようにして、主軸頭内の熱変位を抑制するとともに、主軸頭内からの潤滑油の漏洩を防止する。
構成 冷却装置12の出口側の配管64を潤滑油回路と冷却油回路との2系統に分岐させるとともに、冷却油回路の戻り側の配管にベンチュリ管38を配設し、ベンチュリ管38と潤滑油回路のオイルバス18とを配管43、44により接続する。 |
特許請求の範囲
【請求項1】貯留用タンクに貯留された冷却用油を冷却して吐出する冷却装置と、前記冷却装置の出口側配管を2系統に分岐して構成された、工作機械の主軸頭内部の要給油部位に潤滑油を供給する潤滑油回路と、工作機械の主軸を経由し前記貯留用タンクに戻る工作機械の主軸冷却用油が循環する冷却油回路と、前記潤滑油回路から供給された潤滑油を回収するオイルバスと、前記オイルバスに回収された潤滑油を前記貯留用タンクに移送する手段と、を備えてなる工作機械の主軸頭潤滑冷却装置。 【請求項2】潤滑油回路と冷却油回路とは三方弁を介して冷却装置の出口側配管に接続されている請求項1記載の主軸頭潤滑冷却装置。 【請求項3】前記三方弁の下流位置には流量調整手段が配設されている請求項2記載の主軸頭潤滑冷却装置。 【請求項4】流量調整手段が絞り弁であることを特徴とする請求項3記載の主軸頭潤滑冷却装置。 【請求項5】オイルバスから貯留用タンクへの潤滑油の移送手段は、工作機械の主軸を経由した後の冷却油回路中に配設され吸込口が前記オイルバスに連結されているベンチュリ管である請求項1記載の主軸頭潤滑冷却装置。 【請求項6】ベンチュリ管は互いに並列に複数個配設されている請求項5記載の主軸頭潤滑冷却装置。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、工作機械の主軸頭内部の軸受や歯車を潤滑した油を主軸の冷却油回路に回収するように構成することにより、主軸頭の潤滑、温度管理と主軸の冷却とを統合して行えるようにした工作機械の主軸頭潤滑冷却装置に関する。 【0002】 【従来の技術】工作機械の加工精度を高精度に安定して維持するためには、主軸の温度管理と、主軸頭内部の軸受、歯車等への適正な潤滑が不可欠となる。図3は、マシニングセンタにおける従来の主軸の冷却油回路を示す。図において、符合10は工作機械の主軸を示し、符合11は主軸10を回転駆動する主軸モータを示す。冷却装置12は、潤滑油を貯留する貯留用タンク13と、タンク13内の潤滑油を吸引し吐出するポンプ14とを備え、ポンプ14から吐出された潤滑油は冷却器63を経て冷却されるようになっている。図4に冷却器63により潤滑油を冷却する冷却回路の構成を示す。この冷却装置12では、圧縮機60の吐出側は、凝縮器61、キャピラリチューブ62、冷却器63と順に接続され、冷凍サイクルが構成されている。 【0003】従って、ポンプ14から吸引された潤滑油は冷却器63側に送られ、冷却器63で熱交換される。この冷却された油は冷却装置12の油出口65から吐出されて冷却油回路を流れ、工作機械の主軸10の回りに配設された油溝16ならびに主軸モータ11の回りに設けられた油溝17に定常的に流れることにより、これらの部位から熱を奪うので、主軸10、主軸モータ11の温度上昇を防止することができる。 【0004】一方、主軸頭内部には、オイルバス18が設けられ、このオイルバス18に溜まった油は、オイルフィルタ19を介してオイルポンプ20で吸込まれ、このオイルポンプ20から吐出された油がマニフォルド21、給油管30,31,32を介して主軸頭内部の軸受33a,33b,33c,歯車34などの潤滑が必要な各部に給油する潤滑油回路が配設されている。そしてこの給油された油滑油は再びオイルバス18に回収されるようになっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このように、従来の工作機械においては、主軸の冷却油回路と、主軸頭の潤滑油回路が独立して設けられており、主軸頭を潤滑した油は、オイルパンからオイルバスに戻されても冷却されない構成になっていた。このため、主軸を冷却しているにもかかわらず、発熱箇所としての軸受、歯車が組み込まれている主軸頭内部は、工作機械の運転時間の経過とともに時間に比例して昇温していた。この発熱のために、主軸頭から主軸にかけて温度勾配が生じ、機械各部に熱変位が生じるこの熱変位は、機械各部の温度分布が一定になるまで継続し、その間は、工作精度が不安定になるという問題があった。また、オイルパンには加熱された潤滑油が戻されるため、主軸頭内の空気圧が上昇し、主軸頭の下部から潤滑油が吹き出すという問題があった。 【0006】本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、主軸と主軸頭内部の温度を統合的に管理し、主軸頭内の熱変位を少なくすることのできる工作機械の主軸頭潤滑冷却装置を提供することを目的とする。また、主軸頭内の圧力の上昇を抑制し、主軸頭下部からの潤滑油の吹き出しを防止することのできる工作機械の主軸頭潤滑冷却装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するために、本発明は、貯留用タンクに貯留された冷却用油を冷却して吐出する冷却装置と、冷却装置の出口側配管を2系統に分岐して構成された、工作機械の主軸頭内部の要給油部位に潤滑油を供給する潤滑油回路と、工作機械の主軸を経由し貯留用タンクに戻る工作機械の主軸冷却用油が循環する冷却油回路と、潤滑油回路から供給された潤滑油を回収するオイルバスと、オイルバスに回収された潤滑油を貯留用タンクに移送する手段と、を備えてなることを特徴とするものである。 【0008】また本発明は、潤滑油回路と冷却油回路とを三方弁を介して冷却装置の出口側配管に接続したことを特徴とするものである。 【0009】また本発明は、三方弁の下流位置に流量調整手段を配設したことを特徴とするものである。 【0010】また本発明は、流量調整手段が絞り弁であることを特徴とするものである。 【0011】また本発明は、オイルバスから貯留用タンクへの潤滑油の移送手段が、工作機械の主軸を経由した後の冷却油回路中に配設され、吸込口がオイルバスに連結されているベンチュリ管であることを特徴とするものである。 【0012】また本発明は、ベンチュリ管が互いに並列に複数個配設されていることを特徴とするものである。 【0013】 【作用】本発明によれば、潤滑油回路を流れる油により主軸頭の軸受、歯車など主軸頭内各部が潤滑され、一方、冷却油回路を循環する油によって主軸が冷却される。主軸頭内各部を潤滑した潤滑油はオイルバスに回収され、このオイルバスに回収された潤滑油は潤滑油移送手段により吸引されて冷却装置の貯留用タンクに移送される。このため、主軸頭を潤滑して温度の上昇した油を冷却装置で冷却してから再循環させることができるので、主軸頭内の温度上昇を防止し、主軸頭から主軸にかけての熱変位を抑制することができる。 【0014】 【実施例】以下、本発明による工作機械の主軸頭潤滑冷却装置の一実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、前述した従来例と同一の構成要素には、同一の参照符合を付して説明する。図1は、本発明の一実施例を示す配管系統図である。本実施例おいて、冷却装置12の油出口65に接続された出口側配管64には三方弁24が配設され、この三方弁24を介して、出口側配管64が潤滑油回路66と冷却油回路68の2系統に分岐されている。 【0015】潤滑油回路66はマニフォルド21を介してさらに主軸頭内の軸受33a,33b,33c、歯車34などの潤滑が必要な各部に給油する給油管30,31,32に分岐されている。また、冷却油回路68は、主軸10の外周囲に形成された油溝16へ接続され、さらに主軸モータ11の油溝17を経て、再び冷却装置12の貯留用タンク13に戻るよう構成されている。 【0016】潤滑油回路66の三方弁24とマニフォルド21との間には、流量調整手段、たとえば絞り弁55が配設されている。また冷却油回路68の三方弁24の下流位置にも絞り弁56が配設され、潤滑油回路66と冷却油回路68とをそれぞれ流れる潤滑油の流量が調整されている。この油の流量調整は、冷却油回路68を流れる潤滑油の方が、潤滑油回路66を流れる量より多くなるよう調整することが望ましい。 【0017】潤滑油回路66から供給される潤滑油は、主軸頭内の軸受33a,33b,33c、歯車34などの潤滑が必要な各部に給油された後、その下方に配設されているオイルパンなどに落下し、さらに主軸頭内部のオイルバス18に流入して貯留される。 【0018】冷却油回路68の戻り側回路68aには、三方弁37を用いて並列回路68bが構成され、この並列回路68bにそれぞれベンチュリ管38が配設されている。ベンチュリ管38は、図2にその一例を示すように、ボディ48の両端に互いに連通する入口部46と出口部50とを有し、この入口部46と出口部50との間に、中間室52、のど部53、ディフューザ部49が形成されている。中間室52にはノズル47が装着され、のど部53は流路が絞られた狭隘な流路断面形状を有している。また、ディフューザ部49は出口部50に向けて拡経する形状を有している。さらに、ボディ48の側部には吸込口51が形成され、この吸込口51は中間室52を経てのど部53に連通している。 【0019】ベンチュリ管38の入口部46、出口部50には、それぞれ冷却油回路68の並列回路68bが接続され、吸込口51には、オイルバス18から引出された配管43,44が接続されている。 【0020】次に、このような構成からなる本実施例の作用について説明する。冷却装置12のポンプ14により貯留用タンク13から吸上げられた潤滑油は、冷却器63を経て冷却された後、吐出口65から吐出される。三方弁24を経て潤滑油回路66へ流れた潤滑油は、さらにマニフォルド21により分岐され、それぞれ主軸頭内の軸受33a,33b,33c、歯車34など、潤滑が必要な箇所に供給れる。そしてこれらの潤滑油は、潤滑作用を行った後落下して、主軸頭内部のオイルバス18に集められる。 【0021】一方、三方弁24を経て冷却油回路68へ流れた潤滑油は、主軸10、主軸モータ11のそれぞれの油溝16,17に送られ、これらを冷却した後、戻り側回路68aを経て冷却装置12の貯留用タンク13へ戻される。この戻り側回路68aを流れる際、潤滑油はベンチュリ管38内を通過するので、ベンチュリ管38の作用により、吸込口51に負圧が生じ、オイルバス18の油が吸込口51に接続されている配管43,44を通してベンチュリ管38側に吸引される。この吸引された潤滑油は冷却油回路68の戻り側回路68aを経て、冷却装置12の貯留用タンク13に戻される。 【0022】このように、本実施例によれば、冷却油回路68を流れる潤滑油だけでなく、潤滑油回路66を流れる潤滑油もオイルバス18から吸引されて、冷却装置12の貯留用タンク13に戻され、冷却器63を経て冷却された後、再び循環される。 【0023】従って、主軸頭内の各部を潤滑する潤滑油の温度管理を確実に行うことができ、主軸頭内部の温度を安定化することができる。これにより、主軸10の熱変位が抑制され、加工精度の向上を図ることができる。 【0024】また絞り弁55,56を用いて冷却油回路68へ流れる潤滑油の流量を調整し、ベンチュリ管38による吸引力とオイルバス18に貯留される油量とのバランスがとられているので、オイルバス18に所定以上の潤滑油が溜まることなく、確実に潤滑油回路66の潤滑油を循環させることができる。これにより、潤滑油の温度が上昇し、主軸頭内部の空気圧が上昇しても、主軸頭下部から潤滑油が吹き出すことを防止できる。 【0025】さらに、主軸頭内のオイルバス18の空気圧力は、常時密閉されているために、歯車や軸受による回転の影響を受けて常圧以上になるが、ベンチュリ管38の吸引作用により潤滑油と同時に空気も回収されるため、主軸頭内の空気圧力の上昇を防止し、潤滑油の吹き出しを防止することもできる。 【0026】表1及び2は、本実施例の効果を確認するために行った温度測定結果を示すもので、表1は、本実施例を適用した場合を示し、表2は従来例を示している。すなわち、工作機械の主軸を毎分1万回転で5時間以上連続運転して、主軸頭内各箇所の温度変化を測定比較した。この表からも明らかなように、温度上昇の最も大きい、主軸受上部B(図1,3参照)、主軸支持軸受33a、モータ軸支持下軸受33b、モータ軸支持上軸受33cの各部の温度上昇は、本実施例を適用したもののほうが、適用しない従来のものよりも小さく抑えられている。 【0027】 【表1】
【0028】 【表2】
なお本実施例においては、オイルバス18から貯留用タンク13へ潤滑油を移送する手段として、ベンチュリ管38を用いた例を示したが、ベンチュリ管以外の吸引手段、例えば油ポンプを用いて潤滑油を移送するようにしてもよい。 【0029】また、ベンチュリ管38を2個並列した例を示したが、この数はオイルバス18から回収する潤滑油量に応じて適宜増減することができる。 【0030】さらに、冷却油回路68を主軸10を経て主軸モータ11に流れる回路としたが、主軸10と主軸モータ11に別々に並列して流れる回路としてもよい。 【0031】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、冷却装置の出口側の配管を前記潤滑油回路と冷却油回路との2系統に分岐させるとともに、潤滑油回路のオイルバスと冷却装置の貯留用タンクとを潤滑油移送手段を介して接続しているので、主軸頭の潤滑油回路を流れた油を、冷却装置の貯留用タンクに回収し冷却することができる。これにより、主軸頭の潤滑に加えて、主軸および主軸頭の温度管理を統合して行うことができるので、主軸頭内の熱変位を抑制して加工精度の安定化を達成することができる。 【0032】また、オイルバス内の貯留潤滑油量が減少し、潤滑油とともにオイルバス内の空気も吸引されるので、オイルバス内の潤滑油および空気に熱膨張が生じても、主軸頭下部から潤滑油が吹き出すことはない。
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