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発明の名称 ベルト式連続鋳造法による薄鋳片の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−25002
公開日 平成8年(1996)1月30日
出願番号 特願平6−157282
出願日 平成6年(1994)7月8日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】矢葺 知之 (外1名)
発明者 若生 昌光 / 梶谷 敏之 / 樫尾 茂樹 / 石川 厚史 / 山本 利樹
要約 目的
本発明は、ベルト式連続鋳造法において、割れ欠陥の少ない薄鋳片を製造する方法を提供する。

構成
ベルト式連続鋳造設備に、炭素濃度が0.08%以上、0.25%未満である溶鋼を供給して薄鋳片を製造する方法において、金属ベルトに1層または2層以上のコーティング材を塗布して、その最表層コーティング材の融点が950℃以下でかつその厚みを60μm以上とし、かつ所定の関係式で定義された鋳片の表層から0.2〜0.7mm深さの位置における冷却指標Rが、60以上160以下となるような条件で塗布した金属ベルトを用いて鋳造する。
特許請求の範囲
【請求項1】 長辺両側に、循環移動する無端状金属ベルトを対向して配置し、短辺両側に、無端状金属ベルトに同期して循環移動するブロックを対向して配置したベルト式連続鋳造設備に、炭素濃度が0.08%以上、0.25%未満である溶鋼を供給して薄鋳片を製造する方法において、1層または2層以上のコーティング材を、その最表層コーティング材の融点が950℃以下、その厚みが60μm以上で、かつ得られる鋳片の表層から0.2〜0.7mm深さの位置における冷却指標Rが、60以上160以下となるように塗布した前記無端状金属ベルトを用いて鋳造することを特徴とするベルト式連続鋳造法による薄鋳片の製造方法。
R=(d/191)-2.237ここでd:デンドライト2次アーム間隔の平均値(μm)
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベルト式連続鋳造法による薄鋳片の製造方法に関し、特に表面割れと内部割れのない薄鋳片の製造方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】従来鋳片は、水冷鋳型内に溶鋼を連続的に注入し、これを鋳型内で冷却凝固させながら連続的に引き出して製造されている。この鋳片は、通常厚さ150〜300mmを有しており、これを更に減厚して所望の厚さの材料に加工するには、消費エネルギーが極めて大きい熱間加工工程を得なければならない。そのために今日のような環境下における現実の問題として、更なる消費エネルギーの減少を実現することが望まれている。
【0003】このような要望を満たすために開発されたベルト式連続鋳造法は、例えば特開昭50−61332号公報に示すように、長辺の両端に、駆動ロールにより循環移動する無端状金属ベルトを対向して配置し、短辺の両側にも、前記無端状金属ベルトと同期して循環するブロックを対向して具備せしめ、これらのベルトとブロックを所定の速度で循環させると共に、これらに囲まれた空間に溶鋼を連続して供給し冷却凝固させつつ連続的に薄鋳片を引き出して製造する方法である。
【0004】この薄鋳片を製造する具体的方法については各種の提案があるが、製造可能とされる鋳片の厚みは概ね100mm以下であり、更に薄くすることにより、熱間粗圧延の省略が可能となり、極めて大きなエネルギー節約の達成が可能となる。
【0005】一方、ベルト式連続鋳造方法においては、上記したように鋳片サイズが小さいために高速鋳造を行なって、高生産性を図る必要がある。しかしながら、高速鋳造を行なう場合には、冷却速度が大きすぎるために局所的に冷却が不均一となりやすく、その結果、凝固不均一や歪発生量が大きくなり、鋳片表面に縦割れが発生しやすいという問題がある。そこで、一般には鋳片を緩冷却することが指向され、例えば特開平1−19049号公報には、無端状金属ベルト表面にアルミナ等の塗布材をコーティングし、全体を緩冷却して凝固シェルを均一厚さに形成する、薄鋳片のベルト式連続鋳造法が開示されている。
【0006】また、本発明者らは、特願平5−338418号において、縦割れ防止に必要な緩冷却の程度を表す冷却指標を提示し、鋼種成分や使用するベルトコーティングの摩擦力に応じて、その値を定めている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、緩冷却を行なえば表面縦割れは減少するが、凝固初期の鋳片厚みが薄くなるために、横割れの発生や、鋳片がロールとロールの間で膨らむ(バルジングする)ことによる鋳片内部の割れの発生そしてモールド内湯面レベルの変動が顕著となる問題がある。従って、縦割れ発生がなく、しかも横割れの発生や、鋳片内部の割れの発生そしてモールド内湯面レベルの変動が生じないような鋳造条件を見い出す必要がある。
【0008】本発明は、使用するコーティング材の融点と厚みを規定することにより、凝固組織のデンドライト2次アーム間隔からある関係式によって導かれた冷却指標を用いて、縦割れが発生せず、しかも横割れの発生や、鋳片がロールとロールの間で膨らむ(バルジングする)ことによる鋳片内部の割れの発生そしてモールド内湯面レベルの変動が生じないような冷却条件を求め、割れ欠陥の少ない薄鋳片を製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を主旨とする。すなわち、長辺両側に、循環移動する無端状金属ベルトを対向して配置し、短辺両側に、無端状金属ベルトに同期して循環移動するブロックを対向して配置したベルト式連続鋳造設備に、炭素濃度が0.08%以上、0.25%未満である溶鋼を供給して薄鋳片を製造する方法において、1層または2層以上のコーティング材を、その最表層コーティング材の融点が950℃以下、その厚みが60μm以上で、かつ得られる鋳片の表層から0.2〜0.7mm深さの位置における冷却指標Rが、60以上160以下となるように塗布した前記無端状金属ベルトを用いて鋳造することを特徴とするベルト式連続鋳造法による薄鋳片の製造方法である。
R=(d/191)-2.237ここでd:デンドライト2次アーム間隔の平均値(μm)
【0010】
【作用】本発明者らは、先に特願平5−338418号において、鋳片の冷却強度の大きさを表す冷却指標を示した。これは、鋳片断面の凝固組織のデンドライト2次アーム間隔をもとに、以下の換算式で冷却指標Rを表すものである。
R=(d/191)-2.237ここでd:デンドライト2次アーム間隔の平均値(μm)
【0011】これによれば、炭素濃度が0.08%以上0.25%未満の鋼において、縦割れの発生しない冷却指標は、ベルトコーティングの摩擦力に依存し、例えば摩擦係数0.1以下では、冷却指標Rが5以上70以下と規定している。しかしながら、この条件では、鋳片の表面縦割れは完全に防止できるが、横割れや鋳片内部の割れが発生しやすい傾向にあることが判った。この傾向は、特に高速鋳造の場合に顕著である。凝固組織解析の結果、このような場合には、初期の凝固シェル厚みが薄くなって、ベルトのわずかな変形の影響を受けやすくなるために横割れが発生しやすくなること、更に凝固シェルが薄くなると、鋳片がロールとロールの間で溶鋼静圧によって膨らむ、いわゆるバルジングが起きて、シェルが変形することにより、鋳片内部に割れが発生しやすくなることが判明した。更に、バルジングが発生すると、モールド内湯面レベルの変動が顕著になるといった問題も発生しやすい傾向にあった。
【0012】従って、鋳片の冷却速度をある程度大きくすべきと考えられたが、冷却速度を速くしても縦割れが発生しないための工夫が必要となった。そこで、発明者らは、縦割れが発生しない冷却指標の範囲が、ベルトコーティング材の摩擦係数によって変化することに着目し、ベルトコーティング材の摩擦力を変化させる実験を行なった。材料自体の摩擦係数が最も小さいコーティング材は、酸化物を溶融状態にさせたものである。従って、コーティングの材料の組成を融点が低くなるように調整し、溶鋼と接した時に溶融させることができる、いわゆる溶融コーティング材の使用が前提となる。しかしながら、この溶融した酸化物の摩擦係数を更に小さくすることは不可能と考えられる。
【0013】そこで、発明者らは、溶融コーティング材の厚みに着目し、厚みがある値以上になれば見かけの摩擦力が小さくなると考えた。これは、厚みが薄い場合には、ベルトと鋳片の間で溶融した酸化物液体層が部分的にとぎれる確率が高くなり、面全体として見た場合に、見かけの摩擦力が、実際の摩擦係数から定まる摩擦力よりも大きくなるからである。液体層がとぎれた領域は、もはや液体潤滑ではなくなるので、摩擦力が非常に大きくなる。
【0014】見かけの摩擦力を変化させる目的で、最表層の溶融コーティング材の厚みを変え、更に冷却速度を変化させるために、ベルトと最表層コーティング材の間にZrO2 系のコーティングを行ない、その厚みを変化させて、ベルト連鋳機で鋳造試験を行ない、図1に示すような結果を得た。
【0015】ここで示した冷却指標は、以下のようにして求めたものである。まず、鋳造した鋳片の鋳造方向と垂直でかつ鋳片厚み方向とも垂直な断面を含む面で切断し、この面を鏡面研磨後、ピクリン酸(30g/500cc+10cc界面活性剤)を用いて、60℃で5分間エッチングし、凝固組織を顕出させた。これを10倍に拡大した写真から、10倍のルーペで、凝固組織に見られる2次デンドライトアーム間隔を測定した。表層から0.5mmを中心に0.2mmから0.7mmの範囲で、鋳片幅方向50mmピッチで測定した。これらの平均値を以下の関係式を用いて冷却指標に換算した。
R=(d/191)-2.237ここでd:デンドライト2次アーム間隔の平均値(μm)
【0016】図1より、溶鋼と接した時に溶融状態となる同一組成のコーティング材を用いても、その厚みを変化させることにより、縦割れが発生しないための限界冷却指標が異なることが判った。図より、例えば最表層の溶融コーティング材の厚みが60μmの場合には、縦割れが発生しない最大の冷却指標は160となった範囲である。
【0017】従って、当初の予想通り、最表層の溶融するコーティング材の厚みを厚くすることにより、見かけの摩擦力が増大しないために、縦割れが発生しない限界の上限冷却指標を大きな値にすることが可能となった。
【0018】一方、ベルト鋳造機において、横割れが発生しないための冷却指標を求めた結果、図2に示すように、冷却指標が60以上となった場合に、横割れ発生がゼロとなった。また、バルジングによる鋳片内部の割れが出ない冷却指標を図3に示すが、冷却指標で30以上必要であることが判る。更に、バルジングによるモールド内湯面レベル変動を同じく図3に示すが、冷却強度40以上で操業の許容範囲である±15mmに入ることが判る。
【0019】摩擦力の低減に伴い、縦割れ発生防止に必要な冷却指標の上限値が大きくても良くなる、すなわちそれほど緩冷却にしなくても良くなる理由は、以下の通りである。縦割れは一般に、溶鋼が凝固する際の初期凝固シェル厚が何らかの理由で遅れて薄くなった部分に歪が集中蓄積し、割れの限界歪を超えた場合に生じる。この時、歪を発生させる原因は大きく2つあり、1つは温度降下による熱収縮がベルト/鋳片間の摩擦力によって阻害されるために生じ、もう1つはδ/γ変態による歪の発生で生じる。緩冷却は、初期凝固シェル厚を均一にする作用と、凝固遅れ部に蓄積された歪を緩和する作用により、縦割れ発生防止につながる。一方、摩擦力の低下は、鋳片の熱収縮が阻害されることに起因する歪の発生を抑制する。従って、摩擦力を極力低減できれば、蓄積される歪量が小さくなるので、緩冷却による歪緩和作用がそれほど大きくなくても、割れが発生しなくなる。
【0020】次に、発明の条件を規定した理由について説明する。対象となる鋼種は、炭素濃度が0.08%以上、0.25%未満の鋼とした。これは、この領域のCを含む場合に、凝固中のδ/γ変態による歪の発生量が大きく、凝固シェルの薄い部分がモールドから離れることにより、凝固遅れがますます助長されて、割れが発生しやすいからである。
【0021】冷却指標の上限を規定した理由は、前述したように縦割れ発生を防止する冷却指標の最大値として160以下とした。また下限を規定した理由は、横割れが発生しない下限値60と、内部割れを防止する冷却指標の下限値30、更に溶鋼湯面変動量を小さくするための下限値40のうち、大きい値として60とした。
【0022】最表層コーティング材の厚みを60μm以上と規定した理由は、以下の通りである。すなわち、縦割れが発生しないための冷却指標をできるだけ大きな値とするためには、ベルトコーティング材と鋳片間の摩擦力を極力低減させる必要があるが、この摩擦力を小さくするために液体層の厚みを十分確保できるための最小の厚みである。
【0023】最表層コーティング材の融点は、摩擦力を極力低減させる目的で、ベルトに塗布したコーティング材が溶鋼に接する直前に溶融するために、極力低くする必要がある。ベルトは裏側から水冷されているので、溶鋼温度より少しぐらい低い融点にしても、溶融しない。そこで、実験より求めた上限値として、950℃とした。
【0024】なお、本発明においては、このようにして規定する冷却指標Rを、予め同一鋼種について実施された鋳造条件ごとに求めておき、新たに製造する鋳片の鋳造条件をこれに当てはめて、本発明の冷却指標範囲内にすれば、縦割れが発生しない鋳片を得ることができる。
【0025】このような冷却指標を得る手段としては、■ベルトに塗布するコーティング材(特にベースとなるコーティング材)の熱伝導度を低くして、かつ厚みを厚くする。■コーティング材を多層に塗り、界面の熱抵抗を高める。■鋳造速度を速くする等の方法があるが、本発明ではどのような方法を用いても差し支えない。
【0026】また、最表層コーティングとなる溶融状態の酸化物の摩擦係数に関しては、実測することは困難なので、特に規定することはできない。しかしながら、本発明の最表層コーティング条件、すなわち、融点が950℃以下でかつ厚みを60μm以上確保できれば、縦割れが発生しなくなることから、摩擦力が十分低下した条件となっていることが考えられる。
【0027】
【実施例】鋳片の速度に同期して移動する一対のベルトと複数のブロックからなる一対の移動式短辺で構成された鋳型を用いた連続鋳造法において、表1に示した基本成分範囲の鋼を鋳造し、凝固組織から得られた冷却指標と縦割れ発生および横割れ、鋳片内部割れとの関係を調査した。更に、モールド内溶鋼湯面レベルの変動を調査した。この際、ベルト/鋳片間の摩擦力を変化させる目的で、最表層のコーティング材を溶鋼と接して溶融するいわゆる溶融タイプとし、その厚みを変化させた。また、冷却指標を変化させる目的で、1層目のコーティング材をZrO2系の酸化物とし、その厚みを変化させた。
【0028】鋳造した鋳片の鋳造方向と垂直でかつ鋳片厚み方向とも垂直な断面を含む面で切断し、この面を鏡面研磨後、ピクリン酸(30g/500cc+10cc界面活性剤)を用いて、60℃で5分間エッチングし、凝固組織を顕出させた。これを10倍に拡大した写真から、10倍のルーペで、凝固組織に見られる2次デンドライトアーム間隔を測定した。表層から0.5mmを中心に0.2mmから0.7mmの範囲で、鋳片幅方向50mmピッチで測定した。これらの平均値を関係式を用いて、冷却指標に換算した。
【0029】
【表1】

【0030】〔表2〕
鋳造条件鋳造速度 :5m/分〜10m/分鋳片サイズ:1300mm幅×50mm厚、1300mm幅×75mm厚ベルトコーティング条件・ベースコーティング:ZrO2 系:厚み20,50,80,100μm・最表層コーティング:Al2 3 −SiO2 −CaO−Na2 O系:融点910℃、970℃:厚み10,20,40,60,80μm【0031】なお、強冷却の条件を得るために、一部の水準ではベルト裏側の冷却水量を、通常の2倍とした。
【0032】まず、鋳片の表面縦割れを調査し、縦割れ総長を元にした指標と、冷却指標の関係を図1に示す。縦割れ指標は冷却指標が大きい場合に大きな値となるが、割れが発生しなくなる限界の冷却速度は最表層コーティングの厚みによって異なり、厚みが60μmでは160となり、それ以上厚みを多くしても変化はない。また、融点が970℃のコーティング材Bでは、厚みが80μmであっても縦割れは減少しない。これは、ベルトが溶鋼に接するまでに十分溶融しなかったためだと考えられる。
【0033】図2には、ベースコートをZrO2 系とし、その上に融点910℃のコーティング材Aを60μm塗布した場合の横割れ発生を示す。冷却指標は、ベースコートの厚みを変えて変化させてある。図より、横割れは冷却指標が大きくなると発生が減り、冷却指標60でゼロとなった。
【0034】また、図3には、バルジングによる鋳片内部の割れと冷却指標の関係を示すが、冷却指標で30以上で内部割れが発生しなくなる。更に、バルジングによるモールド内湯面レベル変動を同じく図3に示すが、冷却強度40以上で操業の許容範囲である±15mmに入ることが判る。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明は、薄鋳片の鋳造組織に着目した冷却指標を設置し、更に最表層部のコーティング材の融点と厚みを規定することにより、縦割れ発生が極めて少なく、しかも横割れや内部割れ発生も極めて少ない薄鋳片を得ることができる。




 

 


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