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発明の名称 ヤコウタケの栽培方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−280247
公開日 平成8年(1996)10月29日
出願番号 特願平7−88525
出願日 平成7年(1995)4月13日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
発明者 新津 尚 / 羽生田 信夫
要約 目的
安価かつ容易にヤコウタケを栽培する方法を提供する。

構成
ヤコウタケの菌糸体上に堆肥等を主成分とした被覆材を被覆し、この状態で温度13℃〜27℃、照度0.2ルクス以上、湿度80%以上の環境でヤコウタケの原基を形成する原基形成工程と、この原基を上記同様の状態で温度15℃〜27℃、照度100〜1000ルクス以上、湿度80%以上の環境で培養し、ヤコウタケの子実体を発生させ、生育させる子実体発生工程とを基本構成としてヤコウタケを栽培する。これにより、天然のものとほぼ同一のヤコウタケが短期間で得られた。
特許請求の範囲
【請求項1】 ヤコウタケの菌糸体から原基を形成する工程と、この原基からヤコウタケの子実体を発生させる工程と、を有するヤコウタケの栽培方法であって、前記ヤコウタケの菌糸体から原基を形成する工程は、前記菌糸体を被覆材で覆った状態で、所定照度の光を照射し、前記菌糸体の生育最適温度より低い温度環境でヤコウタケの原基を形成することを特徴とするヤコウタケの栽培方法。
【請求項2】 請求項1に記載のヤコウタケの栽培方法において、前記ヤコウタケの菌糸体から原基を形成する工程は、前記菌糸体を被覆材で覆い、この状態で温度13℃〜27℃、照度0.2ルクス以上、湿度80%以上の環境でヤコウタケの原基を形成することを特徴とするヤコウタケの栽培方法。
【請求項3】 請求項1及び請求項2のいずれかに記載のヤコウタケの栽培方法において、前記原基からヤコウタケの子実体を発生させる工程は、前記ヤコウタケの原基を温度15℃〜27℃、照度100ルクス以上、湿度80%以上の環境でヤコウタケの子実体を発生させることを特徴とするヤコウタケの栽培方法。
【請求項4】 請求項1及び請求項2のいずれかに記載のヤコウタケの栽培方法において、前記菌糸体を覆う被覆材は、堆肥、オガクズ、腐植土、土壌又は多孔性合成樹脂のいずれかを含む保水性材料であることを特徴とするヤコウタケの栽培方法。
【請求項5】 請求項1及び請求項2のいずれかに記載のヤコウタケの栽培方法において、前記菌糸体を覆う被覆材は、光透過性材料であることを特徴とするヤコウタケの栽培方法。
【請求項6】 請求項1、請求項2、請求項4及び請求項5のいずれか1つに記載のヤコウタケの栽培方法において、前記菌糸体は、ヤコウタケの菌糸体を培地に接種し、温度20℃〜30℃、湿度70%以上の環境で培養して得ることを特徴とするヤコウタケの栽培方法。
【請求項7】 請求項6に記載のヤコウタケの栽培方法において、前記菌糸体を培養する培地は、堆肥、オガクズ、腐植土、土壌若しくは多孔性合成樹脂を含む培地、寒天培地又は液体培地のいずれかを使用することを特徴とするヤコウタケの栽培方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発光性キノコであるヤコウタケの人工的な栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】発光性キノコとしては、国内ではツキヨタケが良く知られており、このツキヨタケから発光物質を抽出して発光メカニズムを研究する等の試みが検討されている。
【0003】ところが、ツキヨタケの発する光はそれほど強くなく、ツキヨタケに含有されている発光酵素(ルシフェラーゼ)の活性が比較的低く、あまり利用価値がないと考えられている。
【0004】一方、小笠原諸島や八丈島、東南アジア等に自生するクヌギタケ属キノコのヤコウタケ(夜光茸)[学名:Mycena chlorophos ]は、その光がツキヨタケの数倍も強く、夜間10m程度離れた位置からでもこのヤコウタケの存在を知ることができる。そして、ヤコウタケは淡緑色に光って幻想的な印象を与えるため観光用キノコとして利用されている。
【0005】また、光が強いので、ヤコウタケに含有される発光酵素(ルシフェラーゼ)はツキヨタケに比べてその活性が高いと考えられており、ルシフェラーゼ抽出用としても注目されている。
【0006】なお、ヤコウタケの発光のメカニズムは、蛍などと同様に、発光酵素であるルシフェラーゼが関与する発熱を伴わない酸化反応に基づいている。そして、このルシフェラーゼについては、現在、蛍から抽出したホタルルシフェラーゼが発光分析の試薬として利用されている。
【0007】しかし、酵素の反応特異性はその起源によってかなり異なっており、例えば酵素の最適反応温度や、最適pH、更に反応に際して必要とされる金属イオンや補酵素等は生物種によって異なっている。
【0008】このため、ヤコウタケのルシフェラーゼもホタルルシフェラーゼとは異なる特性を有していると考えられ、ヤコウタケからルシフェラーゼを取り出して、このヤコウタケルシフェラーゼについても発光分析に用いることが考えられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ヤコウタケのルシフェラーゼを得るには、野生のヤコウタケを原料として採取し、これを磨砕し、さらに抽出、精製などの作業を行う。ところが、ヤコウタケは一個の重量が100mg程度の小型のキノコであるため、例えば、ヤコウタケから純粋なルシフェラーゼを得るためには、野生のヤコウタケを大量に採取する必要があった。
【0010】しかしながら、上述のようにヤコウタケは小笠原諸島等の限られた地域にしか自生していないうえ、発生時期も梅雨の頃に限られている。従って、ヤコウタケを大量に入手することは非常に困難であり、ヤコウタケを人工的に栽培する技術が要求されていた。
【0011】本発明は、上記要求にこたえるためになされたものであり、容易かつ安価なヤコウタケの栽培方法を提供することを目的とする。
【0012】
【問題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明のヤコウタケの栽培方法は以下のような特徴を有する。
【0013】ヤコウタケの菌糸体から原基を形成する工程と、この原基からヤコウタケの子実体を発生させる工程と、を有するヤコウタケの栽培法法であって、前記ヤコウタケの菌糸体から原基を形成する工程は、前記菌糸体を被覆材で覆った状態で、所定照度の光を照射し、前記菌糸体の生育最適温度より低い温度環境でヤコウタケの原基を形成することを特徴とする。
【0014】より具体的な栽培方法としては、前記ヤコウタケの菌糸体から原基を形成する工程では、前記菌糸体を被覆材で覆い、この状態で温度13℃〜27℃、照度0.2ルクス以上、湿度80%以上の環境でヤコウタケの原基を形成する。
【0015】また、前記原基からヤコウタケの子実体を発生させる工程では、前記ヤコウタケの原基を温度15℃〜27℃、照度100ルクス以上、湿度80%以上の環境でヤコウタケの子実体を発生させることを特徴とする。
【0016】更に、前記菌糸体を覆う被覆材は、堆肥、オガクズ、腐植土、土壌又は多孔性合成樹脂のいずれかを含む保水性材料、又は光透過性材料であることを特徴とする。
【0017】また、上記菌糸体は、ヤコウタケの菌糸体を培地に接種し、温度20℃〜30℃、湿度70%以上の環境で培養して得ることを特徴とする。
【0018】そして、この菌糸体を培養する培地は、堆肥、オガクズ、腐植土、土壌若しくは多孔性合成樹脂を含む培地、寒天培地又は液体培地のいずれかを使用することを特徴とする。
【0019】
【作用】本発明は、ヤコウタケの原基の形成に最適な環境条件として、適切な照度の光照射、適切な温度及び適切な水分補給が重要であることの発見に基づくものである。また、ヤコウタケの子実体の発生促進にも最適な環境条件があり、必ずしもヤコウタケの原基の形成に最適な環境条件とは一致していないことに注目している。
【0020】請求項1〜5に記載される発明においては、まず、ヤコウタケの菌糸体に対して被覆材による被覆を行い、ヤコウタケの原基の形成に最適な環境条件、即ち適切な照度の光照射と適切な温度の環境条件で原基を培養する。これにより正常な子実体を発生可能な原基を形成することができる。更に、この形成された原基からヤコウタケの子実体の発生に最適な環境条件で子実体を発生させる。これにより、原基の形成に最適な環境条件と同一条件で生育させた場合に比べて子実体の生育を促進させることができる。また、適切な被覆材、即ち保水性材料、光透過性材料を用いることによりヤコウタケの原基の形成またはヤコウタケの子実体の発生、生育に適した水分、光照射を維持することができる。
【0021】更に、請求項6、7に記載される発明においては、ヤコウタケの菌糸体を菌糸体の培養に最適な環境条件で培養することで、原基を形成するための菌糸体を大量に得ることができる。
【0022】以上のように各工程を最適な環境条件で行うことにより、天然のものとほぼ同一のヤコウタケを短期間で季節に関わらず栽培することが可能となる。また、栽培に必要とされる材料は安価であり、更に容易な栽培手順によってヤコウタケの栽培ができるので、大量栽培に適している。
【0023】これにより、本発明の方法を用いて栽培したヤコウタケを、例えば観賞用キノコや、ルシフェラーゼの抽出用として提供することが可能となる。
【0024】
【実施例】以下、本発明のヤコウタケの栽培方法の例について説明する。
【0025】[ヤコウタケの菌糸体の培養工程]グルコース1w%、ポリペプトン0.5w%、麦芽エキス0.3w%、酵母エキス0.3w%、寒天2w%を含む酵母エキス・麦芽エキス培地を作り、この培地20mlを直径80mmのペトリ皿にいれ、菌糸体の生育培地を調製した。
【0026】この菌糸体生育培地に、採取したヤコウタケの子実体から分離して得られたヤコウタケの菌糸体を接種し、温度27℃の環境で20日間の培養を行ったところ、菌糸体コロニーが得られた。
【0027】この場合、菌糸体の培養温度を、図1に○で示すように20℃〜30℃の範囲とすると、菌糸体が1日で2〜3.5mm程度成長し、特に27℃とすると最も菌糸体成育速度(mm/日)が速く、1日で3.5mm程度の成長が見られた。
【0028】菌糸体の生育培地としては、上記酵母エキス・麦芽エキス寒天培地だけでなく、ペプトン寒天培地、更に堆肥、オガクズ、腐植土、土壌若しくは多孔性合成樹脂等からなる粒子等を主成分とする培地や、各種栄養素を溶解した水を用いた液体培地等を使用することが可能である。なお、培地の最適初発pHは4.0程度であった。
【0029】次に、園芸用等に用いられている堆肥の一種である腐葉土粉末90gと、糠10gとを混合し、水(水道水でよい)を加えて含水率70%をしたものを、直径160mm、深さ30mmのペトリ皿にいれ、121℃で20分間、高圧水蒸気滅菌し、子実体形成用培地を調製した。子実体形成用培地の主成分としては、腐葉土が最も好ましいが、必ずしも腐葉土には限らずオガクズ、腐植土、土壌或いは多孔性合成樹脂等、他の園芸用堆肥等でも適用可能である。
【0030】作成した子実体形成用培地に、生育培地で培養した菌糸体コロニーから切り取った直径1cm程度の円板状の菌糸片7個を植菌し、温度27℃の環境で30日間、暗所にて培養した。この結果、子実体形成用培地の全面を覆う程度に菌糸体が成長した。
【0031】[ヤコウタケの原基の形成工程]子実体形成用培地上で上記のように菌糸体が十分成長した後、菌糸体の上面に含水率70%に調整した腐葉土粉末12gを被覆材として載せた。そして、温度21℃、湿度95%、照度300ルクスに設定された培養器内に移したところ、10日後に菌糸体表面に微細な毛玉状のヤコウタケの原基が多数形成されていた。
【0032】被覆材としては、保水性を有する材料が好ましく、具体的には含水率70%程度の堆肥若しくは土壌又はこれらに類した多孔性合成樹脂からなる粒子を用いればよい。そして、菌糸体の表面にのせる被覆材の量(厚さ)は、菌糸体の表面付近に照射される光が少なくとも0.2ルクス以上となるような量が好ましく、本実施例では、約1〜3mmの厚さに被覆材を載せた。なお、この被覆材は原基発生のためには必ずしも必要ではない。しかし、本実施例では次工程のヤコウタケの子実体の発生においてこの被覆材の存在が好適条件を与えることからこれを使用することとした。
【0033】原基形成のための環境は、図1に●で示すように、温度13℃〜27℃の範囲で、原基形成所要日数が10日〜20日程度となる。そして、図1から明らかなように温度21℃程度で、原基形成所要日数が10日程度となり、最も短期間でヤコウタケの原基が得られる。
【0034】更に、湿度としては80%以上が適切である。
【0035】また、被覆材に、ガラス粒子や透明プラスチック粒子等の光透過性の材料を含ませることにより、光透過性の悪い被覆材を厚く載せることでヤコウタケの菌糸体に充分な光照射が行えないという事態を回避することができる。
【0036】[ヤコウタケの子実体の発生工程]次に、ヤコウタケの原基形成後の子実体形成用培地を子実体発生環境、即ち温度24℃、照度500ルクス、湿度95%に設定した培養器内へと移した。
【0037】このような子実体発生環境において、ヤコウタケの原基は生育して白色球状の幼子実体となり、10日経過後にはヤコウタケの子実体即ちキノコが85個発生した。
【0038】発生したヤコウタケの総重量は8.1gで、天然のヤコウタケと同一の形状を有しており、開傘に伴い3日間、美麗な淡緑色の発光が観察された。また、発光の最大波長は約520nm、ヤコウタケの傘1個の発する光の照度は0.2ルクス程度であった。
【0039】子実体発生の環境条件としては、温度は15℃〜27℃、照度は100〜1000ルクス、湿度80%以上が適切である。
【0040】なお、上述のヤコウタケ原基形成工程において、原基形成のためには、照度0.2ルクス以上の光照射は必要であるものの、被覆材による被覆処理及び21℃への変温処理は必ずしも必要ではない。しかし、被覆処理及び変温処理なしで形成した原基からヤコウタケの子実体を発生させても、正常な子実体が得られない場合が多い。
【0041】正常な子実体を発生させるためには、原基形成工程において、照度0.2ルクス以上の光照射と、被覆、そして菌糸体培養工程での最適温度、即ち27℃以下21℃程度への変温処理が必要とされる。
【0042】また、原基をより早く正常な子実体に生育させるための条件、即ち子実体の発生促進条件としては、上述のように被覆した状態で照度100〜1000ルクス程度の光照射、温度21℃以上とすることが好ましい。
【0043】以上のようなヤコウタケの栽培に際し、要した総培養日数は約50日程度であり、キノコ1個当りの平均重量が100mg程度で、天然のものとほぼ同一形状のヤコウタケを栽培することができた。
【0044】そして、このようにして栽培したヤコウタケを例えばルシフェラーゼ抽出用に用いることにより、純粋なヤコウタケルシフェラーゼを十分得ることが可能となる。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明の栽培方法によれば、天然のものとほぼ同一のヤコウタケを季節に関わらず短期間で大量に栽培することが可能となる。また、安価な栽培材料により、かつ容易な栽培手順によって栽培することが可能である。
【0046】そして、このようにヤコウタケを人工的に栽培することができるので、ヤコウタケを観賞用キノコや、ルシフェラーゼの抽出用として提供することができる。




 

 


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