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発明の名称 レシプロ式の刈取装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−242649
公開日 平成8年(1996)9月24日
出願番号 特願平7−48770
出願日 平成7年(1995)3月8日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 黒見 晃志
要約 目的
刃体の部分交換を可能にして、補修コストの低減を図れるようにする。

構成
上下一対の押さえ板16,17に挾持された上下一対の刃体18,19同士の相対的な横往復移動によりはさみ切断を行うレシプロ式の刈取装置において、前記刃体18,19を、その刈り幅方向で等間隔に分割可能な複数のピース18A,19Aで構成し、かつ、前記複数のピース18A,19Aに、隣接する前記ピース18A,19A同士を一体横往復移動可能に連結する係合凸部18c,19cまたは係合凹部18d,19dあるいは前記係合凸部18c,19cと係合凹部18d,19dの双方を形成した。
特許請求の範囲
【請求項1】 上下一対の押さえ板(16),(17)に挾持された上下一対の刃体(18),(19)同士の相対的な横往復移動によりはさみ切断を行うとともに、前記刃体(18),(19)を、その刈り幅方向で等間隔に分割可能な複数のピース(18A),(19A)で構成し、かつ、前記複数のピース(18A),(19A)に、隣接する前記ピース(18A),(19A)同士を一体横往復移動可能に連結する係合凸部(18c),(19c)または係合凹部(18d),(19d)あるいは前記係合凸部(18c),(19c)と係合凹部(18d),(19d)の双方を形成してあるレシプロ式の刈取装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、上下一対の押さえ板に挾持された上下一対の刃体同士の相対的な横往復移動によりはさみ切断を行うレシプロ式の刈取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような刈取装置において、上下一対の刃体は、夫々、一枚の平鋼材を、その長手方向に複数の平面視山型の刃部を等間隔に備える状態に打ち抜き形成することによって構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来技術によると、例えば、上下一対の刃体間への小石などの異物の噛み込みなどによって刃体の一部の刃部が欠損した場合や、刃体の一部の刃部が局部的に激しく摩耗した場合などには、刃体全体を交換しなければならないことから、補修コストが嵩む不都合が生じるようになっていた。
【0004】本発明の目的は、刃体の部分交換を可能にして、補修コストの低減を図れるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では、上下一対の押さえ板に挾持された上下一対の刃体同士の相対的な横往復移動によりはさみ切断を行うとともに、前記刃体を、その刈り幅方向で等間隔に分割可能な複数のピースで構成し、かつ、前記複数のピースに、隣接する前記ピース同士を一体横往復移動可能に連結する係合凸部または係合凹部あるいは前記係合凸部と係合凹部の双方を形成した。
【0006】
【作用】本発明によると、刃体をその刈り幅方向で等間隔に分割可能な複数のピースで構成しているので、例えば、刃体の一部の刃部が欠損した場合や、刃体の一部の刃部が局部的に激しく摩耗した場合などには、その欠損あるいは激しく摩耗した刃部を備えたピースのみを交換することができるようになる。つまり、刃体の全体を交換する場合に比較して補修コストの低減を図れるようになる。また、刃体を一枚の平鋼材で構成する場合に比較して、一枚の平鋼材から刃体(夫々のピース)を打ち抜き形成するための装置や、刃体(夫々のピース)に対して焼き入れ処理を施すための焼入炉などの小型化を図ることができるとともに、刃体(夫々のピース)に対する研磨処理が容易になるので、設備および製造コストの低減、ならびに、製造作業の簡素化を図れるようになる。しかも、刃体を構成する複数のピースのほとんどを同形状に、また、その一部も他のピースと略同形状にすることができるので、刃体を複数のピースで構成することによって製造作業が複雑化する不都合がない。その上、複数のピースで構成された上下一対の刃体は、上下一対の押さえ板によって挾持されることにより、ピース同士の上下方向での位置ズレが阻止されるので、不測にピース同士の連結が解除される不都合もない。その上さらに、上側の刃体の分割位相と下側の刃体の分割位相とをずらすようにすれば、上下の刃体の分割部同士が相対横往復移動時に引っ掛かる虞を解消できるようになるので、より円滑な刃体同士の相対的な横往復移動が得られるようになる。
【0007】
【発明の効果】従って、本発明によれば、設備、製造、補修などに要するコストの低減、および、製造作業の簡素化を図れるようになった。
【0008】
【実施例】以下、本発明を歩行型草刈機の法面刈取装置3に適用した実施例を図面に基づいて説明する。
【0009】図1には歩行型草刈機の全体構成が示されており、この草刈機は、歩行操縦型の走行機体1、走行路面上の草を刈り取るように走行機体1の前方に備えられた平面刈取装置2、および、走行路面の一側端に連なる斜面上の草を刈り取るように走行機体1の横側に備えられた法面刈取装置3、によって構成されている。
【0010】走行機体1は、操縦ハンドル4を一体的に備えるように機体前下部から機体上部後方に向けて延出する状態に屈曲形成された鋼管材からなる機体フレーム5、機体フレーム5に支持連結されたエンジン6、エンジン6の左側部に連結されたミッションケース7、ミッションケース7の左側部から下方に向けて延設された伝動ケース8、および、伝動ケース8の延出端に軸支された一つの走行車輪9、などによって一輪式に構成されている。機体フレーム5の前部右側には、平面刈取装置2を支持する第一支持杆10が機体前方に向けて延設されている。第一支持杆10の延出端には、走行車輪9と前後方向に並ぶ補助車輪11が軸支されている。機体フレーム5の前部左側には、法面刈取装置3を前後方向視における角度調節自在に支持する第二支持杆12が機体前方に向けて延設されている。つまり、操縦ハンドル4と平面刈取装置2および法面刈取装置3との間に、エンジン6やミッションケース7などを介在させることによって、操縦時に作業者が平面刈取装置2あるいは法面刈取装置3に誤って接触する虞を回避している。
【0011】図1に示すように、平面刈取装置2は、第一支持杆10の中間部に支持固定された第一油圧モータ13、この第一油圧モータ13の作動により縦軸芯周りに回転駆動される回転刃14、回転刃14の上部を覆うモーアハウジング15、などによって衝撃切断を行うロータリ式に構成されいる。一方、法面刈取装置3は、図2〜図4にも示すように、上下一対の押さえ板16,17、上下一対の押さえ板16,17により挾持された上下一対の刃体18,19、および、上下一対の刃体18,19同士を相対的に一定ストロークで横往復移動させる第二油圧モータ20、などによってはさみ切断を行うレシプロ式に構成されており、法面刈取装置3としての小型化および軽量化が図られている。また、法面刈取装置3は、第二支持杆12の先端部に枢支された支持ボックス21に、刈り幅方向において位置調節自在となるように支持されている。
【0012】以下、法面刈取装置3の構成について詳述する。
【0013】図1〜図4に示すように、上下一対の刃体18,19の夫々には、複数の平面視山型の刃部18a,19aが、その刈り幅方向に所定間隔を隔てて並ぶ状態に、また、複数のボルト挿通用の長孔18b,19bが、その刈り幅方向に刃部18a,19aの間隔よりも大きく設定された所定間隔を隔てて並ぶ状態に備えられている。一方、上下一対の押さえ板16,17の夫々には、ボルト挿通用の複数の慣通孔が、刈り幅方向に刃体18,19の長孔18b,19bと同じ間隔に設定された所定間隔を隔てて並ぶように穿設されている。刃体18,19の長孔18b,19bとボルト22との間には、スペーサ23が介装されている。つまり、ボルト22を、押さえ板16,17の慣通孔と刃体18,19の長孔18b,19bに挿通した後、ナット24に螺合して締め付けることによって、上下一対の刃体18,19同士の相対的な横往復移動を許容しながら、上下一対の押さえ板16,17により刃体18,19の浮き上がりを阻止できるようになっている。また、上下一対の刃体18,19と第二油圧モータ20との間には、第二油圧モータ20からの回転動力を上下一対の刃体18,19同士の相対的な横往復移動力に変換するカム機構25が介装されている。カム機構25は、第二油圧モータ20の出力ギア20aに噛合する入力ギア26、入力ギア26と一体回転自在に連結された伝動軸27、伝動軸27と一体回転自在に連結された第一偏芯カム28と第二偏芯カム29、第一偏芯カム28を相対回転自在に外嵌するとともに上側の刃体18の一端に枢支連結された第一リンク30、および、第二偏芯カム29を相対回転自在に外嵌するとともに上側の刃体19の一端に枢支連結された第二リンク31などによって構成され、カムケース32に内装されるようになっている。第一偏芯カム28と第二偏芯カム29は、互いの位相が180°異なるように伝動軸27に連結されている。つまり、以上の構成によって、法面刈取装置3は、上下一対の刃体18,19同士の相対的な横往復移動によるはさみ切断が行えるようになっている。
【0014】図1〜図3に示すように、第一油圧モータ13の上部には、右側の操縦ハンドル4に備えられた第一スイッチS1の操作に基づいて作動する第一電動モータ33が配備されている。法面刈取装置3を支持する支持ボックス21には、第一伝動モータ33の出力軸33aに一体回動自在に連結されたピニオン34と噛合するセクタギア35がボルト連結されている。そして、第一電動モータ33の作動によりピニオン34を正逆転駆動させることによって、法面刈取装置3を、前後方向視で、言い換えると、第二支持杆12の軸芯周りに角度調節できるようになっている。つまり、支持ボックス21、第一電動モータ33、ピニオン34、および、セクタギア35によって、前後方向視における法面刈取装置3の角度調節を行う角度調節機構Aが構成されており、この角度調節機構Aの作動によって、法面刈取装置3の姿勢を、走行路面に沿った水平姿勢、あるいは、走行路面の一側端に連なる斜面の傾斜に沿った種々の傾斜姿勢に容易かつ迅速に変更できるようになっている。一方、支持ボックス21には、左側の操縦ハンドル4に備えられた第二スイッチS2の操作に基づいて作動する第二電動モータ36が装備されている。法面刈取装置3における上側の押さえ板16には、第二電動モータ36の出力軸36aに一体回動自在に連結されたピニオン37と噛合するラック38が形成されている。そして、第二電動モータ36の作動によりピニオン37を正逆転駆動させることによって、支持ボックス21による法面刈取装置3の支持位置を刈り幅方向に位置調節できるようになっている。つまり、第二電動モータ36、ピニオン37、および、ラック38によって、法面刈取装置3を刈り幅方向において位置調節する位置調節機構Bが構成されており、この位置調節機構Bの作動によって、法面刈取装置3の有効刈り幅hを、走行路面の一側端に連なる斜面の長さや、法面刈取装置3の直前に立木などの障害物が存在するなどの状況に応じて容易かつ迅速に変更できるようになっている。
【0015】図5に示すように、上下一対の刃体18,19の夫々は、その刈り幅方向で等間隔に複数分割可能となるように平鋼材からなる複数のピース18A,19Aの連結によって構成されている。複数のピース18A,19Aのうち、刃体18,19の一端に位置するピース18Aa,19Aaには、刈り幅方向に所定間隔を隔てた複数の平面視山型の刃部18a,19a、および、隣接するピース18A,19Aを一体横往復移動可能に連結する係合凸部18c,19cが形成されている。刃体18,19の他端に位置するピース18Ab,19Abには、隣接するピース18A,19Aを一体横往復移動可能に連結する係合凹部18d,19dが形成されるとともに、カム機構25の第一リンク30あるいは第二リンク31と枢支連結するための連結孔18e,19eが穿設されている。一端側のピース18Aa,19Aaと他端側のピース18Ab,19Abの間に位置する複数のピース18Ac,19Acには、夫々、刈り幅方向に所定間隔を隔てた複数の平面視山型の刃部18a,19a、および、隣接するピース18A,19Aを一体横往復移動可能に連結する係合凸部18c,19cと係合凹部18d,19dの双方が形成されている。また、複数のピース18A,19Aのうち、所定箇所に位置するピース18A,19Aにはボルト挿通用の長孔18b,19bが穿設されている。下側の刃体19の一端に位置するピース19Aaは、他のピース18A,19Aよりもピース18A,19Aの半幅分長く形成されており、上側の刃体18の分割位相と下側の刃体19の分割位相とがピース18A,19Aの半幅分位置ずれするようになっている。つまり、隣接するピース18A,19Aの係合凸部18c,19cと係合凹部18d,19dとを係合して、夫々の刃部18a,19aが刃体18,19の刈り幅方向に所定間隔を隔てて並ぶとともに、夫々のボルト挿通用の長孔18b,19bが、刃体18,19の刈り幅方向に刃部18a,19aの間隔よりも大きく設定された所定間隔を隔てて並ぶ状態に複数のピース18A,19Aを連結し、さらに、それら複数のピース18A,19Aを上下一対の押さえ板16,17で挾持して係合凸部18c,19cと係合凹部18d,19dとの係合を保持することによって、それら複数のピース18A,19Aを刃体18,19として円滑に一体横往復移動可能な状態に構成できるようになっている。また、以上の構成によって、刃体18,19の一部の刃部18a,19aが小石などの噛み込みなどにより欠損した場合、あるいは、刃体18,19の一部の刃部18a,19aが局部的に激しく摩耗した場合などには、その欠損あるいは激しく摩耗した刃部18a,19aを備えたピース18A,19Aのみを交換できるようになっている。
【0016】〔別実施例〕以下、本発明の別実施例を列記する。
■ 上記実施例においては、本発明にかかわるレシプロ式の刈取装置を歩行型草刈機の法面刈取装置3に適用したものを例示したが、それに限定されるものではなく、本発明にかかわるレシプロ式の刈取装置を、例えば、上記実施例における歩行型草刈機の平面刈取装置2に適用するようにしてもよく。また、歩行型草刈機に装備された刈取装置の他に、ハンディタイプの草刈機などに装備された刈取装置に適用するようにしてもよい。
■ 刃体18,19の分割数、および、係合凸部18c,19cや係合凹部18d,19dの形状、などは種々の変更が可能なものであり、例えば、各ピース18A,19Aにおける係合凸部18c,19cおよび係合凹部18d,19dを刈り幅方向に長く形成するほど、各ピース18A,19A同士の係合部における前後方向へのガタツキ(係合部における各ピース18A,19Aの相対回動)を好適に抑制できるようになる。
■ 上下一対の押さえ板16,17のいずれか一方あるいは双方を、刃体18,19の背面を受け止め支持する受け部を備えるL字状に屈曲形成することによって、草刈り処理時の反力に対する刃体18,19の強度を高めるようにしてもよい。
【0017】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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