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多条植え用の田植機 - 株式会社クボタ
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発明の名称 多条植え用の田植機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−242633
公開日 平成8年(1996)9月24日
出願番号 特願平7−46727
出願日 平成7年(1995)3月7日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 南川 泰秀 / 西川 幸一 / 中尾 康也 / 谷 覚
要約 目的
格納姿勢における苗植付装置の高さを所定高さに設定することによって、苗植付装置を格納姿勢に切り換えた状態での運転時の煩わしさを解消する。

構成
走行機体1に対して駆動昇降自在に連結した苗植付装置4を、左苗植付装置部4Aと右苗植付装置部4Bとに二分割可能に、さらに、その一方に属するセンタフロート14が左右のサイドフロート15間の中央箇所に位置する状態に左右の苗植付装置部4A,4Bにおける内横側部同士を接合する作業姿勢と、センタフロート14が最後端に位置して機体後方に露出する状態に左右の苗植付装置部4A,4Bにおける背面部同士を向かい合わせる格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成した多条植え用の田植機において、苗植付装置4の格納姿勢においては、苗植付装置4の最下端部が走行機体1のステップ1Aと略同じレベルに位置するように格納姿勢における苗植付装置4の高さを設定した。
特許請求の範囲
【請求項1】 走行機体(1)に対して駆動昇降自在に連結した苗植付装置(4)を、左苗植付装置部(4A)と右苗植付装置部(4B)とに二分割可能に、さらに、その一方に属するセンタフロート(14)が左右のサイドフロート(15)間の中央箇所に位置する状態に前記左右の苗植付装置部(4A),(4B)における内横側部同士を接合する作業姿勢と、前記センタフロート(14)が最後端に位置して機体後方に露出する状態に前記左右の苗植付装置部(4A),(4B)における背面部同士を向かい合わせる格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成した多条植え用の田植機であって、前記苗植付装置(4)の格納姿勢においては、前記苗植付装置(4)の最下端部が前記走行機体(1)のステップ(1A)と略同じレベルに位置するように格納姿勢における前記苗植付装置(4)の高さを設定してある多条植え用の田植機。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走行機体に対して駆動昇降自在に連結した苗植付装置を、左苗植付装置部と右苗植付装置部とに二分割可能に、さらに、その一方に属するセンタフロートが左右のサイドフロート間の中央箇所に位置する状態に前記左右の苗植付装置部における内横側部同士を接合する作業姿勢と、前記センタフロートが最後端に位置して機体後方に露出する状態に前記左右の苗植付装置部における背面部同士を向かい合わせる格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成した多条植え用の田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような多条植え用の田植機においては、苗植付装置を格納姿勢に切り換えることによって、走行機体に対する苗植付装置の左右方向への張出量を減少させることができるようになっている。つまり、路上走行時などにおいては、苗植付装置を格納姿勢に切り換えておくことによって、苗植付装置と他物との接触の虞を軽減できるようになっている。また、苗植付装置の作業姿勢と格納姿勢との姿勢切り換えは、苗植付装置と走行機体の後部に備えられた後車輪との接触を回避することから、後車輪との接触を回避できる高さに苗植付装置を上昇させた状態で行われるようになっている。従来、上記のような多条植え用の田植機において、格納姿勢における苗植付装置の高さとしては、後車輪との接触を回避できる高さ以外には特に設定されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術によると、苗植付装置を格納姿勢に切り換えた状態での走行中に、苗植付装置と接触する虞のある障害物が存在するような場合には、運転者は、後方を目視して苗植付装置が障害物と接触するか否かを確認しながら操縦しなければならないため、苗植付装置を格納姿勢に切り換えた状態での運転が煩わしいものとなっていた。
【0004】本発明の目的は、格納姿勢における苗植付装置の高さを所定高さに設定することによって、苗植付装置を格納姿勢に切り換えた状態での運転時の煩わしさを解消することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では、走行機体に対して駆動昇降自在に連結した苗植付装置を、左苗植付装置部と右苗植付装置部とに二分割可能に、さらに、その一方に属するセンタフロートが左右のサイドフロート間の中央箇所に位置する状態に前記左右の苗植付装置部における内横側部同士を接合する作業姿勢と、前記センタフロートが最後端に位置して機体後方に露出する状態に前記左右の苗植付装置部における背面部同士を向かい合わせる格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成した多条植え用の田植機において、前記苗植付装置の格納姿勢においては、前記苗植付装置の最下端部が前記走行機体のステップと略同じレベルに位置するように格納姿勢における前記苗植付装置の高さを設定した。
【0006】
【作用】本発明によると、苗植付装置の格納姿勢においては、苗植付装置の最下端部が走行機体のステップと略同じレベルに位置するようになることから、苗植付装置を格納姿勢に切り換えた状態での走行中に、苗植付装置と接触する虞のある障害物が存在するような場合には、運転者は、走行機体のステップを目安とすることにより、前方を向いた状態のまま、走行機体のステップと障害物との高さ関係から、苗植付装置と障害物との接触を判断できるようになる。つまり、後方を目視して苗植付装置が障害物と接触するか否かを確認しながら運転する煩わしさを解消できる。
【0007】
【発明の効果】従って、本発明によれば、格納姿勢における苗植付装置の高さを、苗植付装置の最下端部が走行機体のステップと略同じレベルに位置するように設定することによって、苗植付装置を格納姿勢に切り換えた状態での運転時の煩わしさを解消できるようになった。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0009】図1には、乗用型田植機の全体側面が示されており、この乗用型田植機は、乗用型の走行機体1と、走行機体1の後部にリンク機構2を介して油圧式のリフトシリンダ3の駆動により昇降自在に連結された八条植え用の苗植付装置4によって構成されている。苗植付装置4は、四条ずつの左苗植付装置部4Aと右苗植付装置部4Bとの二分割構造に構成されており、苗植付装置4の分割を行わない作業姿勢(図2参照)と、機体横方向への張出量を減少させる格納姿勢(図3参照)とに姿勢切り換え可能に構成されている。
【0010】苗植付装置4の構成について詳述すると、図1〜図4に示すように、この苗植付装置4は、前記リンク機構2の後端に連結された縦向きフレーム5、この縦向きフレーム5から左右に突出する状態に連結された横向きフレーム6、この横向きフレーム6の両端部に夫々の第一縦軸芯P1周りに左右揺動自在に枢支連結された左右の揺動フレーム7、左右夫々の揺動フレーム7の揺動端に支持ブラケット8を介して夫々の第二縦軸芯P2周りに左右揺動自在に枢支連結されたフィードケース9、左右夫々のフィードケース9から左右に向けて延設された角パイプ状の支持フレーム10、左右夫々の支持フレーム10の両端から後方に向けて延設されたフレーム兼用の植付伝動ケース11、夫々の植付伝動ケース11の後部に軸支された左右一対のロータリ式の植付機構12、左右四条ずつに分割可能に構成されるとともに作業姿勢において植付伝動ケース11に対して一定のストロークで一体往復横移動する苗載台13、中央の二条分の苗植え付け箇所に対して整地作用を施すように形成されたセンタフロート14、および、左右夫々の三条分の苗植え付け箇所に対して整地作用を施すように幅広に形成された左右のサイドフロート15、などによって構成されている。
【0011】左右夫々の苗植付装置部4A,4Bにおける夫々の植付伝動ケース11の前下部には、左右の植付伝動ケース11に渡って横架されたフロート支点パイプ16が、その軸芯P3周りに回動自在に枢支されている。左右のフロート支点パイプ16は、苗植付装置4の作業姿勢においては、夫々の分割端に備えられた連結部材16a,16bによって一体回動可能に連結されるようになっている。夫々のフロート支点パイプ16には、フロート支点パイプ16と軸芯P3周りに一体回動する複数の揺動アーム17が、その揺動支点(軸芯P3)から後方に向けて延設されている。夫々の揺動アーム17のうち、苗植付装置4の作業姿勢において中央に位置する揺動アーム17は、右苗植付装置部4Bのフロート支点パイプ16から延設されており、その遊端には、センタフロート14の後部が第一横軸芯P4周りに上下揺動自在に軸支されている。つまり、センタフロート14は右苗植付装置4Bに属するように構成されている。また、苗植付装置4の作業姿勢において左右に位置する揺動アーム17の遊端には、サイドフロート15の後部が第一横軸芯P4周りに上下揺動自在に軸支されている。右側のフロート支点パイプ16には、フロート支点パイプ16と一体回動自在な操作アーム19が走行機体1に向けて延設されている。一方、右側の苗載台13を支持するフレーム杆20には、揺動式の操作レバー21と、この操作レバー21との係合により操作レバー21を任意の位置で係止保持する係止具22とが設けられている。操作レバー21と操作アーム19とは、操作ロッドなどからなる連係機構(図示せず)によって連係されている。つまり、操作レバー21を任意の位置へ揺動操作することによって、フロート支点パイプ16の軸芯P3周りでの夫々の揺動アーム17の一体的な上下揺動調節が行われるとともに、植付伝動ケース11に対するセンタフロート14およびサイドフロート15の相対高さを所望高さに一体的に変更でき、操作レバー21を係止具22に係合して任意の位置で係止保持することによって、センタフロート14およびサイドフロート15を植付伝動ケース11に対する所望高さに設定できるようになっている。そして、この操作によって、圃場泥土の硬さに応じた苗植え付け深さの調節を行えるようになっている。
【0012】ちなみに、苗植付装置4を格納姿勢に切り換える場合には、操作レバー21の揺動操作により、センタフロート14およびサイドフロート15を、植付伝動ケース11に対する最大離間状態、つまり、苗植え付け深さを最浅状態に設定するようになっている。また、図5に示すように、左苗植付装置部4Aにおけるフロート支点パイプ16には、操作レバー21の揺動操作によるセンタフロート14およびサイドフロート15の植付伝動ケース11に対する最大離間状態(苗植え付け深さの最浅状態)よりも、左苗植付装置部4Aに属するサイドフロート15が少し下降した状態において、植付伝動ケース11に接当するストッパ金具23が固着されている。これによって、苗植付装置4の格納姿勢への切り換えに伴う左右のフロート支点パイプ16の連結解除により、操作レバー21に連係されない左側のフロート支点パイプ16のみが大きく下方へ回動して、苗植付装置4の作業姿勢への切り換え時に、左右のフロート支点パイプ16の連結部材16a,16b同士が連結されなくなる不都合を解消している。また、左苗植付装置部4Aに属するサイドフロート15が、右苗植付装置部4Bに属するセンタフロート14およびサイドフロート15よりも少し下降した状態において、ストッパ金具23が植付伝動ケース11に接当するように、ストッパ金具23の設置箇所を設定することによって、製作誤差により、植付伝動ケース11とストッパ金具23とが接当して、操作レバー21の揺動操作による植付伝動ケース11に対するセンタフロート14およびサイドフロート15の最大離間状態、つまり、苗植え付け深さの最浅状態が現出できなくなる不都合が生じる虞を回避している。尚、図示は省略するが、左右のフロート支点パイプ16における連結部材16a,16bの間には、連結部材16a,16b同士の若干のズレを吸収するガイド部が備えられている。
【0013】図4、図6および図7に示すように、左右夫々の苗植付装置部4A,4Bにおける夫々の植付伝動ケース11の前上部には、左右の植付伝動ケース11に渡って横架された苗取量調節軸18が、その軸芯P5周りに回動自在に枢支されている。左右の苗取量調節軸18は、苗植付装置4の作業姿勢においては、夫々の分割端に備えられた連結部材18a,18bによって一体回動可能に連結されるようになっている。夫々の苗取量調節軸18には、苗取量調節軸18と軸芯P5周りに一体回動することにより、苗載台13を苗載面に沿う方向に移動させて植付伝動ケース11に対する苗載台13の相対高さを変更するアーム部材24が、その揺動支点(軸芯P5)から苗載台13にわたる状態に延設されている。左側の苗取量調節軸18には、苗取量調節軸18と一体回動自在な操作アーム25が走行機体1に向けて延設されている。一方、左側の苗載台13を支持するフレーム杆20には、揺動式の操作レバー26と、この操作レバー26との係合により操作レバー26を任意の位置で係止保持する係止具27とが設けられている。操作レバー26と操作アーム25とは、操作ロッドなどからなる連係機構(図示せず)によって連係されている。つまり、操作レバー26を任意の位置へ揺動操作することによって、苗取量調節軸18の軸芯P5周りでのアーム部材24の上下揺動調節が行われるとともに、植付伝動ケース11に対する苗載台13の相対高さを所望高さに変更でき、操作レバー26を係止具27に係合して任意の位置で係止保持することによって、苗載台13を植付伝動ケース11に対する所望高さに設定できるようになっている。そして、この操作によって、植付機構12による苗載台13からの苗取り量を調節できるようになっている。
【0014】図1〜図3に示すように、苗植付装置4を駆動する動力は、図外の植付クラッチおよび伝動軸28を介して断続切り換え自在に走行機体1から供給されるようになっている。走行機体1から供給された動力は、苗植付装置4の作業姿勢においては、図2に示すように、ベベルギア機構(図示せず)が内装されたギアケース29により左右に分配された後、ユニバーサルジョイントを備えた左右の中継軸30、および、ギアケース29と左右の中継軸30との間に夫々介装された爪クラッチ機構31を介して、左右のフィードケース9へ伝達されるようになっている。また、苗植付装置4の作業姿勢においては、図3に示すように、爪クラッチ機構31が分離され、走行機体1からの動力が左右のフィードケース9へ伝達されないようになっている。
【0015】以上の構成から、図2に示すように、左右の苗植付装置部4A,4Bにおける内横側部同士となる左右の苗載台13における内横側縁部同士、左右のフロート支点パイプ16における連結部材16a,16b同士、および、左右の苗取量調節軸18における連結部材18a,18b同士、などを連結することによって、分割を行わない苗植付装置4の作業姿勢を現出できるようになっている。また、図3に示すように、左右の苗載台13における内横側縁部同士、左右のフロート支点パイプ16における連結部材16a,16b同士、および、左右の苗取量調節軸18における連結部材18a,18b同士、などを連結解除するとともに、左右の苗植付装置部4A,4Bにおける背面部同士を向かい合わせることによって、機体横方向への張出量を減少させる苗植付装置4の格納姿勢を現出できるようになっている。尚、苗植付装置4の格納姿勢においては、センタフロート14が、苗植付装置4の最後端に位置して機体後方に露出するようになっている。
【0016】図1及び図8に示すように、走行機体1には、マイクロコンピュータを備えた制御装置32が搭載されるとともに、その操縦部には、前後揺動自在に枢支された植付クラッチレバー33が備えられている。植付クラッチレバー33の揺動支点部には、植付クラッチレバー33の操作位置を検出するポテンショメータからなるレバーセンサ33Aが備えられている。そして、制御装置32は、レバーセンサ33Aにより検出される植付クラッチレバー33の「上昇」「中立」「下降」「植付入」の各操作位置に応じて、リフトシリンダ3に対する作動油の通流状態を切り換える電磁制御弁34の作動を制御して、苗植付装置4の上昇操作、昇降停止、下降操作の各操作状態を現出するとともに、植付クラッチの入り切り状態を現出するようになっている。つまり、制御装置32には、植付クラッチレバー33の手動操作に基づいて苗植付装置4の昇降ならびに植付クラッチの入り切りを制御する手動制御手段32Aが制御プログラムとして備えられている。
【0017】図9に示すように、リフトシリンダ3のシリンダロッド3Aと、リンク機構2の上部リンク2Aとの間には、バネ35Aなどによって構成されたサスペンション機構35が介装されている。シリンダロッド3Aには、バネ35Aの一端を受ける座金36が固着されている。一方、この田植機には、リフトシリンダ3への装着によってリフトシリンダ3の収縮作動を阻止する図10に示すような収縮防止部材37が装備されている。この収縮防止部材37は、シリンダロッド3Aに対して挾持嵌合可能なU字状の本体部37Aと、把手部37Bによって構成されている。そして、図9および図11に示すように、苗植付装置4を上昇限界位置まで上昇させた状態で、収縮防止部材37を、リフトシリンダ3におけるシリンダ本体3Bの上端面と座金36の下面とにわたる状態に、シリンダロッド3Aに挾持嵌合させることによって、電磁制御弁34などからの作動油のリークによる影響を受けることなく、安定した状態で苗植付装置4を上昇限界位置に保持できるようになっている。ところで、苗植付装置4の姿勢切り換え時および格納姿勢においては、苗植付装置4と走行機体1の後部に備えられた後車輪38との接触を回避することから、苗植付装置4を上昇限界位置に位置させるようになっている。つまり、苗植付装置4の姿勢切り換えを行う場合や苗植付装置4を格納姿勢に切り換えた状態で走行する場合には、収縮防止部材37をシリンダロッド3Aに挾持嵌合させて苗植付装置4を上昇限界位置に保持させておくことによって、電磁制御弁34などからの作動油のリークにより不測に苗植付装置4が下降して後車輪38と接触して破損する虞を回避できるようになっている。また、図11に示すように、苗植付装置4の格納姿勢においては、苗植付装置4の最下端部となるサイドフロート15の底面が、走行機体1のステップ1Aと略同じレベルに位置するように、格納姿勢における苗植付装置4の高さが設定されている。これによって、苗植付装置4を格納姿勢に切り換えた状態で走行する場合には、走行機体1のステップ1Aを目安にすることによって、後方の苗植付装置4を目視しながら操縦する面倒なく、容易に苗植付装置4と地面側から大きく突出する杭などの障害物との接触による苗植付装置4の破損の虞を回避できるようになっている。
【0018】図6および図7に示すように、センタフロート14の前部には、センタフロート14を地面側へ付勢するバネ39Aなどによって構成された付勢機構39の下端が枢支連結されている。付勢機構39の上端側となるボス部材39Bは、右側の支持フレーム10の内端に固着されたブラケット10Aからセンタフロート14の前部上方部位まで延設された支軸40に枢支された揺動リンク41の一端に枢支連結されるようになっている。揺動リンク41の他端は、一端がフロート支点パイプ16に固着された腰折れ式リンク機構42の遊端に枢支されるようになっている。つまり、付勢機構39は、苗植え付け深さ調節用の操作レバー21の操作による植付伝動ケース11に対するセンタフロート14の相対高さの変更に伴って、その変更量に応じた変更量で高さ変更されるようになっている。これによって、付勢機構39は、苗植え付け深さの変更にかかわらず、センタフロート14の揺動姿勢に応じた所定の押圧力をセンタフロート14に付与するようになっている。
【0019】図2、図3、図6〜図8、図12および図13に示すように、苗植付装置4には、センタフロート14の接地圧(圃場泥面の起伏)の変動に伴う第一横軸芯P4周りの上下揺動変位量(センタフロート14の変位角)を検出する検出手段43が備えられている。検出手段43は、センタフロート14の上下揺動変位量を増幅する増幅機構43Aと、該増幅機構43Aからの上下揺動変位量を電圧レベル(検出情報の一例)に変換して制御装置32へ出力するポテンショメータからなる回転センサ43Bによって構成されている。一方、走行機体1の操縦部には、圃場泥土の硬さに応じてセンタフロート14の基準姿勢を規定するための検出手段43の基準電圧レベル(制御目標値)を設定するポテンショメータ型の設定器44が備えられている。制御装置32は、苗植え付け作業時において、設定器44により圃場泥土の硬さに応じた検出手段43の基準電圧レベルが設定されると、検出手段43により検出された電圧レベル(センタフロート14の上下揺動変位量)に基づいて、設定器44により設定された基準電圧レベルと、検出手段43により検出される電圧レベルとが合致するように、電磁制御弁34の作動を制御して苗植付装置4を昇降させるようになっている。
【0020】詳述すると、制御装置32は、例えば、設定器44により設定された基準電圧レベルと、検出手段43により検出された電圧レベルとを比較し、基準電圧レベルが得られる状態となるセンタフロート14の基準姿勢に対して、検出手段43からの電圧レベルが得られる状態となるセンタフロート14の実揺動姿勢が前上がり状態にあると判断した場合には、電磁制御弁34の作動を制御して、基準電圧レベルと検出手段43からの電圧レベルとが合致するように苗植付装置4を上昇させることによって、センタフロート14を基準姿勢に復帰させるようになっている。また、基準電圧レベルと検出手段43からの電圧レベルとを比較し、センタフロート14の基準姿勢に対してセンタフロート14の実揺動姿勢が前下がり状態にあると判断した場合には、電磁制御弁34の作動を制御して、基準電圧レベルと検出手段43からの電圧レベルとが合致するように苗植付装置4を下降させることによって、センタフロート14を基準姿勢に復帰させるようになっている。つまり、制御装置32には、検出手段43からの検出情報としての電圧レベルに基づいて、センタフロート14が基準姿勢に復帰するように苗植付装置4を自動的に昇降させることによって、苗植付装置4を所定の対地高さに維持する自動昇降制御手段32Bが制御プログラムとして備えられている。この自動昇降制御手段32Bの制御作動によって、苗植え付け作業時においては、圃場の起伏に沿った、予め設定された所定の苗植え付け深さでの安定した苗の植え付けを行えるようになっている。
【0021】図6、図7、図12および図13に示すように、検出手段43は、センタフロート14を軸支する揺動アーム17に設置されるようになっている。以下、検出手段43の支持構造、ならびに、検出手段43とセンタフロート14との連係構造について詳述する。
【0022】センタフロート14を軸支する左右一対の揺動アーム17のうち、右側(右苗植付装置部4Bにおける内方側)に位置する揺動アーム17Aには、この揺動アーム17Aの揺動支点となるフロート支点パイプ16の軸芯P3から後方に向けて延設された第一平行四連リンク機構45と、センタフロート14の揺動支点となる第一横軸芯P4から前方に向けて延設された第二平行四連リンク機構46とが、揺動アーム17Aと該揺動アーム17Aの中間部に回動自在に枢支された支軸17aを共用する状態に設けられている。第一平行四連リンク機構45は、揺動アーム17A、フロート支点パイプ16に枢支された縦リンク45a、支軸17aに枢支された第一平行四連リンク機構45における延出端側の縦リンクとしてのセンサケース45b、および、縦リンク45aとセンサケース45bとを揺動アーム17Aの上方で連結するロッド45cによって構成されている。縦リンク45aは、苗取量調節軸18に枢支されたブラケット47と連結され、回動が阻止されるようになっている。センサケース45bには、検出手段43の回転センサ43Bが支持固定されるようになっている。一方、第二平行四連リンク機構46は、揺動アーム17A、揺動アーム17Aの遊端に第一横軸芯P4周りに前後揺動自在に枢支された縦リンク46a、支軸17aと一体回動自在に連結された第二平行四連リンク機構46における延出端側の縦リンク46b、および、それら前後の縦リンク46a,46bを連結するロッド46cによって構成されている。揺動アーム17A遊端側の縦リンク46aは、センタフロート14と第一横軸芯P4周りに一体揺動するようにセンタフロート14に固着されている。第二平行四連リンク機構46における延出端側の縦リンク46bには、検出手段43の増幅機構43Aにおける検出片としてのセクタギア43aが、支軸17aを介して該支軸17a周りに一体揺動自在に連結されている。セクタギア43aは、回転センサ43Bの操作軸43bに一体回動自在に固着されたピックアップギア43cと噛合するようになっており、このセクタギア43aとピックアップギア43cとによって増幅機構43Aが構成されている。増幅機構43Aは、センサケース45bに内装されるようになっている。つまり、検出手段43は、第一平行四連リンク機構45によって支持されるとともに、第二平行四連リンク機構46によってセンタフロート14の上下揺動変位が伝達される状態にセンタフロート14と連係されるようになっている。
【0023】以上の構成により、揺動アーム17の上下揺動調節による植付伝動ケース11に対するセンタフロート14の高さ変更(苗植え付け深さの変更)に伴って、その変更量に応じた変更量で検出手段43も高さ変更されるようになることから、植付伝動ケース11に対するセンタフロート14の高さ変更に伴って、検出手段43の基本姿勢が変化し、検出手段43からの電圧レベルが変化する不都合がなくなる。これによって、苗植え付け深さの変更に起因する上下揺動変位量の検出誤差を抑制でき、苗を所望の植え付け深さに安定して植え付けるための苗植付装置4の昇降制御を精度よく行えるようになっている。また、以上の構成から、図2、図3および図7に示すように、検出手段43、第一平行四連リンク機構45、および、第二平行四連リンク機構46からなる検出機構Aは、揺動アーム17の延出長さ範囲内に収まるとともに、右苗植付装置部4Bの分割端側に位置する揺動アーム17Bよりも右苗植付装置部4Bにおける内方側に設置された状態になる。これによって、センタフロート14が最後端に位置して機体後方に露出する状態となる苗植付装置4の格納姿勢での走行時や、苗植付装置4の姿勢切り換え時などにおいても、揺動アーム17Bにより、検出手段43を含む検出機構Aの全体が、揺動アーム17の延出方向ならびに揺動アーム17の延出横方向からの他物の接触が阻止された状態に保護されるようになる。したがって、苗植付装置4の作業姿勢においては当然のことながら、その格納姿勢での走行時や、苗植付装置4の姿勢切り換え時などにおいても、揺動アーム17の延出方向ならびに揺動アーム17の延出横方向からの他物との接触により、検出手段43を含む検出機構Aが破損する虞を回避できるようになっている。
【0024】図1および図2に示すように、苗植付装置4には、苗植付装置4の作業姿勢において隣接する状態となる左右の苗植付装置部4A,4Bにおける夫々の内横側部側に位置する植付伝動ケース11同士を、センタフロート14の後端よりも後方に位置する状態で連結する連結杆48が設けられている。その連結構造について詳述すると、連結杆48により連結される植付伝動ケース11の夫々の後部には、後方に向けて延出された支持ブラケット49,50が連結されている。図15の(イ)にも示すように、左苗植付装置部4Aの植付伝動ケース11に連結された支持ブラケット49の延出端には、縦向き姿勢に支持された連結ピン49aが備えられている。右苗植付装置部4Bの植付伝動ケース11に連結された支持ブラケット50の延出端には、その延出端から機体前方に向けて切り込まれたスリット50aが形成されている。一方、連結杆48は、図14にも示すように、支持ブラケット49の連結ピン49aと係合するU字状の第一係合部48aを一端に備えた角パイプ材などからなる連結杆本体48A、支持ブラケット50のスリット50aに係合する第二係合部48bを一端に備えるとともに連結杆本体48Aに摺動自在に内嵌される角パイプ材などからなる摺動杆48B、連結杆本体48Aに外嵌する状態で摺動杆48Bと一体摺動するように該摺動杆48Bと連結杆本体48Aに形成された長孔48cを挿通するピン48dにて連結されたフック金具48C、および、フック金具48Cと係合可能に連結杆本体48Aに支持固定されたバックル式の係合金具48Dによって構成されている。そして、連結杆48により、苗植付装置4の作業姿勢において隣接する状態となる左右の苗植付装置部4A,4Bにおける夫々の内横側部側に位置する植付伝動ケース11同士を連結する場合は、先ず、連結杆48の第一係合部48aを支持ブラケット49の連結ピン49aと係合し、次に、連結杆48の第二係合部48bを支持ブラケット50のスリット50aに係合し、その状態で、図14の実線で示すように、係合金具48Dをフック金具48Cに係合し、図14の二点鎖線で示す状態への係合金具48Dに備えたハンドル部48eの揺動操作により、摺動杆48Bを連結杆本体48A側へ引き込む方向に摺動させて、連結杆本体48Aと摺動杆48Bの夫々に備えた挾持片48f,48gにて支持ブラケット50を挾持した状態で固定するのである。尚、図14および図15に示す符号48hは、係合金具48Dをフック金具48Cに係合した状態に固定保持するトグルバネである。また、図15の(イ)に示す符号50bは、連結杆48の挾持片48gを係止する状態に屈曲形成された係止部である。
【0025】以上の構成によって、連結杆48は、センタフロート14の後端よりも後方に位置する状態で、苗植付装置4の作業姿勢において隣接する状態となる左右の苗植付装置部4A,4Bにおける夫々の内横側部側に位置する植付伝動ケース11同士を連結することができるのである。つまり、連結杆48は、苗植付装置4の作業姿勢における左右の苗植付装置部4A,4Bの連結強度を向上させるとともに、苗植付装置4の作業姿勢においては、連結された植付伝動ケース11の間に位置して苗植え付け作業時のセンサフロートとして機能するセンタフロート14に対する後方からの他物の接触を阻止するようになっている。これによって、センタフロート14に対する後方からの他物との接触によるセンタフロート14やセンタフロート14に装備された検出手段43などの破損およびセンサフロートとして機能させる場合における外乱を防止できるのである。
【0026】一方、図3および図4に示すように、連結杆48は、苗植付装置4の格納姿勢においては、その姿勢において対向する状態となる左右の苗植付装置部4A,4Bの支持フレーム10における分割端側同士にわたって架設されることにより、左右の苗植付装置部4A,4Bを連結するようになっている。その連結構造について詳述すると、図15の(ロ)にも示すように、左苗植付装置部4Aの支持フレーム10における分割端側には、支持ブラケット10Bを介して横向き姿勢に支持された連結部としての連結ピン10aが備えられている。右苗植付装置部4Bの支持フレーム10における分割端側には、上端から下方に向けて切り込まれた連結部としてのスリット10bが形成された連結ブラケット10Cが上方に向けて延設されている。そして、連結杆48を、苗植付装置4の格納姿勢において対向する状態となる左右の苗植付装置部4A,4Bの支持フレーム10における分割端側同士にわたって架設する場合は、先ず、連結杆48の第一係合部48aを支持ブラケット10Bの連結ピン10aに上方から係合し、次に、連結杆48の第二係合部48bを連結ブラケット10Cのスリット10bに係合し、その状態で、図14の実線で示すように、係合金具48Dをフック金具48Cに係合し、図14の二点鎖線で示す状態への係合金具48Dに備えたハンドル部48eの揺動操作により、摺動杆48Bを連結杆本体48A側へ引き込む方向に摺動させて、連結杆本体48Aと摺動杆48Bの夫々に備えた挾持片48f,48gにて連結ブラケット10Cを挾持した状態で固定するのである。
【0027】以上の構成によって、連結杆48は、左右の苗植付装置部4A,4Bの格納姿勢における後部側同士を連結できるとともに、この連結によって、苗植付装置4を格納姿勢に固定保持できるようになっている。ちなみに、図2および図3に示すように、苗植付装置4の格納姿勢においては、左右の苗植付装置部4A,4Bにおける夫々の支持フレーム10の一端から延設されたガード杆51に備えたフック金具51Aと、苗植付装置4を上昇限界位置に位置させた状態でリンク機構2の下部リンク2Bに接当するようにリンク機構2の後端に連結された横向きフレーム6から前方に向けて延設された左右一対のストッパアーム52に備えたバックル式の係合金具52Aとの係合により、左右の苗植付装置部4A,4Bの格納姿勢における前部側を、横向きフレーム6を介する状態で連結できるようになっている。
【0028】図16に示すように、走行機体1の前部には、エンジン53が搭載されるとともに、エンジン53の上部を覆うエンジンボンネット1Bが上方に設定された横軸芯P6周りに開閉自在に備えられている。エンジンボンネット1Bの前下部には、苗植え付け作業時に前回の苗植え付け工程で図外の線引きマーカにより形成されたラインに機体中心を一致させるための照準具54が、横軸芯P7周りに前後揺動自在に枢支されている。照準具54の先端部には、フック金具54aが備えられている。そして、エンジン53周りのメンテナンス時には、フック金具54aをステアリングハンドル55に係合させることによって、エンジンボンネット1Bを開状態に固定保持できるようになっている。
【0029】〔別実施例〕
■ 上記の実施例においては、多条植え用の苗植付装置4として八条植え用のものを例示したが、それ以外に、例えば、十条植え用や十二条植え用のものであってもよい。
■ また、上記の実施例においては、格納姿勢における苗植付装置4の高さ(格納姿勢における苗植付装置4の最下端部が走行機体1のステップ1Aと略同じレベルに位置する高さ)を、苗植付装置4の上昇限界位置と一致させたが、格納姿勢における苗植付装置4の高さと苗植付装置4の上昇限界位置とが一致しないものであってもよい。
■ 格納姿勢における苗植付装置4の最下端部が走行機体1のステップ1Aと略同じレベルに位置する高さに格納姿勢の苗植付装置4を保持する方法としては、例えば、制御装置32の制御作動で行うように制御系を構成する方法であってもよく、また、リフトシリンダ3に対する作動油の通流をリークなく停止できるように構成された手動式の断続切換弁などを、リフトシリンダ3と電磁制御弁34との間に介装させるように油圧回路を構成する方法であってもよい。
【0030】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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