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発明の名称 田植機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−228541
公開日 平成8年(1996)9月10日
出願番号 特願平7−42769
出願日 平成7年(1995)3月2日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 北井 浩昭 / 山下 眞
要約 目的
分割型苗植付装置において、作業姿勢と格納姿勢とに姿勢変更する際の分割苗載せ台部の不測の移動を抑制して、姿勢変更を円滑に行えるようにする点にある。

構成
各分割苗載せ台部13Rを機体左右方向に設定した状態で離間させ、右分割苗載せ台部13Rを摺動レール部28Rにロックレバー47で固定する。
特許請求の範囲
【請求項1】 苗植付装置(A)を、少なくとも分割苗載せ台部(13L),(13R)とその分割苗載せ台部(13L),(13R)から苗を取り出す苗植付機構とを備えた、左右の分割苗植付装置部(AL),(AR)で構成するとともに、前記分割苗載せ台部(13L),(13R)を苗取り出し口(28A)が形成された摺動レール部(28L),(28R)に対して往復移動するように構成し、前記分割苗載せ台部(13L),(13R)を前記摺動レール部(28L),(28R)に対して往復駆動する横送り機構(B)を設け、前記左右の分割苗植付装置部(AL),(AR)を、前記分割苗載せ台部(13L),(13R)が機体左右方向に沿う作業姿勢と、前記分割苗載せ台部(13L),(13R)が機体前後方向に沿う格納姿勢とに切換可能に構成してある田植機であって、前記機体左右方向に沿う姿勢において前記左右の分割苗載せ台部(13L),(13R)を機体左右方向に沿う姿勢において離間させた状態で、前記分割苗載せ台部を前記摺動レール部(28L),(28R)に対して移動不能状態にする、固定機構(C)を設けてある田植機。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、苗植付装置を、少なくとも分割苗載せ台部とその分割苗載せ台部から苗を取り出す苗植付機構とを備えた、左右の分割苗植付装置部で構成するとともに、前記分割苗載せ台部を苗取り出し口が形成された摺動レール部に対して往復移動するように構成し、前記分割苗載せ台部を前記摺動レール部に対して往復駆動する横送り機構を設け、前記左右の分割苗植付装置部を、前記分割苗載せ台部が機体左右方向に沿う作業姿勢と、前記分割苗載せ台部が機体前後方向に沿う格納姿勢とに切換可能に構成してある田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】上記田植機においては、分割苗載せ台部を機体前後方向に沿う格納姿勢に設定した状態においては、作業姿勢の場合に比べて機体全体の横幅を小さくできる有利な構成を有する。このような構成を有する田植機においては、作業姿勢から格納姿勢に又格納姿勢から作業姿勢に切換える際に、分割苗載せ台部の姿勢を機体左右方向に沿った姿勢から機体前後方向に沿った姿勢に大きく変更することになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、横送り機構によって分割苗載せ台部を摺動レール部に対して移動可能な構成にしてあるので、苗載せ台を分割苗載せ台部に分割して格納姿勢に姿勢を変更する際に不測に移動しない機構が望まれる。
【0004】本発明の目的は、分割苗載せ台部の姿勢変更時における不測の移動を防止して、姿勢変更を円滑に行い得るようにする点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による特徴構成は、前記機体左右方向に沿う姿勢において前記左右の分割苗載せ台部を離間させた状態で、前記分割苗載せ台部を前記摺動レール部に対して移動不能状態にする、固定機構を設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0006】
【作用】つまり、固定機構を作用させることによって、作業姿勢より格納姿勢に切り換える際に、分割苗載せ台部の移動が阻止されることになり、固定機構を作用させない場合に見られる分割苗載せ台部の移動に起因する田植機全体における振動やガタツキを阻止して、円滑な姿勢変更を行い得る。そして、固定機構を作用させる為に、必ず、分割苗載せ台部を離間させることになるので、姿勢を変更する際に両分割苗載せ台部の互いに隣接する部分が干渉する等を回避できる。しかも、機体左右方向に沿う姿勢において両分割苗載せ台部を離間させた、ある決められた状態でなければ固定機構によって分割苗載せ台部を固定することはできないので、両分割苗載せ台部を横送り機構で摺動レール部を移動させなければならない作業姿勢時においては、固定機構を作用させることは少なくなる。
【0007】
【発明の効果】従って、分割苗植付装置部の姿勢変更を円滑に行うことができ、また、固定機構を機能させるのを適切に行うことができるのである。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ステアリング操作される駆動型の前車輪1、及び、駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4を搭載すると共に、この走行機体3の後部にエンジン4からの動力が伝えられる静油圧式無段変速装置(HST)5、及び、変速ケース6を配置し、又、走行機体3の中央部に運転座席7を配置し、走行機体3の後端部に対し油圧シリンダ8で駆動昇降するリンク機構9を介して苗植付装置Aを連結して乗用型の田植機を構成する。前記運転座席7の右側部に苗植付装置Aの昇降制御と植付クラッチの入り切り操作とを行う昇降レバー10を備え、又、運転座席7の左側部には前記無段変速装置5を操作する変速レバー11を備えている。
【0009】苗植付装置Aはマット状苗Wを載置し、かつ、その上端側が走行機体3の前方側に傾斜する姿勢の苗載せ台13、変速ケース6より伝動軸12を介して動力が伝えられる左右一対の伝動ケース14,14、この伝動ケース14からチェーンケース15を介して伝えられる動力で回転するロータリケース16、このロータリケース16に一対ずつ備えられた植付アーム17、複数の整地フロート18夫々を備えて8条植え用に構成されると共に、ホッパー、繰出し機構、作溝器等を有した施肥装置19を備え、作業時には苗載せ台13に載置されたマット状苗Wの下端から苗を植付アーム17が1株ずつ切出して圃場面に植え付けると同時に、植付けた苗の近傍の圃場面に施肥装置19で肥料を供給する。尚、ロータリケース16、植付アーム17、及び、これらを駆動する系で苗植付機構が構成されている。
【0010】図2及び図3に示すように、この田植機では苗植付装置Aの左右方向での中央位置で4条ずつに2分割自在に構成してあり、夫々の分割苗植付装置部AL,ARを、その分割苗植付装置部AL,ARを構成するフレーム部材20に対して縦向き姿勢の第1軸芯X1周りで回動自在に支持し、更に、前記リンク機構9の後端に備えた主フレーム21に対して、このフレーム部材20を縦向き姿勢の第2軸芯X2周りで回動自在に支持してあり、又、図8に示すように、苗植付装置9を作業姿勢に設定した状態において、鉛直方向を基準に前記第1軸芯X1、第2軸芯X2夫々の上端側を走行機体3の前方側に向かう方向に傾斜させてある。
【0011】図2、図3及び図7に示すように、リンク機構9は上部に配置されるトップリンク9Tと下部に配置されるロアーリンク9Lとで成り、夫々の後端を支持する縦フレーム9Aの下端部に連結するローリングボス22に対して前後向き姿勢のローリング軸芯Y周りでローリング自在に連結プレート23を支持し、この連結プレート23に対して上部プレート21Aと下部パイプ21Bとで成る前記主フレーム21を固設すると共に、この主フレーム21の左右両端部に前記第2軸芯X2と同軸芯に配置した第2軸24に回動自在に外嵌するボス部材20Aに対して丸パイプ状の前記フレーム部材20を固設して該フレーム部材20を第2軸芯X2周りで回動自在に支持し、又、夫々のフレーム部材20,20の外端部に前記第1軸芯X1と同軸芯に配置した第1軸25に対してチャンネル状のブラケット26を介して角パイプ状の支持フレーム27を該第1軸芯X1周りで回動自在に支持し、この支持フレーム27に対して前記左右の伝動ケース14、及び、前記チェーンケース15を固設し、更に、分割苗植付装置部AL,AR夫々の一対のチェーンケース15,15の上面に対して前記苗載せ台13を支持する左右の摺動レール部28L,28Rを設けてある。
【0012】図2に示すように、左側の伝動ケース14の動力で回転駆動される螺軸29を、該伝動ケース14と、この側の支持フレーム27の端部の軸受部材30との間に亘って備えてあり、この螺軸29の螺旋溝に係入するコマ(図示せず)の移動力を左側の分割苗載せ台部13Lに伝える移動部材31を備えて、苗載せ台13の横送り機構を構成してある。尚、苗載せ台13は左右の分割苗載せ台部13L,13R夫々が連結部材D(図9、図10を参照)で連結されることで、この横送り機構からの動力で摺動レール部28L、28R上を一体的に横方向に往復移動する。
【0013】右側の分割苗載せ台部13Rを摺動レール部28Rに夫々固定する機構Cについて説明する。一方左側の分割苗載せ台部13Lについてもこの固定機構Cを採用することも可能であるが、左側の分割苗載せ台部13Lにおいては、横送り機構Bと連結されているので、特に、摺動レール部28Lに固定する必要はない。図4(イ),(ロ)に示すように、分割苗載せ台部13Rの左右側端に、上下一対のブラケット46A,46Bを固定するとともに、このブラケット46A,46Bに亘って棒状のロックレバー47を設けてある。このロックレバー47にスプリング48用の受け部47Aを設けてロックレバー47を突出付勢するとともに、このロックレバー47の突出量を二段階に調節するβピン49用の差し込み孔47Bを形成してある。一方、摺動レール部28L,28Rにロックレバー47の差し込み係合を許容するブラケット28Bを設けてある。このような構成によって、図4に示すように、分割苗載せ台部13L,13Rを互いに離間させて摺動レール部28L,28Rの左右端に寄せた状態で、ロックレバー47を摺動レール部28Rのブラケット28Bに係合させることによって、分割苗載せ台部13Rを摺動レール部28Rに対して移動不能に構成できる。又、図5に示すように、作業姿勢において左右分割苗載せ台部13L,13Rを一体連結して横送り機構Bによって往復移動させる際においては、βピン49を差し替えてロックレバー47を摺動レール部28Rのブラケット28Bより離間させて、分割苗載せ台部13Rとの連結固定状態を解除する状態に切り換えることができる。
【0014】前記ローリングボス22に対して、前記伝動軸12からの動力が伝えられる軸体(図示せず)を前記ローリング軸芯Yと同軸芯に遊転支承してあり、図5(イ),(ロ)に示すように、この軸体の動力をベベルケース32、ベベルケース32に備えた一対の出力軸33,33、クラッチ機構34、中間軸35夫々を介して左右の伝動ケース14,14に伝える伝動系を形成してある。又、クラッチ機構34は中間軸35の端部にスプライン状に形成したクラッチ軸部34Aと、このクラッチ軸部34Aに係脱自在に出力軸33にスライド移動自在に外嵌したシフト部材34Bと、このシフト部材34Bをクラッチ軸部34Aの側に付勢するバネ34Cとで成っている。
【0015】このクラッチ機構34は入り操作でクラッチ軸部34Aとシフト部材34Bとは特定の回転位相でのみ嵌合し、図5(ロ)に示す如く、切り操作ではクラッチ軸部34Aとシフト部材34Bとの離間によって、中間軸35とベベルケース32の出力軸33とが完全に分離するよう構成されている。尚、ベベルケース32は走行機体側からの動力を2つの出力軸33,33に分岐して出力するようベベルギヤ(図示せず)を有した伝動系を内装し、中間軸35はフレーム部材20の系に対して横向き姿勢を維持するよう支承されると共にユニバーサルジョイントを備えて構成されている。
【0016】図6(イ),(ロ)、図7に示すように、第2軸24を主フレーム21に対して回転不能に設け、第1軸25をフレーム部材20に回転不能に設けてある。第2軸24の上部位置に第2軸芯X2と同軸芯に主スプロケット36を固設すると共に、この第2軸24の上端位置に第2軸芯X2周りで回動自在にプレート状の回動部材37を備えている。又、第1軸25に対して回動自在に前記ブラケット26を支持すると共に、このブラケット26と一体回転し、かつ、前記主スプロケット36の歯数の1/2の歯数の従動スプロケット38を第1軸芯X1と同軸芯に配置し、主スプロケット36と従動スプロケット38とに亘ってチェーン39を巻回してある。
【0017】左右の回動部材37,37夫々を左右のフレーム部材20,20より高レベルに配置すると共に、このフレーム部材20,20の回動力に連動して回動するよう吊り下げ姿勢のロッド40,40を介して連結固定し、又、左右の回動部材37,37を互いに逆方向に回転させるよう、夫々の間に交差姿勢で一対のワイヤ44,44を張設してある。又、左側の第2軸芯X2と同軸芯に配置したセクタギヤ41をフレーム部材20の側に固設し、このセクタギヤ41に咬合するピニオンギヤ42を主フレーム21の側に備えると共に、このピニオンギヤ42を駆動する電動モータ43を備えている。
【0018】前記ロッド40は中間部にターンバックル40Aが介装されると共に、一方の端部が回動部材37に溶接固定され、他方の端部がフレーム部材20に固設された支持部材45を介してネジ式に連結され、又、ロッド40は傾斜姿勢で直線的に回動部材37とフレーム部材20との間を結ぶことによって、回動部材37に対してフレーム部材20を吊り下げる形態として強度を向上させている。又、前記ワイヤ44の中間部にはネジ式に長さを調節する長さ調節部44Aを備えている。
【0019】このような構成から、苗植付装置Aを格納する場合には、地面から離間するレベルまで苗植付装置Aを上昇させた状態で、図9に示す如く、先ず横送り機構の駆動力によって苗載せ台13を左側の端部位置に送って停止し、次に、図10に示すように、連結部材Dの連結を解除して右側の分割苗載せ台部13Rを人為的に右側の移動端まで移動させて該分割苗載せ台部13Rの摺動レール28上での移動を固定機構Cで阻止する(この状態で左右の分割苗載せ台部13R,13L夫々の間隔は約30センチメートルに達する)。
【0020】次に、前記クラッチ機構33を人為的に分離し、所定の操作で電動モータ43を駆動することで、図6、及び、図11に示すように、セクタギヤ41を回転させ、このセクタギヤ41の回転によって左フレーム部材20が回転する。この左フレーム部材20の回転によって、ロッド40で連結された左回動部材37が回転し、左回動部材37の回動がワイヤ44を介して右回動部材37に伝達されてその右回動部材37が回転し、この回転によって右フレーム部材20が逆転する。つまり、左右の回動部材37,37、一対のワイヤ44,44からの力によって夫々のフレーム部材20,20が連動して第2軸芯X2,X2周りで、その外端側が後方側に向かう側に回動すると共に、この回動と同時に第1軸芯X1,X1周りでブラケット26,26に支持された系が主スプロケット36、従動スプロケット38、チェーン39からの力によってフレーム部材20,20の回動速度の2倍の速度でフレーム部材20,20の回動方向と逆方向、即ち、その左右外端部が走行機体3の前方に向かう側に回動する。
【0021】尚、この格納姿勢への回動時には図12に示す如く、左右の分割苗載せ台部13L,13Rの内端上部の角部13E,13Eが接近するものの、平面視で分割苗載せ台部13L,13Rが互いに離間する位置で回動するので、夫々の角部13E,13Eの接触を回避した回動が可能となっており、又、クラッチ機構33の分離と中間軸35の伸縮とでこの回動が許容される。そして、分割苗植付装置部AL,ARが格納姿勢に達すると電動モータ43の駆動を停止して(制御動作は詳述せず)格納が完了する。
【0022】この格納姿勢の苗植付装置Aを作業姿勢に復元する際には電動モータ43を逆回転させることで分割苗植付装置部AL,ARが前述と逆方向に回動する結果、前述とは逆の動作によって格納姿勢の苗植付装置Aが作業姿勢に向かう姿勢変更が行われ、この姿勢変更で苗植付装置Aが図12に示す姿勢に達すると電動モータ43の駆動を停止し(制御動作は詳述せず)、クラッチ機構33を連結し、右側の分割苗載せ台部13Rを左側の分割苗載せ台部13Lの側に寄せて夫々13L,13Rを連結部材Dで連結することで作業可能な状態に達する。
【0023】次に、苗取り量調節構造について説明する。図14、図15に示すように、苗取り量を調節する苗取り調節レバー50を軸芯Z周りで揺動可能に設けるとともに、このレバー50をレバーガイド51によって調節位置で固定するように成っている。レバー50の支軸52は、図14に示すように、横向きに架設され、中間部において、分割苗植付装置部AL,ARを作業姿勢と格納姿勢とに切り換える際に分離できるように、連結機構53によって分離可能に構成されている。この支軸52には軸芯方向4箇所に駆動アーム54を設けてあり、この駆動アーム54を摺動レール部28L,28Rの係合金具28Cに係合させて、苗載せ台13全体を上下調節して苗植付機構による苗取り量を軽減する構成を採っている。この駆動アーム54は夫々のアーム長が異なっており、そのアーム長はレバー50より離れている程長くなっている。これによって、支持52の捩じれによる揺動量の不足をアーム長を長くすることによって補っている。
【0024】〔別実施例〕
■ 本発明は上記実施例以外に、固定機構Cとしては、一般的なボルト止め構造等が適用できる。
■ 固定機構Cの設置位置としては、分割苗載せ台部13Rの端部に限定されるものではなく、中間位置であってもよい。又、分割苗載せ台部13Rを摺動レール部28Rに対して移動不能にする構成としては、分割苗載せ台部13Rを固定する対象として摺動レール部28Rだけでなく、伝動ケース14又はチェーンケース15等の固定側から苗載せ台13の背面に向けてフレームを延出してこのフレームに取り付ける構成を採ってもよい。
【0025】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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