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発明の名称 田植機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−70639
公開日 平成8年(1996)3月19日
出願番号 特願平6−216065
出願日 平成6年(1994)9月9日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 向井 猛
要約 目的
作業効率の良い多条植え用の苗植付装置を備えながらも、非作業時には、苗植付装置の機体横方向への張り出し量を減少させるとともに、田植機全体としての前後長さを極力低減して、非作業走行時における田植機の操縦性を向上させる。

構成
走行機体1に対して駆動昇降自在に連結された多条植え用の苗植付装置4を、植え付け条数単位で二分割自在に構成するとともに、分割を行わない作業姿勢と分割して機体横方向への張り出し量を減少させる格納姿勢とに姿勢切り換え自在に構成し、かつ、前記格納姿勢の苗植付装置4に対して着脱自在な補助接地輪17を備えた。
特許請求の範囲
【請求項1】 走行機体(1)に対して駆動昇降自在に連結された多条植え用の苗植付装置(4)を、植え付け条数単位で二分割自在に構成するとともに、分割を行わない作業姿勢と分割して機体横方向への張り出し量を減少させる格納姿勢とに姿勢切り換え自在に構成し、かつ、前記格納姿勢の苗植付装置(4)に対して着脱自在な補助接地輪(17)を備えてある田植機。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多条植え用の苗植付装置を備えた田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、八条植えや十条植えなどの多条植え用の苗植付装置を備えた田植機においては、走行機体の横幅方向の寸法に対して苗植付装置の横幅方向の寸法がかなり大きく、苗植付装置が走行機体の横方向に大きく張り出した状態となることから、非作業時に路上などを走行する際には、苗植付装置に補助接地輪を装着するとともに、走行機体から苗植付装置を一旦分離して苗植付装置の姿勢を90度回転(苗植付装置の横幅方向を走行機体の前後方向に設定)させた後に苗植付装置の一側端を走行機体の後端に連結することによって、苗植付装置の機体横方向への張り出し量をなくした状態で、走行機体により苗植付装置を牽引するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来技術によると、苗植付装置の機体横方向への張り出し量をなくした状態で路上などを走行することができるのであるが、田植機全体としての前後長さがかなり大きくなり、非作業走行時における田植機の操縦性が悪くなる不都合が生じるようになっていた。
【0004】本発明の目的は、作業効率の良い多条植え用の苗植付装置を備えながらも、非作業時には、苗植付装置の機体横方向への張り出し量を減少させるとともに、田植機全体としての前後長さを極力低減して、非作業走行時における田植機の操縦性を向上させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では、走行機体に対して駆動昇降自在に連結された多条植え用の苗植付装置を、植え付け条数単位で二分割自在に構成するとともに、分割を行わない作業姿勢と分割して機体横方向への張り出し量を減少させる格納姿勢とに姿勢切り換え自在に構成し、かつ、前記格納姿勢の苗植付装置に対して着脱自在な補助接地輪を備えた。
【0006】
【作用】本発明によると、苗植付装置を作業姿勢から格納姿勢へ切り換えることによって、苗植付装置を植え付け条数単位で二分割して機体横方向への張り出し量を減少させた状態とすることができるので、非作業時には、その格納姿勢に切り換えた苗植付装置に対して補助接地輪を取り付けることによって、二分割せずに90度回転(苗植付装置の横幅方向を走行機体の前後方向に設定)させた苗植付装置の一側端を走行機体の後端に連結して走行機体で牽引する場合に比較して、田植機全体としての前後長さを大幅に減少させた操縦性の良い状態で路上などを走行することができる。又、苗植付装置を走行機体から取り外して人力で移動させる場合においても、苗植付装置を二分割して格納姿勢に切り換えた状態で補助接地輪を取り付けることによって、苗植付装置を二分割せずに90度回転させた状態で補助接地輪を取り付けた場合に比較して、苗植付装置を容易に移動させることができる。しかも、苗植付装置を収納スペースに応じた姿勢に切り換えた状態で収納することができるので、収納の面においても有利にすることができる。
【0007】ちなみに、非作業時に、格納姿勢に切り換えられた苗植付装置を、走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した状態のまま、補助接地輪を取り付けずに地面から浮上させた状態で路上などを走行することも考えられるが、この場合、苗植付装置を作業姿勢に切り換えている場合に比較して、苗植付装置の機体前後方向の長さが大きくなって田植機全体としての重心が機体後方側に移動するようになることから、非作業走行時における田植機の安定性が悪くなるといった不都合が生じるようになる。しかしながら、本発明においては、非作業走行時には格納姿勢の苗植付装置に対して補助接地輪を取り付けるようにしているので、田植機全体としての重心が機体後方側に移動して非作業走行時における田植機の安定性が悪くなるといった不都合がない。
【0008】
【発明の効果】従って、本発明によれば、作業効率の良い多条植え用の苗植付装置を備えながらも、非作業時には、苗植付装置を格納姿勢に切り換えることによって、田植機全体としての前後長さを極力低減させた状態で苗植付装置の機体横方向への張り出し量を減少させることができ、又、格納姿勢の苗植付装置に対して補助接地輪を取り付けることによって、田植機全体としての安定性を向上させることができるので、非作業走行時における田植機の操縦性及び安全性を向上させることができるようになった。又、田植機としての収納、あるいは、苗植付装置としての収納及び人力のよる操縦性の点においても優れたものにすることができるようになった。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0010】図1には、乗用型田植機の全体側面が示されており、この乗用型田植機は、乗用型の走行機体1と、走行機体1の後部にリンク機構2を介して油圧式のリフトシリンダ3の駆動により昇降自在に連結された八条植え用の苗植付装置4によって構成されている。図2及び図3に示すように、苗植付装置4は、植え付け条数単位の一例である四条ずつで左右に二分割自在に構成されるとともに、苗植付装置4の分割を行わない作業姿勢(図2参照)と、分割して苗植付装置4の機体横方向への張り出し量を減少させる格納姿勢(図3参照)とに姿勢切り換え自在に構成されている。
【0011】苗植付装置4の構成について詳述すると、図1〜図3に示すように、この苗植付装置4は、前記リンク機構2の後端に連結された縦向きフレーム5、この縦向きフレーム5の両側部に枢支連結された左右一対の腰折れ式揺動リンク機構6、夫々の腰折れ式揺動リンク機構6の揺動端に支持ブラケット7を介して左右揺動自在に枢支されたフィードケース8、夫々のフィードケース8から左右に向けて延設された支持フレーム9、夫々の支持フレーム9の両端から後方に向けて延設されたフレーム兼用の植付伝動ケース10、夫々の植付伝動ケース10の後部に軸支された左右一対の植付機構11、前記植付伝動ケース10に対して一定のストロークで往復横移動する左右四条ずつに分割形成された苗載台12、及び、圃場の泥表面を整地する整地フロート13、などによって構成されている。苗植付装置4の前部における左右中央箇所には、走行機体1側からの動力をユニバーサルジョイントを備えた左右夫々の伝動軸14を介して左右のフィードケース8へ分配供給する動力分配供給部15が配設されている。動力分配供給部15は、左側のフィードケース8より延設された支持フレーム16にて支持されており、苗植付装置4の格納姿勢においては左側の苗植付装置4に属するようになっている。整地フロート13は、苗植付装置4の中央に配設されたT字状のセンタフロート13A、苗植付装置4の左右夫々に配設されたT字状のサイドフロート13BとU字状のサイドフロート13Cからなり、センタフロート13Aは、苗植付装置4の格納姿勢においては右側の苗植付装置4に属するようになっている。
【0012】動力分配供給部15の前部には、縦向きフレーム5に支持された動力取出軸1Aの突出端に備えられた連結部1aに対して係脱自在に噛合する動力取入用の連結部15aが備えられている。又、動力分配供給部15の右側部には、右側の伝動軸14における動力分配供給部15側の端部に備えられた連結部14aに対して係脱自在に噛合する動力取出用の連結部15bが備えられている。そして、図2に示すように、苗植付装置4の作業姿勢においては、走行機体1側の動力取出軸1Aの連結部1aと動力分配供給部15の動力取入用の連結部15a、及び、動力分配供給部15の動力取出用の連結部15bと右側の伝動軸14の連結部14a、の夫々が噛合連結されるようになっており、走行機体1側からの動力が動力分配供給部15と左右の伝動軸14を介して左右夫々のフィードケース8へ伝達されるようになっている。一方、図3に示すように、苗植付装置4の格納姿勢においては、走行機体1側の動力取出軸1Aの連結部1aと動力分配供給部15の動力取入用の連結部15a、及び、動力分配供給部15の動力取出用の連結部15bと右側の伝動軸14の連結部14a、の夫々の噛合連結が解除されるようになっており、走行機体1側からの動力が左右夫々のフィードケース8へ伝達されないようになっている。
【0013】つまり、苗植え付け作業時には、苗植付装置4を分割しない作業姿勢に切り換えることによって、苗植付装置4の機体横方向への張り出し量が大きくなる効率の良い多数条植えを行うことができ、又、苗植え付け作業を行わない非作業時には、苗植付装置4を分割して苗植付装置4の機体横方向への張り出し量を小さくなる格納姿勢に切り換えることによって、路上などを走行して移動する場合やトラックの荷台に載せて運搬する場合、あるいは、田植機を格納する場合などにおいて有利にすることができるのである。
【0014】図3〜図5に示すように、この田植機には、格納姿勢の苗植付装置4に対して着脱自在な補助接地輪17が備えられている。補助接地輪17は、格納姿勢に切り換えられた苗植付装置4の左右の支持フレーム9に渡るフレーム部17A、フレーム部17Aの中間部から下方に向けて延設された支持ブラケット17B、及び、支持ブラケット17Bに横軸芯P1周りで転動自在に枢支されるとともにゴムタイヤを備えた転輪17Cによって構成されており、格納姿勢に切り換えられた苗植付装置4の左右の支持フレーム9の後端部に対してフレーム部17Aが着脱されるようになっている。つまり、非作業時に田植機を路上などで走行させる場合には、苗植付装置4を田植機全体としての前後長さを極力低減しながら苗植付装置4の機体左右方向への張り出し量を減少させた格納姿勢に切り換えるとともに、その苗植付装置4の後端側に補助接地輪17を取り付けることによって、非作業走行時における田植機の操縦性並びに安定性の向上を図るようにしている。
【0015】又、支持ブラケット17Bは、フレーム部17Aに対して縦軸芯P2周りで回動自在に、かつ、縦軸芯P2上で上下摺動自在に連結されている。フレーム部17Aと支持ブラケット17Bとの間には、ダンパースプリング18が介装されている。つまり、支持ブラケット17Bをフレーム部17Aに対して縦軸芯P2周りで回動自在に枢支連結することによって、非作業走行時における田植機の操縦性の向上をより一層図るようにしている。又、支持ブラケット17Bをフレーム部17Aに対して縦軸芯P2上で上下摺動自在に連結するとともに、フレーム部17Aと支持ブラケット17Bとの間にダンパースプリング18を介装することによって、走行時における走行機体1の上下動によるショックを吸収しながら補助接地輪17を介した苗植付装置4の接地状態を維持できるようにしており、これによって、非作業走行時における田植機の安定性の向上をより一層図るようにしている。
【0016】〔別実施例〕以下、本発明の別実施例を列記する。
■ 上記実施例においては、多数条植え用の苗植付装置4として八条植え用のものを例示したが、それに限定されるものではなく、例えば、十条植えや十二条植え用のものなどであってもよい。
■ 補助接地輪17としては、フレーム部17Aに対して支持ブラケット17Bが縦軸芯P2周りで回動不能となるように構成してもよい。
■ 補助接地輪17としては、フレーム部17Aに対して支持ブラケット17Bが縦軸芯P2上で上下摺動不能となるように構成してもよい。この場合、ダンパースプリング18は不要となる。
■ 補助接地輪17としては、転輪17Cを二個以上備えるように構成されたものであってもよい。
■ 図6に示すように、格納姿勢に切り換えられた苗植付装置4の左右の支持フレーム9の後端部に対して着脱される補助接地輪17と、格納姿勢に切り換えられた苗植付装置4の左右の支持フレーム9の前端部に対して着脱される補助接地輪17とを備えるとともに、格納姿勢に切り換えられた苗植付装置4を走行機体1から一旦取り外して90度回転させた状態で再び走行機体1に連結する連結体19とを備えることによって、非作業走行時においては、走行機体1に対して格納姿勢の苗植付装置4を90度回転させた状態で牽引するように構成してもよい。
■ 図7に示すように、格納姿勢に切り換えられた苗植付装置4の左右の支持フレーム9の後端部に対して着脱される補助接地輪17を、格納姿勢に切り換えられた苗植付装置4の左右の支持フレーム9に渡るフレーム部17Aと、フレーム部17Aの左右に配設された一対の転輪17Cで構成し、かつ、格納姿勢に切り換えられた苗植付装置4の左右夫々の支持フレーム9あるいは苗載台12の前端部に対して着脱される把手20と、格納姿勢に切り換えられた苗植付装置4の左右の支持フレーム9の前端部に対して着脱される脚部21を備えることによって、走行機体1から取り外した格納姿勢の苗植付装置4を人力による牽引で自由に移動させることができるように構成してもよい。
【0017】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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