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発明の名称 田植機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−70620
公開日 平成8年(1996)3月19日
出願番号 特願平6−215486
出願日 平成6年(1994)9月9日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 古川 和雄 / 向井 猛 / 大坪 寛 / 谷 覚
要約 目的
苗植付装置が作業レベルにある場合には機体の後進を阻止する。

構成
苗植付装置Aに倒伏姿勢と起立姿勢とに切換え自在に設けた左右のラインマーカを、苗植付装置の上昇で起立姿勢に切換える機構、及び、苗植付装置が作業レベルにある状態で一方のラインマーカを倒伏姿勢に切換える選択操作具17を備えると共に、ラインマーカ24が倒伏姿勢にあること、若しくは、選択操作具17が操作されたことを検出すると、走行機体3の後進を阻止する牽制手段Dを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】 走行機体(3)の後端に昇降自在に連結された苗植付装置(A)に倒伏姿勢と起立姿勢とに切換え自在な左右のラインマーカ(25)を備えると共に、苗植付装置(A)の所定レベルまでの上昇に伴って左右のラインマーカ(25)を起立姿勢に切換える格納機構(B)、及び、苗植付装置(A)を作業レベルまで下降した後、所定の操作で左右のうちの一方のラインマーカ(25)を倒伏姿勢に切換える選択操作具(17)を備えた田植機であって、前記ラインマーカ(25)が倒伏姿勢にあることを検出する機構、若しくは、前記選択操作具(17)の操作を検出する機構を備え、その機構でラインマーカ(25)の倒伏、あるいは、選択操作具(17)の操作を検出すると、走行機体(3)の後進を阻止する牽制手段(D)を備えている田植機。
【請求項2】 前記苗植付装置(A)が前記所定レベルまで上昇されたことを判別すると、前記牽制手段(D)の牽制動作を解除する解除手段(E)を備えている請求項1記載の田植機。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走行機体の後端に昇降自在に連結された苗植付装置に倒伏姿勢と起立姿勢とに切換え自在な左右のラインマーカを備えると共に、苗植付装置の所定レベルまでの上昇に伴って左右のラインマーカを起立姿勢に切換える格納機構、及び、苗植付装置を作業レベルまで下降した後、所定の操作で左右のうちの一方のラインマーカを倒伏姿勢に切換える選択操作具を備えた田植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記のように構成された田植機として特開平6‐133604号公報に示されるものが存在し、この従来例では操縦ハンドルの近傍に配置した選択操作具の操作で左右のラインマーカのうちの一方を選択して倒伏姿勢に切換え得るよう構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】田植機での苗植付作業は、苗植付装置を作業レベルまで下降させた状態で機体を前進させる形態となる。又、作業時には機体の走行開始時の姿勢を決めるため畦際で機体を後進させることもある。しかし、この機体の後進時に誤って苗植付装置を下降させていると、畦との接触で苗植付装置を傷めることもあり、改善が望まれている。
【0004】本発明の目的は、苗植付装置の構成を合理的に活用することにより、苗植付装置を作業レベルに下降させた状態では機体の後進が阻止される田植機を合理的に構成する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴(請求項1)は冒頭に記したように、苗植付装置の所定レベルまでの上昇に伴って左右のラインマーカを起立姿勢に切換える格納機構、及び、苗植付装置を作業レベルまで下降した後、所定の操作で左右のうちの一方のラインマーカを倒伏姿勢に切換える選択操作具を備えた田植機において、前記ラインマーカが倒伏姿勢にあることを検出する機構、若しくは、前記選択操作具の操作を検出する機構を備え、その機構でラインマーカの倒伏、あるいは、選択操作具の操作を検出すると、走行機体の後進を阻止する牽制手段を備えている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0006】
【作用】上記特徴(請求項1)によると、ラインマーカが倒伏姿勢にある場合、あるいは、選択操作具で倒伏操作された場合には牽制手段によって走行機体の後進が阻止されるので、誤って機体を後進させようとしても機体は後進しない。
【0007】つまり、ラインマーカが倒伏姿勢にある場合には苗植付装置は必ず作業レベルにあり、ラインマーカを選択して倒伏操作した場合にも苗植付装置が作業レベルにあるので、このような状況下では機体の後進を自動的に阻止することで、誤操作で機体を後進させようとしても、機体は後進せず苗植付装置を畦に接触させることも回避できる。
【0008】又、請求項2によると、前述のように牽制手段が機体の後進を阻止する牽制動作を行った後には、苗植付装置を上昇させることで牽制手段の牽制動作が解除されるので、例えば、畦際で機体の走行開始時の姿勢を決めるため、苗植付装置が作業レベルにあることを作業者が認識せず、誤って機体を後進させる操作を行い、後進が阻止された場合には、作業者がこの阻止動作で苗植付装置が作業レベルにあることを認め、苗植付装置を上昇させることにより機体の後進が許容されるものになる。
【0009】
【発明の効果】従って、苗植付装置に備えたラインマーカの作動構造を合理的に活用することにより、苗植付装置を作業レベルに下降させた状態では機体の後進を阻止して苗植付装置の破損を回避し(請求項1)、この阻止動作の後、苗植付装置を上昇させた場合には機体の後進が許容される(請求項2)田植機が合理的に構成されたのである。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1に示すように、操向操作される駆動型の前車輪1、及び、駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4、及び、このエンジン4からの動力を無段階に変速する静油圧式の無段変速装置5、この無段変速装置5からの動力が伝えられる変速ケース6を備えると共に、この走行機体3の中央部に運転座席7を配置し、該走行機体3の後端部に対し油圧シリンダ8で駆動昇降するリンク機構9を介して苗植付装置Aを連結して乗用型の田植機を構成する。
【0011】前記運転座席7の右側部に苗植付装置Aの昇降制御と植付クラッチCの入切り操作とを行う昇降レバー10を備え、走行機体3のステップ11の上面に横向き姿勢の支軸12周りで揺動操作自在な変速ペダル13(図5を参照)を備え、ステアリングハンドル14のポスト15の左側には、その操作によって苗植付装置Aを所定レベルまで強制上昇させ、再度の操作によって該苗植付装置Aを作業レベルまで下降させる切換えレバー16を備え、又、ポスト15の右側には選択操作具としてのマーカレバー17を備え、更に、走行機体3の前部には予備苗載せ台18を備えている。
【0012】苗植付装置Aはマット状苗Wを載置する苗載せ台19、走行機体3から動力が伝えられる伝動ケース20、この伝動ケース20からチェーンケース21を介して伝えられる動力で回転するロータリケース22、このロータリケース22に一対ずつ備えられた植付アーム23、複数の整地フロート24夫々を備えて複数条植え用に構成されると共に、左右両端部には起立姿勢と倒伏姿勢とに切換え自在なラインマーカ25,25を備えている。
【0013】昇降レバー10は図4に示す経路に沿って操作するよう構成され、該昇降レバー10を経路内の「下降」位置より前方側に設定すると苗植付装置Aを下降させ、「上昇」位置より後方側に設定すると苗植付装置Aを上昇させ、「中立」位置に設定すると苗植付装置Aをそのレベルに維持し、又、該昇降レバー10を「入」位置に設定すると植付クラッチCを入り操作し、「切」位置に設定すると植付クラッチCを切り操作するよう制御系と連係し、更に、該昇降レバー10を「自動」位置に設定すると、苗植付装置Aを作業レベルに維持すると共に、前記切換えレバー16の中立位置から上方への操作に従って苗植付装置Aの昇降を許容すると同時に苗植付装置Aの上昇時には植付クラッチCを自動切り操作を許容するよう制御系と連係する。尚、この切換えレバー16で苗植付装置Aを下降させた後には、該切換えレバー16を中立位置から下方へ操作することで植付クラッチCを入り操作する制御動作が行われる。
【0014】又、無段変速装置5は可変容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプからの作動油の供給で回転作動する油圧モータとを備えて構成され(図示せず)、前記変速ペダル13を図5に示す中立姿勢から前方に踏み込むことで前進走行速度を増大させ、中立姿勢から後方に踏み込むことで後進走行速度を増大させ、非操作時には中立姿勢に復帰すると共に、走行が停止するよう、該変速ペダル13の操作ロッド13Aが油圧ポンプと連係している。
【0015】前記マーカレバー17は図3に示す如く、「中立」位置から「左マーカ」位置に操作することで左側のラインマーカ25を倒伏操作すると同時に植付クラッチCの入り操作を行い、「中立」位置から「右マーカ」位置に操作することで右側のラインマーカ25を倒伏操作すると同時に植付クラッチCの入り操作を行うよう制御系と連係している。
【0016】図2に示すように、前記左右のラインマーカ25,25は苗植付装置Aのフレーム部26に対して前後向き姿勢の支軸27周りに揺動自在に支承されると共に、倒伏姿勢に保持するバネ28と、このバネ28の付勢力に抗して起立姿勢に保持するようラインマーカ25のピン29に係合する揺動型のロック部材30とを有し、又、苗植付装置Aの上昇時に前記リンク機構9の後端位置の部材と苗植付装置Aとの相対姿勢の変化を利用して左右夫々のものとも起立姿勢に切換えるワイヤ31,31、及び、ロック部材30をロック解除姿勢に切換える左右一対の電磁ソレノイド32,32夫々を備えている。又、この操作系のうちワイヤ31,31とピン29とロック部材30とで、苗植付装置Aの上昇に伴って左右のラインマーカ25を起立姿勢に切換える格納機構Bが構成されている。
【0017】図7に示すように、制御系が形成され、この制御手段としてマイクロプロセッサを有した制御装置33に対して、昇降レバー10の操作位置を検出するポテンショメータ34、切換えレバー16を中立位置から上方に操作するとON操作される昇降制御用の第1スイッチ35、切換えレバー16を中立位置から下方に操作するとON操作される植付クラッチ制御用の第2スイッチ36、前記マーカレバー17が左右いずれかのラインマーカ25を選択する際に操作される一対の第3スイッチ37,37、ラインマーカ25が倒伏姿勢にあることを検出するスイッチ型の左右一対のマーカセンサ38、リンク機構9の姿勢から苗植付装置Aのレベルを判別するレベルセンサ39夫々から信号の入力系を有すると共に、油圧シリンダ8を制御する電磁弁40、植付クラッチCを操作する電動モータ41を制御するリレー42、左側、及び、右側のラインマーカ25に対する前記電磁ソレノイド32,32、図5に示す如く前記変速ペダル13の後進側への踏込み操作を阻止するストッパー43を、減速機構44Aを介してラックピニオン式に出退操作する電動モータ44に対するリレー45夫々に対する出力系を有する。
【0018】この制御装置33は前述したように昇降レバー10、切換えレバー16夫々による苗植付装置Aの昇降制御、及び、植付クラッチCの入り切り制御を行うと共に、マーカレバー17によるラインマーカ25の倒伏操作、植付クラッチCの入り操作を行い、更に、ラインマーカ25が倒伏姿勢にある場合、あるいは、ラインマーカ25が倒伏操作された際の走行機体3の後進を阻止する制御を行うよう構成され、この走行機体3の後進を阻止する制御動作は図8に示すフローチャートに従って行われる。
【0019】つまり、制御が開始されると電動モータ44の駆動でストッパー43を退入させ、フラグを「0」に設定して(#101、#102ステップ)、変速ペダル13による走行機体3の後進を可能にし、次にマーカレバー17の操作でラインマーカ25が倒伏操作されたか判別し、倒伏操作されていない場合にはマーカセンサ38からの信号に基づいてラインマーカ25が倒伏状態にあるか判別し、何れかの判別処理で倒伏操作、倒伏状態が判別されると、電動モータ44の駆動でストッパー43を突出させて変速ペダル13の後進方向への操作を阻止しフラグを「1」にセットする(#103〜#107ステップ)。尚、何れの判別処理でも倒伏操作、倒伏状態を判別しない場合には、ストッパー43の退入状態が維持されて、変速ペダル13の後進方向への踏み込み操作が許容される。
【0020】次に、ストッパー43の突出操作が行われた後(フラグが「1」の状態)、レベルセンサ39の信号に基づいて苗植付装置Aが上限まで上昇したことを検出すると、電動モータ44の駆動でストッパー43を退入させ、フラグを「0」にセットする。そして、この動作はリセットされるまで繰り返される(#108〜#111ステップ)。尚、この制御動作の#103〜#105ステップ、及び、ストッパー43で牽制手段Dが構成され、#108、#109ステップで解除手段Eが構成されている。
【0021】このように、ラインマーカ25が倒伏姿勢にあると苗植付装置Aは必ず作業レベルにあり、又、ラインマーカ25を選択して倒伏操作した場合には苗植付装置Aが作業レベルにあるので、このような状況下では、誤って変速ペダル13を後方に踏込み操作しても、ストッパー43との接当で踏込み操作が阻止され、機体3は後進せず苗植付装置Aを畦に接触させて該苗植付装置Aの破損を回避できる。
【0022】又、前述のようにストッパー43の突出で機体3の後進を阻止する牽制動作を行った後に、苗植付装置Aを上昇させると牽制動作が解除することにより、例えば、畦際で機体3の走行開始時の姿勢を決めるため、苗植付装置Aが作業レベルにあることを作業者が意識せず、誤って変速ペダル13を後進側に踏込み操作し、この操作が阻止された場合には、作業者が変速ペダル13の踏込みの阻止動作によって苗植付装置Aが作業レベルにあることを認め得ると共に、作業者が苗植付装置Aを上昇させることでストッパー43が退入し、変速ペダル13の後方への踏込み操作による機体3の後進が許容されるものになる。
【0023】因みに、前記予備苗載せ台18は、左右夫々において複数のマット状苗Wの載置を行えるよう複数段の棚状に構成され、図6に示す如く、この棚を支持するフレーム18Aの下部に備えた遊転ローラ46を機体側のレール47に案内させることにより、該予備苗載せ台18全体を後方に移動させて苗補給を容易に行えるよう構成されている。
【0024】〔別実施例〕本発明は上記実施例以外に、例えば、変速操作を電動モータの駆動力で行うよう構成すると共に、ラインマーカが倒伏姿勢にある場合、あるいは、ラインマーカが倒伏操作された際には、変速レバー、変速ペダル等が後進側に操作されても電動モータの作動を阻止して走行機体を後進させないようソフトウエアのみで牽制手段Dを構成することが可能であり、又、この牽制が行われた後に苗植付装置の上昇操作された場合には電動モータの作動により機体の後進を許容するよう制御するソフトウエアで解除手段Eを構成することも可能である。
【0025】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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