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発明の名称 田植機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−70618
公開日 平成8年(1996)3月19日
出願番号 特願平6−213358
出願日 平成6年(1994)9月7日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 古川 和雄
要約 目的
ラインマーカの倒伏操作とクラッチ機構の入り操作とを行う操作具でクラッチ機構の入り操作のみを行う形態の操作を可能にする。

構成
苗植付装置に倒伏姿勢と起立姿勢とに切換え自在なラインマーカを備えると共に、苗植付装置に伝えられる動力を断続するクラッチ機構Cとを備え、左右のうちの一方のラインマーカを倒伏姿勢に切換え、かつ、クラッチ機構Cを入り操作する操作具15を備え、操作具15の操作時に前記クラッチ機構Cの入り操作を許容しながら前記ラインマーカの倒伏姿勢への切換わりを阻止する牽制手段Eを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】 走行機体(3)の後端に昇降自在に連結する苗植付装置(A)に倒伏姿勢と起立姿勢とに切換え自在なラインマーカ(22)を備えると共に、走行機体(3)から苗植付装置(A)に伝えられる動力を断続するクラッチ機構(C)を備え、苗植付装置(A)の所定レベルを越える上昇によって前記クラッチ機構(C)を切り操作する切り操作機構(D)、及び、この上昇によって左右のラインマーカ(22)を起立姿勢に切換える格納機構(B)を備え、又、苗植付装置(A)を作業レベルまで下降した後、所定の操作で左右のうちの一方のラインマーカ(22)を倒伏姿勢に切換え、かつ、前記クラッチ機構(C)を入り操作する操作具(15)を備えた田植機であって、前記操作具(15)の操作時に前記クラッチ機構(C)の入り操作を許容しながら前記ラインマーカ(22)の倒伏姿勢への切換わりを阻止する牽制手段(E)を備えている田植機。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走行機体の後端に昇降自在に連結する苗植付装置に倒伏姿勢と起立姿勢とに切換え自在なラインマーカを備えると共に、走行機体から苗植付装置に伝えられる動力を断続するクラッチ機構を備え、苗植付装置の所定レベルを越える上昇によって前記クラッチ機構を切り操作する切り操作機構、及び、この上昇によって左右のラインマーカを起立姿勢に切換える格納機構を備え、又、苗植付装置を作業レベルまで下降した後、所定の操作で左右のうちの一方のラインマーカを倒伏姿勢に切換え、かつ、前記クラッチ機構を入り操作する操作具を備えた田植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のように構成された技術として特開平6‐133604号公報に示されるように、ステアリングハンドルの近傍に配置した単一の操作具を操作することによって一方のラインマーカを倒伏姿勢に切換えると共に、クラッチ機構の切り操作を行うものが存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来例のように構成された田植機では、作業時において機体が枕地に達し、苗植付装置を圃場面から離間するレベルまで上昇させて旋回した後、苗植付装置を作業レベルまで下降させた場合には、単一の操作具から手を放すことなく倒伏すべきラインマーカの選択とクラッチ機構の切り操作とを簡便に行えるという良好な面を有するものとなっている。
【0004】又、作業時においては、例えば、機体が畦に接近した位置を畦に沿って走行しながら苗を植付ける場合、あるいは、枕地に機体を走行させて苗を植付ける場合にはクラッチ機構の入り操作を必要とするがラインマーカの倒伏を必要しない。このような場合には、前述した操作具と別個にクラッチ機構を操作する操作具を備え、この操作具でクラッチ機構の入り操作を行うよう構成することも考えられるが、前述した操作具は作業時に繰り返して操作されるので、操作感覚を変化させない面からも、ラインマーカを必要としない作業時にも前述した操作具をクラッチ機構の入り操作に用いることが望まれている。
【0005】本発明の目的は、ラインマーカを必要とする作業時には、このラインマーカの倒伏操作とクラッチ機構の入り操作を単一の操作具で行い、ラインマーカを必要としない場合には、クラッチ機構の入り操作のみを、前記単一の操作具で行える操作系を合理的に構成する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は冒頭に記したように、苗植付装置に倒伏姿勢と起立姿勢とに切換え自在なラインマーカを備え、苗植付装置に伝えられる動力を断続するクラッチ機構を備え、苗植付装置の上昇時にクラッチ機構を切り操作する切り操作機構、及び、この上昇時に左右のラインマーカを起立させる格納機構を備え、又、苗植付装置を作業レベルまで下降した後、所定の操作で左右のうちの一方のラインマーカを倒伏姿勢に切換え、かつ、クラッチ機構を入り操作する操作具を備えた田植機において、前記操作具の操作時に前記クラッチ機構の入り操作を許容しながら前記ラインマーカの倒伏姿勢への切換わりを阻止する牽制手段を備えている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0007】
【作用】上記特徴によると、苗植付装置が所定レベル以上に上昇した場合には、切り操作機構によってクラッチ機構が切り操作されると共に、格納機構によって倒伏姿勢のラインマーカが起立姿勢に切り換えられるものとなり、ラインマーカを必要とする作業時には操作具でクラッチ機構の入り操作と左右いずれかのラインマーカの倒伏姿勢への切り換え操作とを行い得るものとなり、又、苗植付装置が上昇操作された後、ラインマーカを必要としない作業の場合には、操作具の操作によってクラッチ機構の入り操作が許容されるものの、牽制手段がラインマーカの倒伏姿勢への切り換わりを阻止するものとなる。
【0008】つまり、同一の操作具を操作するものでありながら、クラッチ機構の入り操作と同時にラインマーカの倒伏姿勢への切り換わりを許容する状態と、ラインマーカの倒伏姿勢への切り換わりを行わず、クラッチ機構の入り操作のみを許容する状態とを現出できるものとなる。
【0009】
【発明の効果】従って、ラインマーカを必要とする作業時には、このラインマーカの倒伏操作とクラッチ機構の入り操作を単一の操作具で行い、ラインマーカを必要としない場合には、クラッチ機構の入り操作のみを、この単一の操作具で行い、操作感覚を変化させずに済む操作系が構成されたのである。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1に示すように、操向操作される駆動型の前車輪1、及び、駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4、及び、このエンジン4からの動力を無段階に変速するベルトテンション式の無段変速装置5、この無段変速装置5からの動力が伝えられる変速ケース6を搭載すると共に、走行機体3の中央部に運転座席7を配置し、該走行機体3の後端部に対し油圧シリンダ8で駆動昇降するリンク機構9を介して苗植付装置Aを連結して乗用型の田植機を構成する。
【0011】前記運転座席7の右側部に苗植付装置Aの昇降制御とクラッチ機構としての植付クラッチCの入切り操作とを行う昇降レバー10を備え、運転座席7の左側部に前記無段変速装置5を操作する変速レバー11を備え、更に、ステアリングハンドル12のポスト13の左側には、その操作によって苗植付装置Aを所定レベルまで強制上昇させ、再度の操作によって該苗植付装置Aを作業レベルまで下降させる制御等を行う切換えレバー14を備え、このポストの右側にはマーカレバー15を備えている。
【0012】苗植付装置Aはマット状苗Wを載置する苗載せ台16、走行機体3から動力が伝えられる伝動ケース17、この伝動ケース17からチェーンケース18を介して伝えられる動力で回転するロータリケース19、このロータリケース19に一対ずつ備えられた植付アーム20、複数の整地フロート21夫々を備えて複数条植え用に構成されると共に、左右両端部には起立姿勢と倒伏姿勢とに切換え自在なラインマーカ22,22を備えている。
【0013】又、この苗植付装置Aは整地フロート21のうちの1つの圃場面に対する接地荷重を設定値に維持するよう前記油圧シリンダ8を駆動して苗植付装置Aの昇降を行って苗植付装置Aの対圃場レベルを維持する制御が行われ(制御系は詳述せず)、この制御が行われる苗植付装置Aのレベルを作業レベルと称している。
【0014】図6に示すように、前記左右のラインマーカ22,22は苗植付装置Aのフレーム部23に対して前後向き姿勢の支軸24周りに揺動自在に支承されると共に、倒伏姿勢に保持するバネ25と、このバネ25の付勢力に抗して起立姿勢に保持するようラインマーカ22のピン26に係合する揺動型のロック部材27とを有し、又、苗植付装置Aの上昇時に前記リンク機構9の後端位置の部材と苗植付装置Aとの相対姿勢の変化を利用して左右夫々のものとも起立姿勢に切換えるワイヤ28,28、及び、ロック部材27をロック解除姿勢に切換える左右一対の電磁ソレノイド29,29夫々を備えている。尚、この操作系のうち、ワイヤ28とピン26とロック部材27とで苗植付装置Aの上昇に伴ってラインマーカ22を起立姿勢に切換える格納機構Bが構成されている。
【0015】昇降レバー10は図5に示す経路に沿って操作するよう構成され、該昇降レバーを経路内の「下降」位置より前方側に設定すると苗植付装置Aを作業レベルまで下降させ、「上昇」位置より後方側に設定すると苗植付装置Aを上昇させ、「中立」位置に設定すると苗植付装置Aをそのレベルに維持する。又、該昇降レバー10を「入」位置に設定すると植付クラッチCを入り操作し、「切」位置に設定すると植付クラッチCを切り操作し、更に、該昇降レバー10を「自動」位置に設定すると、苗植付装置Aを作業レベルに維持すると共に、前記切換えレバー14の操作に従って、後述するように、苗植付装置Aの昇降を許容し、苗植付装置Aの上昇時には植付クラッチCの自動的な切り動作を許容する。
【0016】図2乃至図4に示すように、前記切換えレバー14は「中立」位置を基準に上方側に形成された「昇降」位置と、「中立」位置を基準に下方側に形成された「クラッチ入り」位置とに操作自在、かつ、「中立」位置に復帰するよう構成され、該切換えレバー14が「昇降」位置に操作されたことを検出する第1スイッチ30、該切換えレバー14が「クラッチ入り」位置に操作されたことを検出する第2スイッチ31を備え、更に、この切換えレバー14の操作端部に形成してモードボタン32の押し操作の押し込み操作時に押圧部材33によって操作される第3スイッチ34を備えている。尚、このモードボタン32はバネ35によって突出側に付勢されている。
【0017】図3に示すように、前記マーカレバー15は「中立」位置を基準に「右マーカ」位置と「左マーカ」位置とに切換え操作自在、かつ、「中立」位置に切換え自在に構成され、該マーカレバー15が「右マーカ」、「左マーカ」位置に操作されたことを検出する一対の第4スイッチ36,36を備えている。
【0018】図7に示すように、マイクロプロセッサを備えた制御装置37に対して前記第1、第2、第3、第4スイッチ30,31,34,36夫々からの信号、前記昇降レバー10で操作されるポテンショメータ38からの信号、及び、前記苗植付装置Aの走行機体3に対するレベルを検出するレベルセンサ39からの信号が入力する系を備えると共に、前記油圧シリンダ8を制御する電磁弁40に対する信号、前記植付けクラッチCを操作する電動モータ41を制御するリレー42に対する信号、前記左右の電磁ソレノイド29,29に対する信号、運転座席7前方位置のパネルに形成したモードランプ43に対する信号を出力する系を備えている。
【0019】この制御系では、前記該昇降レバー10が「自動」位置に設定された状態で前記切換えレバー14が「昇降」位置に操作されることにより、電動モータ41の駆動で植付クラッチCを切り操作した後、油圧シリンダ8の駆動で苗植付装置Aを上昇させ、前記レベルセンサ39で苗植付装置が上限に達したことが検出されるまで上昇させ、この上昇状態で切換えレバー14が再度「昇降」位置に操作されることにより、油圧シリンダ8を駆動して苗植付装置Aの作業レベルまで下降させるよう制御動作が設定され、更に、この下降の後には該切換えレバー14を「クラッチ入り」位置に操作することにより、電動モータ41の駆動で植付クラッチCの入り操作を行えるよう制御動作が設定されている。尚、苗植付装置Aの上昇時に植付クラッチC(クラッチ機構)を切り操作する切り操作機構Dを制御装置37と植付けクラッチCを制御するリレー42と電動モータ41とで構成してある。
【0020】又、図8のフローチャートに示すように、この制御装置37の制御動作の概要を表すことができ、制御が開始されるとフラグの初期値を「0」にセットすると共に、切換えレバー14に備えたモードボタン32が押し操作されたことを第3スイッチ34からの信号で検出した場合にはフラグの値を切換え、又、モードボタン32が押し操作されない場合にはフラグの値を切り換えず(#101〜#105ステップ)、マーカレバー15が「右マーカ」位置、「左マーカ」位置の何れかに操作されたことを第4スイッチ36で検出すると、電動モータ41の駆動で植付クラッチCを入り操作し(#106、#107ステップ)、次に、フラグの値を判別して値が「0」である場合には、選択された側の電磁ソレノイド29を駆動してラインマーカ22を倒伏操作し、フラグの値が「1」である場合には、ラインマーカ22の倒伏を行わない制御動作を制御系全体がリセットされるまで継続する(#108〜#110ステップ)。尚、こフローチャートに示されるソフトウエアとモードボタン32を含んだ操作系とで、牽制手段Eが構成されている。
【0021】又、この制御動作ではフローチャートには記していないが、モードボタン32の押し込み操作によってラインマーカ22が倒伏操作されない状態(フラグが「1」の状態)にある場合には、前記モードランプ43を点灯させてマーカレバー15の操作によってラインマーカ22が倒伏操作されないことを作業者に認識させると共に、モードボタン32が再度押し込み操作されるとモードランプ43を消灯させることにより、マーカレバー15の操作時に植付けクラッチCの入り操作と共にラインマーカ22が倒伏操作されることを作業者に認識させるよう制御動作が設定されている。
【0022】〔別実施例〕本発明は上記実施例以外に、例えば、所定のスイッチの操作でラインマーカの倒伏を機械的に阻止する位置と、ラインマーカの倒伏を許容する位置とに電動モータ等の駆動力で切換え自在なストッパーを備えて牽制手段を構成することも可能である。
【0023】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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