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発明の名称 作業車の昇降制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−56449
公開日 平成8年(1996)3月5日
出願番号 特願平6−201595
出願日 平成6年(1994)8月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 中 珠喜
要約 目的
対地高さ検出手段の下方側に植立茎稈が入り込み、対地高さが誤検出されるおそれがある場合であっても、刈取作業高さを適正なものに維持することが可能となる作業車の昇降制御装置を提供する。

構成
刈取部の対地高さが目標高さになるように、昇降用油圧シリンダCYを制御する制御装置13が備えられた作業車の昇降制御装置において、茎稈導入路内における植立茎稈の車体横幅方向の位置を検出する茎稈位置検出センサS1,S2,S3が、刈取部に備えられ、茎稈位置センサS1,S2,S3の検出情報に基づいて、制御装置13が、対地高さ検出センサS4が植立茎稈に突入している株割り状態であることを判別するように構成され、株割り状態であることを判別するに伴って、通常昇降制御モードから補助昇降制御モードに、制御モードを切り換えるように構成されている。
特許請求の範囲
【請求項1】 車体横幅方向に並べて複数個の茎稈導入路を備えて、車体進行に伴って前記茎稈導入路に導入される植立茎稈を刈り取る刈取部(2)と、前記刈取部(2)を昇降操作するアクチュエータ(CY)と、前記刈取部(2)の対地高さを検出する対地高さ検出手段(S4)と、前記刈取部(2)の対地高さが目標高さになるように、前記アクチュエータ(CY)を制御する昇降制御手段(13)とが備えられた作業車の昇降制御装置であって、前記茎稈導入路内における植立茎稈の車体横幅方向の位置を検出する茎稈位置検出手段(S1),(S2),(S3)が、前記刈取部(2)に備えられ、前記茎稈位置検出手段(S1),(S2),(S3)の検出情報に基づいて、前記対地高さ検出手段(S4)が植立茎稈に突入している株割り状態であることを判別する株割り状態判別手段(100)が備えられ、前記昇降制御手段(13)は、前記株割り状態判別手段(100)が前記株割り状態であることを判別するに伴って、通常昇降制御モードから補助昇降制御モードに、制御モードを切り換えるように構成されている作業車の昇降制御装置。
【請求項2】 車体横幅方向に並べて複数個の茎稈導入路を備えて、車体進行に伴って前記茎稈導入路に導入される植立茎稈を刈り取る刈取部(2)と、前記刈取部(2)を昇降操作するアクチュエータ(CY)と、前記刈取部(2)の対地高さを検出する対地高さ検出手段(S4)と、前記刈取部(2)の対地高さが目標高さになるように、前記アクチュエータ(CY)を制御する昇降制御手段(13)とが備えられた作業車の昇降制御装置であって、前記茎稈導入路内における植立茎稈の車体横幅方向の位置を検出する茎稈位置検出手段(S1),(S2),(S3)が、前記刈取部(2)に備えられ、前記茎稈位置検出手段(S1),(S2),(S3)の検出情報に基づいて、植立茎稈列の植立条方向と交差する方向に車体を進行させて刈り取る横刈り作業形態であることを判別する横刈り状態判別手段(101)が備えられ、前記昇降制御手段(13)は、前記横刈り状態判別手段(101)が前記横刈り状態であることを判別するに伴って、通常昇降制御モードから補助昇降制御モードに、制御モードを切り換えるように構成されている作業車の昇降制御装置。
【請求項3】 前記昇降制御手段(13)は、前記補助昇降制御モードにおいては、前記刈取部(2)の上昇側の制御出力を高速側から低速側に切り換えた状態で、前記アクチュエータ(CY)を制御するように構成されている請求項1又は2記載の作業車の昇降制御装置。
【請求項4】 前記昇降制御手段(13)は、前記通常昇降制御モードにおいて、前記対地高さ検出手段(S4)の検出値と、前記刈取部(2)の対地高さの目標値との偏差が大きいほど、大きい速度にて、前記アクチュエータ(CY)が昇降作動を実行すべく制御するように構成され、前記補助昇降制御モードにおいて、前記アクチュエータ(CY)への上昇側の最大制御出力を低速側に切り換えた状態で、前記アクチュエータ(CY)を制御するように構成されている請求項1、2又は3記載の作業車の昇降制御装置。
【請求項5】 前記昇降制御手段(13)は、前記補助昇降制御モードにおいて、前記アクチュエータ(CY)の上昇作動用出力を停止させるように構成されている請求項1、2又は3記載の作業車の昇降制御装置。
【請求項6】 前記茎稈位置検出手段(S1),(S2),(S3)は、前記茎稈導入路において中立位置に回動復帰付勢された状態で設けられ、植立茎稈との接当により機体前後方向に回動自在な検出片(11)と、この検出片(11)の前後回動量を検出する回動量検出手段(12)とで構成されている請求項1、2、3、4又は5記載の作業車の昇降制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、コンバイン等の作業車の昇降制御装置に関し、詳しくは、車体横幅方向に並べて複数個の茎稈導入路を備えて、車体進行に伴って前記茎稈導入路に導入される植立茎稈を刈り取る刈取部と、前記刈取部を昇降操作するアクチュエータと、前記刈取部の対地高さを検出する対地高さ検出手段と、前記刈取部の対地高さが目標高さになるように、前記アクチュエータを制御する昇降制御手段とが備えられた作業車の昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記作業車の昇降制御装置において、従来では、前記昇降制御手段による昇降制御が実行されている間は、前記対地高さ検出手段により検出された刈取部の対地高さが目標高さになるように、前記アクチュエータを制御する構成となっており、前記対地高さ検出手段は、植立茎稈の各植立条の間に位置するように設置される構成となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記対地高さ検出手段が植立茎稈の各条間に位置する状態で、作業車が条列に沿って走行している場合においては、適正な昇降制御が実行されるけれども、この種の作業車にあっては、例えば、作業車の走行装置が地面との間でスリップしたり、操縦者の操作誤り等に起因して、走行方向が所定方向からずれるおそれがあるが、このような場合において、前記対地高さ検出手段が、植立茎稈内に突入して、地面との間での離間距離でなく、屈曲した茎稈との間での離間距離を検出してしまうことがある。
【0004】その結果、上記従来構成においては、上述したような茎稈との間での離間距離を検出することで、検出対地高さが相対的に低い値になってしまい、昇降制御手段は、地面との離間距離がほぼ目標高さに維持されている場合であっても、刈取部を相対的に上昇操作させることになる。そうすると、刈取作業高さが目標高さよりも高いものになるという不利があり、この点で改善の余地があった。
【0005】又、この種の作業車においては、圃場での刈り始めや刈取り作業の途中において、作業車が植立茎稈の条列に対して、交差する方向に沿って走行する、所謂、横刈り作業を行うことがあるが、この横刈り作業を行う場合には、車体横幅方向に沿う植立茎稈の間隔が、条刈り作業の場合に比べて狭くなるので、前記対地高さ検出手段が常に各植立茎稈の間に位置するとは限らず、対地高さ検出手段が植立茎稈内に突入したり、他部材により押し倒された茎稈が、対地高さ検出手段の下方側に入り込むことがある。このような場合においても、上述したような不利と同様な不利があり、この点でも改善の余地があった。
【0006】本発明は、このような点に着目してなされたものであり、その目的は、対地高さ検出手段の下方側に植立茎稈が入り込み、対地高さが誤検出されるおそれがある場合であっても、刈取作業高さを適正なものに維持することが可能となる作業車の昇降制御装置を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1発明の特徴構成は、車体横幅方向に並べて複数個の茎稈導入路を備えて、車体進行に伴って前記茎稈導入路に導入される植立茎稈を刈り取る刈取部と、前記刈取部を昇降操作するアクチュエータと、前記刈取部の対地高さを検出する対地高さ検出手段と、前記刈取部の対地高さが目標高さになるように、前記アクチュエータを制御する昇降制御手段とが備えられた作業車の昇降制御装置において、前記茎稈導入路内における植立茎稈の車体横幅方向の位置を検出する茎稈位置検出手段が、前記刈取部に備えられ、前記茎稈位置検出手段の検出情報に基づいて、前記対地高さ検出手段が植立茎稈に突入している株割り状態であることを判別する株割り状態判別手段が備えられ、前記昇降制御手段は、前記株割り状態判別手段が前記株割り状態であることを判別するに伴って、通常昇降制御モードから補助昇降制御モードに、制御モードを切り換えるように構成されている点にある。
【0008】第2発明の特徴構成は、車体横幅方向に並べて複数個の茎稈導入路を備えて、車体進行に伴って前記茎稈導入路に導入される植立茎稈を刈り取る刈取部と、前記刈取部を昇降操作するアクチュエータと、前記刈取部の対地高さを検出する対地高さ検出手段と、前記刈取部の対地高さが目標高さになるように、前記アクチュエータを制御する昇降制御手段とが備えられた作業車の昇降制御装置において、前記茎稈導入路内における植立茎稈の車体横幅方向の位置を検出する茎稈位置検出手段が、前記刈取部に備えられ、前記茎稈位置検出手段の検出情報に基づいて、植立茎稈列の植立条方向と交差する方向に車体を進行させて刈り取る横刈り作業形態であることを判別する横刈り状態判別手段が備えられ、前記昇降制御手段は、前記横刈り状態判別手段が前記横刈り状態であることを判別するに伴って、通常昇降制御モードから補助昇降制御モードに、制御モードを切り換えるように構成されている点にある。
【0009】第3発明の特徴構成は、第1又は第2発明の実施に好適な構成を特定するものであって、前記昇降制御手段は、前記補助昇降制御モードにおいては、前記刈取部の上昇側の制御出力を高速側から低速側に切り換えた状態で、前記アクチュエータを制御するように構成されている点にある。
【0010】第4発明の特徴構成は、第1、第2又は第3発明の実施に好適な構成を特定するものであって、前記昇降制御手段は、前記通常昇降制御モードにおいて、前記対地高さ検出手段の検出値と、前記刈取部の対地高さの目標値との偏差が大きいほど、大きい速度にて、前記アクチュエータが昇降作動を実行すべく制御するように構成され、前記補助昇降制御モードにおいて、前記アクチュエータへの上昇側の最大制御出力を低速側に切り換えた状態で、前記アクチュエータを制御するように構成されている点にある。
【0011】第5発明の特徴構成は、第1、第2、第3又は第4発明の実施に好適な構成を特定するものであって、前記昇降制御手段は、前記補助昇降制御モードにおいて、前記アクチュエータの上昇作動用出力を停止させるように構成されている点にある。
【0012】第6発明の特徴構成は、第1、第2又は第3発明の実施に好適な構成を特定するものであって、前記茎稈位置検出手段は、前記茎稈導入路において中立位置に回動復帰付勢された状態で設けられ、植立茎稈との接当により機体前後方向に回動自在な検出片と、この検出片の前後回動量を検出する回動量検出手段とで構成されている点にある。
【0013】
【作用】第1発明の特徴構成によれば、車体進行に伴って茎稈導入路に導入される植立茎稈の車体横幅方向の位置、つまり、植立茎稈列に対して車体が正規の位置から横幅方向にどの程度位置ずれしているかについての情報が茎稈位置検出手段によって検出される。従って、その茎稈位置検出手段の検出情報に基づいて、対地高さ検出手段が植立茎稈に突入している株割り状態であるか否かを判別することができる。そして、株割り状態であると判別されると、通常昇降制御モードから、補助昇降制御モードに制御モードを切り換えられた状態で、昇降制御が実行されるのである。補助昇降制御モードにおいては、例えば、アクチュエータによる上昇操作を停止させたり、あるいは、上昇速度を設定速度よりも低速にさせる、又は、対地高さ検出手段による検出値の平均値から刈取部の検出対地高さを求める場合等に、平均されるデータ数を多くしたりする等によって、アクチュエータの敏感な上昇作動を抑制する等、株割り状態に対応して、適正な昇降状態に維持させることができる。
【0014】第2発明の特徴構成によれば、例えば、植立茎稈の条間間隔と、各条に沿う方向での植立茎稈の間隔とが異なることから、横刈り作業を行う場合には、茎稈位置検出手段の検出情報に基づいて、横刈り作業形態であることを判別することができる。そして、横刈り作業形態であると判別されると、通常昇降制御モードから、上述したような補助昇降制御モードに制御モードを切り換えられた状態で、昇降制御が実行されるのである。
【0015】第3発明の特徴構成によれば、第1又は第2発明の特徴構成による作用に加えて次の作用がある。前記補助昇降制御モードにおいて、刈取部の上昇側の制御出力を高速側から低速側に切り換えた状態で、アクチュエータが制御されるのである。その結果、株割り状態や横刈り作業に起因して、対地高さ検出手段による刈取部の検出対地高さが相対的に低い値になっている、と判断された場合であっても、刈取部の上昇操作が低速で実行されることになり、例えば、株割り状態や横刈り作業が継続している間に、高速でアクチュエータが作動して、刈取部の対地高さが目標高さから大きく外れるといった不利を回避できる。
【0016】第4発明の特徴構成によれば、第1、第2又は第3発明の特徴構成による作用に加えて次の作用がある。通常昇降制御モードにおいて、対地高さ検出手段の検出値と、刈取部の対地高さの目標値との偏差が大きいほど、大きい速度にて、アクチュエータが昇降作動を実行すべく制御するように構成されているので、例えば、地面が大きく隆起しているような場合には、高速で昇降作動が実行され、刈取部の地面への突入が回避でき、小さな凹凸に対しては低速で昇降することで、高速で頻繁な昇降作動が実行されるのを回避できる。
【0017】そして、補助昇降制御モードにおいては、アクチュエータへの上昇側の最大制御出力を低速側に切り換えた株割り状態制御モードにて、アクチュエータを制御するように構成されているので、例えば、株割り状態や横刈り作業が継続している間に、高速でアクチュエータが作動して、刈取部の対地高さが目標高さから大きく外れるといった不利を回避できる。
【0018】第5発明の特徴構成によれば、第1、第2、第3又は第4発明の特徴構成による作用に加えて次の作用がある。補助昇降制御モードにおいては、アクチュエータの上昇作動用出力が停止されるので、刈取部の対地高さは、対地高さ検出手段が植立茎稈に突入する(株割り状態になる)以前、又は、横刈り作業が開始される以前における対地高さにそのまま維持されることになる。従って、刈取部の不要な上昇作動によって対地高さが目標高さから大きく外れるといった不利を回避できる。
【0019】第6発明の特徴構成によれば、第1、第2、第3、第4又は第5発明の特徴構成による作用に加えて次の作用がある。茎稈導入路において、中立位置に回動復帰付勢された検出片が植立茎稈に接当して車体前後方向に回動し、その回動量が回動量検出手段によって検出される。前記回動量は、植立茎稈の車体横幅方向の位置に対応して変動するので、この回動量により茎稈位置情報を得ることができる。
【0020】
【発明の効果】第1発明の特徴構成によれば、株割り状態が判別された場合においては、昇降制御における制御モードを切り換えることによって、株割り状態の発生に起因して、対地高さ検出手段が茎稈との間での高さを誤って検出するようなことがあっても、適正な昇降状態に維持できて、刈取部の対地高さが目標高さから大きく外れる不利を回避させることが可能となる。
【0021】第2発明の特徴構成によれば、横刈り作業形態であることが判別された場合においては、昇降制御における制御モードを切り換えることによって、横刈り作業に起因して、対地高さ検出手段が茎稈との間での高さを誤って検出するようなことがあっても、適正な昇降状態に維持できて、刈取部の対地高さが目標高さから大きく外れる不利を回避させることが可能となる。
【0022】第3発明の特徴構成によれば、第1又は第2発明の特徴構成による効果に加えて次の効果がある。刈取部の対地高さが目標高さから大きく外れるといった不利を回避できて、極力、刈取部を目標高さに維持することが可能となる。
【0023】第4発明の特徴構成によれば、第1、第2又は第3発明の特徴構成による効果に加えて次の効果がある。通常昇降制御モードにおいては、刈取部の地面への突入を回避しながら、滑らかな昇降制御を実行することが可能でありながら、株割り状態や横刈り作業形態であることは判別された場合には、極力、刈取部を目標高さに維持することが可能となる。
【0024】第5発明の特徴構成によれば、第1、第2、第3又は第4発明の特徴構成による効果に加えて次の効果がある。株割り状態が発生した場合に、刈取部の不要な上昇作動を抑制して、対地高さが目標高さに維持させることが可能となる。
【0025】第6発明の特徴構成によれば、第1、第2、第3、第4又は第5発明の特徴構成による効果に加えて次の効果がある。植立茎稈との接当による回動に基づいて検出する構成であるから、超音波や光信号等を利用する非接触式の検出構成に比較して、誤検出の少ない状態で、茎稈導入経路内における植立茎稈の車体横幅方向の位置を検出することができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図11に作業車の一例としてのコンバインの前部が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1を備えて走行可能に構成され、機体前部に、植立茎稈を刈取る刈取部としての刈取前処理部2が昇降自在に備えられ、後方側に、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置3、搭乗運転部5等が備えられて構成される。
【0027】刈取前処理部2は、図2に示すように、その先端部に刈取対象条の植立茎稈を振り分け分草する複数の分草具6A,6B,6C,6D,6E,6Fが車体横幅方向に間隔を隔てて刈取フレーム7に支持された状態で設けられ、それら各分草具6A〜6Fの間に、複数の茎稈導入経路L1,L2,L3,L4,L5が形成され、植立茎稈を立姿勢に引起す引起し装置8、引起された穀稈の株元側を切断するバリカン型刈取装置9、刈取られた穀稈を徐々に横倒れ姿勢に姿勢変更させながら、後方に搬送する縦搬送装置10等を備えて構成されている。この刈取前処理部2は、機体に対して横軸芯P周りで昇降揺動自在に枢支されている。そして、アクチュエータとしての油圧シリンダCYの伸縮操作により駆動昇降されるように構成されている。
【0028】前記縦搬送装置10の搬送入口部には、刈取穀稈が存在するか否かを検出することで、刈取前処理部2が刈取作業状態であるか否かを判別するための作業状態判別手段である株元センサS0が備えられている。
【0029】刈取前処理部2には、茎稈導入路内における植立茎稈の車体横幅方向の位置を検出する茎稈位置センサが3個備えられている。この茎稈位置センサS1,S2,S3は、図2に示すように、茎稈導入路において中立位置に回動復帰付勢された状態で設けられ、植立茎稈との接当により機体前後方向に回動自在な検出片としてのセンサーバー11と、このセンサーバー11の前後回動量を検出する回動量検出手段としてのポテンショメータ12とで構成されている。つまり、車体が進行するに伴ってセンサーバー11が植立茎稈に接当して車体後方側に回動し、その回動量がポテンショメータ12により検出される。回動量は植立茎稈の横幅方向の位置に相当する。未刈側の茎稈導入経路L1,L2に、夫々のセンサーバー11が互いに反対方向に突出する状態で、第1、第2茎稈位置センサS1,S2が最未刈側から2番目の刈取フレーム7に設けられ、又、既刈側の茎稈導入経路L5に作用する状態で最既刈側の刈取フレーム7に第3茎稈位置センサS3が設けられている。
【0030】そして、これらの各茎稈位置センサS1,S2,S3の検出信号は、マイクロコンピュータを備えて成る制御装置13に入力され、制御装置13は、各茎稈位置センサS1,S2,S3の検出情報に基づいて車体操向位置が適正状態になるように自動操向制御するように構成されている。コンバインの走行駆動系は、図1に示すように構成されている。つまり、エンジンEの動力が変速装置14を介してミッションケース15に伝えられ、ミッションケース15から左右クローラ走行装置1,1に動力が供給される。ミッションケース15には、左右各クローラ走行装置1,1に対する動力を各別に入り切りする操向用クラッチ16R,16Lが備えられ、操向用クラッチ16R,16Lの入り切りにより車体を操向操作するように構成されている。各操向用クラッチ16R,16Lを入り切り操作する操向用油圧シリンダ17R,17Lに対する作動油の供給を、電磁操作式の操向制御弁18R,18Lにて切り換えるように構成され、この操向制御弁18R,18Lを、制御装置13により切り換え制御するように構成されている。
【0031】制御装置13は、車体が植立茎稈の植立条に沿う方向に進行する条刈り形態においては、第1、第2茎稈位置センサS1,S2の検出情報に基づいて、分草具6Bの両側の茎稈がその分草具6Bから等間隔の位置でセンサーバー11に接当する状態を適正操向状態として、この状態を維持するように操向制御弁18R,18Lを制御する。尚、各分草具6A〜6Fを支持する刈取フレーム7は、植立茎稈の条間隔とほぼ等しい間隔で備えられ、各分草具6A〜6Fは、適正操向状態においては、ほぼ植立茎稈の条間の中央に位置することになる。
【0032】又、車体が植立茎稈の植立条に沿う方向と交差する方向に進行する横刈り形態においては、第3茎稈位置センサS3の検出情報に基づいて、茎稈が最既刈側の分草具6Fから所定間隔になる状態を適正操向状態として、その適正操向状態に維持するように操向制御弁18R,18Lを制御する。
【0033】又、最未刈側から3番目の刈取フレーム7に、刈取前処理部2の対地高さ、即ち、刈高さを検出するための対地高さ検出手段としての超音波センサS4が備えられている。この超音波センサS4は、下方側に向けて超音波を発信する発信器19と、地面にて反射された超音波を受信する受信器20とで構成され、発信してから受信するまでの時間を計測することで、対地高さを検出するように非接触式に構成されている。
【0034】図1に示すように、前記油圧シリンダCYは単動型シリンダで構成され、油圧シリンダCYに対する作動油の供給状態を、圧油供給による上昇位置(ON状態)、中立停止位置(OFF状態)、その他への油圧装置への供給位置の夫々に切り換える3位置切り換え式の電磁式上昇制御弁V1が備えられ、この上昇制御弁V1を、昇降制御手段としての制御装置13により切り換え制御するように構成されている。
【0035】又、油圧シリンダCYに対する圧油供給路L1の途中から並列状態で分岐される一対のドレン油路L2,L3に、互いに絞り径の異なるオリフィス21,22が備えられると共に、各ドレン油路L2,L3の夫々に2位置切り換え式の開閉型下降制御弁V2,V3が備えられ、制御装置13により切り換え制御するように構成されている。
【0036】搭乗運転部5には、刈取作業中における刈取前処理部2の設定高さを設定する刈高さ設定器23と、手動昇降レバー24とが備えられている。手動昇降レバー24は中立位置から前後方向のいずれかに操作されると、図示しない上昇スイッチあるいは下降スイッチがONし、手動昇降を指令するように構成されている。尚、例示はしないが、刈取前処理部2の機体に対する高さを検出する対機体高さ検出手段が設けられている。又、クローラ走行装置1への走行駆動系に、走行出力軸の回転数を検出する回転数センサS5が備えられ、制御装置13はこの回転数情報に基づいて、現在の走行車速及び走行距離を演算にて求めるように構成されている。従って、回転数センサS5が車体の走行距離検出手段を構成することになる。
【0037】前記制御装置13は、前述の対機体高さ検出手段の情報に基づいて、刈取前処理部2の対機体高さが設定高さよりも下方側にあることを条件として、自動入切スイッチSWのON操作に伴って、刈取前処理部2の対地高さが設定値になるように油圧シリンダCYを作動制御する自動昇降制御を実行するように構成され、且つ、刈取作業の開始時や終了時等において、刈取前処理部2を昇降レバー24の指令に基づいて昇降させるべく、自動昇降制御が実行されているときにも、昇降レバー24の指令があれば、昇降レバー24の指令に基づく手動昇降操作が、自動昇降制御に優先して実行するように構成されている。因みに、昇降レバー24による昇降操作は、後述の「高速上昇」や「高速下降」で実行される。
【0038】そして、制御装置13は、前記第1、第2茎稈位置センサS1,S2の検出情報に基づいて、超音波センサS4が植立茎稈に突入している株割り状態であることを判別する株割り状態判別手段100が制御プログラム形式で備えられ、株割り状態判別手段100が、株割り状態であることを判別するに伴って、通常昇降制御モードから、補助昇降制御モードに切り換えた状態で油圧シリンダCYを制御するように構成されている。前記各刈取フレーム7は、植立茎稈の各条間隔とほぼ等しい間隔で設けられ、条刈り作業形態においては、茎稈位置センサの検出情報に基づいて株割り状態が判別されると、超音波センサS4も同様に株割り状態になっていると判断できるのである。
【0039】又、制御装置13は、前記各茎稈位置センサS1,S2,S3の検出情報に基づいて、横刈り作業形態であることを自動判別する横刈り状態判別手段101が制御プログラム形式で備えられ、横刈り状態判別手段101が、横刈り状態であることを判別するに伴って、通常昇降制御モードから、補助昇降制御モードに切り換えた状態で油圧シリンダCYを制御するように構成されている。
【0040】以下、図3〜図6の制御フローチャートに基づいて、制御装置13の制御動作について詳述する。図3に示すように、株元センサS0がON状態であり刈取作業の開始が確認され、且つ、自動入切スイッチSWがON状態で自動昇降制御が作動していれば、前記各茎稈位置センサS1,S2,S3の検出情報に基づいて、刈取形式(条刈りか横刈りか)の判別を行う。そして、横刈り形態でなく、条刈り形態であって、各茎稈位置センサの検出情報に基づいて株割り判別を行い、株割り状態でなければ通常昇降制御を実行し、横刈り形態である場合及び条刈り形態であっても株割り状態であると判別されると、補助昇降制御を実行する。
【0041】刈取形式の判別制御について説明する。植立茎稈Kは、図2に示すように、条列方向に沿って所定間隔H1(17cm程度)を有し、条列を直交する方向に所定間隔(30cm程度)を有する状態で植えられており、刈取作業に伴って各茎稈位置センサS1,S2,S3における各センサーバー11に対して間欠的に接当して、ポテンショメータ12からの信号レベルは図7に示すように、所定周期で断続的に変化する。図中、(イ)は条刈りの場合、(ロ)は横刈りの場合の信号波形を夫々示す。
【0042】そして、図4に示すように、制御装置13は、各ポテンショメータ12の断続変化周期よりも十分短い距離に性された走行距離毎に、各ポテンショメータ12の出力をサンプリングする(ステップ1,2)。車体走行距離が前記所定間隔H1に達したことが回転数センサS5の検出情報により確認されると、この間にサンプリングされたポテンショメータ12の検出値の複数個のうちの最大値が設定値以上であればそれら各最大値のときの各走行距離データをdn値として記憶する(ステップ3,4,5)。尚、最大値が設定値以上でなければ上記dn値の記憶は行わない。
【0043】次に、上記のように求められたdn値と前回求めた旧dn値との差、つまり、走行距離の間隔Δdnの値が(H1−α)と(H1+α)の間の値であるとき、(αは2〜3cm)つまり、H1に近い値であるときは条刈りカウンタをカウントアップし(ステップ6,7)、上記間隔Δdnの値が(H2−α)と(H2+α)の間の値であれば、横刈りカウンタをカウントアップ(+1)する(ステップ8)。一方、上記間隔Δdnの値が上記以外のときは、条刈りカウンタ及び横カウンタを夫々カウントダウン(−1)する(ステップ9)。各カウンタは、各茎稈位置センサS1,S2,S3毎に設けられ、いずれかの横刈りカウンタが設定値以上になれば横刈り形式であると判定し、いずれかの条刈りカウンタが設定値以上になれば条刈り形式であると判定する(ステップ10〜13)。
【0044】次に株割り判別について説明する。第1、第2茎稈位置センサS1,S2の各ポテンショメータの検出値が、共に最大値に近い設定値を越えると、株割り状態であると判別する。つまり、第1、第2茎稈位置センサS1,S2は、同一刈取フレーム7に、夫々のセンサーバー11が互いに逆方向に突出するように配置され、株割り状態においては図8に示すように、各茎稈位置センサS1,S2の夫々のセンサーバー11が、株割りされた茎稈によって後方側に大きく回動することになるので、このような株割り状態を検出することができるのである。
【0045】通常昇降制御について説明する。図5に示すように、超音波センサS4により刈取前処理部2の対地高さを検出する(ステップ14)。説明を加えると、超音波センサS4は、設定単位時間毎に超音波を発信し、受信器20にて受信されるまでの時間を計測して、高さデータに換算する。そして、このように検出された複数のデータを設定距離走行する毎に平均値を求め、対地高さデータとするのである。尚、設定上限値を越える非常に大きい値が検出されると異常値として処理して高さデータとはしない。そして、上述したようにして求められた対地高さデータと、刈高さ設定器23により設定された目標高さとの偏差が不感帯内になければ、偏差の大きさに基づいて、偏差が大きいほど作動速度が大になるように、油圧シリンダCYの作動条件を設定する(ステップ15、16)。
【0046】つまり、図9、図10に示すように、偏差の大きさに基づいて、前記下降制御弁V2,V3の切り換え条件により、下降側速度及び上昇側速度が夫々3段階に切り換えられるようになっている。尚図中(duty)は、下降制御弁の間欠的なON/OFF作動を現し、V2は絞り径大(流量小)の下降制御弁であり、V3は絞り径小(流量大)の下降制御弁である。
【0047】そして、設定された作動条件に基づいて、昇降作動を実行する(ステップ17)。尚、油圧シリンダCYの作動に伴って、前記偏差が小さくなる方向への作動においては、偏差が前記不感帯内に収まった場合であっても、不感帯よりも狭い設定幅内に収まるまで(図9、図10参照)、出力作動が継続されるようになっている(ステップ18〜22)。尚、この制御においては、「高速上昇」が設定された場合には、上昇制御弁V1を上昇位置に切り換え制御して、油圧シリンダCYが最大出力で連続上昇操作を実行することになる。
【0048】次の補助昇降制御について説明する。図6に示すように、通常昇降制御と同様に、超音波センサS4によって対地高さデータを検出し、対地高さデータと、刈高さ設定器23により設定された目標高さとの偏差が不感帯内になければ、偏差の大きさに基づいて、偏差が大きいほど作動速度が大になるように、油圧シリンダCYの作動条件を設定する(ステップ23〜25)。そして、作動条件が「高速上昇」であれば、上昇制御弁V1を例えば、0.2秒間ONさせ、0.8秒間OFFさせるように間欠的に切り換え作動して、上昇速度を、通常昇降制御の場合よりも、減速させた状態で、油圧シリンダCYの作動を実行する(ステップ26,27)。作動条件が「高速上昇」以外であれば、設定された作動条件にて昇降作動を実行する(ステップ28)。尚、油圧シリンダCYの作動に伴って、前記偏差が小さくなる方向への作動においては、偏差が前記不感帯内に収まった場合であっても、不感帯よりも狭い設定幅内に収まるまで(図9、図10参照)、出力作動が継続される(ステップ29〜33)。このように、株割り状態や横刈り作業状態においては、油圧シリンダCYの作動速度を低速側に切り換えることで、不要な上昇作動を抑制し、刈取部2の対地高さを極力、目標高さに維持できることになる。
【0049】〔別実施例〕
(1)上記実施例では、横刈り状態判別手段として、茎稈位置検出手段の検出値が最大値になるときの走行距離に基づいて、条刈り状態であるか横刈り状態であるかを判別する構成としたが、このような構成に代えて、異なる茎稈導入路に作用する複数の茎稈位置検出手段の検出値の和を求め、車体が設定距離走行する間に、前記和の値が、設定値を越える回数(頻度)が設定回数以上であれば、横刈り状態であると判別する構成としてもよく、又、横刈り作業状態に対応する茎稈位置検出手段の検出情報を予めマップデータとして記憶しておき、実際に検出される検出値と、マップデータとを照合して、横刈り状態であると判別するように構成する等、各種の判別方法にて横刈り状態であることを判別するようにして実施してもよい。
(2)上記実施例では、第1、第2茎稈検出センサS1,S2の検出情報に基づいて、株割り状態であるか否かを判別する構成としたが、第2、第3茎稈検出センサS2,S3の検出情報に基づいて、夫々の茎稈検出センサS2,S3が最大値に近い設定値以上の回動量を検出すれば、株割り状態であると判別する構成としてもよい。
(3)上記実施例では、横刈り状態であると判別された場合、あるいは、株割り状態であると判別されたのいずれの場合であっても、通常昇降制御モードから補助昇降制御モードに制御モードを切り換えるように構成したが、このような構成に代えて、次のように構成してもよい。株割り状態であるか否かの判別を行わず、横刈り状態判別手段だけが備えられる構成とし、横刈り状態が判別されたときにのみ、通常昇降制御モードから補助昇降制御モードに制御モードを切り換えるように構成するものでもよく、又、横刈り状態であるか否かの判別を行わず、株割り状態判別手段だけが備えられる構成とし、株割り状態が判別されたときにのみ、通常昇降制御モードから補助昇降制御モードに制御モードを切り換えるように構成するものでもよい。
(4)上記実施例では、補助昇降制御モードにおいて、油圧シリンダ(アクチュエータ)の上昇側最大出力を低速側に切り換えるようにしたが、油圧シリンダの上昇側の速度を、速度変化における全範囲にわたって低速側に切り換えるように構成してもよい。
(5)上記実施例では、通常昇降制御モードにおいて、前記偏差が大きいほど、大きい速度で油圧シリンダが作動するように制御が行われる構成としたが、前記偏差の大きさにかかわらず、油圧シリンダの作動速度を一定にさせる構成としてもよく、補助昇降制御モードでは、前記作動速度を低速側に切り換える構成としてもよい。
(6)上記実施例では、補助昇降制御モードにおいて、油圧シリンダの作動速度を低速側に切り換えた状態で、上昇作動させるようにしたが、株割り状態が判別されると、その時点以降は、上昇作動用出力を停止させて、刈取部の不要な上昇作動を抑制するように構成してもよい。
(7)上記実施例では、アクチュエータとして油圧シリンダを用いたが、これに代えて、例えば、電動モータとネジ送り機構等、その他のアクチュエータによって、刈取部を昇降操作する構成としてもよい。
(8)上記実施例では、対地高さ検出手段として、超音波センサを用いたが、これに代えて、電磁波や光を投射して地面からの反射状態によって対地高さを検出するものでもよく、又、上下揺動自在に接地追従する接地体の上下揺動量をポテンショメータにて検出する構成等、各種の対地高さ検出手段を用いることができる。
【0050】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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