発明の名称 |
コンバインの引起し構造 |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開平8−37884 |
公開日 |
平成8年(1996)2月13日 |
出願番号 |
特願平6−182040 |
出願日 |
平成6年(1994)8月3日 |
代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修
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発明者 |
征矢 保 |
要約 |
目的 引起し装置の前部に設けた強制分草装置を下部の支点を中心に前方へ揺動可能となし、引起し装置前面を開放し、引起し装置の保守・点検をやりやすいものとした。
構成 引起し装置3の前部に強制分草装置2を設けたコンバインの引起し構造において、強制分草装置2の下部を、引起し装置3下部を支持した分草枠11に、支点12を中心にして該強制分草装置2が前方揺動可能に取付け、強制分草装置2の上部に備えた入力部Nと前記引起し装置3の上部に備えた出力部Sとを、クラッチCを介して連動連結可能かつ分離可能とした。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 引起し爪(3a)を有するチェーン(3b)を横回しする引起し装置(3)の前部に、分草爪(2a)を有するチェーン(2b)を縦回しする強制分草装置(2)を設けたコンバインの引起し構造であって、該強制分草装置(2)の下部を、引起し装置(3)下部を支持した分草枠(11)に、支点(12)を中心にして該強制分草装置(2)が前方揺動可能に取付け、強制分草装置(2)の上部に備えた入力部(N)と前記引起し装置(3)の上部に備えた出力部(S)とを、クラッチ(C)を介して連動連結可能かつ分離可能に構成してあるコンバインの引起し構造。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】本発明は引起し爪を有するチェーンを横回しする引起し装置の前部に、分草爪を有するチェーンを縦回しする強制分草装置を設けたコンバインの引起し構造に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、引起し装置の前部にあって、穀稈を分草する強制分草装置は、その下部を分草枠に、上部を前記引起し装置に、それぞれ固定的に取付けていた。(例えば実開平4‐106931号公報参照) 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、該強制分草装置は、引起し装置の前部付近に配置されるものであるから、引起し装置の保守点検という面からは、それを妨げるものであった。すなわち、コンバインの使用に伴って、引起し装置は保守点検のため、前カバーをはずして、チェーンの張り具合を調節したり、引起し爪の点検、注油、さらにはケース内にたまったワラ屑やゴミの除去等を行う必要がある。しかし、前記したように強制分草装置が引起し装置に接近して配置されているため、引起し装置の前カバーを取りはずす際はもちろん、はずした後に引起し装置内部を保守・点検をするときに妨げとなっていた。 【0004】本発明は上記不都合を解消して、強制分草装置を有するコンバインにおいて、引起し装置の保守・点検をやりやすくすることを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明の特徴構成は、冒記したコンバインの引起し構造において、強制分草装置の下部を、引起し装置下部を支持した分草枠に、支点を中心にして該強制分草装置が前方揺動可能に取付け、強制分草装置の上部に備えた入力部と前記引起し装置の上部に備えた出力部とを、クラッチを介して連動連結可能かつ分離可能に構成した点にある。 【0006】 【作用】本発明は上記構成としたから、通常使用状態のときは、引起し装置に設けた出力部からの動力がクラッチを介して強制分草装置に設けた入力部に伝わり、引起し爪及び分草爪が駆動される。そして引起し装置の保守・点検時には、強制分草装置を前方へ押して、該強制分草装置を分草枠に取付けている軸を支点として、前方へ揺動させ、前面が開放状態となった引起し装置の前カバーを取りはずす。このとき、前記出力部と入力部との間に介在しているクラッチは、強制分草装置を前方揺動させるだけで、他に何の操作も必要としないで、切り状態にすることができる。 【0007】 【発明の効果】上記のように本発明の強制分草装置は下部の支点を中心に前方へ揺動できて、引起し装置の前面は大きく開放されることになり、引起し装置の前カバーの取りはずしが非常に楽に行うことができる。そして、その後の保守・点検、すなわち、引起しチェーンの張り具合を調節したり、引起し爪の点検・注油作業、さらにはケース内にたまったワラ屑やゴミの除去等を、強制分草装置に邪魔されないで楽に行うことができる。また、前記クラッチは強制分草装置の前後揺動に伴って自動的に入切できるので揺動操作が簡便に行える。 【0008】 【実施例】図1に自脱型コンバインの前側面が示されてあり、このコンバインの前部には植立穀稈の株元を分草する分草具1、倒伏の激しい穀稈を引起して分草する強制分草装置2、分草された穀稈を引起す引起し装置3、引起された穀稈の株元を刈取る刈取部4、刈取り穀稈を後方の脱穀装置5へ搬送する穀稈搬送装置6などにより構成される刈取前処理部Aが昇降自在に装備されている。 【0009】前記引起し装置3は多数の引起し爪3aを有するチェーン3bを、前カバー7aを設けた引起しケース7内の駆動スプロケット8により横回し、すなわちコンバイン進行方向に大して略直角方向に引起し爪3aが配置された状態で上昇するように駆動している。 【0010】強制分草装置2は引起し装置3の前部、図示した実施例では未刈側となるコンバイン左側の引起し装置3の前部、左側寄りに配置され、多数の分草爪2aを有するチェーン2bを、分草ケース9内の駆動スプロケット10により縦回し、すなわちコンバイン進行方向に沿うように分草爪2aが配置された状態で上昇するように駆動している。 【0011】該強制分草装置2はその下部において、引起し装置3下部を支持する分草枠11に支点12となる支軸を中心にして、分草装置2が前方へ揺動可能に取付けられている。 【0012】また強制分草装置2の上部には引起し装置3の出力部Sからの動力を受け入れる入力部Nを設けている。すなわち入力部Nには入力爪13aを設けた回転体13が軸14に対して摺動可能で一体回転できるように、軸14の一端に取付けられてあり、他端にはベベルギヤ機構15が設けられている。16は前記回転体13付勢用のスプリングである。 【0013】一方、引起し装置3側の出力部Sには出力爪8aを設けた駆動スプロケット17が軸18の一端に取付けられている。そして軸18の他端にはベベルギヤ機構19を設けている。上記構成において出力爪8aと入力爪13aとは咬合い式のクラッチCを構成し、強制分草装置2が通常使用状態にあるときは、クラッチCは咬合って入状態となる。 【0014】而して、図示しないエンジンの回転動力は前記ベベルギヤ機構19を介して軸18に伝わり、駆動スプロケット8を回転して引起し用のチェーン3bを駆動する。同時に、強制分草装置2側においては、出力部Sから入力部NにクラッチCを介して動力が伝達され、軸14が回転し、ベベルギヤ機構15及び軸21を介して駆動スプロケット10が回転し、分草用のチェーン2bが駆動される。尚、22は分草装置2を一時的に位置固定するフック式等の固定具であり、23は分草枠11に設けたストッパーである。 【0015】そして引起し装置3の保守・点検等を行わんとするときには、固定具22を解除状態にすると共に、強制分草装置2を前方へ押せば、クラッチCは自動的に切れ支点12を中心にして前方へ、ストッパー23に当接するまで揺動させることができ、引起し装置3の前面が大きく開放される。この結果、引起し装置3の前カバー7aの取りはずしは容易に行え、その後の保守・点検も楽に行える。また、上記構成であるから、固定具22をはずして支点12となる軸を引抜けば、強制分草装置2全体をコンバインから容易に取りはずすことができ、その逆の取付けも簡単に行うことができる。 【0016】また引起し装置3の取付けについて、簡単に説明すれば、図2に示すように、下部は分草枠11に設けた支持具24に、上部は軸18を取付けた伝動ケース20に支持されている。そして保守・点検時には、下部の支持具24及び上部の固定具22を一時的に連結解除にすれば、下部はフリー状態となり図5及び図6に示すように、軸芯Pを中心に左右に揺動することができる。 【0017】これにより、引起し装置3があるために保守・点検の際、手が入りにくい、刈取部4や穀稈搬送装置6の下方にある補助搬送装置17周辺の手入れがやりやすくなるのである。 【0018】〔別実施例〕 ■ 実施例では未刈側であるコンバイン左側にのみ強制分草装置2を取付けたものを示したが、左右両側に設けてあってもよい。 ■ 強制分草装置2下部の取付けは、支点12である軸に対して回転可能かつ位置固定のものであっが、固定状態である必要はなく、強制分草装置2側に設けた支点12である軸を、分草枠11側に設けたU字形等の凹溝に上方から嵌入するだけの構造であってもよい。このようにすれば、強制分草装置2と分草枠11とは容易に分離できる。 また上記とは反対に、強制分草装置2側に設けた逆U字形等の凹溝に、分草枠11側に設けた支点12である軸を嵌入させる構造であってもよい。 【0019】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
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