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発明の名称 作業車の昇降制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−37865
公開日 平成8年(1996)2月13日
出願番号 特願平6−177777
出願日 平成6年(1994)7月29日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 中 珠喜
要約 目的
作業走行を開始する際に、地面の凹凸の激しい非作業地を車体が走行するような場合であっても、適正な状態で昇降制御作動を実行することが可能となる作業車の昇降制御装置を提供する。

構成
超音波センサS1の検出情報に基づいて、作業装置の対地高さが目標高さになるように、昇降用油圧シリンダCYを制御する制御装置12が備えられ、作業装置が作業状態であるか非作業状態であるかを検出する株元センサS0がが、非作業状態を検出している間、及び、非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から設定時間が経過する間は、超音波センサS1の検出情報に基づく昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定し、株元センサS0が非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から、設定時間が経過した後においては、昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定する。
特許請求の範囲
【請求項1】 作業装置(2)を昇降操作するアクチュエータ(CY)と、前記作業装置(2)の対地高さを検出する対地高さ検出手段(S1)と、前記対地高さ検出手段(S1)の検出情報に基づいて、前記作業装置(2)の対地高さが目標高さになるように、前記アクチュエータ(CY)を制御する制御手段(12)とが備えられた作業車の昇降制御装置であって、前記作業装置(2)が作業状態であるか非作業状態であるかを検出する作業状態検出手段(S0)が設けられ、前記制御手段(12)は、前記作業状態検出手段(S0)が、非作業状態を検出している間、及び、非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から、設定時間が経過する間、又は、設定距離走行するまでの間は、前記対地高さ検出手段(S1)の検出情報に基づく昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定し、前記作業状態検出手段(S0)が非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から、設定時間が経過した後、又は、設定距離走行した後においては、昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定するように構成されている作業車の昇降制御装置。
【請求項2】 作業車の走行速度を検出する車速検出手段(S2)が設けられ、前記制御手段(12)は、前記車速検出手段(S2)により検出される走行速度が設定速度以下であれば、前記作業状態検出手段(S0)が非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から、設定時間が経過した後、又は、設定距離走行した後において、昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定するように構成されている請求項1記載の作業車の昇降制御装置。
【請求項3】 前記制御手段(12)は、前記対地高さ検出手段(S1)の検出値の平均値に基づいて前記作業装置(2)の検出対地高さを求めるように構成され、且つ、前記平均値を求めるための、前記対地高さ検出手段(S1)の検出値の検出情報量を変化させて、前記昇降制御作動の制御感度を、敏感又は鈍感に変更設定するように構成されている請求項1又は2記載の作業車の昇降制御装置。
【請求項4】 前記対地高さ検出手段(S1)は、間欠的に、検出作動を実行するように構成され、前記制御手段(12)は、前記対地高さ検出手段(S1)における複数の検出値の平均値を求める際に、母数を変更させて、前記昇降制御作動の制御感度を、敏感又は鈍感に変更設定するように構成されている請求項1、2又は3記載の作業車の昇降制御装置。
【請求項5】 前記対地高さ検出手段(S1)は、設定単位時間毎に、検出作動を実行するように構成され、前記制御手段(12)は、前記対地高さ検出手段(S1)における検出値の設定時間毎の平均値、又は、設定距離走行する毎の平均値に基づいて、前記作業装置(2)の検出対地高さを求めるように構成され、前記平均値を求めるための、前記設定時間又は前記設定距離を短くして、前記昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定し、前記設定時間又は前記設定距離を長くして、前記昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定するように構成されている請求項1、2又は3記載の作業車の昇降制御装置。
【請求項6】 前記制御手段(12)は、前記対地高さ検出手段(S1)における検出値の設定時間毎の、又は、設定距離走行する毎の平均値を検出対地高さとして求め、その検出対地高さに基づいて昇降制御を実行するようにして、昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定するように構成され、且つ、前記対地高さ検出手段(S1)における検出値の第1設定時間毎の、又は、第1設定距離走行する毎の平均値を第1平均値として求め、第2設定時間内、又は、第2設定距離走行する時間内において求められた複数の前記各第1平均値のうち、最大値及び最小値を除く、その他の各第1平均値の平均値を第2平均値として求め、前記第2平均値に基づいて昇降制御を実行することで、前記昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定するように構成されている請求項1、2、3又は5記載の作業車の昇降制御装置。
【請求項7】 前記制御手段(12)は、前記アクチュエータ(CY)の作動速度を高速側にさせることで、前記昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定し、前記アクチュエータ(CY)の作動速度を低速側にさせることで、前記昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定するように構成されている請求項1記載の作業車の昇降制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、コンバインその他の農作業車等の作業車の昇降制御装置に関し、詳しくは、作業装置を昇降操作するアクチュエータと、前記作業装置の対地高さを検出する対地高さ検出手段と、前記対地高さ検出手段の検出情報に基づいて、前記作業装置の対地高さが目標高さになるように、前記アクチュエータを制御する制御手段とが備えられた作業車の昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記作業車の昇降制御装置において、従来では、作業走行中において地面の僅かな凹凸に対して常に精度よく、対地高さ検出手段の検出結果に基づく昇降制御作動が実行されると、作業装置が、不必要な昇降動作を頻繁に繰り返すことになり、車体が振らついたりする等、滑らかな制御が実行できない不利があるので、昇降制御作動の制御感度が鈍感になるように設定されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば農作業車にあっては刈取作業や対地作業等の作業が実行される作業地は、通常、一つの作業行程では車体が直進走行しながら作業を行う場合が多く、地面が荒らされることは少ないが、車体の旋回走行が行われる枕地等においては、車体の旋回動作に起因して地面が荒らされ、凹凸が多く存在するおそれが大となる。
【0004】従って、このように地面が荒れている枕地等の非作業地を走行しながら、次回、作業行程での作業を開始させる際に、上述したような鈍感な昇降制御作動が実行されると、地面の凹凸に起因して生じる作業装置の対地昇降に対して、昇降制御作動が追従できないおそれがあり、作業装置が誤って地面に接触して、作業装置が損傷したり、地面を荒らしたりする等の不利な面があり、改善の余地があった。
【0005】本発明は、このような点に着目してなされたものであり、その目的は、作業走行を開始する際に、地面の凹凸の激しい非作業地を車体が走行するような場合であっても、適正な状態で昇降制御作動を実行することが可能となる作業車の昇降制御装置を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1発明の特徴構成は、作業装置を昇降操作するアクチュエータと、前記作業装置の対地高さを検出する対地高さ検出手段と、前記対地高さ検出手段の検出情報に基づいて、前記作業装置の対地高さが目標高さになるように、前記アクチュエータを制御する制御手段とが備えられた作業車の昇降制御装置であって、前記作業装置が作業状態であるか非作業状態であるかを検出する作業状態検出手段が設けられ、前記制御手段は、前記作業状態検出手段が、非作業状態を検出している間、及び、非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から、設定時間が経過する間、又は、設定距離走行するまでの間は、前記対地高さ検出手段の検出情報に基づく昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定し、前記作業状態検出手段が非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から、設定時間が経過した後、又は、設定距離走行した後においては、昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定するように構成されている点にある。
【0007】第2発明の特徴構成は、第1発明の実施に好適な構成を特定するものであって、作業車の走行速度を検出する車速検出手段が設けられ、前記制御手段は、前記車速検出手段により検出される走行速度が設定速度以下であれば、前記作業状態検出手段が非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から、設定時間が経過した後、又は、設定距離走行した後において、昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定するように構成されている点にある。
【0008】第3発明の特徴構成は、第1又は第2発明の実施に好適な構成を特定するものであって、前記制御手段は、前記対地高さ検出手段の検出値の平均値に基づいて前記作業装置の検出対地高さを求めるように構成され、且つ、前記平均値を求めるための、前記対地高さ検出手段の検出値の検出情報量を変化させて、前記昇降制御作動の制御感度を、敏感又は鈍感に変更設定するように構成されている点にある。
【0009】第4発明の特徴構成は、第1、第2又は第3発明の実施に好適な構成を特定するものであって、前記対地高さ検出手段は、間欠的に、検出作動を実行するように構成され、前記制御手段は、前記対地高さ検出手段における複数の検出値の平均値を求める際に、母数を変更させて、前記昇降制御作動の制御感度を、敏感又は鈍感に変更設定するように構成されている点にある。
【0010】第5発明の特徴構成は、第1、第2又は第3発明の実施に好適な構成を特定するものであって、前記対地高さ検出手段は、設定単位時間毎に、検出作動を実行するように構成され、前記制御手段は、前記対地高さ検出手段における検出値の設定時間毎の平均値、又は、設定距離走行する毎の平均値に基づいて、前記作業装置の検出対地高さを求めるように構成され、前記平均値を求めるための、前記設定時間又は前記設定距離を短くして、前記昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定し、前記設定時間又は前記設定距離を長くして、前記昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定するように構成されている点にある。
【0011】第6発明の特徴構成は、第1、第2、第3又は第5発明の実施に好適な構成を特定するものであって、前記制御手段は、前記対地高さ検出手段における検出値の設定時間毎の、又は、設定距離走行する毎の平均値を検出対地高さとして求め、その検出対地高さに基づいて昇降制御を実行するようにして、昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定するように構成され、且つ、前記対地高さ検出手段における検出値の第1設定時間毎の、又は、第1設定距離走行する毎の平均値を第1平均値として求め、第2設定時間内、又は、第2設定距離走行する時間内において求められた複数の前記各第1平均値のうち、最大値及び最小値を除く、その他の各第1平均値の平均値を第2平均値として求め、前記第2平均値に基づいて昇降制御を実行することで、前記昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定するように構成されている点にある。
【0012】第7発明の特徴構成は、第1発明の実施に好適な構成を特定するものであって、前記制御手段は、前記アクチュエータの作動速度を高速側にさせることで、前記昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定し、前記アクチュエータの作動速度を低速側にさせることで、前記昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定するように構成されている点にある。
【0013】
【作用】第1発明の特徴構成によれば、作業状態検出手段が非作業状態を検出している間、及び、非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から、設定時間が経過する間、又は、設定距離走行するまでの間、即ち、作業車が非作業地を走行して、作業行程での作業を開始し始めてから作業地内に入り込むまでの間は、対地高さ検出手段の検出情報に基づく昇降制御作動の制御感度を敏感に設定するのである。その結果、非作業地において地面の凹凸が多く、作業車の姿勢変化によって作業装置が頻繁に上下動するような場合であっても、昇降制御感度が敏感となるので、作業装置の対地高さを極力目標高さに維持することができるものとなる。
【0014】そして、前記設定時間が経過した後、又は、前記設定距離走行した後、即ち、作業地での作業走行が行われている際には、昇降制御感度が鈍感に設定され、不必要な昇降制御を極力回避させて滑らかな制御を実行できることになる。
【0015】第2発明の特徴構成によれば、第1発明の特徴構成による作用に加えて次の作用がある。前記設定時間が経過した後、又は、前記設定距離走行した後、即ち、作業地での作業走行が行われている際であっても、地面の凹凸が多い箇所においては、作業上の安全性の面から走行速度を低速にさせることになるので、そのような走行速度が低速の場合には、昇降制御感度を敏感させることで、作業装置の対地高さを極力目標高さに維持することができる。
【0016】第3発明の特徴構成によれば、第1又は第2発明の特徴構成による作用に加えて次の作用がある。対地高さ検出手段により検出される検出値の平均値に基づいて、作業装置の検出対地高さが求められる。そして、平均値を求めるための検出値の検出情報量、つまり、平均される検出値の検出時間の長さや、検出値の個数等を変化させて、前記制御感度を敏感又は鈍感に変更設定するのである。
【0017】第4発明の特徴構成によれば、第1、第2又は第3発明の特徴構成による作用に加えて次の作用がある。対地高さ検出手段による検出作動が間欠的に行われ、このようにして検出された複数の検出値の平均値を求める際において、母数、即ち、平均されるその検出値の個数を変化させて、前記制御感度が敏感又は鈍感に変更設定されるのである。例えば、母数を多くすることで、局部的に大きい値が検出されていても、母数を変化することで、平均値が均されて、極力変動の少ない滑らかな検出値情報が得られ、結果的に昇降制御作動の制御感度が鈍感になるのである。又、母数を少なくすると、検出情報に対する昇降制御の追従性が向上し、制御感度が敏感になるのである。
【0018】第5発明の特徴構成によれば、第1、第2又は第3発明の特徴構成による作用に加えて次の作用がある。対地高さ検出手段による検出作動が設定単位時間毎に行われ、その検出値の設定時間毎の平均値、又は、設定距離走行する毎の平均値に基づいて、作業装置の検出対地高さが求められるのである。そして、前記平均値を求めるための、前記設定時間又は前記設定距離を短くさせることで、前記制御感度が敏感に変更設定され、前記設定時間又は前記設定距離を長くさせることで、前記制御感度が鈍感に変更設定されるのである。
【0019】その結果、前記制御感度が敏感に設定されるときは、昇降操作手段の作動制御のタイミングが短時間になり、応答遅れの少ない昇降制御が行える。
【0020】第6発明の特徴構成によれば、第1、第2、第3又は第5発明の特徴構成による作用に加えて次の作用がある。
【0021】対地高さ検出手段における検出値の設定時間毎の、又は、設定距離走行する毎の平均値をそのまま検出対地高さデータとして用い昇降制御を実行することで、昇降制御作動の制御感度が敏感に設定される。
【0022】その結果、作業装置の対地高さの変化に対応して追従性の良好な状態で昇降制御が実行されることになる。
【0023】そして、第1設定時間毎に、又は、第1設定距離走行する毎に、対地高さ検出手段における検出値の平均値を第1平均値として求め、第1設定時間よりも長い第2設定時間内、又は、第1設定距離よりも長い第2設定距離走行する時間内において求められた複数の各第1平均値のうち、最大値及び最小値を除く、その他の各第1平均値の平均値を第2平均値として求める。そして、第2平均値を検出対地高さデータとして、昇降制御を実行することによって、昇降制御作動の制御感度が鈍感に変更設定されることになるのである。
【0024】その結果、短い間隔で得られる検出値のうち、最大値及び最小値を除いて、長い間隔内での平均値を求めることで、昇降制御作動の制御感度を鈍感なものにしながらも、局部的に変動する異常データが極力除かれた状態で、滑らかな昇降制御が実行されることになる。
【0025】第7発明の特徴構成によれば、第1発明の特徴構成による作用に加えて次の作用がある。アクチュエータの作動速度を高速側にさせることで、作業装置の対地高さが目標高さから変動した場合に、極力速く目標高さに戻すことができ、昇降制御作動の制御感度が敏感に変更設定されることになる。又、アクチュエータの作動速度を低速側にさせることで、アクチュエータによる作業装置の昇降作動が低速となり、結果的に、昇降制御作動の制御感度が鈍感に変更設定されることになるのである。
【0026】
【発明の効果】第1発明の特徴構成によれば、作業走行中においては、不必要な昇降動作を抑制して、滑らかな昇降制御が実行できるものでありながら、非作業地から作業開始する際等において、非作業地が凹凸が多くなっているような場合であっても、作業装置の対地高さを極力目標高さに維持することができ、作業装置が地面に接触する等の不具合を未然に防止することができる作業車の昇降制御装置を提供できるに至った。
【0027】第2発明の特徴構成によれば、第1発明の特徴構成による効果に加えて次の効果がある。作業走行中であっても、地面の凹凸が多く走行速度を低速にさせるような場合には、昇降制御感度を敏感にさせることで、作業装置の対地高さを極力目標高さに維持することができ、作業装置が地面に接触する等の不具合を未然に防止することができる。
【0028】第3発明の特徴構成によれば、第1又は第2発明の特徴構成による効果に加えて次の効果がある。作業装置の検出対地高さを求めるための、検出値の検出情報量を変更することで、昇降制御作動の制御感度を変更させるので、対地高さ検出手段の検出方法を変化させることなく、その後のデータ処理にて対応することができ、制御感度の変更設定が容易に行えることになる。
【0029】第4発明の特徴構成によれば、第1、第2又は第3発明の特徴構成による効果に加えて次の効果がある。複数の検出値の平均値を求める際に、母数を変更させることにより、制御感度の変更設定に対応するので、データ数の変更だけで対応でき、処理が簡単に行える。
【0030】第5発明の特徴構成によれば、第1、第2、第3又は第4発明の特徴構成による効果に加えて次の効果がある。制御感度が敏感に設定されるときは、応答遅れの少ない昇降制御が実行できることになる。
【0031】第6発明の特徴構成によれば、第1、第2、第3、第4又は第5発明の特徴構成による効果に加えて次の効果がある。制御感度が敏感に設定されるときは、作業装置の対地高さの変化に対応して追従性の良好な状態で昇降制御が実行され、しかも、制御感度が鈍感に設定されるときは、極力、滑らかな昇降制御が実行されることになる。
【0032】第7発明の特徴構成によれば、第1発明の特徴構成による効果に加えて次の効果がある。対地高さ検出手段における検出高さ情報を変更処理する必要がなく、高さ検出情報として常に正確な情報が得られるので、作業装置の高さ変動に対する昇降制御の追従性が低下するおそれが無い。
【0033】
【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図7に作業車の一例としてのコンバインの前部が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1を備えて走行可能に構成され、機体前部に、植立穀稈(植立茎稈の一例)を刈取る作業装置としての刈取前処理部2が昇降自在に備えられ、後方側に、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置3、脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク4、搭乗運転部5等が備えられて構成される。
【0034】刈取前処理部2は、刈取対象条の植立穀稈を振り分け分草する分草具6、植立穀稈を立姿勢に引起す引起し装置7、引起された穀稈の株元側を切断するバリカン型刈取装置8、刈取られた穀稈を徐々に横倒れ姿勢に姿勢変更させながら、後方に搬送する縦搬送装置9等で構成され、機体に対して横軸芯周りで昇降揺動自在に枢支されている。そして、アクチュエータとしての油圧シリンダCYの伸縮操作により駆動昇降されるように構成されている。
【0035】前記縦搬送装置9の搬送入口部には、刈取穀稈が存在するか否かを検出することで、刈取前処理部2が刈取作業状態であるか否かを判別するための作業状態判別手段である株元センサS0が備えられている。又、分草具6の後方側箇所に、対地高さを検出するための対地高さ検出手段としての超音波センサS1が備えられている。この超音波センサS1は、下方側に向けて超音波を発信する発信器10と、地面にて反射された超音波を受信する受信器11とで構成され、発信してから受信するまでの時間を計測することで、対地高さを検出するように非接触式に構成されている。説明を加えると、超音波の受信の判別には、受信強度が設定強度よりも大であることを条件として、「受信である」と判別するようになっており、そして、受信器11が発信器10からの直接波を受信することによる誤検出を回避する等の目的のために、前記設定強度は、発信後の時間経過に伴って漸減するように構成されている。従って、本超音波センサS1においては、超音波の反射物が遠方にあるときや、極端に近くにある場合には、受信と判別されず、検出データとしては最大値に近い大きい値となる。
【0036】図1に示すように、前記油圧シリンダCYは単動型シリンダで構成され、油圧シリンダCYに対する作動油の供給状態を、圧油供給による上昇位置(ON状態)、中立停止位置(OFF状態)、その他への油圧装置への供給位置の夫々に切り換える3位置切り換え式の電磁式上昇制御弁V1が備えられ、この上昇制御弁V1を、昇降制御手段としての制御装置12により切り換え制御するように構成されている。
【0037】又、油圧シリンダCYに対する圧油供給路L1の途中から並列状態で分岐される一対のドレン油路L2,L3に、互いに絞り径の異なるオリフィス13,14が備えられると共に、各ドレン油路L2,L3の夫々に2位置切り換え式の開閉型下降制御弁V2,V3が備えられている。
【0038】搭乗運転部5には、刈取作業中における刈取前処理部2の設定高さを設定する刈高さ設定器15と、手動操作に基づいて、刈取前処理部2を昇降操作させるための昇降レバー16が備えられ、この昇降レバー16を中立位置から上昇位置に操作すると上昇スイッチSW1がONし、下降位置に操作すると下降スイッチSW2がONするように構成され、各スイッチSW1,SW2の検出状態は制御装置12に入力される。又、株元スイッチS0の検出状態も制御装置12に入力されるようになっている。尚、例示はしないが、刈取前処理部2の機体に対する高さを検出する対機体高さ検出手段が設けられている。又、クローラ走行装置1への走行駆動系に、走行出力軸の回転数を検出する回転数センサS2が備えられ、制御装置12はこの回転数情報に基づいて、現在の走行車速及び走行距離を演算にて求めるように構成されている。従って、回転数センサS2が車体の車速検出手段を構成することになる。
【0039】前記制御装置12は、前述の対機体高さ検出手段の情報に基づいて、刈取前処理部2の対機体高さが設定高さよりも下方側にあることを条件として、自動入切スイッチSW3のON操作に伴って、刈取前処理部2の対地高さが設定値になるように油圧シリンダCYを作動制御する自動昇降制御を実行するように構成されている。そして、刈取作業の開始時や終了時等において、刈取前処理部2を昇降レバー16の指令に基づいて優先して昇降させるべく自動昇降制御が実行されているときにも、昇降レバー16の指令があれば、昇降レバー16の指令に基づく手動昇降操作が、自動昇降制御に優先して実行するように構成されている。因みに、昇降レバー16による昇降操作は、後述の「高速上昇」や「高速下降」で実行される。
【0040】そして、制御装置12は、株元センサS0が、OFF状態(非作業状態)にある間、及び、OFF状態からON状態(作業状態)に切り換わったことを検出した時点から、設定時間(4秒間)が経過する間は、超音波センサS1の検出情報に基づく昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定し、株元センサS0がOFF状態からON状態に切り換わったことを検出した時点から、設定時間(4秒間)が経過した後においては、昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定するように構成されている。
【0041】又、超音波センサS1の検出情報に基づいて、超音波センサS1が植立穀稈に突入している株割り状態であることを判別する株割り状態判別手段100が制御プログラム形式で備えられ、株割り状態判別手段100が、株割り状態であることを判別するに伴って、通常昇降制御モードから、株割り制御モードに切り換えた状態で油圧シリンダCYを制御するように構成されている。
【0042】以下、図2、図3の制御フローチャートに基づいて、制御装置12の制御動作について詳述する。自動入切スイッチSW3がONされ、自動昇降制御が作動していれば、株元センサS0がOFF状態である場合、ON状態であってもOFF状態からON状態に切り換わった後、4秒間経過していない場合、車速が0.2メートル/秒以下である場合においては(ステップ1〜4)、昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定するようになっている。
【0043】つまり、制御装置12は、超音波センサS1において20msec毎に超音波を発信し、超音波センサS1が反射波を受信していれば、つまり、計測が終了していれば、その発信から受信までの時間を、対地高さデータに換算する(ステップ5,6)。検出対地高さデータが1500mm以上の値であれば、異常値であると判断して、エラー処理を実行し、1500mm以下であれば、メモリにデータを記憶させる(ステップ7〜9)。このとき、異常であれば、カウンタをカウントアップする。
【0044】このように検出対地高さデータが1500mm以上の値であれば、異常値であると判断するのは、超音波センサS1は、測定距離(地面との離間距離)が設定値以下になれば、その特性上、測定が不能になり、適切に反射波が受信できず、却って検出距離が上限値に近い大きい値になるが、刈取作業中にこのような大きな値になることは無いので、異常値として処理するのである。
【0045】そして、過去5つのデータが記憶される毎に、それらの平均値を求め、その平均値を検出対地高さデータとし、油圧シリンダCYに対する出力処理を実行する(ステップ10,11)。尚、この平均値演算処理において、データ数が5個に達していない場合はリターンする。このように、約100msec毎に5つの検出値の平均値が演算され、この平均値に基づいて、敏感に昇降制御が実行されることになる。
【0046】そして、株元センサS0がOFF状態からON状態に切り換わり、4秒間経過した後であって、車速が0.2メートル/秒以上である場合においては(ステップ1〜4)、昇降制御作動の制御感度を鈍感に変更設定するようになっている。つまり、超音波センサS1において20msec毎に超音波を発信し、超音波センサS1が反射波を受信していれば、その発信から受信までの時間を、対地高さデータに換算する(ステップ12,13)。検出対地高さデータが1500mm以上の値であれば、異常値であると判断して、エラー処理を実行し、1500mm以下であれば、メモリにデータを記憶させる(ステップ14〜16)。このとき異常であればカウンタをカウントアップする。
【0047】検出対地高さデータが1500mm以上の値であれば、異常値であると判断するのは、超音波センサS1の検出対象距離が検出可能な最小値よりも小さい値になれば、検出が不能となり、結果的に、検出対地高さが非常に大きな値になるので、このような場合には、異常データとして処理するのである。
【0048】その後、走行距離が5cmになる毎に、5cm走行間のデータの第1平均値を求める(ステップ17,18)。尚、データ数nが最大メモリバッファ数n0 となれば、オーバーフローを回避するため、リターンする(ステップ19)。
【0049】そして、30cm走行する毎に、5cm走行毎に得られたデータの中で、最大値と最小値とを除いた残りのデータの平均値(第2平均値)を求め(ステップ20)、この第2平均値H2 が前回の第2平均値データH1 より100mm以上大きい場合は、異常データであるとして、異常処理を行う(ステップ21,22)。第2平均値H2 が前回の第2平均値データH1 との差が100mmより大きくない場合は、第2平均値H2 を検出対地高さデータとして、出力処理を実行する(ステップ23,24)。
【0050】次に出力処理について説明する。図4に示すように、上述したようにして求められた対地高さデータと、刈高さ設定器15により設定された目標高さとの偏差と求め(ステップ25)、その偏差が不感帯内になければ、偏差の大きさに基づいて、偏差が大きいほど作動速度が大になるように、油圧シリンダCYの作動条件を決定する(ステップ26,27)。
【0051】つまり、図5、図6に示すように、偏差の大きさに基づいて、前記下降制御弁V2,V3の切り換え条件により、下降側速度及び上昇側速度が夫々3段階に切り換えられるようになっている。尚、図5において、V2は絞り径大(流量小)の下降制御弁であり、V3は絞り径小(流量大)の下降制御弁である。又、図5中(duty)は、下降制御弁の間欠的なON/OFF作動を示している。具体的には、「低速下降」では、下降制御弁V3が、15msecON、40msecOFFを交互に繰り返すように構成され、「中速下降」では、下降制御弁V2が、35msecON、20msecOFFを交互に繰り返すように構成されている。
【0052】そして、作動条件が「高速上昇」であれば、前記ステップ8,15においてカウントされた異常値データが、車体が1m走行する間において、50パーセント以上の割合であれば、超音波センサS1が植立穀稈内に突入している株割り状態であると判別し、フラグに「1」を立てる(ステップ28,29,30)。フラグが「1」であれば、上昇制御弁V1を例えば、0.2秒間ONさせ、0.8秒間OFFさせるように間欠的に切り換え作動して、上昇速度を減速させた状態で、油圧シリンダCYの作動を実行する(ステップ33,34)。
【0053】そして、作動条件が「高速上昇」以外であるか、又は、「高速上昇」であっても前記異常データの割合が20パーセント以下になれば、株割り状態が解消されたものと判別し、フラグを「0」にリセットして、ステップ27により決定された作動条件にて油圧シリンダCYを作動させる(ステップ31,32,33,35)。このとき、作動条件が「高速上昇」であれば、上昇制御弁V1が「ON」に維持され、高速での上昇作動が実行される。
【0054】尚、油圧シリンダCYの作動に伴って、前記偏差が小さくなる方向への作動においては、、偏差が前記不感帯内に収まった場合であっても、不感帯よりも狭い設定幅内に収まるまで(図5、図6参照)、出力作動が継続されるようになっている(ステップ36)。そして、一旦、前記設定幅内に収まった後は、偏差が前記不感帯を越えることが出力開始条件となるように構成されている。
【0055】上述したように、株割り状態が判別されると、油圧シリンダCYの作動速度を低速側に切り換えることで、不要な上昇作動を抑制し、刈取部2の対地高さを極力、目標高さに維持できることができる。
【0056】〔別実施例〕
(1)上記実施例では、作業状態検出手段(株元センサS0)が、非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から、設定時間(4秒間)が経過する間、昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定するようにしたが、非作業状態から作業状態に切り換わったことを検出した時点から、設定距離走行する間において、昇降制御作動の制御感度を敏感に変更設定するようにしてもよい。
(2)上記実施例では、走行速度が設定値以下であれば、制御感度を敏感させるようにしたが、走行速度にかかわらず、前記設定時間あるいは設定距離走行した後は、制御感度を鈍感に設定するようにしてもよい。
(3)上記実施例では、対地高さ検出手段として、非接触式の超音波センサS1を用いたが、これに限らず、接地追従型のセンサでもよい。例えば、横軸芯周りで接地追従しながら揺動昇降する接地体の上下揺動量をポテンショメータにて検出する構成でもよい。
(4)上記実施例では、対地高さ検出手段の検出作動が一定時間(20ms)毎に実行され、設定時間毎の平均値を求める構成とし、この設定時間を変更させることで制御感度を変更させる構成としたが、対地高さ検出手段が検出作動を実行する時間間隔を変更させて、制御感度を鈍感又は敏感に変更設定するようにしてもよい。
(5)上記実施例では、対地高さ検出手段の検出値情報を演算処理することで、制御感度を変更させるようにしたが、油圧シリンダCYの作動速度を高速側に変更させて制御感度を敏感に変更設定し、油圧シリンダCYの作動速度を低速側に変更させて制御感度を鈍感に変更設定するように構成してもよい。
【0057】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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