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発明の名称 田植機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−37840
公開日 平成8年(1996)2月13日
出願番号 特願平6−179902
出願日 平成6年(1994)8月1日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 溝田 秀昭
要約 目的
苗植付装置の昇降制御と、ラインマーカの選択とを迅速に行える田植機を構成する。

構成
第1センサS1で操作具14の所定方向への操作を検出すると作業レベルの苗植付装置Aを所定レベルまで上昇させる、若しくは、上昇レベルの苗植付装置を作業レベルまで下降させる制御動作を行い、又、この操作具14が所定方向と直交する方向へ操作されたことを第2センサS2で検出すると、左右のラインマーカの一方を選択して倒伏姿勢への切換えを許容する制御手段33を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】 操作具(14)が所定方向へ操作されたことを検出する第1センサ(S1)と、この操作具(14)が前記所定方向と直交する方向へ操作されたことを検出する第2センサ(S2)とを設けると共に、第1センサ(S1)で操作具(14)の操作を検出すると走行機体(3)に昇降自在に備えた苗植付装置(A)を所定レベルまで上昇させると同時に、走行機体(3)から苗植付装置(A)への伝動系に介装されたクラッチ機構(C)を切り操作する制御動作を行い、この後、前記第1センサ(S1)で操作具(14)の操作を検出すると上昇状態の苗植付装置(A)を作業レベルまで下降させる制御動作を行い、又、前記第2センサ(S2)で操作具(14)の操作を検出すると起立姿勢と倒伏姿勢とに切換え自在に構成された左右のラインマーカ(25),(25)の一方を選択して倒伏姿勢への切換えを許容する制御手段(33)を備えて成る田植機。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、田植機に関し、詳しくは、苗植付装置の昇降制御と、ラインマーカの姿勢を制御する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、苗植付装置の昇降を制御する技術として特開平6‐70618号公報に示されるように、ステアリングハンドルの近傍に配置した単一の操作具の操作で、該苗植付装置を所定レベルまで上昇させると共に、作業レベルまで下降させる制御を行うものが存在する。又、従来からの田植機では、苗植付装置が所定レベルまで上昇する毎に強制的に左右のラインマーカを起立姿勢に保持し、苗植付装置の下降時に、左右のラインマーカのうち倒伏操作すべきものを専用の操作具で選択することで、そのラインマーカを倒伏できるよう構成したものが存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】又、作業時において機体が枕地に達した際には、機体の旋回操作に先立って苗植付装置を圃場面から離間するレベルまで上昇させた後、ステアリング操作で機体を旋回させ、この旋回終了時に苗植付装置を作業レベルまで下降させ、更に、この下降以前、あるいは、下降直後に倒伏すべきラインマーカを選択する操作を必要とする。このように機体の旋回時には比較的短時間のうちに苗植付装置の昇降制御とラインマーカの選択とを別個の操作具によって行わねばならず煩わしさの面で改善の余地がある。
【0004】本発明の目的は、苗植付装置の昇降制御と、ラインマーカの選択とを迅速に行える田植機を合理的に構成する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、操作具が所定方向へ操作されたことを検出する第1センサと、この操作具が前記所定方向と直交する方向へ操作されたことを検出する第2センサとを設けると共に、第1センサで操作具の操作を検出すると走行機体に昇降自在に備えた苗植付装置を所定レベルまで上昇させると同時に、走行機体から苗植付装置への伝動系に介装されたクラッチ機構を切り操作する制御動作を行い、この後、前記第1センサで操作具の操作を検出すると上昇状態の苗植付装置を作業レベルまで下降させる制御動作を行い、又、前記第2センサで操作具の操作を検出すると起立姿勢と倒伏姿勢とに切換え自在に構成された左右のラインマーカの一方を選択して倒伏姿勢への切換えを許容する制御手段を備えて成る点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0006】
【作用】上記特徴によると、例えば、作業時に枕地に達して機体を旋回する際には、操作具を所定方向に向けて操作することで、制御手段が苗植付装置を所定レベルまで上昇させると共にクラッチ機構を切り操作し、機体の旋回が終了した際に操作具を所定方向に再度操作することで制御手段が苗植付装置を作業レベルまで下降させ、この下降以前、若しくは、下降の直後に同じ操作具を前記所定方向と直交する方向に操作することにより、左右のラインマーカのうち倒伏すべきものを選択できる。
【0007】つまり、苗植付装置の昇降とラインマーカの選択とを単一の操作具の異なった方向への操作で行えるものとなり、機体の旋回時のように、短時間のうちに多種の異なった操作を行う場合にも操作具を持ち替える等の煩雑な動作を少なくできるものとなる。
【0008】
【発明の効果】従って、苗植付装置の昇降制御と、ラインマーカの選択とを迅速に行える田植機が合理的に構成されたのである。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1に示すように、操向操作される駆動型の前車輪1、及び、駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4、及び、このエンジン4からの動力を無段階に変速するベルトテンション式の無段変速装置5、この無段変速装置5からの動力が伝えられる変速ケース6を搭載すると共に、この走行機体3の中央部に運転座席7を配置し、該走行機体3の後端部に対し油圧シリンダ8で駆動昇降するリンク機構9を介して苗植付装置Aを連結して乗用型の田植機を構成する。
【0010】前記運転座席7の右側部に苗植付装置Aの昇降制御とクラッチ機構としての植付クラッチCの入切り操作とを行う昇降レバー10を備え、運転座席7の左側部に前記無段変速装置5を操作する変速レバー11を備え、更に、ステアリングハンドル12の支持部13には、その操作によって苗植付装置Aを所定レベルまで強制上昇させ、再度の操作によって該苗植付装置Aを作業レベルまで下降させる制御等を行う操作具としての切換えレバー14を備えている。
【0011】昇降レバー10は図4に示す経路に沿って操作するよう構成され、該昇降レバーを経路内の「下降」位置より前方側に設定すると苗植付装置Aを下降させ、「上昇」位置より後方側に設定すると苗植付装置Aを上昇させ、「中立」位置に設定すると苗植付装置Aをそのレベルに維持する。又、該昇降レバー10を「入」位置に設定すると植付クラッチCを入り操作し、「切」位置に設定すると植付クラッチCを切り操作し、更に、該昇降レバー10を「自動」位置に設定すると前記切換えレバー14の操作に従って苗植付装置Aの昇降を許容すると同時に苗植付装置Aの上昇時には植付クラッチCを自動的に切り操作する。
【0012】尚、植付クラッチCは、植付けアーム(後述する)が圃場に接触する姿勢を回避した回転位相でのみ切り操作が許容されるよう機械式の牽制部材(詳述せず)と連係している。
【0013】図5に示すように、運転座席7前方のパネル部15には作業状態を示すランプ16‥類、及び、機体前部の燃料タンク17の燃料残量を表示する青色ランプ18A、黄色ランプ18B、赤色ランプ18Cの3つのランプを備えている。又、青色ランプ18Aは燃料残量が3/8まで減少するまで点灯し、黄色ランプ18Bは燃料残量が3/8以下に達すると点灯し、赤色ランプ18Cは燃料残量が1/4以下に達すると点灯すると共に、この赤色ランプ18Cの点灯状態が所定時間以上継続すると、この赤色ランプ18Cを点滅させると共に、ブザー(図示せず)を作動させるよう燃料残量の報知系が構成されている。
【0014】苗植付装置Aはマット状苗Wを載置する苗載せ台19、走行機体3から動力が伝えられる伝動ケース20、この伝動ケース20からチェーンケース21を介して伝えられる動力で回転するロータリケース22、このロータリケース22に一対ずつ備えられた植付アーム23、複数の整地フロート24夫々を備えて複数条植え用に構成されると共に、左右両端部には起立姿勢と倒伏姿勢とに切換え自在なラインマーカ25,25を備えている。
【0015】図6に示すように、前記左右のラインマーカ25,25は苗植付装置Aのフレーム部26に対して前後向き姿勢の支軸27周りに揺動自在に支承されると共に、倒伏姿勢に保持するバネ28と、のバネ28の付勢力に抗して起立姿勢に保持するようラインマーカ25のピン29に係合する揺動型のロック部材30とを有し、又、苗植付装置Aの上昇時に前記リンク機構9の後端位置の部材と苗植付装置Aとの相対姿勢の変化を利用して左右夫々のものとも起立姿勢に切換えるワイヤ31,31、及び、ロック部材30をロック解除姿勢に切換える左右一対の電磁ソレノイド32,32夫々を備えている。
【0016】前記切換えレバー14は図2及び図3に示すように、「中立」位置を基準に上方の「昇降」位置、下方の「クラッチ入り」位置、及び、「中立」位置から「昇降」位置に向かう操作方向と直交する操作方向で、「中立」位置を基準に前方の「左マーカ」位置、「中立」位置から「昇降」位置に向かう操作方向と直交する操作方向で、「中立」位置を基準に後方の「右マーカ」位置の4つの位置に操作自在、かつ、この「中立」位置に復帰するよう構成されている。
【0017】図7に示すように、制御系が形成され、この制御手段としてマイクロプロセッサを有した制御装置33に対して、昇降レバー10の操作位置を検出するポテンショメータ34、切換えレバー14を「昇降」位置に操作するとON操作されるリミットスイッチ型の第1センサS1、切換えレバー14を「左マーカ」位置、「右マーカ」位置夫々の位置に操作するとON操作されるリミットスイッチ型の一対の第2センサS2,S2、切換えレバー14を「クラッチ入り」位置に操作するとON操作されるリミットスイッチ型のクラッチスイッチ35、リンク機構9の姿勢から苗植付装置Aのレベルを判別するレベルセンサ36夫々から信号の入力系を有すると共に、油圧シリンダ8を制御する電磁弁37、植付クラッチCを操作する電動モータ38を制御するリレー39、左側、及び、右側のラインマーカ25に対する電磁ソレノイド32夫々に対する出力系を有し、この制御装置33の制御動作は図8に示すフローチャートに従って行われる。
【0018】つまり、制御が開始されると、第1センサS1からの信号を入力し、この第1センサS1がON操作されると、ポテンショメータ34からの信号に基づき昇降レバー10が「自動」位置に設定されているかを判別し、「自動」位置にある場合には、レベルセンサ36からの信号に基づき苗植付装置Aが作業レベルにあるかを判別し、作業レベルにある場合には植付クラッチCを切る操作を行うと共に、この植付クラッチCが切り状態に達したことを判別した後、油圧シリンダ8の駆動で苗植付装置Aを圃場面から離間する所定のレベルまで上昇させる(#101〜#105ステップ)。尚、苗植付装置Aが上昇操作された場合には、倒伏姿勢のラインマーカ25はワイヤ31の張力によって起立姿勢に操作されロック部材30によって起立姿勢に保持される。
【0019】又、この第1センサS1がON操作された際に、昇降レバー10が「自動」位置にある状態で苗植付装置Aが上昇レベルにある場合には、苗植付装置Aを作業レベルまで下降させる制御を行う(#106、#107ステップ)。
【0020】次に、以上の制御が行われていなくとも、一対の第2センサS2からの信号を入力し、この第2センサS2のうちの一方がON操作されるとON操作された側の電磁ソレノイド32を駆動してラインマーカ25のロックを解除する(#108、#109ステップ)。このようにロックの解除を行った際に苗植付装置Aが下降していれば、その側のラインマーカ25は倒伏姿勢に切り換わるものの、苗植付装置Aが完全に下降していない場合には、苗植付装置Aが完全に下降した時点でラインマーカ25は適性な倒伏姿勢に切り換わる。
【0021】又、以上の制御が行われていなくとも、クラッチスイッチ35からの信号を入力し、このクラッチスイッチ35がON操作された場合には、電動モータ38を制御して植付クラッチCを入り操作する(#110、#111ステップ)。
【0022】このように、切換えレバー14を「中立」位置を基準に上方の「昇降」位置に操作すると、植付クラッチCの切り操作と共に、前記レベルセンサ36からの信号に基づき、作業レベルの苗植付装置Aを圃場面から離間する所定のレベルまで上昇させ、再び切換えレバー14を、この「昇降」位置に操作すると苗植付装置Aを作業レベルまで下降させる制御を行い、又、「中立」位置を基準に切換えレバー14を前方の「左マーカ」位置に操作すると左側のラインマーカ25を倒伏姿勢に切換え、「中立」位置を基準に切換えレバー25を後方の「右マーカ」位置に操作すると右側のラインマーカ25を倒伏姿勢に切換える制御を行い、更に、「中立」位置を基準に切換えレバー14を下方の「クラッチ入り」位置に操作すると切り状態の植付クラッチCを入り操作する制御を行うものとなっている。
【0023】〔別実施例〕本発明は上記実施例以外に、例えば、以下のように切換えレバー14の操作パターンを設定しても良い。
【0024】(イ) 図9(イ)に示すように、前記実施例と同様に「昇降」「左マーカ」「右マーカ」「クラッチ入り」夫々の操作位置を形成すると共に、「クラッチ入り」位置から更に前後方向(「中立」位置から「昇降」位置に向かう経路と直交する方向)に切換えレバーを操作した場合にもラインマーカ25を倒伏姿勢に切換えるよう「左マーカ」位置、「右マーカ」位置を形成する。
【0025】(ロ) 図9(ロ)に示すように、前記実施例と同様に「昇降」位置、「クラッチ入り」を形成すると共に、「中立」位置から前後方向(「中立」位置から「昇降」位置に向かう経路と直交する方向)に切換えレバーを操作すると、ラインマーカ25の倒伏姿勢への切換えと同時に植付クラッチCの入り操作を行うよう「左マーカ・クラッチ入り」位置、及び、「右マーカ・クラッチ入り」位置を形成する。
【0026】又、本発明は苗植付装置を昇降させる操作位置を「中立」位置を基準に上方に形成せず、「中立」位置を基準に任意の方向に決めることも可能であり、切換えレバー(操作具)の操作を検出するセンサとしてポテンショメータを用いることも可能であり、制御手段としてコンパレータ、論理ゲート等を組み合わせたハードな回路にのみで構成することも可能である。
【0027】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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