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発明の名称 作業車の操向制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−19303
公開日 平成8年(1996)1月23日
出願番号 特願平6−156903
出願日 平成6年(1994)7月8日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 南 照男
要約 目的
急旋回状態にモード設定されていても、必要に応じてその急旋回状態よりも緩い旋回を行うように簡易に切り換えできる。

構成
走行用変速機構13から左右の走行装置24,24への変速動力伝達を各別に遮断するサイドクラッチ25L,25Rが切り操作された側の走行装置に急旋回用動力を伝達する旋回用油圧クラッチ30と、単一の操向レバー39の左又は右への操作によって左右のサイドクラッチ25L,25Rの一方を切り作動させ、レバー操作量に応じて旋回用油圧クラッチ30へ供給される作動圧を旋回用油圧制御手段36とを備え、旋回用油圧クラッチ30へ供給される作動圧を、操向レバー39の操作量に応じた値に設定する状態と、操向レバー39の操作量にかかわらず予め設定した低圧に規制する状態とに人為選択可能な作動圧切換え手段54を設けてある作業車の操向制御手段。
特許請求の範囲
【請求項1】 走行用変速機構(13)から左右の走行装置(24),(24)への変速動力伝達を各別に遮断するサイドクラッチ(25L),(25R)と、該サイドクラッチ(25L),(25R)が切り操作された側の走行装置に急旋回用動力を伝達する旋回用油圧クラッチ(30)と、単一の操向レバー(39)の左又は右への操作によって左右のサイドクラッチ(25L),(25R)の一方を切り作動させるとともに、レバー操作量に応じて前記旋回用油圧クラッチ(30)へ供給される作動圧を増減する旋回用油圧制御手段(36)とを備えた作業車の操向制御装置において、前記旋回用油圧クラッチ(30)へ供給される作動圧を、操向レバー(39)の操作量に応じた値に設定する状態と、操向レバー(39)の操作量にかかわらず予め設定した低圧に規制する状態とに人為選択可能な作動圧切換え手段(54)を設けてあることを特徴とする作業車の操向制御装置。
【請求項2】 前記作動圧切換え手段(54)の人為切り換え操作具(51)を前記操向レバー(39)の握り部(39a)に装備してあることを特徴とする請求項1に記載の作業車の操向制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば片側4輪の多輪式やクローラ式等の走行装置を左右一対備えた作業車の操向制御装置に関し、詳しくは、走行用変速機構から左右の走行装置への変速動力伝達を各別に遮断するサイドクラッチと、該サイドクラッチが切り操作された側の走行装置に急旋回用動力を伝達する旋回用油圧クラッチと、単一の操向レバーの左又は右への操作によって左右のサイドクラッチの一方を切り作動させるとともに、レバー操作量に応じて前記旋回用油圧クラッチへ供給される作動圧を増減する旋回用油圧制御手段とを備えた作業車の操向制御構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の作業車の操向制御装置は、例えば特開平4‐118384号公報に開示されたもののように、旋回用油圧クラッチが作動する状態になっているときに、操向レバーが所定以上操作されると、そのレバーの操作に連動して旋回用油圧クラッチへの作動油の供給圧が徐々に高くなるように構成してあり、旋回用油圧クラッチが完全に作動する状態となると、操向内がわの走行装置は逆転駆動され、操向外がわの走行装置は正転駆動される超信地旋回をするものが周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記作業車においては、そのように急旋回を行うようにモード設定された状態で、操向用レバーを所定以上操作することによって、左右の走行装置が互いに逆向きに駆動される急旋回状態に変更されるのであるが、必要に応じてその急旋回状態から操向内がわの走行装置の駆動を見掛け上停止した状態の比較的大回りする信地旋回、つまりピボットターンを行う状態に切り換えしたい場合が有る。しかしながら、そのような切り換えを行うするためには、操向レバーを操作することによって、旋回用クラッチへの作動油の供給圧が半クラッチになる程度の低圧状態にしなければならないが、上記従来構造のものでは、操向レバーを低速がわに操作することで、旋回用クラッチが半クラッチ状態になる操作を行っていたので、その半クラッチ状態を適宜維持する操作が微妙であって難しいものであった。本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、急旋回状態にモード設定されていても、必要に応じてその急旋回状態よりも緩い旋回を行うように簡易に切り換えることのできる作業車の操向制御装置の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる作業車の操向制御装置は、上記目的を達成するために、走行用変速機構から左右の走行装置への変速動力伝達を各別に遮断するサイドクラッチと、該サイドクラッチが切り操作された側の走行装置に急旋回用動力を伝達する旋回用油圧クラッチと、単一の操向レバーの左又は右への操作によって左右のサイドクラッチの一方を切り作動させるとともに、レバー操作量に応じて前記旋回用油圧クラッチへ供給される作動圧を増減する旋回用油圧制御手段とを備えた作業車の操向制御装置において、前記旋回用油圧クラッチへ供給される作動圧を、操向レバーの操作量に応じた値に設定する状態と、操向レバーの操作量にかかわらず予め設定した低圧に規制する状態とに人為選択可能な作動圧切換え手段を設けてあることを特徴構成とする。又、前記作動圧切換え手段の人為切り換え操作具を前記操向レバーの握り部に装備してある構成にしても良い。かかる特徴構成による作用・効果は次の通りである。
【0005】
【作用】即ち、作動圧切換え手段によって、旋回用油圧クラッチが半クラッチ状態となる予め設定された低圧状態と、旋回用油圧クラッチが作動可能な高圧状態とに、旋回用油圧クラッチに対する作動油の圧を変更できるようになっているから、急旋回可能なときであっても、必要に応じてオペレータが指令手段を操作することによって切換手段を切り換えて予め設定された低圧状態にして、例え、操向の内がわの走行装置に対して逆転駆動するような作動油の圧が加わっても、その逆転駆動力よりも地面と走行装置との摩擦力が打ち勝って、走行装置が実際には駆動されない制動状態にできるので、操向外がわの走行装置のみ駆動される操向を行うことができる。又、作動圧切換え手段の人為切り換え操作具を操向レバーの握り部に装備しておけば、その操向用レバーを操作している手や指で適宜作動圧切換え手段を操作できることになって、旋回用油圧クラッチに付与する作動油の圧を必要に応じて低圧状態と高圧状態とに選択的に切り換えることが迅速かつ簡易に行えることになる。
【0006】
【発明の効果】従って、作動圧切換え手段を切換え操作するだけの簡単な操作で、急旋回状態に操向モードを設定している場合でも、この急旋回状態よりも緩い旋回を行う状態に切り換えることができるので、旋回途中で旋回モードを変更したい場合に迅速な切換ができて、作業性及び操縦性を向上でき、使い勝手の良い作業車を得るに至った。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図2は、作業車の一例であるコンバインの走行系のミッションケース8内の構造を示しており、エンジン(図示せず)からの動力がテンションクラッチを備えたベルト伝動機構(図示せず)を介して、無段変速装置1の入力プーリ2に伝達され、無段変速装置1の出力軸3からの動力が第1伝動軸4を介して、機体前部の刈取部(図示せず)に伝達される。
【0008】第1伝動軸4からの動力は、第1ギア9及び第2ギア10を介して第2伝動軸11に伝達される。この第2伝動軸11にはシフトギア14がスプライン構造でスライド自在に外嵌されており、これに対する第3伝動軸15には高速ギア16、中速ギア17及び低速ギア6が固定されている。以上の構造により、シフトギア14をスライド操作して、高速ギア16に咬合する高速ギア7、中速ギア17又は低速ギア6に咬合させて、直進用の正転動力を高中低の3段に変速できるのであり、この正転動力は中速ギア17に咬合する第1伝動ギア19に伝達される。以上のように、シフトギア14及び高速ギア7等により、走行用変速機構としてのギアシフト型式の変速装置13を構成している。
【0009】第1伝動ギア19を支持する支持軸20には、右のサイドギア21R及び左のサイドギア21Lが相対回転自在に外嵌されており、左右の車軸22の入力ギア23,23が左右のサイドギア21R,21Lに常時咬合している。これにより、右又は左のサイドギア21R,21Lを第1伝動ギア19に対しスライド操作し、咬合・離間させて、クローラ式の左右一対の走行装置24に対して動力の伝動及び伝動遮断操作を行うのであり、第1伝動ギア19と左右のサイドギア21R,21Lとの間でサイドクラッチ25R,25Lが構成されている。
【0010】次に、一方の走行装置24を逆転させて超信地旋回(急旋回に相当する)を行う構造について説明する。図2に示すように、第3伝動軸15の高速ギア16に咬合する第3ギア37が第4伝動軸27に相対回転自在に外嵌され、第3ギア37と第4伝動軸27との間に逆転クラッチ30(旋回用油圧クラッチに相当する)が設けられている。支持軸20の左右両端に第2伝動ギア26R,26Lがベアリング支持されており、第4伝動軸27の両端に固定された第4伝動ギア29の各々が、第2伝動ギア26R,26Lに咬合している。
【0011】これにより、右のサイドギア21R又は左のサイドギア21Lを、右又は左の第2伝動ギア26R,26Lに咬合させた状態で逆転クラッチ30を入り操作すると、高速ギア16からの動力が逆転状態で、且つ、3分の1に減速されて一方の走行装置24に伝達されて行く。この場合、他方のサイドギア21R,21Lは、第1伝動ギア19に咬合して正転駆動されているので、左右の走行装置24の大きな速度差により機体が超信地旋回していくのである。
【0012】次に、一方の走行装置24を他方よりも低速で正転させて緩旋回を行う構造について説明する。図2に示すように、第1伝動ギア19のボス部に小径の出力ギア38が固定され、第4伝動軸27に大径の第3伝動ギア40が相対回転自在に外嵌されて、第3伝動ギア40が出力ギア38に咬合している。そして、第3伝動ギア40と第4伝動軸27との間に緩旋回クラッチ12が設けられている。
【0013】これにより、右又は左のサイドギア21R,21Lを右又は左の第2伝動ギア26R,26Lに咬合させた状態で緩旋回クラッチ12を入り操作すると、第1伝動ギア19に伝達されてくる直進用の正転動力が出力ギア38、第3伝動ギア40、緩旋回クラッチ12、第4伝動軸27、第4伝動ギア29及び右又は左の第2伝動ギア26R,26Lを介して、3分の1に減速された正転動力として一方の走行装置24に伝達されていく。この場合、他方のサイドギア21R,21Lは第1伝動ギア19に咬合して所定の速度で正転駆動されているので、機体は左右の走行装置24の小さな速度差により緩旋回していくのである。
【0014】次に、左右のサイドクラッチ21R,21Lのスライド操作を行う油圧シリンダ31R,31L、緩旋回及び逆転クラッチ12,30への作動油供給構造について説明する。図1に示すように、ポンプ32からの作動油が第1切換弁33を介して、左右のサイドギア21R,21Lに対する油圧シリンダ31R,31Lに供給され、油圧シリンダ31R,31Lの側面からの油路34が、緩旋回及び逆転クラッチ12,30への第2切換弁35に接続されている。さらに、油路34には、緩旋回及び逆転クラッチ12,30に対する旋回用油圧制御手段としての可変リリーフ弁36が接続されている。
【0015】機体の操縦部に切換レバー18が備えられて、切換レバー18と第2切換弁35とが機械的に連動連結されており、切換レバー18によって第2切換弁35を、緩旋回クラッチ12に作動油を供給する緩旋回位置35a、及び逆転クラッチ30に作動油を供給する超信地旋回位置35bに切換操作する。そして、機体の操縦部に備えられた操向レバー39と、第1切換弁33及び可変リリーフ弁36とが電磁操作機構41及びワイヤ42を介して連係されている。すなわち、操向レバー39の操作状態をポテンショメータ等で検出し、その検出結果に基づいて、操向レバー39の前進操作状態のときと後進操作状態のときとに応じて第1切換弁33で各油圧シリンダ31R,31Lへの油路切換をするとともに、中立位置からの操向レバー39の変位量に応じて可変リリーフ弁36の油路閉じがわへの操作を行うようにしている。
【0016】さらに、図1に示すように、前記油路34には、第3切換弁50を接続している。そして、この第3切換弁50は、油路34と作動油タンクとを接続して油路34の圧を絞りで予め設定された低圧状態に低下させる第1状態と、油路34と作動油タンクとの接続を阻止して油路34における作動油の圧力を維持する第2状態に油路切換可能に構成している。そして、この第3切換弁50の切換操作は、ソレノイドへの通電の有無で行われる。このソレノイドを駆動する電気信号は制御回路52から出力されるのであり、その電気信号を出力させるための指令信号を、前記操向レバー39の握り部39aの頂部に配設した人為切り換え操作具としての押しボタン式のスイッチ51を押し操作することで発生させて、その指令信号を制御回路52に入力させるのである。さらに、前記切換レバー18が超信地旋回がわに切り換えられていることを検出するリミットスイッチ53の検出信号が前記制御回路52に入力されるようにしている。そして、制御回路52では、このリミットスイッチ53がオンされているとき、つまり超信地旋回状態に切り換えられているときで、かつ、前記スイッチ51が押し操作された信号が入力されているときに、前記第3切り換え弁50を油路34と作動油タンクとを接続する状態に切り換える駆動信号を出力する。スイッチ51の押し操作が解除されると、この駆動信号の出力を停止して、油路34と作動油タンクとの接続を阻止する状態に切り換わる。ここで、スイッチ51、制御回路52、第3切換弁50及び絞りは作動圧切換え手段54を構成している。
【0017】上記構成により、第3切り換え弁50が油路34と作動油タンクとを接続するように操作されていると、図3の緩旋回と示した状態となって、操向レバー39の操作量に対して車軸トルクが低いままに止まり、旋回内側のクローラ走行装置24は操向レバーを最大限まで操作した状態でも逆転クラッチ30が半クラッチ状態に維持されるよう設定してある。これによって、超信地旋回可能に切換レバー18で超信地旋回可能に設定しているにもかかわらず、旋回内がわの走行装置24を地面との間で制動がかかった状態で旋回外がわの走行装置24のみ駆動される緩旋回を操向レバー39を微調整することなく行わせることができる。また、第3切り換え弁50が油路34と作動油タンクとの間を遮断するように操作されていると、図3の超信地旋回と示した状態となる。
【0018】〔別実施例〕上記実施例では、第3切換弁50が油路34と作動油タンクとを接続する状態に切り換わったときに、絞りを介して圧油を作動油タンクに戻すようにして、所定の低圧状態に油路34を維持するようにしたが、次のように構成しても良い。図4に示すように、第3切換弁50のソレノイドを駆動する電気信号を、一定周期で発信されるパルス信号として制御回路52より出力するようにし、さらに、そのパルス幅を変更できるように、制御回路52を構成し、そのパルス幅を変更するための人為操作されるポテンショメータ55を制御回路52に接続している。従って、このポテンショメータ55を適宜調節することで、第3切換弁50を間欠的に操作する際のデューティ比を調節できるようにしてある。そして、予め所定のデューティ比に設定されたパルス信号を出力するようにして、切換レバー18が超信地旋回がわに切り換えられていることを検出するリミットスイッチ53の検出信号が制御回路52に入力されている超信地旋回モードのときで、かつ、操向レバー39の頂部に設けたスイッチ51が押し操作された信号が入力されているときに、前記パルス信号を出力するように構成する。このように、パルス信号で第3切換弁50が間欠的に駆動されるので、逆転クラッチ30は逆転駆動されるがわの走行装置24を実際に駆動するまでに到らず、半クラッチ状態となるのである。一方、超信地旋回モードのときにおいて、スイッチ51が押し操作されていないときは、制御回路52から第3切換弁50を駆動する信号が出力されないので、油路34と作動油タンクとの接続を常時阻止する状態に切り換わる。ここで、スイッチ51、制御回路52、第3切換弁50は作動圧切換え手段54を構成している。
【0019】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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