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発明の名称 コンバイン
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−9760
公開日 平成8年(1996)1月16日
出願番号 特願平6−144195
出願日 平成6年(1994)6月27日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 高原 一浩 / 富永 俊夫
要約 目的
選別処理物量の過大状態を発生させないように車速制御するとともに、刈取走行中の作業行程における走行位置が行程終端に近い場合には、不必要な上限車速の変更を回避して制御の簡素化と能率向上とを実現する。

構成
扱室からの選別処理物の量が多いほど選別処理能力を大きくし、又、負荷検出手段S7,Hにて検出されるエンジン負荷を目標負荷範囲に維持すべく変速操作する制御手段Hが、選別処理物量が選別処理能力の上限値を超えないときは、車速が検出車速の最大値で設定された上限車速を超えない状態で車速制御を実行し、選別処理物量が選別処理能力の上限値を超えた場合には、作業行程における予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも長いときは設定上限車速を設定量低速の車速値に補正するが、残りの刈取走行距離が設定距離より短いときは上記設定上限車速の低速側への補正を行わない。
特許請求の範囲
【請求項1】 扱室(A)から漏下する選別処理物の量を検出する処理物量検出手段(S5)の情報に基づいて、その選別処理物量が多いほど選別装置(B)の処理能力が大きくなるように、前記選別装置(B)の処理能力変更手段(M1,M2)を調節作動させる選別制御と、負荷検出手段(S7,H)によって検出されるエンジン負荷が目標負荷範囲に維持されるように、車速変速用の変速装置(12)を変速操作する車速制御とを実行する制御手段(H)が設けられたコンバインであって、刈取作業地内に設定された作業行程における刈取走行距離を検出する刈取走行距離検出手段(102)と、車速検出手段(S6)によって検出される検出車速の最大値を設定上限車速として記憶する最大車速記憶手段(100)とが設けられ、前記制御手段(H)は、前記最大車速記憶手段(100)の情報に基づいて、前記検出車速が前記設定上限車速を超えない状態で前記車速制御を実行するとともに、前記選別処理物量が前記選別装置(B)の処理能力の上限値を超えた場合に前記設定上限車速を設定量低速の車速値に補正する補正処理を実行し、且つ、前記刈取走行距離検出手段(102)の情報に基づいて、前記作業行程における予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも短い場合にはその作業行程における前記補正処理を停止するように構成されているコンバイン。
【請求項2】 前記作業行程が、その行程長手方向に交差する方向に並置された複数の作業行程で構成され、前記制御手段(H)は、前記複数の作業行程のうちの現在の作業行程よりも前の作業行程における前記刈取走行距離検出手段(102)の検出情報に基づいて、現在の作業行程における予定刈取走行距離を設定するように構成されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】 刈取装置(4)の茎稈導入経路に導入される茎稈に対する刈取形式が機体進行方向に条列を形成するように並ぶ条刈り形式か、その条刈り形式以外の他の刈取形式であるかを検出する刈取形式検出手段(101)が設けられ、前記制御手段(H)は、前記刈取形式検出手段(101)の情報に基づいて、前記刈取作業地に対して条刈り形式で刈取作業を行っている場合にのみ、前記作業行程における予定刈取走行距離の設定を行うように構成されている請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】 前記処理物量検出手段(S5)が、前記選別装置(B)の揺動選別板(19)の上に存在する前記選別処理物の層厚を検出する層厚検出手段(S5)で構成され、前記処理能力変更手段(M1,M2)が、前記選別装置(B)の揺動選別板(19)における漏下開度を変更する開度変更手段(M1)で構成され、前記制御手段(H)は、前記開度変更手段(M1)がその開度変更範囲の上限開度位置まで操作された状態で、前記層厚検出手段(S5)による前記選別処理物の検出層厚が選別能力限界判別用の設定層厚値を超える状態が設定時間以上継続したときに、前記選別処理物量が前記選別装置(B)の処理能力の上限値を超えたと判別するように構成されている請求項1、2又は3記載のコンバイン。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、扱室から漏下する選別処理物の量を検出する処理物量検出手段の情報に基づいて、その選別処理物量が多いほど選別装置の処理能力が大きくなるように、前記選別装置の処理能力変更手段を調節作動させる選別制御と、負荷検出手段によって検出されるエンジン負荷が目標負荷範囲に維持されるように、車速変速用の変速装置を変速操作する車速制御とを実行する制御手段が設けられたコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】上記コンバインでは、選別制御において、処理物量検出手段として例えば扱室から選別装置の揺動選別板上に漏下した選別処理物層の層厚を検出する層厚センサを用い、その検出層厚つまり処理物量が多いほど、例えば揺動選別板における処理物の漏下開度(例えば、チャフシーブの開度)を大きくする等して選別装置の処理能力が大きくなるように、その処理能力変更手段としての開度変更手段(チャフシーブの開度変更用のモータ等)を調節作動させる制御を行い、同時に、車速制御において、例えばエンジン回転数の基準回転数からの低下量として求めたエンジン負荷が目標負荷範囲に維持される、つまりエンジン回転数が目標回転数に維持されるように、エンジン回転数が目標回転数より低下すれば車速変速用の変速装置を減速操作する一方、エンジン回転数が目標回転数より高くなれば増速操作する制御を行なうことになる。そして、従来では、選別制御と車速制御とが、単に独立して実行されるようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来では、車速制御により車速が速くなり過ぎて、揺動選別板上の選別処理物量(層厚)が過大になり、選別装置の処理能力がその上限値まで大きく(具体的には、上記チャフシーブ開度を上限開度にする)調節されても不足する場合がある。このような状態では、揺動選別板で漏下されずに機外に放出される3番ロスの増加や、2番還元量が増えすぎることによる穀粒の損傷等を発生させ、最悪の場合には選別装置において処理物の詰まりを発生させて刈取作業ができなくなるおそれがある。もちろん、このような状況では、脱穀負荷の増大によりエンジン回転数が目標回転数より低下する結果、前記変速装置が減速操作されて刈取穀稈量が減少されることになり、選別装置において処理物の詰りを発生することは極力回避されるものとなる。
【0004】しかしながら、車速の減速操作によって刈取穀稈量が減少して選別処理物が適正な量になり、選別処理物量の過大状態がいったん解消されても、同一の圃場条件の下では再び車速が速くなり過ぎて選別処理物量が過大になる可能性が大であり、その場合には、同様な減速操作が繰り返されることになる。そして、上記減速操作してから刈取穀稈量の減少を経て選別処理物が適正な量になるまでの間は、選別処理物量の過大状態が継続して適正な選別処理が行われないので、選別処理物量の過大状態を頻発させることは好ましいものではない。従って、選別処理物量の過大状態に対して単純な減速操作を行うだけでは必ずしも充分な対策とはなっていなかった。
【0005】尚、従来、上限車速をボリューム等の手段にて所定値に手動設定し、その上限車速を超えない状態で車速制御を行っているが、この場合の上限車速は、選別装置の処理能力とは無関係に、作業者が例えば地面の凹凸や湿田等の圃場条件から刈取走行可能と判断した最高車速値として設定され、これによって、走行時のエンジン出力の極端な低下やエンスト等の発生を回避して前記負荷に応じた車速制御を円滑に行うようにするためのものであった。
【0006】本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、前記従来技術の不具合を解消させるべく、上記選別処理物量の過大状態を発生させないような上限車速条件の下で車速制御を実行するとともに、刈取走行中の作業行程において走行位置が行程終端に近い場合には、不必要な上限車速条件の変更を回避して作業能率の向上を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のコンバインは、扱室から漏下する選別処理物の量を検出する処理物量検出手段の情報に基づいて、その選別処理物量が多いほど選別装置の処理能力が大きくなるように、前記選別装置の処理能力変更手段を調節作動させる選別制御と、負荷検出手段によって検出されるエンジン負荷が目標負荷範囲に維持されるように、車速変速用の変速装置を変速操作する車速制御とを実行する制御手段が設けられたものであって、その第1の特徴構成は、刈取作業地内に設定された作業行程における刈取走行距離を検出する刈取走行距離検出手段と、車速検出手段によって検出される検出車速の最大値を設定上限車速として記憶する最大車速記憶手段とが設けられ、前記制御手段は、前記最大車速記憶手段の情報に基づいて、前記検出車速が前記設定上限車速を超えない状態で前記車速制御を実行するとともに、前記選別処理物量が前記選別装置の処理能力の上限値を超えた場合に前記設定上限車速を設定量低速の車速値に補正する補正処理を実行し、且つ、前記刈取走行距離検出手段の情報に基づいて、前記作業行程における予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも短い場合にはその作業行程における前記補正処理を停止するように構成されている点にある。
【0008】第2の特徴構成は、前記作業行程が、その行程長手方向に交差する方向に並置された複数の作業行程で構成され、前記制御手段は、前記複数の作業行程のうちの現在の作業行程よりも前の作業行程における前記刈取走行距離検出手段の検出情報に基づいて、現在の作業行程における予定刈取走行距離を設定するように構成されている点にある。
【0009】第3の特徴構成は、刈取装置の茎稈導入経路に導入される茎稈に対する刈取形式が機体進行方向に条列を形成するように並ぶ条刈り形式か、その条刈り形式以外の他の刈取形式であるかを検出する刈取形式検出手段が設けられ、前記制御手段は、前記刈取形式検出手段の情報に基づいて、前記刈取作業地に対して条刈り形式で刈取作業を行っている場合にのみ、前記作業行程における予定刈取走行距離の設定を行うように構成されている点にある。
【0010】第4の特徴構成は、前記処理物量検出手段が、前記選別装置の揺動選別板の上に存在する前記選別処理物の層厚を検出する層厚検出手段で構成され、前記処理能力変更手段が、前記選別装置の揺動選別板における漏下開度を変更する開度変更手段で構成され、前記制御手段は、前記開度変更手段がその開度変更範囲の上限開度位置まで操作された状態で、前記層厚検出手段による前記選別処理物の検出層厚が選別能力限界判別用の設定層厚値を超える状態が設定時間以上継続したときに、前記選別処理物量が前記選別装置の処理能力の上限値を超えたと判別するように構成されている点にある。
【0011】
【作用】本発明の第1の特徴構成によれば、扱室から漏下する選別処理物量が多いほど選別装置の処理能力が大きくなるように選別装置の処理能力を調節しながら、刈取作業地内に設定された作業行程を刈取走行しているときに、選別処理物量が選別装置の処理能力の上限値を超えていない場合には、それまでの検出車速の最大値が設定上限車速として設定される。一方、選別処理物量が選別装置の処理能力の上限値を超えた場合には、上記作業行程における予定刈取走行距離に対する、それまでに刈取走行した距離即ち検出された刈取走行距離の差から求めた残りの刈取走行距離が設定距離よりも長い場合には、上記設定上限車速が所定量低速の車速値に補正されるが、上記予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも短い場合には、上記設定上限車速の低速側への補正は行わない。そして、車速が上記各設定上限車速を超えない状態で、エンジン負荷を目標負荷範囲に維持するように車速変速用の変速装置を変速操作する車速制御が行われる。
【0012】又、第2の特徴構成によれば、刈取作業地内に行程長手方向に交差する方向に並置された複数の作業行程のうちの現在の作業行程における予定刈取走行距離が、現在の作業行程より前の作業行程における刈取走行距離の検出情報に基づいて、例えば、上記複数の作業行程の行程長さが略同一ならばその前の作業行程での検出刈取走行距離にて、あるいは、上記複数の作業行程の行程長さが少しずつ異なるならば前の作業行程での検出刈取走行距離から所定距離増減した距離等にて夫々設定される。そして、選別処理物量が選別装置の処理能力の上限値を超えた場合に、上記設定した予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも長い場合に、上記設定上限車速の低速側への補正が行われる一方、上記設定した予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも短い場合には、上記設定上限車速の低速側への補正は行わない。
【0013】又、第3の特徴構成によれば、刈取装置の茎稈導入経路に導入される茎稈に対する刈取形式が機体進行方向に条列を形成するように並ぶ条刈り形式で、刈取作業地内に設定された作業行程を刈取走行している場合にのみ、選別処理物量が選別装置の処理能力の上限値を超えたときに、その作業行程における予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも長い場合に、上記設定上限車速が所定量低速側に補正される。刈取形式が上記条刈り形式以外の他の形式の場合には、選別処理物量が選別装置の処理能力の上限値を超えたときに、上記予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも長い場合であっても、上記設定上限車速の低速側への補正は行わない。
【0014】又、第4の特徴構成によれば、揺動選別板上の選別処理物の層厚が厚いほど揺動選別板における漏下開度を大きくする開度調節条件において、揺動選別板の漏下開度がその開度変更範囲の上限開度まで操作されている状態で、選別処理物の層厚が選別能力限界判別用の設定層厚値を超える状態が設定時間以上継続すると、選別処理物量が選別装置の処理能力の上限値を超えたと判別され、そのとき、その作業行程における予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも長い場合に、前記設定上限車速が所定量低速側に補正される一方、上記予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも短い場合には、上記設定上限車速の低速側への補正は行わない。
【0015】
【発明の効果】本発明の第1の特徴構成によれば、選別処理物量が選別装置の処理能力の上限値を超えた場合には、車速制御における上限車速を低速側に変更して、この低速側に変更された上限車速の制限の下で車速制御を行うので、従来のように単純に変速装置を減速操作する構成では再び車速が速くなり過ぎて選別処理物量の過大状態が再発する虞があるが、その不都合が回避され、もって、揺動選別板で漏下されずに機外に放出される3番ロスの増加や、2番還元量の増え過ぎによる損傷穀粒の増加等の選別作業の不具合発生が適切に防止できる。しかも、刈取作業地内に設定された作業行程における予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも短い場合、即ち、現在の走行位置がその作業行程の終端部に近い場合には、選別処理物量が選別処理能力の上限値を超えていてもその後の選別処理物量の増加は短時間で終了するものであるため、上記上限車速の低速値への変更を行わずに、そのままの車速条件で刈取走行してその作業行程の刈取作業を行うことにより、作業能率の向上が実現される。
【0016】又、第2の特徴構成によれば、刈取作業地内に行程長手方向に交差する方向に並置された複数の作業行程のうちの現在の作業行程における予定刈取走行距離が、現在の作業行程より前の作業行程における刈取走行距離の検出情報に基づいて設定されるので、例えば、上記複数の作業行程夫々の予定刈取走行距離を予め作業地の情報等に基づいて所定距離に設定し、その予定刈取走行距離を基準にして残りの刈取走行距離を判別するものでは、実際の作業地の条件が作業地の情報と異なる等の場合には適正な予定刈取走行距離の設定がなされず、設定された予定刈取走行距離が適正な予定刈取走行距離よりも短い場合には、作業行程の後半部分において本来行うべき選別処理物量が選別処理能力の上限値を超えたときの上記上限車速の低速値への補正がなされない一方で、設定された予定刈取走行距離が適正な予定刈取走行距離よりも長い場合には、作業行程の終端近くで不必要な上記上限車速の低速値への補正がなされる不具合があるのに対して、本発明では、実際の作業地の条件に基づいて適正な予定刈取走行距離を設定して上記不具合の発生を回避でき、もって、上記第1の特徴構成を実施する際の好適な手段が得られる。
【0017】又、第3の特徴構成によれば、刈取装置の茎稈導入経路に導入される茎稈に対する刈取形式が機体進行方向に条列を形成するように並ぶ条刈り形式で作業行程を刈取走行している場合にのみ、選別処理物量が選別装置の処理能力の上限値を超えた場合に、残りの刈取走行距離が設定距離よりも長いことを条件で上記設定上限車速の低速側への補正がなされるので、刈取形式が上記条刈り形式以外の他の形式例えば横刈り形式等の場合には、条刈り形式と比べて現在の作業行程と前の行程との間の刈取条件の差が大きいことから、前の行程での検出刈取走行距離の情報に基づく現在行程での予定刈取走行距離の設定を行わないようにすることにより、誤った予定刈取走行距離を設定することが適切に回避され、もって、上記第1又は第2の特徴構成を実施する際の好適な手段が得られる。
【0018】又、第4の特徴構成によれば、揺動選別板上の選別処理物層の層厚を層厚センサ等の比較的簡便なセンサからなる層厚検出手段にて検出して、選別処理物量を良好に検出できるとともに、選別装置の揺動選別板における漏下開度を変更するモータ等の開度変更手段にて、選別装置の処理能力を適切に調節することができ、同時に、その揺動選別板の漏下開度及び選別処理物層の層厚検出値の情報に基づいて、選別処理物量が選別装置の処理能力の上限値を超えたことが適切に判別でき、もって、上記第1、第2又は第3の特徴構成を実施する際の好適な手段が得られる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図2〜図4に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1、脱穀装置2、操縦部3、刈取装置4等を備える。
【0020】刈取装置4の先端部に、複数個の分草具5A,5B,5C,5Dが機体横幅方向に間隔を隔てて支持フレーム39によって支持された状態で設けられ、それら各分草具5A,5B,5C,5Dの間に、複数の茎稈導入用の経路L1,L2,L3が形成されている。そして、各経路L1,L2,L3に導入された茎稈を引き起こす引き起こし装置6と、引き起こされた茎稈の株元を切断する刈り刃7と、刈取茎稈を機体後方上方側に向けて係止搬送して脱穀装置2のフィードチェーン16の始端部に渡すための補助搬送装置8及びその後方の縦搬送装置9とが、その順序で分草具5A,5B,5C,5Dの後方側に順次並ぶ状態で設けられている。尚、前記経路L1,L2,L3のうちの最も既刈り側の経路L3の横幅は、同時に2列分の茎稈を導入できるように他の経路L1,L2の横幅よりも大に形成され、又、縦搬送装置9の始端部には、刈取穀稈の有無を検出するために、刈取穀稈が有るときにオンし、無いときにオフするスイッチからなる株元センサS4が設けられている。
【0021】刈取装置4には、各経路L1,L2,L3に導入される茎稈の経路端部からの横間隔を検出する複数個の操向制御用センサS8a,S8b,S8cが、最未刈り側の経路L1内に導入される茎稈と経路既刈り側端部との横間隔を検出する第1センサS8aと、真ん中の経路L2内に導入される茎稈と経路未刈り側端部との横間隔を検出する第2センサS8bと、最既刈り側の経路L3内に導入される茎稈と経路既刈り側端部との横間隔を検出する第3センサS8cとから構成されて設けられている。
【0022】前記複数個の操向制御用センサS8a,S8b,S8cの構成について説明すれば、略同一構成になるものであって、図5に示すように、先端部が分草具5B,5Dの後方側位置で枢支され且つ機体後方側に揺動自在なセンサバー50が、機体前後方向に所定距離(条刈りのときの距離H1=17cm程度、横刈りのときの距離H2=30cm程度)を隔てて列状に並ぶ茎稈側に復帰付勢された状態で設けられ、そのセンサバー50が茎稈との接触によって機体後方側に揺動した角度を検出するポテンショメータRpが設けられている。つまり、走行に伴って、分草具5A,5B,5C,5Dの間に導入される茎稈の株元がセンサバー50に接当して、センサバー50が揺動支点から茎稈接当位置に応じた揺動角で機体後方側に回動し、前記ポテンショメータRpは、センサバー50の揺動角を検出して、機体進行方向に並ぶ茎稈に対する各センサの取付位置すなわち茎稈導入経路の端部からの横方向間隔が小になるほど大となる電圧En(ここで、n=1,2,3であって各操向制御用センサS8a,S8b,S8cの電圧を示す)を出力する。
【0023】脱穀装置2は、図6に示すように、扱胴15を収納する扱室A、刈取装置4から供給される穀稈を扱室Aに供給搬送するフィードチェーン16、排塵用の横断流ファン17、脱穀後の処理物を選別するための選別装置Bを備える。選別装置Bは、トウミ18、揺動選別板19、選別後の処理物を回収するための一番物回収部(以下、一番口という)20及び二番物回収部(以下、二番口という)21を備えている。
【0024】フィードチェーン16の上部には、図7に示すように、搬送される穀稈を下方に押圧してフィードチェーン16とで挟持する機構が設けられている。即ち、枢支軸Pにて搬送方向に連結された複数の押圧部材16a,16bがコイルバネ16cにて各別に弾性付勢されている。そして前から一番目の押圧部材16aと二番目の押圧部材16bとの枢支軸Pの上方への変位を検出するポテンショメータS1が設けられており、このポテンショメータ(以下、稈厚センサという)S1によってフィードチェーン16と押圧部材16a,16bとの間に挟持される穀稈の厚さが検出される。ここで、フィードチェーン16の搬送速度はほぼ一定に保たれており、稈厚センサS1の検出値は扱室Aへの穀稈供給量に比例する。
【0025】フィードチェーン16にて扱室Aに供給搬送される穀稈は扱胴15の回転により脱穀される。扱室Aの下部には受網22が設けられ、脱穀後の処理物のうち単粒化した穀粒は受網22から揺動選別板19に漏下する。受網22から漏下できなかった処理物は受網22の後端部より揺動選別板19に落下する。
【0026】揺動選別板19は、トウミ18の上方に位置するグレンパン23、その後方に位置するチャフシーブ24、その下方に位置するグレンシーブ25等からなり、一定周期の揺動により処理物を後方に移送しながら比重選別する。一番口20及び二番口21は、それぞれスクリューコンベアを備え、チャフシーブ24及びグレンシーブ25から漏下した穀粒は一番口20から回収されてタンク等に貯溜される。チャフシーブ24の後端やグレンシーブ25の後端から落下した穀粒と藁屑との混合物は二番口21から回収されて揺動選別板19に還元される。
【0027】チャフシーブ24は、図8に示すように、複数の板状部材24aが所定間隔毎に前後方向に並設されたものである。各板状部材24aは左右軸芯周りに回動自在に左右の側板に枢着され、下端部がリンク24bにて枢支連結されている。従って、リンク24bを前後方向に移動操作すると、各板状部材24aが同時に回動し、各板状部材24aの隣接間隔tが変化する。この間隔tが揺動選別板19における漏下開度(以下、チャフ開度という)に相当し、このチャフ開度の変更は、シーブモータM1を正逆方向に回転駆動することによって行われる。そのシーブモータM1の回転動作はギヤ式の連係機構26、揺動アーム27、ワイヤ28によってリンク24bの前後移動動作に変換されて、上記の如くチャフ開度が変更される。以上より、シーブモータM1にて、揺動選別板19における漏下開度を変更する開度変更手段が構成される。尚、揺動アーム27の回動角度からチャフ開度を検出するためのポテンショメータ式のチャフ開度センサS2が設けられている。
【0028】トウミ18は、選別風を発生するためのものであり、その風力は図6に示すように、トウミケースカバー18aの開度を変えることによって行われる。つまり、開度を大きくするほど風力(以下、トウミ風力という)が小さくなる。トウミ風力の変更は、図9に示すように、トウミモータM2によって行われる。トウミモータM2は、連係機構30、揺動アーム31、リンク32,33を介してトウミケースカバー18aを開閉操作する。尚、揺動アーム31の回転角度からトウミ風力を検出するためのポテンショメータ式のトウミ風力センサS3が設けられている。
【0029】上記揺動選別板19の構成において、シーブモータM1を駆動してチャフ開度を大きくするほど、チャフシーブ24において下方側に漏下する穀粒量が増加して、選別装置Bの処理能力が大きくなる。このとき、一番口20にて回収される穀粒に藁屑が混入するのを防止すべく、漏下穀粒量の増加に応じてトウミ風力が大きくなるようにトウミモータM2を駆動する。以上より、選別装置Bの処理能力変更手段が、前記シーブモータM1及びトウミモータM2にて構成されることになる。
【0030】又、図6及び図10に示すように、チャフシーブ24の上の選別処理物(穀粒等)の層厚を検出する層厚センサS5が、揺動選別板19の左右の側板の上辺に架設されたロッド40に取り付けられている。層厚センサS5は、横軸芯周りに揺動自在に垂下された板状部材T1,T2と、その板状部材T1,T2の後方(処理物の搬送方向)への回動角度Iを抵抗値に変換するポテンショメータPMからなる。処理物の層厚が小さいときは板状部材T1が処理物に接当して後方へ回動し、層厚が大きくなると板状部材T2が処理物に接当して後方へ回動するように構成されている。
【0031】上記構成により、選別処理物の量が多くなってその層厚が大きくなるほどセンサバーT1,T2の回動角度Iが大きくなるので、ポテンショメータPMの抵抗値から処理物の層厚即ち処理物量を検出することができる。従って、揺動選別板19(実際はチャフシーブ24)の上に存在する選別処理物の層厚を検出する層厚検出手段が、上記層厚センサS5によって構成されるとともに、扱室Aから漏下する選別処理物の量を検出する処理物量検出手段が、上記層厚検出手段(即ち層厚センサS5)にて構成されることになる。又、図10のImaxは、選別処理物量が選別装置Bの処理能力の上限値を超えたか否かを判別するための選別能力限界判別用の設定層厚値(実際はその層厚値のときの回動角度)を示す。
【0032】動力伝達系は図3に示すように構成されている。エンジンEの動力は、脱穀クラッチ10を介して脱穀装置2に伝達されると共に、走行クラッチ11及び車速変速用の変速装置としての油圧式の無段変速装置12を介して、左右一対のクローラ走行装置1のミッションケース13に伝達され、刈取装置4には、ミッションケース13から刈取クラッチ14を介して動力が伝達される。ミッションケース13には、クローラ走行装置1に対する駆動力の伝達を左右で各別に入り切り操作するための操向用クラッチ34L,34R、それを入り切り操作する操向用油圧シリンダ35L,35R、及びこの油圧シリンダ35L,35Rへの作動油の供給を制御するための電磁操作式の操向用制御弁36L,36Rが設けられ、駆動力を切り操作したクローラ走行装置1の側を旋回中心として旋回するようになっている。又、クローラ走行装置1への駆動軸の回転数を検出する回転数センサS6が設けられ、この回転数情報に基づいて車速並びに走行距離が検出されるので、回転数センサS6が車速検出手段並びに走行距離検出手段として機能する。エンジンEには、その回転数を検出するエンジン回転数センサS7が設けられ、又、脱穀装置2が動作中か否かを検出するために、脱穀クラッチ10の入切状態を検出する脱穀スイッチSW1が設けられている。
【0033】前記無段変速装置12は、可変容量型の油圧ポンプと定容量型油圧モータからなる静油圧トランスミッションであって、油圧ポンプ内の可変斜板の角度を変えることにより吐出量と方向を変化させて、油圧モータ出力軸の回転数と回転方向を変化させる。そして、上記油圧ポンプ内の可変斜板の角度を変えるための電動式の車速変更用モータM3(図1参照)が設けられ、その車速変更用モータM3を正逆転駆動することで、車速が増減速される。
【0034】図1に示すように、マイクロコンピュータ等で構成される制御手段Hが設けられ、この制御手段Hには、前述の脱穀スイッチSW1、稈厚センサS1、チャフ開度センサS2、トウミ風力センサS3、株元センサS4、層厚センサS5、回転数センサS6、エンジン回転数センサS7、及び、操向制御用センサS8a,S8b,S8cの各検出情報が入力されている。一方、制御手段Hからは、前述のシーブモータM1、トウミモータM2、車速変更用モータM3、及び、操向用制御弁36L,36Rに対する各駆動信号が出力されている。
【0035】又、前記操縦部3の操縦パネルには、圃場面の凹凸や湿田状態等の圃場条件等に応じて判断した車速の上限値(以下、補助車速上限値V2と呼ぶ)を人為的に設定する上限車速設定ボリュームVRと、自動車速制御を実行するか否かを設定するための車速オートスイッチSW2と、刈取作物の種類を稲、麦、大豆の中から選択して切り換える作物切換スイッチSW3と、操縦を手動運転と自動運転とに切り換えるための手動自動切換スイッチSW4とが設けられ、これらの各情報も制御手段Hに入力されている。そして、上限車速設定ボリュームVRによって、車速の上限値V2が0.3m/sから2.0m/sの範囲で設定される。又、上記作物切換スイッチSW3にて切り換えられた作物種類に応じて、層厚センサS5における前記選別能力限界判別用の設定層厚値Imaxが、稲、麦、大豆の順で大きくなるように変更設定される。
【0036】前記エンジン回転数センサS7と制御手段Hを利用して、エンジンEの負荷(エンジン負荷)Lを検出する負荷検出手段S7,Hが構成される。つまり、刈取・脱穀作業中において、エンジンEに対する負荷の増大に応じてエンジン回転数が低下するので、エンジン回転数の低下量からエンジン負荷を求める。具体的には、車速が0.1m/s未満のときのエンジン回転数の最大値を基準回転数Rとして記憶しておき、その基準回転数Rと現在のエンジン回転数rとの差R−rをエンジン負荷Lとして算出する。
【0037】前記制御手段Hは、自動運転時には、前記操向制御用センサS8a,S8b,S8cの検出情報に基づいて操向位置が適正状態になるように操向制御する。つまり、条刈り時においては、第1センサS8aと第2センサS8bの2つのセンサー情報に基づいて、分草具4Bの両側の茎稈がその分草具4Bから等間隔の位置で共に両センサーバー50に接当する状態を適正操向状態とする一方、横刈り時においては、第3センサS8cのセンサー情報に基づいて、茎稈が最既刈り側の分草具4Dから所定間隔で位置する状態を適正操向状態として維持するように制御される。尚、図示しないが、手動運転時に車速を変速するための手動変速レバーと、前記操向用クラッチ34L,34Rを手動で入り切りするための手動操向レバーとが前記操縦部3に設けられている。
【0038】ところで、茎稈は機体前後方向に所定距離H1,H2を隔てる状態で植え付けられていることから、センサーバー50に茎稈が断続して接当することになり、前記ポテンショメータRpからの信号レベルは断続的に変化する。そこで、制御手段Hは、図11に示すように、ポテンショメータRpの出力信号を上記断続変化の周期よりも十分に短い間隔でサンプリングするように、上記所定距離H1,H2よりも十分に短い距離に設定された所定走行距離Δh毎に、ポテンショメータRpからの電圧Enをサンプリングするように構成されている。図中、(イ)は条刈りの場合、(ロ)は横刈りの場合の信号波形を夫々示す。
【0039】そして、前記制御手段Hを利用して、前記刈取装置4の茎稈導入用の経路L1,L2,L3に導入される茎稈に対する刈取形式が機体進行方向に条列を形成するように並ぶ条刈り形式か、その条刈り形式以外の他の刈取形式(横刈り形式)であるかを検出する刈取形式検出手段101が構成されている。具体的には、前記操向制御用センサS8a,S8b,S8cにて検出される茎稈の各センサーの位置を基準とする茎稈通過検出情報と、前記回転数センサS6による走行距離検出情報とに基づいて茎稈の機体進行方向における間隔が検出され、次に、その茎稈の間隔が、設定間隔例えば条刈り及び横刈り両刈取形式における前記所定距離H1,H2の中間に相当する間隔((H1+H2)/2=23.5cm程度)よりも小さい場合は条刈り形式と判別し、設定間隔よりも大きい場合は横刈り形式と判別する。実際には、検出精度を向上させるために、茎稈の間隔が条刈り時の距離H1に近いとき(H1−αとH1+αの間の値のとき、ここでα=2〜3cmに設定する)条刈り形式と判別し、横刈り時の距離H2に近いとき(H2−αとH2+αの間の値のとき)横刈り形式と判別する。
【0040】前記制御手段Hは、扱室Aから漏下する選別処理物の量を検出する前記層厚センサS5の情報に基づいて、その選別処理物量が多いほど選別装置Bの処理能力が大きくなるように、選別装置Bの処理能力変更手段(シーブモータM1及びトウミモータM2)を調節作動させる選別制御と、前記負荷検出手段S7,Hによって検出されるエンジン負荷Lが目標負荷範囲に維持されるように、つまり、エンジン回転数rが目標回転数に維持されるように、前記無段変速装置12を変速操作する車速制御とを実行するように構成されている。尚、上記選別制御を行うのに、制御手段Hは、記憶されている関係テーブルに基づいて、層厚センサS5の検出値に対応するチャフ開度及びトウミ風力の目標値を求め、各目標値とチャフ開度センサS2又はトウミ風力センサS3の検出値との偏差をゼロにするように制御する。
【0041】又、前記制御手段Hを利用して、前記回転数センサS6によって検出される検出車速の最大値を設定上限車速として記憶する最大車速記憶手段100が構成されている。具体的には、記憶用のメモリー内の値として保持される。そして、制御手段Hは、前記最大車速記憶手段100の情報に基づいて前記検出車速が前記設定上限車速V1を超えない状態で、又、前記検出車速が前記上限車速設定ボリュームVRで設定された補助車速上限値V2を超えない状態で前記車速制御を実行するとともに、前記選別処理物量が前記選別装置Bの処理能力の上限値を超えた場合に前記設定上限車速V1を設定量低速の車速値に補正する補正処理を実行するように構成されている。
【0042】具体的には、制御手段Hは、前記シーブモータM1がその開度変更範囲の上限開度位置まで操作されている状態で、前記層厚センサS5による前記選別処理物の検出層厚が選別能力限界判別用の設定層厚値Imaxを超える状態が設定時間(例えば2秒)以上継続したときに、前記選別処理物量が前記選別装置Bの処理能力の上限値を超えたと判別するように構成されている。一方、制御手段Hは、前記シーブモータM1がその開度変更範囲の上限開度よりも小さい開度位置に操作されているとき、及び、前記層厚センサS5の層厚検出値が前記選別能力限界判別用の設定層厚値Imaxよりも小さい層厚値であるときに、前記設定上限車速V1を設定量高速の車速値に補正する。
【0043】又、前記制御手段Hを利用して、刈取作業地内に設定された作業行程における刈取走行距離を検出する刈取走行距離検出手段102が構成されている。具体的には、前記株元センサS4がオンしてからの走行距離を前記回転数センサS6の検出情報から算出し、その走行距離を刈取走行距離とする。そして、前記制御手段Hは、前記刈取走行距離検出手段102の情報に基づいて、前記作業行程における予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離が設定距離よりも短い場合にはその作業行程における前記補正処理を停止するように構成されている。前記作業行程は、図12に示すような矩形状の刈取作業地K内に、その行程長手方向に交差する方向(図の左右方向)に並置された複数の作業行程k1,k2,k3で構成され、制御手段Hは、上記複数の作業行程k1,k2,k3のうちの現在の作業行程より前の作業行程における前記刈取走行距離検出手段102の検出情報に基づいて、現在の作業行程における予定刈取走行距離を設定するとともに、前記刈取形式検出手段101の情報に基づいて、刈取作業地に対して条刈り形式で刈取作業を行っている場合にのみ、前記作業行程における予定刈取走行距離の設定を行うように構成されている。
【0044】具体的には、図12に示すように、制御手段Hは、前記複数の作業行程k1,k2,k3を作業地Kの一端側(図の左端側)から順番に、走行方向を反対にして往復走行しながら各作業行程k1,k2,k3の長手方向に沿って条刈り形式で刈取作業する場合に、現在の作業行程よりも1つ前の行程における前記刈取走行距離、即ち、前の行程において株元センサS4がオンしてからオフするまでに走行した距離(この情報は、制御手段H内に記憶されている)を、現在の作業行程における予定刈取走行距離として設定する。尚、図12では、行程k1が行程k2の前の行程になり、行程k2が行程k3の前の行程になる。
【0045】次に、図13〜図18に示すフローチャートに基づいて、制御手段Hによる脱穀及び車速複合制御の流れを説明する。メインフロー(図13)では、先ず、各種制御パラメータを初期設定する初期化処理を行った後、株元センサS4がオフ状態からオン状態に変化して刈取作業の開始が確認されると、刈取形式の検出が済んでいるか否かを調べ、済んでいなければ刈取形式検出処理(図14)を実行する。一方、刈取形式の検出が済んでいれば、手動自動切換スイッチSW4の状態から手動運転か自動運転かを判断する。そして、通常、運転初期は手動運転側であり、その手動運転では、運転者は茎稈列に沿うように手動で操向及び変速操作を行い、茎稈列に対して機体操向位置が適正になった時点で手動自動切換スイッチSW4を自動運転側に切り換える。その自動運転側への切り換えが確認されると、更に脱穀スイッチSW1がオン状態であることを確認した後、データ処理、脱穀制御、車速制御、及び、操向制御の各処理を行う。
【0046】刈取形式検出処理(図14)では、所定走行距離Δhを走行するごとに各操向制御用センサS8a,S8b,S8cのポテンショメータRpからの電圧En(n=1,2,3)及び走行距離データをサンプリングし、このサンプリングを距離H1を走行するまで繰り返す。そして、距離H1を走行したことが確認されると、この間の上記電圧Enについての複数個のデータのうちの最大値を各操向制御用センサS8a,S8b,S8c毎に求め、更に、これらの最大値が一定値以上であれば、各最大値のときの各走行距離データをdn(n=1,2,3)として記憶し、一定値以上でなければ、上記dn値の記憶は行わない。
【0047】次に、上記求めた今回のdn値と前回求めたdn値との差つまり走行距離の間隔Δhの値がH1−αとH1+αの間の値であるときは、条刈カウンタを+1加算し、上記間隔Δhの値がH2−αとH2+αの間の値であるときは、横刈カウンタを+1加算する。一方、上記間隔Δhの値が上記以外のときは、条刈カウンタ及び横刈カウンタを−1減算する。但し、カウンタ値をマイナスにはしない。尚、条刈カウンタ及び横刈カウンタは、夫々各操向制御用センサS8a,S8b,S8cごとに用意されて合計6個設けられている。そして、3個の条刈カウンタのうちの少なくとも1個のカウンタが、あるいは、3個の横刈カウンタのうちの少なくとも1個のカウンタが予め設定された数N(例えば3〜5程度)以上になったら、夫々刈取形式を条刈り形式あるいは横刈り形式と判別する。
【0048】データ処理(図15〜図16)では、株元センサS4がオン状態(刈取作業中)のときには、先ず、チャフ開度を調べ、チャフ開度が全開状態(シーブモータM1が開度変更範囲の上限開度位置まで操作されている状態)であれば、層厚センサS5の層厚検出値Iが前記選別能力限界判別用の設定層厚値Imax以上かどうかを調べる。層厚検出値Iが設定層厚値Imax以上の場合には、その状態が2秒以上継続したときだけ減速フラグをセットする。一方、上記チャフ開度が全開状態でない(シーブモータM1が開度変更範囲の上限開度よりも小さい開度位置に操作されている)とき、及び、層厚検出値Iが設定層厚値Imax未満の状態が2秒以上継続したときには、増速フラグをセットする。
【0049】次に、現在の車速値を、それまでの検出車速の最大値を記憶しているメモリーMAXSPD内の値と比較し、その値より現在の検出車速値が大きいときだけ、現在の車速値を検出車速の最大値として上記メモリーMAXSPDに更新記憶させる。
【0050】尚、株元センサS4がオフ状態からオン状態に変化してそのオン状態で走行した距離が、前記回転数センサS6の検出情報に基づいて刈取走行距離として算出され、1つの作業行程での刈取走行が終了して、株元センサS4がオン状態からオフ状態に変化したときの上記算出された刈取走行距離が、刈取形式が条刈りの場合に、次の行程における予定刈取走行距離としてメモリー内に記憶される。
【0051】次に、所定タイマー時間(例えば15秒)に設定された減速タイマーのタイマー時間が経過しているかどうかを調べる。尚、この減速タイマーは、車速制御においてエンジン負荷の増大に基づく無段変速装置12の減速操作がなされたとき(このことは車速制御用減速フラグのセット状態から確認される)、及び、後述のように設定上限車速の変更設定がなされたときにスタートされる。これにより、エンジン負荷の増大に基づく減速操作後の所定時間(例えば15秒間)、前記設定上限車速V1についての補正処理が停止されることになる。
【0052】上記減速タイマーのタイマー時間の経過が確認されると、刈取形式が条刈り形式かどうかを調べ、刈取形式が条刈り形式であるときにのみ、以下の処理を行う。先ず、前述のように記憶された現在の行程における予定刈取走行距離から、回転数センサS6の検出情報に基づいて算出される検出刈取走行距離を引いて、現在の行程における予定刈取走行距離に対する残りの刈取走行距離を求め、その残りの刈取走行距離が設定距離以上である場合に、設定上限車速V1の補正処理を行う。つまり、減速フラグがセット状態であれば、前記メモリーMAXSPDに記憶されているそれまでの検出車速の最大値よりも0.1m/s低速の車速値を設定上限車速V1としてから、減速フラグをリセットし、減速フラグがリセット状態で増速フラグがセット状態であれば、現在の設定上限車速V1より0.1m/s高速の車速値を設定上限車速V1としてから、増速フラグをリセットし、夫々、上記増速フラグ及び減速フラグのリセット後に、減速タイマーをスタートさせる。又、減速フラグ及び増速フラグが共にリセット状態のとき、及び、上記残りの刈取走行距離が設定距離よりも短い場合には、設定上限車速V1の変更は行わない。尚、設定上限車速V1は、運転初期には大きな車速値を設定して、設定上限車速V1による車速制限を受けないようにしている。
【0053】脱穀制御(図17)では、先ず、株元センサS4がオン状態である等の起動条件が成立していることを確認してから、層厚センサS5の層厚検出値を入手する。そして、チャフ開度及びトウミ風力が、上記層厚検出値に対応するチャフ開度及びトウミ風力の目標値になるように、シーブモータM1及びトウミモータM2を自動調節する。
【0054】車速制御(図18)では、車速オートスイッチSW2がオン、車速が0.1m/s以上、及び、株元センサS4がオンしていることで起動条件の成立を確認すると、現在の車速と前記設定上限車速V1及び補助車速上限値V2とを比較し、そのいずれかよりも高速であれば、両方よりも低速になるまで減速操作する。次に、現在のエンジン回転数rと予め記憶した基準回転数Rとの差であるエンジン負荷Lを求め、その負荷Lが目標負荷範囲(目標回転数)にあるかどうかを調べる。負荷Lが目標負荷範囲よりも大きい場合には、所定量減速操作し、負荷Lが目標負荷範囲よりも小さい場合には、現在の車速が前記設定上限車速V1及び補助車速上限値V2のいずれかよりも低速であるときだけ、所定量増速操作し、負荷Lが目標負荷範囲即ち不感帯内にあるときには、変速操作は行わない。
【0055】[別実施例]以下、別実施例を列記する。上記実施例では、現在の作業行程より1つ前の作業行程における刈取走行距離の検出情報に基づいて、現在の作業行程における予定刈取走行距離を設定しているが、現在の作業行程より前の行程としては、上述の1つ前の行程に限らず、作業地に対する走行方法の状況等に応じて適宜設定できる。例えば、図19に示すように、矩形状の刈取作業地K内に並置された複数の作業行程k1,k2,k3,k4のうちの作業地両端側(図19の左右両端側)の作業行程を、交互に走行方向を反対にしながら各作業行程k1,k2,k3,k4の長手方向に沿って条刈り形式で刈取作業する場合には、現在の作業行程よりも2つ前の行程における刈取走行距離の検出情報に基づいて、現在の作業行程における予定刈取走行距離を設定するように構成してもよい。図19では、行程k1、行程k2、行程k3、行程k4の順で図の矢印で示す方向に走行することになり、行程k3あるいは行程k4を現在の作業行程とすれば、行程k3に隣接する行程k1あるいは行程k4に隣接する行程k2が夫々2つ前の行程になる。
【0056】又、上記実施例では、複数の作業行程の行程長さがほぼ同じであるために、前の行程(1つ前等)における検出刈取走行距離の値をそのまま現在の作業行程における予定刈取走行距離としているが、例えば、複数の作業行程の行程長さが少しずつ異なるような条件の場合には、前の行程(1つ前等)における検出刈取走行距離の値を少し増減した値を現在の作業行程における予定刈取走行距離とすることができる。又、予定刈取走行距離の設定を、上記実施例のように、現在の作業行程より前の作業行程における刈取走行距離の検出情報に基づいて行うのではなく、例えば、刈取作業地の形状・寸法が予め正確に判っているような場合には、その情報に基づいて、各作業行程における予定刈取走行距離を設定するようにすることも可能であり、特に、作業地内に単一の作業行程を設定する場合に好適な構成となる。
【0057】又、上記実施例では、制御を極力良好に行うために、上記予定刈取走行距離の設定を、条刈り形式の場合にだけ行うようにしているが、条刈り形式以外の他の形式のときに行ってもよい。
【0058】刈取走行距離検出手段102としては、上記実施例に示すように、株元センサS4や、クローラ走行装置1への駆動軸の回転数を検出する回転数センサS6等にて構成するものに限らない。例えば、上記株元センサS4に代えて、操向制御用センサS8a,S8b,S8cを用いたり、上記回転数センサS6に代えて、無段変速装置12からミッションケース13への入力軸の回転数を検出するセンサを用いる等、種々の具体構成が可能である。
【0059】刈取形式検出手段101は、上記実施例に示すものに限らず、種々の具体構成が可能である。
【0060】扱室Aから漏下する選別処理物の量を検出する処理物量検出手段は、上記実施例のような層厚検出手段(層厚センサS5)に限らず、例えば、扱室Aから揺動選別板19上に漏下する処理物をテレビカメラ等の撮像手段で撮像し、その画像情報を処理して処理物量を検出することもできる。又、層厚検出手段も、上記実施例のような接触式の層厚センサS5以外に、透過型の光センサや、超音波センサ等の非接触式のセンサを利用する等、種々の手段で構成できる。
【0061】上記実施例では、選別装置Bの処理能力変更手段M1,M2を、シーブモータM1及びトウミモータM2にて構成したが、これに限るものではなく、例えば、トウミモータM2を所定回転位置に固定した状態で、シーブモータM1だけを正逆方向に回転駆動させるようにしてもよい。
【0062】揺動選別板19において処理物を漏下開度を変えながら漏下させる手段は、上記実施例のようなチャフシーブに限らず、例えば、網状又はスリット状の開口部をスライドグレンパンといわれる遮蔽板で遮蔽し、スライドグレンパンをスライドさせてその開口部の遮蔽面積つまり開度を変えるように構成してもよく、この場合、開度変更手段は、上記実施例のシーブモータM1ではなく、スライドグレンパンをスライドさせるためのモータ等で構成される。
【0063】負荷検出手段S7,Hは、上記実施例のように、エンジン回転数センサS7と制御手段Hを利用して構成するものに限らない。
【0064】車速変速用の変速装置は、上記実施例のように、静油圧トランスミッションを用いた無段変速装置12に限らない。
【0065】車速検出手段は、上記実施例のように、クローラ走行装置1の駆動輪の回転数を検出する回転数センサS6に限らず、例えば、前記無段変速装置12からミッションケース13への入力軸の回転数を検出するセンサでもよい。
【0066】本発明は、上記実施例のようなコンバイン(自脱型コンバイン)に限らず、普通型コンバイン等の他のコンバインに適用することもできる。
【0067】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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