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発明の名称 農用結束装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−9753
公開日 平成8年(1996)1月16日
出願番号 特願平6−148821
出願日 平成6年(1994)6月30日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
発明者 牧園 晴充 / 馬場 治男
要約 目的


構成
ニードルからの結束紐を結節する結節ビル10と、結束紐端部の保持と紐の切断を担う紐ホルダー11とを備え、結節ビル10を、回転軸を一体に備えた固定爪10Aと、固定爪10Aに対して揺動開閉移動自在な可動爪10Bとで構成してある農用結束装置において、固定爪10Aにおける可動爪10Bに向いた紐挟持面を除いた部分、及び可動爪10Bにおける固定爪10Aに向いた紐挟持面を除く部分に硬質クロムメッキ処理を施す。メッキ処理では、可動爪10Bを閉じた姿勢で固定爪10Aに組付けられたセット状態でメッキ液に入れて通電する。
特許請求の範囲
【請求項1】 ニードル(9)から供給されてくる結束紐を結節する結節ビル(10)と、結束紐端部の保持と紐の切断を担う紐ホルダー(11)とを備えるとともに、前記結節ビル(10)を、回転軸(10a)を一体に備えた固定爪(10A)と、この固定爪(10A)に対して揺動開閉移動自在な可動爪(10B)とで構成してある農用結束装置であって、前記固定爪(10A)における前記可動爪(10B)に向いた紐挟持面(14)を除いた部分、及び前記可動爪(10B)における前記固定爪(10A)に向いた紐挟持面(16)を除く部分にメッキ処理を施してある農用結束装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バインダーやコンバインに用いられる農用結束装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、農用結束装置は、実開昭63‐114135号公報等に示されるように、ニードルから供給されてくる結束紐を、回転する結節ビルで摘んで結節し、回転する紐ホルダーで紐の端部の保持と紐の切断を行うようになっている。結節ビルは、固定ビル片とこれに対して揺動開閉移動する可動ビル片とで成り、結節時には、ニードルによって供給されてくる新紐部分とホルダーによって既に保持されている旧紐部分の2本を摘み取って結節し、そして、ホルダーは、ホルダー本体の円錐状テーパ面とホルダー本体の支持ブラケットに連設の挟持板とで紐の端部を保持するようになっており、円錐状テーパ面を有するホルダー本体はスプリングによって挟持板側に付勢されている。
【0003】固定爪と可動爪との間には、可動爪が閉じた状態において紐が横移動できる程度の間隙(実開平5‐60234号公報の図1参照)が設けてあり、前述した前者の従来技術における第4図(ハ)から(ニ)にかけての結節工程において、結節ビルに巻き付いている新旧2本の紐がビル長手方向に対して横滑り移動して結び目が作成できるようにしてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】結束装置における結節作動は一瞬の間(1/4秒弱)で完了するという動きの速いものであるため、一連の結節作動が抵抗なく迅速に行われる状態としておくことが望ましい。結節作動前半では結節ビルの回動によって紐を巻き付けるという回転動作であるに対し、結節作動後半では前述したように結節ビルにおける巻付き紐部分が横滑り移動するという摺接動作である。従って、迅速な作動に対しては不利な結節作動後半部を円滑に動作させることが肝要である。
【0005】従来では、結節ビルでの紐摺接抵抗が比較的大であるためか、その巻付き紐部分の横滑り移動が円滑に動作できずに、図13に示すように結び目mがホルダー側紐部分に寄って形成され、ループ紐部分a2 の長さが短くなって束締まりが緩くなったり、又、紐切れを招来して結束ミスを生じたりすることがあった。本発明の目的は、前述した結節ビルでの巻付き紐部分の横滑り移動が抵抗なく円滑・迅速に現出されるように結束装置を工夫し、結束ミス無く良好な結束作動状態が得られるようにする点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成のために本発明は、ニードルから供給されてくる紐を結節する結節ビルと、結束紐端部の保持と紐切断を担う紐ホルダーとを備えるとともに、結節ビルを、回転軸を一体に備えた固定爪と、この固定爪に対して揺動開閉移動自在な可動爪とで構成してある農用結束装置において、固定爪における可動爪に向いた紐挟持面を除いた部分、及び可動爪における固定爪に向いた紐挟持面を除く部分にメッキ処理を施してあることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】結節作動を良く観察してみると、結び目mは図5に示す状態から穀稈束Bが放出されるときの勢いで結節ビル10に巻付いた紐を抜き出すことによって形成される。つまり、束放出に伴って引張られる束側紐部分a”の移動によって巻付き紐部分a’も引張られて結節ビル10根元側から先端側に横滑り移動し、次に可動爪10Bが開いた途端に巻付き紐部分a’が結節ビルから抜出して結び目mが形成されるのである(図8参照)。このとき、束側紐部分aで引張られる巻付き紐部分a’と結節ビル表面との滑りが悪いと、前述した横すべり移動の摩擦抵抗が大となって紐切れが生じ、結束ミスを招来することが判ってきた。故に、■固定及び可動爪の外表面の摩擦係数は低い方が好都合である。
【0008】又、上記横滑り移動時には可動爪10Bが閉じており、紐ホルダー10からの2本の紐を固定及び可動の爪10A,10Bでの挟持作用によって結節ビル11の比較的奥部分に保持しておくことで、図8に示すように、結び目mが排藁束側に近寄った側に形成されて、つまりループ紐部分a2 の長さL2 が長くなって束締まりをきつくできる。つまり、結び目形成の終了間際には前記紐ホルダー10からの2本の紐が結節ビル11内で先端側に向けて横滑り移動しなければならないため、可動爪10Bの閉じ状態では、固定及び可動の爪10A,10Bで完全に紐を挟持固定するのではなく、所定強さの横力が作用すると滑り移動できる程度に挟持しておくことが肝要である。従って、■固定爪10A及び可動爪10の内側表面の摩擦係数はあまり小でない方が好都合である。
【0009】そこで、本願ではメッキ処理を行うことによって表面が平滑化されることを利用して、固定爪における可動爪に向いた紐挟持面を除いた部分、及び可動爪における固定爪に向いた紐挟持面を除く部分にメッキ処理を施すものであるから、上記■、及び■の要望を共に実現させることができ、結束ミスをより少なくすることができるのである。
【0010】
【発明の効果】その結果、結節作動時における結節ビルと紐との連係動作を熟知して検討することにより、結節ビルの外表面部分にのみメッキ処理を施すという比較的簡単な改造によって結束ミスのおそれがより軽減する好ましい結束装置を提供することができた。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例をバインダーの結束装置について説明する。図14に示すように、穀稈を引起す引起し装置1、引起した穀稈を刈取る刈取装置2、刈取った穀稈を横方向に搬送する横搬送装置(図示せず)の終端に配置された結束装置Kから成る刈取前処理部Aを機体の前部に配備し、その後方に伝動ケース3、エンジン4、車輪5、操縦ハンドル6を配備してバインダーを構成してある。
【0012】図15に示すように、結束装置Kは、穀稈を掻き込むパッカー7、パッカー7によって掻き込まれた穀稈の集束圧を感知する感知ドア8、感知ドア8の作動に伴って駆動されるニードル9、ニードル9によって供給されてきた結束紐を結節する結節ビル10と、結節された紐の端部の保持と紐の切断を行う紐ホルダー11、及び結束穀稈を放出する放出パッカー12等を備えて構成されている。
【0013】図9〜図11に示すように、結節ビル10は、回転軸10aを一体に備えた固定爪10Aと、この固定爪10Aに対して軸心P1 回りで揺動開閉移動自在な可動爪10Bとで構成されている。そして、固定爪10Aにおける紐挟持面14に、可動爪10Bに向けて突出する凸部15を形成し、可動爪10Bが閉じた状態(図10参照)においては可動爪10Bの紐挟持面16と凸部15とで紐aの挟持が可能な状態になっている。
【0014】すなわち、凸部15は固定爪10Aの紐挟持面14のビル長手方向の中間部から根元部に架けて形成され、可動爪10Bが閉じた状態においては凸部15と可動爪10Bの紐挟持面16との間隔d1 を紐aの径Dよりも狭く設定してあり、それによって紐aを挟持可能となるように構成されている。そして、凸部15よりもビル先端側に位置する固定爪10Aの紐挟持面14と、可動爪10Bの紐挟持面との間隔d2 が紐aの径Dとほぼ同値となる状態に構成してある。つまり、d1<D≒d2 が成立つようになっている。
【0015】図4、図12に示すように、紐ホルダー11は、ホルダー本体11a、円錐状テーパ面11b、これに連設されるフック11c、支持ブラケット17、これに連設される挟持板17a、カッター21等を備えて構成されている。円錐状テーパ面11bを有するホルダー本体11aはスプリング18によって挟持板17a側に付勢され、ナット19によって付勢力が調節可能である。そして、図1に示すように、結節ビル10と紐ホルダー11は、ニードル9の作動に伴って駆動されるタイミングギア13によって回転駆動されるようになっている。又、感知ドア8の対向側に長孔状の紐案内孔20aを備えた紐案内板20が配置され、その前側に結節ビル10と紐ホルダー11が配置されている。
【0016】次に、結束装置Kによる結束作動を説明する。図1に示すように、紐aの端部が紐ホルダー11に挟持されており、感知ドア8に所定量の排藁Bが体積すると、ニードル9が紐aを排藁Bに巻付けながら紐案内孔20aを通り、この紐aを紐ホルダー11側に運ぶ。次に、紐ホルダー11及び結節ビル10が紙面時計方向に回転し始める。これにより、図2に示すようにニードル9側の紐a及び紐ホルダー11側の紐aが結節ビル10に巻付けられ始め、ニードル9側の紐aが紐ホルダー11のフック11cにより、紐ホルダー11側の紐aに束ねられ始める。
【0017】紐ホルダー11及び結節ビル10がさらに回転すると、図3、図4に示すように、結節ビル10において閉じていた可動爪10Bが、カム(図示せず)により開き操作されてニードル9側及び紐ホルダー11側の束ねられた紐aが固定爪10Aと可動爪10Bの間に入り込む。そして、図5、図6に示すように、可動爪10Bが閉じ操作されて、ニードル9側及び紐ホルダー11側の束ねられた紐aが固定爪10Aと可動爪10Bの間に保持される。
【0018】図5、図6に示すように、紐ホルダー11においては始めに挟持していた紐aの端部が紐ホルダー11から離れ、ニードル9側の紐aが紐ホルダー11のフック部11cにより紐ホルダー11に挟持され、新たに紐ホルダー11に挟持された紐aの結節ビル10側が藻ホルダー11のカッター21によって切断され、以上の操作が終了すると、その位置で結節ビル10と紐ホルダー11が停止する。そして、放出アーム12が作動して、図7に示す排藁Bを紙面右方向に押出し、排藁Bの移動に伴って排藁B側の紐aが、紐案内孔20aの辺部20bに沿って紙面右方向に引かれるのであり、これに伴って固定爪10Aと可動爪10Bの両外側に巻付けられている紐aの輪a1 が、結節ビル10から抜出される。
【0019】紐aの輪a1 が固定爪10Aと可動爪10Bから抜出されても、固定爪10Aと可動爪10Bの間に保持されている保持紐a2 (図8参照)は、固定爪10Aと可動爪10Bの間に残っているので、紐aの輪a1 が結節ビル10から抜出されると、紐aの輪a1 内に保持紐a2 が入り込む。そして、排藁Bがさらに紙面右方向に押出されると、輪a1 の部分で結び目mが形成されるのであり、図8に示すように最後には保持紐a2 も結節ビル10から抜けて1サイクルの結束作動が完了するのである。
【0020】図12には、図3に示す状態から図5に示す状態に移行する途中の状態、すなわち、紐ホルダー11からの2本の紐aを摘むべく可動爪10Bが閉じ移動している途中状態が示されている。この状態では、紐ホルダー11からの2本の紐aが閉じ移動する可動爪10Bに点qで接触して扱かれながらせり上げられ、それによって固定爪10Aに向けて引寄せられている。そして、図5に示される可動爪10Bの閉じ状態では、凸部15と可動爪10B側の紐挟持面16とで紐aが挟持されてその巻付き紐部分a’の挟持位置が保持されており、図7に示す放出アーム12の作動によって初めて巻付き紐部分a’が引張られるようになる。
【0021】従って、穀稈Bが高速で放出されても巻付き紐部分a’が放出アーム12による放出作動に先行して結節ビル10から抜け出ることが抑制されるから、結び目mが排藁束Bに近づいて形成されて束締まりのきつい良好な結束が行われ、結び目m外側のループ部分の長さL2 も十分に長くなるのである。
【0022】図9〜図11に示すように、固定爪10Aにおける可動爪10Bに向いた紐挟持面14を除いた部分、及び可動爪10Bにおける固定爪10Aに向いた紐挟持面16を除く部分に硬質クロムメッキ処理を施してある。この硬質クロムメッキは表面が平滑にメッキされるとともに耐摩耗性が大きい特徴があり、「作用」の項で述べたように、結節ビル10の機能に合致したものである。
【0023】又、実際のメッキ処理は、固定爪10Aに対して可動爪10Bが閉じた図11に示す組付セット状態でメッキ液に入れ、その組付セット状態のままで電流を流すのである。すると、メッキ処理では凹入した部分への付きまわり性が悪いため、凹んだ位置となる両紐挟持面14,16にはメッキされない状態となり、図10に示すように、固定及び可動の爪10A,10Bの外表面にのみメッキ処理が行れるようになるのである。メッキの種類としては他に、表面の平滑化に優れたニッケルメッキや耐摩耗性及び耐食性に優れる金メッキ等が考えられる。
【0024】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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