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発明の名称 光学ピックアップ及び光学素子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−7217
公開日 平成9年(1997)1月10日
出願番号 特願平7−175405
出願日 平成7年(1995)6月19日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎 (外1名)
発明者 岩崎 正則
要約 目的
小型に構成されると共に、コストが低減されるようにした、光学ピックアップを提供すること。

構成
直線偏波の入射光を直交する第一及び第二の成分に分離する第一の回折素子30と、前記第一の回折素子から出射される前記第一の成分のプラスマイナス1次回折光をほぼ透過すると共に、前記第一の回折素子から出射される前記第二の成分の0次回折光を直交する第三及び第四の成分に分離する第二の回折素子31とを含み、前記第一の回折素子及び第二の回折素子が、ホログラム素子の基板30aの相対する両面にそれぞれ配設された偏光性ホログラムであるように、光学素子25を構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】 ディスク状記録媒体に光ビームを照射し、カー効果を利用して前記ディスク状記録媒体に記録した情報を再生する光学ピックアップにおいて、前記ディスク状記録媒体からの戻り光の光路上に配置され、前記戻り光を互いに直交する第一及び第二の成分に分離し、前記第一の成分については、プラスマイナス1次回折光に分解して出射すると共に、0次回折光を抑圧して出射し、前記第二の成分については、プラスマイナス1次回折光を抑圧し、0次回折光として出射する第一の回折素子と、前記第一の回折素子から出射される戻り光の光路上に配置され、前記第一の成分のプラスマイナス1次回折光をほぼ透過すると共に、前記第二の成分の0次回折光として出射される戻り光を、直交する第三及び第四の成分に分離し、前記第三の成分については、プラスマイナス1次回折光に分解して出射すると共に0次回折光を抑圧して出射し、前記第四の成分については、プラスマイナス1次回折光を抑圧し、0次回折光として出射する第二の回折素子と、前記第二の回折素子をほぼ透過して出射される前記第一の成分のプラスマイナス1次回折光と、前記第二の回折素子で分解されて出射される前記第三の成分のプラスマイナス1次回折光と、前記第二の回折素子から出射される前記第四の成分の0次回折光とをそれぞれ受光する受光素子とを含んでおり、前記第一及び第二の回折素子が、ホログラム素子を構成する基板のひとつの面とこれと反対の面の両面に、それぞれ配設された偏光性ホログラムであることを特徴とする光学ピックアップ。
【請求項2】 前記第一の回折素子が、カー効果の影響を受けないときの戻り光の偏波面に対して、45度の角度だけ傾いて且つ光軸に垂直な方向に結晶軸の方向が選定され、前記第一の成分のプラスマイナス1次回折光の連続する方向に連続するスリットが形成され、前記第二の回折素子が、前記第一の回折素子のスリットの連続する方向を除く方向または前記連続する方向に第一の回折素子とは異なるピッチで連続するスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学ピックアップ。
【請求項3】 前記第一の回折素子が、常光線に対してスリット状の溝の部分と溝以外の部分を透過する光の位相差を0として、異常光線に対してスリット常の溝の部分と溝以外の部分を透過する光の位相差をπから所定の位相を0からπの間で変位することにより、異常光線が0次回折光とプラスマイナス1次回折光に所定の比率で分解されることを特徴とする請求項1に記載の光学ピックアップ。
【請求項4】 前記第二の回折素子が、異常光線に対してスリット状の溝の部分と溝以外の部分を透過する光の位相差を0として、常光線に対してスリット常の溝の部分と溝以外の部分を透過する光の位相差をπから所定の位相を0からπの間で変位することにより、常光線が0次回折光とプラスマイナス1次回折光に所定の比率で分解されることを特徴とする、請求項1に記載の光学ピックアップ。
【請求項5】 直線偏波の入射光を互いに直交する第一及び第二の成分に分離し、前記第一の成分については、プラスマイナス1次回折光に分解して出射すると共に0次回折光を抑圧して出射し、前記第二の成分については、プラスマイナス1次回折光を抑圧し、0次回折光として出射する第一の回折素子と、前記第一の回折素子から出射される前記第一の成分のプラスマイナス1次回折光をほぼ透過すると共に、前記第一の回折素子から出射される前記第二の成分の0次回折光を直交する第三及び第四の成分に分離し、前記第三の成分について、プラスマイナス1次回折光に分解して出射すると共に0次回折光を抑圧して出射し、前記第四の成分については、プラスマイナス1次回折光を抑圧し、0次回折光として出射する第二の回折素子とを含んでおり、前記第一の回折素子及び第二の回折素子が、ホログラム素子を構成する基板のひとつの面とこれと反対の面の両面に、それぞれ配設された偏光性ホログラムであることを特徴とする光学素子。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気ディスクに対して情報信号の記録及び/または再生を行なうための光学ピックアップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような光学ピックアップは、図8に示すように構成されている。即ち、図8において、光学ピックアップ1は、光ビームをコリメータレンズ2に向かって出射する半導体レーザ素子等のレーザ光源3と、このコリメータレンズ2によってほぼ平行光線に変換された光ビームについてビーム断面形状を整形して偏光ビームスプリッタ4に向かって出射するビーム断面形状整形プリズム5と、この偏光ビームスプリッタ4の透過光を折り曲げて光磁気ディスク6に向かって出射する反射ミラー7と、この反射ミラー7の反射光を光磁気ディスク6の情報記録面に収束させる対物レンズ8と、偏光ビームスプリッタ4の下方て光軸に沿って順次に配設された信号検出系9とを有している。
【0003】ここで、この信号検出系9は、光磁気ディスク6から対物レンズ8等の光学系を順次に辿って偏光ビームスプリッタ4で反射される戻り光を、偏光ビームスプリッタ4の下方にて反射及び透過する偏光ビームスプリッタ10と、この偏光ビームスプリッタ10の反射光をレンズ11に向かって出射する1/2波長板12と、このレンズ11によって収束光に変換された戻り光を偏波面の異なる成分に分解する偏光ビームスプリッタ13と、この偏光ビームスプリッタ13の透過光及び反射光をそれぞれ受光する受光素子14,15と、偏光ビームスプリッタ10の透過光を収束光に変換するレンズ16と、このレンズ16の出射光に非点収差を与えるシリンドリカルレンズ17と、このシリンドリカルレンズ17の出射光を受光する受光素子18とを有している。
【0004】このような構成の光学ピックアップ1によれば、レーザ光源3から出射された光ビームは、コリメータレンズ2によって平行光線に変換された後、ビーム断面形状整形プリズム5でビーム断面形状が整形され、続く偏光ビームスプリッタ4を透過して、反射ミラー7で反射される。さらに、この光ビームは、対物レンズ8の作用によって回転駆動される光磁気ディスク6の情報記録面に収束することになる。
【0005】この光磁気ディスク6の情報記録面で反射された戻り光ビームは、反射する際に、情報記録面の磁化磁性に対応してその一部がカー効果を受け、反射ミラー7で反射された後、偏光ビームスプリッタ4に入射する。この偏光ビームスプリッタ4内にて、上記カー効果により偏波面が回転された戻り光ビームは、偏光ビームスプリッタ4の反射面で反射されて偏光ビームスプリッタ10に向かって出射され、この偏光ビームスプリッタ10の反射面によって、図8にて側方及び下方に出射される。この側方に出射された戻り光は、1/2波長板12で振動方向が回転し、続くレンズ11で収束光に変換された後、偏光ビームスプリッタ13で互いに偏波面の直交する成分に分解される。この分解された各成分は、それぞれ受光素子14,15で受光される。これにより、受光素子14及び15間で光量の差を取ることにより、再生信号が検出される。
【0006】また、光磁気ディスク6からの戻り光のうち、その偏波面がカー回転されなかった成分は、偏光ビームスプリッタ10より下方に出射され、レンズ16で収束光に変換された後、シリンドリカルレンズ17で非点収差が与えられ、受光素子18で受光される。これにより、この受光素子18で非点収差を検出して、フォーカシングエラーが検出され、また光磁気ディスク6の半径方向に対応する方向について、ビームスポットの移動を検出して、トラッキングエラーが検出されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このように構成された光学ピックアップ1においては、以下のような問題がある。即ち、この種の光学ピックアップ1においては、再生信号を検出するために、1/2波長板,偏光ビームスプリッタ等の高価な光学部品を必要とするため、コストが高くなってしまう。また、これらの光学部品を搭載することにより、全体が大型になってしまうという問題があった。これに対して、偏光ビームスプリッタの代わりに、ウォラストンプリズムを使用して、再生信号を検出するようにした構成も知られているが、この場合もウォラストンプリズムという特殊な光学部品が必要になり、コストが高くなると共に、是全体が大型化してしまうという問題があった。
【0008】これらの問題を解決するための一つの方法として、偏光性ホログラムを用いた光学ピックアップが考えられる。即ち、偏光性ホログラムば、厚さを選定した複屈折媒質に格子を形成することにより、常光線及び異常光線に所定の位相差を与え、これにより常光線及び異常光線について、0次回折光の透過率がそれぞれ0及び1または1及び0になるように構成された光学素子である。この偏光性ホログラムを使用すれば、直交する二つの偏光成分を0次回折光とプラスマイナス1次回折光とに分離することが可能である。
【0009】さらに、この偏光性ホログラムを使用して光学ピックアップを構成する場合、光磁気ディスクから得られる戻り光のすべてをこの偏光性ホログラムに導いて、この偏光性ホログラムの回折光から再生信号等を検出すれば、戻り光を無駄なく利用することにより、再生信号が検出されることになる。
【0010】ところで、この種の光学ピックアップを適用する光磁気ディスク装置においては、トラッキングエラー,フォーカシングエラーを検出する必要がある。このトラッキングエラー及びフォーカシングエラーは、戻り光の偏波面の変化とは無関係に、戻り光の光量変化に基づいて検出する必要がある。
【0011】これに対して、偏光性ホログラムにおいては、直交する二つの偏光成分を0次回折光とプラスマイナス1次回折光とに分離することが可能であることにより、光学ピックアップにおいて、戻り光のすべてをこの偏光性ホログラムに導いて単純に処理すると、結局トラッキングエラー及びフォーカシングエラーに追従して、戻り光の偏波面の変化とは無関係に光量が変化する成分を、戻り光から分離することが困難になってしまうという問題があった。このため、このような偏光性ホログラムを適用した光学ピックアップにより光磁気ディスク装置を構成する場合には、結局、0次回折光とプラスマイナス1次回折光との受光結果から、改めて帯域分離等の手法を利用して、トラッキングエラー及びフォーカシングエラーを検出する必要があり、その分再生信号のSN比が劣化すると共に、回路構成が複雑になってしまうという問題があった。
【0012】本発明は、以上の点に鑑み、簡単な構成により、再生信号のSN比が向上するようにした、光学ピックアップと、この光学ピックアップ等に適用するための光学素子を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明によれば、ディスク状記録媒体に光ビームを照射し、カー効果を利用して前記ディスク状記録媒体に記録した情報を再生する光学ピックアップにおいて、前記ディスク状記録媒体からの戻り光の光路上に配置され、前記戻り光を互いに直交する第一及び第二の成分に分離し、前記第一の成分については、プラスマイナス1次回折光に分解して出射すると共に、0次回折光を抑圧して出射し、前記第二の成分については、プラスマイナス1次回折光を抑圧し、0次回折光として出射する第一の回折素子と、前記第一の回折素子から出射される戻り光の光路上に配置され、前記第一の成分のプラスマイナス1次回折光をほぼ透過すると共に、前記第二の成分の0次回折光として出射される戻り光を、直交する第三及び第四の成分に分離し、前記第三の成分については、プラスマイナス1次回折光に分解して出射すると共に0次回折光を抑圧して出射し、前記第四の成分については、プラスマイナス1次回折光を抑圧し、0次回折光として出射する第二の回折素子と、前記第二の回折素子をほぼ透過して出射される前記第一の成分のプラスマイナス1次回折光と、前記第二の回折素子で分解されて出射される前記第三の成分のプラスマイナス1次回折光と、前記第二の回折素子から出射される前記第四の成分の0次回折光とをそれぞれ受光する受光素子とを含んでいると共に、前記第一及び第二の回折素子が、ホログラム素子を構成する基板のひとつの面とこれと反対の面の両面にそれぞれ配設された偏光性ホログラムであることを特徴とする光学ピックアップにより、達成される。
【0014】
【作用】上記構成によれば、第一及び第二の回折素子でそれぞれ形成されるプラスマイナス1次回折光が、戻り光の直交する成分である。従って、戻り光の偏波面の変化を検出することが可能であり、また第二の回折素子の0次回折光は、偏波面の変化に依存しない成分である。これにより、トラッキングエラー等が検出される。
【0015】特に、この第一及び第二の回折素子が偏光性ホログラムにより構成され、例えば第一の回折素子の偏光成分分離の比率と、第二の回折素子の偏光成分分離の比率とが同じ所定比率に選定されることにより、容易に偏波面が直交する成分と、0次回折光が生成される。
【0016】そして、これら第一及び第二の回折素子がホログラム素子の相対する面に構成されることにより、全体構成が簡略化される。
【0017】また、このような第一及び第二の回折素子から成る光学素子により、直線偏波の入射光が、偏波面の変化に依存して光量が変化する成分と、偏波面の変化に依存しない成分とに容易に分離される。
【0018】
【実施例】以下、この発明の好適な実施例を図1乃至図7を参照しながら、詳細に説明する。尚、以下に述べる実施例は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0019】図2は、本発明による光磁気ディスク装置の光学ピックアップの一実施例を示している。図2において、光学ピックアップ20は、直線偏波の光ビームを出射する半導体レーザ素子等のレーザ光源21と、このレーザ光源21からの光ビームを光磁気ディスク22の情報記録面に収束させる対物レンズ23と、レーザ光源21及び対物レンズ23の間に介挿されて、光磁気ディスク22からの戻り光が対物レンズ23を介して入射し、図面にて側方に折り曲げて出射させる偏光ビームスプリッタ24と、この偏光ビームスプリッタ24の出射面に接着されて保持されたホログラム素子25と、ホログラム素子25から出射される戻り光に非点収差を与えるマルチレンズ26と、このマルチレンズ26の透過光を受光する受光素子27とを含んでいる。
【0020】ここで、ホログラム素子25は、図1に示すように、構成されている。即ち、図1において、ホログラム素子25は、その基板30aの両面であるの相対する面に、一対の偏光性ホログラム30及び31が形成されている。この偏光性ホログラム30及び31がそれぞれ形成される面は、後述するように例えば基板30aに対して光が入射する面と、射出する面とである。
【0021】この偏光性ホログラム30,31は、光学ピックアップにおいてよく用いられるウォラストンプリズムによる二つの直交する偏光成分を異なる方向に分離する機能を実現するものである。ここで、偏光性ホログラム30,31は、図3に示すようにして、製造される。
【0022】即ち、図3において、先づニオブ酸リチウム等の一軸性結晶から成る基板30aに対して、その両面にアルミニウム薄膜30bがコーティングされる〔図3(a)〕。その後、この基板30aの一面に、アルミニウム薄膜30bの上から、レジスト膜30cがコーティングされる〔図3(b)〕。このレジスト膜30cに対して、格子状のパターンマスクが載置され露光されることにより、レジスト膜30cのパターニングが行なわれる〔図3(c)〕。続いて、エッチング等により、アルミニウム薄膜30bのパターニングが行なわれ〔図3(d)〕た後、レジスト膜30cが除去される。
【0023】そして、アルミニウム薄膜30bが除去された格子状の部分に関して、例えば安息香酸によるプロトン交換が行なわれて、プロトン交換層30dが形成される〔図3(e)〕。続いて、表面全体に亘って、ニオブ酸Nb2O5等の誘電体から成る位相補償膜30eのコーティングが行なわれた後〔図3(f)〕、リフトオフにより、アルミニウム薄膜30bが除去される〔図3(g)〕。最後に、表面全体に亘って、SiO2層30fがスパッタリングにより形成される。これにより、基板30aの一面(上面)に、偏光性ホログラム30が形成されることになる〔図3(h)〕。
【0024】同様にして、基板30aの他面(下面)にも、同様の工程によって、偏光性ホログラム31が形成される〔図3(i)〕。尚、上記の製造工程及び構成材料は、例示したものであり、他の工程や材料が使用されることは明らかである。このようにして基板30aの両面に形成された偏光性ホログラム30,31は、プロトン交換法により形成された格子により構成されている。これにより、この格子の領域にて、常光線に対する屈折率は、0.13程度増大し、また異常光線に対する屈折率は、0.04程度減少する。
【0025】また、上記偏光性ホログラム30は、上記プロトン交換による格子(プロトン交換層30d)の上に、交換領域及び非交換領域を透過する常光線の間で生ずる位相差をキャンセルするように選定された厚さの位相補償膜30e等の位相補償手段が設けられている。これにより、見かけ上、異常光線に対してのみプロトン交換による屈折率変化が生ずるように、観察されることになる。従って、上記交換領域及び非交換領域が周期的に設けられ、且つ適宜の位相補償手段が備えられることにより、常光線は屈折率差を感じず、また異常光線は屈折率差を感じることになるので、図6の上段に示すように、異常光線のみに作用する回折格子が提供される。その際、異常光線が交換領域及び非交換領域により受ける位相差がπとなるように構成されていると、異常光線の透過率はほぼ0%、常光線の透過率はほぼ100%にすることができる。
【0026】さらに、偏光性ホログラム30は、図4に示すように、結晶軸の方向aに対して複数の溝の連続する方向の角度θ1が45度の角度になるように形成され、この溝の連続する方向が図1に示されているように、戻り光の直線偏波cの方向になるように配置される。これにより、偏光性ホログラム30は、偏光ビームスプリッタ24から出射される戻り光について、この戻り光を形成する直交成分のうち、常光線については、100%0次回折光として透過すると共に、0次以外の回折光を出射しないようにし、また残りの直交成分である異常光線については、プラスマイナス1次回折光として出射すると共に、0次回折光を出射しないようになっている。
【0027】これに対して、偏光性ホログラム31は、上記プロトン交換による格子(プロトン交換層)の上に、交換領域及び非交換領域を透過する異常光線の間で生ずる位相差をキャンセルするように選定された厚さの位相補償膜30e等の位相補償手段が設けられている。これにより、見かけ上、常光線に対してのみプロトン交換による屈折率変化が生ずるように、観察されることになる。従って、上記交換領域及び非交換領域が周期的に設けられ、且つ適宜の位相補償手段が備えられることにより、異常光線は屈折率差を感じず、また常光線は屈折率差を感じることになるので、図6の下段に示すように、常光線のみに作用する回折格子が提供される。その際、常光線が交換領域及び非交換領域により受ける位相差がπとなるように構成されていると、常光線の透過率はほぼ0%、異常光線の透過率はほぼ100%にすることができる。
【0028】さらに、偏光性ホログラム31は、図5に示すように、結晶軸の方向aに対して複数の溝の連続する方向の角度θ2が45度の角度になるように形成され、しかも、この溝の連続する方向が上記偏光性ホログラム30の溝の連続する方向と直交するように配置される。これにより、偏光性ホログラム31は、偏光性ホログラム30の常光線及び異常光線がそれぞれプラスマイナス1次回折光及び0次回折光として透過することにより、偏光性ホログラム30で形成されたプラスマイナス1次回折光をそのまま透過させ、偏光性ホログラム30で形成された0次回折光が回折作用によりプラスマイナス1次回折光に分解されて出射されることになる。
【0029】かくして、ホログラム素子25の偏光性ホログラム30,31を透過する戻り光は、0次回折光が全く出射され得ないことになる。ところで、上述した偏光性ホログラム30は、常光線に対してスリット状の溝の部分(プロトン交換層30dの部分)と溝以外の部分を透過する光の位相差を0として、異常光線に対してスリット状の溝の部分と溝以外の部分を透過する光の位相差をπから所定の位相を0からπの間で変位させることにより、異常光線について0次回折光とプラスマイナス1次回折光に所定の比率で分解することになる。
【0030】また、上述した偏光性ホログラム31は、異常光線に対してスリット状の溝の部分と溝以外の部分を透過する光の位相差を0として、常光線に対してスリット状の溝の部分と溝以外の部分を透過する光の位相差をπから所定の位相を0からπの間で変位させることにより、常光線について0次回折光とプラスマイナス1次回折光に所定の比率で分解することになる。尚、上記位相の変位は、前記位相補償膜30eの厚さを先の製造行程において適宜に選定することによって行なわれる。かくして、ホログラム素子25の偏光性ホログラム30,31を透過する戻り光は、最終的に所定の比率の0次回折光が残ることになる。
【0031】この場合、偏光性ホログラム30においては、偏光性ホログラム30の偏光ビームスプリッタ24から出射される戻り光の異常光線成分は、スリット状の溝の部分と溝以外の部分を透過する光の位相差をπから所定の位相を0からπの間で変位させることにより、偏光性ホログラム30において0次回折光とプラスマイナス1次回折光に所定の比率で分解されることになる。同様に、偏光性ホログラム31に入射する常光線も、上記位相差をπから所定の位相を0からπの間で変位させることにより、0次回折光とプラスマイナス1次回折光に所定の比率で分解されることになる。
【0032】即ち、偏光性ホログラム30,31のスリット状の溝の部分と溝以外の部分を透過する光の位相差が、偏光性ホログラム30においては、常光線に対して0,異常光線に対してπであり、偏光性ホログラム31においては、常光線に対してπ,異常光線に対して0である場合、戻り光は、偏光性ホログラム30で、プラスマイナス1次回折光の異常光線と0次回折光の常光線に分解された後、続いて偏光性ホログラム31にて、この0次回折光のみが、プラスマイナス1次回折光に分解される。このため、戻り光においては、偏波面が直交する4つの成分に分解されるのに対し、上記位相差がそれぞれπから所定の位相だけ位相変化している場合、偏光性ホログラム30から出射される0次回折光とプラスマイナス1次回折光の何れもが偏光性ホログラム31で回折作用を受けて、結局戻り光は、図7に示すように、全体として9個の成分に分解されて出射されることになる。
【0033】図7は、図1の構成による二つの偏光性ホログラム30,31を透過した戻り光が受光素子上に形成するスポットを示している。ここで、前記の効果により0次回折光M1の上下に分解されるビームS11,S13は、戻り光の直交する成分の一方が、偏光性ホログラム30において分解されたものである。偏光性ホログラム31においては、分解される成分が含まれていないことから、光量は変化せずに出射されることになる。これに対して、0次回折光M1の左右に分解されるビームS12,S14においては、戻り光の直交する成分の他方が、偏光性ホログラム31において分解されたものであり、この分解の際に、光量が減少して出射されることになる。
【0034】従って、この上下左右に分解されたビームS11,S13とS12,S14は、戻り光の直交する成分であり、それぞれ戻り光の偏波面が変化すると相補的に光量が変化することになる。これにより、光学ピックアップ20においては、ビームS11,S13とビームS12,S14に関して、それぞれ光量の和をとった後、これらの和から差をとることにより、光磁気ディスクの再生信号が検出されるようになっている。
【0035】これに対して、0次回折光M1は、戻り光の前記所定の位相差による所定の比率での偏光成分分離の0次回折光が、偏光性ホログラム31にて分解された成分であり、この分解の際に、偏光性ホログラム31が前記所定の位相差によって所定の比率で左右に分解されたビームS12,S14から分離された成分と考えられる。従って、この0次回折光M1は、戻り光の偏波面が変化してもほぼ一定の光量に保持される成分になり、光学ピックアップ20においては、この0次回折光M1からフォーカスエラー等が検出されるようになっている。
【0036】これにより、上述した実施例においては、受光素子27が、これらの0次回折光M1及びビームS11乃至S14を受光する。ここで、この受光素子27は、図7に示すように構成されている。即ち、受光素子27は、0次回折光M1,ビームS11乃至S14をそれぞれ受光するように、5つの光検出器が一つの半導体基板上に一体に形成されている。このうち、中央の光検出器は、中央付近にてそれぞれ上下左右に延びる分割ラインによって四分割され、分割された各センサ素子27a,27b,27c,27dのうち、縦方向に並ぶセンサ素子27a及び27dと、センサ素子27b及び27cとにより、それぞれ出力信号の和信号を得て、この和信号間で差信号を検出することにより、いわゆるプッシュプル法を適用して、トラッキングエラー信号が検出される。
【0037】また、この中央の光検出器においては、非点収差が与えられた戻り光が入射することにより、対角線方向に並ぶセンサ素子27a及び27cとセンサ素子27c,27dとにより、それぞれ出力信号の和信号を得て、この和信号間で差信号を検出することにより、所謂非点収差法を適用して、フォーカスエラー信号が検出される。
【0038】これに対して、他の光検出器のうち、第一の回折格子30で形成される回折光が連続する方向に並ぶ光検出器27e,27fと、この方向と直交する方向に並ぶ光検出器27g,27hとにおいて、それぞれ偏波面が直交する戻り光成分を受光することにより、それぞれ和信号を得て、これらの和信号間で差信号をとって、再生信号が検出される。
【0039】尚、この光学ピックアップを適用した光磁気ディスク装置において、コンパクトディスク(CD)を再生する場合、センサ素子27a乃至27dの出力信号の和をとることにより、再生信号が得られる。
【0040】本実施例による光学ピックアップ20によれば、レーザ光源21から出射される光ビームは、偏光ビームスプリッタ24を透過した後、対物レンズ23で光磁気ディスク22の情報記録面に収束される。この光磁気ディスク22の情報記録面で反射された戻り光は、反射する際、情報記録面の磁化磁性に応じてカー効果を受け、対物レンズ23を介して変更ビームスプリッタ24で反射され、その出射面に形成されたホログラム素子25を透過して出射される。
【0041】このホログラム素子25を透過する際、戻り光は、この戻り光の偏波面に対して偏波面が45度の角度をなす第一の成分が、偏光性ホログラム30によりプラスマイナス1次回折光に分解され、残りの第二の成分が0次回折光として出射される。この第一の成分のプラスマイナス1次回折光は、続く偏光性ホログラム31をそのまま透過して出射される。これに対して、第二の成分の0次回折光は、続く偏光性ホログラム31にて、光学軸を含む直交する第三及び第四の成分に分解され、この第三の成分がプラスマイナス1次回折光として、また第四の成分が0次回折光として出射される。
【0042】これにより、戻り光は、ホログラム素子25から、偏波面の変化に応じて光量が相補的に変化する直交する第一の成分のプラスマイナス1次回折光と第三の成分のプラスマイナス1次回折光と、偏波面が変化してもほぼ一定の光量に保持される第四の成分の0次回折光に分解されて出射される。
【0043】この第一の成分のプラスマイナス1次回折光と第三の成分のプラスマイナス1次回折光は、マルチレンズ26を透過しててセンサ素子27e,27fとセンサ素子27g,27hとにより受光される。これにより、センサ素子27e,27fの出力信号の和信号とセンサ素子27g,27hの出力信号の和信号との間で差をとって、再生信号が検出される。これに対して、第四の成分の0次回折光は、マルチレンズ26で非点収差が与えられた後、センサ素子27a乃至27dにより受光される。これにより、縦方向に並ぶセンサ素子27a,27dの和信号とセンサ素子27b,27cの和信号との間で差をとって、トラッキングエラー信号が検出されると共に、対角線方向に並ぶセンサ素子27a,27cとセンサ素子27b,27dの出力信号の和信号との間で差をとって、フォーカスエラー信号が検出される。
【0044】したがって、本実施例による光学ピックアップ20によれば、偏光性ホログラムに対して戻り光をすべて入射させても、偏波面の変化に応じて相補的に光量が変化する成分と、偏波面が変化してもほぼ一定の光量に保持された成分とが得られることにより、簡単な構成によりトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号が検出されることになり、従って低コストの光学ピックアップが提供されることになる。また、全体形状が小型化され、特に光学部品の厚さが低減されるので、光学ピックアップ全体の厚さが低減されると共に、さらには再生信号のSN比が向上される。さらに、センサ素子27a乃至27dの出力信号の和に基づいて、今パンクディスクの再生信号を得ることも可能であるので、光磁気ディスク及びコンパクトディスクの双方を再生可能である光ディスク装置に本発明を適用することにより、SN比の良好な再生信号が得られると共に、全体構成が簡略化される。
【0045】上述した実施例においては、第一及び第二の偏光性ホログラム30,31は、それぞれ同一基板の相対する面即ち入射面及び出射面に形成されているが、入れ替えて出射面及び入射面に形成されていてもよく、また、基板に対して、別体に構成された偏光性ホログラムが接着等により一体化されるようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、簡単な構成により、小型に構成されると共に、コストが低減されるようにした、光学ピックアップ及び光学素子が提供されることになる。




 

 


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