米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 計算機;電気通信 -> ソニー株式会社

発明の名称 磁気記録媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−7165
公開日 平成9年(1997)1月10日
出願番号 特願平7−148591
出願日 平成7年(1995)6月15日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
発明者 西田 康宏
要約 目的


構成
磁気記録媒体において、磁性層が形成された面とは反対側の主面に、トリプトファン誘導体よりなる潤滑剤を保持させたバックコート層を形成する。この潤滑剤はバックコート層に内添させても、バックコート層表面に塗布させてもよい。
特許請求の範囲
【請求項1】 非磁性支持体の一主面に磁性層を有するとともに、該非磁性支持体の反対側の主面に、非磁性粉末が結合剤に分散されてなるバックコート層を有する磁気記録媒体において、前記バックコート層には、化1で示されるトリプトファン誘導体よりなる潤滑剤が保持されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【化1】

【請求項2】 前記トリプトファン誘導体よりなる潤滑剤は、前記バックコート層に内添されていることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項3】 前記トリプトファン誘導体よりなる潤滑剤は、前記バックコート層表面に塗布されていることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体に関し、特にバックコート層の摩擦特性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体は、電磁信号の記録用として広く使用されており、使用の態様に合わせてテープ状、ディスク状、あるいはカード状等の種々の形態のものが使用されている。このような磁気記録媒体のうち、テープ状のものは、オーディオ用、ビデオ用およびコンピュータ用等の磁気記録媒体として使用されている。以下、このようなテープ状の磁気記録媒体を単に「磁気テープ」と称する。
【0003】磁気テープのうち、オーディオ用およびビデオ用のものは、カセット内に収容されて用いられることが多い。そして、このようなカセット内に収容された磁気テープにおいては、近年、長時間記録化の要求に伴って、規格化されたカセット内部にできるだけ長いテープを収容できるよう、次第に薄いものが使用されるようになってきている。
【0004】このため、薄い磁気テープに強度を付与し、さらに、磁気テープ裏面と再生機器の走行系との接触性を改善し、走行性能を確保する目的で、磁気テープの裏面にバックコート層が設けられるようになってきている。
【0005】一般に、バックコート層は、非磁性粉末が結合剤中に分散されてなり、磁気テープの走行性能を向上させるために、適当な凹凸をもって形成される。しかしながら、バックコート層表面の凹凸が大きいと、磁気テープの製造工程において、特に磁気テープを巻き取った状態での熱処理工程等で、バックコート層表面の凹凸が、その表面に接触している磁性層に転写され、磁性層表面に顕著な凹凸が形成されてしまうため、磁気テープの電磁変換特性が低下してしまう。但し、逆に、バックコート層の表面が平滑すぎても、走行系との接触面積が増加して、摩擦係数が高くなり、磁気テープの走行性能が低下してしまう。
【0006】したがって、バックコート層を形成するに際しては、非磁性粉末の粒径分布を調整するのみならず、表面における摩擦を低減させる必要がある。
【0007】このような観点から、バックコート層の表面性に対して結合剤の及ぼす影響等についての検討がなされており、例えば、特開昭56−98719号公報に開示されるように、バックコート層用の結合剤として、繊維素系樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマーおよびポリイソシアネートを組み合わせる等の手法が提案されている。しかし、このような結合剤はバックコート層を平滑化するためには好ましいものであるが、摩擦係数を上昇させ、磁気テープの耐久性を低下させるという問題がある。
【0008】そこで、バックコート層の摩擦係数を低減させるために、潤滑剤を用いることが検討され、例えば、特開平6−64727号公報に開示されるように、高級脂肪酸あるいは高級脂肪酸エステルを主成分とする潤滑剤をバックコート層に保持させることが提案されている。潤滑剤としては、高級脂肪酸や高級脂肪酸エステルの他にも、金属石鹸、高級脂肪酸アミド、鉱油、油脂系の有機化合物、シリコンオイル、無機微粉末、プラスチック微粉末、α−オレフィン重合物、フルオロカーボン類、あるいは、これらの混合物等が使用可能であるが、高級脂肪酸や高級脂肪酸エステルが特に潤滑性能に優れていると言える。特に、全炭素数が12〜18の脂肪酸、およびこのような脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステルは、優れた潤滑特性を発揮する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような高級脂肪酸や高級脂肪酸エステルよりなる潤滑剤も、耐久性や保存安定性といった特性においては、十分であるとは言えない。また、バックコート層がさらに平滑化されたときには、磁性層との間で粘着を生じるという問題もある。さらに、ガイドピンにポリオキシメチレン(POM)を使用したビデオデッキに対して、高級脂肪酸や高級脂肪酸エステルよりなる潤滑剤が保持されたバックコート層を有する磁気テープを走行させた場合には、ガイドピンとバックコート層との間で摩擦が上昇してしまうという問題もある。
【0010】以上のように、バックコート層に保持させる潤滑剤には、潤滑性能のみならず様々な要件が求められているが、これら要件を完全に満足するものは実現できてきないのが現状である。
【0011】そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、潤滑性能に優れるとともに、磁性層との粘着を生じることなく、これに伴う種々の問題を発生させることがないバックコート層用の潤滑剤が保持された磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、鋭意検討を行った結果、トリプトファン誘導体よりなる潤滑剤がバックコート層用の潤滑剤として好適であることを見い出すに至った。
【0013】本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであって、非磁性支持体の一主面に磁性層を有するとともに、該非磁性支持体の反対側の主面に、非磁性粉末が結合剤に分散されてなるバックコート層を有する磁気記録媒体において、前記バックコート層に、化2で示されるトリプトファン誘導体よりなる潤滑剤が保持されてなるものである。
【0014】
【化2】

【0015】化2に示されるような、トリプトファン誘導体よりなる潤滑剤は、摩擦係数低減効果が高く、常温常湿下では勿論のこと高温高湿下や低温低湿下等の、過酷な環境下においても良好な潤滑性能を発揮する。そして、この潤滑剤が保持されたバックコート層は、平滑化されていても、良好な走行性を示し、エッジダメージ等の耐久性にも優れたものとなる。また、この潤滑剤が保持されることによって、磁性層との粘着が起こることもない。
【0016】ここで、化2においてR1 は炭素数が6以上の炭化水素基となされるが、この炭化水素基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、不飽和構造や芳香環を有していても構わない。また、異性体の種類も問わない。但し、摩擦係数の低減、溶媒への溶解性を考慮すると、炭素数は10以上の直鎖あるいは分岐構造を有するものであることが好ましい。
【0017】また、R2 およびR3 は、水素あるいは炭素数1以上の炭化水素基であればよい。R2 およびR3 が炭化水素基である場合、その構造としては、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、不飽和構造や芳香環を有していても構わず、異性体の種類も問わない。その炭素数としては、特に限定されないが、トリプトファン誘導体の潤滑効果を高めるためには、6以上となされることが好ましい。
【0018】以上のようなトリプトファン誘導体よりなる潤滑剤をバックコート層に保持させる方法としては、上記トリプトファン誘導体をヘキサンあるいはトルエンといった炭化水素系溶剤に溶解して、これをバックコート層表面にトップコートすれば良い。このとき、トリプトファン誘導体の塗布量は0.5〜100mg/m2であることが望ましく、1〜20mg/m2 であることがより好ましい。
【0019】また、トリプトファン誘導体を直接バックコート層に内添させてもよく、この場合、バックコート塗料を調製する段階で、このトリプトファン誘導体よりなる潤滑剤を、他の塗料組成物とともに混合しておけば良い。このとき、潤滑剤の割合は、結合剤100重量部に対して0.5〜20重量部が適当である。
【0020】なお、このバックコート層に対して、トリプトファン誘導体よりなる潤滑剤を単独で用いる他、従来より磁気記録媒体で用いられている公知の潤滑剤と組み合わせて用いても良い。
【0021】さらに、このトリプトファン誘導体よりなる潤滑剤は、より厳しい条件下においても潤滑効果が持続されるように、極圧剤と併用しても良い。極圧剤とは、境界潤滑領域において部分的に金属接触が生じた際に、それに伴って発生する摩擦熱によって金属面と反応し、反応生成物被膜を形成するもので、この被膜によって摩擦や摩耗が防止される。この極圧剤としては、リン系極圧剤、硫黄系極圧剤、ハロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤、複合系極圧剤等がいずれも使用できる。なお、潤滑剤と極圧剤の配合比は、30:70〜70:30(重量比)程度が適当である。
【0022】バックコート層を構成する結合剤としては、磁気記録媒体の結合剤として従来から使用されているものがいずれも使用可能であり、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂またはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、ポリエステル樹脂、またはポリウレタン樹脂を併用して用いることによって、磁気記録媒体の耐久性および走行性が向上する。また、架橋剤として、3官能イソシアネート化合物、例えば、トリメチロールプロパン1モルとトリレンジイソシアネート3モルとの反応生成物等を併用すれば、さらに耐久性を向上させることができる。
【0023】上述のような結合剤中に分散させる非磁性粉末としては、カーボンブラック、グラファイト、無機質充填材を挙げることができる。これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して用いてもよい。無機質充填材の具体的な例としては、TiO2 、TiO、ZnO、CaCO3 、CaO、SnO2 、SiO2 、α−Fe2 3 、Cr2 3 、α−Al2 3 、ZnS、MoS2 、BaSO4 、CaSO4 、MgCO3 、BN、SiC等が挙げられる。これらの非磁性粉末の中でも、カーボンブラック、グラファイト、ZnO、TiO2 、BaSO4 、CaSO4 より選ばれる1種類、あるいは、その組合わせで使用することが好ましい。
【0024】なお、これら非磁性粉末の粒子径、粒子形状については、特に制限はなく、通常バックコート層用に使用されている粒子径、粒子形状を有するものを用いればよい。例えば、カーボンブラックを用いる場合、平均粒子径が10〜300nmの範囲のものを用いることが望ましい。また、上述したような無機充填材を用いる場合には、平均粒子径が0.1〜10nmの範囲のものを用いることが望ましい。また、形状は、球状、針状、板状、サイコロ状等の種々の形状のものが使用可能である。
【0025】バックコート塗料に用いる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル類、エチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩化炭化水素等が使用できる。
【0026】即ち、バックコート層は、上述した非磁性粉末、結合剤、所望により添加する添加剤を有機溶媒に分散あるいは溶解させてバックコート塗料を調製し、これを非磁性支持体の磁性層形成面とは反対側の主面に塗布、乾燥、硬化させることによって形成される。なお、バックコート層の厚さは、乾燥後の厚さが通常3μm以下となるように設定する。
【0027】このようなバックコート塗料の塗布と、磁性塗料との塗布は、いずれを先に行ってもよく、同時に行っても構わない。
【0028】ところで、本発明の磁気記録媒体において、バックコート層とは反対側の主面に形成される磁性層は、少なくとも強磁性粉末と結合剤を有機溶剤とともに分散、混練して磁性塗料を調製し、この磁性塗料を非磁性支持体上に塗布、乾燥することで形成される。
【0029】強磁性粉末としては、酸化物磁性粉末でもよく、金属磁性粉末であってもよい。酸化物磁性粉末としては、γ−Fe2 3 ,Co含有γ−Fe2 3 ,Fe34 ,Co含有γ−Fe3 4 ,Co被着−Fe3 4 ,CrO2 等が挙げられる。また、金属磁性粉末としては、Fe,Co,Ni,Fe−Co,Fe−Ni,Fe−Co−Ni,Co−Ni,Fe−Co−B,Fe−Co−Cr−B,Mn−Bi,Mn−Al,Fe−Co−V等が挙げられ、さらに、これらの種々の特性を改善する目的でAl,Si,Ti,Cr,Mn,Cu,Zn等の金属成分が添加されたものであっても良い。また、バリウムフェライト等の六方晶系フェライトや窒化鉄等も使用可能である。なお、酸化物磁性粉末、CrO2 においては、針状比が3/1〜30/1であって好適であり、特に4/1以上であることが好ましい。また、平均長は0.05〜2.0μmであって好適である。一方、金属磁性粉末においては、金属成分が75重量%以上であり、金属成分中80重量%以上が強磁性金属であることが好ましい。また、長径は約0.5μm以下であることが好ましい。
【0030】磁性層を構成する結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線等による放射線架橋型樹脂やこれらの混合物が使用可能である。熱可塑性樹脂としては軟化点温度が150℃以下、平均分子量が10000〜200000、重合度が約200〜2000程度のものが好ましく、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂(ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体等)およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0031】また、このような磁性層には従来公知の潤滑剤が塗布または内添されて好適である。この潤滑剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、シリコンオイル、アルキルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。さらに、防錆剤を併用してもよい。防錆剤としては、通常、この種の磁気記録媒体で用いられるものがいずれも使用でき、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子含有複素環化合物、酸素原子含有複素環化合物、硫黄原子含有複素環化合物等が挙げられる。
【0032】上述したような磁性層およびバックコート層が形成される非磁性支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート,セルロースダイアセテート,セルロースブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート,ポリイミド,ポリアミドイミド等の高分子材料の他、アルミニウム合金、チタン合金等の軽金属、これらの軽金属を蒸着した高分子材料、アルミナガラス等のセラミック等が挙げられる。非磁性支持体にアルミニウム合金板やガラス板等の剛性を有する基板を使用した場合には、基板表面にアルマイト処理等の酸化被膜やNi−P被膜等を形成してその表面を硬くするようにしてもよい。また、非磁性支持体の形状は、フィルム状、テープ状、シート状等、従来公知のいずれの形状でもよく、この形状に応じて各種材料を選択すればよい。
【0033】なお、磁性層は、従来公知の金属磁性薄膜より構成されてもよく、その他の構成も上述したものに限られない。また、特性の改善を目的として通常採用されている付加的な要素を持たせるようにしても何ら差し支えない。例えば、磁性層の表面性制御等を目的として磁性層の下側に下塗り層が形成されていても良い。
【0034】
【作用】本発明にて用いられるトリプトファン誘導体よりなる潤滑剤は、摩擦係数低減効果が高く、常温常湿下では勿論のこと高温高湿下や低温低湿下等の、過酷な環境下においても良好な潤滑性能を発揮する。
【0035】したがって、このようなトリプトファン誘導体よりなる潤滑剤をバックコート層に保持する磁気記録媒体は、各種使用環境下において、良好な走行性、耐摩耗性、耐久性を発揮する。
【0036】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明がこの実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0037】本実施例では、化3の一般式において、R1 〜R3 が表1に示される構造を有するトリプトファン誘導体〔化合物(1)〜化合物(6)〕を潤滑剤として用意した。
【0038】
【化3】

【0039】
【表1】

【0040】そして、これらの潤滑剤を用いて磁気テープを作製し、特性の評価を行った。
【0041】実施例1本実施例においては、バックコート層にトリプトファン誘導体よりなる潤滑剤を内添させて磁気テープを作製した。
【0042】具体的には、先ず、以下の組成に準じて各磁性塗料組成物を計り取り、ボールミルにて50時間混合した。
【0043】
磁性塗料の組成 強磁性Fe合金粉末 100重量部 塩化ビニル系共重合体 10重量部 Al2 3 (平均粒子径0.50μm) 10重量部 カーボンブラック(帯電防止剤) 5重量部 メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 ブチルステアレート 1重量部 ミリスチン酸 2重量部なお、強磁性Fe合金粉末としては、Hcが1500Oe、BET比表面積50m2 /gのものを用いた。
【0044】混練後、硬化剤としてコロネートL(日本ポリウレタン社製ポリイソシアネート)を4重量部添加し、10分間攪はんすることで磁性塗料を調製した。
【0045】この磁性塗料を、さらにトルエンにて希釈した後、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ドクターブレードを用いて、乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布した。次いで、磁場配向処理を行って、塗膜を乾燥させて巻き取った。
【0046】次ぎに、以下の組成に準じて各バックコート塗料組成物を計り取り、ボールミルにて50時間混合した。
【0047】
バックコート塗料の組成 カーボンブラック (二次平均粒子径17nm、商品名:コンダクテックスSC)100重量部 塩化ビニル系共重合体(UC社製,商品名:VAGH) 50重量部 ポリウレタン樹脂 (日本ポリウレタン社製,商品名:N−2304) 50重量部 トルエン 50重量部 メチルエチルケトン 700重量部 トリプトファン誘導体〔化合物(1)〕 4重量部なお、化合物(1)は、表1に示されるとおり、化3の一般式において、R1がC1837、R2 およびR3 がHにて示される、トリプトファンステアリルエステルである。
【0048】混練後、硬化剤としてコロネートL(日本ポリウレタン社製ポリイソシアネート)を15重量部添加し、10分間攪はんすることでバックコート塗料を調製した。
【0049】このバックコート塗料を、ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける磁性層を形成したと反対側の主面に乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した。その後、乾燥、カレンダー処理を行い、60℃にて72時間熱処理することにより、結合剤を熱硬化させてから、8ミリ幅に裁断することでサンプルテープを作製した。
【0050】実施例2〜実施例6実施例2〜実施例6では、化合物(1)の代わりに化合物(2)〜化合物(6)をそれぞれ潤滑剤として用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0051】比較例1化合物(1)の代わりに末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル(モンテカチーニ社製、商品名Fomblin Z−DOL)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0052】比較例2化合物(1)の代わりに末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテル(モンテカチーニ社製、商品名Fomblin Z−DIEC)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0053】比較例3化合物(1)を添加する代わりに、2重量部のブチルステアレートと、2重量部のミリスチン酸とを添加したこと以外は実施例1と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0054】実施例7本実施例においては、バックコート層表面にトリプトファン誘導体よりなる潤滑剤を塗布して磁気テープを作製した。
【0055】具体的には、実施例1と同様にして磁性層を形成した後、化合物(1)を添加しなかった以外は同様にして調製されたバックコート塗料を磁性層とは反対側の主面に塗布し、その後、実施例1と同様にしてカレンダー処理までを行った。そして、形成されたバックコート層の表面に化合物(1)をトルエンに溶解させたものを塗布量が2mg/m2 となるように塗布してから、8ミリ幅に裁断してサンプルテープを作製した。
【0056】実施例8〜実施例12実施例8〜実施例12では、化合物(1)の代わりに化合物(2)〜化合物(6)をそれぞれ潤滑剤として用いたこと以外は実施例7と同様にしてサンプルテープを作製した。
【0057】特性の評価以上のようにして実施例1〜実施例12、比較例1〜比較例3で作製されたサンプルテープについて、α、β、γの3種類の条件にて、摩擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性を調べた。α、β、γの条件を表2に、それぞれの条件下での測定結果を、表3、表4に示す。
【0058】なお、スチル耐久性は、ポーズ状態における出力が−3dBまで減衰する時間を測定することで評価した。
【0059】また、シャトル耐久性は、1回に付き2分間のシャトル走行を複数回行い、出力が3dB低下するまでの回数を測定することで評価した。
【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

【0063】表3、表4に示すように、潤滑剤としてトリプトファン誘導体を用いた実施例1〜実施例12のサンプルテープは、いずれの測定環境下においても摩擦係数が低い値になり、またスチル耐久性、シャトル耐久性も非常に良好なものになっている。これに対して、末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテルを用いた比較例1のサンプルテープ、末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルを用いた比較例2のサンプルテープは、実施例1〜実施例14のサンプルテープと比べて摩擦係数が高く、特に高温高湿環境下、低温環境下においてスチル耐久性、シャトル耐久性が劣化している。潤滑剤としてブチルステアレートとミリスチン酸が用いられている比較例3のサンプルテープは、比較例1、比較例2のサンプルテープに比して、摩擦係数が低く、高温高湿環境下での耐久性に優れているが、実施例1〜実施例12のサンプルテープと比較すると、低温環境下での耐久性に劣る。
【0064】このことから、トリプトファン誘導体よりなる潤滑剤は、他の潤滑剤に比べて潤滑性能に優れることがわかった。
【0065】次に、上述した実施例1〜実施例12、比較例1〜比較例3で作製されたサンプルテープについて、条件β(温度40℃、相対湿度80%)下で7日間保存し、その前後での摩擦係数及びスティックスリップ、ドロップアウトの発生状況を比較した。
【0066】なお、スティックスリップは、摩擦時の静止摩擦係数が0.6を越えるか、越えないかということを指標として判断した。越える場合を「×」、越えない場合を「○」で記録した。
【0067】ドロップアウトは、3分間連続走行させ、その際に10dB以上の出力低下が3μsec続いた回数を測定することで評価した。
【0068】また、摩擦係数及びスティックスリップ、ドロップアウトの発生状況はいずれも条件α(温度25℃,相対湿度60%)下で測定した。保存前後の測定結果を表5、表6に示す。
【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】表5、表6に示すように、潤滑剤としてトリプトファン誘導体を用いた実施例1〜実施例12のサンプルテープは、保存後においても保存前の低い摩擦係数が保たれ、またスティックスリップやドロップアウトの発生も保存によってほとんど増大することなく低く抑えられている。これに対して、末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテルを用いた比較例1のサンプルテープ、末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルを用いた比較例2のサンプルテープは、そもそも保存前においての摩擦係数が高く、また保存によってスティックスリップが生じ易くなる。潤滑剤としてブチルステアレートとミリスチン酸が用いられている比較例3のサンプルテープは、比較例1、比較例2のサンプルテープに比して、摩擦係数が低く、ドロップアウトの発生回数も少ないが、実施例1〜実施例12のサンプルテープと比較すると、保存による摩擦係数の増加率、ドロップアウトの発生回数の増加率が大きいことがわかる。
【0072】このことから、トリプトファン誘導体よりなる潤滑剤は、他の潤滑剤に比べて潤滑性能に優れ、またその潤滑性能は例えば高温高湿条件下で保存した後にも劣化することなく、非常に安定であることがわかった。
【0073】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、トリプトファン誘導体よりなる潤滑剤は、いかなる使用環境下でも優れた潤滑特性を保つことができ、また、長期に亘ってその潤滑特性を保つことができる。このため、このようなトリプトファン誘導体よりなる潤滑剤がバックコート層に保持されている本発明の磁気記録媒体は、各種使用環境下において、良好な走行性、耐摩耗性、耐久性を得ることが可能である。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013