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発明の名称 磁気記録媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−7160
公開日 平成9年(1997)1月10日
出願番号 特願平7−180670
出願日 平成7年(1995)6月23日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】逢坂 宏
発明者 近藤 洋文
要約 目的


構成
磁性粉と結合剤とを主成分として含有した磁性層2を有する磁気記録媒体において、前記結合剤の少なくとも一部分が、カルボン酸アミン塩構造を有する極性基を具備したポリウレタン樹脂からなっていることを特徴とする磁気記録媒体。
特許請求の範囲
【請求項1】 無機物粒子と結合剤とを主成分として含有した媒体構成層を有する磁気記録媒体において、前記結合剤の少なくとも一部分が、カルボン酸アミン塩構造を有する極性基を具備した高分子化合物からなっていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】 媒体構成層が、磁性粉と結合剤とを主成分として含有した磁性層である、請求項1に記載した磁気記録媒体。
【請求項3】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有し、この磁性層に含有される結合剤が、カルボン酸アミン塩構造を有する極性基をポリマーに対して5〜1,000 当量/106g具備している、請求項2に記載した磁気記録媒体。
【請求項4】 カルボン酸アミン塩構造を有する極性基を具備した高分子化合物が、ポリウレタン構造を持つ分子量 5,000〜1,000,000 の高分子化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載した磁気記録媒体。
【請求項5】 高分子化合物がポリウレタン樹脂である、請求項4に記載した磁気記録媒体。
【請求項6】 カルボン酸アミン塩構造を有する極性基が下記の一般式〔I〕で表される、請求項1に記載した磁気記録媒体。
一般式〔I〕:−N+ (R1 )(R2 )(R3 )O- COR4 又はR5 + (R1 )(R2 )(R3 )O- CO−(但し、この一般式中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は水素原子、又は置換基を有していてもよい互いに同一の若しくは異なる炭化水素基又はその誘導体である。)
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性粉と結合剤とを主成分として含有した磁性層を有する磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体(特に、磁性塗膜を磁性層として有する塗布型磁気記録媒体)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体は、例えばオーディオ機器、ビデオ機器、コンピュータ等に用いられ、その需要は著しく伸びてきている。
【0003】こうした磁気記録媒体は、一般に、ポリエステルフィルム等の非磁性支持体上に、磁性粉末と結合剤とからなる磁性層が設けられた構造を有している。そして、この磁性層は、通常、結合剤を含有する組成物中に磁性粉末を分散させた磁性塗料を非磁性支持体に塗布したり、或いは転写することによって形成されている。
【0004】ビデオテープ等の磁気記録媒体においては、高記録密度化、高画質化に関する検討が盛んに行われている。高記録密度化、高画質化に関して近年、蒸着テープ等の薄膜媒体が提案され、Hi−8ビデオ等一部のフォーマットにて実用されているが、価格等の点で上記した塗布型媒体が主流を占めている。
【0005】従来、塗布型媒体の磁性層に用いられる結合剤としては、例えばポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、アクリル系樹脂、電子線硬化型樹脂等の有機高分子化合物が挙げられる。
【0006】これらの結合剤はそれぞれ、長所及び短所を有しており、単独使用では望ましい性質を有する磁性層が得られにくいため、通常は2種類以上を組み合わせて用いている。例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等の比較的硬い樹脂と、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の軟質樹脂とが組み合わされて使用されることが多く、また、磁性層の耐久性を向上させる目的で、硬化性成分としてポリイソシアネート化合物を使用する例も多い。
【0007】近年、磁気記録媒体の記録密度の向上やS/N比の改良の要求に伴い、強磁性粉末は一層微細化、高磁力化、高抗磁力化してきている。従って、そうした磁性粉末を均質に磁性塗料中に分散させ、平滑で充填度の高い磁性層を形成して、記録媒体としての性能の向上を達成するためには、結合剤の分散性能が極めて重要な因子となる。
【0008】これまで、強磁性粉末の分散性を向上させる方法としては、通常、低分子量の界面活性剤等の分散剤を用いる方法がある。しかし、このような分散剤を多量に用いると、磁気記録媒体の耐久性やヘッド汚れ等、好ましくない事態を招くため、その使用量が制限されるのを免れず、この結果、十分な分散性が得られない。このため、磁気記録媒体の信頼性の向上の点からも、結合剤自体に高度の分散能を有することが要求されている。
【0009】一方、磁気記録媒体の耐久性や信頼性を高めるために、ポリイソシアネート化合物等の硬化性化合物を磁性塗料中に含有させ、磁性層を架橋して塗膜化することが、特に録画用磁気テープの分野において慣用的に採用されている。この場合、結合剤には、ポリイソシアネート化合物等の架橋剤と適当な反応性を有することが要求される。
【0010】このような要求に応える結合剤として、SO3 M、SO4 M、PO4 2 、PO3 2 (Mはアルカリ金属又はアンモニウム基)等、イオウやリンを含む塩型強酸基等の親水性基を含む塩化ビニル系樹脂が、強磁性粉末の分散能や分散安定性に優れ、かつ分子間力の強さに基づく高い強度等の点から、広く用いられている。
【0011】しかし、これらの良好とされる結合剤を選んでも、高密度記録のために強磁性粉末の粒子サイズを微細にすればするほど分散が困難になり、磁性塗料を調製する際の混練分散工程は長時間を要している。この混練分散工程では、強磁性粉末と結合剤樹脂に高い剪断力がかかり、長時間苛酷な条件にさらされるため、強磁性粉末の特性が損なわれることがある。また、結合剤からの分解生成物、特に塩化ビニル系共重合体においては脱塩酸より生成した塩酸が、磁性粉末の劣化を引き起こすことがある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況から、本発明の目的は、1.強磁性微粉末等の分散性に優れる。
2.安定性に優れる。
3.磁性塗料等に用いられる有機溶剤に対する溶解性が良い。
という諸特性を兼備した磁気記録媒体用の結合剤を開発し、これによって優れた特性を有する新規な磁気記録媒体、特に磁性粉の分散性を改善し、高電磁変換特性を有する磁気記録媒体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、無機物粒子と結合剤とを主成分として含有した媒体構成層(特に、磁性粉と結合剤とを主成分として含有した磁性層)を有する磁気記録媒体において、前記結合剤の少なくとも一部分が、カルボン酸アミン塩構造を有する極性基を具備した高分子化合物からなっていることを特徴とする磁気記録媒体に係るものである。
【0014】本発明の磁気記録媒体によれば、磁性層等の媒体構成層の結合剤の少なくとも一部分(全部であってもよい。)を占める高分子化合物が、カルボン酸アミン塩構造を有する極性基を具備しているので、この極性基が、従来の極性基と比較して、磁性層等の形成に用いる塗料(特に微粒子磁性粉を用いた磁性塗料)中での磁性粉の分散性を優れたものとすることができ、特に高記録密度化に対応する微粒子磁性粉を分散させ、空隙率を減少させ、高配向させることができる。その結果、磁気記録媒体を作製した場合において、良好な分散性を持ち、電磁変換特性及び磁気特性に非常に優れたものとなる。
【0015】特に、本発明者は、上述の目的を達成せんものと鋭意研究を重ねた結果、分子中に4級アンモニウム基を持つ高分子化合物に対して長鎖カルボン酸を反応させること(或いは、分子中に長鎖カルボキシル基を持つ高分子化合物に対して4級アンモニウム塩を反応させること)によって、下記一般式〔I〕で表されるカルボン酸アンモニウム塩を極性基とした高分子化合物、特にポリウレタン樹脂が、磁性粉の分散性に非常に優れ、上記した本発明の目的に十二分に適合する磁気記録媒体が得られることを見出した。
一般式〔I〕:−N+ (R1 )(R2 )(R3 )O- COR4 又はR5 + (R1 )(R2 )(R3 )O- CO−(但し、この一般式中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は水素原子、又は置換基を有していてもよい互いに同一の若しくは異なる炭化水素基又はその誘導体である。)
【0016】こうしたカルボン酸アンモニウム塩を極性基とする高分子化合物は、下記一般式〔II〕で表すことができる。
一般式〔II〕:R−N+ (R1 )(R2 )(R3 )O- COR4 又はR5 + (R1 )(R2 )(R3 )O- COR’(但し、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は上記したものと同じであり、R及びR’はポリウレタン樹脂等の高分子化合物の分子中に含まれるバックボーンポリマー(主鎖高分子)部分である。)
【0017】上記一般式〔I〕及び〔II〕において、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は長鎖炭化水素基であるのがよいが、その炭素数は合成の容易さからみて10以下であるのが望ましい。また、それらの構造は特に限定されるものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基をはじめ、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数10以下のもの、更にはウンデシル基、ドデシル基等であってもよい。これらは直鎖状、分岐状を問わず、また同一炭素数のアルケニル基であってもよい。そして、R1 〜R5 はハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0018】また、R及びR’で表されるバックボーンポリマー部分は、分子構造は特に限定されるものではないが、芳香族基、脂肪族又は脂環式の炭化水素基、或いは復素元素を含有してもよい。その分子構造は、ポリエステルポリウレタン構造の他に、ポリカーボネートポリウレタン構造、ポリエーテルポリウレタン構造等であってよい。
【0019】本発明の磁気記録媒体は、実際には、非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有し、この磁性層に含有される結合剤が、カルボン酸アミン塩構造(特に上記の4級アンモニウム塩)を有する極性基をポリマーに対して5〜1,000 当量/106g具備し、このような結合剤樹脂に磁性粉粒子を均一に分散、含有させた磁性層等を有することが望ましい。また、このようなカルボン酸アミン塩を有する極性基を具備した高分子化合物は、ポリウレタン構造を持つ分子量 5,000〜1,000,000 の高分子化合物、特にポリウレタン樹脂からなっているのがよい。
【0020】こうした結合剤樹脂、特にポリエステルポリウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂は、極性基としてカルボン酸アミン塩構造をポリマー当たり5〜1,000 当量/106g含有するのがよい。この理由は、ポリマー当たりのカルボン酸アミン塩量が5当量/106g未満であると、磁気記録媒体における磁束密度又は分散性の増大が望めず、また、 1,000当量/106gを超えると、溶剤への樹脂の溶解性が不良となり、実用性に欠ける傾向がある。この極性基量は更に50〜400 当量/106gとするのがよい。
【0021】本発明の磁気記録媒体において、結合剤であるポリウレタン樹脂へのカルボン酸アミン塩基の導入方法については、以下に例示するが、これに限ったものではないことは言うまでもない。例えば、ポリヒドロキシル化合物とポリイソシアネートから合成されるポリウレタンにおいて、ポリヒドロキシル化合物の一部をカルボン酸4級アンモニウム塩基を持つモノマーから合成することができる。或いは、アミンを持つポリヒドロキシル化合物に対して、アミンを4級アンモニウム化した後、カルボン酸金属塩と反応させることによっても得ることができるし、4級アンモニウム塩構造を持つポリヒドロキシル化合物に対してカルボキシレート又はカルボン酸を反応させることによっても合成が可能である。カルボン酸アミン塩については、1級、2級又は3級アミンに対してカルボン酸を作用させることによって合成することが可能である。
【0022】上記のポリウレタン樹脂は、公知の方法によってポリヒドロキシル化合物とポリイソシアネートを溶剤中又は無溶剤中で反応させることによって得ることができるが、ポリイソシアネートのNCO基/ポリヒドロキシル基のOH基の比が 0.5〜2であるのがよい。また、得られるポリウレタン樹脂の分子量は 5,000〜1,000,000 、特に 5,000〜200,000 の範囲にあることが望ましい。この分子量が 5,000未満であると、小さすぎてレベルダウン(出力減衰)等の耐久性に支障をきたし、また分子量が 1,000,000を超えると、大きすぎて塗料としたときの粘度が大きくなり、良好に塗布することができないことがある。ポリウレタンの分子構造自体には特に制限はない。
【0023】上記のポリヒドロキシル化合物を合成する際に用いられるジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等のトリ又はテトラカルボン酸等が挙げられる。
【0024】また、これらのジカルボン酸成分と反応するグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1.4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等がある。また、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等のトリ又はテトラオールを併用してもよい。
【0025】本発明で使用可能なポリウレタン樹脂の合成に使用されるポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−6,6’−ビフェニレンジイソシアネート、2,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−6,6’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジメチル−ジフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート等が挙げられるが、必要に応じて2,4,4’−トリイソシアネートジフェニル、ベンゼントリイソシアネート等を少量使用することもできる。
【0026】なお、本発明に使用される結合剤には、上記のカルボン酸アミン塩構造を有する極性基を具備せしめることは必須不可欠であるが、これと共に既述したSO3M、SO4 M、PO4 2 、PO3 2 等(MはNa、K等のアルカリ金属又はアンモニウム基)の親水性極性基も導入した高分子化合物の使用も可能である。この親水性極性基の量は結合剤1g当たり0.03〜0.3mmol であってよい。
【0027】また、結合剤に架橋構造を形成するために、硬化剤として、ポリイソシアネートを添加してもよい。ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート類、及びこれらのイソシアネート類とトリメチロールプロパン等の多価アルコールとの付加体又はイソシアネート類の縮合生成物等を使用することができる。
【0028】本発明に使用可能なポリウレタンの軟化点が低い場合には、用途によっては走行による摩擦、或いはヘッドとの接触による摩擦熱で軟化したり、テープを巻いた状態でブロッキングを起こしたりすることがある。このような場合には、磁性粒子の分散性を損なわない範囲内で他の樹脂を添加するか、本発明のポリウレタン樹脂と架橋する化合物を混合してもよい。この混合量は好ましくはポリウレタン樹脂に対して通常 0.3〜2.0 倍量であるが、なんらこの量に制約は受けない。
【0029】このポリウレタン樹脂に対して混合する樹脂としては、相溶性のあるものであって、例えば塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、アセタール系樹脂がある。また架橋する化合物としては、エポキシ樹脂、上記の如きイソシアネート系樹脂、メラミン樹脂、ポリオール樹脂がある。
【0030】本発明の磁気記録媒体において使用される磁性粉としては、通常この種の磁気記録媒体の磁性粉末として用いられるものであれば如何なるものも使用可能である。例示するならば、強磁性酸化鉄微粒子、強磁性CrO2 、強磁性コバルトフェライト(CoO−Fe2 3 )、コバルト吸着酸化物、強磁性Fe−Co−Ni系合金、六方晶系バリウムフェライト、窒化鉄等の微粒子を挙げることができる。
【0031】強磁性酸化鉄微粒子の場合、一般式FeOxで表現したとき、xの値が1.33<x<1.51の範囲にあるもの、即ちマグヘマタイト(γ−Fe2 3 、x=1.5)、マグネタイト(Fe3 4 、x=4/3)及びこれらの固溶体が挙げられる。更に、これらの強磁性体酸化鉄には、抗磁力を上げる目的でコバルトを添加してもよい。
【0032】上記の強磁性二酸化クロム(CrO2 )には、抗磁力を向上させる目的で、Ru、Sn、Te、Sb、Fe、Ti、V、Mn等の少なくとも1種類を添加したものを使用することができる。また、強磁性合金粉末としては、Fe合金粉末、Co合金粉末、Ni合金粉末、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co−Ni、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等の合金粉末、或いはこれらの合金と他の元素との化合物である合金粉末を使用することができる。
【0033】本発明の磁気記録媒体において、磁性層には必要に応じて、ジブチルフタレート、トリフェニルフォスフェートのような可塑剤、ジオクチルスルホナトリウムサクシネート、t−ブチルフェノールポリエチレンエーテル、エチルナフタレンスルホン酸ソーダ、ジラウリルサクシネート、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸エステル類のような炭化水素系潤滑剤、シリコンオイルのようなシリコン系潤滑剤、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカルボン酸等のフッ素系潤滑剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、アルミナ等の研磨剤を添加することもできる。
【0034】また、本発明の磁気記録媒体の非磁性支持体の素材としては、通常この種の磁気記録媒体に使用されるものであれば如何なるものも使用することが可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽金属、セラミック、単結晶シリコン等を挙げることができる。非磁性支持体にAl合金板やガラス板等の剛性を有する基板を使用した場合には、基板表面にアルマイト処理等の酸化被膜やNi−P被膜等を形成してその表面を硬くするようにしてもよい。これらの非磁性支持体の形態としては、フィルム、テープ、シート、ディスク、カード、ドラム等のいずれでもよい。
【0035】また、磁性塗料に用いる溶剤としては、メチルエチルケトンやシクロヘキサノン等のケトン類、メタノールやイソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、トルエンやベンゼン等の芳香族炭化水素類、四塩化炭素やクロロホルム等の塩素化炭化水素類、ジオキサンやジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。
【0036】また、磁性層は単層であってもよいし、2層以上の多層であってもよい。そして、非磁性支持体上の磁性層と同じ側に、α−酸化鉄、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミナ等の非磁性又は磁性の非常に小さい粉末と、結合剤とを主体とする下塗層を設けてもよい。
【0037】以上が本発明の磁気記録媒体の基本的な構成であるが、磁気記録媒体の構成はこれに限られず、例えば非磁性支持体の磁性層が形成されている側とは反対側に、非磁性又は磁性の粉末と結合剤とを主体としたバックコート層を形成してもよい。
【0038】バックコート層に用いる非磁性粉末としては、カーボンブラックを主体とするものが一般的であるが、これ以外にも、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン、αー酸化鉄等が挙げられる。また、磁性粉末としては、磁性層に用いるものとして上述したもののいずれも使用可能である。それらを単独又は組み合わせて用いてもよい。結合剤及びその他の添加剤としては、磁性層に用いるものとして上述したもののいずれも使用可能であり、それらを単独又は組み合わせて用いてもよい。
【0039】本発明が適用される磁気記録媒体は、特に塗布型磁気記録媒体である。また、非磁性支持体の表面に蒸着等の手法により磁性塗膜が磁性層として形成される、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体に対してはバックコート層のカーボン粉等の分散に対して適用することが可能であり、バックコート層の結合剤に本発明に基づくカルボン酸アミン塩構造を導入すればよい。本発明が適用可能な磁気記録媒体は、非磁性支持体にかかわらず、また塗布型の場合には磁性粒子の種類に対して何ら限定されるものではなく、従来より知られるものが何でも使用できる。
【0040】本発明の磁気記録媒体は、例えば図1に示すように、非磁性支持体1上に、磁性層2を形成したものである。また、この磁性層とは反対側の支持体面にはバックコート層3が設けられてよいが、これは必ずしも設ける必要はない。磁性層上にはオーバーコート層を設けてもよい。
【0041】
【発明の作用効果】本発明によれば、磁性層等の媒体構成層の結合剤の少なくとも一部分として、上述したカルボン酸アミン塩(特に4級アンモニウム塩)構造を極性基として有する結合剤成分を使用しているので、塗料、特に微粒子磁性粉を用いた場合の分散性を向上させることができる。その結果、磁気記録媒体を作成した場合において、良好な分散性を持ち、電磁変換特性及び磁気特性に非常に優れたものとなる。これは、従来の極性基(−SO3 Na等)を有する結合剤を使用した場合に比べて顕著である。
【0042】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】まず、本実施例で使用するポリエステルポリウレタンの合成例について述べると、これは例えば特開昭54−157603号に示されるような通常のエステル合成反応によって合成することが可能である。つまり、ジカルボン酸エステルとジオールとを、酢酸ナトリウム又は酢酸亜鉛を触媒として用いて加熱することによってエステル交換を行い、まずポリエステルポリオールを得ることができる。下記の表1には、新規に合成したポリエステルポリオールを合成物1〜7としてまとめて示す。
【0044】次に、このポリエステルポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートに対してジブチル錫ジラウレートを触媒として加え、70℃〜90℃で10時間反応させることによって、下記の表2にまとめたポリエステルポリウレタンI〜VIIIを得ることができる。
【0045】

*5−トリメチルアミノイソフタル酸 (カルボン酸4級アンモニウム塩基を有するモノマー)
【0046】

【0047】

【0048】次に、上記の表2に示すポリウレタンバインダーI〜VII を使用して、以下に示す磁気記録媒体を作成した。メタル磁性粉を含有した塗布型テープに適用した実施例について説明する。
【0049】実施例1 金属磁性粉(Fe系、長軸長 0.1μm) 100重量部 ポリウレタンI 20重量部 カーボン(帯電防止剤) 5重量部 メチルエチルケトン 150重量部 メチルイソブチルケトン 150重量部【0050】磁性粉としては、磁気記録の高記録密度化に必要な微粒子磁性粉、つまり長軸長 0.1μmの磁性粉を用いている。上記組成物を基本組成物とし、ボールミルにて24時間混合してからフィルターを通して取り出し、更に硬化剤としてコロネートL(日本ポリウレタン社製ポリイソシアネート)を4重量部添加して30分間攪拌した。
【0051】この磁性塗料を12μm厚のポリエチレンフレフタレートベース上に乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し、磁場配向を行った後、乾燥し、巻き取った。これをカレンダー処理した後、8mm幅に裁断することによってサンプルテープを作製した。
【0052】実施例2〜実施例7上記の表1中のポリウレタンバインダーII〜VII を用いて、他は実施例1と同様の方法により各サンプルテープを作製した。
【0053】比較例1及び比較例2また、比較例1として、上記の表2に示したと同様にして合成したが、極性基(カルボン酸アミン塩)を持たないポリウレタンバインダーVIIIを用い、他は実施例1と同様にして比較テープを得た。また、比較例2として、極性基量は実施例1と同じ含有量であるが、その極性基がスルホン酸ナトリウムであるポリウレタンを用い、他は実施例1と同様にして比較テープを得た。
【0054】以上の各例によるテープに関して、下記の要領で表面光沢性(グロス)、磁気特性、分散配向性及び空隙率の測定を行った。その結果を下記の表3Aに示す。
【0055】実施例8〜実施例12上記の表1中のポリウレタンバインダーIにおいて、TMIの量を変え、極性基(カルボン酸アミン塩)の量を3当量/106g(実施例8)、 500当量/106g(実施例9)、 800当量/106g(実施例10)、1000当量/106g(実施例11)、1100当量/106g(実施例12)とし、他は実施例1と同様にして各サンプルテープを作製した。
【0056】これらの例についても、上記と同様の特性を測定し、結果を下記の表3Bに示す。
【0057】表面光沢性:磁性塗料塗布後の試料用フィルム(カレンダー処理なし)の光沢度を塗布方向と直角に入射角60°で測定し、標準板を 100%として表示した。
【0058】磁気特性:「VSM」(東英工業社製、VSM−3S)で角型比(Rs)、最大磁束密度(Bm)を測定。
【0059】空隙率:磁性層の断面をとり、層中の気孔の割合を顕微鏡観察した。
【0060】平滑性:JIS表面粗さ(B0601)に基づいて中心線平均粗さ(Ra)を求めた。
【0061】

*極性基がスルホン酸ナトリウム。
【0062】

【0063】上記の表3に示す結果から明らかなように、極性基としてカルボン酸アミン塩、或いは4級アンモニウム塩構造を持つポリウレタンバインダーを使用すること(実施例1〜12)により、磁性粉の分散性に優れ、その結果、磁性層の空隙率が少なく、また磁気特性に優れた(即ち、分散配向性或いは磁束密度の高い)磁気テープを得ることができた。この結果、高記録密度化に必要な、磁性粉の長軸長が 0.1μm以下の微粒子粉をも高分散させることができるバインダーシステムとすることが可能となった。また、この効果は、上記の極性基の量がバインダーのポリマーに対し5〜1,000 当量/106g、特に50〜400 当量/106gにおいて良好に発揮されることが分かる。また、バインダーの分子量も 5,000〜1,000,000 、特に 5,000〜200,000 がよいことも確認された。
【0064】なお、実施例1においてTMIに代えて、カルボン酸4級アンモニウム塩基を有する他のモノマーから得られるポリウレタンを用い、他は同様にして得た磁気テープも、実施例1と同等の優れた結果を示した。




 

 


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