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発明の名称 ハニカム状蓄熱体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−178377
公開日 平成9年(1997)7月11日
出願番号 特願平7−342634
出願日 平成7年(1995)12月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外4名)
発明者 熊澤 和彦 / 小谷 亘
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】複数のハニカム構造体を積み重ねてなり、貫通孔から構成される流路に排ガスと被加熱ガスとを交互に通過させて排ガス中の廃熱を回収するハニカム状蓄熱体において、高温の排ガスに接する蓄熱体の高温部をアルミニウム−チタネートを主結晶相とするハニカム構造体またはアルミニウム−チタネートとムライトからなるハニカム構造体から構成し、焼成炉の定常運転時に、少なくとも1200℃以上の温度となる蓄熱体部分をアルミナを主結晶相とするハニカム構造体で構成し、このアルミナを主結晶相とするハニカム構造体よりも低温側の蓄熱体を、コージェライトを主結晶相とするハニカム構造体、ムライトを主結晶相とするハニカム構造体および耐食性磁器質ハニカム構造体の内から選ばれた少なくとも一つを組み合わせてなることを特徴とするハニカム状蓄熱体。
【請求項2】前記高温部がアルミニウム−チタネートを主結晶相とするハニカム構造体で、前記中温部がアルミナを主結晶相とするハニカム構造体で、前記低温部がコージェライトを主成分とするハニカム構造体である請求項1記載のハニカム状蓄熱体。
【請求項3】前記アルミニウム−チタネートを主結晶相とするハニカム構造体またはアルミニウム−チタネートとムライトからなるハニカム構造体のアルミニウム−チタネート部分が、MgOを4〜10重量%、Fe23 を2〜10重量%含有している請求項1記載のハニカム状蓄熱体。
【請求項4】前記アルミニウム−チタネートを主結晶相とするハニカム構造体またはアルミニウム−チタネートとムライトからなるハニカム構造体の40〜800℃の間の熱膨張係数が1.0×10-6/℃以下である請求項3記載のハニカム状蓄熱体。
【請求項5】前記アルミナを主結晶相とするハニカム構造体よりも低温側の蓄熱体部分において、少なくとも酸露点以下の温度になる部分を前記耐食性ハニカム構造体とする請求項1記載のハニカム状蓄熱体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のハニカム構造体を積み重ねてなり、貫通孔から構成される流路に排ガスと被加熱ガスとを交互に通過させて排ガス中の廃熱を回収するハニカム状蓄熱体に関し、特に高温で腐食雰囲気の排ガスに対して好適に使用できるハニカム状蓄熱体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄鋼炉、アルミ溶解炉、ガラス溶解炉のような一般産業用に用いられる燃焼加熱炉において、燃焼ガスの廃熱を利用し、燃焼用空気を予熱して熱効率を高めるために使用される蓄熱体としては、特開昭58−26036号公報に記載の如くセラミック球を利用するもの、または特開平4−251190号公報に記載の如くハニカム状の構造体を利用するもの等が知られていた。
【0003】上述した従来の蓄熱体では、まず高温の燃焼排ガスと球状またはハニカム状の蓄熱体とを接触させて蓄熱体中に燃焼排ガスの熱を蓄熱させ、次に低温の被加熱ガスと蓄熱した蓄熱体とを接触させて被加熱ガスを加熱することにより、燃焼排ガスの廃熱を効率よく利用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した蓄熱体のうち、セラミック球を使用する場合には、セラミック球の通気抵抗が大きくなりセラミック球と通気ガスとの接触面積が小さいため、効果的に熱交換を行うことができず、蓄熱体を大きな構成とする必要がある問題があった。
【0005】一方、蓄熱体をハニカム状にした場合、体積に比し幾何学的比表面積が大きいため、コンパクトな大きさで効果的な熱交換を行うことができる。しかしながら、一般産業用の燃焼加熱炉の中でもガラス溶解炉、セラミック焼成炉のように1400℃以上の高温で操炉されているものについては、従来例にも開示があり一番良く利用されているコージェライトハニカム構造体を用いたハニカム状蓄熱体では、コージェライトの軟化温度が1400℃前後であるため、コージェライトハニカム構造体が軟化して極端な場合は破壊してしまい、ハニカム状蓄熱体をそのまま使用できない問題があった。
【0006】また、蓄熱体をハニカム状にした例のうち、腐食性雰囲気での使用を想定した耐食性ハニカム構造体とコージェライトハニカム構造体とを組み合わせた例があるが、鉄鋼炉での使用においては1300℃前後の高温でしかも鉄スケール等の飛来があるためまだ満足できるレベルに達していない問題があった。例えば、耐食性ハニカム構造体としてアルミナハニカム構造体を使用した場合は、鉄スケールとの反応性では問題無いものの、1300℃の定常運転を行う場合でも時として急激な温度変化を伴う運転を実施する場合があり、アルミナは熱膨張係数が高く耐熱衝撃強度が低いため、熱衝撃割れを起こす問題があった。その他のムライト、SiCの場合も熱膨張係数が高いため、アルミナと同じように熱衝撃割れを起こす問題があった。耐熱衝撃性を高める手段としては、ハニカムの細分化が考えられるが、取扱いが面倒となる問題があった。
【0007】さらに、コージェライトハニカム構造体を使用した場合は、燃焼用バーナーの燃料が重油である場合には重油中に含まれる硫黄分によりSOxが発生し、酸露点以下では水分と反応して希硫酸が発生し、コージェライトハニカム構造体では腐食してしまう問題があった。
【0008】本発明の目的は上述した課題を解消して、高温で腐食性の排ガスに対しても破壊せず効率良く熱交換を行うことができるハニカム状蓄熱体を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のハニカム状蓄熱体は、複数のハニカム構造体を積み重ねてなり、貫通孔から構成される流路に排ガスと被加熱ガスとを交互に通過させて排ガス中の廃熱を回収するハニカム状蓄熱体において、高温の排ガスに接する蓄熱体の高温部をアルミニウム−チタネートを主結晶相とするハニカム構造体またはアルミニウム−チタネートとムライトからなるハニカム構造体から構成し、焼成炉の定常運転時に、少なくとも1200℃以上の温度となる蓄熱体部分をアルミナを主結晶相とするハニカム構造体で構成し、このアルミナを主結晶相とするハニカム構造体よりも低温側の蓄熱体を、コージェライトを主結晶相とするハニカム構造体、ムライトを主結晶相とするハニカム構造体および耐食性磁器質ハニカム構造体の内から選ばれた少なくとも一つを組み合わせてなることを特徴とするものである。
【0010】上述した構成において、本発明のハニカム状蓄熱体では、高温排ガスの上流側から下流側に向かって(1)アルミニウム−チタネートを主結晶相とするハニカム構造体またはアルミニウム−チタネートとムライトからなるハニカム構造体、(2)アルミナを主結晶相とするハニカム構造体、(3)コージェライトを主結晶相とするハニカム構造体、ムライトを主結晶相とするハニカム構造体および耐食性磁器質ハニカムの内から選ばれた少なくとも1つのハニカム構造体によりハニカム状蓄熱体を構成することで、高温で腐食性の排ガスに対しても破壊せず効率良く熱交換を行うことができるハニカム状蓄熱体を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明のハニカム状蓄熱体の一例の構成を示す図である。図1において、ハニカム状蓄熱体1は、直方体形状のハニカム構造体2を、一方向に貫通孔3から構成される流路が揃うよう複数個積み重ねて構成されている。図1に示す例において、図中上方が高温ガスに接する面であり、焼成炉の定常運転時に高温排ガスに接する(a)部は、アルミニウム−チタネートを主結晶相とするハニカム構造体またはアルミニウム−チタネートとムライトからなるハニカム構造体により構成される。高温部において少なくとも1200℃以上の温度となる(b)部は、アルミナを主結晶相とするハニカム構造体より構成される。このアルミナを主結晶相とするハニカム構造体よりも低温側の(c)部は、コージェライト、ムライトを主結晶相とするハニカム構造体か、または耐食性磁器質ハニカム構造体から選ばれた少なくとも1つを組み合わせて、一方向に貫通孔3から構成される流路が揃うように積み重ねて構成される。
【0012】また、図1に示す例では、全てのハニカム構造体2の形状を同一形状としたが、少なくとも高温の排ガスに接する面の外周部分のハニカム構造体の形状を、中心部分のハニカム構造体の形状よりも小さく構成することもできる。
【0013】図1に示したハニカム状蓄熱体2を構成する材料のうち、アルミニウム−チタネートは耐熱、低熱膨張材料として知られ、また1300℃前後の高温においても鉄との両立性に優れており、鉄に対して安定であるとともに高い耐熱衝撃性を有するため、急激な温度変化によっても割れることがない。また、アルミニウム−チタネートは1100℃付近をピークにアルミナとチタニアに分解し高熱膨張化することが知られている。操炉条件によって1250℃以下の温度で長時間使用されることが想定される場合には、MgOおよびFe23 を固溶させることにより熱分解を抑制することができる。
【0014】アルミニウム−チタネートへのMgOの固溶により1100℃付近をピークとした熱分解をある程度抑制することができるが、MgOだけでは充分でなくFe23 を同時に固溶させることが望ましい。また、本発明では、MgOの固溶による効果として従来から知られている熱分解の抑制だけでなく、耐食性、特に耐アルカリ性を向上する効果があることを見い出した。MgOの添加量が4重量%以上であると好ましいのは、後述する実施例から明かなように、4重量%以上であると耐アルカリ性が著しく向上するためであり、10重量%以下であると好ましいのは10重量%を越えてMgOを添加しすぎるとMgOが完全に固溶することができず、高熱膨張係数を有するスピネルもしくはマグネシウム−チタネートを生成し、ハニカム構造体の熱膨張係数が高くなるからである。
【0015】アルミニウム−チタネートへFe23 を固溶させるとFeイオンはAlイオンと完全に置換し、アルミニウム−チタネートの熱分解を抑制する。Fe23 の添加量が2重量%以上であると好ましいのは、2重量%未満であると熱分解を完全に抑制することができず、10重量%以下であると好ましいのは、10重量%を越えると熱膨張係数が高くなるためである。
【0016】アルミニウム−チタネートを主結晶相とするハニカム構造体の使用域よりも低温部にアルミナを主結晶相とするハニカム構造体を使用する理由は、アルミニウム−チタネートは高価であるため最低限直接高温の排ガスに触れる部分に使用すれば充分であり、熱膨張係数の高いアルミナを主結晶相とするハニカム構造体でも、直接高温の排ガスに触れることがなければ、熱衝撃は緩和され充分使用に耐えるためである。また、焼成炉の定常運転時に少なくとも1200℃以上となる部分は鉄および時としてアルカリ成分による腐食が問題となるため、耐食性に優れたアルミナを主結晶相とするハニカム構造体を用いることが必要となる。
【0017】また、本発明では、低温部にコージェライト、ムライトを主結晶相とするハニカム構造体または耐食性磁器質ハニカム構造体のうち少なくとも1つ以上を組み合わせて使用することが必要である。1200℃以下の温度であれば、鉄やアルカリによる腐食は穏やかにしか進行せず、低熱膨張係数で耐熱衝撃性に優れるコージェライトハニカム構造体を使用することができる。そのため、ハニカム構造体を大きくすることができ、取扱いが容易になる利点がある。また、焼成炉からの鉄、アルカリの排出量が多い場合には、コージェライトよりも高熱膨張係数を有するが耐熱性、耐食性に優れたムライトを主結晶相とするハニカム構造体を使用することが好ましく、さらに温度の低い部分にのみコージェライトを主結晶相とするハニカム構造体を使用することができる。
【0018】さらに、燃料として重油を使用する場合には、重油中に含まれる硫黄分によりSOxが発生し、露点以下の温度となる蓄熱体部分では腐食し長期間の使用に耐えない。このような場合には、耐食性磁器質ハニカム構造体を使用することが望ましい。耐食性磁器には長石質磁器、アルミナ質磁器等があるが、いずれも開気孔率が零に近く、特に耐酸性に優れる。このような工業炉においては、それぞれの炉により使用温度、排出ガス雰囲気等がまちまちであり、条件に合わせて最適な蓄熱体構成にすることが必要である。
【0019】図2は本発明のハニカム状蓄熱体を使用した熱交換体を燃焼加熱炉の燃焼室に設置した例を示す図である。図2に示す例において、11は燃焼室、12−1、12−2は図1に示す構造のハニカム状蓄熱体、13−1、13−2はハニカム状蓄熱体12−1、12−2から構成される熱交換体、14−1、14−2は熱交換体13−1、13−2に設けた燃料投入口である。図2に示す例において、2個の熱交換体13−1、13−2を設けたのは、一方が高温の排ガスを流すことにより蓄熱を行っているとき、同時に他方が低温の被加熱ガスを加熱できるよう構成して、熱交換を効率的に行うためである。
【0020】図2に示す例では、まず、図中矢印で示したように、予めハニカム状蓄熱体12−1に蓄熱した熱交換体13−1に被加熱ガスである空気を供給すると同時に燃料投入口14−1から燃料を投入するとともに、熱交換体13−2には燃焼室11内の高温の排ガスを通過させる。この状態で、空気は予熱され燃料とともに燃焼室11へ供給されるとともに、熱交換体13−2のハニカム状蓄熱体12−2は蓄熱される。
【0021】次に、ガスの流れを切り換えて、図中矢印と反対方向にガスを流れるようにして、熱交換体13−2に被加熱ガスである空気を流し燃料投入口14−2から燃料を投入するとともに、熱交換体13−2には燃焼室11内の高温の排ガスを通過させる。以上の工程を連続的に繰り返すことにより、熱交換を行うことができる。
【0022】
【実施例】以下、実際の例について説明する。
実施例1本発明で使用する各種材料のハニカム構造体を準備し、それぞれのハニカム構造体について、融点、40〜800℃における熱膨張係数、電気炉スポーリング破壊温度、耐アルカリ性、耐酸性を調べた。ここで、電気炉スポーリング破壊温度は、75mm×75mm×50mmの形状のハニカム構造体を、各温度で電気炉中に1時間保持した後取り出し空冷しクラックが発生するかどうかを調査し、クラックが発生しなかった最大の温度として求めた。また、耐アルカリ性および耐酸性とも、各例の相対的な評価を、良い方から◎>○>△>×の順で表記した。結果を以下の表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】表1の結果から、本発明で用いられるアルミニウム−チタネートからなるハニカム構造体は、融点が1800℃と高く熱膨張係数も低くさらに電気炉スポーリング破壊温度も高いことから、熱衝撃に強いハニカム構造体を形成することがわかった。また、耐アルカリ、耐酸性の評価についても、本発明で用いられるアルミニウム−チタネートは他の材料に比べて同等かそれ以上の好ましい結果を得ることができることがわかった。一方、本発明でハニカム状蓄熱体の低温部に用いられる磁器ハニカム構造体においては、熱膨張係数が高く熱衝撃に対しては優れていないものの、耐酸性の評価においては他の材料よりも優れていることがわかった。
【0025】実施例2次に、本発明例および比較例として数種の異なる構成によるハニカム状蓄熱体について、実際に蓄熱体として使用した時の使用状況について観察した。まず、本発明例および比較例ではハニカム構造体をその流路が揃うように積み重ねるとともに、以下の表2に示すように、高温部(a)、中温部(b)、低温部(c)の材質を変えて(比較例中には同材質のものもあり)構成し、図3に示す構造の本発明例および比較例のハニカム状蓄熱体を準備した。各ハニカム構造体のサイズは全て同一サイズの75mm×75mm×50mmであった。なお、試験に使用した炉内の雰囲気はアルカリ、鉄の飛散が多く厳しい条件下であった。ここで用いられるバーナーの使用燃料としては、天然ガスおよび重油があり、重油を燃料として用いた場合には酸露点以下になる温度で硫酸の発生が確認された。
【0026】準備した本発明例および比較例のハニカム状蓄熱体に対して、図4に示すようなスケジュールで吸熱、廃熱を繰り返し行った。ここで、最も蓄熱体全体が高温になる高温排気ガス通過時と、最も低温となる冷却空気通過時の温度差は約150℃であった。以下の表2に各ハニカム状蓄熱体の構成と使用状況について示す。ここで測定された蓄熱体温度は、図3に示す温度測定位置(1)〜(4)の各測定ポイントにおいて、蓄熱体平面上最も温度の高くなる点で最も蓄熱体全体が高温になった時、即ち高温排気ガス通過中の温度を測定したものである。なお、ここで使用したハニカム状蓄熱体は、吸気側(温度測定位置(4))の温度が常に300℃以下となるように使用温度によって蓄熱体全体の長さ(L寸)を変更した。これは配管、弁などの装置の保護のためである。
【0027】
【表2】

【0028】表2の結果から以下のことが判明した。比較例試験No.1では、蓄熱体の高、中、低温部全てにコージェライト材質のハニカム構造体を用いたために、温度がコージェライトの融点を越える高温部においてはハニカム構造体が溶損し、また1200℃を越える中温部に用いたコージェライトハニカム構造体でもアルカリ、鉄などの腐食の急速な進行により軟化および破損が生じている。従って、ハニカム状蓄熱体としては不適であることがわかった。また、比較例試験No.2では、高温部の溶損を防ぐためにアルミナハニカム構造体を用いたが、アルミナハニカム構造体の熱膨張係数が高く耐熱衝撃性に劣ることがら、アルミナハニカム構造体の破損が生じた。同時に中温部のコージェライトハニカム構造体においても比較例試験No.1と同様腐食による破損が生じており使用不可であった。
【0029】さらに、高温部にアルミナよりも熱膨張係数の小さいムライトハニカム構造体を用い、中温部にアルミナハニカム構造体を用いた比較例試験No.3では、中温部での腐食による破損はおこらず、また、高温部よりも熱衝撃が弱いことから、アルミナハニカム構造体でも熱衝撃による破損は生じなかった。しかし、高温部では熱衝撃によりムライトハニカム構造体の破損が生じた。そこで、本発明例試験No.6、7、8、9、10では、熱衝撃およびアルカリ、鉄などによる腐食の大きい高温側に、アルミニウム−チタネート単味からなるハニカム構造体、アルミニウム−チタネートに5重量%のMgOと5重量%のFe23 を添加したハニカム構造体またはアルミニウム−チタネートとムライトからなるハニカム構造体を用い、蓄熱体全体が最も温度が高くなる1200℃以上の温度になる中温部にアルミナハニカム構造体を用い、そして1200℃以下の温度になる低温部にコージェライト、ムライト、コージェライトとムライトのそれぞれのハニカム構造体を用いて評価した。
【0030】その結果、本発明のアルミニウム−チタネートは耐アルカリ性および鉄に対する耐性に優れ、熱膨張係数も小さいため熱衝撃にも強く、高温で腐食の厳しい高温部のハニカム構造体として問題なく使用することができた。また、中温部のアルミナハニカム構造体、低温部の各種のハニカム構造体においても問題なく使用でき、ハニカム状蓄熱体として破壊せず熱効率よく熱交換を行うことができることが判った。しかし、比較例試験No.4では、中温部に用いられたアルミナハニカム構造体が1200℃以上での使用であったために、高温部、中温部のハニカム構造体には異常がみられなかったものの、低温部のコージェライトハニカムに溶損が生じて使用不可となった。また、本発明例試験No.6、7、8、9で中温部に使用したアルミナハニカム構造体は、低温部即ち温度測定位置(3)よりも低温域にまで使用されても何等問題ないものである。
【0031】ここまでの試験で用いられた焼成炉のバーナー用の燃料は天然ガスが用いられ、冷却時、低温部に硫酸による腐食は見られなかった。しかし、比較例試験No.5ではバーナー用の燃料に重油を用いたため、冷却時に低温部でSOxの結露による硫酸の発生が起こり、低温部のコージェライトハニカム構造体が硫酸により腐食した。そこで、本発明では、バーナー用の燃料として重油を用いた場合、低温部にコージェライトハニカム構造体と磁器ハニカム構造体とを組み合わせて耐酸性の必要な部分に磁器ハニカム構造体を用いることで、低温部においてもハニカム状蓄熱体として破壊および溶損を起こさず問題ないものとなった。
【0032】実施例3アルミニウム−チタネートハニカム構造体に対するMgOおよびFe23 の添加の効果について調査した。まず、図5に本発明で用いられたアルミニウム−チタネートに含有するMgOによる特性の変化を示す。ここで、熱膨張係数は、焼成後のハニカム構造体の流路方向の40〜800℃の熱膨張係数を示す。また、耐アルカリ性の指標である重量減少率は、10重量%のNaOH水溶液の中にハニカム構造体を150℃で20時間浸漬させたときの重量減少率を測定したものである。重量減少率が少ないほど耐アルカリ性に優れていることになる。なお、Fe23 の添加量はいずれの場合も5重量%であった。
【0033】図5の結果から、MgOの添加量によりアルミニウム−チタネートハニカム構造体の熱膨張係数及び体アルカリ性の特性は変化することがわかる。MgOを添加していくことにより、熱膨張係数は一時的に減少傾向を見せるが、ある添加量を越えると徐々に上昇していく。また、耐アルカリ性はMgO添加により重量減少率は低下し、あるレベルに達するとそれ以上は低下しなくなる。図4から、ハニカム状蓄熱体として必要な熱膨張係数と耐アルカリ性の双方の特性を満足する範囲として、MgOの添加量は4〜10重量%であると好ましいことがわかる。
【0034】次に、図6に様々な組成の焼成後のハニカム構造体について電気炉にて1100℃の温度で各時間保持した後の熱膨張係数を示している。アルミニウム−チタネートのみでMgO、Fe23 の添加の無いハニカム構造体(AT)は、短時間の熱処理においてすぐに熱膨張係数が上昇している。また、アルミニウム−チタネートにMgOを10重量%添加したハニカム構造体(MAT)では、長時間の熱処理で熱膨張係数は徐々に上昇している。従って、この組成のハニカム構造体を高温で長時間使用することにより、熱膨張係数が上昇し熱衝撃により破壊する確率が高くなることになる。
【0035】そこで、アルミニウム−チタネートにMgO及びFe23 を同時に添加したハニカム構造体(MATF)において、長時間熱処理を行った後の熱膨張係数の測定を行ったところ、Fe23 を1重量%添加したハニカム構造体(MATF−1)では熱膨張係数の上昇が見られるが、2重量%添加したハニカム構造体(MATF−2)、5重量%添加したハニカム構造体(MATF−5)及び10重量%添加したハニカム構造体(MATF−10)については、低熱膨張で高温での長時間の熱処理においても安定した低いままの熱膨張を維持するハニカム構造体を得ることができた。しかし、Fe23 の添加量を多くして15重量%添加したハニカム構造体(MATF−15)では、熱膨張係数の長時間の熱処理による上昇は無いものの未熱処理のハニカム構造体の熱膨張係数が極端に上昇して使用に耐えない。なお、上記MATF系のMgO添加量は一律に5重量%とした。以上のことから、Fe23 の添加量は2〜10重量%であると好ましいことがわかる。
【0036】従って、本発明に使用されるアルミニウム−チタネートハニカム構造体は、MgOを4〜10重量%、Fe23 を2〜10重量%添加されることが好ましいことがわかる。
【0037】なお、上述した実施例において、高温部、中温部、低温部の各ハニカム構造体を構成するコージェライト、ムライト、アルミニウム−チタネート等の原料は、一般に使用される生の原料、シャモット等を単独または組み合わせて使用することができる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明かなように、本発明によれば、高温排ガスの上流側から下流側に向かって(1)アルミニウム−チタネートを主結晶相とするハニカム構造体またはアルミニウム−チタネートとムライトからなるハニカム構造体、(2)アルミナを主結晶相とするハニカム構造体、(3)コージェライトを主結晶相とするハニカム構造体、ムライトを主結晶相とするハニカム構造体および耐食性磁器質ハニカムの内から選ばれた少なくとも1つのハニカム構造体によりハニカム状蓄熱体を構成しているため、高温で腐食性の排ガスに対しても破壊せず効率良く熱交換を行うことができるハニカム状蓄熱体を得ることができる。




 

 


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