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発明の名称 ワンタッチジョイント
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−296554
公開日 平成9年(1997)11月18日
出願番号 特願平8−113655
出願日 平成8年(1996)5月8日
代理人
発明者 山崎 真郷
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 第1の建築用構造部材に取付固定され、対応する第2の建築用構造部材に設けられたガイド穴に挿通されるガイドピンを、該ガイドピンに対応して前記第2の建築用構造部材の前記ガイド穴の部位に取り付けられるワンタッチ式係止具に所定の荷重を越える挿入荷重で挿入すると、前記ガイドピンと前記ワンタッチ式係止具とが係止状態となることで前記第1の建築用構造部材と第2の建築用構造部材とを接合するワンタッチジョイントであって、前記ガイドピンの周面には係止段部が設けられ、かつ、前記ワンタッチ式係止具は、前記ガイドピンと互いに係合関係を有する係止部材と、各係止部材を前記ガイドピンの周面に押し付けるためのばね力を発生させるばね部材と、前記ガイドピンが前記ガイド穴に未だ挿通されていない状態では、前記各ばね部材を抑え、前記ガイド穴に対するガイドピン挿通時には、該ガイドピンの前記挿入荷重によって、前記ばね部材の抑えを解除されることで、前記各ばね部材が前記係止部材を前記ガイドピンの周面に押し付けることを許すばね抑え部材とを備えてなり、前記ガイド穴に対する前記ガイドピンの挿通により、前記各ばね部材の抑えが解除されることで、前記各係止部材が前記ガイドピンの横ずれを防止する配置状態になると共に、前記係止部材と前記ガイドピンの係止段部とが互いに係止状態となることを特徴とするワンタッチジョイント。
【請求項2】 前記係止部材は、前記ガイド穴の軸心に略平行な複数の軸部材にそれぞれ回動可能に支持された複数の羽根部材からなることを特徴とする請求項1記載のワンタッチジョイント。
【請求項3】 前記係止部材はレール部材に沿って直線移動可能な複数のスライド部材からなることを特徴とする請求項1記載のワンタッチジョイント。
【請求項4】 前記ばね抑え部材は、前記ガイドピンが前記ガイド穴に未だ挿通されていない状態では、前記枠材のガイド穴の全部又は一部を蓋すると共に、前記ばね部材から伝達されるばね力に抗して前記各係止部材を抑え、前記ガイド穴に対するガイドピン挿通時には、前記ガイドピンの前記挿入荷重により、前記ガイド穴を蓋する部位が押されることで、前記各係止部材の抑えを解除される構成となっていることを特徴とする請求項1記載のワンタッチジョイント。
【請求項5】 前記ばね抑え部材は、前記ガイド穴に着脱可能なキャップ部材であることを特徴とする請求項4記載のワンタッチジョイント。
【請求項6】 前記ガイドピンは、第1の部屋ユニット、屋根ユニット、又は屋根パネルに組み込まれた前記第1の建築用構造部材に予め取付固定されて使用されると共に、前記ワンタッチ式係止具は、対応する第2の部屋ユニット、屋根ユニット、又は屋根パネルに組み込まれた前記第2の建築用構造部材に予め取付固定されて使用され、ユニット建物を組み立てる際に、上層側の前記第2,第1の部屋ユニット、屋根ユニット、又は屋根パネルを下層側の前記第1又は第2の部屋ユニットの上に荷降ろしすると、前記ガイドピンと前記ワンタッチ式係止具とが互いに係止状態となって、上層側の前記第2,第1の部屋ユニット、屋根ユニット、又は屋根パネルと、下層側の前記第1又は第2の部屋ユニットとを接合することを特徴とする請求項1〜5項のいずれか1項に記載のワンタッチジョイント。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ワンタッチジョイントに係り、例えば、所定の荷重条件を満たす屋根パネルや屋根ユニット等を部屋ユニットの上に荷降ろしするだけで、屋根パネルや屋根ユニット等を部屋ユニットの上にワンタッチで固定することのできるワンタッチジョイントに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建物の工業生産化率を高める一方式として、ユニット建物が広く普及している。このユニット建物は、一棟の建物を予めいくつかのユニットに分けて工場で生産した後、これらのユニットを建築現場に輸送し、予め準備した基礎の上で施工、組立する方式の建物である。ユニット建物を構成するユニットとしては、建物の居間、食堂、寝室等の各部屋部分を構成する部屋ユニットと、建物の屋根部分を構成する屋根ユニットとがある。部屋ユニットBは、図23に示すように、四隅の柱B1,…と梁(屋根(天井)梁、床梁)B2,B2,…とで組まれた箱形六面体の躯体に床パネルや壁パネルや天井パネルが取着されてなっている。また、屋根ユニットAは、例えば、切妻の軒先側屋根ユニットにあっては、相対向する一対の三角形の妻トラス梁A1と、これらの妻トラス梁A1間に架設された軒梁A2や継梁と、これらの軒梁A2や継梁の上面に敷かれた野地板(屋根下地材)とから構成されている。組立は、まず、部屋ユニットBを基礎に据え付けて相互に連結し、次に、据え付けられた部屋ユニットBの上部に対応する屋根ユニットAを据え付け、これら屋根ユニットAを相互に連結することで行われる。
【0003】ところで、従来、屋根ユニットAを部屋ユニットBの上に据え付ける施工では、同図に示すように、まず、屋根ユニットAの角隅部の底面に設けられたガイド穴a1に、部屋ユニットBの柱B1の上面に設けられたテーパ状のガイドピンb1を差し込ませることで、屋根ユニットA側の梁(妻トラス梁A1や軒梁A2等)の底面に形成されているボルト挿通孔a2と、部屋ユニットB側の梁A2,A2の上面に形成されているボルト挿通孔b2との位置合わを行い、次いで、これら両方のボルト挿通孔a2,a2にボルトb3を通し、通されたボルトb3に対してナットa3を螺合することにより、両ユニットA,Bを連結することが行われている(例えば特開平2−153151号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の屋根ユニットAの据付施工では、作業員が天井裏(部屋ユニットBの天井パネルの上)に登って、いくつかの接合箇所で、ボルト締め作業を行わなければならず、煩雑であった。特に、軒部における屋根ユニット(軒先側屋根ユニット)Aと部屋ユニットBとの接合作業では、作業員は、極端に狭い天井裏で、腹ばいになっての窮屈なボルト締め作業を強いられるため、据付作業に時間がかかり、このことが、工期の短縮化を妨げる要因となっていた。
【0005】この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、例えば、屋根パネル又は屋根ユニットを当該屋根パネル又は屋根ユニットの自重を利用するだけで、迅速確実にかつ手軽に部屋ユニットの上に固定することのできるワンタッチジョイントを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、第1の建築用構造部材に取付固定され、対応する第2の建築用構造部材に設けられたガイド穴に挿通されるガイドピンを、該ガイドピンに対応して上記第2の建築用構造部材の上記ガイド穴の部位に取り付けられるワンタッチ式係止具に所定の荷重を越える挿入荷重で挿入すると、上記ガイドピンと上記ワンタッチ式係止具とが係止状態となることで上記第1の建築用構造部材と第2の建築用構造部材とを接合するワンタッチジョイントであって、上記ガイドピンの周面には係止段部が設けられ、かつ、上記ワンタッチ式係止具は、上記ガイドピンと互いに係合関係を有する係止部材と、各係止部材を上記ガイドピンの周面に押し付けるためのばね力を発生させるばね部材と、上記ガイドピンが上記ガイド穴に未だ挿通されていない状態では、上記各ばね部材を抑え、上記ガイド穴に対するガイドピン挿通時には、該ガイドピンの上記挿入荷重によって、上記ばね部材の抑えを解除されることで、上記各ばね部材が上記係止部材を上記ガイドピンの周面に押し付けることを許すばね抑え部材とを備えてなり、上記ガイド穴に対する上記ガイドピンの挿通により、上記各ばね部材の抑えが解除されることで、上記各係止部材が上記ガイドピンの横ずれを防止する配置状態になると共に、上記係止部材と上記ガイドピンの係止段部とが互いに係止状態となることを特徴としている。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のワンタッチジョイントであって、上記係止部材は、上記ガイド穴の軸心に略平行な複数の軸部材にそれぞれ回動可能に支持された複数の羽根部材からなることを特徴としている。
【0008】また、請求項3記載の発明は、請求項1記載のワンタッチジョイントであって、上記係止部材は、レール部材に沿って直線移動可能な複数のスライド部材からなることを特徴としている。
【0009】また、請求項4記載の発明は、請求項1記載のワンタッチジョイントであって、上記ばね抑え部材は、上記ガイドピンが上記ガイド穴に未だ挿通されていない状態では、上記枠材のガイド穴の全部又は一部を蓋すると共に、上記ばね部材から伝達されるばね力に抗して上記各係止部材を抑え、上記ガイド穴に対するガイドピン挿通時には、上記ガイドピンの上記挿入荷重により、上記ガイド穴を蓋する部位が押されることで、上記各係止部材の抑えを解除される構成となっていることを特徴としている。
【0010】また、請求項5記載の発明は、請求項4記載のワンタッチジョイントであって、上記ばね抑え部材は、上記ガイド穴に着脱可能なキャップ部材であることを特徴としている。
【0011】また、請求項6記載の発明は、請求項1〜5項のいずれか1項に記載のワンタッチジョイントであって、上記ガイドピンは、第1の部屋ユニット、屋根ユニット、又は屋根パネルに組み込まれた上記第1の建築用構造部材に予め取付固定されて使用されると共に、上記ワンタッチ式係止具は、対応する第2の部屋ユニット、屋根ユニット、又は屋根パネルに組み込まれた上記第2の建築用構造部材に予め取付固定されて使用され、ユニット建物を組み立てる際に、上層側の上記第2,第1の部屋ユニット、屋根ユニット、又は屋根パネルを下層側の上記第1又は第2の部屋ユニットの上に荷降ろしすると、上記ガイドピンと上記ワンタッチ式係止具とが互いに係止状態となって、上層側の上記第2,第1の部屋ユニット、屋根ユニット、又は屋根パネルと、下層側の上記第1又は第2の部屋ユニットとを接合することを特徴としている。
【0012】
【作用】例えば、予め工場にて、屋根梁(第1の建築用構造部材)に上記ガイドピンの付いた部屋ユニットと、枠材(第2の建築用構造部材)に開けたガイド穴の位置に上記ワンタッチ式係止具の付いた屋根パネル又は屋根ユニットとを生産した後、ユニット建物の建築現場に輸送し、予め準備した基礎の上に上記部屋ユニットを据え付ける。次に、上記屋根パネル又は屋根ユニットをクレーンで持ち上げ、枠材に開けた上記ガイド穴を部屋ユニットの対応する屋根梁に固着されたガイドピンに位置合わせした後、上記屋根パネル又は屋根ユニットを上記部屋ユニットの上に降ろす。これに伴って、ガイドピンがガイド穴に挿入され、このときの挿入荷重によってガイド穴を塞いでいたばね抑え部材が押し上げられて解除されるので、ばね部材の弾性エネルギが解放される。この結果、各ばね部材が、対応する係止部材をガイドピンの周面に押し付けるので、ガイドピンの横ずれが防止されると共に、少なくとも一つの係止部材とガイドピンの係止段部とが互いに係止状態となることで、屋根パネル又は屋根ユニットが部屋ユニットの屋根梁に固定される。
【0013】この発明のワンタッチジョイントによれば、例えば、屋根パネル又は屋根ユニットに作用する鉛直力に対しては、屋根梁(第1の建築用構造部材)に取付固定されたガイドピンと、枠材(第2の建築用構造部材)に取り付けられた係止部材とが互いに係止状態となることで抵抗でき、屋根パネル又は屋根ユニットに作用する水平力、すなわち、横ずれに対しては、複数の係止部材が、ガイド穴に挿通されたガイドピンを挟みつけ又は締め付けることで、抵抗できるので、水平荷重に対しても垂直荷重に対しても、高い接合強度を得ることができる。また、ガイドピンの軸心とガイド穴の軸心とが少々ずれていても、複数の係止部材により確実にガイドピンを係止できる。なお、係止部材が単数の場合には、係止部材とガイド穴とでガイドピンを挟みつけることで、横ずれに抵抗できる。しかも、屋根パネル又は屋根ユニットを当該屋根パネル又は屋根ユニットの自重を利用するだけで、迅速確実にかつ手軽に部屋ユニットに固定できるので、固定作業に手間がかからず、腹ばい作業も解消する。それゆえ、工期の短縮化が図られる。加えて、吊り荷下の作業につきまとう危険も回避できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用いて具体的に行う。
◇第1実施例図1は、この発明の第1実施例であるワンタッチジョイントの接合状態を示す垂直断面図、図2は同水平断面図、図3は同斜視図、図4は、同ワンタッチジョイントの接合前の状態を示す垂直断面図、図5は同水平断面図、図6は同斜視図、図7は、同ワンタッチジョイントが接合されて行く様子を段階的に示す断面図、図8は、同実施例に係る軒先側屋根ユニットの構成を示す分解斜視図、また、図9は、同実施例に係るユニット建物の建築現場の情景を示す斜視図である。まず、この実施例に係る部屋ユニット1及び軒先側屋根ユニット2から説明する。この例に係る部屋ユニット1は、図9に示すように、四隅の角型鋼柱の上下端間を溝形鋼の桁側屋根大梁(以下、桁屋根梁という)11,11、妻側屋根大梁(以下、妻屋根梁という)12,12や図示せぬ桁側床大梁、妻側床大梁で結び、さらに、相対向する2本の桁側屋根大梁11,11間に、複数の天井小梁13,13,…を差し渡すことにより、箱形六面体の躯体が構成され、この躯体に壁パネル14や窓サッシや床パネル等が取着されて、ユニット建物Cの部屋部分を構成する。この部屋ユニット1の軒先側の桁屋根梁11には、図1に示すように、上部フランジ11aの両端部に近い部位(2箇所)に、この例のワンタッチジョイントを構成するガイドピン(後述)3をねじ止め固定するための取付穴11bが設けられている。同様に、妻屋根梁12,12の上部フランジ中央部にも、ガイドピン3をねじ止め固定するための取付穴が設けられている。
【0015】また、この例に係る軒先側屋根ユニット2は、図8に示すように、一枚の屋根パネル21と、この屋根パネル21の両妻側端を支持する一対の妻トラス22,22とが組まれてなるもので、ユニット建物Cの軒先側の切妻屋根部分を構成する。上記屋根パネル21は、いずれも溝形鋼からなる桁側軒梁211(以下、単に軒梁という)及び桁側継梁212と、これら軒梁211及び桁側継梁212の上面に両梁211,212とは直交した延在方向で並設された複数のたる木213,213,…と、これらのたる木213,213,…の上面に固定された野地板(屋根下地材)214とで構成されている。
【0016】軒梁211には、図1に示すように、下部フランジ211aの両端部に近い部位(つまり、部屋ユニット1の軒先側の桁屋根梁11に設けられたガイドピン用の取付穴11bに対応する2箇所)に、ガイドピン3を差し込ませるための直径略34mmのガイド穴211bが設けられている。桁側継梁212には、図示せぬウェブの両端部に近い部位に、棟側屋根ユニット2Aの軒側継梁とボルト接合するための固定具挿通孔が設けられている。上記妻トラス梁22,22は、いずれも溝形鋼製の下枠221と、縦枠222と、上枠223とを略三角形に組付してなっている。この例では、妻トラス梁下枠221の下部フランジ中央部(部屋ユニット1の妻屋根梁12,12の中央部に設けられたガイドピン用の取付穴に対応する箇所)にも、ガイドピン3を差し込ませるためのガイド穴211bが設けられている。軒先側屋根ユニット2の組立は、まず、妻トラス22,22を所定の間隔で並置し、次に、屋根パネル21の軒梁211と妻トラス梁と22,22とを相互に結合すると共に、桁側継梁212と妻トラス梁22,22とを相互に結合することにより行われる。
【0017】次に、この例のワンタッチジョイントについて説明する。この例のワンタッチジョイントは、建築現場においてユニット建物Cを組み立てる際に、軒先側屋根ユニット2を、当該軒先側屋根ユニット2の自重を利用するだけで、部屋ユニット1の上部に自動的に固定できる緊結金物であり、固定に先立って、部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12、すなわち、第1の建築用構造部材)に予め工場にて取付固定されるガイドピン3と、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221、すなわち、第2の建築用構造部材)のガイド穴211bの部位に予め取付固定されるワンタッチ式係止具4との対構造からなっている。
【0018】上記ガイドピン3は、図1乃至図6に示すように、直径略10mmの軸部31の底面に、この軸部31と軸心を共通にする雄ねじ部32を有する軟鋼(SS400)製のピン金物であり、軸部31の長手方向中央部には、後述する係止機能を担う円環状の係止段部(段差部)31aが設けられている。この係止段部31aでは、先端側に向けて直径が不連続に大となり、さらに、この係止段部31aから先端部にかけては、軒先側屋根ユニット2と部屋ユニット1との位置合わせが容易かつ確実に行われるように、つまり、ガイド機能を効果的に発揮できるように、先細りの形状となっている。ガイドピン3は、部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11や妻屋根梁12,12の上部フランジ11a)に軸部31を上向きにした状態で固着され、軒先側屋根ユニット2を対応する部屋ユニット1の上部に載せて固定する際に、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211や妻トラス梁下枠221,221の下部フランジ211a)に略垂直に開けたガイド穴211bに挿通される。この場合、ガイドピン3の固着は、部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11や妻屋根梁12,12の上部フランジ11a)に穿孔された取付穴11bに、上方側から下方側に雄ねじ部32を挿通し、挿通された雄ねじ部32にナット33を螺合することで行われる。
【0019】次に、上記ワンタッチ式係止具4は、図1乃至図6に示すように、同一形状の板材であって、互いに段違いに動く上段ウィング41及び下段ウィング42と、この上段ウィング41、下段ウィング42にばね力を付与するねじりコイルばね43,44と、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221)に設けられたガイド穴211bを着脱自在に蓋し、略円筒形の外側面を有するキャップ45と、互いに所定の離隔をもって配置され、上段ウィング41、下段ウィング42を回動可能に取り付けるための取付ボルト46,47と、取付ボルト46を挿通するための挿通孔を有し、上段ウィング41を下方との距離をあけて取付ボルト46に取り付けるためのスリーブ48と、取付ボルト46,47を取り付け、上段ウィング41、下段ウィング42、キャップ45等を載せた状態で、下部フランジ211aの上面に溶着されるテーブル49とから構成されている。
【0020】そして、ガイド穴211bへのガイドピン3の挿通が引き金となって、ねじりコイルばね43,44のばね力により上段ウィング41及び下段ウィング42が回転してガイドピン3の軸部31を両側から挟んで圧接すると共に、上段ウィング41が係止段部31aによって係止されることにより、軒先側屋根ユニット2(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221)が部屋ユニット1(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)に自動的に係止固定される仕組みとなっている。ここで、ねじりコイルばね43,44以外の構成各部は、例えば軟鋼(SS400)から形成されている。
【0021】上段ウィング41、下段ウィング42は、ガイドピン3がガイド穴211bへ挿入されていない状態では、キャップ45の外側面を圧接し、ガイドピン3がガイド穴211bへ挿入された後の状態では、ガイドピン3の軸部31を圧接するための圧接面41a,42aをそれぞれ有し、この圧接面41a,42aは、断面が略半円(例えば、半径略14mm)に切り取られ、キャップ45の外側面の形状に対応した形状となっている。また、縁端部に近い所定の部位には取付ボルト46,47を挿通するためのボルト挿通孔が穿設されている。
【0022】そして、上段ウィング41は取付ボルト46に、下段ウィング42は取付ボルト47に取り付けられ、上方からみると、上段ウィング41と下段ウィング42とは互いに点対称の関係をもって配置される。また、上段ウィング41は取付ボルト46の周りに、下段ウィング42は取付ボルト47の周りに時計回り方向に回転するように、それぞれ、ねじりコイルばね43,44によって所定のトルクを受ける。この際、上段ウィング41は、スリーブ48を介して取付ボルト46に取り付けられ、回動する際、上段ウィング41は下段ウィング42の上を動き、両者はぶつからない。
【0023】ねじりコイルばね43,44は、線材がコイル状に成形されたコイル部の両端からそれぞれ固定端部が延設されてなっており、例えば、コイル部の軸に直交する面上で、該軸の周りに両固定端部に互いに反対向きの力を加えると、コイル部も捻れて変形し、トルクを加えない最初の状態に戻そうとするように復原力が働く。この例では、ねじりコイルばね43,44の両固定端部のうち一方は取付ボルト46、47に、もう一方は上段ウィング41と下段ウィング42に固定され、上段ウィング41は取付ボルト46の周りに、下段ウィング42は取付ボルト47の周りに時計回り方向に回転するように復原力が働く。
【0024】キャップ45は、上端に蓋部45aを有する中空円筒部材であり、円筒の内径は、後述するテーブル49の貫通孔49aに略等しく(例えば、略26mm)、外径は上段ウィング41及び下段ウィング42の圧接面41a,42aに略対応している(例えば、略28mm)。ガイドピン3がガイド穴211bに未だ挿通されていない状態では、テーブル49上に載置され、上段ウィング41及び下段ウィング42を圧接面41a,42aで抑えて、ねじりコイルばね43,44をねじり状態に保つ機能、すなわち、ねじりコイルばね43,44の弾性エネルギを蓄積する機能を有している。
【0025】キャップ45は、軒先側屋根ユニット2(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221)を部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)に載置固定する際に、蓋部45aに加えられるガイドピン3の挿入荷重によって、ガイド穴112bから取り外される。しかして、キャップ45が外れると、上段ウィング41と下段ウィング42の抑えが解除されるので、ねじりコイルばね43,44コイルに蓄積された弾性エネルギが解放され、これにより、上段ウィング41と下段ウィング42がガイドピン3の軸部31に圧接して挟み込む仕組みとなっている。テーブル49は、中央部にガイドピン3を貫通するための貫通孔49a(例えば、直径略26mm)を有する円環状の板材であり、貫通孔49aの近傍の部位には、取付ボルト46,47と螺合する雌ねじ部が上面から所定の深さまで穿設されている。また、テーブル49は、例えば、スポット溶接等により下部フランジ211aの上面に固着されている。
【0026】次に、図7を参照して、この例の動作について説明する。まず、上記構成の部屋ユニット1や軒先側屋根ユニット2を工場生産する際に、部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11及び妻屋根梁12,12の上部フランジ11a)に設けられた取付穴11bの位置にてガイドピン3を予め締結固定しておくと共に、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221の下部フランジ211a)に設けられたガイド穴211b廻りにワンタッチ式係止具4を予め取り付けておく(同図(a))。
【0027】これらの部屋ユニット1及び軒先側屋根ユニット2は、他の部屋ユニット1や棟側屋根ユニット2A等と共に、工場で生産された後、建築現場に輸送され、予め準備した基礎Gの上で組み立てられる(図9参照)。組立は、まず、部屋ユニット1を基礎Gに据え付けて相互に連結し、次に、据え付けられた部屋ユニット1の上部に対応する各種屋根ユニット2,2Aを据え付け、これら屋根ユニット2,2Aを相互に連結することで行われる。このとき、軒先側屋根ユニット2を部屋ユニット1の上部に載置固定するには、軒先側屋根ユニット2をクレーンで持ち上げ、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221)に設けられたガイド穴211bを部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)に取着されたガイドピン3に位置合わせした後、軒先側屋根ユニット2を部屋ユニット1の上に降ろす。
【0028】これに伴って、図7(b)に示すように、ガイドピン3がガイド穴211bに挿入され、このときの挿入荷重によって、同図(c)に示すように、ガイド穴211bを塞いでいたキャップ45が押し上げられてテーブル49上からから取り外される。キャップ45が外れると、上段ウィング41と下段ウィング42の抑えが解除されるので、ねじりコイルばね43,44のねじりが解かれ、弾性エネルギが解放される。この結果、上段ウィング41と下段ウィング42とがガイドピン3の係止段部31a直下の軸部31に圧接して挟み込む。同時に、上段ウィング41が係止段部31aによって、また、下段ウィング42が上段ウィング41によって係止される。このようにして、軒先側屋根ユニット2が部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)に自動的に係止固定される。この後、軒先側屋根ユニット2と棟側屋根ユニット2Aとを、ボルトとナットとで互いに連結することにより、軒先側屋根ユニット2の据付作業が完結する。
【0029】上記構成のワンタッチジョイントによれば、軒先側屋根ユニット2に作用する鉛直力に対しては、軒梁211や妻トラス梁下枠221,221に取り付けられたガイドピン3の係止段部31aによって、桁屋根梁11や妻屋根梁12に取り付けられた上段ウィング41が係止されることで抵抗でき、軒先側屋根ユニット2に作用する水平力、すなわち、横ずれに対しては、上段ウィング41と下段ウィング42とがガイドピン3の軸部31に圧接して挟み込むことで抵抗できるので、水平荷重に対しても垂直荷重に対しても、高い接合強度を得ることができる。 また、ガイドピン3の軸心とガイド穴112bの軸心とが少々ずれていても、上段ウィング41と下段ウィング42とにより確実にガイドピン3を係止することができる。しかも、軒先側屋根ユニット2を当該軒先側屋根ユニット2の自重(ガイド穴112bに対するガイドピン3の挿入荷重)を利用するだけで、迅速確実にかつ手軽に部屋ユニット1に固定できるので、固定作業に手間がかからず、腹ばい作業も解消する。それゆえ、工期の短縮化が図られる。加えて、吊り荷下の作業につきまとう危険も回避できる。
【0030】◇第2実施例図10は、この発明の第2実施例であるワンタッチジョイントの接合状態を示す垂直断面図、図11は同水平断面図、図12は同斜視図、図13は、同ワンタッチジョイントの接合前の状態を示す垂直断面図、図14は同水平断面図、図15は同斜視図、また、図16は、同ワンタッチジョイントが接合されて行く様子を段階的に示す断面図である。この第2実施例のワンタッチジョイントが、上述の第1実施例と大きく異なるところは、第1実施例のワンタッチジョイントにおいては、取付ボルト46,47に上段ウィング41、下段ウィング42を回動可能に取り付け、かつ、ねじりコイルばね43,44によって上段ウィング41、下段ウィング42にばね力を付与して、ガイド穴211bへのガイドピン3の挿通によって、上段ウィング41及び下段ウィング42が回転してガイドピン3の軸部31を両側から挟んで圧接し、上段ウィング41が係止段部31aによって係止される構成であったのに対し、ガイド穴を挟んで相対向し、コイルばねを介して接続され、かつ、水平方向に摺動自在の一対のスライドプレートが、ガイド穴211bへのガイドピン3の挿通の際には、コイルばねの作用により互いに引き寄せられてガイドピン3の軸部31を両側から挟んで圧接する構成とした点である。これ以外の点では、第1実施例の構成各部と略同一構成であるので、第1実施例の構成部分と対応する各部には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】図10乃至図15に示すように、この例のワンタッチジョイントのワンタッチ式係止具5は、水平面上で摺動自在の上段スライドプレート51及び下段スライドプレート52と、両端を上段スライドプレート51及び下段スライドプレート52に固定して、両スライドプレートにばね力を付与する一組のコイルばね53,53と、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221)に設けられたガイド穴211bを着脱自在に蓋し、略円筒形の外側面を有するキャップ45と、コイルばね53,53で繋がれた上段スライドプレート51及び下段スライドプレート52を摺動自在に収納して、ガイド穴211bに重ねた状態で下部フランジ211aの上面に溶着されるケース54とから構成されている。
【0032】そして、ガイド穴211bへのガイドピン3の挿通が引き金となって、コイルばね53,53のばね力により上段スライドプレート51及び下段スライドプレート52が互いに引き寄せられてガイドピン3の軸部31を両側から挟んで圧接すると共に、上段スライドプレート51が係止段部31aによって係止されることにより、軒先側屋根ユニット2(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221)が部屋ユニット1(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)に自動的に係止固定される仕組みとなっている。ここで、コイルばね53,53以外の構成各部は、例えば軟鋼(SS400)から形成されている。
【0033】上段スライドプレート51、下段スライドプレート52は、垂直に起立し、底面においてケース54の後述する底板541に当接し、コイルばね53,53が固着される板状の部材である支持部511,521と、該支持部511,521の下部に水平に取着される圧接部512,522とからなっている。この圧接部512,522は、支持部511,521と反対側の側端部に、ガイドピン3がガイド穴211bへ挿入されていない状態では、キャップ45の外側面を圧接し、ガイドピン3がガイド穴211bへ挿入された後の状態でガイドピン3の軸部31を圧接するための圧接面512a,522aをそれぞれ有しており、かつ、圧接面512aは、圧接面522aの上を移動するように設けられている。また、この圧接面512a,522aは、断面が略半円(例えば半径略14mm)に切り取られ、キャップ45の外側面の形状に対応した形状となっている。また、上段スライドプレート51と下段スライドプレート52とは、ガイドピン3がガイド穴211bへ挿入されていない状態で、キャップ45を挟んで圧接面512a,522aが相対向するように配置され、かつ、圧接部512の先端部の下部は、圧接部512,522が互いに引き寄せられた際、圧接部522の先端部を厚さ方向に隙間なく納めるために、所定の領域が切り欠かれている。
【0034】コイルばね53,53は、線材がコイル状に成形されてなっており、一端は支持部511の圧接部512が取着された側の面の側端縁に近い部位に固定され、他端は、支持部521の圧接部522が取着された側の面の上記側端縁と同一の側の側端縁に近い部位に固定され、かつ、両端は略同一の高さで固定される。コイルばね53,53は、引き伸ばした状態で用いられ、上段スライドプレート51と下段スライドプレート52とを互いに引き寄せる方向に復原力が働く。ケース54は、矩形の板状の底板541と該底板541の上面に取着される天板542付きの中空の角形部材からなる囲い板543とから構成され、底板541及び天板542には、ガイド穴211bと略同径のガイドピン3挿通用の開口541a,542aKそれぞれ穿設されている。
【0035】キャップ45は、ガイドピン3がガイド穴211bに未だ挿通されていない状態では、底板541上に載置され、上段スライドプレート51及び下段スライドプレート52を圧接面512a,522aで抑えてコイルばね53,53を伸張状態に保つ。キャップ45は、軒先側屋根ユニット2(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221)を部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)に載置固定する際に、蓋部45aに加えられるガイドピン3の挿入荷重によって、ガイド穴211bから取り外される。しかして、キャップ45が外れると、上段スライドプレート51、下段スライドプレート52の抑えが解除されるので、コイルばね53,53によって、上段スライドプレート51と下段スライドプレート52とが互いに引き寄せられてガイドピン3の軸部31を両側から挟んで圧接する仕組みとなっている。
【0036】次に、図16を参照して、この例の動作について説明する。まず、上記構成の部屋ユニット1や軒先側屋根ユニット2を工場生産する際に、部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11及び妻屋根梁12,12の上部フランジ11a)に設けられた取付穴11bの位置にてガイドピン3を予め締結固定しておくと共に、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221の下部フランジ211a)に設けられたガイド穴211b廻りにワンタッチ式係止具5を予め取り付けておく(同図(a))。これらの部屋ユニット1及び軒先側屋根ユニット2は、他の部屋ユニット1や棟側屋根ユニット2A等と共に、工場で生産された後、建築現場に輸送され、予め準備した基礎Gの上で組み立てられる(図9参照)。組立は、まず、部屋ユニット1を基礎Gに据え付けて相互に連結し、次に、据え付けられた部屋ユニット1の上部に対応する各種屋根ユニット2,2Aを据え付け、これら屋根ユニット2,2Aを相互に連結することで行われる。このとき、軒先側屋根ユニット2を部屋ユニット1の上部に載置固定するには、軒先側屋根ユニット2をクレーンで持ち上げ、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221)に設けられたガイド穴211bを部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)に取着されたガイドピン3に位置合わせした後、軒先側屋根ユニット2を部屋ユニット1の上に降ろす。
【0037】これに伴って、図16(b)に示すように、ガイドピン3がガイド穴211bに挿入され、このときの挿入荷重によって、同図(c)に示すように、ガイド穴211bを塞いでいたキャップ45が押し上げられて底板54上から取り外される。キャップ45が外れると、上段スライドプレート51と下段スライドプレート52の抑えが緩められる。この結果、コイルばね53,53によって、上段スライドプレート51と下段スライドプレート52とが互いに引き寄せられてガイドピン3の軸部31を両側から挟んで圧接する。同時に、上段スライドプレート51が係止段部31aによって、また、下段スライドプレート52が上段スライドプレート51によって係止される。このようにして、軒先側屋根ユニット2が部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)に自動的に係止固定される。この後、軒先側屋根ユニット2と棟側屋根ユニット2Aとを、ボルトとナットとで互いに連結することにより、軒先側屋根ユニット2の据付作業が完結する。
【0038】上記構成のワンタッチジョイントによれば、軒先側屋根ユニット2に作用する鉛直力に対しては、ガイドピン3の係止段部31aによって、上段スライドプレート51が係止されることで抵抗でき、軒先側屋根ユニット2に作用する水平力、すなわち、横ずれに対しては、上段スライドプレート51と下段スライドプレート52とがガイドピン3の軸部31に圧接して挟み込むことで抵抗できるので、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0039】◇第3実施例図17は、この発明の第2実施例であるワンタッチジョイントの接合状態を示す垂直断面図、図18は同斜視図、図19は、同ワンタッチジョイントの接合前の状態を示す垂直断面図、図20は同斜視図、また、図21は、同ワンタッチジョイントが接合されて行く様子を段階的に示す断面図である。この第3実施例のワンタッチジョイントが、上述の第2実施例と大きく異なるところは、第2実施例のワンタッチジョイントにおいては、ガイドピン3の係止段部31aの下面をが同一面とし、ガイドピン3がガイド穴211bに挿通された状態で、上段スライドプレート51が係止段部31aによって、また、下段スライドプレート52が上段スライドプレート51によって係止される構成であったのに対し、係止段部において略圧接部512の厚さに相当する段差を設けた構成とした点である。これ以外の点では、第2実施例の構成各部と略同一構成であるので、第1実施例の構成部分と対応する各部には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0040】この例のガイドピン6は、図17至図20に示すように、直径略10mmの軸部61の底面に、この軸部61と軸心を共通にする雄ねじ部62を有する軟鋼(SS400)製のピン金物であり、軸部61の長手方向中央部には、後述する係止機能を担う係止段部(段差部)61aが設けられている。この係止段部61aでは、先端側に向けて直径が不連続に大となり、さらに、この係止段部61aから先端部にかけては、軒先側屋根ユニット2と部屋ユニット1との位置合わせが容易かつ確実に行われるように、つまり、ガイド機能を効果的に発揮できるように、先細りの形状となっている。また、係止段部61aは、ガイドピン3がガイド穴211bに挿入された際に、圧接部511を係止する略半円形の当接面61bと、圧接部512を係止する略半円形の当接面61cとを備え、かつ、両当接面は互いに段違いであって、この両当接面の段差は、圧接部512の厚さに略等しく設定されている。ガイドピン6は、部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11や妻屋根梁12,12の上部フランジ11a)に軸部31を上向きにした状態で固着され、軒先側屋根ユニット2を対応する部屋ユニット1の上部に載せて固定する際に、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211や妻トラス梁下枠221,221の下部フランジ211a)に略垂直に開けたガイド穴211bに挿通される。この場合、ガイドピン6の固着は、部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁1や妻屋根梁12,12の上部フランジ11a)に穿孔された取付穴11bに、上方側から下方側に雄ねじ部61を挿通し、挿通された雄ねじ部62にナット63を螺合することで行われる。
【0041】次に、図21を参照して、この例の動作について説明する。まず、上記構成の部屋ユニット1や軒先側屋根ユニット2を工場生産する際に、部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11及び妻屋根梁12,12の上部フランジ11a)に設けられた取付穴11bの位置にてガイドピン6を予め締結固定しておくと共に、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221の下部フランジ211a)に設けられたガイド穴211b廻りにワンタッチ式係止具5を予め取り付けておく(同図(a))。これらの部屋ユニット1及び軒先側屋根ユニット2は、他の部屋ユニット1や棟側屋根ユニット2A等と共に、工場で生産された後、建築現場に輸送され、予め準備した基礎Gの上で組み立てられる(図9参照)。組立は、まず、部屋ユニット1を基礎Gに据え付けて相互に連結し、次に、据え付けられた部屋ユニット1の上部に対応する各種屋根ユニット2,2Aを据え付け、これら屋根ユニット2,2Aを相互に連結することで行われる。このとき、軒先側屋根ユニット2を部屋ユニット1の上部に載置固定するには、軒先側屋根ユニット2をクレーンで持ち上げ、軒先側屋根ユニット2の下部(軒梁211、妻トラス梁下枠221,221)に設けられたガイド穴211bを部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)に取着されたガイドピン6に位置合わせした後、軒先側屋根ユニット2を部屋ユニット1の上に降ろす。
【0042】これに伴って、図21(b)に示すように、ガイドピン6がガイド穴211bに挿入され、このときの挿入荷重によって、同図(c)に示すように、ガイド穴211bを塞いでいたキャップ45が押し上げられて底板54上から取り外される。キャップ45が外れると、上段スライドプレート51と下段スライドプレート52の抑えが緩められる。この結果、コイルばね53,53によって、上段スライドプレート51と下段スライドプレート52とが互いに引き寄せられてガイドピン3の軸部31を両側から挟んで圧接する。同時に、上段スライドプレート51が係止段部31aの当接面61bによって、また、下段スライドプレート52が上段スライドプレート51及び係止段部31aの当接面61cによって、係止される。このようにして、軒先側屋根ユニット2が部屋ユニット1の上部(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)に自動的に係止固定される。この後、軒先側屋根ユニット2と棟側屋根ユニット2Aとを、ボルトとナットとで互いに連結することにより、軒先側屋根ユニット2の据付作業が完結する。
【0043】上記構成のワンタッチジョイントによれば、軒先側屋根ユニット2に作用する鉛直力に対しては、ガイドピン3の係止段部31aによって、上段スライドプレート51及び下段スライドプレート52が係止されることで抵抗でき、軒先側屋根ユニット2に作用する水平力、すなわち、横ずれに対しては、上段スライドプレート51と下段スライドプレート52とがガイドピン3の軸部31に圧接して挟み込むことで抵抗できる。この際、下段スライドプレート52も係止段部61aの当接面61cによっても直接圧接されるので、一段と確実に係止される。
【0044】以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、屋根ユニットを接合する場合に、ボルト接合を併用しても良い。逆に、屋根ユニットの軒梁と部屋ユニットとの接合だけで充分な接合強度が得られる場合には、妻トラス梁と部屋ユニットとの接合を省略しても良い。また、接合対象となる屋根ユニットは、軒先側屋根ユニットに限らず、棟側屋根ユニットでも良い。同様に、切妻屋根ユニットに限らず、寄棟屋根ユニットでも良い。また、上述の実施例では、トラス梁を持つ屋根ユニットを部屋ユニットに固定する場合について述べたが、トラス梁を持たない屋根パネルを直接部屋ユニットに固定する場合にも、この発明のワンタッチジョイントを用いることが好ましいことは勿論である。また、上述の実施例では、ガイドピンを部屋ユニットの上部(軒先側の桁屋根梁11、妻屋根梁12,12)にねじ止めしたが、ねじ止めに代えて、例えば溶接により固着するようにしても良い。
【0045】また、上述の第1実施例において、上段ウィング41と下段ウィング42との2枚のウィング部材を用いたが、2枚に限らず、3枚以上のウィング部材を互いに段違いに回転させるようにしても良い。また、ねじりコイルばねを用いてウィング部材にトルクを与えるようにしたが、コイルばねの一端をウィング部材の回転軸から充分離れた部位に固定して、ウィング部材を引っ張る方向に復原力が働くようにしても良い。また、図22に示すように、上段ウィング41の厚さに略等しい高さを有するスペーサ42bが所定の箇所に固着された下段ウィング42aを用いて、ガイドピン3がガイド穴211bに挿通された際に、下段ウィング42aも係止段部31aによって直接係止される構成としても良い。また、圧接面41a,42aは、断面が略半円に切り取られた形状としたが、この形状は、例えば、略半円形の側面の中央部をガイドピン3の軸部31の断面形状に一部対応させてさらに切り取った形状とされていても良い。
【0046】また、上述の第2実施例において、上段スライドプレート51と下段スライドプレート52との2つのスライド部材を用いたが、3つ以上のスライド部材をそれぞれ異なる向きから引き寄せられるような構成をとっても良い。また、コイルばねの両端を上段スライドプレート51及び下段スライドプレート52に固定して、両スライドプレートが引き寄せられるようにコイルばねの復元力が働くようにしたが、コイルばねを上段スライドプレート51及び下段スライドプレート52と囲い板543の内壁面との間に圧縮状態で介在させて両スライドプレートが接近するようにしても良い。また、コイルばねの個数は2つに限らず3つ以上用いても良い。
【0047】また、上述の第3実施例において、ガイドピン3がガイド穴211bに挿通された際に、2つのスライド部材が摺動して2つの圧接部が重なった場合に、係止段部に段差を設けたガイドピン6を適用したが、2つのウィング部材が回転して重なった場合にも、もちろん適用することができる。また、上述の実施例では、部屋ユニット1の上部にガイドピン3(6)を取着し、軒先側屋根ユニット2の下部にワンタッチ式係止具4(5)を取着する場合について述べたが、これに代えて、部屋ユニット1の上部にワンタッチ式係止具4(5)を取着し、軒先側屋根ユニット1の下部にガイドピン3(6)を取着するようにしても良い。
【0048】また、この発明のワンタッチジョイントは、部屋ユニットと屋根ユニットとの接合に限らず、上階の部屋ユニットと下階の部屋ユニットとの接合にも用いることができる。同様に、ユニット間接合やユニット・パネル間接合に限らず、部材同士の接合にも適用できる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のワンタッチジョイントによれば、上記第1の建築用構造部材と第2の建築用構造部材とを引き離す力に対しては、第1の建築用構造部材に取付固定されたガイドピンと、第2の建築用構造部材に取り付けられた単数又は複数の係止部材とが互いに係止状態となることで抵抗でき、上記第1の建築用構造部材と第2の建築用構造部材とを滑らせる力、すなわち、横ずれに対しては、複数の係止部材が、ガイド穴に挿通されたガイドピンを挟みつけ又は締め付けることで、抵抗できるので、水平荷重に対しても垂直荷重に対しても、高い接合強度を得ることができる。また、ガイドピンの軸心とガイド穴の軸心とが少々ずれていても、複数の係止部材により確実にガイドピンを係止できる。なお、係止部材が単数の場合には、係止部材とガイド穴とでガイドピンを挟みつけることで、横ずれに抵抗できる。
【0050】しかも、第1の建築用構造部材に取付固定されたガイドピンを、第2の建築用構造部材に取り付けられたワンタッチ式係止具に所定の挿入荷重で挿入するだけで、第1の建築用構造部材と第2の建築用構造部材とが確実に接合されるので、固定作業が迅速かつ容易となる。したがって、部屋ユニットの上部(である第1の建築用構造部材)にガイドピンを取付固定すると共に、屋根パネル又は屋根ユニットの下部(である第2の建築用構造部材)にワンタッチ式係止具を取り付ける構成とすれば、屋根パネル又は屋根ユニットを当該屋根パネル又は屋根ユニットの自重を利用するだけで、迅速確実にかつ手軽に部屋ユニットに固定できるので、固定作業に手間がかからず、腹ばい作業も解消する。それゆえ、工期の短縮化が図られる。加えて、吊り荷下の作業につきまとう危険も回避できる。
 

 
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