| 発明の名称 |
人工芝用パイル糸 |
|
| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平9−291508 |
| 公開日 |
平成9年(1997)11月11日 |
| 出願番号 |
特願平8−105339 |
| 出願日 |
平成8年(1996)4月25日 |
| 代理人 |
|
| 発明者 |
吉田 博次 |
| 要約 |
目的
構成
|
特許請求の範囲
【請求項1】 メルトフローレート0.3〜9g/10分のポリプロピレン系樹脂70〜95重量%、及び、メルトフローレート0.1〜10g/10分の、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンを四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を重合触媒として用いて共重合して得られたポリエチレン系樹脂30〜5重量%を含有する樹脂組成物を基材とした人工芝用パイル糸。
|
発明の詳細な説明
【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、優れたフィブリル化抵抗性を有し人工芝に使用されるパイル糸に関する。 【0002】 【従来の技術】天然芝生の代替品として、ポリプロピレンやナイロン等の合成樹脂製ヤーンのパイル糸を基布に植設した人工芝が、テニス、サッカー、野球、ホッケー等の球技スポーツ用屋外球技場、多目的グランドや公園等において広く普及している。さらに、パイル糸の植設を粗にし、その芝目内に砂などの充填物を充填した砂入り人工芝の競技場が、水切れ、競技者の脚に対する影響などがよいことから広く使用されている。 【0003】パイル糸の材質としては、有機系安定剤を添加したポリプロピレンが耐候性に優れ、かつ、安価に得られることから一般的に使用されている。しかしながら、砂入り人工芝では、人工芝がシューズで踏みつけられたとき充填砂との摩擦等により、パイル先端部がフィブリル化し易いという問題点があった。 【0004】そこで、シューズで踏みつけられた時に、フィブリル化し難いポリプロピレン系人工芝用パイル糸を提供するために、例えば、特開平2−112405号公報には、プロピレン単独重合体からなる鎖セグメント及びプロピレンとエチレンのランダム共重合体からなる鎖セグメントから構成されるプロピレンとエチレンのブロック共重合体よりなるポリプロピレン系樹脂を基材とする人工芝が開示されている。さらに、例えば、特開平6−184811号公報には、ポリプロピレン系樹脂65〜95重量%及び密度0.918〜0.940g/cm3 の線状ポリエチレンの35〜5重量%からなる樹脂組成物の基材が開示されている。 【0005】しかしながら、上記ポリプロピレン系パイル系から作られた砂入り人工芝のフィブリル化抵抗性は十分とはいえず、一層の性能向上が望まれている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであり、その目的は、砂入り人工芝に使用されて優れたフィブリル化抵抗性を発揮する人工芝用パイル糸を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の人工芝用パイル糸は、メルトフローレート0.3〜9g/10分のポリプロピレン系樹脂70〜95重量%、及び、メルトフローレート0.1〜10g/10分の、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンを四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を重合触媒として用いて共重合して得られたポリエチレン系樹脂30〜5重量%を含有する樹脂組成物を基材とする。 【0008】本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック又はランダム共重合体、あるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。上記プロピレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン等が挙げられる。 【0009】上記プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体においては、プロピレン成分を80重量%以上含むものが好ましく、上記プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体においては、プロピレン成分を90重量%以上含むものが、強度的に好ましい。このようなブロック又はランダム共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒により重合されるが、市販品の中から適宜選んで使用することができる。 【0010】本発明で用いられるエチレンとエチレン以外のα−オレフィンを共重合して得られたポリエチレン系樹脂とは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等から選ばれるエチレン以外のα−オレフィンと、エチレンを、四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を重合触媒として用いて、実質的にランダムに共重合させた非晶質又は低結晶性のゴム状物質である。 【0011】以下、単にポリエチレン系樹脂という場合は、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンを四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を重合触媒として用いて共重合して得られたポリエチレン系樹脂をいう。 【0012】上記四価の遷移金属としては、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、白金等が挙げられる。 【0013】上記メタロセン化合物とは、上記四価の遷移金属に、一つ以上のシクロペンタジエン環、類縁体等がリガンドとして存在する化合物の総称である。 【0014】上記類縁体としては、炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素置換メタロイド基等によって置換されたシクロペンタジエン環;シクロペンタジエニルオリゴマー環;インデニル環;炭化水素基;置換炭化水素基;炭化水素置換メタロイド基等によって置換されたインデニル環等が挙げられる。 【0015】上記シクロペンタジエン環、類縁体以外に、リガンドとしては、塩素、臭素などの一価のアニオンリガンド、二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素基、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、ホスフィド、アリールホスフィド、シリル基、置換シリル基等が挙げられる。 【0016】上記炭化水素基として代表的なものを例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、2−エチルヘキシル基、およびフェニル基等が挙げられる。 【0017】上記リガンドが配位したメタロセン化合物としては、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−プロピルアミド)等が挙げられる。 【0018】上記エチレンとエチレン以外のα−オレフィンを共重合する方法としては、特に限定されないが、不活性媒体を用いる溶液重合法、実質的に不活性媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法などが利用できる。 【0019】重合温度としては、−10℃〜300℃、重合圧力としては、常圧〜100kg/cm2 で行うのが一般的である。 【0020】上記エチレンとエチレン以外のα−オレフィンの共重合反応は、四価の遷移金属を含むメタロセン化合物をとともに、共触媒としてメチルアルミノキサン、ホウ素系化合物等を用いた触媒系で行うことができる。上記メタロセン化合物と上記共触媒の割合は、10〜100万モル倍が適当である。 【0021】上記メタロセン化合物を重合触媒として用いて、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンを共重合して得られたポリエチレン系樹脂の市販品としては、ダウケミカル社製「AFFINITY」、ダウケミカル社製「ENGAGE」、エクソンケミカル社製「EXACT」等が挙げられる。 【0022】上記人工芝用パイル糸に用いられるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRという)は、0.3〜9g/10分であり、好ましくは1〜7g/10分である。MFRが0.3g/10分未満では、溶融押出し時にサージングやメルトフラクチャーを起こし易く、表面荒れが生じ、さらに延伸性が低下する。また、MFRが7g/10分を超えると人工芝用パイル糸として十分な強度が得られなくなる。 【0023】上記人工芝用パイル糸に用いられるエチレンとエチレン以外のα−オレフィンを共重合して得られたポリエチレン系樹脂のMFRは、0.1〜10g/10分であり、好ましくは0.3〜8g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では、混練溶融時にポリプロピレン系樹脂との相溶性が低下し、分散不良を生じ易くなるためフィブリル化抵抗性を向上する効果が小さくなる。また、MFRが10g/10分を超えても、分散不良が生じ易くなるためフィブリル化抵抗性を向上する効果が小さくなる。 【0024】尚、上記MFRは、JIS K7210に準拠して、230℃、荷重2.16kg/cm2 で測定された値である。 【0025】上記ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂からなる混合物において、ポリエチレン系樹脂の割合は、少なくなるとフィブリル化抵抗性を向上する効果が低下し、多くなると人工芝用パイル糸として十分な強度が得られなくなるので、5〜30重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。 【0026】上記樹脂組成物には、必要に応じて、光安定剤、熱安定剤等の安定剤、顔料、炭酸カルシウム、タルク、滑剤、造核剤、難燃剤、帯電防止剤等の一般的に用いられている添加剤やポリエチレン等の樹脂などを添加してもよい。 【0027】上記ポリプロピレン系樹脂、上記ポリエチレン系樹脂その他の添加剤からなる樹脂組成物は、加熱された素練りロールやバンバリーミキサー等で混練することによって得られる。また、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を、それぞれペレットに成形した後、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等で混合してもよい。 【0028】上記添加物の混合は、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の混合と同時に行ってもよく、分割添加して行ってもよい。分割添加の方法としては、予め添加剤をポリプロピレン系樹脂に高濃度に混練してマスターバッチとし、これをポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂に混合する方法;ポリプロピレン系樹脂と添加剤を混練した後ポリエチレン系樹脂を混合する方法等が挙げられる。 【0029】上記人工芝用パイル糸は、上記で得られた樹脂組成物を押出機に供給して、成形温度190〜260℃でTダイ法又はインフレーション法によって成膜し、110〜140℃で4〜8倍の延伸倍率となるように延伸し割繊処理を行った後130〜150℃で熱処理し、さらに撚糸加工を施すことにより得られる。上記延伸処理において、延伸倍率が、4倍未満では回復性が劣り、8倍を超えると弾性が高くなり過ぎるので好ましくない。 【0030】上記人工芝用パイル糸としては、繊度2,000〜20,000デニール、糸幅0.5〜50mm、糸厚30〜100μmが好ましい。糸厚が、30μm未満では、耐久性が悪くなり、100μmを超えると割繊処理及び植毛の加工性が悪くなるので好ましくない。 【0031】上記人工芝用パイル糸から得られる人工芝の芝目に充填される砂としては、特に限定されず、川砂、海砂、採石砂、硅砂等が使用可能であるが、特に天然の硅砂が好ましい。また、砂と、高密度ポリエチレン製粒体、加硫ゴムチップ等の有機質粒体と混合して使用してもよい。 【0032】 【実施例】以下、本発明を実施例に基いて説明する。 (実施例1)ペレット状のプロピレン単独重合体(MFR=5.0g/10分)93重量部、ポリエチレン系樹脂(ダウケミカル社製「EG8200」、MFR=5.0g/10分)7重量部、フタロシアニン系緑色顔料2重量部、熱安定剤0.2重量部及び光安定剤0.8重量部をスーパーミキサーでよく混合し、2軸押出機に供給して成形温度220〜240℃でイフレーション法によってシートを成形した。得られたシートを130℃の加熱ロール上で延伸倍率6倍となるように延伸し、スプリッターで割繊処理を行った後、140℃の加熱炉及び熱ロールを用いて130℃における熱収縮率が10%以内となるように熱処理を行い、ヤーンを得た。得られたヤーンを、35回/mの割合で撚糸して、糸厚60μm、繊度8,000デニールの人工芝用パイル糸を作製した。 【0033】上記人工芝用パイル糸を、タフティングマシンで目付け100g/m2 のポリプロピレン基布上に植毛し、次いで、スチレン−ブタジエンゴムラッテクスよりなるバッキング材を塗布し120℃で乾燥して、24×103 デニール/cm2の密度で繊維長が20mmの人工芝を製造した。 【0034】(実施例2〜4)プロピレン単独重合体とポリエチレン系樹脂の配合量を表1に示したように変えたこと以外は、実施例1と同様にして人工芝を製造した。 【0035】(実施例5)ペレット状のプロピレン単独重合体(MFR=5.0g/10分)85重量部と、ポリエチレン系樹脂(ダウケミカル社製「EG8150」、MFR=0.5g/10分)15重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして人工芝を製造した。 【0036】(実施例6)ペレット状のプロピレン単独重合体(MFR=1.2g/10分)85重量部と、ポリエチレン系樹脂(ダウケミカル社製「EG8150」、MFR=0.5g/10分)15重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして人工芝を製造した。 【0037】(比較例1)ペレット状のプロピレン単独重合体(MFR=5.0g/10分)のみ100重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして人工芝を製造した。 【0038】(比較例2)ペレット状のプロピレン単独重合体(MFR=5.0g/10分)85重量部と、線状ポリエチレン(MFR=4.5g/10分、密度0.927g/cm3)15重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして人工芝を製造した。 【0039】(比較例3)ペレット状のエチレン−プロピレン共重合体(MFR=5.0g/10分、エチレン含有量10重量%)のみ100重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして人工芝を製造した。 【0040】上記実施例及び比較例で得られた人工芝につき、下記の性能評価を行い、その結果を表1に示した。 <フィブリル化抵抗性試験>得られた人工芝の芝目内に、20メッシュ以下、20〜45メッシュ及び45メッシュを超える粒度の割合が、それぞれ3%、92%及び5%である硅砂を、約17mmの厚さに充填したサンプルを作製し、このサンプルにつき、DIN54322に準拠して500サイクルの圧潰・磨滅試験を行い、パイル糸に発生した割裂数を、10mm当たりに換算してフィブリル化抵抗性を評価した。 【0041】 【表1】
【0042】 【発明の効果】本発明の人工芝用パイル糸は、上述の構成であり、フィブリル化抵抗性が優れるので、得られた人工芝は、野球、サッカー、ホッケー、テニス等の球技スポーツ用屋外球技場、多目的グランドや公園等において、天然芝生の代替品として好適に使用される。
|
|