| 発明の名称 |
コンクリート躯体の湿式仕上げ方法 |
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| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平9−110557 |
| 公開日 |
平成9年(1997)4月28日 |
| 出願番号 |
特願平7−267109 |
| 出願日 |
平成7年(1995)10月16日 |
| 代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】一色 健輔 (外2名)
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| 発明者 |
広田 信親 / 稲村 直樹 / 朝比奈 利之 / 川原 正雄 / 川地 武 / 林 好正 / 小川 晴果 / 三谷 一房 / 斉藤 裕司 |
| 要約 |
目的
構成
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特許請求の範囲
【請求項1】 コンクリート躯体の表面あるいはその表面に施工される下地モルタルの表面にプライマーとしてポリマーディスパージョンを塗布する上で、前記ポリマーディスパージョン中に、浸透性結晶増殖剤を混合したことを特徴とするコンクリート躯体の湿式仕上げ方法。 【請求項2】 前記ポリマーディスパージョン中に微小繊維を混合分散したことを特徴とする請求項1記載のコンクリート躯体の湿式仕上げ方法。 【請求項3】 コンクリート躯体の表面に施工される下地モルタルや、タイル張付けモルタルにポリマーディスパージョンからなる混和剤を混合する上で、前記モルタル中に、浸透性結晶増殖剤を混合分散したことを特徴とするコンクリート躯体の湿式仕上げ方法。 【請求項4】 前記モルタル中に微小繊維を混合分散したことを特徴とする請求項3記載のコンクリート躯体の湿式仕上げ方法。
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発明の詳細な説明
【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート躯体とこれの表面に塗布される下地モルタルとの接着性や、この下地モルタルと表面仕上げ材との接着性を改善したコンクリート躯体の湿式仕上げ方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般にコンクリート躯体構造物では、コンクリートが十分に乾燥した後に、モルタルで下地拵えを施してその表面に塗装し上げを行ったりタイル張りによる表面仕上げを行っている。 【0003】図1は、コンクリート躯体の外装仕上げとしてタイル張り仕上げを行った場合の断面構造を示している。この施工手順としては、先ず躯体1の表面の不陸を調整するために、下地モルタル2を施工し、その後タイル張りモルタル3を介してタイル4を張りつけることにより仕上げを行う。 【0004】この際に、従来ではコンクリート躯体1と下地モルタル2、あるいは下地モルタル2とタイル3の張りモルタル4との間に、例えば日本化成(株)製のハイフレックス#1000(商品名)などのポリマーディスパージョンを、プライマー5として塗布することが行われている。 【0005】このポリマーディスパージョンは、各界面のドライアウトを防止し、接着性を増大するために行われるものであり、塗布する以外には、各モルタル中に混和剤としてポリマーディスパージョンを混合する場合もある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、実際にはプライマー5の塗布後にモルタルの施工時期が遅れるなど、その使用方法を誤ると、プライマー5の濃度や塗布面の性状によっては、界面にポリマー皮膜層が形成されてしまい、このため却って接着性が低下し、モルタルが剥離しやすいという問題があった。 【0007】また、塗布作業に換えて前記ポリマーディスパージョンを混入したポリマーセメントを用いる場合にも、前記と同様の問題を生ずるケースがあった。 【0008】ところで、コンクリート躯体の止水性向上、及び劣化防止のために、躯体表面に、例えば、特公平5−27595号公報に示すように、浸透性結晶増殖剤を塗布することが知られている。 【0009】この結晶増殖剤は、モルタル表面に塗布または吹付けし、あるいは亀裂内に充填することにより、コンクリート中の遊離石灰分と化学反応を生じてこれを不溶性の緻密結晶群に変え、また複数の連鎖増殖反応によって自力で毛細管空隙に浸透し、コンクリートの劣化を抑制する機能をもっている。 【0010】ところが、この結晶増殖剤は専ら躯体改質剤としてその用途が考えられており、これの塗布、注入などの作業は、湿式仕上げ施工前に施工されていたので、湿式仕上げを行う段階では有効作用するとは言えなかった。 【0011】本発明者らは、以上の浸透性結晶増殖剤のもつ化学反応性に着目し、湿式仕上げにおける界面間の接着力増強について種々検討したところ、従来のポリマーディスパージョンを用いることの欠点であるポリマー皮膜層が形成された段階であっても、その化学反応性によって、相互の界面から内部に浸透し、接着性を向上できることを確認した。 【0012】本発明は、かかる知見に基づきなされたものであり、従来実施されている何れの湿式仕上げ方法に比して、接着性が高く、堅牢な仕上げ面を得られるようにしたコンクリート躯体の湿式仕上げ方法を提供することを目的としている。 【0013】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明のうち請求項1記載の発明では、コンクリート躯体の表面あるいはその表面に施工される下地モルタルの表面にプライマーとしてポリマーディスパージョンを塗布する上で、前記ポリマーディスパージョン中に浸透性結晶増殖剤を混合したことによって、プライマーによる接着効果に加えて、浸透性結晶増殖剤による化学反応を利用した化学結合により、躯体−モルタル間、あるいはモルタル同士の界面の接着がなされる。 【0014】本発明のうち請求項2記載の発明では、前記ポリマーディスパージョン中に微小繊維を混合分散したことにより、前記プライマー及び浸透性結晶増殖剤による化学的接着効果に加え、微小繊維によるメカニカルキー効果により、モルタル間を強固に接着一体化する。 【0015】本発明のうち、請求項3記載の発明では、コンクリート躯体の表面に施工される下地モルタルや、タイル張付けモルタルにポリマーディスパージョンからなる混和剤を混合する上で、前記モルタル中に浸透性結晶増殖剤を混合分散したことによって、モルタル中に含まれるポリマーディスパージョンプライマーの接着効果に加えて、浸透性結晶増殖剤による化学反応を利用した化学結合により、躯体−モルタル間、あるいはモルタル同士の界面の接着がなされる。 【0016】本発明のうち、請求項4記載の発明では、前記モルタル中に微小繊維を混合分散したことにより、前記ポリマーディスパージョン及び浸透性結晶増殖剤による化学的接着効果に加え、微小繊維によるメカニカルキー効果により、モルタル間を強固に接着一体化する。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明を、仕上げ材がタイル張付けである場合についてその実施の形態を説明する。 【0018】図2(a)〜(c)は、本発明の施工手順を示している。なお、施工後の構造は従来と変りがないが、使用されている素材構成は異なり、物理的な構造も若干異なることから、従来と共通する部分にのみ同一符号を付し、異なる箇所に異なる符号を付して説明する。 【0019】先ず、(a)に示すように、コンクリート躯体1の表面にはプライマー10が塗布される。 【0020】このプライマー10は、従来から用いられている、例えばSBR系、エポキシ系、エチレン酢酸ビニル(EVAc)系及びアクリル系のポリマーディスパージョンをベースとして、これに浸透性結晶増殖剤を適宜割合で混合し、さらに微小繊維を混合分散した組成物である。 【0021】なお、ポリマーディスパージョンの持つ接着のメカニズムについては、従来から知られているのでその説明を省略する。 【0022】また、結晶増殖剤の機能としては、前述のごとくコンクリート中の遊離石灰分と化学反応を生じてこれを不溶性の緻密結晶群に変え、また複数の連鎖増殖反応によって自力で毛細管空隙内に浸透し、コンクリートの劣化を抑制する機能をもった素材であり、その反応成分として、水ガラス、シリカ、珪フッ化マグネシウム、親水性活性剤、硬化剤、スラグ、メタカオリンなどを含んでいる。 【0023】以上の各反応成分は、共同してコンクリート躯体の毛細管空隙中の不安定な遊離石灰である水酸化カルシウムと反応し、複数次の反応段階を経てこれをセメント結晶と同じ繊維状結晶である珪酸カルシウムや、等軸結晶である珪フッ化カルシウム、斜方晶である珪酸マグネシウムなどの不溶性の安定結晶群に変え、これら変性した物質群によって毛細管空隙内を充填する特性をもっている。 【0024】なお、前記結晶増殖剤の反応成分のうち、シリカ成分としてシリカフュームを使用した場合には、この粒子は平均粒径が0.1マイクロμmと非常に小さいため、微小繊維の補強効果が有効に作用する利点がある。 【0025】微小繊維としては、例えばダイセル化学工業(株)製の「セリッシュ」(商品名)があり、セルロース繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、炭素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、麻などから選ばれた人工または天然繊維が用いられるが、この中では特に保水力の高いセルロース系繊維が皮膜形成を妨げるので好適である。 【0026】ポリマーディスパージョンに対する以上の結晶増殖剤、及び微小繊維の配合比は、それぞれの液性や、相溶性、分散性などを考慮し、相互の機能に影響を与えない範囲の配合比に設定される。 【0027】以上の組成からなるプライマー10の塗布後、溶剤成分が輝散し、分子の凝集によってプライマー10の皮膜が形成されはじめると、その凝集力によって分散されている微小繊維は表面に露出し、図2(a)の一部に拡大して示すように、プライマー10の表面には無数の起毛層12が突出形成され、ポリマー皮膜の形成を妨げる。 【0028】次いで、図2(b)に示すように、下地モルタル2を施工すれば、下地モルタル2の接着界面は、プライマー10自体の接着力に加え、起毛層12のメカニカルキー効果によって強固に接着一体化し、いわゆる”のり釘併用”効果により、接着初期段階における安定した接着効果によって下地モルタル2をコンクリート躯体1に一体化できる。 【0029】またこの時点で結晶増殖剤は、直ちには下地モルタル2に反応することはないが、下地モルタル2中の水分を溶媒として結晶増殖剤は、図中点線で示すように下地モルタル内に拡散し、前述の反応段階を経て化学的増殖反応を継続し、コンクリート躯体1に対する下地モルタル2の接着力を順次増すことになる。 【0030】下地モルタル2の施工後は、前記と同一組成のプライマーを10を塗布した後のタイル張りモルタル3を介してタイル4を施工することによって、躯体の外装工事を完了する。 【0031】この時の下地モルタル2と、タイル張りモルタル3との接着メカニズムは、前記と同様であり、両者の界面に強固な接着力を得られるとともに、前記結晶増殖剤の化学反応により材例の増加に応じてさらに接着力を増加することになる。 【0032】なお、以上の実施の態様では、仕上げをタイル張りに適用した場合について説明したが、塗装施工にも適用できることは勿論である。 【0033】また、接着初期段階におけるメカニカルキー効果発現のために、プライマー中に微小繊維を混合分散したが、結晶増殖剤の化学反応による接着効果は材例の更新に応じて向上するので必ずしも微小繊維を必要とせず、ポリマーディスパージョンに結晶増殖剤のみを配合した二成分系のプライマーとしても良いことは勿論である。 【0034】次に、本発明を下地モルタルあるいはタイル張りモルタルに適用した場合の実施の態様について説明する。 【0035】先ず、モルタルは通常の水−セメント比のものが選択される。これに対し混和材としてのポリマーディスパージョンは、例えばエチレン酢酸ビニル系、エポキシ系、SBR系、アクリル系ポリマーディスパージョンが選択され、これに加え、前記結晶増殖剤、及び微小繊維が混合分散される。 【0036】また、混合方法としては、予めポリマーディスパージョン中に結晶増進剤、微小繊維を混合しておき、これを混練中のモルタルに投入しても良いし、別個に投入しても良い。 【0037】なお、この実施の形態においても微小繊維は必ずしも添加する必要はない。 【0038】 【発明の効果】以上実施例で説明したように、本発明のうち請求項1記載の発明では、プライマーによる接着効果に加えて、浸透性結晶増殖剤による化学反応を利用した化学結合により、躯体−モルタル間、あるいはモルタル同士の界面の接着がなされるため、従来に比べてさらに強固な接着を確保できる上に、ポリマーディスパージョンを用いることの欠点であった皮膜形成による接着力低下を未然に防止できる利点がある。 【0039】本発明のうち請求項2記載の発明では、前記プライマー及び浸透性結晶増殖剤による化学的接着効果に加え、微小繊維によるメカニカルキー効果により、モルタル間を強固に接着一体化するため、さらに接着力の向上を図ることができる利点がある。 【0040】本発明のうち、請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明と同様に、モルタル中に含まれるポリマーディスパージョンの接着効果に加えて、浸透性結晶増殖剤による化学反応を利用した化学結合により、躯体−モルタル間、あるいはモルタル同士の界面の接着がなされるため、従来に比べてさらに強固な接着を確保できる上に、ポリマーディスパージョンを用いることの欠点であった皮膜形成による接着力低下を未然に防止できる利点がある。 【0041】本発明のうち、請求項4記載の発明では、請求項2記載の発明と同様に、前記ポリマーディスパージョン及び浸透性結晶増殖剤による化学的接着効果に加え、微小繊維によるメカニカルキー効果により、モルタル間を強固に接着一体化するため、さらに接着力の向上を図ることができる利点がある。
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