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タキソールおよびタキサンテルペノイド類の製造方法 - 大正製薬株式会社
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発明の名称 タキソールおよびタキサンテルペノイド類の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−40657
公開日 平成9年(1997)2月10日
出願番号 特願平7−191969
出願日 平成7年(1995)7月27日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】北川 富造
発明者 折谷 隆之 / 杉山 長美 / 三口 守公
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】キャラボクを原料とすることを特徴とするタキソールの製造方法。イド類の製造方法。
【請求項2】キャラボクを原料とすることを特徴とするタキサンテルペノイド類の製造方法。
【請求項3】キャラボクが宮城県産、富山県産、岩手県産、北海道産または鳥取県産であることを特徴とする請求項1記載のタキソールの製造方法。
【請求項4】キャラボクの葉、心材または皮をアルコール抽出し、ついでそのアルコール抽出液の濃縮液を酢酸エチルエステルで抽出し、粗抽出物を得ることを特徴とする請求項1記載のタキソールの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タキソールの製造方法に関する。更に詳しくは、日本産イチイ属キャラボクを原料とすることを特徴とするタキソールの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】イチイ属樹木(Taxus L.)は北半球に10種類が分布し、日本ではイチイ(オンコ)Taxus cuspidata Sieb et Zucc.と低木のキャラボク(T.cuspidata var.nana Hort.ex Rehder)が生育している。キャラボクは、主として本州日本海側に分布し、園芸用として庭園に多く植えられている。これまでは、日本産イチイ成分に関する研究は、高木のオンコを中心として行われてきた。1913年に発表された上田の報告が最初のものであり、その後、近藤、天野は飛騨産高木イチイ葉を原料としてアルカロイドを抽出し、これを欧州産アルカロイドと同一物質と推定し、「タキシン」と命名した。その後、1960年頃より京都大学グループ、東北大中西グループにより研究が行われ、「タキサン」骨格を有する数種のジテルペンが得られた。
【0003】一方、1971年に構造決定されたタキソールは北米産イチイ、太平洋イチイ(Taxus brevifolia)の樹皮から得られ、その化学構造の特異性に加えて、有糸分裂の際に微小管を安定化し、その脱重合を抑えることから新しいタイプの抗癌剤として注目されてきた。特に、タキソールは白血病のみならず難治性卵巣癌などにも有効で、その治療スペクトルの幅が広いことを特徴とすることである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとくタキソールは、植物中の含量が少なく樹皮より僅か0.01%の収率で得られるのみである。そのため、合成へのアプローチが盛んである。
【0005】現在世界で二つのグループにより全合成がなされた(K.C.Nicolaou et.al.,Nature,第367巻、第630頁、1994年、R.A.Holton et.al., J.Am.Chem.Soc.,第116巻、第1599頁、1994年)が、実用的な方法とは必ずしも言えない。
【0006】その他、前駆体の10−デアセチルバカチンIIIなどからタキソールの半合成も行われている(ザ ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー 第56巻、第6939頁、1991年)および組織培養によるタキソールの生産方法としては特開平6−292588号、特開平6−296493号に開示がある。しかし、有効な市場への供給方法がないまま現在に至っている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、イチイ属の樹木の成分を検討する過程において、宮城県の仙台市、白石市内などの低木のキャラボク(Taxus cuspidata var. nana Hort. ex Rehder)の下枝などからタキソールが収率良く得られることを見いだし、更にその知見に基づき本発明を完成した。
【0008】本発明は、キャラボクを原料とすることを特徴とするタキソールの製造方法である。更に本発明のキャラボクは宮城県産(宮城県から山形県山系)、鳥取県産(大山産系、ダイセンキャラボク)、富山県産、岩手県産または北海道産であることが好ましい。また、キャラボクの葉、心材または皮をアルコール抽出し、ついでそのアルコール抽出液の濃縮液を酢酸エチルエステルで抽出し、粗抽出物を得ることにより、収率を著しく向上させることができる。
【0009】以下、本発明の製造方法を説明する。キャラボクの樹木から葉、および最下段の下枝を採取し、材および皮に分けアルコール抽出する。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどであるが、メタノールが好ましい。ついでその抽出液を活性炭−セライト処理し、濃縮する。ついで酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を重曹水で抽出しカルボン酸区分、希アルカリで抽出しフェノール区分、希塩酸で抽出しアルカロイド区分と中性区分を分離する。中性区分を活性炭を上層に敷いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付してベンゼン、酢酸エチルなどの有機溶媒を用いて溶出分離することによってタキソールが得られる。また必要に応じて分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)などを用いることもできる。
【0010】
【発明の効果】高木性イチイに比較して低木性のキャラボクは、園芸用として容易に栽培し、繁殖することができ、特に葉からタキソールが得られたことにより木本体を伐採することなく多量の葉を採取しタキソールを得ることが可能である。従来、北米産およびヨーロッパ産イチイ樹皮から低含量(0.01%/乾燥重)で得られていたタキソールが、キャラボク下枝の樹皮から取れる(0.02%〜0.03%/生樹皮重)とともに微量の10−デアセチルタキソールと10−デアセチルバカチンIIIが得られる。
【0011】さらに、生葉のメタノール抽出物から多量のタキシニン、タキサンテルペノイド、タキサンアルカロイドとともに10−デアセチルバカチンIII(2.0g/3.0Kg生葉)と微量のタキソールが分離された。これらの結果は、貴重なイチイ森林資源を伐採することなしに、容易に栽培、繁殖の可能なキャラボク葉からタキソールおよび関連タキサンテルペノイド類が生産できることを示している。また、キャラボクの葉および種子は、容易にカルスに誘導できるので組織培養によりタキソール関連化合物の生産ができる。以下、本発明の製造方法の効果を従来の製造方法と比較し説明する。
【0012】1.産地による差異イチイは、本州では亜高山帯に自生するが、北海道では低地でも天然の樹林帯が見られる。北海道の高木イチイには、葉状がイチイ型(左右2列並び)とともにキャラボク型(輪生状並び)が見られ、羽幌町焼尻島のイチイ型にはタキソールは含まれていなかったが、キャラボク型にはタキソール(樹皮中、0.0005%)が含まれていた。一方、富山県産高木性のイチイ樹皮にもタキソールは含まれていなかったが、富山県産キャラボク樹皮には0.014%のタキソールが含まれていた。さらに北海道札幌市、定山渓、宮城県および岩手県のキャラボクには、タキソールがそれぞれ0.0014%、0.02%、0.033%、0.007%で含まれていた。
【0013】
【表1】

【0014】(HPLC分析)
Column:Finepak SIL C18-5(4.6mm×250mm)溶媒:MeOH:H2O:CH3CN(40:82:78),流量 1.0ml/minタキソールの保持時間tR:18min, 分析機器 JASCO Triroter。
【0015】低木性のキャラボクは、日本海側(秋田県〜鳥取県)の亜高山帯や深山に自生し、宮城県や岩手県では庭園樹として良く植えられている。宮城県白石市内のキャラボク樹皮から高い含量(0.02%〜0.03%/生産)のタキソールとともに10−デアセチルバカチンIII(0.01%以下)が分離された。仙台市内キャラボクの葉からは10−デアセチルバカチンIII(2.0g/3.0Kg生葉)と微量のタキソール(HPLC分析、0.0028%)が分離された。
【0016】2.抽出方法による差異R.W.MIllerら(J.Org.Chem.,第46巻、第1469頁〜第1474頁、1981年)はイチイ乾燥粉末のエタノール抽出液を水で希釈し、石油エーテルで洗い油脂区分を除き、クロロホルムで抽出した。濃縮物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィーによりクロロホルム:メタノール(95:5)溶出区分をドロップカウンター・カレント(DCC)による分離操作によりタキソールを分離した。
【0017】本発明の方法は、イチイ植物体の生原料を直接にメタノール抽出(3回行った。1回抽出では70%程度の抽出率であった。)し、濃縮液を酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル層を希アルカリ水溶液(1%以下のKOHあるいはNaOHの食塩半飽和液)で数回(3回程度)洗うと、分離操作に支障をきたすフェノール区分をほぼ完全に除くことができる。有機溶媒を留去し、残留物をシリカゲル・クロマトグラフィーによりベンゼン(トルエン、ヘキサンなども使用できる。):酢酸エチル(3:1〜1:1)により溶出すると極性の低いタキサンテルペノイドの後、タキソール区分が得られる。クロロホルム:メタノール(95:5)溶出すると10−デアセチルバカチンIIIや10−デアセチルタキソールが得られる。
【0018】このように、発明者の方法によりイチイ抽出物から分離操作に支障をきたすフェノール区分を除くと容易にタキソールなどのタキサン・テルペノイド類を分離することができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0020】実施例1(樹皮抽出物)
白石市内で採取したキャラボク下枝から樹皮(1.0Kg)を剥ぎ細断した。これをメタノールで抽出した。メタノール抽出液を活性炭処理し、濃縮した。濃縮液を酢酸エチルに溶かし、カルボン酸区分(2.0g)、フェノール区分(9.1g)およびアルカロイド区分(1.0g)を除いて中性区分(3.7g)を得た。
【0021】中性区分を活性炭を上層に敷いたシリカゲル・カラムクロマトグラフィーにかけて、ベンゼン−酢酸エチル(3:1)にて溶出した。初め、グリセリド(269mg)、β−シトステロール(134mg)、タキサンテルペノイドの物質A【0022】
【化1】

【0023】[4(20),11−タキサジエン−5α,7β,9α,10β,13α−ペンタノール7,9,10,13−テトラアセテート 5−シンナメート、mp175〜176℃、〔α〕D+62.5゜(CHCl3)]およびタキシニンE(4:1の比)(275mg)が溶出した。ベンゼン−酢酸エチル(1:1)で溶出を続けるとタキソール区分(396mg)が得られた。これをTLC(展開溶媒=ヘキサン−酢酸エチル、1:2)で精製し、70%メタノールから再結晶するとタキソール(188〜200mg)が得られた。 mp.214〜216℃さらに、酢酸エチル−メタノール(4:1)で溶出すると油状物質968mgを得た。この油状物質(200mg)をTLC(クロロホルム−メタノール、95:5)で分取すると13−デアセチルバカチンVI(26mg)
【0024】
【化2】

【0025】m.p.233〜234℃(エタノールより再結晶)、タキサニンM(48mg)
【0026】
【化3】

【0027】無晶形物質[α]D−24°(メタノール)および10−デアセチルタキソール(38mg)が得られた。
【0028】実施例2(葉抽出物)
仙台市キャラボク生葉(3.09Kg)のメタノール(20lit.)粗抽出物(64.0g)から中性区分(32.0g)、カルボン酸区分(3.0g)、フェノール区分(6.5g)、アルカロイド区分(200mg)を得た。
【0029】中性区分を多量の酢酸エチルに溶解し放置するとタキシニンの結晶3.1gが得られた。この中性区分母液(14.3g)をシリカゲル・カラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン−酢酸エチル(2:1)にて溶出するとさらにタキシニンの結晶(約2.0g、0.17%/新鮮葉重)、mp270〜271℃(酢酸エチルより再結晶)が得られた。
【0030】さらに、ヘキサン−酢酸エチル(1:1)の溶出区分(2.0g)をTLC(ベンゼン−エーテル、1:1)で分取すると7,9,10,13−テトラアセトキシ−5−シンナモイロキシタキサ−4(20),11−ジエン(106mg)、mp175〜176℃(メタノールより再結晶)およびタキシニンJ【0031】
【化4】

【0032】〔66mg、mp260〜265℃(酢酸エチル−ヘキサンより再結晶)〕が得られた。
【0033】さらに、ヘキサン−酢酸エチル(1:1)で溶出を続けると油状物質(3.2g)を得た。この油状物質をTLC(クロロホルム−メタノール、10:1)で分取するとタキソール(150mg)が得られた。
【0034】最後に、クロロホルム−メタノール(5:1)で溶出される区分(4.3g)をTLC(ヘキサン−酢酸エチル、1:2)で分取するとタキソール(40mg)と10−デアセチルバカチンIII(2.0g)、【0035】
【化5】

【0036】mp.221〜223℃(エタノールより再結晶)が得られた。
【0037】アルカロイド区分(200mg)を少量のメタノールに溶かし、リンモリブデン酸液を加えると塩が沈澱した。あるいは、β−レゾルシン酸のエーテル溶液を加えると白色沈澱塩、mp142〜143℃(酢酸エチルより再結晶)が得られた。これを希アルカリ処理するとアルカロイド部が油状物質となった。これを酢酸エチルに溶かしTLC(CHCl3:MeOH=10:1)で分取すると少量のタキシン【0038】
【化6】

【0039】(HPLC分析、2.8mg/100g新鮮葉重、0.028%)とアルカロイド(2’−デアセトキシアウストロスピカチン,2'-deacetoxyaustrospicatine)
【0040】
【化7】

【0041】が結晶(約100mg)mp175〜176℃(イソプロピルエーテルより再結晶)、[α]D23+80.5°(c=0.6,CHCl3)として単離された。
【0042】実施例3富山県八尾市産キャラボク(メス株)の樹皮510gから中性区分970mgを得て、Fine SilC18-5カラムを用いてHPLC分析すると0.014%含量のタキソールが認められた。同様にオス株樹皮320gから中性区分153mgを得てHPLC分析したがタキソールは含まれていなかった。
【0043】実施例4ダイセンキャラボク樹皮1.0kgのメタノール抽出物からアルカロイド含有する中性区分3.23gを得て、HPLC分析に供したところ、タキソール含量は0.0028%であった。
【0044】ダイセンキャラボク葉5.9kgのメタノール抽出物からアルカロイド含有中性区分18.534gを得た。この4.544gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、タキソール含有区分1.496gを得た。後者をHPLC分析に供したところ、葉のタキソール含量は0.00015%の低濃度であった。
【0045】実施例5岩手県産キャラボク樹皮(メス株)871gのメタノール抽出物からアルカロイド含有中性区分6.1gを得た。これをHPLC分析に供したところ、タキソール含量は0.007%であった。
【0046】一方、オス株樹皮530gのメタノール抽出物からアルカロイド含有中性区分1.8gを得た。これをHPLC分析に供したところ、タキソールは認められなかった。
【0047】実施例6定山渓産キャラボク樹皮(199g)からタキサンアルカロイド(170mg)と中性区分(970mg)を得て、TLC(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)分離するとタキソールが得られた。
【0048】HPLC分析するとタキソール含量は0.02%であった。
【0049】定山渓産キャラボク葉(小枝付、2.48kg)のメタノール抽出(1回)物から中性区分5.88gを得て、HPLC分析するとタキソール含量は0.0005%であった。
【0050】実施例7焼尻島産キャラボク樹皮(641g)のメタノール抽出物から中性区分(3.9g)を得た。この3.1gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離するとグリセリド区分(469mg)、4(20),11−タキサジエン−5α,7β,9α,13α−ペンタノール,7,9,10,13,−テトラアセテート,5−シンナメート【0051】
【化8】

【0052】区分(302mg)を得た。
【0053】さらに得られるタキソール含有区分をTLCにより分離するとタキサジフィン(taxagifin)
【0054】
【化9】

【0055】m.p.265〜267℃ [α]D+7.5゜(Me0H)とタキソール(0.003%含量)を得た。
【0056】比較例1富山県産高木イチイの樹皮(2.49Kg)をメタノールで抽出し、抽出液を活性炭処理、濃縮した。濃縮液を酢酸エチルにて抽出すると粗抽出物(82g)が得られた。粗抽出物(65g)の酢酸エチル溶液を食塩半飽和の0.5%NaOH液で洗いカルボン酸およびフェノール区分を除き、5%メタノールを含有する5%HClで3回抽出するとアルカロイド区分(370mg)と中性区分(14.9g)が得られた。これを活性炭を上層したシルカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ベンゼン−酢酸エチル(1:1)で溶出すると、始めにβ−シトステロール、タキシニン、タキサンテルペノイドAおよびBが得られた。さらに、ベンゼン−酢酸エチル(1:1)で溶出しタキソール対応区分を得た。この区分を更にTLC(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で分取しタキソールRf値相当区分(90mg)を得た。
【0057】1H−NMR分析したがタキソールは含まれていなかった。
【0058】比較例2札幌市内イチイ樹皮(650g)より実施例1と同様にして中性区分(2.22g)を得て、TLC分析すると微量のタキソールの存在が認められた。




 

 


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