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発明の名称 複合薄膜及び薄膜の形成方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−228028
公開日 平成9年(1997)9月2日
出願番号 特願平8−37835
出願日 平成8年(1996)2月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
発明者 蓬原 正伸 / ▲吉▼岡 克昭 / 高井 治
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 窒素化合物と酸素化合物とにより構成されることを特徴とする複合薄膜。
【請求項2】 請求項1に記載の複合薄膜において、前記窒素化合物は、窒化亜鉛であり、前記酸素化合物は、酸化亜鉛であることを特徴とする複合薄膜。
【請求項3】 窒素、酸素、アルゴンの少なくとも1種のプラズマガスを用いてスパッタリング法により、窒素化合物薄膜、又は窒素化合物と酸素化合物とからなる薄膜を構成することを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項4】 請求項3に記載の薄膜形成方法において、前記窒素化合物は、窒化亜鉛であり、前記酸素化合物は、酸化亜鉛であることを特徴とする薄膜形成方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する分野】本発明は複合薄膜及び薄膜の形成方法、特に所望の光学バンドギャップ及び色を有する複合薄膜及び薄膜を形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒素化合物の1種である亜鉛窒素化合物のリン化亜鉛(Zn3 2 )や、酸素化合物の一種である酸化亜鉛(ZnO)については、結晶構造や化学特性等についての報告例が多い。例えば、Zn3 2 は、II−V族の亜鉛化合物であって、正方晶系アンチホタル石型の結晶構造であり、バンド構造が直接遷移型で、光学バンドギャップエネルギーEg(以下「Eg」という)が1.5eVであることが報告されている、更に、リン化亜鉛薄膜は、太陽電池用材料として注目されている。一方、ZnOは六方晶系ウルツ鉱型の結晶構造であり、バンド構造が直接遷移型で、Egは3.2eVであることが報告されている。また、酸化亜鉛薄膜は、誘電体材料として、また半導体材料として幅広く応用されている。
【0003】これら2種類の亜鉛化合物から類推すると、窒素化合物の一種である窒化亜鉛は興味深い物性を示すことが予想され、半導体材料、光素子材料等としての応用が期待される。
【0004】しかし、窒化亜鉛(Zn3 2 )は、研究例が少ない化合物のひとつであり、最初のZn3 2 の合成は、1940年にJuzaらによって行われた。近年では、本願発明者の高井により、窒化亜鉛薄膜の構造と物性が報告されている(高井治、『表面技術』 40(1) 98 (1989))。ここで、高井は、反応性高周波イオンプレーティング法により作製した窒化亜鉛薄膜が、オージェ電子分光法によりZn3 2 であることを確認し、更にこの薄膜は黄褐色ないし灰褐色であって、可視及び近赤外領域で光透過性があり、光機能素子材料として応用が期待されるものであると報告している。高井の用いた反応性高周波イオンプレーティング法は、通常、高周波により窒素プラズマを発生させると共に、タングステン(W)線性バスケットの抵抗加熱により純度99.9999%の亜鉛を窒素プラズマ中に蒸発させ、下方に置いた基板上に窒化亜鉛薄膜を形成する方法である。基板への成膜時間は60〜90分であり、成膜時の基板の温度は70〜140℃となる。
【0005】また、栗山らによってZn3 2 薄膜の光学バンドギャップについて報告されている(栗山ら、the American Physical Society, PYSICASL REVIEW B, 48(4)2781 (1993))。栗山らは、直接窒化法によりZn3 2 薄膜を成膜し、X線回析(XD)及びラザフォードの光散乱スペクトル(RBS)によりZn3 2 であることを確認している。栗山らが用いた直接窒化法は、基板上に亜鉛薄膜を成膜し、その後窒素雰囲気下でアンモニアガス(NH3 )を吹き付けながら、基板を加熱し、基板に成膜された亜鉛薄膜を410℃で4時間アニーリングしてZn32 薄膜を得る方法である。従って、基板は、特に耐熱性の高い金属板、石英板、耐熱ガラス板等が用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、栗山らの成膜方法は、高温で成膜されるために、基板の材質が限定されてしまい、用途の応用範囲が限定されてしまうという問題があった。更に、高井の用いた反応性高周波イオンプレーティング法では、アモルファス(非晶質)の膜しか生成できていない。
【0007】また、上記のいずれの成膜方法でも、単一の化合物の薄膜しか生成できず、単一のEgしか得られない。このため、この薄膜だけで、半導体として使用することは不可能であった。半導体材料としては、Egが2.0〜6.0eVまで制御可能な III−V族の例えばGnN−InN薄膜が一般的であるが、 III−V族の化合物は高価であり、用途が限定されてしまうという問題があった。また、Egが2.0では、可視光を完全に遮断することはできず、このため黒色の膜を基板に形成することはできない。
【0008】また、上記成膜方法では、単一の化合物薄膜しか基板に形成できない。一般に、基板の装飾材料としては、IV−V族のTiN、ZrN、HfN及びこれに類する化合物の薄膜が知られているが、やはり高価であるために、用途が限定されるという問題があった。
【0009】本発明は上記従来の課題に鑑みたものであり、その目的は、所望のバンドギャップや色を有する化合物からなる複合薄膜、及び低温で薄膜を基板に成膜すると共に、所望のバンドギャップや色を有する化合物からなる薄膜を形成する薄膜の形成方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明の複合薄膜は、窒素化合物と酸素化合物とにより構成される。従って、窒素化合物と酸素化合物との組成比によって、所望のバンドギャップと色を有する化合物の薄膜を生成できる。
【0011】また、本発明の複合薄膜は、前記窒素化合物が窒化亜鉛であり、前記酸素化合物が酸化亜鉛である。従って、資源的にも豊富であり安価な亜鉛を用いて、窒化亜鉛と酸化亜鉛との混合比を変えるだけで、上記同様所望のバンドギャップと色を有する化合物の薄膜を生成できる。
【0012】更に、本発明の薄膜形成方法は、窒素、酸素、アルゴンの少なくとも1種のプラズマガスを用いてスパッタリング法により、窒素化合物薄膜、又は窒素化合物と酸素化合物とからなる薄膜を構成する。従って、プラズマガスを任意に選択することによって、窒素化合物薄膜、又は窒素化合物と酸素化合物とからなる薄膜を成膜することができる。また、スパッタリング法は、プラズマガスを所望の比率に変えながら、処理系内に導入することが容易であるため、窒素と酸素の混合プラズマガスの混合比率を変えることにより、上記同様所望の光学バンドギャップエネルギーと色を有する化合物の薄膜を基板に形成できる。また、スパッタリング法は、低温成膜が可能で、また大面積の成膜が可能であるため、成膜させる基板の材質は、従来のように制約されることなく、また工業的にも即利用可能な成膜方法であるという利点がある。
【0013】また、本発明の薄膜形成方法は、前記窒素化合物が窒化亜鉛であり、前記酸素化合物が酸化亜鉛である。従って、窒素と酸素の混合プラズマガスにおいて、その2つのガスの混合比率を変えることによって、資源的にも豊富であり安価な亜鉛を用いて、窒化亜鉛と酸化亜鉛との混合比を変え、上記同様所望のバンドギャップと色を有する化合物の薄膜を生成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の複合薄膜は、窒素化合物と酸素化合物とにより構成され、好ましくは窒素化合物が窒化亜鉛(Zn3 2 )であり、酸素化合物が酸化亜鉛(ZnO)である。また、本発明の複合薄膜が、窒化亜鉛(Zn3 2 )と酸化亜鉛(ZnO)とからなる場合、窒化亜鉛と酸化亜鉛の膜組成比率に応じて、その複合薄膜の光学バンドギャップエネルギーEg(以下「Eg」という)は、1.2eV〜3.2eVの範囲となる。尚、通常窒化亜鉛のEgは1.2eVであり、酸化亜鉛のEgは3.2eVである。更に、窒化亜鉛に対して酸化亜鉛の膜組成比率が高くなるにつれて、その薄膜の色は、黒色〜赤褐色〜赤色〜橙色〜黄色〜透明へと変化する。
【0015】従って、本発明の複合薄膜は、窒化亜鉛と酸化亜鉛の膜組成比率を変えることによってEgを1.2eV〜3.2eVの範囲内で制御可能となるため、オプトエレクトロニクス、例えば太陽電池や、発光素子(EL,PL)、スイッチング素子、整流素子等の半導体材料として用いることができる。更に、上述のように窒化亜鉛と酸化亜鉛の膜組成比率を変えて薄膜の色を変化させることができるため、光学機能ガラス、例えば選択透明膜、黒色膜(CF、可視光吸収膜)にも応用でき、また装飾材料としても応用できる。
【0016】また、本発明の複合薄膜の膜厚は、0.05〜1μmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmである。複合薄膜の膜厚が0.05μm未満の場合には、透明性は得られるが、吸収が不十分で淡色になるほど色が認識しにくくなるという不都合があり、一方膜厚が1μmを越える場合には、微細なクラックが入りやすくなり、透明性に支障が出る、また、基板が樹脂膜では、物性(密着性、折り曲げ性等)に問題が生じるという不都合がある。
【0017】また、本発明の薄膜形成方法は、窒素、酸素、アルゴンの少なくとも1種のプラズマガスを用いてスパッタリング法により、窒素化合物薄膜、又は窒素化合物と酸素化合物とからなる薄膜、好ましくは窒化亜鉛薄膜、又は窒化亜鉛と酸化亜鉛からなる薄膜を構成する方法である。
【0018】以下に、本発明の薄膜形成方法について説明する。
【0019】本発明の薄膜形成方法は、上述したようにスパッタリング法を用いるが、本発明に用いることができるスパッタリング法は、大きく分けてプラズマ方式とビーム方式とがある。プラズマ方式としては、高周波スパッタリング法(例えば図1に示す二極スパッタリング法)、高周波マグネトロンスパッタリング法(図2に示す方法)、反応性スパッタリング法等が挙げられ、またビーム方式としては、イオンビームスパッタリング法等が挙げられる。尚、図1及び図2において、DCとは直流のことであり、RFは高周波のことである。
【0020】上記高周波スパッタリング法は、以下に示す工程により基板に薄膜を形成方法である。すなわち、まず基板を洗浄した後、図1に示すように、基板1とターゲット2とをスパッタリングチェンバ5(以下「チェンバ5」という)内に取り付ける。このとき、基板1とターゲット2との距離は、約30〜150mmであることが好ましい。その後、チェンバ5内を排気して約10-4Paとする。次いで、ガス注入口3からアルゴンガスをチェンバ5内に注入し、高周波によりアルゴンガスをプラズマ化する。そして、このプラズマによってターゲット2の表面をプレエッチングする。尚、ここでターゲットとは、薄膜を成膜する際の金属供給源をいう。ターゲット2のプレエッチングの後、再度チェンバ5を排気して約10-4Paとし、プラズマガスをチェンバ5内に導入して成膜を開始する。所望の組成の薄膜を所定の膜厚に成膜した後、必要により冷却してから基板1をチェンバ5より取り出す。
【0021】チェンバ5内のプラズマガス導入時のトータル圧力は0.5〜10Paであり、好ましくは0.6〜5Paである。トータル圧力が0.5Pa未満の場合には、プラズマが安定しないという不都合があり、一方10Paを越える場合には、経済的な無駄が生じることと成膜時間が短すぎ、膜厚制御が困難になるという不都合がある。
【0022】また、本発明の薄膜の形成方法において、基板の温度は、室温(約25℃)〜60℃で十分に基板に薄膜を形成できるが、薄膜形成速度を上げる場合には、上記以上の温度で行ってもよく、例えば約150℃(423K)で行ってもよい。従って、本発明の薄膜形成方法によれば、成膜時の基板の温度を低温に抑えることができるので、基板の材質の選択の幅が広がる。従って、新たに例えば一般ガラス、樹脂膜、非耐熱性の金属等を用いることができ、更に従来使用していた耐熱性の金属や、石英ガラス等も当然使用することができる。このため、上述した利用分野の素材の基板としてプラスチック素材から無機素材まで幅広い用いることができるという利点がある。
【0023】上記プラズマガスとしては、窒素、酸素、アルゴンの少なくとも1種のプラズマガスが好ましく、また上記ガスを2種混合したプラズマガスがより好ましい。2種混合のプラズマガスとしては、窒素/アルゴン(N2 /Ar)、窒素/酸素(N2 /O2 )、酸素/アルゴン(O2 /Ar)が挙げられる。
【0024】窒素/アルゴン(N2 /Ar)をプラズマガスとし、ターゲットとして純金属を用いた場合には、窒素化合物からなる薄膜が基板に成膜される。また、ターゲットとして金属酸化物を用いる場合には、窒素化合物と酸素化合物とからなる薄膜が基板に成膜される。従って、ターゲットとして亜鉛を用いた場合には、窒化亜鉛の薄膜が基板に成膜される。またターゲットとして酸化亜鉛を用いた場合には、窒化亜鉛と酸化亜鉛とからなる薄膜が基板に成膜される。ここで、プラズマガス中の窒素ガス濃度は2.5〜100%であることが好ましく、より好ましくは20〜100%である。窒素ガス濃度が2.5%未満の場合には、窒素化合物が成膜せず、金属膜が成膜される。尚、窒素ガスを20%以上とすることにより、例えば窒化亜鉛の薄膜の場合には多結晶の薄膜が工業的に安定して得られる。
【0025】また、窒素/酸素(N2 /O2 )をプラズマガスとし、ターゲットとして純金属、金属酸化物、金属窒化物のいずれを用いた場合においても、窒素化合物と酸素化合物からなる薄膜が基板に成膜される。従って、ターゲットとして、亜鉛、酸化亜鉛、窒化亜鉛のいずれを用いた場合でも、窒化亜鉛と酸化亜鉛からなる薄膜が基板に成膜される。
【0026】更に、酸素/アルゴン(O2 /Ar)をプラズマガスとし、ターゲットとして金属窒化物を用いた場合、窒素化合物と酸素化合物からなる薄膜が基板に成膜される。従って、ターゲットとして、窒化亜鉛を用いた場合、窒化亜鉛と酸化亜鉛からなる薄膜が基板に成膜される。
【0027】従って、本発明の薄膜の形成方法によれば、上述のプラズマガスの組み合わせから任意の混合プラズマガスを選択することにより、所望の窒素化合物単独薄膜、及び窒素化合物と酸素化合物とからなる複合薄膜を容易に基板に形成することができる。更に、複合薄膜を基板に形成する場合に、プラズマガスの窒素ガスと酸素ガスの混合比率を変えることにより、また酸素化合物のターゲットとプラズマガス中の窒素ガスの濃度を調整することによって、容易に複合薄膜中の窒素化合物と酸素化合物との組成比率を制御することができる。また、成膜中に、プラズマガスの窒素ガスと酸素ガスの混合比率を変えていくことにより、またターゲットを酸素化合物にした場合には、プラズマガス中の窒素ガス濃度を変化させていくことにより、連続的に組成の異なる薄膜や、組成の異なる多層構造の薄膜を容易に基板上に形成することができる。
【0028】また、本発明の薄膜形成方法において、ターゲットの金属の種類を変えながら基板にスパッタリング法により多層構造の薄膜を形成することもできるし、またターゲットの金属を複数同時に蒸発させて基板に薄膜を形成してもよい。
【0029】尚、上述のEgは、以下に示す方法により求められる。
【0030】
【数1】(hνα)2 =β(hνα・Eg)
(式中、hν:光子エネルギー,α:吸収係数,Eg:光学バンドギャップエネルギー,β:遷移型を特徴付けるパラメータであり簡易的に定数として扱うことができる。)
上記吸収端波長近傍の光エネルギーとの関係を示す式に、まず薄膜の透過スペクトルから吸収係数αを計算して代入し、更に実験により求められたhνを代入して、hνを横軸、(hνα)2 を縦軸にして吸収端近傍の吸収係数と光子エネルギーとの関係をプロットしていく。この各値がプロットされたグラフにおいて、広いエネルギー範囲で直線関係が成り立つが、この直線部分を延長させ、(hνα)2 =0と交わる点のhν(eV)の値をEgとする。
【0031】また、本発明の薄膜の形成方法における成膜処理時間は、例えば基板上に膜厚0.2μmの薄膜を形成に当たり、約30分〜100分である。
【0032】更に、請求項に記載以外の本発明の好ましい他の実施態様を以下に示す。
【0033】1.窒化亜鉛(Zn3 2 )と酸化亜鉛(ZnO)とからなる複合薄膜の光学バンドギャップエネルギーEgは、窒化亜鉛と酸化亜鉛の膜組成比率に応じて、1.2eV〜3.2eVの範囲である。
【0034】2.窒化亜鉛(Zn3 2 )と酸化亜鉛(ZnO)とからなる複合薄膜の色は、窒化亜鉛に対して酸化亜鉛の膜組成比率が高くなるに連れて、黒色〜赤褐色〜赤色〜橙色〜黄色〜透明へと変化する。
【0035】3.窒素化合物と酸素化合物とにより構成される複合薄膜の膜厚は、0.05〜1μmである。
【0036】4.窒素化合物と酸素化合物とにより構成される複合薄膜の膜厚は、0.1〜0.5μmである。
【0037】5.薄膜の形成方法は、窒素/アルゴン(N2 /Ar)、窒素/酸素(N2 /O2 )、酸素/アルゴン(O2 /Ar)のいずれかの混合ガスからなるプラズマガスを用いてスパッタリング法により、窒素化合物薄膜、又は窒素化合物と酸素化合物とからなる薄膜を構成する方法である。
【0038】6.薄膜の形成方法は、窒素/アルゴン(N2 /Ar)、窒素/酸素(N2 /O2 )、酸素/アルゴン(O2 /Ar)のいずれかの混合ガスからなるプラズマガスを用いてスパッタリング法により、窒化亜鉛薄膜、又は窒化亜鉛と酸化亜鉛からなる薄膜を構成する方法である。
【0039】7.薄膜の形成方法において、窒素/アルゴン(N2 /Ar)の混合ガスからなるプラズマガスを用いてスパッタリング法により、窒化亜鉛薄膜、又は窒化亜鉛と酸化亜鉛からなる薄膜を構成するとき、プラズマガス中の窒素ガス濃度は2.5〜100%である。
【0040】8.薄膜の形成方法において、窒素/アルゴン(N2 /Ar)の混合ガスからなるプラズマガスを用いてスパッタリング法により、窒化亜鉛薄膜、又は窒化亜鉛と酸化亜鉛からなる薄膜を構成するとき、プラズマガス中の窒素ガス濃度は20〜100%である。
【0041】9.薄膜の形成方法において、薄膜が形成される基板の温度は、室温(約25℃)〜60℃である。
【0042】10.薄膜の形成方法において、薄膜形成速度を上げて薄膜を基板に形成する時の基板の温度は、60〜200℃である。
【0043】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0044】実施例1〜14基板
■PET(ポリエチレンテレフタレート)膜:透明なPET膜(膜厚2mm)
■ITO薄膜(透明導電膜の1種):市販のITO薄膜■ガラス板: 市販の硼珪酸ガラスターゲット
■亜鉛 : 高純度亜鉛金属ディスク(純度99.9999%)
■酸化亜鉛: 高純度酸化亜鉛(純度99.99%)を焼結法によりステンレスディスク上に固定した酸化亜鉛ディスク薄膜の形成工程;本実施例では、図2に示す高周波マグネトロンスパッタリング法を用いて薄膜を形成した。まず、基板を洗浄した後、図2に示すように、マグネット4上にターゲット2を載せ、また基板1もスパッタリングチェンバ5(以下「チェンバ5」という)内に取り付けた。このときの基板1とターゲット2との間の距離は70mmであった。その後、チェンバ5内を排気して5×10-4Paとした。次いで、高周波を25Wで出力している状態で、ガス注入口3からアルゴンガスをチェンバ内に注入し(アルゴンガスの圧力0.6Pa)、高周波によりアルゴンガスをプラズマ化した。そして、このプラズマによってターゲット2の表面を20分間プレエッチングした。このターゲット2のプレエッチングの後、再度チェンバ5を排気して5×10-4Paとし、所定の組成比のプラズマガスをチェンバ5内に導入して成膜を開始した。薄膜形成条件、すなわちプラズマガスの組成、ターゲット、基板、基板の温度等は表1に示す通りである。尚、処理時間は、薄膜の膜厚が0.2μmとなるような時間に設定した。所望の組成の薄膜を所定の膜厚に成膜した後、冷却してから基板1をチェンバ5より取り出し、その性能について評価した。
【0045】尚、基板に形成された薄膜の構造については、X線回折(XD)測定及びX線電子分光分析(XPS)により確認し、更に薄膜の組成についてはX線電子分光分析(XPS)により確認した。成膜された薄膜の光学的性質は、分光光度計によって透過スペクトルを測定した。透過率の測定には、基板に用いた硼珪酸ガラス板をブランクに用いた。
【0046】評価項目
(1)光学バンドギャップエネルギーEg;上述したように、光エネルギーと吸収関数の関係を実験により求め、直線部分にY=0((hνα)2 =0)を外挿してEgを求めた。
【0047】(2)薄膜の色;外観目視により判定した。
【0048】(3)吸収端波長;得られた薄膜の透過スペクトルを、測定波長3200〜300nm間で測定し、横軸に測定波長、縦軸に透過率を取り、透過率を得た。得られたスペクトルから吸収され始めた部分からの直線部分を延長させ、x軸と交わる波長の値を吸収端波長とした。
【0049】以上のような評価を行い、その結果も合わせて表1に示した。
【0050】
【表1】

これらの結果から、本発明の複合薄膜及び薄膜の形成方法によれば、Egを1.2eV〜3.2eVの範囲で所望のEgの薄膜を基板に形成でき、更に薄膜を所望の色に形成することができることが判明した。また、本発明の複合薄膜によれば、上記結果からも分かるように、任意の可視光を遮断する選択透過膜としての利用も可能である。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る複合薄膜によれば、複合薄膜の窒素化合物と酸素化合物との組成比によって、所望のバンドギャップと色を有する化合物の薄膜を容易に生成できる。
【0052】また、本発明に係る薄膜の形成方法によれば、窒素、酸素、アルゴンの少なくとも1種のプラズマガスとして、プラズマガスを任意に選択することにより、窒素化合物薄膜、又は窒素化合物と酸素化合物とからなる薄膜を成膜することができる。また、スパッタリング法は、プラズマガスを所望の比率に変えながら、処理系内に導入することが容易であるため、窒素と酸素の混合プラズマガスの混合比率を変えることにより、上記同様所望の光学バンドギャップエネルギーと色を有する化合物の薄膜を生成できる。また、スパッタリング法は、低温成膜が可能で、また大面積の成膜が可能であるため、成膜させる基板の材質は、従来に比べ制約されるなくなり、また工業的にも上記成膜方法を用いることができるという利点がある。
【0053】更に、プラズマガスの組成比を経時で変化させることにより、連続的に組成の異なる薄膜や、組成の異なる多層構造の薄膜を容易に基板に形成することができる。




 

 


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