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発明の名称 ポリカルボジイミド溶液の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−52928
公開日 平成9年(1997)2月25日
出願番号 特願平7−208689
出願日 平成7年(1995)8月16日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚男 (外2名)
発明者 滝口 泰之 / 八幡 健 / 三好 洋 / 河本 泰良 / 林田 章
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 下記一般式で表される芳香族カルボン酸エステルを溶媒とし、カルボジイミド化触媒の存在下で加熱して、有機ジイソシアネートを重合するポリカルボジイミド溶液の製造方法。
【化1】

式中、Rはアルキル基又はアリール基、R’は水素又はアルキル基を表す。
【請求項2】 上記ポリカルボジイミドが8, 000以上20, 000未満の数平均分子量を有し、保存安定性の高いことを特徴とする請求項1記載のポリカルボジイミド溶液の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族カルボン酸エステルを溶媒として、芳香族ジイソシアネートを重合させて、ポリカルボジイミドを溶液の状態で得る製造方法に関する。本発明の方法は、耐熱性の高い有機ポリカルボジイミド樹脂の製造などの分野に利用可能である。
【0002】
【従来の技術】ポリカルボジイミドの製造方法については、これまでいくつかの報告がある。T.W.Campbellら(J.Org.Chem.,28, 2069−2075, 1963)は、デカリン、キシレン、キシレン−ジメチルスルホキシド混合溶媒を用いて還流温度で重合反応を行い、目的物を沈殿生成物として得ている。しかしながら、この方法では、ポリカルボジイミドが不溶・不融の状態となり、加工に不適当である。
【0003】天野ら(特開平2−292316号公報)及び今城ら(特開平5−178954号公報)は、重合溶媒にテトラクロロエチレンやトリクロロエチレン等の塩素化脂肪族炭化水素又はテトラヒドロフランやジオキサンなどの脂環式エーテルを用いることで、ポリカルボジイミドを高分子量領域まで安定な溶液状態で得ることを開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレンなどの塩素化脂肪族溶媒は、難分解性物質として水質汚染を引き起こすことが問題となっており、その使用が制限されている。また、脂環式エーテルは価格が高く、過酸化物の生成が危惧される。このような点から、非塩素系溶媒を用いて高分子量のポリカルボジイミドを溶液状態で安定に得る方法が望まれている。そこで本発明の目的は、非塩素系溶媒を用いて保存安定性に優れたポリカルボジイミド溶液の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、発明者らは、ポリカルボジイミド溶液からの沈殿の形成が、溶媒の種類及びポリマーの分子量と密接な関係があり、重合反応により平均分子量がある制限値を越えたときに沈殿が生じることを発見した。また、この重合反応の速度は温度に強く依存する。これらの点を考慮しながら高分子量のポリカルボジイミドを溶液状態で安定に維持できる非塩素系溶媒の検討を行った結果、芳香族カルボン酸エステルが良好な結果をもたらすことを発見した。
【0006】すなわち、本発明者らは、種々の非塩素系溶媒を鋭意検討したところ、従来天野らや今城らが用いた塩素化脂肪族化合物だけでなく、芳香族カルボン酸エステルを溶媒としても、100℃から140℃で芳香族ジイソシアネートを重合させた場合に数平均分子量が8、000以上20, 000未満のポリカルボジイミドが溶液状態で得られ、1週間以上室温において放置しても沈殿の発生やゲル化が観察されないことがわかった。すなわち、本発明者らは、芳香族カルボン酸エステル、特に、安息香酸エステルを溶媒として反応条件を制御することによって、ポリカルボジイミドを安定な溶液状態で得る方法を確立した。
【0007】本発明は、カルボジイミド化触媒の存在下で加熱して有機ジイソシアネートからポリカルボジイミドを合成する方法であって、下記一般式で表される芳香族カルボン酸エステルを溶媒として用い、生成するポリカルボジイミドが8, 000以上20, 000未満の数平均分子量を有し、保存安定性の高いことを特徴とするポリカルボジイミド溶液の製造方法を提供する。
【0008】
【化2】

式中、Rはアルキル基又はアリール基、R’は水素又はアルキル基を表す。
【0009】本発明のポリカルボジイミド溶液の製造方法によれば、脂環式エーテルに比べ価格が安く、環境に対する影響が少ない非塩素系溶媒を用いて、高分子量のポリカルボジイミドを溶液状態で得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】溶媒として用いる芳香族カルボン酸エステルとしては、特に安息香酸エステル、すなわち、安息香酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸ブチル及び安息香酸ベンジルなどが好適である。沸点の低さ、溶液の色、生じるポリカルボジイミドの分子量と安定性などの点を総合して判断すると、特に好ましいのは、安息香酸エチルである。
【0011】本発明において用いられる原料化合物となる有機ジイソシアネートには、2,4−トリレンジイソシアネート単独及び2, 4−トリレンジイソシアネートと2, 6−トリレンジイソシアネートの混合物などが挙げられ、これらの有機ジイソシアネートを溶媒に対し1〜20w/v%、好ましくは5〜15w/v%添加する。溶媒に対する有機ジイソシアネートの添加量は、1w/v%未満では経済的でなく、かつ、重合速度を低下させ、20w/v%以上ではゲル化や固体の析出が観察されるので好ましくない。
【0012】触媒には、3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキシド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド及び3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド等の環状ホスフィンオキシドが挙げられ、特に好ましいのは3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキシドである。これらの触媒を有機ジイソシアネートに対して0. 05〜0. 20mol%添加する。
【0013】溶媒である芳香族カルボン酸エステルに触媒及び有機ジイソシアネートを添加して、攪拌しながら加熱して100℃〜140℃、好ましくは110℃〜130℃の範囲内の一定温度に保ち、3時間から12時間加熱することによりポリカルボジイミドを数平均分子量8, 000〜20, 000の溶液状態として得ることができる。得られたポリカルボジイミド溶液は、少なくとも1週間以上室温において放置しても、溶液状態を保つことが可能である。
【0014】反応温度、触媒濃度、及び反応時間などの反応条件が上記の範囲の上限を越えると、ポリカルボジイミドの数平均分子量が20, 000を越え、不溶・不融の固体として析出する。また、下限未満であると、平均分子量が8, 000未満となって、膜の成形性や強度が著しく低下するので好ましくない。
【0015】以上のことから非塩素系溶剤である安息香酸エステルを用いて、重合条件を制御することにより、数平均分子量が8, 000〜20, 000の範囲のポリカルボジイミドを溶液状態で安定に得られることが可能となる。なお、ここで、数平均分子量の測定には、ゲル浸透クロマトグラフィーなどを用いることができる。
【0016】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、これらにより本発明を制限するものではない。
【0017】実施例1100mlの四ツ口フラスコに2, 4体と2, 6体を80:20の比率で含有するトリレンジイソシアネート(以下、「TDI−80」と略す)5. 40gを48mlの安息香酸エチルに加えて混合し、窒素雰囲気で攪拌しながら室温から110℃まで15分間で昇温した。次いで、この混合物に3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキシド(MPPO)をTDI−80に対して0.20mol%含む安息香酸エチル溶液2mlを加えて110℃で重合反応を開始させた。そして、一定時間毎にサンプリングを行い、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す)によって数平均分子量(以下、「Mn」と略す)を経時的に測定した。反応時間とMnの関係を図1に示す。反応6時間目でMnが9, 530のポリカルボジイミドを溶液状態で得た。室温まで冷却したところ、わずかに濁りのある粘稠な液体となった。この反応液は、2週間室温で放置しても沈殿を生じずに液状を保った。反応6時間目のポリカルボジイミドの赤外吸収スペクトル(以下、「IR」と略す)及びGPCをそれぞれ図2及び図3に示す。図2において,2142cm-1にカルボジイミド由来の強い吸収を示したが、原料のイソシアネートに由来する2272cm-1の吸収は、認められなかった。図3では、Aはポリカルボジイミドのピークを示し、Bは溶媒である安息香酸エチルのピークを示す。以下のポリカルボジイミドの分子量の測定では、分子量マーカーとして分子量既知のポリスチレンを用い、3次関数の近似式から分子量を求めた。
【0018】実施例2安息香酸メチルを溶媒として、実施例1と同一の条件で反応を行った。反応12時間目にMnは11, 200に達した。Mnの経時変化を図1に示す。安息香酸エチルを溶媒として用いた場合と比べて、重合速度は2倍程度遅かった。IRでは、イソシアネート由来のピークがわずかに認められた。反応液は少し濁度を持っていたが、1週間室温で放置しても、沈殿を生じずに溶液状態を保った。
【0019】実施例3安息香酸ブチルを溶媒として、実施例1と同一の条件で反応を行った。その結果、反応9時間目にMnは9, 590に達した。Mnの経時変化を図1に示す。重合速度は、安息香酸エチルを溶媒に用いた場合と安息香酸メチルを溶媒に用いた場合の中間的な速さであった。IRでは、イソシアネート由来のピークがわずかに認められた。反応液は、1週間室温で放置しても、沈殿を生じずに溶液状態を保った。
【0020】実施例4安息香酸ベンジルを溶媒として、実施例1と同一の条件で反応を行った。その結果、反応6時間目にMnは15, 400に達した。Mnの経時変化を図4に示す。重合速度は、安息香酸エチルを溶媒に用いた場合とほぼ同じであった。IRでは、イソシアネート由来のピークは全く観察されなかった。反応液は、透明度のある褐色の溶液で、2週間室温で放置しても、沈殿を生じずに溶液状態を保った。以上、実施例1から4までの結果を表1に示す。
【0021】
【表1】

【0022】実施例5安息香酸エチルを溶媒として、反応を120℃で行う以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。Mnの経時変化を図5に示す。Mnは反応4時間目で7,100、5時間目で17, 900と増加した。反応液は5時間目までは透明な溶液状態を保った。しかし、Mnが20, 000を越えたと思われる反応5. 4時間目に、溶液が急速に白濁し、寒天状の固体が析出した。また、反応6時間目の反応液の濾液に含まれていたポリカルボジイミドのMnは、19, 300であったが、GPC測定に当たって寒天状白色固体は濾過によって排除されるため、実際の分子量は、20, 000以上の高い値と推定された。
【0023】実施例6安息香酸エチルを溶媒として、反応を130℃で行う以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。Mnの経時変化を図5に示す。Mnは反応2時間目で5,600、3時間目で19, 100と増加した。反応液は3時間目までは透明な溶液状体を保った。しかし、Mnが20, 000を越えたと思われる反応3. 4時間目に、溶液が急速に白濁し、寒天状の固体が析出した。また、反応3. 2時間目の反応液の濾液に含まれていたポリカルボジイミドのMnは、18, 700であったが、GPC測定に当たって寒天状白色固体は濾過によって排除されるため、実際の分子量は、20, 000以上の高い値と推定された。また、反応3時間目と反応5時間目のIRでは、イソシアネート由来のピークは痕跡程度しか認められなかった。
【0024】実施例5及び6の結果を実施例1の結果とともに表2に示す。実施例5及び実施例6の結果より、安息香酸エチルに溶解できるポリカルボジイミドのMnは、約20, 000であると推定された。また、図5に示すように、120℃及び130℃で反応を行っても、反応時間を調節することによって、ポリカルボジイミドの分子量を好適な範囲に調節でき、溶液状態として得ることが可能であった。
【0025】
【表2】

【0026】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明による有機ジイソシアネートの量、触媒量、反応温度及び反応時間を十分制御することにより、平均分子量が8, 000から20, 000の範囲に調製された保存安定性の高いポリカルボジイミド溶液を得ることができる。また、安息香酸エチル及び安息香酸メチルのような芳香族カルボン酸エステルを溶媒として用いて、ポリカルボジイミド溶液を製造することにより、環境保全問題に対応することが可能であり、工業的にもコストの低減を実現できる。




 

 


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