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発明の名称 動力伝達装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−58287
公開日 平成9年(1997)3月4日
出願番号 特願平7−214447
出願日 平成7年(1995)8月23日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
発明者 松波 辰哉
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 相対回転可能に設けられた一対の回転部材間に配設され、両者の相対回転数に応じて動力伝達を行う動力伝達装置であって、ビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングの両方を含んで構成されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】 ビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングが直列または並列に連結されている請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】 前輪および後輪の一方が駆動輪で他方が遊動輪とされているが、該駆動輪と遊動輪との間で相対回転が生じた場合には、連結手段により両者を連結して該遊動輪にも動力を伝達するスタンバイ4WDにおいて、該連結手段として用いられる請求項1または2に記載の動力伝達装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動力伝達装置に係り、特に、相対回転数に応じて動力伝達を行う動力伝達装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】相対回転可能に設けられた一対の回転部材間に配設され、両者の相対回転数に応じて動力伝達を行う動力伝達装置が、例えば車両の前後輪の差動や左右輪の差動を制限する差動制限手段、或いはスタンバイ4WDの前後輪を連結する連結手段などとして広く用いられている。スタンバイ4WDは、基本的には前輪および後輪の一方(通常は前輪)が駆動輪で他方が遊動輪とされているが、スリップなどで駆動輪と遊動輪との間で相対回転が生じた場合には、連結手段により両者を連結してその遊動輪にも動力を伝達するようにした車両のことである。
【0003】上記のような動力伝達装置としては、シリコンオイル等の高粘性のビスカス流体の剪断抵抗力を利用したビスカスカップリングや、外力が加えられると膨張,固化するダイラタンシー(dilatancy) 現象を利用したダイラタンシー性流体カップリングなどが知られている。また、容量が異なる一対のビスカスカップリングを組み合わせて使用したり、ビスカスカップリングと遠心クラッチとを組み合わせて使用したりすることが、例えば特開平3−139438号公報、特開平5−149350号公報等に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビスカスカップリング同士の組合せでは、相対回転数に対する伝達トルクの変化特性が基本的に共通しているため、特性の設定の自由度が低く、差動制限手段など使用条件に応じて所望の特性を設定することが難しかった。例えば、車両の差動制限手段やスタンバイ4WDの連結手段として用いる場合、低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能の点では比較的高い伝達トルク(差動制限トルク)が要求される一方、タイトコーナーブレーキング現象を回避する上では伝達トルクは低い方が良く、両者の調和の上で伝達トルク特性が設定されるため、必ずしも十分に満足できるものではなかった。また、車輪が脱輪したときの緊急脱出のためには、上記低μ路などでの伝達トルクよりも更に高いトルクが求められるが、その高トルクとタイトコーナーブレーキング現象回避とを両立させることは困難である。ビスカスカップリングの伝達トルク特性は、その外径寸法や内径寸法、プレートの数、隙間、流体の粘性、空気の混入率などによって変化し、空気の混入率を適当に設定することによりハンプ現象を生じさせることができ、高伝達トルクが得られるが、ハンプ現象が生じる相対回転数とその相対回転数に達するまでの伝達トルク特性とを独立に設定することはできない。
【0005】ビスカスカップリングと遠心クラッチとを組み合わせたものについては、遠心クラッチは車速によって係合,解放されるため、上記のような相対回転数に対する伝達トルク特性に関してはビスカスカップリングのみによって定まり、その設定の自由度は小さい。
【0006】本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、相対回転数に対する伝達トルク特性の設定の自由度を高くし、使用場所や使用条件などに応じて所望の伝達トルク特性を容易に設定できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、第1発明は、相対回転可能に設けられた一対の回転部材間に配設され、両者の相対回転数に応じて動力伝達を行う動力伝達装置であって、ビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングの両方を含んで構成されていることを特徴とする。
【0008】第2発明は、上記第1発明の動力伝達装置において、ビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングが直列または並列に連結されていることを特徴とする。
【0009】第3発明は、前輪および後輪の一方が駆動輪で他方が遊動輪とされているが、その駆動輪と遊動輪との間で相対回転が生じた場合には、連結手段により両者を連結してその遊動輪にも動力を伝達するスタンバイ4WDにおいて、その連結手段として上記第1発明または第2発明の動力伝達装置が用いられることを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】ビスカスカップリングは相対回転数に対して伝達トルクが比較的滑らかに変化する特性を有するのに対し、ダイラタンシー性流体カップリングは所定の相対回転数で伝達トルクが急激に変化する特性を有するため、両者の伝達トルク特性は全く相違し、それ等を直列に連結したり並列に連結したりすることより伝達トルク特性の設定の自由度が大幅に向上する。これにより、使用場所や使用条件などに応じて所望の伝達トルク特性を比較的容易に設定できるようになる。
【0011】スタンバイ4WDの連結手段として用いられる第3発明では、例えばダイラタンシー性流体カップリングおよびビスカスカップリングを直列に配置した場合、低相対回転数での伝達トルクはダイラタンシー性流体カップリングの作用で略零となり、タイトコーナーブレーキング現象が完全に防止されるとともに、所定の相対回転数以上ではビスカスカップリングの伝達トルク特性が有効となって伝達トルクが滑らかに上昇させられ、脱輪時などにおける車両の急発進を回避しつつ低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能を満足させることができる。ビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングを並列に配置した場合には、所定の相対回転数まではビスカスカップリングにより比較的小さい伝達トルクで動力伝達が行われ、低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能を満足させつつタイトコーナーブレーキング現象を回避できるとともに、所定の相対回転数以上ではダイラタンシー性流体カップリングにより大きな伝達トルクで動力伝達が行われることにより脱輪時の緊急脱出が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の動力伝達装置は、ビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングを並列に連結する場合、例えば(a)前記一対の回転部材の一方と一体的に軸心まわりに回転させられるシャフトと、(b)そのシャフトの外周側に相対回転可能に配設され、前記一対の回転部材の他方と一体的に回転させられるとともに、そのシャフトの軸方向に隔ててそのシャフトの外周面との間に2つの液密なカップリング収容室を形成するケースと、(c)その2つのカップリング収容室の一方および他方にそれぞれ配設されるビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングとを有して構成される。すなわち、ビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングを、単一のケースとシャフトとの間に並列に配設するのであり、装置がコンパクトに構成される。
【0013】また、ビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングを直列に連結する場合は、例えば(a)軸心まわりの回転可能なシャフトと、(b)そのシャフトの外周側に相対回転可能に配設され、前記一対の回転部材の一方と一体的に回転させられるとともに、そのシャフトの外周面との間に液密な第1カップリング収容室を形成する第1ケースと、(c)前記シャフトの軸方向において前記第1ケースに隣接してそのシャフトの外周側に相対回転可能に配設され、前記一対の回転部材の他方と一体的に回転させられるとともに、そのシャフトの外周面との間に液密な第2カップリング収容室を形成する第2ケースと、(d)前記第1カップリング収容室および前記第2カップリング収容室の一方および他方にそれぞれ配設されるビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングとを有して構成される。すなわち、単一のシャフトの軸方向に隔てて一対の第1ケースおよび第2ケースを配設し、それらのケース内にビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリングを収容するのであり、この場合も装置がコンパクトに構成される。
【0014】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の動力伝達装置10がスタンバイ4WDの連結手段として用いられている場合で、エンジン12の出力はフロント側差動装置14から左右の車軸16,18に分配されて駆動輪である左右の前輪20,22に伝達される一方、差動装置14の入力回転部材24は傘歯車を介してプロペラシャフト26に連結されており、そのプロペラシャフト26に動力伝達装置10が介在させられている。プロペラシャフト26は、入力回転部材24に連結されたフロント側シャフト26aと、リヤ側差動装置28に傘歯車を介して連結されたリヤ側シャフト26bとに2分割されており、それ等の間に動力伝達装置10が配設されている。リヤ側差動装置28は、左右の車軸30,32を介して左右の後輪34,36に連結されているが、その後輪34,36と前輪20,22との間の相対回転数が略零の場合、すなわちフロント側シャフト26aとリヤ側シャフト26bとの回転速度差が略零の場合は、動力伝達装置10による伝達トルクは零で動力伝達は行われず、後輪34,36は車両の走行に伴って回転させられる遊動輪である。しかし、前輪20,22のスリップや脱輪などで後輪34,36との間に相対回転が生じると、動力伝達装置10はその相対回転数に応じて動力伝達を行うようになり、後輪34,36がエンジン12によって回転駆動される。本実施例では、上記フロント側シャフト26aおよびリヤ側シャフト26bが、相対回転可能に設けられた一対の回転部材に相当する。
【0015】動力伝達装置10は、図2に具体的に示すように、ビスカスカップリング40とダイラタンシー性流体カップリング42とを一体的に組み合わせたもので、軸心O1 まわりの回転可能なシャフト46と、円筒形状のケース本体44aの両端に一対のカバー44b,44cが溶接などにより一体的に固設され、シャフト46の外周側に軸心O1 まわりの相対回転可能に配設されたケース44とを備えており、そのケース44とシャフト46との間にビスカスカップリング40およびダイラタンシー性流体カップリング42が並列に配設されている。すなわち、ケース本体44aには仕切り板部44dが一体に設けられており、その仕切り板部44dとカバー44bとの間の第1カップリング収容室48内にビスカスカップリング40が配設されている一方、仕切り板部44dとカバー44cとの間の第2カップリング収容室50内にダイラタンシー性流体カップリング42が配設されているのである。カバー44b,44cおよび仕切り板部44dとシャフト46との間はOリング等のシール部材52によって液密にシールされているとともに、カバー44bおよびシャフト46には、それぞれ回転部材に相対回転不能に連結されるスプライン等の連結部54,56が一体に設けられている。図1では、シャフト46がフロント側シャフト26aに連結され、ケース44がリヤ側シャフト26bに連結されているが、反対に連結しても差し支えない。
【0016】ビスカスカップリング40は、上記第1カップリング収容室48内においてケース本体44aに相対回転不能にスプライン嵌合された複数のアウタプレート58と、軸心O1 方向においてアウタプレート58と交互に配設されるとともにシャフト46に相対回転不能にスプライン嵌合された複数のインナプレート60と、第1カップリング収容室48内に封入されたシリコンオイル等の高粘性のビスカス流体とを含んで構成されている。このビスカスカップリング40は、ケース44とシャフト46との相対回転数ΔNに応じてビスカス流体の剪断抵抗力により動力伝達を行うもので、その伝達トルク特性は、プレート58,60の外径寸法や内径寸法、枚数、隙間、ビスカス流体の種類や粘性、空気の混入率などによって設定される。図3は、かかるビスカスカップリング40の伝達トルク特性の一例で、伝達トルクTv は相対回転数ΔNに対して比較的滑らかに変化する。
【0017】ダイラタンシー性流体カップリング42は、第2カップリング収容室50内においてシャフト46に相対回転不能に配設された単一のプレート62と、第2カップリング収容室50内に封入されたダイラタンシー性流体とを含んで構成されており、図4に示すようにケース44とシャフト46との相対回転数ΔNが所定の回転数N1 に達すると、ダイラタンシー性流体が膨張,固化して伝達トルクTd が急激に上昇する。このダイラタンシー性流体カップリング42の伝達トルク特性は、ダイラタンシー性流体の種類やケース44とプレート62との間の隙間、プレート62の外径寸法、外周形状、軸方向寸法などによって設定される。
【0018】そして、上記ビスカスカップリング40とダイラタンシー性流体カップリング42とが並列に組み合わされた動力伝達装置10の全体の伝達トルクTの特性は、図3および図4の伝達トルクTv とTd とを加算したもので、図5に示すように所定の相対回転数N1 に達するまではビスカスカップリング40のみで動力伝達する場合と略同じ特性を示し、その相対回転数N1 を超えるとダイラタンシー性流体カップリング42の作用で伝達トルクTは急激に上昇する。したがって、ダイラタンシー性流体カップリング42の伝達トルク特性については、例えば相対回転数N1 がタイトコーナーブレーキング現象を確実に回避できる回転数以上、すなわちスリップを生じない乾燥路での急カーブ時における相対回転数より高い値となり、且つ動力伝達時には脱輪時の脱出を可能とする程度の高伝達トルクが得られるように設定され、ビスカスカップリング40の伝達トルク特性については、例えば低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能を満足させつつタイトコーナーブレーキング現象を回避する上で最適な特性となるように設定される。このようにすれば、低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能を満足させつつタイトコーナーブレーキング現象を回避できるとともに脱輪時の緊急脱出が可能となる。
【0019】このように、本実施例の動力伝達装置10は伝達トルク特性が全く異なるビスカスカップリング40とダイラタンシー性流体カップリング42とを並列に組み合わせたものであるため、低μ路走行やコーナリングなどの通常走行時の伝達トルク特性についてはビスカスカップリング40によって設定すれば良い一方、緊急脱出時の伝達トルクについてはダイラタンシー性流体カップリング42によって通常走行時の伝達トルク特性とは独立に設定すれば良いなど、全体の伝達トルクTの特性の設定の自由度が大幅に向上し、低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能を満足させつつタイトコーナーブレーキング現象を回避できるとともに脱輪時の緊急脱出が可能となる。また、本実施例の動力伝達装置10は、ビスカスカップリング40およびダイラタンシー性流体カップリング42を単一のケース44とシャフト46との間に並列に配設したものであるため、装置がコンパクトに構成され、スタンバイ4WDの連結手段として好適に配設できる利点がある。
【0020】次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0021】図6は、前記動力伝達装置10を差動制限手段として車両の各部に配設した場合で、(a)はエンジン12によりリヤ側差動装置28を介して後輪34,36を回転駆動する後輪駆動車両において、そのリヤ側差動装置28の差動を制限するためにリヤ側差動装置28の入力回転部材66と車軸32との間に配設した場合であり、それ等の入力回転部材66および車軸32が一対の回転部材に相当する。(b)はエンジン12によりフロント側差動装置14を介して前輪20,22を回転駆動する前輪駆動車両において、そのフロント側差動装置14の差動を制限するためにフロント側差動装置14の入力回転部材24と車軸18との間に配設した場合で、それ等の入力回転部材24および車軸18が一対の回転部材に相当する。(c)はエンジン12の出力をセンタ差動装置68により前後に分配し、フロント側プロペラシャフト70およびリヤ側プロペラシャフト72からフロント側差動装置14,リヤ側差動装置28に伝達して前輪20,22および後輪34,36を常時回転駆動する4輪駆動車両において、そのセンタ差動装置68の差動を制限するためにセンタ差動装置68の入力回転部材74とリヤ側プロペラシャフト72との間に配設した場合で、それ等の入力回転部材74およびリヤ側プロペラシャフト72が一対の回転部材に相当する。何れの場合も、その伝達トルクTの基本特性は前記図5と同じであるが、伝達トルクTが急激に増大する相対回転数N1 や、その相対回転数N1 以下における伝達トルクTの大きさ、変化特性などは、配設場所の条件などに応じて適宜設定される。なお、この場合は、前記図2におけるシャフト46の両端部をケース44から突き出させ、その両端部にスプライン等の連結部を設けて車軸や差動装置等に連結するようにすれば良い。また、図1および図6の(c)におけるフロント側差動装置14やリヤ側差動装置28にも、図6の(a),(b)と同様に本実施例の動力伝達装置10を差動制限手段として配設することができる。
【0022】図7は、ビスカスカップリング82とダイラタンシー性流体カップリング84とを直列に接続した動力伝達装置80を、スタンバイ4WDの連結手段として配設した場合である。この動力伝達装置80は、図8に示すように、軸心O2 まわりの回転可能なシャフト86と、そのシャフト86の外周側に相対回転可能に配設されるとともに、そのシャフト86の外周面との間に第1カップリング収容室88を形成する第1ケース90と、シャフト86の軸方向において第1ケース90に隣接して軸心O2 まわりの相対回転可能に配設されるとともに、そのシャフト86の外周面との間に液密な第2カップリング収容室92を形成する第2ケース94とを備えており、第1カップリング収容室88内にビスカスカップリング82が配設され、第2カップリング収容室92内にダイラタンシー性流体カップリング84が配設されている。上記第1カップリング収容室88,第2カップリング収容室92は、それぞれ一対のシール部材96,98によって液密にシールされているとともに、第1ケース90,第2ケース94には、それぞれ回転部材に相対回転不能に連結されるスプライン等の連結部100,102が一体に設けられている。図7では、第2ケース94がフロント側シャフト26aに連結され、第1ケース90がリヤ側シャフト26bに連結されているが、反対に連結しても差し支えない。
【0023】ビスカスカップリング82は、上記第1カップリング収容室88内において第1ケース90に相対回転不能にスプライン嵌合された複数のアウタプレート104と、軸心O2 方向においてアウタプレート104と交互に配設されるとともにシャフト86に相対回転不能にスプライン嵌合された複数のインナプレート106と、第1カップリング収容室88内に封入されたビスカス流体とを含んで構成されており、第1ケース90とシャフト86との相対回転数ΔNAに対して例えば図9に示すような伝達トルク特性を有する。ダイラタンシー性流体カップリング84は、第2カップリング収容室92内においてシャフト86に相対回転不能に配設された単一のプレート108と、第2カップリング収容室92内に封入されたダイラタンシー性流体とを含んで構成されており、第2ケース94とシャフト86との相対回転数ΔNBに対して例えば図10に示すような伝達トルク特性を有する。そして、上記ビスカスカップリング82とダイラタンシー性流体カップリング84とが直列に組み合わされた動力伝達装置80の全体の伝達トルクTの特性は、第1ケース90と第2ケース94との相対回転数ΔN(=ΔNA+ΔNB)に対して図11に示すようになる。
【0024】ここで、ダイラタンシー性流体カップリング84の伝達トルクTd が上昇する相対回転数N2 に達するまでは、ダイラタンシー性流体カップリング84のみが相対回転させられ、ビスカスカップリング82は略一体回転させられており、その時の全体の相対回転数ΔN≒ΔNBで全体の伝達トルクTは略零である。全体の相対回転数ΔNすなわちダイラタンシー性流体カップリング84の相対回転数ΔNBが相対回転数N2 に達すると、ダイラタンシー性流体カップリング84の伝達トルクTd が上昇し、Td =Tv の状態で動力伝達が行われることからダイラタンシー性流体カップリング84の相対回転数ΔNBは(N2 +α)となる。αは図10における回転数n以下の値であり、ビスカスカップリング82の相対回転数ΔNAは(ΔN−ΔNB)=(ΔN−N2 −α)となるが、α≒0であるため、全体の伝達トルクTの特性は、図9のグラフをN2 だけずらした特性と略一致する。したがって、ダイラタンシー性流体カップリング84の伝達トルク特性については、例えば相対回転数N2 がタイトコーナーブレーキング現象を確実に回避できる回転数以上、すなわちスリップを生じない乾燥路での急カーブ時における相対回転数より高い値となるように設定され、ビスカスカップリング82の伝達トルク特性については、例えば低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能が得られるように、タイトコーナーブレーキング現象回避とは無関係に独立に設定される。このようにすれば、タイトコーナーブレーキング現象を確実に回避できるとともに、相対回転数N2 以上ではビスカスカップリング82の作用で伝達トルクTが滑らかに上昇させられ、脱輪時などにおける車両の急発進を回避しつつ低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能を満足させることができる。なお、上記相対回転数N2 は、前記第1実施例の相対回転数N1 よりも小さな値である。
【0025】このように、本実施例の動力伝達装置80は伝達トルク特性が全く異なるビスカスカップリング82とダイラタンシー性流体カップリング84とを直列に組み合わせたものであるため、タイトコーナーブレーキング現象についてはダイラタンシー性流体カップリング84の伝達トルク特性を適当に設定することにより確実に回避できる一方、低μ路などで必要十分な走行性能を得るための伝達トルク特性については、ビスカスカップリング82によってタイトコーナーブレーキング現象回避とは無関係に独立に設定すれば良いなど、全体の伝達トルクTの特性の設定の自由度が大幅に向上し、タイトコーナーブレーキング現象を確実に回避できて燃料消費量を低減できるとともに、脱輪時などにおける車両の急発進を回避しつつ低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能を満足させることができる。また、本実施例の動力伝達装置80は、単一のシャフト86の軸方向に隔てて第1ケース90および第2ケース94を配設し、それ等のケース内にビスカスカップリング82およびダイラタンシー性流体カップリング84を配設したものであるため、装置がコンパクトに構成され、スタンバイ4WDの連結手段として好適に配設できる利点がある。
【0026】図12は、上記動力伝達装置80を差動制限手段として車両の各部に配設した場合で、(a)〜(c)はそれぞれ前記図6の(a)〜(c)に対応し、(a)は後輪駆動車両においてリヤ側差動装置28の入力回転部材66と車軸32との間に歯車等を介して並列に配設した場合であり、入力回転部材66および車軸32が一対の回転部材に相当する。(b)は前輪駆動車両においてフロント側差動装置14の入力回転部材24と車軸18との間に歯車等を介して並列に配設した場合で、それ等の入力回転部材24および車軸18が一対の回転部材に相当する。(c)は4輪駆動車両においてセンタ差動装置68の入力回転部材74とリヤ側プロペラシャフト72との間に歯車等を介して並列に配設した場合で、それ等の入力回転部材74およびリヤ側プロペラシャフト72が一対の回転部材に相当する。何れの場合も、その伝達トルクTの基本特性は前記図11と同じであるが、伝達トルクTが増大し始める相対回転数N2 や、その相対回転数N2 以上における伝達トルクTの大きさ、変化特性などは、配設場所の条件などに応じて適宜設定される。なお、図7および図12の(c)におけるフロント側差動装置14やリヤ側差動装置28にも、図12の(a),(b)と同様に本実施例の動力伝達装置80を差動制限手段として配設することができる。
【0027】図13の動力伝達装置110は、前記動力伝達装置10と同様にビスカスカップリング112とダイラタンシー性流体カップリング114とを並列に連結したものに、更にダイラタンシー性流体カップリング116を直列に連結したもので、スタンバイ4WDの連結手段として用いられている場合である。このような動力伝達装置110においては、フロント側シャフト26aとリヤ側シャフト26bとの相対回転数ΔNに対する伝達トルクTの特性を図14に示すように設定することが可能で、低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能を満足させつつタイトコーナーブレーキング現象を確実に回避できて燃料消費量が低減される一方、脱輪時の緊急脱出に必要な十分な伝達トルクが得られるようになる。なお、この動力伝達装置110についても、前記図12に示すような配設形態で使用することにより、差動制限手段として用いることが可能である。
【0028】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は更に別の態様で実施することもできる。
【0029】例えば、前記実施例では本発明が車両用の動力伝達装置に適用された場合について説明したが、車両以外の動力伝達装置に適用することも可能である。
【0030】また、前記実施例ではビスカスカップリングのハンプ現象について触れていないが、ビスカスカップリングのハンプ現象を積極的に利用して伝達トルク特性を設定することも可能である。
【0031】また、前記実施例における動力伝達装置のビスカスカップリングとダイラタンシー性流体カップリングとの組合せ、すなわち連結形態はあくまでも一例であり、他の種々の組合せを採用できる。
【0032】その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。




 

 


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