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発明の名称 車両用舵角比可変操舵装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−48365
公開日 平成9年(1997)2月18日
出願番号 特願平7−200753
出願日 平成7年(1995)8月7日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外4名)
発明者 長谷川 晃
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ステアリング操作に応じて回転する入力軸と、操舵輪に連結された出力軸と、該出力軸と交差する方向の軸線回りに回転可能に支持され前記入力軸の回転に応じて揺動する揺動手段と、前記出力軸から前記出力軸の径方向へ一体的に延在する腕部と、該腕部と前記揺動手段との係合位置を前記揺動手段の揺動中心から径方向に移動する係合位置調整手段と、を備えたことを特徴とする車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項2】 操舵力アシスト機構と、該操舵力アシスト機構が異常時には前記係合位置を揺動中心から最大距離とする駆動手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用舵角比可変操舵装置。
【請求項3】 前記駆動手段に連動して前記入力軸からの入力を減速させる減速手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の車両用舵角比可変操舵装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用舵角比可変操舵装置に係り、特に、車速等に応じて舵角比(ステアリングギヤ比)を変えることができる車両用舵角比可変操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車等の車両においては、車速に応じてステアリングギヤ比を変えることができる車両用舵角比可変操舵装置が知られており、その一例が、特開平6−234367号公報に示されている。
【0003】図8に示される如く、この車両用舵角比可変操舵装置は、ステアリング70の軸70Aに連結されたピニオン72によって、ラック74がその軸線方向へ移動し、この移動によって、揺動レバー76に設けられた長孔78に係合している摺動ピン80が支点ピン82を中心に揺動レバー76を揺動させ、ピン84によって揺動レバー76に軸支されたリレーロッド86をその軸線方向へ移動させて、操舵輪88を操舵する構成となっている。そして、支点ピン82の位置をラック74及びリレーロッド86に対して直交する方向(図8の矢印Y方向)へ移動させ、支点ピン82とピン80との距離W1と、支点ピン82とピン84との距離W2との比を変化させることによって、ステアリングギヤ比を変えることができるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この車両用舵角比可変操舵装置では、ステアリング70の回転運動を、ラック74の直線運動に変換し、このラック74の直線運動を揺動レバー76の揺動運動に変換し、更に、揺動レバー76の揺動運動をリレーロッド86の直線運動に変換している。従って、各構成部材の移動範囲が広くなり、装置が大型化するという不具合がある。
【0005】本発明は上記事実を考慮し、車両の走行状態等に応じてステアリングギヤ比を変えることができ、且つ装置を小型化できる車両用舵角比可変操舵装置を得ることが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明の車両用舵角比可変操舵装置は、ステアリング操作に応じて回転する入力軸と、操舵輪に連結された出力軸と、該出力軸と交差する方向の軸線回りに回転可能に支持され前記入力軸の回転に応じて揺動する揺動手段と、前記出力軸から前記出力軸の径方向へ一体的に延在する腕部と、該腕部と前記揺動手段との係合位置を前記揺動手段の揺動中心から径方向に移動する係合位置調整手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】従って、請求項1記載の本発明の車両用舵角比可変操舵装置では、ステアリング操作に応じて入力軸が回転し、これにより揺動手段が揺動すると、揺動手段に係合する腕部を介して出力軸が軸線方向へ移動し操舵輪が操舵される。
【0008】ここで、係合位置調整手段により腕部と揺動手段との係合位置を揺動手段の揺動中心から径方向に移動すると、揺動手段の揺動角に対する腕部の移動量が変化する。このため、出力軸の移動量が変化し、ステアリングギヤ比が変化する。
【0009】従って、例えば、車庫入れ等の車速が低い場合には、係合位置調整手段により、腕部と揺動手段との係合位置を移動させてステアリングギヤ比を小さくすれば、ステアリングホイールの操舵量に対して操舵輪の切れ角が大きくなるように設定できる。一方、車両の高速走行時には、係合位置調整手段により、腕部と揺動手段との係合位置を移動させてステアリングギヤ比を大きくすれば、ステアリングホイールの操舵量に対する操舵輪の切れ角が小さくなるように設定できる。
【0010】請求項2記載の本発明は、請求項1記載の車両用舵角比可変操舵装置において、操舵力アシスト機構と、該操舵力アシスト機構が異常時には前記係合位置を揺動中心から最大距離とする駆動手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】従って、アシスト機構が異常時には、駆動手段により、揺動手段と腕部の係合位置を揺動中心から最大距離とするため、ステアリングギヤ比が小さくなる。
【0012】請求項3記載の本発明は、請求項2記載の車両用舵角比可変操舵装置において、前記駆動手段に連動して前記入力軸からの入力を減速させる減速手段を設けたことを特徴としている。
【0013】従って、アシスト機構が異常時には、駆動手段に連動して減速手段が入力軸からの入力を減速させるため、操舵力が軽減される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の車両用舵角比可変操舵装置の第1実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0015】図1に示される如く、本一実施形態の車両用舵角比可変操舵装置10では、図示を省略したステアリングホイールに連動する入力軸としての操舵軸12に、操舵力アシスト機構(パワーステアリングシステム)の一部を構成するロータリバルブ14を介してギヤ16が連結されている。このギヤ16にはギヤ18が噛合している。
【0016】ギヤ18は車体側に支持された軸20に支持されており、軸20は操舵軸12と平行に配設されている。軸20には揺動手段としてのスイングアーム22が、支持されており、スイングアーム22は軸20の軸線P回り方向(図1の矢印A方向)に揺動可能になっている。
【0017】スイングアーム22は、軸20の軸線方向に延びる基部22Aを備えており、基部22Aのギヤ18と反対側(図1の左側)の端部には、軸24が突出している。この軸24は、ベアリング26を介して車体側に回転可能に支持されている。スイングアーム22は、軸20の径方向(図1の上方向)へ突出したアーム部22Bを備えており、このアーム部22Bには、円弧状の溝26が形成されている。溝26は、軸24側からギヤ18側に向かって、ギヤ18方向へ凸となるように形成されている。
【0018】溝26の円弧形状の中心となる部位には、出力軸としてのリレーロッド28が配設されており、このリレーロッド28は、軸20の軸線Pと交差する方向(図2の矢印B方向)に配設されており、図2の矢印B方向へ移動可能とされている。リレーロッド28には、腕部としてのアーム30の基部30Aが固定されており、アーム30はリレーロッド28からリレーロッド28の径方向へ一体的に延在している。また、アーム30の先端部30Bが溝26に係合している。
【0019】図1に示される如く、アーム30の中間部30Cには、係合位置調整手段としてのギヤ比可変用パワーシリンダ32のロッド34の端部34Aが軸36によって回転可能に支持されている。一方、ギヤ比可変用パワーシリンダ32のシリンダ38の端部38Aは、スイングアーム22の基部22Aに軸40によって回転可能に支持されている。
【0020】従って、図示を省略した制御装置によって、ギヤ比可変用パワーシリンダ32が作動すると、ロッド34の伸縮に応じて、アーム30の先端部30Bが溝26に沿って移動し、アーム30がリレーロッド28を中心に図1の時計回転方向(図1の矢印C方向)及び図1の反時計回転方向(図1の矢印D方向)へ揺動するようになっている。
【0021】次に本第1実施形態の作用を説明する。本第1実施形態の車両用舵角比可変操舵装置10では、ステアリングホイールの操作に応じて、操舵軸12に連結されたギヤ16が回転すると、ギヤ18を介して、スイングアーム22が軸線Pを中心に図1の矢印A方向に揺動する。この揺動によって、アーム30を介してスイングアーム22に連結されたリレーロッド28が軸線方向(図2の矢印B方向)へ移動し操舵輪が操舵される。
【0022】また、車両の走行状態等に応じて、制御装置の制御によりギヤ比可変用パワーシリンダ32が作動し、例えば、ロッド34が伸長し、アーム30の先端部30Bがスイングアーム22の基部22Aから遠ざかった場合(図3)には、スイングアーム22とアーム30との係合位置と、スイングアーム22の揺動支点との距離W1が長くなる。このため、操舵軸12の回転角に対するリレーロッド28の移動量が大きくなり、ステアリングギア比が小さくなる。
【0023】一方、ロッド34が収縮し、アーム30の先端部30Bをスイングアーム22の基部22Aに近づけた場合(図4)には、スイングアーム22とアーム30との係合位置と、スイングアーム22の揺動支点との距離W2が短くなる。このため、スイングアーム22、即ち操舵軸12の回転角に対するリレーロッド28の移動量が小さくなり、ステアリングギア比が大きくなる。
【0024】このため、車両が高速走行状態にある場合には、アーム30の先端部30Bをスイングアーム22の基部22Aに近づけ(図4)、ステアリングギヤ比を大きくし、一方、車両が低速走行状態にある場合には、アーム30の先端部30Bをスイングアーム22の基部22Aから遠ざけ(図3)、ステアリングギヤ比を小さくする。
【0025】これにより、低速域ではステアリングホイールの少ない操舵量で操舵輪の最大舵角まで操舵でき(ステアリングホイールの操舵量を低減でき)、車庫入れ等が容易になる。一方、高速域ではステアリングホイールの操舵量に対する操舵輪の舵角変化が小さくなるため、操縦安定性を確保することができる。このように、ステアリングホイールを持ち替えることなく、少ない操舵量(角)で低速域から高速域までをカバーすることができる。
【0026】また、本第1実施形態の車両用舵角比可変操舵装置10では、操舵軸12の回転をスイングアーム22の揺動方向と同一方向に揺動するアーム30によってリレーロッド28に伝達するとともに、アーム30とスイングアーム22との係合位置を移動させる構成のため、従来技術に比べ、揺動部材の振れ回る部位を小さくできるとともに、振れ範囲も小さくできるため、装置を小型化できる。
【0027】また、本第1実施形態の車両用舵角比可変操舵装置10では、アーム30とスイングアーム22との係合位置をスイングアーム22の揺動中心から径方向へ変移させてステアリングギヤ比を変更する構成であるため、ステアリングギヤ比の変更によってステアリングホイールの操舵中立位置がずれることがない。したがって、中立位置検出のための舵角センサ等が不要であり、さらに適切なステアリングギヤ比に変更するための複雑な制御も不要になる。また、フェールセーフ構造を構成することも容易にできる。
【0028】なお、本第1実施形態の車両用舵角比可変操舵装置10では、調整手段としてのギヤ比可変用パワーシリンダ32を使用したが、調整手段はパワーシリンダ32に限定されず、アーム30を図1の矢印C方向及び矢印D方向へ移動するものであればよい。
【0029】本発明の車両用舵角比可変操舵装置の第2実施形態を図5〜図7に従って説明する。
【0030】なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】図5に示される如く、本第2実施形態の車両用舵角比可変操舵装置50では、減速手段としての減速ギヤ52が、パワーステアリング時とマニュアルステアリング時で自動切替え可能となっている。
【0032】具体的には、パワーステアリングポンプ54がギヤシフト用ピストン56に連結されており、ギヤシフト用ピストン56のロッド56Aがブラケット58を介して減速ギヤ52の移動ギアユニット52Aに連結されている。この移動ギアユニット52Aは、操舵軸12とスプライン結合されており、操舵軸12の軸線方向に沿って図5の右方向(図5の矢印E方向)及び図5の左方向(図5の矢印F方向)へ移動可能となっている。
【0033】また、ブラケット58とロータリバルブ14との間の操舵軸12の外周部には、コイルスプリング60が捲着されており、移動ギアユニット52Aを図5の矢印F方向へ付勢している。
【0034】なお、パワーステアリング時には、パワーステアリングポンプ54の油圧によって、ギヤシフト用ピストン56のロッド56Aが図5の右方向へ移動するようになっている。
【0035】ギヤシフト用ピストン56のロッド56Aが図5の右方向へ移動すると、移動ギアユニット52Aが矢印E方向へ移動し、移動ギアユニット52Aのギヤ62と、固定ギアユニット52Bのギヤ63とが噛合するようになっている。なお、この時のギア比は小さく設定されている。
【0036】一方、図7に示される如く、移動ギアユニット52Aが矢印F方向へ移動すると、移動ギアユニット52Aのギヤ64と、固定ギアユニット52Bのギヤ65とが噛合するようになっている。なお、この時のギア比は大きく設定されている。
【0037】図5に示される如く、ギヤ比可変用パワーシリンダ32には、揺動手段としてのシリンダ伸長用のスプリング67が内蔵されている。また、ギヤ比可変用パワーシリンダ32は、軸24に軸線方向に沿って形成された貫通長孔66に挿入されており、軸24の軸線と交差する方向に配設されたピン68に図5の時計回転方向(図5の矢印G方向)及び図5の反時計回転方向(図5の矢印H方向)へ回転可能に軸支されている。
【0038】また、ギヤ比可変用パワーシリンダ32は、ソレノイドバルブ69を介してポンプ54に連結されている。ソレノイドバルブ69は車速変化に応じて制御されるようになっている。
【0039】次に本第2実施形態の作用を説明する。本第2実施形態の車両用舵角比可変操舵装置50では、パワーステアリング時、パワーステアリングポンプ54の油圧によって、ギヤシフト用ピストン56のロッド56Aが図5の右方向へ移動する。これによって、移動ギアユニット52Aが矢印E方向へ移動して、ギヤ62とギヤ63とが噛合する。
【0040】また、高速走行時は、図5に示される如く、車速変化に応じて制御されるソレノイドバルブ69によってギヤ比可変用パワーシリンダ32が収縮している。このため、アーム30の先端部30Bがスイングアーム22の基部22Aに近づき、ステアリングギヤ比が大きくなる。
【0041】また、低速走行時には、図6に示される如く、車速変化に応じて制御されるソレノイドバルブ69によってギヤ比可変用パワーシリンダ32が伸長している。このため、アーム30の先端部30Bがスイングアーム22の基部22Aから遠ざかり、ステアリングギヤ比が小さくなる。
【0042】一方、例えば、パワーステアリングポンプ54のベルト切れ等によって、パワーステアリングシステムによるパワーアシストが得られない場合など(マニュアルステアリング時)には、図7に示される如く、ギヤ比可変用パワーシリンダ32がスプリング67によって伸長する。このため、アーム30の先端部30Bがスイングアーム22の基部22Aから遠ざかり、ステアリングギヤ比が小さくなる。
【0043】また、この状態(図7の状態)では、パワーアシストが得られないため、コイルスプリング60によって、移動ギアユニット52Aが矢印F方向へ移動する。これによって、ギア比が大きいギヤ64とギヤ65とが噛合するため、操舵力が軽くなる。
【0044】従って、本第2実施形態では、マニュアルステアリング時には、ステアリングギヤ比が小さくなるとともに、比較的軽い操舵力でステアリング操作が可能である。
【0045】
【発明の効果】請求項1記載の本発明の車両用舵角比可変操舵装置は、ステアリング操作に応じて回転する入力軸と、操舵輪に連結された出力軸と、出力軸と交差する方向の軸線回りに回転可能に支持され入力軸の回転に応じて揺動する揺動手段と、出力軸から出力軸の径方向へ一体的に延在する腕部と、腕部と揺動手段との係合位置を揺動手段の揺動中心から径方向に移動する係合位置調整手段と、を備えた構成としたので、車両の走行状態等に応じてステアリングギヤ比を変えることができ、且つ装置を小型化できるという優れた効果を有する。
【0046】請求項2記載の本発明は、請求項1記載の車両用舵角比可変操舵装置において、操舵力アシスト機構と、操舵力アシスト機構が異常時には係合位置を揺動中心から最大距離とする駆動手段と、を備えた構成としたので、請求項1記載の効果に加えて、パワーアシストシステムが得られない場合にはステアリングギヤ比を小さくできるという優れた効果を有する。
【0047】請求項3記載の本発明は、請求項2記載の車両用舵角比可変操舵装置において、駆動手段に連動して入力軸からの入力を減速させる減速手段を設けた構成としたので、請求項2記載の効果に加えて、パワーアシストが得られない場合には、比較的軽い操舵力でステアリング操作が可能であるという優れた効果を有する。




 

 


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