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発明の名称 ハイブリッド電気自動車
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−46821
公開日 平成9年(1997)2月14日
出願番号 特願平8−100895
出願日 平成8年(1996)4月23日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
発明者 久保 馨
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 動力を発生させる内燃機関と、少なくとも発電機として動作可能な第1回転電機と、上記第1回転電機の発電電力により充電される蓄電装置と、上記第1回転電機の発電電力又は上記蓄電装置の放電電力の供給を受けることにより少なくともモータとして動作可能で、下記動力分配機構を介し駆動輪に動力が分配されているときには上記内燃機関から当該駆動輪への動力供給をアシストし、またされていないときには当該駆動輪に動力を供給する第2回転電機と、上記内燃機関にて発生させた動力を第1回転電機側と駆動輪及び第2回転電機側とに差動的に分配する動力分配機構と、上記動力分配機構と上記第2回転電機との機械的連結を形成及び解除するための開閉機構と、上記差動分配機構の軸のうち、上記動力分配機構と上記開閉機構とを連結しており上記動力分配機構と上記第2回転電機との機械的連結を解除するのに伴い自由回転状態となる出力軸を、当該自由回転状態が生じないよう制止するための制止機構と、上記動力分配機構と上記第2回転電機との機械的連結が解除されかつ上記出力軸の回転が制止されるよう上記開閉機構及び上記制止機構を制御することにより、上記ハイブリッド電気自動車の制御モードを、上記内燃機関にて発生させた動力を上記駆動輪及び上記第1回転電機双方に差動的に分配する連続式PSHVモードから、上記内燃機関の動力を上記第1回転電機のみに分配するSHVモードへと、移行させるモード移行手段と、を備えることを特徴とするハイブリッド電気自動車。
【請求項2】 請求項1記載のハイブリッド電気自動車において、上記ハイブリッド電気自動車の制御モードが上記連続式PSHVモードであるときに、上記ハイブリッド電気自動車に対し加速が要求されていないことを条件として、上記駆動輪に対しクリープ相当の動力が供給されるよう、上記第1回転電機に微少発電を実行させるクリープ制御手段を備えることを特徴とするハイブリッド電気自動車。
【請求項3】 請求項1又は2記載のハイブリッド電気自動車において、上記連続式PSHVモードから上記SHVモードへ移行する際に、上記内燃機関をアイドリングさせた上で上記出力軸の回転数が上記第2回転電機の回転数に一致するよう上記第1回転電機の回転数を調整し、その後上記開閉機構により上記動力分配機構と上記第2回転電機との機械的連結を解除させた上で上記出力軸の回転数が実質的に0となるよう上記第1回転電機の回転数を調整し、その後制止機構により上記出力軸の回転を制止させる回転数整合手段を備えることを特徴とするハイブリッド電気自動車。
【請求項4】 請求項1乃至3記載のハイブリッド電気自動車において、上記蓄電装置の充電状態が所定程度を下回ったときに、上記連続式PSHVモードから上記SHVモードへ強制的に移行させるモード強制移行手段を備えることを特徴とするハイブリッド電気自動車。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド電気自動車(HV)、特にその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】道路等の無軌道路面を走行する車両としては、従来、内燃機関(ICE)の出力にて推進されるICE車が広く使用されてきた。しかし、近年では、モータの出力にて推進される電気自動車(EV)に注目が集まっている。純粋なEV(PEV)は、化石燃料を消費せず従って排気ガスが発生しないためICE車よりも低公害性に優れている反面で、モータに駆動電力を供給する必要上バッテリ、コンデンサ等の蓄電装置を搭載しなければならない点でICE車よりも劣っている。なお、蓄電装置を搭載することにより発生する問題点の例としては、大出力のモータを駆動するために大容量の(従って大型の)蓄電装置を搭載しなければならないこと、車両の走行に伴い蓄電装置の放電が進行するため当該蓄電装置を頻繁に充電しなければならないこと等がある。
【0003】ICE車の利点とPEVの利点とを併有する車両として知られているHVは、複数種類の駆動力源を搭載する車両であり、駆動力源同士の相互結合関係に従い、パラレルHV(PHV)、シリーズHV(SHV)、パラレルシリーズHV(PSHV)等に分類できる。
【0004】PHVは、動力源として例えばICE及び回転電機を搭載する。PHVにおいては、従来のICE車と同様ICEが車両の駆動輪に機械的に連結されるのに加え、新たに、ICEと駆動論とを連結する軸上に回転電機が配設される。ここでいう回転電機とは、モータとしても発電機としても動作し得る機械である。従って、PHVにおいては、車両の推進に必要な動力の大部分をICEにより賄いつつも、発進、加速、減速、制動等のように要求動力が変化する局面では(例えば加減速要求に応じて)回転電機にてICEをアシストすることが可能である。このように、PHVでは、回転電機がICEをアシストするからICE出力を急峻にあるいは大幅に変化させる必要がなく、従ってICE出力の変化に伴うICEからのエミッションや燃料消費を、従来のICE車に比べ抑制することができる。また、回転電機をモータとして動作させる際の当該回転電機の駆動電力源としてまた回転電機を発電機として動作させる際の当該回転電機の発電出力供給先として、バッテリ、コンデンサ等の蓄電装置が必要になるものの、回転電機はICEをアシストしているに過ぎず車両の推進力の主力を担っているわけではないから、この蓄電装置はPEVのそれに比べ小形でよく、また外部電力を用いた充電の頻度も低くて済む。
【0005】PHVがいわば“従来のICE車に回転電機及び蓄電装置を付加した”車両であるのに対し、SHVはいわば“PEVに第2の電力源を付加した”車両である。ここでいう第2の電力源としては、例えば、ICEにて駆動される発電機(ICE駆動発電機)、太陽光等を電力に変換する太陽電池、流体・燃料酸化剤の系の化学エネルギを直接に電気エネルギに変換する燃料電池等がある。SHVでは、PEVと同様、蓄電装置の放電出力によって車両推進用のモータを駆動することができる。これに加え、SHVでは、上述の第2の電力源の出力電力によって車両推進用のモータを駆動することができ、更に、当該第2の電力源の出力電力によって蓄電装置を充電することが可能である。言い換えれば、第2の電力源は、例えば、要求動力が得られるようモータを駆動するには蓄電装置の放電出力では不足であるときとか、蓄電装置の充電状態(SOC)が劣化しているときのみ、動作させれば足りる。従って、第2の電力源として太陽電池や燃料電池を搭載している場合は無論のこと、ICEにて駆動される発電機を搭載している場合であっても、SHVは、従来のICE車に比べ排気ガスのエミッションが少ない又は全くない車両にすることができる。また、モータに供給すべき電力に対する蓄電装置の放電出力の不足分を、第2の電力源の出力にて適宜埋めることができるから、蓄電装置の容量はPEVに比べ小さくてよい。さらに、蓄電装置のSOCが劣化したときには第2の電力源の出力にて蓄電装置を充電すればよく、また、モータの駆動電力としては専ら第2の電力源の出力を利用し前者に対する後者の過不足分のみを蓄電装置にて賄うといった制御方法も可能になるから、蓄電装置を車両外部の電力にて充電する頻度はPEVに比べ低くてよい。
【0006】図8に、第2の電力源としてICE駆動発電機を、蓄電装置としてバッテリを、それぞれ搭載するSHVを示す。この図は、特開平6−245317号公報による開示を若干変形したものである。図中、その回転軸がディファレンシャルギア12等を介して駆動輪14に機械的に連結されているACモータ10は、力行時には電力変換器16を介しバッテリ18から駆動電力の供給を受け、回生制動時には電力変換器16を介しバッテリ18に制動エネルギを回収する。電力変換器16は、バッテリ18の放電出力を直流から交流に変換するインバータ機能及びモータ10の回生出力を交流から直流に変換する整流機能を併せ有する回路すなわちインバータや、好ましくは更に、このインバータを制御するための制御回路の一部を内蔵する。電子制御ユニット(ECU)20は、車両操縦者によってアクセルペダルやブレーキペダルが踏まれたとき、モータ10の出力トルクがそのペダルの開度に応じた値となるよう、かつ回転センサ22によりモータ10の回転数を参照しながら、電力変換器16の動作を制御する。
【0007】バッテリ18は、ICE28により駆動される発電機24に、電力変換器26を介して電気的に接続されている。発電機24の発電出力は、少なくとも整流機能を有する電力変換器26により交流から直流に変換される。電力変換器26にて交流から直流に変換された発電出力は、ある場合にはモータ10の駆動に使用される。従って、図8のSHVでは、PEVに比べバッテリ18を小さくできる。また、発電機24の発電出力は、他の場合にはバッテリ18の充電に使用される。従って、図8のSHVでは、外部電力によるバッテリ18の充電の頻度を抑えることができる。かかる効果を実現すべく、ECU20は、例えば、バッテリ18のみではモータ10に対し供給すべき電力を賄い切れないときや、SOCセンサ32にて検出されるバッテリ18のSOCが所定程度以下に低下したときには、スタータ30に始動信号を与えることによりICE28を始動させる。ICE28が動作している間は、ECU20は、回転センサ34にて検出されるICE28の回転数が急峻に又は大幅に変動しないよう、言い換えれば従来のICE車に比べICE28のエミッション及び燃費が低くなるよう、発電機24の発電出力を制御する。同時に、ECU20は、SOCセンサ32にて検出されるバッテリ18のSOCが常に所定範囲内に維持されるよう、言い換えればPEVにおけるそれに比べバッテリ18のSOCの変動が小さくなるよう、発電機24の発電出力すなわちICE28の回転数を制御する。なお、SOCを目標範囲内に維持すること及びSOCの変動を小さくすることは、外部電力によるバッテリ18の充電の頻度の抑制の他、バッテリ18の寿命の延長につながる。
【0008】HVには、さらに、PSHVと呼ばれる種類がある。PSHVはPHVとSHVのコンビネーションであり、当該コンビネーションの方法に従いさらにいくつかのタイプに分類できる。PSHVのなかでも切換式PSHVと呼ばれるPSHVは、図9に示されるように、そのコンポーネント間接続の切換にてそのシステム構成をPHVと等価な構成からSHVと等価な構成へ又はその逆へと適宜切り換える機能を有している。図9は実開平2−7702号公報による開示を部分的に変形したものであり、前述のSHVとの比較対照のため図8と共通する符号を用いている。
【0009】図9の切換式PSHVは、図8のSHVに、発電機24の回転軸をクラッチ36を介してモータ10の回転軸と連結するという機構上の変更と、ECU20がモード指令に応じてクラッチ36を制御するという制御手順上の変更とを、施した構成を有している。例えば、PHVモードを指令するモード指令が与えられたときには、ECU20はクラッチ36の制御により発電機24の回転軸をモータ10の回転軸と継合乃至連結させる。この状態では、図9の切換式PSHVにおけるコンポーネント間接続状態はPHVと等価であるから、PHVと同様の利点を享受できる。また、SHVモードを指令するモード指令が与えられたときには、ECU20はクラッチ36の制御により発電機24の回転軸とモータ10の回転軸との継合乃至連結を解放させる。この状態では、図9の切換式PSHVにおけるコンポーネント間接続状態はSHVと等価であるから、SHVと同様の利点を享受できる。図9の切換式PSHVは、PHVモード及びSHVモードのうち車両操縦者等が望むモードにてあるいはシステム各部の要求に応じたモードにて車両を走行させることができるという意味で、柔軟性及び使用性の高いシステムである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図9の切換式PSHVには、しかしながら、SHVモードからPHVモードに移行するためのクラッチ操作を、車両が停止しているとき又は車両の走行速度が低いときには実行できないという、新たな問題点がある。まず、SHVモード走行時におけるICE28の負荷は概ね発電機24のみであるのに対し、PHVモード走行時にはクラッチ36からモータ10を経て駆動輪14に至る機構もICE28の負荷となる。言い換えれば、SHVモードからPHVモードに移行する際には、クラッチ36からモータ10を経て駆動輪14に至る機構の分だけ、ICE28の負荷が瞬時に急増する。従って、車両停止中や低速走行時等のようにICE28がアイドリング乃至低速回転しているとき、すなわちICE28が負荷の急増に耐え得ないときに、SHVモードからPHVモードに移行すると、ICE28が止まってしまう可能性がある。ICE28が止まってしまわないようにするには、そのような状況下でのSHVモードからPHVモードへの移行すなわちクラッチ36による連結を避けなければならない。
【0011】この問題点は、動力伝達効率が高い状態で車両を運行する上で支障となっている。まず、図8のSHVではICE28の出力トルクが一旦発電機24によって電力に変換され(機械電力変換)その後モータ10によってトルクに再変換される(電力機械変換)から、機械電力変換の際及び電力機械変換の際に損失が発生し、従ってICE28から駆動輪14に至る動力伝達効率はさほど高くならない。これに対し、PHVではICEの出力トルクが機械電力変換及び電力機械変換を経ずに駆動輪に供給されるから、ICEから駆動輪に至る動力伝達効率はSHVのそれよりもずっと高い。PHVにおけるこの利点は、図9の切換式PSHVをPHVモードで走行させたときにも得られる。しかしながら、上述のように、SHVモードからPHVモードへと移行する機会が中高速走行時に限定されているため、結果として、高い動力伝達効率を提供できるPHVモードでの走行の頻度が低くなる。すなわち、車両の運行開始(IGキーオン)から運行終了(IGキーオフ)に至る一連の運行パターンに沿って動力伝達効率を評価したとき、PHVモードで車両を運行する期間はさほど長くならない。
【0012】本発明の第1の目的は、ICEと他のコンポーネントとの機械的連結関係を改良することにより、車両停止時においても蓄電装置を充電できかつ車両が停止しているときや低速走行しているときでもICEから駆動輪に機械動力を供給できるPSHVを実現することにある。本発明の第2の目的は、第1の目的の達成を通じ、バッテリのSOCを好適に管理でき従ってその寿命延長や充電頻度抑制を実現できるというSHVの利点と、ICEから駆動輪に至る高い動力伝達効率を実現できるというPHVの利点とを、車速の如何によらず享受可能なPSHVを実現することにある。本発明の第3の目的は、自立的な機構である動力分配機構をICEに連結することにより、第1及び第2の目的を、外部からの制御の必要がない自律的な機構にて達成することにある。本発明の第4の目的は、動力分配機構を利用することにより、ICEの燃費及びエミッションの低減や蓄電装置のSOCのより的確な管理を達成することにある。本発明の第5の目的は、動力分配機構と微小発電との結合により、AT車におけるクリーピングを模擬しドライブフィーリングの改善等を実現することにある。
【0013】本発明の第6の目的は、クラッチ等の開閉機構を設けることにより、ICEと他のコンポーネントとの機械的連結関係を比較的簡便な手段にて変更可能にすることにある。本発明の第7の目的は、第6の目的の達成を通じ、ICEを停止させた状態で走行する際でもこのICEやICEに関連する部材が車両負荷にならないようにすることにある。本発明の第8の目的は、機械式ブレーキ等の制止機構を設けることにより、開閉機構の状態如何にかかわらず自由回転可能な軸が生じないようにすることにある。本発明の第9の目的は、回転速度制御との結合により、開閉機構や制止機構の顕著な滑り等の低減によりその寿命やコストの低減を実現することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明の第1の構成に係るHVは、動力を発生させるICEと、少なくとも発電機として動作可能な第1回転電機と、上記第1回転電機の発電電力により充電される蓄電装置(例えばバッテリ)と、上記第1回転電機の発電電力又は上記蓄電装置の放電電力の供給を受けることにより少なくともモータとして動作可能で、下記動力分配機構を介し駆動輪に動力が分配されているときには上記ICEから当該駆動輪への動力供給をアシストし、またされていないときには当該駆動輪に動力を供給する第2回転電機と、上記ICEにて発生させた動力を第1回転電機側と駆動輪及び第2回転電機側とに差動的に分配する動力分配機構(例えばデフ)と、上記動力分配機構と上記第2回転電機との機械的連結を形成及び解除するための開閉機構(例えばクラッチ)と、上記差動分配機構の軸のうち、上記動力分配機構と上記開閉機構とを連結しており上記動力分配機構と上記第2回転電機との機械的連結を解除するのに伴い自由回転状態となる出力軸を、当該自由回転状態が生じないよう制止するための制止機構(例えば機械式ブレーキ)と、上記動力分配機構と上記第2回転電機との機械的連結が解除されかつ上記出力軸の回転が制止されるよう上記開閉機構及び上記制止機構を制御することにより、上記HVの制御モードを、上記ICEにて発生させた動力を上記駆動輪及び上記第1回転電機双方に差動的に分配する連続式PSHVモードから、上記ICEの動力を上記第1回転電機のみに分配するSHVモードへと、移行させるモード移行手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】本構成においては、車載の各コンポーネントの制御乃至連結のモードとして、少なくとも、ICEにて発生させた動力を駆動輪側と第1回転電機側とに分配する連続式PSHVモードと、ICEにて発生させた動力を駆動輪側には分配せず第1回転電機側に分配するSHVモードとが、準備されている。連続式PSHVモードにおいては、ICE及び第1回転電機と第2回転電機及び駆動輪との機械的連結が形成される。ICEの動力は、一方では機械的形態のまま車両の推進に利用され、他方では第1回転電機の駆動に利用される。第1回転電機の発電出力は第2回転電機の駆動及び蓄電装置の充電に使用される。第2回転電機は、ICEをアシストすると共に、発電機として動作しているときには蓄電装置に電力を供給する。従って、連続式PSHVモードでは、SHVと等価なコンポーネント間電気的接続及び機械的連結状態と、PHVと等価なコンポーネント間電気的接続及び機械的連結状態とが、両者のICEを共用したかたちで常時かつ同時に出現する。このように、切換式PSHVでSHVに等価な状態とPHVに等価な状態との間での切換を行っていたのと異なり、連続式PSHVモードではPHVに等価な状態が常に部分的に出現しているから、PHVに特徴的な作用(例えば、ICE出力を機械的形態のまま車両の推進に利用することによる高い動力伝達効率ひいては低燃費低エミッションの実現、第1回転電機の発電出力を用いた第2回転電機の駆動及び蓄電装置の充電ひいてはSOCの改善、第2回転電機によるICEのアシストひいては低エミッション低燃費の実現等)と、SHVに特徴的な作用(例えば、例えば蓄電装置のSOCの的確な管理による蓄電装置の寿命の延長、ICE回転数の変動抑制による低燃費低エミッションの実現等)とが同時に生じる。また、動力分配機構にてICEの動力を第1及び第2回転電機に分配しているから、第1回転電機の発電電力を変化させるとICEの回転速度ひいてはICEから出力される動力が変化し、その結果、ICEから動力分配機構を経て第2回転電機側すなわち駆動輪側に供給される動力が変化する。従って、連続式PSHVモードでは、要求動力に応じ、第1回転電機の回転数の制御によりICEから駆動輪側に分配される動力を制御することが可能になる。
【0016】更に、SHVモードにおいては、ICE及び第1回転電機と第2回転電機及び駆動輪との機械的連結が解除され、その上で、第2回転電機が車両推進用のモータとして使用され、かつ、必要に応じ第1回転電機が発電機として使用される。このモードにおいては、SHVに特徴的な作用が、連続式PSHVモードに比べ顕著に現れる。また、ICE・第1回転電機が停止しているときでも、開閉機構が開いているため、動力分配機構等が第2回転電機等の負荷となることがなく、良好な効率のHVが得られる。
【0017】また、単純に開閉機構にて機械的連結を解消するのみにとどまらず、制止機構を用いて動力分配機構の出力軸(開閉機構、第2回転電機及び駆動輪が存する側の軸)の回転を制止させているため、SHVモード(より厳密には駆動輪とICEとを連結する必要がないモード。従って、後述の実施形態におけるPEVモードを含む)への移行後に動力分配機構の第2出力軸が自由回転してしまうことを、防止できる。
【0018】本発明の第2の構成は、第1の構成において、上記HVの制御モードが上記連続式PSHVモードであるときに、上記HVに対し加速が要求されていないことを条件として、上記駆動輪に対しクリープ相当の動力が供給されるよう、上記第1回転電機に微少発電を実行させるクリープ制御手段を備えることを特徴とする。即ち、動力分配機構にてICEの動力を差動分配しているため、第1回転電機を発電機として動作させると、これに相応した反力が第2出力軸に現れる。従って、連続式PSHVモードでは、加速要求非発生時等に第1回転電機を微小出力の発電機として動作させることにより、クリーピング相当の動力を第2出力軸に分配することができる。これにより、AT車に近い改善されたドライブフィーリングが実現され、AT車になれた操縦者にとって違和感の少ないHVが得られる。
【0019】本発明の第3の構成は、第1又は第2の構成において、上記連続式PSHVモードから上記SHVモードへ移行する際に、上記ICEをアイドリングさせた上で上記出力軸の回転数が上記第2回転電機の回転数に一致するよう上記第1回転電機の回転数を調整し、その後上記開閉機構により上記動力分配機構と上記第2回転電機との機械的連結を解除させた上で上記出力軸の回転数が実質的に0となるよう上記第1回転電機の回転数を調整し、その後制止機構により上記出力軸の回転を制止させる回転数整合手段を備えることを特徴とする。このように、開閉機構や制止機構を動作させる際に併せて第1回転電機の回転速度を制御することにより、特に制止機構の顕著な滑り・摩擦等を防ぎ、これによりその寿命を延ばしまたコストを低減することができる。なお、同様の回転数制御を開閉機構の顕著な滑り等の防止に導入することもできる。その際には、例えば、開閉機構に対し指令を与えるのに先立ち、第2出力軸の回転速度が第2回転電機の回転速度と同期するよう、第1回転電機の回転速度を制御する。
【0020】本発明の第4の構成は、第1乃至第3の構成において、上記蓄電装置の充電状態が所定程度を下回ったときに、上記連続式PSHVモードから上記SHVモードへ強制的に移行させるモード強制移行手段を備えることを特徴とする。このように、SHVモード及び連続式PSHVモードのうちいずれを使用するのかを、蓄電装置のSOCに基づき決定することにより、蓄電装置の長寿命化等が実現される。即ち、SHVモードにおいては従来のSHVと同様の原理にて蓄電装置のSOCを管理することが可能であるから、上述のようなモード強制移行制御によりSOCを目標範囲内に確実に維持乃至復帰でき、蓄電装置をより確実に長寿命化できる。なお、使用するモードを車両操縦者からの指令に応じ決定しても構わない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき説明する。なお、従来のSHV及び切換式PSHVとの相違を明瞭にするため、以下の説明では図8及び図9と共通する符号を使用するが、これは本発明のPSHVにおけるシステム構成をこれらの従来技術にて限定する趣旨ではない。当業者であれば、本願明細書及び図面による開示に基づき、以下説明する実施形態の構成に変形を施すことが容易であろう。
【0022】図1に、本発明の一実施形態に係るPSHVのシステム構成を示す。この図には、軸38a〜38cを有する動力分配機構38が示されている。動力分配機構38は、入力軸38aに付与されたトルクを出力軸38b及び38cに分配する機構であり、その入力軸38aはICE28の回転軸に、出力軸38bは発電機24の回転軸に、出力軸38cはモータ10の回転軸に、それぞれ連結されている。従って、図1のPSHVにおいては、ICE28の出力トルクが動力分配機構38により発電機24側と駆動輪14側とに分配供給されるから、車両停止中や低速走行時においてもICE28の出力が駆動輪14側に伝達される。これは図9の切換式PSHVにて生じていた前掲の問題点、すなわち車両停止時や低速走行時にクラッチ36を接続できないため動力伝達効率が低いという問題点の解決であり、図1のPSHVにおいては本質的に全ての速度領域にて良好な動力伝達効率を得ることができる。なお、動力分配機構38としては、例えば、ディファレンシャルギア等のように、出力軸38bのトルクが変化するとこれと相補的に出力軸38cのトルクが変化する差動分配機構を用いるのが好ましい。
【0023】上述の動力分配機構38は、図1のPSHVの第1の特徴的構成部材である。しかし、動力分配機構38を設けるだけでは、バッテリ18のSOCの目標制御及び寿命管理に劣るという新たな問題を免れ得ない。すなわち、図2に示されるように動力分配機構38を介しICE28の出力トルクが常時駆動輪14に伝達される構成(切換式PSHVとの区別のため連続式PSHVと呼ぶ)では、車両を停止させている間は、駆動輪14に動力が伝達されることを防ぐべくICE28をアイドリング状態としかつ発電機24による発電動作を停止しなければならない。言い換えれば、発電機24の発電出力にてバッテリ18を充電するという動作を車両停止中に実行することができず、従ってバッテリ18のSOCを常に目標範囲内に維持することが困難である。図8のSHVや図9の切換式PSHVではICE28と駆動輪14の間の機械的連結がなくあるいはこれを断つことができ、従って発電機24の発電出力にてバッテリ18を充電するという動作を車両停止中に実行することができることから見て、図2の連続式PSHVにおけるかかる問題は看過し得ない。加えて、ICE28を停止させたまま図2の連続式PSHVを走行させると、動力分配機構38及び発電機24がモータ10の負荷となってしまうため、効率のよい車両状態とはならない。
【0024】図1のPSHVの第2の特徴的構成部材は、動力分配機構38の出力軸38cとモータ10の回転軸との間に設けられECU20により制御されるクラッチ36である。このクラッチ36にて出力軸38cとモータ10の回転軸とを連結すると、図1のPSHVは、図2の連続式PSHVと等価なコンポーネント間接続状態となる(連続式PSHVモード)。逆に、クラッチ36にて出力軸38cとモータ10の回転軸との連結を解除すると、図1のPSHVは、図8のSHVと等価なコンポーネント間接続状態となる(SHVモード)。このように、図1のPSHVにおいては、クラッチ36を制御することにより連続式PSHVモードからSHVモードへ又はその逆への移行が可能である。特に、SHVモードにおいては、ICE28、発電機24及び動力分配機構38とモータ10及び駆動輪との機械的連結が解除されるから、発電機24の発電出力にてバッテリ18を充電するという動作を車両停止中でも実行することができ、また、ICE28を停止させた状態でもモータ10に過大な負荷を負わせることなしに車両を走行させることができる。言い換えれば、連続式PSHVモードとSHVモードの間の相互移行を可能にしているため、図1のPSHVにおいては、連続式PSHVにおける全速度域に亘る高動力伝達効率等の利点のみならず、SHVにおける良好なSOC管理性能・ICE28停止時の高車両効率等の利点を、共に実現できる。
【0025】図1のPSHVの第3の特徴的構成部材は、動力分配機構38の出力軸38cとクラッチ36との間に設けられた制止機構(例えば機械式ブレーキ)40である。すなわち、連続式PSHVモードから例えばSHVモードに移行する際単純にクラッチ36にて連結を解除するのみだと、出力軸38cが自由回転可能な状態となってしまうため、図1のPSHVでは、かかる自由回転を防ぐべく、出力軸38cをECU20からの指令に応じて把持・制止する制止機構40を設けている。
【0026】図1のPSHVの第4の特徴的構成部材は、車両操縦者等から与えられるモード指令、キー信号、アクセル信号、ブレーキ信号、シフト信号等に応じ、かつ回転センサ22、34、42、44、SOCセンサ32等の出力を監視しながら、電力変換器16、26、ICE28、スタータ30、発電機24等のパワーコンポーネントに加え、クラッチ36及び制止機構40を制御するECU20にある。すなわち、図1のPSHVにて実現される様々な利点は、各コンポーネントの配置のみならず、ECU20により実行される制御手順により実現される。その際、多大なコストは必要でない。なお、回転センサ42及び44は、それぞれ出力軸38b及び38cの回転数を検出する。
【0027】次に、図1のPSHVにおけるECU20の動作に関し説明する。ECU20の動作を理解する上で第1に留意すべき点は、車両操縦者からあるいは他の制御装置から指令される走行モードに応じ、ECU20の動作が切り替わる点である。走行モードとしては、前述した連続式PSHVモード及びSHVモードの他に、ICE28を停止させモータ10のみにて車両の推進力を発生させるPEVモードが準備されている。PEVモード下では、PEVと同様の走行状態を作り出すことができる。すなわち、ICE28を運転している場合に比べ低騒音で車両を運行することができ、ICE28からのエミッションもなくなる。従って、PEVモード下での走行は、例えば、夜間に住宅地を走行するときや、静寂な環境が要求される学校区や特定環境保護地域を走行するときや、大気汚染の激しい過密な都心部等を走行するときに適している。また、PEVモードでの走行は、“ICE28をできるだけ動かしたくない”という志向を有する操縦者に適している。後述するようにPEVモードではクラッチ36により連結が解除されるから、ICE28、発電機24、動力分配機構38等がモータ10の負荷となることはなく、これは、これらのコンポーネントの連れ回りによる効率の低下を防止する点で有効である。
【0028】図3に示されるように、ECU20は、車両操縦者がキースイッチをオンするのに応じ(100)、所定の初期設定動作を実行する(102)。初期設定動作には、クラッチ36に信号を与えモータ10と動力分配機構38の連結を開かせる動作や、これと同時に制止機構40に信号を与え出力軸38cの回転を制止させる動作が含まれる。これにより、ICE28及び発電機24がモータ10から機械的に切り離された状態、すなわちPEVモード走行及びSHVモード走行が可能な連結状態が形成される。この後、ECU20は、モータ10の制御に関連する回路への電源供給を開始する(104)。
【0029】ECU20の以後の動作は、車両操縦者によりどの走行モードが指令されるかにより異なる。PEVモードが指令されているときには(106)、ECU20は、PEVモード制御を実行する(108)。PEVモード制御は、車両に要求されている加減速度をアクセルペダルやブレーキペダルの開度から検出する処理、要求されている加減速度を実現するのに必要なトルクを求める処理、回転センサ22を用いてモータ10の回転数を検出する動作、検出した回転数を参照しつつかつ必要トルクが実現されるよう電力変換器16による電力変換を実行させる動作を含む。ここで、PEVモード(及びSHVモード)では、バッテリ18の充電は、外部電源による他モータ10による回生以外によっては行われ得ない。そこで、PEVモード制御実行時には、併せてバッテリ18のSOCが低下したことを車両操縦者に対し警報する処理を適宜実行する(112)。警報を実行する条件としては、SOCセンサ32により検出されるバッテリ18のSOCの値が所定のしきい値Bを下回っている旨の条件を用いる(110)。警報の手段はランプ等による表示としてもよくまた音声等による案内としても構わない。ECU20は、車両操縦者によりキースイッチがオフされるか(114)又はPEVモードから他のモードへの移行が指令されるまでは(116)、PEVモード制御を引き続き実行する。ECU20は、キースイッチがオフされた場合にはその時点でモータ10への電力供給等を断つ(118)。またPEVモード以外のモードへの移行が指令された場合には、前述のステップ106においてPEVモード以外のモードが指令された場合と同様、ステップ120に移行する。
【0030】なお、このPEVモード及び後述するSHVモードにおいては、ICE28、発電機24、動力分配機構38等の機械損を利用してバッテリ18の過充電を防止することが可能である。例えば、バッテリ18が満充電又はそれに近い状態にあり従って電力変換器16を介して供給される回生電力を受入れる能力が十分でない場合には、クラッチ36によりモータ10と動力分配機構38を一時的に連結しその状態でモータ10により回生制動を行わせる。すると、モータ10により回生される制動エネルギがICE28、発電機24、動力分配機構38等の機械損により消費される結果、バッテリ18を過充電又はこれに近い状態に至らしめないで、回生制動を実行することが可能になる。なお、クラッチ36を閉結する手順については、後述するステップ130及び140の説明を参照されたい。また、ICE28等の機械損を一時的に回生電力の消費手段として用いる手順に関しては、上の記載に基づき、当業者が容易に実現し得るものである。
【0031】車両操縦者等からPEVモード以外のモードが指令されると(106,116)、ECU20は、発電機24やICE28の制御を開始すべく、電力変換器26に内蔵されている発電機制御系やパワー系への電源供給を開始させる(120)。ECU20は、次に、例えばスタータ30へ信号を与えることによりICE28を始動させ(122)、また発電機24の制御モードを発電モードに設定する(124)。ここにいう発電モードとは、発電出力が所定の目標電力となるよう発電機24を制御するモードをいう。後述するように、発電機24の制御モードとしては、他に速度制御モードがある。速度制御モードにおいては、発電機24は、回転センサ44により検出される回転数が所定の目標回転数となるよう、ECU20により制御される。なお、図1のPSHVではスタータ30によりICE28を始動しているが、スタータ30に代えて発電機24を使用しこれをモータとして動作させることにより、ICE28を始動可能である。この手順に関しても、上の記載から、当業者には自明である。
【0032】ECU20は、発電機24の制御モードを発電モードとした後、SOCセンサ32により検出されるバッテリ18のSOCが所定のしきい値Aを上回っているか否かを判定する(126)。このしきい値Aは、バッテリ18の寿命延長に寄与できる下限値よりもやや高めの値に設定しておく。SOC>Aが成立している場合には、ECU20は、走行モードを強制的に連続式PSHVモードに設定し(130)、連続式PSHVモードで走行できるよう車載の各コンポーネントを制御する(連続式PSHVモード制御:132)。逆にSOC≦Aが成立している場合には、ECU20は、走行モードを強制的にSHVモードに設定し(140)、SHVモードで走行できるよう車載の各コンポーネントを制御する(SHVモード制御:142)。キースイッチがオフされたりPEVモードが指令されたりしない限り、ECU20は、ステップ126以降の手順を繰り返し実行する。
【0033】例えば、初期的にSOC>Aの条件が成立していた場合、ECU20はしばらく連続式PSHVモード制御を実行する(130,132)。この状態で、例えばモータ10がある程度以上の時間に亘って高負荷運転され、又はモータ10を回転させたまま車両が長時間放置されると、放電の結果バッテリ18のSOCが低下しSOC≦Aの条件が成立する。この時点以後は、ECU20は、SHVモード制御を実行する(140,142)。SHVモードではICE28は駆動輪10に機械的には連結されていないから、ICE28を車両の加減速に関係なくバッテリ18のSOCに応じて運転することができ、従ってバッテリ18のSOCを回復することができる。その結果SOC>Aの条件が成立した場合、ECU20は連続式PSHVモード制御を実行する(130,132)。
【0034】このように、SOCに応じて走行モードを強制的に設定するのは、SOCが低いときに、ICE28の出力のうちできるだけ多くの部分がバッテリ18の充電に使用されるようにするためであり、これにより、バッテリ18のSOCを適切に目標制御できる。なお、SOC>Aかつ走行モード=連続式PSHVモードが成立しているときや(128)、SOC≦Aかつ走行モード=SHVモードが成立しているときは(138)、ステップ130及び140は省略できる。
【0035】キースイッチがオフされたとき(134,144)には、ECU20は、それまで実行していた制御がPSHVモード制御であればPEVモード移行手順(150)を実行した上で、またSHVモード制御であれば発電機34及びICE28を停止させた上で(154)、前述のモータ停止制御(118)に移行する。PEVモードが指令されたとき(136,146)には、ECU20は、それまで実行していた制御がPSHVモード制御であればPEVモード移行手順(148)を実行した上で、またSHVモード制御であれば発電機34及びICE28を停止させた上で(152)、PEVモード制御(108)を実行する。このように、従前の走行モードが連続式PSHVモードであるときにPEVモード移行手順を実行しなければならないのは、連続式PSHVモード下ではクラッチ36による連結が形成されており従ってクラッチ36の解放制御や制止機構40の制止制御が必要になるからである。逆に、従前の走行モードがSHVモードであるときに単に発電機34及びICE28を停止させるのみで足りるのは、SHVモード下ですでにクラッチ36による連結が解除されており従ってクラッチ36や制止機構40の制御が必要でないからである。
【0036】PSHVモード移行手順(130)の一例を、図4に示す。図4においては、ECU20は、一方では回転センサ34の出力のフィードバックを受けながらICE28の回転数をアイドリング回転数に制御し、他方では発電機24における励磁の解除等によりその発電動作を停止させる(200)。この状態では、ICE28は、発電機24の機械損相当のエネルギ消費にて運転されている。ECU20は、次に、制止機構40による出力軸38cの拘束を解除して当該出力軸38cを回転可能な状態に復帰させる(202)。ECU20は、但し、これに先立ち発電機24の制御モードを発電モードから速度制御モードに切り替えた上で(204)、回転センサ42によって検出される出力軸38cの回転数が回転センサ22により検出されるモータ10の回転数とステップ202実行時に等しくなるよう、各回転センサの出力を参照しながら、発電機24の回転数を制御する(206)。この制御によって出力軸38cの回転をモータ10の回転と同期させた上で、ECU20はクラッチ36による動力分配機構38とモータ10の連結を回復させる(208)。これにより、ICE28にて発生した機械動力が動力分配機構38により発電機24とモータ10とに差動的に分配され得る状態、すなわち連続式PSHV相当の連結状態になる。
【0037】このような回転数制御(206)によって、図4においては、クラッチ36における滑り・摩耗・損傷等を防止乃至低減している。これは、同時に、クラッチ36の容量の低減、ひいてはその駆動のためのアクチュエータの動作エネルギの低減につながる。また、噛み合い式のクラッチをクラッチ36として使用することが可能になるため、装置コストも低くなる。さらに、このような回転数制御を実行できるのは、発電機24の回転数がICE28の回転数や出力軸38cの回転数の関数であり、動力分配機構38の構成により一律に定めることができるためである。原理的には、回転センサ34及び44の出力を利用し出力軸38cの回転数を演算できるから、回転センサ42を省略することもできる。但し、回転センサ等のフェイルチェックのためには、冗長性を付与すべく、図1のように3個の回転センサを用いるのが好ましい。
【0038】PSHVモード制御手順(132)の一例を図5に示す。図5においては、ECU20は、まずシフトポジションがどのポジションにあるのかを判定する(300)。シフトポジションがP(パーキング)又はN(ニュートラル)であるときは、車両操縦者が車両を走行させないことを意図しているとみなせるため、ECU20は、モータ10への電力供給を断つ(302)。シフトポジションがD(ドライブ)等力行を指令するポジションであるときは、車両操縦者が車両を走行させることを意図しているとみなせるため、ECU20は、バッテリ18又は電力変換器26から電力変換器16を介しモータ10へ電力を供給させる(304)。シフトポジションがR(リバース)であるときに関しては図示していないが、このときは例えば従来のICE車と同様の制御手順を実行してもよいし、あるいは、一時的にSHVモードに移行し回生を優先使用するようにしてもよい。
【0039】シフトポジションがD(ドライブ)等力行を指令するポジションであるときは、ECU20は、更に、アクセルペダルの開度を判定する(306)。アクセルペダルが全く踏み込まれていないときには、ECU20は、所定の微少量が発電出力として得られるよう、発電機24を制御する(308)。このような微少発電により、出力軸38cにはクリープ相当の反力トルクが生じる。これによって、車両にクリープを加えることが可能になる。また、アクセルペダルが踏み込まれているときには、ECU20は、アクセル開度に応じて発電機24の目標発電量を決定し、この目標発電量に従い電力変換器26を制御する(310)。ICE28の回転数は、目標発電量ひいては発電機24の回転数と、モータ10の回転数との差を吸収するよう変化し、これにより、出力軸38cに分配されるトルクがアクセル開度に応じ増大する。さらに、駆動輪14に供給すべきトルクをICE28単独では賄いきれないほどアクセル開度が大きいときや、仮にICE28単独で賄おうとすると燃費やエミッションの劣化を惹起するであろうほどアクセル開度が大きいときには、ECU20は、駆動輪14に供給すべきトルクのうち少なくともICE28単独では賄いきれない部分をモータ10からのアシストにて実現すべく、電力変換器16を制御する(312)。これにより、車両操縦者からの要求に応じた加減速性能を好適に実現することができる。なお、制動時においてブレーキペダルの踏込量が顕著に大きいときに、モータ10の回生制御により減速側にアシストしてもよい。この制御はステップ306における判定論理に制止機構40の油圧等に係る論理を追加することにより実現できる。
【0040】SHVモード移行手順(140)の一例を図6に示す。図6では、ECU20は、まずICE28をアイドリングさせるとともに発電機24による発電動作を停止させた上で(400)、発電機24の制御モードを発電モードから速度制御モードに切り替える(402)。その後、ECU20は、回転センサ42によって検出される出力軸38cの回転数が回転センサ22により検出されるモータ10の回転数と等しくなるよう、各回転センサの出力を参照しながら、発電機24の回転数を制御する(404)。この制御によって出力軸38cの回転をモータ10の回転と同期させた上で、ECU20はクラッチ36による連結を解除する(406)。これによって、車載の各コンポーネント間の連結状態は、連続式PSHV相当の連結状態からSHV相当の連結状態へと切り替わる。このような回転数制御(404)は、前述の回転数制御(204)と同様、クラッチ36における滑り・摩耗・損傷等の防止乃至低減に寄与している。
【0041】クラッチ36による連結を解除すると同時に、ECU20は、制止機構40によって出力軸38cの回転を制止する(408)。これにより、クラッチ36による連結の解除に伴う出力軸38cの自由回転を防止でき、ひいてはICE28のオーバーランを防止できる。また、その際には、ECU20は、予め、出力軸38cの回転数が0となるよう、ICE28の回転数等を参照しながら発電機24の回転数を制御する(410)。このような回転数制御によって、図6においては、制止機構40における滑り・摩耗・損傷等を防止乃至低減している。これは、同時に、制止機構40の容量の低減、ひいてはその駆動のためのアクチュエータの動作エネルギの低減につながる。また、噛み合い式の制止機構をクラッチ36や制止機構40として使用することが可能になるため、装置コストも低くなる。これら、一連のステップを実行した後、ECU20は、発電機24の制御モードを速度制御モードから発電モードに戻す(412)。
【0042】SHVモード制御手順(142)としては、従来SHVにおいて用いられていたものと同様のものとすることができる。SHVモードでは、従来のSHVと同様、バッテリ18のSOCを全ての速度域にて目標管理することが可能である。
【0043】PEVモード移行手順(148,150)は、図7に示される手順とするのが好ましい。図7におけるステップ500、502、504、506、508及び510は、それぞれ、図6におけるステップ400、402、404、406、408及び410と同様の内容である。ステップ508実行後、ECU20は、発電機24やICE28の動作を停止させる(512)。このように、PSHVモードからPEVモードへ移行する際又はモータ10を停止させる際には、PSHVモードからSHVモードへ移行する際に実行した手順と類似した手順を実行し、これにより、前述のクラッチ36や制止機構40の滑り低減等の効果を得ている。
【0044】このように、本実施形態によれば、車載の各コンポーネント間の連結状態を連続式PSHVモードと等価な連結状態とSHVと等価な連結状態との間で切り替え可能であるため、SHVの利点であるバッテリ18のSOCの良好な管理性能や、図2の“純粋な”連続式PSHVの利点である全速度域に亘る高動力伝達効率等の利点を併せて実現することができる。さらに、この利点を享受するための改良は、従来の連続式PSHVにクラッチ36や制止機構40等の部材を追加することやこれと併せてECU20の制御手順を変更することにより実現することができるため、多大な開発コストを発生させることもない。
【0045】また、各コンポーネント間の連結状態がSHVと同様の連結状態にある際には、車両をPEVと同様の手順にて走行させることが可能であるから、車両操縦者からの要求等に応じて車両をPEVとして走行させることも可能である。その際に、クラッチ36を用いて動力分配機構38とモータ10を連結させることにより、バッテリ18の過充電を好適に防止しながら回生制動を実行することができる。さらに、発電機24によってクリープ相当のトルクを発生させることが可能である。加えて、クラッチ36を開閉する際にICE28や発電機24を同時に制御しまた制止機構40をも制御するようにしているため、小容量のクラッチ36や制止機構40を用いながら、また動力分配機構38の出力軸の自由回転を防止しながら、上述の効果を実現することができる。そして、SOCセンサ32により検出されるバッテリ18のSOCを検出しその低下に応じてPSHVモードからSHVモードへの切り替えを行っているため、例えば、ICE28を回転させたまま車両を長時間放置した場合等においてもバッテリ18のSOCが顕著に低下するといった事態は発生しなくなる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の構成によれば、ICEから一方では第1回転電機へ他方では開閉機構を介し第2回転電機及び駆動輪へと差動的に動力が分配されるよう、動力分配機構を設けたため、ICEにて発生させた動力を駆動輪側と第1回転電機側とに分配する連続式PSHVモードでの運転を実現できる。このモードにおいては、SHVにおける車載のコンポーネント間の電気的接続及び機械的連結状態と、PHVにおける車載のコンポーネント間の電気的接続及び機械的連結状態とが、両者のICEを共用したかたちで常時かつ同時に出現するため、PHVに特徴的な各種の効果(例えば、ICE出力を機械的形態のまま車両の推進に利用することによる高い動力伝達効率ひいては低燃費低エミッションの実現、第1回転電機の発電出力を用いた第2回転電機の駆動及び蓄電装置の充電ひいてはSOCの改善、第2回転電機によるICEのアシストひいては低エミッション低燃費の実現等)と、SHVに特徴的な各種の効果(例えば、例えば蓄電装置のSOCの的確な管理による蓄電装置の寿命の延長、ICE回転数の変動抑制による低燃費低エミッションの実現等)とが、いずれも得られる。また、動力分配機構と第2回転電機及び駆動輪の間に開閉機構を設けたため、ICEにて発生させた動力を駆動輪側には分配せず第1回転電機側に分配するSHVモードでの運転を実現できる。このモードにおいては、連続式PSHVモードにて現れるSHV的連結接続関係による効果の他に、ICE、第1回転電機及び動力分配機構が第2回転電機等の負荷となることがなく良好な効率のHVが得られるという効果も得られる。更に、動力分配機構と開閉機構の間に制止機構を設けたため、連続式PSHVモードからSHVモードへの移行の際のように開閉機構により機械的連結が解消されるにもかかわらず、差動分配機構の軸が自由回転することがない。
【0047】本発明の第2の構成によれば、HVの制御モードが連続式PSHVモードでありかつ加速が要求されていないときに、第1回転電機の微小発電制御により駆動輪に対しクリープ相当の動力を供給するようにしたため、AT車に近いすなわち改善されたドライブフィーリングを実現でき、AT車になれた操縦者にとって違和感の少ないHVが得られる。
【0048】本発明の第3の構成によれば、連続式PSHVモードからSHVモードへ移行する際に、第1回転電機の回転数の調整により差動分配機構の開閉機構側出力軸の回転数と第2回転電機の回転数とを同期させ、その後上記開閉機構により両者の機械的連結を解消し、更に当該出力軸の回転数が実質的に0となるよう第1回転電機の回転数を調整した上で、制止機構により当該出力軸の回転を制止させるようにしたため、特に制止機構の顕著な滑り・摩擦等を防ぎ、これによりその寿命を延ばしまたコストを低減することができる。
【0049】本発明の第4の構成によれば、蓄電装置の充電状態が所定程度を下回ったときに連続式PSHVモードからSHVモードへと強制的に移行させるようにしたため、SOC低下時に従来のSHVと同様の原理にて蓄電装置のSOCを管理することができ、SOCを目標範囲内に確実に維持乃至復帰でき、蓄電装置をより確実に長寿命化できる。
【0050】
【補遺】なお、本発明は次のような構成としても把握できる。
【0051】(1)本発明の第5の構成は、コンポーネントとして、少なくとも、動力を出力するICE、いずれも上記ICEから駆動輪に至る動力伝達経路上に設けられ互いに電気的に接続されている第1及び第2回転電機、並びに第1及び第2回転電機に電気的に接続されている蓄電装置を備えたHVにて実行される制御方法において、少なくともSHVモード及び連続式PSHVモードを含む複数種類の制御モードの中から、使用する制御モードを決定する第1ステップと、上記コンポーネントの間の電気的接続及び機械的連結状態が、決定した制御モードに応じたそれとなるよう、当該コンポーネントの間の機械的連結状態を設定する第2ステップと、上記コンポーネントの間の機械的連結状態を設定した後に、決定した制御モードに応じ上記コンポーネントの動作を制御する第3ステップと、を有し、ここに、上記SHVモードとは、上記ICE及び上記第1回転電機と上記第2回転電機及び上記駆動輪との機械的連結を解除した上で、上記第2回転電機をモータとして動作させることにより得られる動力を車両の推進に利用し、かつ、必要に応じ上記第1回転電機を上記ICEにて駆動される発電機として動作させるモードであり、上記連続式PSHVモードとは、上記ICE及び上記第1回転電機と上記第2回転電機及び上記駆動輪との機械的連結を形成した上で、上記ICEが出力する動力を機械的形態のまま車両の推進に利用し、かつ、必要に応じ上記第1回転電機を上記ICEにて駆動される発電機として動作させ上記第2回転電機をモータ又は発電機として動作させるモードであることを特徴とする。本構成によれば、第1の構成と同様の作用効果(但し、モード移行のための機構として動力分配機構、開閉機構及び制止機構を利用することによって初めて得られるものを除く)が得られる。
【0052】(2)本発明の第6の構成は、第5の構成において、上記第1ステップが、蓄電装置の充電状態が所定値を下回っているときには上記SHVモードを、上回っているときには上記連続式PSHVモードを、それぞれ使用する旨決定するステップを含むことを特徴とする。本構成によれば、第4の構成と同様の作用効果が得られる。
【0053】(3)本発明の第7の構成は、第5の構成において、上記HVが、さらに、上記ICEに連結された入力軸、上記第1回転電機に連結された第1出力軸及び上記開閉機構に連結された第2出力軸を有し上記入力軸に付与された動力を第1及び第2出力軸に差動的に分配する動力分配機構と、上記ICE及び上記第1回転電機と上記第2回転電機及び上記駆動輪との機械的連結を、指令に応じ形成又は解除する開閉機構と、を備えることを特徴とする。本構成によれば、第5の構成を、従来から知られている機構の応用にて実現でき、従って容易な実施が可能になる。
【0054】(4)本発明の第8の構成は、第7の構成において、上記第2ステップが、決定した制御モードに応じて上記開閉機構に指令を与えるステップと、上記開閉機構に対し指令を与えるのに先立ち、上記第2出力軸の回転速度が上記第2回転電機の回転速度と同期するよう、上記第1回転電機の回転速度を制御するステップと、を含むことを特徴とする。本構成によれば、第2出力軸と第2回転電機との速度同期が確保されるため、開閉機構の動作に当たって当該開閉機構に顕著な滑り等が発生することがなく、従ってその寿命延長や、安価な開閉機構による実現が可能になる。
【0055】(5)本発明の第9の構成は、第7の構成において、上記HVが、さらに、上記第2出力軸の回転を制止指令に応じて制止する制止機構を備え、上記第2ステップが、決定した制御モードに応じて上記開閉機構に指令を与えるステップと、上記開閉機構に対し機械的連結を解除する旨の指令を与えた後に、上記第2出力軸の回転速度が実質的に0になるよう、上記第1回転電機の回転速度を制御するステップと、上記第2出力軸の回転速度が実質的に0になった後に上記制止機構に対し制止指令を与えるステップと、を含むことを特徴とする。本構成によれば、制止機構を動作させる際に第2出力軸の回転速度が実質的に0になっているため、当該制止機構に顕著な滑り等が発生することがなく、従ってその寿命延長や、安価な制止機構による実現が可能になる等、第3の構成と同様の作用効果が得られる。
【0056】(6)本発明の第10の構成は、第7の構成において、上記第3ステップが、決定した制御モードが上記連続式PSHVモードであるときに、クリーピング相当の動力が上記第2出力軸に分配されるよう、上記第1回転電機を微小出力の発電機として動作させるステップを含むことを特徴とする。本構成によれば、第2の構成と同様の作用効果が得られる。
【0057】(7)本発明の第11の構成は、第7の構成において、上記第3ステップが、決定した制御モードが上記連続式PSHVモードであるときに、上記駆動輪への供給が要求されている動力に応じた動力が上記第2出力軸に分配されるよう、上記第1回転電機を発電機として動作させると共にその発電出力を当該要求されている動力に応じて制御するステップを含むことを特徴とする。本発明の第12の構成は、第11の構成において、上記第3ステップが、決定した制御モードが上記連続式PSHVモードでありかつ上記要求されている動力を実際に上記第2出力軸に分配しようとすると上記ICEの回転速度が急峻に又は大幅に増大するであろうときに、上記ICEの回転速度の増大が抑制されるよう、上記第2回転電機をモータとして動作させるステップを含むことを特徴とする。これらの構成によれば、エミッションや燃費の劣化を伴わずに、大小様々な要求動力に対処しこれを実現することが可能になる。特に、連続式PSHVモードでは常にPHV的な連結関係が部分的に存在しているから、第12の構成においては、切換式PSHVとは異なり、常時PHVと同様のアシスト及びその作用効果を得ることができる。
【0058】(8)本発明の第13の構成は、第5の構成において、上記複数種類の制御モードが、上記ICE及び上記第1回転電機と上記第2回転電機及び上記駆動輪との機械的連結を解除した上で、上記第2回転電機をモータとして動作させることにより得られる動力を車両の推進に利用し、かつ、上記ICE及び上記第1回転電機の動作を停止させるPEVモードを含むことを特徴とする。このように、本発明におけるモードはSHVモード及び連続式PSHVモードに限定されるべきものではない。特に、PEVモード下では、一般に従来のICE車やHVに比べ低騒音かつ低公害の走行が可能である。




 

 


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