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発明の名称 パニックブレーキの判定方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−39755
公開日 平成9年(1997)2月10日
出願番号 特願平7−193478
出願日 平成7年(1995)7月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
発明者 杉山 瑞穂
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 アクセルペダルの踏み込みが解除された時点から、ブレーキペダルが踏み込まれるまでの所要時間を計測する処理と、前記所要時間に基づいてパニックブレーキを判定する処理と、を備えることを特徴とするパニックブレーキの判定方法。
【請求項2】 アクセルペダルの踏み込みが解除される速度を検出する処理と、アクセルペダルの踏み込みが解除された時点から、ブレーキペダルが踏み込まれるまでの所要時間を計測する処理と、前記アクセルペダルの踏み込み解除速度と、前記所要時間とに基づいてパニックブレーキを判定する処理と、を備えることを特徴とするパニックブレーキの判定方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パニックブレーキの判定方法に係り、特に、車両用ブレーキが急操作された際にパニックブレーキが実行されていることを判定するパニックブレーキの判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の運転時には、障害物の回避等のために、一時的に大きな制動力が要求される場合がある。かかる状況下では、多くの場合、運転者によって急制動操作(以下、パニックブレーキと称す)が行われる。パニックブレーキは、通常の制動操作と異なり、緊急回避的に行われる操作である。このため、パニックブレーキ時には、通常のブレーキ操作時と異なる操作特性を実現することが望ましい場合がある。
【0003】パニックブレーキ時と、通常のブレーキ操作時とで異なる操作特性を実現する装置としては、例えば特開平4−135958号公報に開示される装置が従来より公知である。上記公報記載の装置は、アンチロックブッレーキシステム(ABS)を備えるブレーキ装置において、通常のブレーキ操作時と、パニックブレーキ時とで、ABS制御の実行開始に関するしきい値を変更せしめることにより、パニックブレーキ時の車両の操安性向上を図っている。
【0004】ところで、上記従来の装置においては、通常ブレーキとパニックブレーキとを、ブレーキペダルの踏み込み速度、及びブレーキペダルの踏み込み量に基づいて判別することとしている。すなわち、パニックブレーキ時には、通常ブレーキ時に比して、ブレーキペダルが急速に、かつ、大きく踏み込まれる。このため、上記従来の装置においては、ブレーキペダルの踏み込み速度が所定のしきい値より大きい場合、または、ブレーキペダルの踏み込み量が所定のしきい値より大きい場合に、パニックブレーキの実行が判定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ブレーキペダルの踏み込み速度は、ブレーキペダルの遊びストロークが大きいほど速く、その遊びストロークが小さいほど遅く検出される。同様に、プレーキペダルの踏み込み量は、ブレーキペダルの遊びストロークが大きいほど大きく、その遊びストロークが小さいほど小さく検出される。従って、通常のブレーキ操作時にも、ブレーキペダルの遊びストロークが大きい場合には、比較的速い踏み込み速度、及び比較的大きな踏み込み量が検出され得る。また、パニックブレーキ時にも、ブレーキペダルの遊びストロークが小さい場合には、比較的遅い踏み込み速度、及び比較的小さな踏み込み量が検出され得る。
【0006】一方、ブレーキペダルの遊びストロークは、経時的に変動するものであり、また、個々の車両毎にバラツキを有するものである。従って、上記従来の装置の如く、ブレーキペダルの踏み込み速度、及びブレーキペダルの踏み込み量に基づいてパニックブレーキの判定を行った場合、パニックブレーキの判定精度が、経時的に、また、個々の車両毎にバラツキを示すという問題が生ずる。
【0007】本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えの速さに基づいてパニックブレーキと通常のブレーキ操作とを判別することにより、上記の課題を解決するパニックブレーキの判定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1に記載する如く、アクセルペダルの踏み込みが解除された時点から、ブレーキペダルが踏み込まれるまでの所要時間を計測する処理と、前記所要時間に基づいてパニックブレーキを判定する処理と、を備えるパニックブレーキの判定方法により達成される。
【0009】上記の発明において、パニックブレーキの判定は、アクセルペダルの踏み込みが解除された時点から、ブレーキペダルが踏み込まれるまでの所要時間に基づいて行われる。アクセルペダルが踏み込まれた状態からブレーキ操作が開始される場合、先ずアクセルペダルの踏み込みが解除され、次いで、ブレーキペダルが踏み込まれる。通常のブレーキ操作時には、その踏み替えが比較的ゆっくりと行われるのに対して、パニックブレーキ時にはその踏み替えが速やかに行われる。従って、その所要時間は、ブレーキ操作がパニックブレーキを目的としている場合には常に比較的短い時間となり、一方、ブレーキ操作が通常ブレーキを目的としている場合には、常に比較的長い時間となる。更に、アクセルペダルの踏み込みが解除された後、ブレーキペダルが踏み込まれるまでに要する所要時間は、ブレーキペダルやアクセルペダルの遊びストロークに影響を受けない。従って、その所要時間を基礎として判定を行えば、ブレーキペダルやアクセルペダルの遊びストロークのバラツキに影響されることなく、パニックブレーキと通常のブレーキ操作とを精度良く区別することができる。
【0010】また、上記の目的は、請求項2に記載する如く、アクセルペダルの踏み込みが解除される速度を検出する処理と、アクセルペダルの踏み込みが解除された時点から、ブレーキペダルが踏み込まれるまでの所要時間を計測する処理と、前記アクセルペダルの踏み込み解除速度と、前記所要時間とに基づいてパニックブレーキを判定する処理と、を備えるパニックブレーキの判定方法によっても達成される。
【0011】上記の発明において、パニックブレーキの判定は、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えに要する所要時間と、アクセルペダルの踏み込み解除速度とに基づいて行われる。パニックブレーキ時には、通常操作時に比してアクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えが速やかに行われると共に、アクセルペダルの踏み込みが高速で解除される。アクセルペダルに作用する踏み込み解除方向の力は、踏み込みストロークの大きさにさほど影響されない。従って、アクセルペダルの踏み込み解除速度は、その踏み込み量に関わらず、常に運転者による踏み込み解除速度にほぼ一致する。更に、アクセルペダルの踏み込み解除速度は、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えに要する所要時間と同様に、ブレーキペダルやアクセルペダルの遊びストロークに影響を受けない。従って、その所要時間、及びアクセルペダルの踏み込み解除速度を基礎として判定を行えば、ブレーキペダルやアクセルペダルの遊びストロークのバラツキに影響されることなく、パニックブレーキと通常のブレーキ操作とを精度良く区別することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例のシステム構成図を示す。本実施例は、ブレーキ操作がなされた際にパニックブレーキの判定を行うと共に、その判定結果に応じて、真空倍力装置10の倍力比を可変とする機能を有している。
【0013】真空倍力装置10は、車両用ブレーキ装置においてブレーキペダルに加えられた踏力に応じた助勢力を発生する装置である。真空倍力装置10は、フロントシェル12、およびリアシェル14からなるハウジング16を備えている。ハウジング16の内部には、ダイヤフラム18が配設されている。ハウジング16の内部空間は、ダイアフラム18によって定圧室20と変圧室22とに区分されている。
【0014】定圧室20には、フロントシェル12に設けられた負圧導入口24が連通している。連通孔24は、車載される内燃機関の吸気通路に、スロットルバルブの下流側で連通されている。このため、内燃機関の運転が開始されると、定圧室20には内燃機関の吸気負圧が導入される。
【0015】ダイヤフラム18の中央部には、ブースタピストン26が嵌合されている。ブースタピストン26は、ハウジング16内を軸方向(図1において左右方向)に摺動可能に設けられたピストンである。ブースタピストン26の内部には、後述する種々の構成部品を収納する中空部26a、定圧室20と中空部26aとを連通する定圧通路26b、及び中空部26aと変圧室22とを連通する変圧通路26bを備えている。
【0016】ブースタピストン26の変圧通路26cの内部には、可変バルブ28が配設されている。可変バルブ28は、外部から供給される電気信号に応じて任意の開度を実現する電気式開閉弁である。かかる構成によれば、可変バルブ28の開度を変更することにより、変圧通路26bの有効面積を任意に変更することが可能である。
【0017】ブースタピストン26の中空部26aの内部には、プランジャ29、コントロールバルブ30、入力ロッド32、スプリング34,36、およびエアフィルタ38,40が収納または挿入されている。プランジャ29は、入力ロッド32と一体となってブースタピストン26の内部を、その軸方向に摺動する剛性部材である。プランジャ29は、その一端(図1における左端)に反力伝達部29aを、その他端(図1における右端)に、環状のエアバルブ29bを備えている。エアバルブ29bは、後述の如く、コントロールバルブ30の一端面30aを弁座とするバルブとして機能する。
【0018】コントロールバルブ30は、その中央部に入力ロッド32が貫通する貫通孔30bを備えている。貫通孔30bは、貫通孔30bの内周面と、入力ロッド32の外周面との間に所定のクリアランスが形成されるように形成されている。一方、上述したエアバルブ29bは、この貫通孔30bの外周部においてコントロールバルブ30aに着座するように形成されている。従って、エアバルブ29bがコントロールバルブ30に着座した状態では、貫通孔30bはエアバルブ29bによって遮断された状態となる。一方、エアバルブ29bがコントロールバルブ30から離座すると、エアバルブ29bによる貫通孔30bの遮断が解除され、中空部26aの、図1におけるコントロールバルブ30左側の空間26a-1(以下、変圧室26a-1と称す)と、右側の空間26a-2(以下、大気室26a-2と称す)とが導通状態となる。
【0019】コントロールバルブ30は、ブースタピストン26の軸方向に摺動可能に配設された弾性部材であり、上述の如くエアバルブ29bの弁座として機能すると共に、ブースタピストン26の一部26d(以下、弁座26dと称す)を弁座とするバルブとしても機能する。すなわち、図1に示す如く、コントロールバルブ30と弁座26dとが離座した状態では、上述した定圧通路26aと、変圧室26a-1とが導通状態となる。一方、コントロールバルブ30が弁座26dに着座した状態では、上述した定圧通路26aと変圧室26a-1とは遮断された状態となる。
【0020】入力ロッド32には、コントロールバルブ30をエアバルブ29b側に付勢するスプリング34,36が固定されている。従って、コントロールバルブ30には、常に図1中左向きの付勢力が作用している。一方、入力ロッド32には、常にその反力として、図1中右向きの付勢力が作用している。尚、上述したエアバルブ29b、コントロールバルブ30、及び入力ロッド32は、入力ロッド32に何ら外力が付与されない状況下(図1に示す状況下)では、エアバルブ29bがコントロールバルブ30の一端面30aに着座し、かつ、コントロールバルブ30が、ブースタピストン26の弁座26cから離座するように設けられている。
【0021】エアフィルタ38,40は、大気室26a-2の開口部に嵌挿されている。すなわち、真空倍力装置10において、大気室26a-2は、エアフィルタ38、40を介して常に大気に開放された状態とされている。ブースタピストン26の、図1における左側端部には、弾性体で構成されたリアクションディスク42を介して、図示しないマスタシリンダの油圧ピストンに連通する出力軸44が配設されている。従って、マスタシリンダには、出力軸44に付与された推力に応じたマスタシリンダ圧が発生する。また、出力軸44、すなわち、リアクションディスク42には、マスタシリンダ圧に応じた反力が作用する。
【0022】ところで、プランジャ29の一端には、上述の如く反力伝達部29aが形成されている。この反力伝達部29aは、マスタシリンダ圧に応じた反力を入力ロッド32に伝達するために設けられた部分である。ブースタピストン26および反力伝達部29aは、入力ロッド32に何ら変位が生じていない状況(図1に示す状況)下で、反力伝達部29aとリアクションディスク42との間に所定の間隙が形成されるように設けられている。
【0023】以下、真空倍力装置10の作動について説明する。入力ロッド32に連結されるブレーキペダルが踏み込まれていない場合、コントロールバルブ30がブースタピストン26の弁座26dから離座すると共に、エアバルブ29bがコントロールバルブ30の一端面30aに着座した状態が形成される。この場合、定圧通路26bが、変圧室26a-1と導通すると共に、変圧室26a-1と大気室26a-2とが遮断された状態となる。
【0024】かかる状況下では、定圧通路26bと変圧室26a-1とを介して、定圧室20と変圧通路26cとが導通状態となる。従って、変圧通路26cが連通する変圧室22の内部には、定圧室20と等圧の吸気負圧が導かれる。定圧室20と変圧室22とが等圧であると、ダイヤフラム18には何らの力も作用しない。従って、ブレーキペダルが踏み込まれていない場合、真空倍力装置10は、何らの助勢力も発生しない。
【0025】図1に示す状態から、ブレーキペダルが踏み込まれ、入力ロッド32に図1中左向きの推力が付与されると、入力ロッド32及びプランジャ29に図中左向きの変位が生ずる。入力ロッド32にはスプリング34,36を介してコントロールバルブ30が連結されているこのため、ブレーキペダルが僅かに踏み込まれた状態では、エアバルブ29bがコントロールバルブ30に着座したまま入力ロッド32の変位が進行する。
【0026】上記の変位が進行し、入力ロッド32、エアバルブ29b、およびコントロールバルブ30の変位が所定長に到達すると、コントロールバルブ30がブースタピストン26の弁座26dに着座した状態となる。かかる状態では、定圧通路26bと変圧室26a-1とが遮断状態、すなわち、定圧室20と変圧室22とが遮断状態となる。尚、上述した反力伝達部29aは、この時点でリアクションディスク42に当接するように設けられている。
【0027】上記の状態から、更にブレーキペダルが踏み込まれると、入力ロッド32の変位が更に増加し、エアバルブ29bがコントロールバルブ30の一端面30aから離座する状態となる。この際、反力伝達部29aがリアクションディスク42を押圧するため、入力ロッド32にはペダル踏力に応じた反力が伝達される。
【0028】上記の如くエアバルブ29bがコントロールバルブの一端面30aから離座すると、中空部26aの変圧室26a-1と大気室26a-2とが、貫通孔30bを介して導通状態となる。この場合、変圧通路26bを介して、変圧室22には大気が導入される。変圧室22に大気が導入されると、変圧室22の内圧が定圧室20の内圧に比して高圧となる。変圧室22が、定圧室20に比して高圧となると、ダイヤフラム18には、変圧室22側から定圧室20側へ向かう変形が生ずる。その結果、ダイヤフラム18の中央部に嵌合されるブースタピストン26には、図1中右側から左側へ向かう変位が生ずる。
【0029】ブースタピストン26の変位が進行すると、エアバルブ29bが再びコントロールバルブ30に着座して、変圧室26a-1と大気室26a-2とが遮断状態となる。変圧室26a-1と大気室26a-2とが遮断されると、変圧室22の内圧の昇圧が停止され、ブースタピストン26の変位が停止される。
【0030】ブースタピストン26の変位は、リアクションディスク42及び出力軸44を介してマスタシリンダに伝達される。この際、マスタシリンダには、ブースタピストン26の変位量に応じた油圧(以下、マスタシリンダ圧PM/C と称す)が発生し、一方、入力ロッド32には、出力軸44、リアクションディスク42、およびプランジャ29を介してマスタシリンダ圧PM/C に応じた反力が伝達される。このため、真空倍力装置10によれば、ブレーキ踏力に応じたマスタシリンダ圧PM/C を発生させることができる。
【0031】ところで、ブレーキ踏力に対するマスタシリンダ圧PM/C の比率(以下、ブレーキアシスト率と称す)は、ブレーキの操作特性を決定する重要な因子である。すなわち、不当に大きなブレーキアシスト率が設定されると、僅かなブレーキ操作に対して大きなマスタシリンダ圧PM/C が発生され、微調整の難しいブレーキが実現される。一方、ブレーキアシスト率が不足していると、十分な制動力を得るために、大きなブレーキ踏力が要求されることとなり、軽快な操作性の実現が困難となる。このため、ブレーキアシスト率は、軽快な操作性と、微調整の容易性とを両立し得る値に設定されている。
【0032】しかしながら、通常のブレーキ操作時と異なり、パニックブレーキ時には、大きな制動力が要求されると共に、制動力を微調整する必要がない。このため、常に適切なブレーキ特性を実現するためには、通常のブレーキ操作時にはブレーキアシスト率を比較的小さく、かつ、パニックブレーキ時にはブレーキアシスト率を比較的大きく設定することが望ましい。
【0033】ところで、真空倍力装置10は、変圧室22内に大気を導入することで、ブレーキ踏力に対するアシスト力を発生する。ここで、真空倍力装置10は、変圧室22と大気室26a-2とを結ぶ大気の流通経路中に、変圧通路26c、及びエアバルブ29bを備えている。また、変圧通路26cの内部には、任意の開度を実現し得る可変バルブ28が配設されている。従って、変圧室22には、これらエアバルブ29bおよび可変バルブ28が大きく開口されている場合に多量の大気が導入され、一方、エアバルブ29bおよび可変バルブ28の開口が小さい場合に少量の大気が導入される。この意味で、エアバルブ29および可変バルブ28は、それぞれ変圧室22へ大気を導く通路中で、オリフィスとして機能していることになる。
【0034】これらのオリフィスのうち、エアバルブ29bは、ブレーキペダルが踏み込まれた際に、そのブレーキ踏力に応じた開口面積で開口する。一方、可変バルブ28の開口面積は、外部から供給される駆動信号によって決定される。従って、可変バルブ28の開口面積を小さく設定すれば、単位ブレーキ踏力当たりに変圧室22に導入し得る大気の量が少量となり、一方、可変バルブ28の開口面積を大きく設定すれば、単位ブレーキ踏力当たりに変圧室22に導入し得る大気の量が多量となる。
【0035】真空倍力装置10において、ブレーキペダルが踏み込まれた際に、変圧室22に導かれる大気が少量であると、発生する助勢力は小さな力となる。従って、真空倍力装置10においては、可変バルブ28の開口面積28を小さくすることで、ブレーキアシスト率を小さく抑制することができる。一方、ブレーキペダルが踏み込まれた際に、変圧室22に導かれる大気が多量であると、発生する助勢力は大きな力となる。従って、真空倍力装置10においては、可変バルブ28の開口面積を大きくすることで、大きなブレーキアシスト率を得ることができる。
【0036】そこで、本実施例においては、後述する方法により通常のブレーキ操作とパニックブレーキとを判別し、それぞれ通常ブレーキ操作時には小さく、パニックブレーキ時には大きく、可変バルブ28の開口面積を変更することで、通常のブレーキ操作に対する適切なブレーキ特性と、パニックブレーキに対する適切なブレーキ特性との両立を図ることとしている。
【0037】以下、かかる機能を実現するための構成、及び処理の内容について説明する。図1に示す如く、可変バルブ28には、電子制御ユニット(ECU)46が接続されている。ECU46には、スロットルセンサ48、ブレーキスイッチ50、およびマスタ圧センサ52が接続されている。スロットルセンサ48は、アクセルペダルと連動して作動するスロットルバルブの開度に応じた信号を発するセンサである。ブレーキスイッチ50は、ブレーキペダルが踏み込また際にオンとなるスイッチである。また、マスタ圧センサ52は、マスタシリンダ圧PM/C に応じた信号を発生するセンサである。ECU46は、本実施例の要部であり、ブレーキ操作がなされた際に、上述した各センサの出力信号に基づいてパニックブレーキ度を判定し、その判定結果に応じた駆動信号を可変バルブ28に供給する。
【0038】図2は、上記の機能を実現すべくECU46が実行する第1の制御例の内容を示す制御ブロック図を示す。図2に示すブロック図は、ΔtA-B を入力パラメータとして、所定のマップに従ってブレーキアシスト率を決定することを表している。ここで、図2中、“ΔtA-B ”は、アクセルペダルの踏み込みが解除された時刻tA から、ブレーキペダルが踏み込まれた時刻tB までの時間、すなわち、ブレーキ操作が開始されるに先立って、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えが行われた際に、その踏み替えに要した所要時間を表す。また、図2中に示すマップM1は、ΔtA-B に対応するブレーキアシスト率のマップを示す。本マップM1によれば、ブレーキアシスト率は、ΔtA-B <α1 の領域では最大値maxに、β1 ≦ΔtA-B <の領域では最小値minに、また、α1 ≦ΔtA-B <β1 の領域ではmaxとminとの間の適当な値に、それぞれ設定されることになる。
【0039】パニックブレーキ時には、通常ブレーキ操作時に比して、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えが速やかに行われる。このため、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替え時間ΔtA-B が短いほど、実行されたブレーキ操作がパニックブレーキである可能性が高いと考えられる。これに対して、ECU46によって上記図2に示す制御が実行された場合、ΔtA-B が短時間であるほど大きなブレーキアシスト率が得られる。従って、本制御例によれば、パニックブレーキ時には高いブレーキアシスト率を、通常ブレーキ操作時には低いブレーキアシスト率をそれぞれ実現することができる。
【0040】ところで、アクセルペダルからブレーキペダルへの組み替え時間ΔtA-B は、運転者の操作速度のみに起因する時間であり、アクセルペダルやブレーキペダルの遊びストローク等に影響されることはない。従って、ΔtA-B に基づいてパニックブレーキ度を判定することとすれば、常に、運転者の操作速度のみに基づいて、正確にパニックブレーキ度を判定することができる。このため、上述した制御例によれば、正確に、パニックブレーキ度を判定することができる。
【0041】上記の制御は、具体的には、ECU46が図3及び図4に示すルーチンを実行することにより実現される。図3は、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えに要する時間ΔtA-B を求めるための制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。本ルーチンは、例えば5msec毎に起動される定時割り込みルーチンである。
【0042】図3に示すルーチンが起動すると、先ずステップ100において、演算に必要とされる各種パラメータ、具体的にはスロットルセンサ48の出力信号と、ブレーキスイッチ50の出力信号が読み込まれる。次に、ステップ102では、スロットルセンサ48の出力信号に基づいて、アクセル開度ACCPが“0”であるか否かが判別される。
【0043】アクセル開度が“0”でないと判別された場合は、ブレーキ操作が開始されていないと判断し、以後、ステップ104でタイマtを“0”にリセットし、次いでステップ106で、踏み替え時間ΔtA-B に所定値A(A>β1 )を代入して、今回のルーチンを終了する。
【0044】一方、上記ステップ102において、アクセル開度ACCPが“0”であると判別された場合は、ステップ108でタイマtがインクリメントされる。タイマtのインクリメントが終了すると、次にステップ110で、前回の処理時から今回の処理時にかけて、ブレーキスイッチ50がオフからオンに切り替わったか否かが判別される。
【0045】その結果、ブレーキスイッチ50がオフからオンに切り替わったと判別された場合は、今回の処理時をブレーキ操作が開始された時点として認識し、ステップ112でΔtA-B にタイマtの値を代入して今回の処理を終了する。一方、ステップ110で、ブレーキスイッチ50がオフからオンに切り替わっていないと判別された場合は、ステップ112をジャンプして、ステップ110の処理の後直接今回の処理が終了される。
【0046】上述の如く演算された踏み替え時間ΔtA-B は、図4に示すルーチンによってブレーキ特性に反映される。尚、図4に示すルーチンは、例えば5msec毎に起動される定時割り込みルーチンである。図4に示すルーチンが起動されると、先ずステップ200において、ΔtA-Bに基づいてパニックブレーキ度PB が演算される。ECU46は、図5に示す如きΔtA-B −PB マップを記憶しており、PB は同図に示すマップをΔtA-B で検索することにより演算される。本ルーチンにおいてパニックブレーキ度PB は、ΔtA-B <α1 の領域では最大値PB0に、β1 ≦ΔtA-B の領域では最小値“0”に、α1 ≦ΔtA-B <β1 の領域ではPB0と0との間の適当な値に、それぞれ設定される。
【0047】パニックブレーキ度PB の演算が終了したら、次に、ステップ202においてブレーキアシスト率を演算した後、今回のルーチンが終了される。ECU46は、図6に示す如きPB −アシスト率マップを記憶しており、ブレーキアシスト率は同図に示すマップをPB で検索することにより演算される。本ルーチンにおいてブレーキアシスト率は、PB =0の場合に最小値minに、PB0=PB の場合に最大値maxに、0<PB <PB0の領域でminとmaxとの間の適当な値にそれぞれ設定される。
【0048】以後、ECU46は、上記の如く演算したブレーキアシスト率を実現すべく、可変バルブ28に適当な駆動信号を供給する。その結果、真空倍力装置10においては、通常のブレーキ操作時にはブレーキアシスト率minが実現され、パニックブレーキ時には最大maxまでブレーキアシスト率が増大される。従って、真空倍力装置10によれば、通常のブレーキ操作時に軽快な操作性と、微調整の容易性とを実現し、かつ、パニックブレーキ時に十分に大きな制動力を発生させることができる。
【0049】ところで、上記実施例においては、ブレーキ操作が行われた際に、ΔtA-B に基づいてパニックブレーキ度PB を演算することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、通常のブレーキ操作とパニックブレーキとを区別するだけの制御内容とすることも可能である。かかる制御は、ECU46が、上記図4に示すルーチンに代えて、図7に示すルーチンを実行することにより実現される。
【0050】すなわち、図7に示すルーチンにおいては、先ずステップ300で、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替え時間ΔtA-B が所定値β1 より小さいか否かが判別される。その結果、ΔtA-B <β1 成立する場合は、ステップ302で、パニックブレーキが実行されていることが認識された後今回のルーチンが終了される。一方、ΔtA-B <β1 が不成立である場合は、ステップ304で、通常のブレーキ操作が実行されていることが認識された後、今回のルーチンが終了される。
【0051】尚、ECU46が、上記図7に示すルーチンを実行する場合、その判定結果に基づいて、通常のブレーキ操作時には可変バルブ28の開度を小さく、一方、パニックブレーキ時には可変バルブ28の開度を大きく、それぞれ段階的に変化させることにより、通常ブレーキ操作時およびパニックブレーキ時に、共に良好なブレーキ特性を実現することができる。
【0052】図8は、ECU46が実行する第2の制御例の内容を示す制御ブロック図を示す。本制御例は、上記図2に示す制御例で入力パラメータとして用いたΔtA-Bに加え、アクセルペダルの開度が変更される速度ΔACCPをも入力パラメータとして、ブレーキアシスト率を決定する制御例である。尚、図8において、上記図2に記載した内容については説明を省略する。
【0053】図8に示す“ΔACCP”は、アクセルペダルの開度が減少される際の速度を示す。また、図8中に示すマップM2は、ΔACCPに対応するブレーキアシスト率の補正ゲインを示す。マップM2に基づいて設定される補正ゲインは、マップM1に基づいて設定されるブレーキアシスト率に乗算されることにより、ブレーキ特性に反映される。尚、本マップM2によれば、補正ゲインは、ΔACCP<α2 の領域では最小値“1”に、β2 ≦ΔACCPの領域では最大値K1 に、また、α2 ≦ΔACCP<β2 の領域では1とK1 との間の適当な値に、それぞれ設定される。
【0054】パニックブレーキ時には、通常ブレーキ操作時に比して、アクセルペダルの踏み込み解除が高速で行われる。このため、解除速度ΔACCPが高速であるほど、実行されたブレーキ操作がパニックブレーキである可能性が高いと考えられる。これに対して、ECU46によって上記図8に示す制御が実行される場合、解除速度ΔACCPが高速であるほど大きな補正ゲインが得られ、ブレーキアシスト率が増大方向に補正される。従って、本制御例によれば、パニックブレーキ時に、確実に大きなブレーキアシスト率を得ることができる。
【0055】ところで、アクセルベダルを踏み込んだ際に発生するペダル反力は、その踏み込み量に関わらずほぼ一定となる。このため、解除速度ΔACCPに対するアクセルペダルの踏み込み量の影響は小さく、ΔACCPの値は、ほぼ運転者の操作速度のみによって決定される。従って、本制御例によって演算される補正ゲインは、運転者の操作速度のみを反映した値となる。
【0056】このため、本制御例によれば、運転者の操作速度を正確に反映する2つのパラメータ(ΔtA-B よびΔACCP)に基づいてブレーキアシスト率が演算されることになり、上記図2に示す制御例に比して更に正確に、運転者の操作状態をブレーキアシスト率に反映させることができる。
【0057】上記の制御は、具体的には、ECU46が図9及び図10に示すルーチンを実行することにより実現される。図9は、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えに要する時間ΔtA-B と、解除速度ΔACCPとに基づいて、パニックブレーキ判定係数Fを求めるための制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。本ルーチンは、例えば5msec毎に起動される定時割り込みルーチンである。
【0058】図9に示すルーチンが起動すると、先ずステップ400において、本ルーチンの演算に必要とされる各種パラメータ、具体的にはスロットルセンサ48の出力信号と、ブレーキスイッチ50の出力信号が読み込まれる。次に、ステップ402では、前回処理時におけるスロットル開度ACCP(n-1) と今回処理時におけるスロットル開度ACCP(n) との差、ΔACCP(n) =ACCP(n-1) −ΔACCP(n) が演算される。
【0059】ステップ404では、過去10回にわたって演算されたスロットル開度の変化量ΔACCP(k) (k=n−9〜n)の平均値、すなわち、過去50msecにおけるスロットル開度ACCPの平均変化速度ΔACCPが演算される。ΔACCPは、ブレーキ操作に先立って、アクセルペダルの踏み込みが急激に解除された場合に大きな値となり、一方、アクセルペダルが緩やかに解除された場合に小さな値となる。
【0060】上記の処理が終了すると、次に、ステップ406以降の処理が実行される。ステップ406及び408では、上記図3に示すステップ102及び104と同一の処理が実行される。すなわち、ステップ406ではACCPが“0”であるか否かが判別され、その結果、ACCP=0が不成立である場合は、ステップ408でタイマtが“0”にリセットされる。この場合、以後、ステップ410で、パニックブレーキ判定係数Fに“0”が代入された後、今回のルーチンが終了される。
【0061】一方、ステップ406でACCP=0が成立すると判別された場合は、ステップ412の処理が実行される。ステップ412〜414では、上記図3に示すステップ108〜112と同一の処理が実行される。すなわち、ステップ412ではタイマtがインクリメントされ、ステップ414では、前回の処理時から今回の処理時にかけて、ブレーキスイッチ50がオフからオンに切り替わったか否かが判別される。そして、ブレーキスイッチ50がオフからオンに切り替わっていないと判別された場合は今回の処理が終了され、一方、オフからオンに切り替わったていると判別された場合は、ステップ416において、ΔtA-B にタイマtの値が代入される。
【0062】本ルーチンでは、上記ステップ416でΔtA-B が演算されたら、次にステップ418へ進み、パニックブレーキ判定係数Fの演算が行われる。パニックブレーキ判定係数Fは、予め設定された比例定数Bを用いて、次式に従って演算される。
【0063】
F=B・ΔACCP/ΔtA-B ・・・(1)
上記(1)式によれば、パニックブレーキ判定係数Fは、アクセルペダルの解除速度ΔACCPが高速であるほど、また、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替え時間ΔtA-B が短時間であるほど、大きな値として演算される。
【0064】上述の如く演算されたパニックブレーキ判定係数Fは、図10に示すルーチンによってブレーキ特性に反映される。尚、図10に示すルーチンは、例えば5msec毎に起動される定時割り込みルーチンである。図10に示すルーチンが起動されると、先ずステップ500において、Fに基づいてパニックブレーキ度PB が演算される。ECU46は、図11に示す如きF−PB マップを記憶しており、PB は同図に示すマップをFで検索することにより演算される。本ルーチンにおいてパニックブレーキ度PB は、F<F1 の領域では最小値0に、F2 ≦Fの領域では最大値PB0に、F1 ≦F<F2 の領域ではPB0と0との間の適当な値に、それぞれ設定される。
【0065】パニックブレーキ度PB の演算が終了したら、次に、ステップ502の処理が実行された後、今回のルーチンが終了される。ステップ502では、上記図4に示すステップ202と同様の処理が実行される。すなわち、上記図6に示すPB−アシスト率マップをPB で検索することによりブレーキアシスト率を演算する処理が実行される。従って、本制御例によれば、ブレーキアシスト率は、パニックブレーキ判定係数FがF1 未満となる領域で最小値minに、FがF2 を超える領域で最大値maxに、それぞれ設定される。
【0066】上記図2に示す制御例の場合と同様に、以後ECU46が、上記の如く演算したブレーキアシスト率に対応する駆動信号を可変バルブ28に供給することにより、通常のブレーキ操作時に軽快な操作性と、微調整の容易性とを両立できるのみならず、パニックブレーキ時に十分に大きな制動力を発生させ得るブレーキ特性が実現される。
【0067】また、上記実施例は、ブレーキ操作が行われた際に、その操作速度に基づいてパニックブレーキ度PB を演算することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、通常のブレーキ操作とパニックブレーキとを区別するだけの制御内容とすることも可能である。かかる制御は、ECU46に、上記図10に示すルーチンに代えて、図12に示すルーチンを実行させることにより実現される。すなわち、図12に示すルーチンにおいては、先ずステップ600で、パニックブレーキ判定係数Fが所定値F1 より大きいか否かが判別される。その結果、F1 <Fが成立する場合は、ステップ602で、パニックブレーキが実行されていることが認識された後、後今回のルーチンが終了される。一方、F1 <Fが不成立である場合は、ステップ604で、通常のブレーキ操作が実行されていることが認識された後今回のルーチンが終了される。
【0068】尚、ECU46が、上記図12に示すルーチンを実行する場合、その判定結果に基づいて、通常のブレーキ操作時には可変バルブ28の開度を小さく、一方、パニックブレーキ時には可変バルブ28の開度を大きく、それぞれ段階的に変化させることにより、通常ブレーキ操作時およびパニックブレーキ時に、共に良好なブレーキ特性を実現することができる。
【0069】図13は、ECU46が実行する第3の制御例の内容を示す制御ブロック図を示す。本制御例は、上記図8に示す制御例で入力パラメータとして用いたΔtA-B 、ΔACCPに加え、マスタシリンダ圧PM/C の増加速度ΔPM/C をも入力パラメータとして、ブレーキアシスト率を決定する制御例である。尚、図13において、上記図8に記載した内容については説明を省略する。
【0070】図13に示す“ΔPM/C ”は、単位時間当たりのマスタシリンダ圧PM/C の増加量、すなわち、マスタシリンダ圧PM/C の増圧速度を表す。また、図13中に示すマップM3は、ΔPM/C に対応するブレーキアシスト率の補正ゲインを表している。マップM3に基づいて設定される補正ゲインは、マップM1およびM2に基づいて設定されるブレーキアシスト率に乗算されることにより、ブレーキ特性に反映される。尚、本マップM3によれば、補正ゲインは、ΔPM/C <α3 の領域では最小値“1”に、β3 ≦ΔPM/C の領域では最大値K2 に、また、α3≦ΔPM/C <β3 の領域では1とK2 との間の適当な値に、それぞれ設定される。
【0071】パニックブレーキ時には、通常ブレーキ操作時に比して、ブレーキペダルが高速で踏み込まれる。このため、パニックブレーキ時におけるマスタシリンダ圧PM/C の増圧速度ΔPM/C は、通常のブレーキ操作時に比して高速となる。従って、ΔPM/C が高速であるほど、実行されたブレーキ操作がパニックブレーキである可能性が高いと考えられる。これに対して、ECU46によって上記図13に示す制御が実行される場合、ΔPM/C が高速であるほど大きな補正ゲインが得られ、ブレーキアシスト率が増大方向に補正される。従って、本制御例によれば、パニックブレーキ時に、確実に大きなブレーキアシスト率を得ることができる。
【0072】このように、本制御例によれば、運転者の操作速度を正確に反映する2つのパラメータ(ΔtA-B およびΔACCP)に、ブレーキの操作速度が直接的に反映される増圧速度ΔPM/C を加味してブレーキアシスト率が演算される。従って、本制御例によれば、上記図8に示す制御例に比して更に正確に、運転者の操作状態をブレーキアシスト率に反映させることができる。
【0073】上記の制御は、具体的には、ECU46が、図14および上記図10又は図12に示すルーチンを実行することにより実現される。図14は、踏み替え時間ΔtA-B 、解除速度ΔACCP、および増圧速度ΔPM/C に基づいて、パニックブレーキ判定係数Fを求めるための制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。本ルーチンは、例えば5msec毎に起動される定時割り込みルーチンである。
【0074】図14に示すルーチンが起動すると、先ずステップ700において、本ルーチンの演算に必要とされる各種パラメータ、具体的にはスロットルセンサ48の出力信号、ブレーキスイッチ50の出力信号、およびマスタ圧センサ52の出力信号が読み込まれる。上記の処理が終了すると、次にステップ702以降の処理が実行される。
【0075】ステップ702〜ステップ716では、それぞれ、上記図9に示すステップ402〜416と同様の処理が実行される。すなわち、ステップ702および704では、アクセルペダルの解除速度ΔACCPを演算するための処理が実行される。また、ステップ706では、ACCPが“0”であるか否かが判別され、その結果ACCP=0が成立する場合には、ステップ704でタイマtに“0”が、またステップ706でパニックブレーキ判定係数Fに“0”が代入されて今回のルーチンが終了される。8では、上記図3に示すステップ102及び104と同一の処理が実行される。
【0076】一方、ステップ706でACCP=0が成立すると判別された場合は、ステップ712でタイマtがインクリメントされた後、ステップ714で、ブレーキスイッチ50の状態が判別される。そして、前回処理時から今回処理時にかけてブレーキスイッチ50がオフからオンに切り替わっていない場合はそのまま処理が終了され、一方、オフからオンに切り替わったている場合は、ステップ716でΔtA-B にタイマtの値が代入される。
【0077】本ルーチンでは、上記ステップ716でΔtA-B が演算されたら、次にステップ718で、今回処理時におけるマスタシリンダ圧PM/C(n)と前回処理時におけるマスタシリンダ圧PM/C(n-1)との差、すなわち増圧速度ΔPM/C =PM/C(n)−PM/C(n-1)が演算される。ΔPM/C は、ブレーキ操作が開始された後、ブレーキペダルが急激に踏み込まれた場合に大きな値となり、一方、ブレーキペダルが緩やかに踏み込まれた場合に小さな値となる。
【0078】増圧速度ΔPM/C の演算が終了したら、次にステップ720の処理が実行される。ステップ720では、予め設定された比例定数Cを用いて、次式に従ってパニックブレーキ判定係数Fが演算される。
F=C・ΔACCP・ΔPM/C /ΔtA-B ・・・(2)
上記(2)式によれば、パニックブレーキ判定係数Fは、アクセルペダルの解除速度ΔACCPが高速であるほど、また、マスタシリンダ圧PM/C の増圧速度ΔPM/C が高速であるほど、更に、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替え時間ΔtA-B が短時間であるほど、大きな値として演算される。
【0079】以後、ECU46に、上記図10に示すルーチン、又は図12に示すルーチンを実行させることにより、本ルーチンで演算したパニックブレーキ判定係数Fを、ブレーキ特性に反映させることができる。かかる制御によれば、ブレーキ操作が開始される以前におけるペダル操作速度と、ブレーキ操作開始後におけるペダル操作速度とが共にブレーキ特性に反映される。従って、本制御例によっても、上述した他の2つの制御例と同様に、パニックブレーキ時における適切な操作特性と、通常ブレーキ操作時における適切な操作特性とを、適切に使い分けることができる。
【0080】尚、上述した第1の制御例においては、ステップ102〜112の処理が、前記した「アクセルペダルの踏み込みが解除された時点から、ブレーキペダルが踏み込まれるまでの所要時間を計測する処理」に、また、ステップ204又はステップ300〜304の処理が、前記した「所要時間に基づいてパニックブレーキを判定する処理」に、それぞれ相当している。
【0081】更に、上述した第2及び第3の制御例においては、ステップ402,404の処理、及びステップ702,704の処理が、前記した「アクセルペダルの踏み込みが解除される速度を検出する処理」に、ステップ406〜416の処理、及びステップ706〜716の処理が、前記した「アクセルペダルの踏み込みが解除された時点から、ブレーキペダルが踏み込まれるまでの所要時間を計測する処理」に、また、ステップ418の処理、ステップ500又はステップ600〜604の処理、及びステップ720の処理が、前記した「アクセルペダルの踏み込み解除速度と所要時間とに基づいてパニックブレーキを判定する処理」に、それぞれ相当している。
【0082】図15は、パニックブレーキ度に応じてブレーキアシスト率を可変とする他のシステムの全体構成図を示す。図15に示す真空倍力装置60は、上記図1に示す真空倍力装置10が備える可変バルブ28に代えて、調整バルブ62、及び歪みセンサ64を備えている。
【0083】調整バルブ62は、ECU46から発せられる駆動信号に応じて開閉する電磁弁であり、真空倍力装置60の変圧室22と大気とを連通する通路を導通又は遮断するように配設されている。かかる構成によれば、調整バルブ62が開弁することにより変圧室22内に大気を導入することができ、また、調整バルブ62を閉弁することにより変圧室22内を大気から遮断することができる。
【0084】歪みセンサ64は、リアクションディスク42と、出力軸44との間に介在するように配設されている。かかる構成によれば、歪みセンサ64は、入力ロッド32に伝達される反力に応じた信号を出力する。歪みセンサ64の出力は、ECU46に供給されている。従って、ECU46は、入力ロッド32に如何なる反力が伝達されているか、すなわち、入力ロッド32には、如何なるブレーキ踏力が入力されているかを検出することができる。
【0085】ECU46は、歪みセンサ64の出力信号に基づいてブレーキ踏力を検出し、その検出値に応じて調整バルブ62をデューティ制御する。より具体的には、大きなブレーキ踏力が付与されている場合には、大きなデューティ比で調整バルブを駆動し、一方、小さなブレーキ踏力が付与されている場合には、小さなデューティ比で調整バルブを駆動する。従って、本実施例の真空倍力装置60においては、ブレーキ操作に伴って、エアバルブ22によって、ブレーキ踏力に応じた開口面積を有する大気導入孔が形成されると共に、調整バルブ62によって、実質的にブレーキ踏力に応じた開口面積を有する大気導入孔が形成される。
【0086】この際、エアバルブ22によって形成される大気導入孔、及び調整バルブ62によって形成される大気導入孔から、単位ブレーキ踏力当たりに変圧室22に導き得る大気が多量であるほど、真空倍力装置60によって高いブレーキアシスト率を得ることができる。一方、エアバルブ22によって形成される大気導入孔、及び調整バルブ62によって形成される大気導入孔から、単位ブレーキ踏力当たりに変圧室22に導き得る大気が少量であるほど、真空倍力装置60によって発生されるブレーキアシスト率を低く抑えることができる。
【0087】これに対して、本実施例のECU46は、スロットルセンサ48、ブレーキスイッチ50、及びマスタ圧センサ52等の出力信号に基づいてパニックブレーキの判定を行い、通常のブレーキ操作時を基準として、パニックブレーキ時には、調整バルブ62の駆動デューティ比を増大せしめることとしている。かかる制御によれば、ブレーキアシスト率は、通常ブレーキ操作時には小さく、パニックブレーキ時には大きくそれぞれ変更される。従って、本実施例の真空倍力装置60によっても、上記図1に示す真空倍力装置10と同様に、パニックブレーキ時における適切なブレーキ特性と、通常のブレーキ操作時における適切なブレーキ特性とを両立することができる。
【0088】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれば、ブレーキペダルの遊びストロークや、アクセルペダルの遊びストロークに影響されることのないパラメータ、すなわち、アクセルペダルの踏み込みが解除された後、ブレーキペダルが踏み込まれるまでに要する所要時間に基づいて、パニックブレーキの判定が行われる。このため、本発明に係るパニックブレーキの判定方法によれば、ブレーキペダル等の遊びストロークのバラツキに影響されることなく、常に正確にパニックブレーキの判定を行うことができる。
【0089】また、請求項2記載の発明によれば、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替えに要する所要時間に、アクセルペダルの踏み込み解除速度を加味してパニックブレーキの判定が行われる。アクセルペダルの踏み込み解除速度は、ブレーキ操作に移行する際の運転者の操作速度を顕著に表すと共に、アクセルペダルやブレーキペダルの遊びストロークに影響されないパラメータである。このため、本発明に係るパニックブレーキの判定方法によれば、ブレーキペダル等の遊びストロークのバラツキに影響されることなく、かつ、上記請求項1記載の発明に比して更に正確にパニックブレーキの判定を行うことができる。




 

 


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