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発明の名称 トレハロースを含有する眼科用医薬組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−235233
公開日 平成9年(1997)9月9日
出願番号 特願平8−345536
出願日 平成8年(1996)12月25日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
発明者 田中 均 / 金井 淳 / 高野 俊之 / 河場 享子 / 和田 昌子
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 式(1)
【化1】

で表される化合物を含有する眼科用の医薬組成物。
【請求項2】 点眼剤である請求項1記載の組成物。
【請求項3】 眼軟膏剤である請求項1記載の組成物。
【請求項4】 化合物(1)の含有量が、0.01〜20%の範囲である請求項2又は3記載の組成物。
【請求項5】 眼内灌流・洗浄剤である請求項1記載の組成物。
【請求項6】 化合物(1)の含有量が、0.01〜10%の範囲である請求項5記載の組成物。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼科領域の医療に関連する組成物に関し、更に詳しくは、角膜保護作用を有する有用で安全な眼内灌流・洗浄剤、点眼剤および眼軟膏剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】角膜は眼組織の最も外側にあって外界に露出された部分であり、その適切な保護は眼科領域の医療において極めて重要である。角膜は、上皮、実質、内皮の3層から成るが、角膜上皮と内皮は実質に対してバリアー機能を持ち、それぞれに大切な役目を担っている。即ち、角膜では、受動的な水分侵入と、能動的水分排泄のバランスが適切に保たれて角膜全体の水分を適量に調節し機能を維持しているが、このような角膜全体の機能を維持する上で中心となるのが角膜内皮細胞のポンプ機能である。このように、角膜内皮細胞は、代謝及び透明性の維持に重要な役割を果たしているので、内皮細胞が障害を受けて角膜の正常な生理機能が損なわれると、流体バランスが崩れ、角膜が膨潤し、透明性が失われることになる。角膜内皮細胞は、重要な役割を担っているにもかかわらず、成人においては分裂能力が極めて低く、障害を受けると修復が非常に困難である。
【0003】眼科領域における白内障手術や硝子体手術を代表とする外科的療法は、技術の発展と共に近年増加の傾向にある。これらの手術中は、長時間にわたって眼内圧の維持、露出される組織の破壊防止、視野を不明瞭にするような血液や組織片の洗浄のために、手術部位に眼内灌流・洗浄剤が絶えず送り込まれる。望ましくない眼内灌流・洗浄剤は、連続的な接触により角膜内皮細胞へ障害を引き起こし、ひいては術後の治癒過程に影響を及ぼし角膜混濁の原因となる。更には、緑内障や網膜炎などを併発させる恐れがある。そのため、眼科手術において角膜内皮細胞の保護作用に優れた眼内灌流・洗浄剤が望まれている。
【0004】初期の眼内灌流剤では、標準的な塩濃度0.9%の等張な溶液が広範に用いられたが、この等張液は角膜の膨潤を引き起こし、角膜内皮細胞の障害が問題であった。現在では、眼内灌流剤は房水組成にできるだけ近いものが好ましいとして、酸化型グルタチオンを添加したBSS PLUS(商品名)や、塩バランス溶液であるオペガード MA(商品名)が使用されている。しかしながら、これら従来製品も依然として角膜内皮細胞保護作用の点で問題を有している。
【0005】一方、角膜上皮細胞は、外界との境界であり、眼球乾燥やコンタクトレンズ等の外的要因による機械的障害によって障害を受け易いことが知られている。ドライアイは最近増加傾向にあり、不定愁訴を伴う疾患であることから、患者のquality of lifeの向上という点からも、その適切な処置が重要になっている。更に現代の視覚情報化社会と、コンタクトレンズの普及により、眼疾患は益々多様化し、外界の危険因子に常に曝されている角膜上皮細胞の保護は深刻な問題である。従って、乾燥や異物による障害に対する保護作用を持ち、角膜上皮細胞の機能を正常に維持するための点眼剤、眼軟膏剤等が必要である。現在、角膜上皮障害の治療法として人工涙液の点眼剤などがあるが、必ずしも満足できる効果をあげていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、眼組織、とりわけ角膜の保護作用に優れた、有用で安全性の高い、眼内灌流・洗浄剤、点眼剤及び眼軟膏剤等の眼科用の医薬組成物を提供することにある。しかし、これら組成物の適用部位である眼組織は極めて精巧に造られた感覚器であり、生理的特性が他の臓器と顕著に異なっているために、その開発においては、眼組織の特異性に由来する様々な問題を解決しなければならない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、眼科領域での様々な医療に用いる組成物の有効成分として有用な物質を見出すために鋭意研究を続けた結果、キノコ類、パン酵母、海草類、海老類など多くの食品にその存在が確認されており、長年の間、人間が食品として食してきた公知の2糖類の一つであるトレハロースが、優れた眼組織保護作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、式(1)
【化2】

で表される化合物を含有する眼科用の医薬組成物を提供するものである。上記の式(1)で示されるトレハロースは、従来、食品としての用途以外に、化粧品、精子保存液、移植臓器用溶液(特開平6-40801)などに用いうることが知られているが、眼科用の医薬組成物の成分として有用であることは未だ知られていない。本発明のトレハロース含有医薬組成物の例として、眼内灌流・洗浄剤、点眼剤および眼軟膏剤を挙げることができる。トレハロースを含有する組成物は、後述の試験例に示すように、角膜保護作用に優れており、上記の本発明の目的の達成に有用である。
【0008】トレハロースの製造法については、例えばMERCK INDEX、第11版、1508頁の9496 Trehaloseの項に記載の文献を参照して製することができ、また、市販のものを利用することもできる(和光純薬工業K.K.)。なお、これらの入手可能なトレハロースが水和物の形をとっている場合、該水和物も、水和していない化合物と同様に本発明組成物の有効成分として有用であることは、当業者ならば容易に理解しうることである。さらに、製剤の分野では、有効成分である化合物を、生体内で同一の作用を発揮する製剤的に許容される塩又はエステル等の誘導体の形に修飾して投与することが一般的であり、溶解性や安定性等の面で適当に修飾することが好ましい場合もある。従って、本発明の組成物の有効成分であるトレハロースも、同等の所望の角膜保護作用を示すことを条件として、当該技術分野で既知の方法で得られる製剤的に許容される塩又はエステルを含む誘導体の形で用いることができ、そのようにして得られる組成物も本発明の範囲内に含まれる。エステルの例としては、酢酸エステル、硫酸エステル等を挙げることができる。トレハロースの誘導体のうち、硫酸エステルは、既に皮膚保護作用を有することが知られており(特開平4−290808)、角膜に対しても保護効果を示すことが期待される。従って、トレハロースの硫酸エステルは本発明組成物の有効成分として有用である。そのような誘導体は、当業者既知の方法又は文献(例、Schweiger R.G.らCarbohydrate Research 21, 219-229 (1972))既知の方法で合成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の眼科用組成物が眼内灌流・洗浄剤及び点眼剤である場合、該組成物は予め液剤の形にしておいてもよく、あるいは固形剤として使用時に溶解して用いるようにしてもよい。固形剤の場合、例えば精製水や生理食塩液などに適量を溶解、懸濁または乳化させるとよい。固形剤としては、錠剤、顆粒剤や散剤などが挙げられ、これらは公知の方法により適宜製造することができる。これらの製剤は、無菌濾過や加熱滅菌などの公知の方法により無菌とするのがよい。
【0010】本発明の組成物中のトレハロースの含量は、最終濃度として、通常、約0.01%〜20%の範囲であるが、好ましい濃度範囲は個々の製剤で若干異なり、通常、角膜保護効果、浸透圧、イオンバランス問うの様々な因子を考慮して決定される。トレハロースの配合量を増加させることにより、角膜内皮及び上皮に対する保護効果を高めることができる。そのためには、好ましくはトレハロースを組成物中に0.1%以上、より好ましくは0.3%以上配合するとよい。一方、本発明の組成物は眼粘膜に直接適用されることから、製剤中にトレハロースを配合する場合には、同時に塩類含量を適切に調節し、細胞のイオンバランスに影響を与えないよう注意が必要である。従って、イオンバランスの崩壊を防ぐためには、塩類配合量との関係から、製剤中のトレハロースの含量を好ましくは5%以下、より好ましくは3.5%以下にすることが望ましい。
【0011】以上の点を総合すると、トレハロースの最終濃度は、眼内灌流・洗浄剤の場合、通常、0.01%〜10%、好ましくは0.1%〜5%、特に好ましくは、0.3%〜3.5%の範囲、点眼剤および眼軟膏剤の場合、通常0.01%〜20%、好ましくは1%〜10%、特に好ましくは、0.5〜5%とすることができる。また、本発明の組成物のpHは、眼内灌流・洗浄剤、点眼剤および眼軟膏剤として用いる場合、公知の方法によって、6.5〜8.0に調整するのがよい。さらに、点眼剤として用いる場合、浸透圧は公知の方法によって0.5〜5圧比、好ましくは0.8〜2圧比に調整するのがよい。眼内灌流・洗浄剤として用いる場合は、0.8〜1.5圧比、好ましくは1.0〜1.2圧比に調整するのがよい。
【0012】本発明の組成物は、使用目的に応じて、当該技術分野で用いられている通常の成分に上記した濃度範囲内でトレハロース又はその誘導体を加え、要すればpH及び浸透圧を調整することにより、常法通り製造することができる。本発明組成物が眼内灌流・洗浄剤である場合、本発明の目的に反しない限り、通常、眼内灌流・洗浄剤に用いられるその他の成分、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウム等の各種の電解質、ブドウ糖等の単糖類、グルタチオンおよびグルタチオンジスルフィド等のペプタイド類、ペニシリンG等の抗生物質などを通常用いられる量を適宜配合することができる。本発明組成物が点眼剤である場合、本発明の目的に反しない限り、通常点眼剤に用いられる添加剤、例えば、クロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジウム、フェネチルアルコール、パラオキシ安息香酸メチル、塩化ベンゼトニウム等の保存剤、硼砂、硼酸、リン酸2水素カリウム等の緩衝剤、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コンドロイチン硫酸等の増粘剤、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等の溶解補助剤、エデト酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の安定化剤を適宜配合することができる。本発明組成物が眼軟膏剤である場合、慣用の基剤を使用でき、具体的には、眼科用白色ワセリン、プロペト、プラスチベース等を例示できる。添加剤としては、流動パラフィン等を使用する。
【0013】本発明の眼内灌流・洗浄剤の用法・用量は、患者の年齢、術式等により変動するが、通常、白内障手術で約20〜500ml、硝子体手術で約50〜4,000ml、緑内障手術で約20〜50mlである。本発明の点眼剤の用法・用量は、患者の症状、年齢等により変動するが、通常、1日1〜6回、1回1〜2滴が点眼される。眼軟膏剤の場合には、通常1日1〜2回、結膜嚢内に適量を塗布して使用される。以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
【実施例】
実施例1 眼内灌流・洗浄剤 100ml中 トレハロース(2水和物) 3.5g 塩化ナトリウム 0.375g 塩化カリウム 0.0358g 塩化カルシウム(無水) 0.0133g 硫酸マグネシウム(無水) 0.0145g 酢酸ナトリウム(3水和物) 0.0599g クエン酸ナトリウム(無水) 0.0878g 炭酸水素ナトリウム(無水) 0.21g D−グルコース(無水) 0.15g 1N 塩酸 適 量 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して眼内灌流・洗浄剤とする。pH7.4、浸透圧比1.1。
【0015】
実施例2 眼内灌流・洗浄剤 100ml中 トレハロース(2水和物) 0.3g 塩化ナトリウム 0.636g 塩化カリウム 0.0358g 塩化カルシウム(無水) 0.0133g 硫酸マグネシウム(無水) 0.0145g 酢酸ナトリウム(3水和物) 0.0599g クエン酸ナトリウム(無水) 0.0878g 炭酸水素ナトリウム(無水) 0.21g D−グルコース(無水) 0.15g 1N 塩酸 適 量 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して眼内灌流・洗浄剤とする。pH7.4、浸透圧比1.1。
【0016】
実施例3 眼内灌流・洗浄剤 100ml中 トレハロース(2水和物) 5g 塩化ナトリウム 0.375g 塩化カリウム 0.0358g 塩化カルシウム(無水) 0.0133g 硫酸マグネシウム(無水) 0.0145g 酢酸ナトリウム(3水和物) 0.0599g クエン酸ナトリウム(無水) 0.0878g 炭酸水素ナトリウム(無水) 0.21g D−グルコース(無水) 0.15g 1N 塩酸 適 量 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して眼内灌流・洗浄剤とする。pH7.4、浸透圧比1.2。
【0017】
実施例4 眼内灌流・洗浄剤 100ml中 トレハロース(2水和物) 10g 塩化ナトリウム 0.195g 塩化カリウム 0.0358g 塩化カルシウム(無水) 0.0133g 硫酸マグネシウム(無水) 0.0145g 酢酸ナトリウム(3水和物) 0.0599g クエン酸ナトリウム(無水) 0.0878g 炭酸水素ナトリウム(無水) 0.21g D−グルコース(無水) 0.15g 1N 塩酸 適 量 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して眼内灌流・洗浄剤とする。pH7.4、浸透圧比1.5。
【0018】
実施例5 点眼剤 100ml中 トレハロース(2水和物) 3.5g 塩化ナトリウム 0.4g 塩化カリウム 0.15g リン酸2水素ナトリウム 0.2g 硼砂 0.16g 塩化ベンザルコニウム 0.004g 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7.4、浸透圧比1.1。
【0019】
実施例6 点眼剤 100ml中 トレハロース(2水和物) 0.3g 塩化ナトリウム 0.8g 塩化カリウム 0.15g リン酸2水素ナトリウム 0.2g 硼砂 0.16g 塩化ベンザルコニウム 0.004g 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7.4、浸透圧比1.1。
【0020】
実施例7 点眼剤 100ml中 トレハロース(2水和物) 0.5g 塩化ナトリウム 0.6g 塩化カリウム 0.15g リン酸2水素ナトリウム 0.2g 硼砂 0.16g 塩化ベンザルコニウム 0.004g 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7.4、浸透圧比1.1。
【0021】
実施例8 点眼剤 100ml中 トレハロース(2水和物) 5.0g 塩化ナトリウム 0.3g 塩化カリウム 0.15g リン酸2水素ナトリウム 0.2g 硼砂 0.16g 塩化ベンザルコニウム 0.004g 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7.4、浸透圧比1.1。
【0022】
実施例9 点眼剤 100ml中 トレハロース(2水和物) 10g 塩化ナトリウム 0.3g 塩化カリウム 0.15g リン酸2水素ナトリウム 0.2g 硼砂 0.2g 塩化ベンザルコニウム 0.004g 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7.4、浸透圧比1.5。
【0023】
実施例10 点眼剤 100ml中 トレハロース(2水和物) 20g 塩化ナトリウム 0.04g 塩化カリウム 0.02g リン酸2水素ナトリウム 0.03g 硼砂 0.04g 塩化ベンザルコニウム 0.004g 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7.4、浸透圧比2.0。
【0024】
実施例11 眼内灌流・洗浄剤 100ml中 トレハロース(硫酸エステル) 3.5g 塩化ナトリウム 0.375g 塩化カリウム 0.0358g 塩化カルシウム(無水) 0.0133g 硫酸マグネシウム(無水) 0.0145g 酢酸ナトリウム(3水和物) 0.0599g クエン酸ナトリウム(無水) 0.0878g 炭酸水素ナトリウム(無水) 0.21g D−グルコース(無水) 0.15g 1N 塩酸 適 量 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して眼内灌流・洗浄剤とする。pH7.4、浸透圧比1.1。
【0025】
実施例12 点眼剤 100ml中 トレハロース(硫酸エステル) 5.0g 塩化ナトリウム 0.3g 塩化カリウム 0.15g リン酸2水素ナトリウム 0.2g 硼砂 0.16g 塩化ベンザルコニウム 0.004g 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7.4、浸透圧比1.1。
【0026】
実施例11 眼軟膏剤 100g中 トレハロース(2水和物) 3.5g 流動パラフィン 5g 眼科用白色ワセリン 適 量 全 量 100g上記の成分を用いて、公知の方法により無菌製剤を調製して眼軟膏剤とする。
【0027】試験例1トレハロースの角膜内皮細胞保護作用を評価するため、本発明化合物を配合した組成物およびこれを除いた組成物を調製し、ウサギ強角膜片を用いて内皮細胞の保護作用について比較検討した。
[被験物質]実施例1に示したトレハロースを含有する製剤(トレハロース(+)製剤)、及び対照としてその処方からトレハロースを除き滲透圧を約1.1とした製剤(トレハロース(−)製剤)を用いて試験した。
[試験方法]眼に異常のない日本白色種雄性ウサギ4匹を用い、屠殺後眼球を摘出して強角膜片とした。Diksteinらの方法(S. Dikstein and D. M. Maurice: The Metabolic Basis to the Fluid Pump in the Cornea. J. Physiol. 221:29-41, 1972)に従って、灌流チャンバーに固定し、直ちにシリンジポンプを用いて流速1.6ml/h、角膜内圧約15mmHgの条件で、片眼をトレハロースを含有する製剤、僚眼をトレハロースを除いた製剤で37℃、8時間灌流した。灌流後、輪部に沿って強膜部を切除し、角膜片のみにして湿重量を測定した。その後、120℃で24時間乾燥し、乾燥重量を測定した。湿重量および乾燥重量から次式により含水率を算出した。
【数1】角膜含水率=(湿重量−乾燥重量)/乾燥重量[試験結果]試験物質を8時間灌流した後の角膜含水率は、トレハロースを含有する製剤で5.24±0.21(平均値±標準誤差 n=4)、トレハロースを除いた製剤で6.89±0.25(平均値±標準誤差 n=4)であり、前者のほうが後者に比べて有意に低かった(p<0.05、図1参照)。従って、トレハロースを配合することによって角膜内皮細胞が保護され、角膜の膨潤が抑制されることが明らかとなった。
【0028】試験例2トレハロースの角膜上皮細胞に対する保護作用を評価するために、ニュートラルレッドアッセイ法を用いて、塩化ベンザルコニウムによって障害を与えた家兎角膜上皮細胞に対する本化合物の保護作用を検討した。
[被験物質]トレハロースを培養液で7%に調製した液(トレハロース有)を被験溶液として、食塩を培養液で0.6021%に調製した液(トレハロース無)を対照溶液として試験した。
[試験方法]試験物質の細胞保護作用の評価は、コルネパックキット(クラボウ(株))に添付されているウサギ角膜上皮細胞を用いたニュートラルレッドアッセイ法に準じて行った。1次培養凍結細胞を2つの25cm2フラスコに4000cells/cm2で接種し、36.5℃、5% CO2の条件下で5日間培養した後(2次培養)、96穴マルチプレートに100μlずつ2500cells/ウエルで接種し、37℃、5% CO2で3日間培養した(3次培養)。培養した角膜上皮細胞に塩化ベンザルコニウム溶液(25×10-6、50×10-6、75×10-6、10×10-5%)を50μl添加し、さらに被験溶液(7%トレハロース)または対照溶液(0.6021%食塩)を50μl(計100μl)添加し、36.5℃、5%CO2のインキュベーター内で2日間培養した。なお、培養液のみを100μl添加したものを未処理コントロールとした。ニュートラルレッド溶液を各ウエルに100μlずつ添加し、36.5℃、5%CO2で3時間インキュベートした。上清を捨てた後、1%塩化カルシウムを含む1%ホルマリン溶液200μlで細胞を1分間固定・洗浄した。続いて上清を捨て、水洗後、1%酢酸を含む50%エタノール溶液100μlを用いて細胞からニュートラルレッドを20分間抽出し、生存する細胞に摂取されたニュートラルレッドの吸光度(540nm)を測定した。測定値からブランク(未処理コントロールと同じ条件で細胞を培養した後、ニュートラルレッドの非存在下、同様に処理して得た測定値)の平均吸光度を差し引いた補正吸光度を求め、下式より、未処理コントロールとの比から細胞生存率を算出した。
【0029】
【数2】

[試験結果]培養角膜上皮細胞に塩化ベンザルコニウムを25×10-6〜10×10-5%添加すると、細胞生存率は濃度依存的に低下した。一方、この細胞生存率の低下は、トレハロースを同時に添加することにより、いずれの塩化ベンザルコニウムの濃度においても明らかに軽減された(図2)。この結果は、トレハロースが障害を受けた角膜上皮細胞に対して保護作用を有することを示している。
【0030】試験例3トレハロースの眼内灌流液としての有用性を評価するため、本発明のトレハロース含有組成物でウサギ眼球内を灌流した。
[被験物質]試験例1と同様に調製した、トレハロース(+)製剤及び、対照としてトレハロース(−)製剤を用いて試験した。
[試験方法]眼に異状のない日本種雄性ウサギ6匹に全身麻酔を施し、角膜輪部から強膜側へ2mmの位置で強膜を幅3mm切開し、切開口より前房内に白内障手術用灌流装置(ハーグ・ストルツ・AG社)の超音波水晶体乳化吸引チップを挿入し、被験物質で前房内を室温で60分間(600ml)灌流した。灌流直後、1、2、7日後に超音波パキメーター(メンター社)で角膜厚を測定した【0031】[試験結果]灌流1日後の角膜厚は、トレハロースを含有する製剤の場合、0.322±0.005 mm (平均値±標準偏差,n=3)、トレハロースを含有しない製剤の場合、0.349±0.001 mm (平均値±標準偏差,n=3)であり、前者の方が後者に比べて有意に低かった(p<0.01、図3参照)。従って、トレハロースを配合することによって角膜内皮細胞が保護され、灌流後の角膜の膨潤が抑制されることが明らかになった。
【0032】
【発明の効果】本発明の組成物は、眼内組織、特に眼科手術の際に損傷を最も受けやすい角膜内皮細胞の保護の点で優れているので、各種眼科手術を安全に行うことができる。また、本発明の組成物は、これに含有されるトレハロースが角膜上皮細胞に対して保護作用を有することから、点眼剤あるいは眼軟膏剤として角膜障害の治療に有利に用いることができる。




 

 


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