| 発明の名称 |
外科手術用ステープラー |
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| 発行国 |
日本国特許庁(JP) |
| 公報種別 |
公開特許公報(A) |
| 公開番号 |
特開平9−299376 |
| 公開日 |
平成9年(1997)11月25日 |
| 出願番号 |
特願平8−119073 |
| 出願日 |
平成8年(1996)5月14日 |
| 代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
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| 発明者 |
永水 裕之 |
| 要約 |
目的
構成
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特許請求の範囲
【請求項1】 複数のステープルが配置される挿入部を有し、前記ステープルを挿入部の長手軸方向に対して角度をもって打ち出して閉鎖する外科手術用ステープラーにおいて、挿入部の長手軸方向に対して角度をなす傾斜状態で複数のステープルを挿入部の長手軸方向に沿って配置する配置手段と、挿入部の長手軸方向に沿ってスライドするスライド部材を有し、このスライド部材を挿入部の先端側にスライドさせることによって、傾斜状態で配置された前記ステープルの1つをその傾斜状態のまま挿入部の先端開口部に向けて送り出す送り手段と、前記送り手段によって傾斜状態で送り出された前記ステープルと当接し、前記送り手段と協働して前記ステープルを閉鎖する閉鎖手段と、を具備することを特徴とする外科手術用ステープラー。
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発明の詳細な説明
【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は外科手術用ステープラーに関する。 【0002】 【従来の技術】近年、内視鏡下胆嚢摘出術および鼠径部のヘルニアリペアなどが手技の低侵襲性と簡便さとから治療手段として定着してきている。ここで、ヘルニアリペアとは、鼠径部の穴に内部組織の一部が突出してしまうことを防ぐためにメッシュで鼠径部の穴を塞ぐ手技のことで、内視鏡下で行なう時にはその簡便さから内視鏡下で使えるステープルを使用することが一般的である。 【0003】しかし、ステープルを打ち出すステープラーの挿入部は、腹腔の中に挿入された際、鼠径部の周囲で、気腹された腹壁とほぼ平行になってしまうことがある。このような場合、ステープルをその挿入部の長手軸方向と平行に打ち出すステープラーでは、打ち出されたステープルの脚部が生体組織に対してほぼ平行になってしまい、ステープルを生体組織に刺入することが困難となる。そのため、挿入部の長手軸方向に対して角度をなしてステープルを打ち出す外科手術用ステープラーが従来から提案されている。 【0004】例えば、米国特許第5413272号、米国特許第5257713号および米国特許第5217472号で提案されているステープラーは、その挿入部の長手軸方向に対して角度をもってアンビルを位置決めするとともに、ステープルを送り閉鎖するためのプッシャーの先端にプッシャーエレメントを取り付け、このプッシャーエレメントを挿入部に設けたガイド溝によって挿入部の長手軸方向に沿って移動させながら回動させてアンビルと噛み合わすようにしている。これによって、ステープルは、プッシャーエレメントの回動によって挿入部の長手軸方向に対して角度をなして送られて生体組織に刺入されて閉鎖固定される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来の外科手術用ステープラーでは、挿入部の長手軸方向への移動およびアンビルと噛み合うための回動といった複雑な動作がプッシャーエレメントとステープルとに要求されるため、手術中に体液や血液等がこうした動作部位に付着・固化した場合には、動作不良が生じる虞がある。 【0006】本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、単純な動作によってステープルを挿入部の長手軸方向に対して角度をなして送り出すことができ、これによって動作不良の発生を極力回避できるステープラーを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、複数のステープルが配置される挿入部を有し、前記ステープルを挿入部の長手軸方向に対して角度をもって打ち出して閉鎖する外科手術用ステープラーにおいて、挿入部の長手軸方向に対して角度をなす傾斜状態で複数のステープルを挿入部の長手軸方向に沿って配置する配置手段と、挿入部の長手軸方向に沿ってスライドするスライド部材を有し、このスライド部材を挿入部の先端側にスライドさせることによって、傾斜状態で配置された前記ステープルの1つをその傾斜状態のまま挿入部の先端開口部に向けて送り出す送り手段と、前記送り手段によって傾斜状態で送り出された前記ステープルと当接し、前記送り手段と協働して前記ステープルを閉鎖する閉鎖手段とを具備するものである。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1ないし図15は本発明の第1の実施形態を示している。図1の(a)に示すように、本実施形態の外科手術用ステープラーは、操作部1と、操作部1に対して着脱自在に取り付けられる細長い挿入部2とから構成されている。また、挿入部2は、操作部1に着脱自在に取り付けられる挿入部本体2aと、挿入部本体2aの先端に着脱自在に取り付けられるカートリッジ部2bとからなる。挿入部本体2aは、その長手方向軸Aの周りで操作部1に対して回転することができる。カートリッジ部2bの先端には、挿入部2の長手方向軸Aに対して角度をなして延びる傾斜面50が形成されている。 【0009】挿入部2を図1の(a)の状態から操作部1に対して90°回転させた状態が図1の(b)に示されている。この図1の(b)に示ように、カートリッジ部2bの傾斜面50には、後述するステープル24(図7等参照)を挿入部2の長手方向軸Aに対して角度をなして送り出す開口51が設けられている。 【0010】図2は、外科手術用ステープラーを、操作部1と挿入部本体2aとカートリッジ部2bとに分解した状態を示している。図示のように、操作部1は、ハンドル4と、このハンドル4に対してヒンジ7を介して開閉自在に取り付けられた上蓋6と、ハンドル4に回転可能に支承されたトリガ5とからなる。なお、この図2では、上蓋6が開いた状態で示されている。また、上蓋6は、その縁部に止め具8を有しており、この止め具8をハンドル4の縁部に設けられた対応する係止部8´(図3参照)に係止させることで閉じた状態に保持されるものである。なお、図示のように、本構成では、上蓋6がヒンジ7により長手方向軸Aと平行な軸の回りで回転するようになっているが、これに限らず、例えば上蓋6がヒンジにより長手方向軸Aと垂直な軸の回りで回転するようになっていても良く、また、上蓋6が操作部1に対してスライド式に開閉するようになっていても良い。また、操作部1は、本実施形態のようなステープラーの操作部として使用される他、クリップアプライヤーやリニアカッターなどの手術用器具の操作部としても使用することが可能である。 【0011】また、挿入部本体2aは、回転ノブ9と、回転ノブ9の先端側から細長く延出する支持シャフト12と、回転ノブ9内および支持シャフト12内にスライド可能に挿通された操作棒17とから構成されている。 【0012】また、カートリッジ部2bは、第1のハウジング19aと第2のハウジング19bとからその本体が構成されている。また、カートリッジ部2bは、支持シャフト12の先端に設けられたカートリッジホルダ13に対して着脱自在に取り付けられるカートリッジコネクタ18をその基端に有している。 【0013】図3は、上蓋6を開いた状態で操作部1に対して挿入部本体2aを取り付けた様子を示している。図示のように、ハンドル4には、その内面の両側から突出するように形成された突起53aが設けられており、この突起53aは、挿入部本体2aの回転ノブ9の外周に形成された保持溝55と係合して挿入部本体2aを基端側から回転自在に保持する。また、図2に示すように、上蓋6にも、その内面の両側から突出するように形成された突起53bが設けられている。そして、この突起53bもまた挿入部本体2aの回転ノブ9の外周に形成された保持溝55と係合し、突起53aとともに挿入部本体2aを基端側から回転自在に保持する。 【0014】また、図3に示すように、操作部1のトリガ5にはトリガ5の操作力を挿入部本体2aの操作棒17に伝達するための伝達溝54が設けられており、この伝達溝54には操作棒17の基端に形成されたトリガコネクタ57が着脱自在に係合している。また、挿入部本体2aの回転ノブ9の基端側には略U字形のカム溝56が設けられており、このカム溝56には操作棒17のバネ固定部73(後述する)に突設されたカムピン15が係合している。なお、カム溝56は、その一端側が回転ノブ9の基端で解放する直線状の第1の溝部56aと、第1の溝部56aと平行に延びる第2の溝部56bと、第2の溝部56bの端部と第1の溝部56aの端部とを接続する接続溝部56cとからなる。 【0015】このようなカム溝56とカムピン15との係合を解除することにより、挿入部本体2aは、図4の(a)に示す操作棒17と、図4の(b)に示す回転ノブ9および支持シャフト12とに分解される。 【0016】これについて、詳細に説明すると、まず、図4の(a)に示すように、操作棒17は、細長い長尺部17aと、長尺部17aの基端側に設けられたバネ押さえ部17bとからなる。長尺部17aの先端部外周には後述するステープル送り閉鎖部材27の係合爪67と係合する係合溝58が設けられている。バネ押さえ部17bにはバネ固定部73が形成されており、このバネ固定部73にはカムピン15が突設され且つ復帰バネ16の一端が固定されている。バネ押さえ部17bの基端には、操作部1のトリガ5の伝達溝54と係合する前述のトリガコネクタ57が形成されている。 【0017】図4の(b)に示すように、回転ノブ9は、シャフトホルダ71とノブ部72とからなる先端側部分9aと、操作部1の突起53a,53bに係合する前述の保持溝55とカムピン15が係合するカム溝56とを有する基端側部分9bとからなり、前記先端側部分9aのシャフトホルダ71に支持シャフト12が接続固定されている。先端側部分9aには、操作棒17の長尺部17aがスライド自在に案内される小径の第1の孔80が形成されており、また、基端側部分9bには、第1の孔80と連通し且つ操作棒17の復帰バネ16とバネ押さえ部17bとが摺動自在に挿入される大径の第2の孔81が形成されている。この場合、第1の孔80には、回転ノブ9と操作棒17との間を気密に保持するOリング10が取り付けられている。なお、支持シャフト12の先端にはカートリッジホルダ13が設けられており、カートリッジホルダ13は、第1の孔80と同軸の孔13aと、カートリッジ部2bのカートリッジコネクタ18が接続される接続口部74とを有している。 【0018】図4の(a)(b)に示す分離状態から回転ノブ9および支持シャフト12に対して操作棒17を組み付けるには、まず、操作棒17の先端を回転ノブ9の基端側から第2の孔81内に挿入し、操作棒17の長尺部17aを第1の孔80を通じて支持シャフト12側に導入しながら、図5の(a)に示すように操作棒17のカムピン15を回転ノブ9の第1の溝部56aの解放端からカム溝56内に導入していく。この過程では、操作部17に装着された復帰バネ16が第2の孔81の先端面に当接して圧縮されながら、操作棒17のバネ押さえ部17bが第2の孔81内に挿入されていく。この状態からさらに復帰バネ16の付勢力に抗してカムピン15を第1の溝部56aから接続溝部56cへと押し込み、この接続溝部56cで操作棒17を回転ノブ9に対して回転させると、カムピン15が第2の溝部56bと係合可能な状態となる。そして、この状態で押し込み力を解除すると、カムピン15は、復帰バネ16の付勢力によって第2の溝部56b内へと押し出され、図5の(b)に示すように第2の溝部56bの基端側終端部に突き当たる。これによって、操作棒17の回転ノブ9への組み付けが完了する。 【0019】なお、カムピン15が第2の溝部56bに係合案内されるこの組み付け状態では、操作棒17は、回転ノブ9およびこれと一体の支持シャフト12に対して回転不能となり、ステープル24(図7等参照)を送り閉鎖するために必要なストローク分、挿入部本体2aの長手軸方向に沿ってスライド自在にガイドされる。 【0020】また、図5の(b)の状態から、ステープル24を送り閉鎖するために必要なストローク(ステープル送り閉鎖ストローク)以上にバネ押さえ部17bを復帰バネ16の付勢力に抗して第2の孔81内に押し込むと、カムピン15が接続溝部56cに達し、前述の動作と逆の動作によって挿入部本体2aを再び図4の(a)(b)に示すように分解することができる。 【0021】図6は、挿入部本体2aとカートリッジ部2bとの接合部の構造を詳細に示している。図示のように、挿入部本体2aの先端に設けられたカートリッジホルダ13の接続口部74の内側には雌ネジ82が形成されている。また、カートリッジ部2bの基端に設けられたカートリッジコネクタ18の基端部外周には、前記雌ネジ82と螺合可能な雄ネジ83が形成されている。したがって、雌ネジ82と雌ネジ82とを利用してカートリッジホルダ13にカートリッジコネクタ18を捩じ込めば、挿入部本体2aに対してカートリッジ部2bが固定される。なお、この固定状態では、カートリッジコネクタ18を貫通するステープル送り閉鎖部材27(後述する)の係合爪59が操作棒17の先端の係合溝58に係合され、操作部1のトリガ5による操作力が操作棒17を介してカートリッジ部2b側に伝達されるようになる。なお、挿入部本体2aとカートリッジ部2bとの固定は、ネジに限らず、例えばカム手段やコレットチャックなどを利用して行なうこともできる。 【0022】図7ないし図10にカートリッジ部2bの構造の詳細が示されている。なお、図7の(a)はカートリッジ部2bの軸方向断面図、図7の(b)は、図7の(a)のDーD線に沿って切り取った図すなわちステープル24の送り移動を案内するステープルトラックに沿って切り取った図である。また、図7の(c)は、図7の(a)のEーE線に沿う断面図であり、後述するガイドピン28に沿って切り取った断面図である。図8は、図7の(c)のFーF線に沿う断面図であり、後述するステープル送り閉鎖部材27に沿って切り取った断面図である。図9は、図7の(c)のGーG線に沿う断面図であり、後述するプッシャー25に沿って切り取った断面図である。図10は、図7の(a)のHーH線に沿う断面図である。 【0023】図7の(a)に示すように、カートリッジコネクタ18には、前述した2体のハウジング19a,19bが取り付けられている。また、前述したように、ハウジング19a,19bの先端は挿入部2の長手方向軸Aに対して所定の角度で傾けられた傾斜面50を形成しており、この傾斜面50の面内にステープル24を送り出すための開口51が設けられている。 【0024】図7の(b)に示すように、ステープル24は、基部60とその両端から伸長する一対の脚部61,61とから成る略U字型の形状をしており、通常、ステンレスやチタンなどの生体適合性金属によって成形されている。 【0025】ハウジング19a,19bの内部には、ステープル24の送り移動路を形成するステープルトラックが形成されている。図7の(b)および図9に示すように、ステープルトラックは、挿入部2の長手方向軸Aと平行に延びる第1の領域68と、長手方向軸Aに対して角度αをなして延びる第2の領域69と、第1の領域68と第2の領域69とを滑らかに繋ぐ第3の領域70とから構成されている。第2の領域69はカートリッジ部2bの外側に通じており、そのまま傾斜面50に開口51を形成している。 【0026】第1の領域68には、互いに隣接する複数のステープル24によって形成されるステープル列が長手方向軸Aに沿って収納されている。また、ステープル24の列の基端側に位置する第1の領域68には、プッシャー25がスライド自在に配置されている。このプッシャー25はステープル24の列の基端に押し付けられている。すなわち、プッシャー25とカートリッジコネクタ18との間には図7の(a)に示すようにコイルバネ26が圧縮状態で挿入されており、コイルバネ26の付勢力によってステープル24の列をプッシャー25を介して先端側へと常時付勢するようにしている。コイルバネ26の付勢力によって先端側へと付勢されるプッシャー25の先端は、長手方向軸Aに対して角度αをなす傾斜面25aとなっている。したがって、傾斜面25aによって先端側へ押し出されるステープル24の列は、第1の領域68で、その一対の脚部61が長手方向軸Aに対して角度αだけ傾いて配置される。なお、先端側に向けて付勢されるステープル24の列の先端(先端の基部60)は、後述する送りリーフバネ23のフィンガ64に押し付けられている(図7の(a)(b)および図8参照)。 【0027】また、図7の(a)に示すように、カートリッジ部2bには、プッシャー25と平行にスライドするステープル送り閉鎖部材(スライド部材)27が設けられている。このステープル送り閉鎖部材27は、前述した操作棒17を介した操作力によって前方にスライドすることにより、ステープル24の列の先端から離脱して第2の領域69で待機して位置する1つのステープル24aを長手方向軸Aに対して角度αで送り出すとともに、後述するアンビル21と協働してステープル24aを閉鎖するものであり、第2の領域69とともにステープル24を角度αで送り出す送り手段を構成する。 【0028】すなわち、図8に示すように、ステープル送り閉鎖部材27はハウジング19a,19b内で長手軸方向に摺動自在に設けられており、ステープル送り閉鎖部材27の先端には、第2の領域69で待機位置にあるステープル24aの基部60の両端部位に引掛かってステープル24aを斜め下方に(軸Aに対して角度αで)押し出す一対のブレード65, 65が形成されている(図7の(b)も参照)。ブレード65の先端は、ステープルトラックの第2の領域69と直角になるように、長手軸Aに対して角度θ(=90−α)をなす傾斜面として形成されている。 【0029】また、同図8に示すように、ステープル送り閉鎖部材27は、ブレード65の基端側にガイド溝66を有しており、このガイド溝66には第2のハウジング19bを貫通して設けられたガイドピン28(図7の(a)(c)参照)が係合している。このガイドピン28とガイド溝66との係合により、ステープルトラックの第1の領域68に配置されたステープル24の列とステープル送り閉鎖部材27との干渉が防止されている。 【0030】図7の(a)および図10に示すように、ステープル送り閉鎖部材27の基端側には、その内側にラチェット29が取り付けられている。また、第2のハウジング19bにはラチェット29と噛み合い可能なラッチピン30が設けられている。このラッチピン30は、ステープル送り閉鎖部材27と一体で軸方向にスライドするラチェット29と所定の位置で噛み合うことにより、ステープル送り閉鎖部材27のスライドを規制する。 【0031】なお、前述したように、ステープル送り閉鎖部材27の基端には、内側に曲げられた一対の係合爪67,67が形成されている(図6参照)。これらの係合爪67,67は、カートリッジ部2bと挿入部本体2aとを接続するカートリッジコネクタ18とカートリッジホルダ13とを通じて、操作棒17の先端に刻まれた係合溝58と噛み合うようになっている。これにより、操作部1のトリガ5の操作力が操作棒17を介してステープル送り閉鎖部材27に伝達され、ステープル送り閉鎖部材27が長手方向軸Aに沿ってスライドできるようになる。 【0032】図7の(a)に示すように、第2のハウジング19bの先端部にはアンビル21が設けられている。アンビル21は、開口51の一部を遮るように緩やかに湾曲するアンビル面を有しており、ステープル24aの基部60と突き当たってステープル送り閉鎖部材27と協働してステープル24aを閉鎖する。 【0033】図7の(b)に示すように、アンビル21はその先端側が2つに分かれており、これらの間には第2のハウジング19bに固定された除去バネ20が位置決めされている。また、第2のハウジング19bの先端部には待機バネ22が取り付けられており、この待機バネ22はステープルトラックの第2の領域69を遮るように配置されている。 【0034】また、図7の(a)に示すように、第1のハウジング19aには、ステープルトラックの第1の領域68に配置されたステープル24の第2の領域69への送りを制御する送りリーフバネ23が取り付けられている。送りリーフバネ23は、図11に詳細に示すように、先端側に延びるウィング63と、アンビル21側に向けられたフィンガー64とを有している。ウィング63は、アンビル21と反対の方向に送りリーフバネ23を挙上できるように、ステープル送り閉鎖部材27の進路を遮って延びている。フィンガー64は、送りリーフバネ23が後述するようにアンビル21側に付勢された際に第1の領域68内のステープル列の最先端のステープル24を待機バネ22まで送ることができるように、形成されている。なお、送りリーフバネ23のウィング63とフィンガー64は、図12に示すような形状になっていても良い。 【0035】次に、上記構成の外科手術用ステープラーの動作について図13ないし図15を参照しながら説明する。外科手術用ステープラーは、前述したように操作部1と挿入部本体2aとカートリッジ部2bとを一体に組み付けた状態で使用される。(図11はステープルトラックの第2領域(69)にそって切り取った矢視図であり、図12はステープルトラックの第2領域(69)の拡大図である。)まず、ステープル送り閉鎖部材27を進退させることにより、図13に示すような初期状態にセットする。この初期状態において、ステープルトラックの第1の領域68内のステープル列の最先端に位置していたステープル24aは、送りリーフバネ23のフィンガー64によって、第2の領域69を遮るように位置決めされた待機バネ22のところまで付勢され、待機バネ22によりアンビル21から所定距離だけ離れた待機位置に一時的に止められる。この待機位置は、待機状態にあるステープル24aの脚部61が傾斜面50から突出しないように、設定されている。したがって、後述するようにトリガ5の操作を行なわない限り、ステープル24aの脚部61が傾斜面50から突出することはなく、目的としない部位の生体組織がステープル24aの脚部61によって傷付けられるといったことがない。 【0036】また、この初期状態では、復帰バネ16(図4参照)の付勢力によってステープル送り閉鎖部材27がカートリッジ部2bの基端側に付勢されており、ステープル送り閉鎖部材27に取り付けられているラチェット29はラッチピン30から離れた基端側に位置している。 【0037】この初期状態から操作部1のトリガ5を少し握るように操作すると、図14の(a)に示すように、操作棒17を介してステープル送り閉鎖部材27が挿入部2の長手軸方向に前進し、第2の領域69で待機するステープル24aをブレード65によって引掛けるようになる。この時、ステープルトラックの傾斜した第2の領域69に位置するステープル24aには、図14の(b)に示すように、ブレード65の移動により生じた力fi が分力fr とft となって作用する。この場合、ステープル24aは、その脚部61がステープルトラックの第2の領域69によりガイドされているため、分力ft 方向には移動することができないが、分力fr 方向には自在に移動することができる。つまり、ステープル24aを第2の領域69に沿ってアンビル21まで送る間のブレード65の先端の傾斜角は、ステープル24aを第2の領域69に沿ってアンビル21まで送ることができるような分力を角度α方向に生じさせる角度であれば良く、必ずしも角度θ(=90−α)である必要はない。 【0038】また、このようにブレード65によってステープル24aを引掛けて前進するステープル送り閉鎖部材27は、他方で、その進路を塞ぐように位置決めされたウィング63をブレード65によって押し上げることにより、送りリーフバネ23の全体をアンビル21の反対側に押し上げる。この時、ラチェット29がラッチピン30と噛み合うため、ステープル送り閉鎖部材27が復帰バネ16に抗して初期状態へ復帰することが防止され、第1の領域68から第2の領域69へのステープル24の侵入が防止される。 【0039】この状態からさらに操作部1のトリガ5を握るように操作すると、図15の(a)に示すように、ステープル24aは、ステープル送り閉鎖部材27によってその基部60がアンビル21に押し付けられるようにして閉鎖される。なお、この時のステープル24aの閉鎖状態が図15の(b)(図15の(a)のJーJ線に沿う断面図)に示されている。図示のように、前進するステープル送り閉鎖部材27のブレード65は、アンビル21と協働して、ステープル24aを二点鎖線で示すような変形状態から実線で示すD字型の状態まで閉鎖する。この時、ブレード65の前進によって生じる分力fr のベクトルが閉鎖されるステープル24aの脚部61の方向にほぼ一致していないと、ステープル24aの脚部61が長手方向軸Aの方向に曲がってしまい、十分にステープル24aを閉鎖することができない。しかしながら、本実施形態では、分力fr のベクトルが閉鎖されるステープル24aの脚部61の方向に一致しているため、ステープル24aを十分に閉鎖することができる。 【0040】このようにしてステープル24aをD字型の状態まで閉鎖する段階では、ブレード65は、ステープルトラックの第1の領域68を遮っていたフィンガー64の下側でステープル24が第2の領域69に向けて前進できる程度まで、送りリーフバネ23を押し上げる。また、この状態では、ラチェット29とラッチピン30との噛み合いが外れ、ラッチピン30がそれ自身の弾性によりラチェット29の後方に回り込むようになる(図15の(a)参照)。 【0041】そして、この状態で、操作部1のトリガ5を離すと、復帰バネ16によってステープル送り閉鎖部材27が後退し、再び図13に示す初期状態となる。なお、このようにしてステープル送り閉鎖部材27が初期状態に復帰する際、ブレード65によって押し上げられていた送りリーフバネ23が解放される。この時、送りリーフバネ23は、そのフィンガー64によってステープル列の最先端にあるステープル24を第2の領域69の待機位置まで付勢するとともに、フィンガー64によって再び第1の領域68を遮る。 【0042】なお、D字型に閉鎖されたステープル24aは除去バネ20によってアンビル21から自動的に除去される。以上のようにして使用されるステープラーは、前述したように、ラチェット29等の構造の複雑なものをカートリッジ部2bに集中して配設することにより操作部1と挿入部本体2aとを簡単な構造とし、しかも、操作部1と挿入部本体2aとカートリッジ部2bとに分解することができる。したがって、ステープラーの使用後、構造の複雑なカートリッジ部2bを使い捨てとし、残る簡単構造の操作部1と挿入部本体2aとを容易かつ十分に洗浄・消毒および滅菌することができる。 【0043】すなわち、図2に示すように、操作部1は上蓋6を開くことができることに加え、内部の構造が単純化されているため、ブラシなどを用いて簡単な手順で洗浄や消毒、滅菌を行なうことができる。また、挿入部本体2aは、前述した図4に示すように分解することができる。これにより、支持シャフト12の内部に付着した血液や体液を容易に取り除くことができるとともに、組み付けた状態では洗浄の難しい復帰バネ16を容易に洗浄・消毒および滅菌することができる。そして、その後は、これら滅菌済みの各部品を組み立てて再使用することができる。 【0044】以上説明したように、本実施形態のステープラーは、ステープル送り閉鎖部材27を単に進退させるだけでステープルを複雑に移動させることなく挿入部2の長手軸方向に対して角度をなして送り出すことができるため、動作不良の発生を極力回避できる。すなわち、本実施形態のステープラーは、予めステープル24を挿入部2の長手軸方向つまりステープル送り閉鎖部材27の進退方向に対して角度をもって斜めに配置するとともに、ステープル送り閉鎖部材27を単に前進させるだけで、斜めに配置されたステープル24の脚部61に対してほぼ直角なステープル送り閉鎖部材27の先端傾斜面により、ステープル24をその配置傾斜角とほぼ一致する傾斜角で延びるステープルトラックの第2の領域69から斜め方向に送り出すことができる。つまり、従来のように、挿入部の長手軸方向への移動およびアンビルと噛み合うための回動といった複雑な動作をすることなく、ステープル24を挿入部2の長手軸方向に対して角度をなして送り出すことができる。したがって、手術中に体液や血液がステープル24の送り経路内に付着しても、ステープル24や送り閉鎖部材27が動作不良を起こす虞を軽減できる。 【0045】また、本実施形態のステープラーは、ラチェット29等の構造の複雑なものをカートリッジ部2bに集中して配設することにより操作部1と挿入部本体2aとを簡単な構造とし、しかも、操作部1と挿入部本体2aとカートリッジ部2bとに分解することができる。さらに、挿入部本体2aは、回転ノブ9と操作棒17とに分解することができ、操作部1は上蓋6によって内部を露出させることができる。したがって、ステープラーの使用後、構造の複雑なカートリッジ部2bを使い捨てとし、残る簡単構造の操作部1と挿入部本体2aとを容易かつ十分に洗浄・消毒および滅菌して再使用することができる。 【0046】ところで、従来、米国特許第5381943号および米国特許第5289963号などにおいて提案されているステープラーは、そのカートリッジ内にステープルや送りバネあるいはアンビルやステープル閉鎖部材などが収納されており、また、その挿入部内にステープルの送り出しや閉鎖を制御するためのラチェットやステープラーを初期状態に復帰させるための復帰バネなどが設けられている。このように、洗浄性の乏しい部材が挿入部やカートリッジ部といったように散乱して配置されていると、その洗浄は非常に難しく、したがって、内視鏡下で使用する場合には一般にステープラーそれ全体を使い捨てにするようにしている。すなわち、 従来のステープラーは使い捨てを前提として構成されているとも言える。しかし、このようにステープラーの全てを使い捨てにすると、医療費の高騰をもたらし、好ましいことではない。かといって、医療費の低減を図るためにステープラーを再使用しようとすれば、困難な洗浄消毒作業を行なわなければならず、その負担は大きい。 【0047】そこで、本実施形態では、前述したように、ラチェット29等の構造の複雑なものをカートリッジ部2bに集中して配設することにより操作部1と挿入部本体2aとを簡単且つ洗浄容易な構造とし、しかも、操作部1と挿入部本体2aとカートリッジ部2bとを分離可能として、前述した問題を解消しようとしている。つまり、できる限り少ない部分(カートリッジ部2b)だけを使い捨てとし、それ以外は洗浄容易として再使用可能とすることで、医療費において占める手術器具コストの割合を低減できるようにしている。 【0048】なお、本実施形態のステープラーにおいては、カートリッジ部2bと挿入部本体2aとが着脱できない一体のものであっても構わない。この場合には、術後にカートリッジ部2bを含めた挿入部2の全体を使い捨てとし、操作部1を洗浄・消毒および滅菌して再使用することができる。つまり、操作部1に対して新しい滅菌済みの挿入部2を取り付けることにより再びステープラーとして用いることができる。 【0049】図16は本発明の第2の実施形態を示している。図示のように、本実施形態のステープラーは、第1の実施形態における支持シャフト12と操作棒17の長さを短くして、挿入部2の全長を短くしている。この場合、挿入部本体2aとカートリッジ部2bは、カートリッジホルダ13に設けられたカム溝76とカートリッジコネクタ18に取り付けられたカムピン77との係合により着脱自在に接続されている。無論、第1の実施形態と同様にカートリッジホルダ13に対してカートリッジコネクタ18を捩じ込むことにより挿入部本体2aとカートリッジ部2bとを接続するようにしても良い。なお、その他の構成は第1の実施形態と同一である。 【0050】このような構成のステープラーは、挿入部2が短いため開腹手術用のスキンステープラー(手術領域の視界を妨げることなく生体組織にアクセスできるため有用である)として使用することができ、また、第1の実施形態と同一の作用効果を奏することができる。 【0051】なお、以上説明してきた態様により、以下に示すような構成が得られる。 1.(a)本体と、(b)ステープルを閉鎖するための閉鎖手段と、(c)前記閉鎖手段までステープルを送り、前記閉鎖手段と協同してステープルを閉鎖する先端面を有し、前記本体に摺動自在に収納された送り手段と、を有する手術用器具において、前記送り手段が自身の摺動方向軸に対してある角度をもった先端面を有することを特徴とする手術用器具。 【0052】2.前記本体は、(a)操作部と、(b)前記操作部から延出し、基端と先端および前記送り手段の摺動方向に伸長する長手軸を有する挿入部と、を有することを特徴とする第1項に記載の手術用器具。 【0053】3.前記閉鎖手段と前記送り手段は、前記挿入部に設けられていることを特徴とする第2項に記載の手術用器具。 4.前記挿入部は、前記操作部に対して前記長手軸の周りで回転自在に設けられていることを特徴とする第2項に記載の手術用器具。 5.前記挿入部は、前記操作部に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする第4項に記載の手術用器具。 6.前記挿入部の先端に着脱自在に取り付けられたカートリッジ手段が設けられていることを特徴とする第2項に記載の手術用器具。 【0054】7.前記挿入部は、その先端が長手軸に対してある角度をもつように傾けられており、傾斜した面内にステープルを送り出す開口を有していることを特徴とする第2項に記載の手術用器具。 8.前記本体に着脱自在に取り付けられたカートリッジ手段が設けられていることを特徴とする第1項に記載の手術用器具。 9.前記送り手段をその摺動方向軸にのみ摺動させるためのガイド手段が前記本体に設けられていることを特徴とする第1項に記載の手術用器具。 10.器具を作動させない時に最も先端側にあるステープルをアンビルと離れた位置に付勢するバネ部材が、挿入部の先端部に設けられていることを特徴とする第1項に記載の手術用器具。 【0055】11.前記送り手段は、アンビルと離れた位置に付勢されたステープルをアンビルに向かって送り出すために、ステープルの基部と噛み合うようにブレードが伸長された送り閉鎖部材を含むことを特徴とする第10項に記載の手術用器具。 【0056】12.ステープルの移動をガイドするトラック手段を有し、このトラック手段は、前記送り手段の摺動方向軸と平行な第1領域と、前記送り手段の先端面に対してある角度をもった第2領域と、前記2つの領域を滑らかにつなぐための第3の領域とから構成されていることを特徴とする第1項に記載の手術用器具。 【0057】13.前記ステープルの基部を押し下げることによりステープルを前記第1領域から第2領域まで移動させ且つ送り手段と噛み合う位置までステープルを付勢する板状弾性部材が、前記本体に設けられていることを特徴とする第12項に記載の手術用器具。 【0058】14.(a)操作部と、(b)前記操作部から延出し、長手軸と先端および基端を有する挿入部と、(c)基部とその両端から伸長する一対の脚部とからなるステープルと、(d)前記挿入部の先端部に取り付けられた閉鎖手段と、(e)前記ステープルを前記閉鎖手段まで送り出し、前記閉鎖手段と協同して前記ステープルを閉鎖するために、前記挿入部内に摺動自在に収納された送り手段と、を有する手術用器具において、ステープルの前記基部と前記脚部とを含む平面と挿入部の前記長手軸とがある角度をなすように、前記挿入部内に前記ステープルを配置したことを特徴とする手術用器具。 【0059】15.前記平面が前記長手軸に対して水平でなく且つ垂直でない角度をもつように、前記ステープルを前記挿入部内に配置したことを特徴とする第14項に記載の手術用器具。 16.前記平面が前記長手軸に対して0゜よりも大きく90゜よりも小さい角度をもつように前記ステープルを前記挿入部内に配置したことを特徴とする 第15項に記載の手術用器具。 【0060】17.(a)本体と、(b)前記本体の先端に着脱自在に取り付けられたカートリッジ部と、(c)前記カートリッジ部に取り付けられた閉鎖手段と、(d)ステープルを前記閉鎖手段まで送り出し、前記閉鎖手段と協同してステープルを閉鎖するために、前記カートリッジ部内に摺動自在に収納された送り手段と、(e)前記送り手段を初期状態に復帰させるための復帰手段と、(f)前記送り手段が動作している間、前記復帰手段に対抗して前記送り手段の摺動を制御するための制御手段と、を有する手術用器具において、前記制御手段を前記カートリッジ部内に設けたことを特徴とする手術用器具。 【0061】18.前記本体は、(a)操作部と、(b)前記操作部から延出する挿入部と、を有することを特徴とする第17項に記載の手術用器具。 【0062】19.前記挿入部が前記操作部に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする第18項に記載の手術用器具。 20.前記復帰手段が前記挿入部内に収納されていることを特徴とする第18項に記載の手術用器具。 【0063】21.複数のステープルが配置される挿入部を有し、前記ステープルを挿入部の長手軸方向に対して角度をもって打ち出して閉鎖する外科手術用ステープラーにおいて、挿入部の長手軸方向に対して角度をなす傾斜状態で複数のステープルを挿入部の長手軸方向に沿って配置する配置手段と、挿入部の長手軸方向に沿ってスライドするスライド部材を有し、このスライド部材を挿入部の先端側にスライドさせることによって、傾斜状態で配置された前記ステープルの1つをその傾斜状態のまま挿入部の先端開口部に向けて送り出す送り手段と、前記送り手段によって傾斜状態で送り出された前記ステープルと当接し、前記送り手段と協働して前記ステープルを閉鎖する閉鎖手段と、を具備することを特徴とする外科手術用ステープラー。 【0064】22.前記スライド部材は、傾斜状態で配置されたステープルの1つと当接するとともにそのステープルに対してスライド部材のスライドに伴う押し出し力をステープルの傾斜方向で作用させる作用面を先端に有し、この作用面によって前記1つのステープルをその傾斜状態のまま挿入部の先端側に押し出して閉鎖手段に対して押し付けることを特徴とする第21項に記載の外科手術用ステープラー。 【0065】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の外科手術用ステープラーは、単純な動作によってステープルを挿入部の長手軸方向に対して角度をなして送り出すことができ、これによって動作不良の発生を極力回避できる。
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