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発明の名称 軟X線顕微鏡
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−318700
公開日 平成7年(1995)12月8日
出願番号 特願平6−133567
出願日 平成6年(1994)5月23日
代理人
発明者 野田 正治 / 東 博純 / 武市 晃洋
要約 目的
構成元素が未知の塗膜等の元素分析、内部組織の構成元素の定量および定性分析および高コントラストで内部組織観察を行うための軟X線波長選択が可能な軟X線顕微鏡を提供する。

構成
レーザー発生手段1と、軟X線を発生させるためのターゲット3と、この軟X線を波長ごとのラインスペクトルに分光するための分光手段6と、被測定材7を透過した軟X線を検出するための軟X線検出手段5と、からなることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】 レーザー発生手段と、軟X線を発生させるためのターゲットと、この軟X線を波長ごとのラインスペクトルに分光するための分光手段と、被測定材を透過した軟X線を検出するための軟X線検出手段と、からなることを特徴とする軟X線顕微鏡。
【請求項2】 レーザー発生手段と、軟X線を発生させるためのターゲットと、この軟X線を波長ごとのラインスペクトルに分光するための分光手段と、前記ターゲットと分光手段との間にラインスペクトルの波長分解能を低くするためにスリット幅を広げた連続スペクトルを得るためのスリットと、被測定材を透過した軟X線を検出するための軟X線検出手段と、からなることを特徴とする軟X線顕微鏡。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、構成元素が未知の塗膜等の元素分析、内部組織の構成元素の定量および定性分析および高コントラストで内部組織観察を行うための軟X線波長選択が可能な軟X線顕微鏡に関する。
【0002】
【従来技術】近年、生体観察を目的として、軟X線領域の波長の軟X線を用いた軟X線顕微鏡の開発が行われている。この軟X線顕微鏡は、光源から発した軟X線を物体に照射し、この物体を透過した光を軟X線検出器で検出することにより、物体内部の組成の違いによる軟X線透過率の違いを利用して物体の内部組織の観察を行うものである。
【0003】軟X線の光源としては放射光(シンクロトロン光)とレーザープラズマ軟X線光源がある。このうち放射光は、装置が大型で生体観察等に簡単に利用できないという問題があるが、レーザープラズマ軟X線は簡易な装置によって容易に発生させることができ、輝度の高いパルス軟X線光源であるため生体の動的観察が期待されている。このようなレーザープラズマ軟X線を用いる軟X線顕微鏡システムとしては、主として、■軟X線集光光学系を利用した結像型の軟X線顕微鏡(特開平4−264300号)と■軟X線検出器と被測定材を密着させ、この被測定材に軟X線を照射し、検出された軟X線像を光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等で拡大して観察する密着型の軟X線顕微鏡がある。この密着型の軟X線顕微鏡は、従来から実験室等で通常使用されている。前記2種類の軟X線顕微鏡のうち結像型の軟X線顕微鏡は、結像用の光学系の分解能が十分でなく実用化には程遠いのが現状である。これに対し、密着型の軟X線顕微鏡は前記した結像型の軟X線顕微鏡の問題点がなく、現在、生体観察に利用するべく検討されている。
【0004】生体観察に利用するためには、いわゆる「水の窓」波長域(2.5〜4.4ナノメートル) の軟X線を用いる必要があり、その波長域の選択窓を得るために回折格子、フィルター、多層膜およびゾーンプレート等が検討され、これらの幾つかを組合せることにより「水の窓」波長域の軟X線を得てきた。この波長域の軟X線を用いることにより水分と水分以外の物質の軟X線透過率の違いを利用して水溶液中で活動するバクテリア、細胞等の観察や生体内に多く含まれる水分以外の構造物、組織の観察が可能になる。
【0005】従来の軟X線顕微鏡は、分光されていない白色X線または白色X線から波長選択窓を有する回折格子、フイルターや多層膜等によって得た単色X線が用いられている。物質を構成する元素の軟X線吸収係数は、元素の違い、軟X線の波長によって大きく変化する。内部組織の構成元素が既知の場合は、内部組織を構成する元素と媒質を構成する元素の吸収率差の大きくなる波長(最適な波長)の軟X線を用いて組織観察を行えば高コントラスト像が得られる。このように内部組織観察を行うには試料に対して最適な波長を選び観察等をする必要がある。そのため、構成元素が未知の塗膜等の組織観察・元素分析に対しては各種の軟X線光源と波長選択窓を有する回折格子の選択窓の位置をいろいろ変えたり、厚さや材質の異なるフイルターを用いたり、周期構造や材質をいろいろ変えた多層膜等を用いる必要がある。それぞれの組合せにより各種の波長の単色X線を発生させ、それぞれの単色X線を用いて構成元素が未知の試料観察・分析を実施し、内部組織が高コントラストで得られない場合は異なる組合せにより異なる波長の単色X線を発生して試料の観察・分析を行うような操作を試行錯誤で行わなければならず労力と時間がかかる問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
(着眼点)従来は分光器を用いていないためフイルターがない場合は試料を透過した軟X線は白色X線であるためすべての波長の光が足しあわされたものとなりコントラストがつかない。そのためフイルターを設置し、ある波長のX線を取り出しコントラストが鮮明に出るようにしている。本発明者等は、高いコントラストが得られる最適な波長を選択するために分光器を用いて白色X線を分光し、波長データを空間データに変換することを考えた。また、通常使われているスリットを用いると強い強度のスペクトルの列(ラインスペクトル)となり、スペクトルによる光源むらによるコントラストと内部組織による像の区別がつきにくいという問題があった。本発明等は、前記スペクトルによる光源むらをできるだけ少なくするために鋭意研究を行ったところスリットを用いないか、スリットの幅を広げだ場合に光源むらを最小限にすることができることを見出した。このような工夫により光源むらによるコントラストと内部組織による像の区別がつきにくいという問題を解決した。
【0007】本発明は、構成元素が未知の塗膜等の元素分析、内部組織の構成元素の定量および定性分析および高コントラストで内部組織観察を行うための軟X線波長選択が可能な軟X線顕微鏡を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)本第1発明の軟X線顕微鏡は、図1に構成の1例を示したように、レーザー発生手段1と、軟X線を発生させるためのターゲット3と、この軟X線を波長ごとのスペクトルに分光するための分光手段6と、被測定材を透過した軟X線を検出するための軟X線検出手段5と、からなることを特徴とする。
【0009】レーザー発生手段としては、109 w/cm2 以上の照射強度を達成できるという条件を充足する装置ならば特に限定はなく、例えば、YAGレーザー、ガスレーザー、エキシマレーザー、炭酸ガスレーザーを用いればよい。また、ターゲットとしては、原子番号3〜82の元素を主成分とする。その理由は、照射強度109 〜1013w/cm2 以上において少なくとも波長15nm以上において充分な光量を有する軟X線を発生させることが可能であるためである。
【0010】また、分光手段としては、軟X線を波長ごとのスペクトルに分光することができるものであれば限定はなく、通常は回折格子を使用すればよい。また、軟X線検出手段としては、ミクロン以下の空間分解能を有し、波長1〜80nmの軟X線に感度を有する装置ならば特に限定はなく、例えば、レジスト、軟X線乾板、軟X線フイルムあるいは軟X線用固体検出器(X線フオトカソードを有するMCP、CCD、ズーミング管等)を用いればよい。
【0011】また、被測定材としては、高分子材料や高分子を含有する材料で、例えば、ABS樹脂や塩化ビニル等の構造用プラスチック、塗膜等が対象となる。被測定材の厚さは、サブミクロン〜数10ミクロンがよい。サブミクロンより薄いと組織(元素の種類や密度)の差によるコントラストが得にくく、逆に、数10μmより厚いと軟X線の透過量が全体的に少なくなるため組織が見えにくくなるという問題がある。
【0012】(第2発明の構成)本第2発明の軟X線顕微鏡は、レーザー発生手段と、軟X線を発生させるためのターゲットと、この軟X線を波長ごとのラインスペクトルに分光するための分光手段と、前記ターゲットと分光器との間にラインスペクトルの波長分解能を低くするためにスリット幅を広げたスリット(1例として示した図1では8)と、被測定材を透過した軟X線を検出するための軟X線検出手段と、からなることを特徴とする。
【0013】スリットとしては、光源、集光ミラーと回折格子を結ぶ光軸近傍に配し、近軸光線を遮らず、光源以外からのX線または乱反射X線を遮るような作用を有するものであれはよい。
【0014】
【作用】
(第1発明の作用)レーザープラズマ軟X線光源はレーザーをターゲット上に集光して発生させる。原子番号3〜82の元素を主成分とするターゲットを用いているため照射強度109 〜1013w/cm2 以上において少なくとも波長1ナノメータ(nm)以上において充分な光量を有する軟X線を発生させることができる。レーザーを集光照射されたターゲットから発生した波長1〜40nmの軟X線を含むレーザープラズマ軟X線は、軟X線検出手段位置に集光するように設計されている。ターゲットから発生したレーザープラズマ軟X線の強度が弱い場合には、ターゲットと分光手段の間に集光ミラーであるトロイダルミラーを設置してもよい。この場合には、軟X線検出手段位置に集光する各軟X線のスペクトルの強度を高めることができる。
【0015】本第1発明では、集光ミラーと回折格子間に近軸光線以外の光線の遮断および近軸光線の視野制限をしてスペクトルの波長分解能を高めるために通常使用されるスリットを取り除くことにより各線スペクトルのスペクトル幅を広げ試料位置で見掛け上連続した軟X線スペクトルとした。
【0016】被測定材は軟X線検出手段上に形成され、分光された軟X線が被測定材を透過し、その内部組織が軟X線検出手段に形成される。この組織は被測定材の構成元素の波長ごとの軟X線吸収特性の違いによるコントラストによって形成される。したがって、軟X線検出手段で求められた軟X線像は、波長と組織の鮮明度の関係を表している。また、組織の濃淡と波長との関係からその組織を構成している元素を明らかにすることができる。さらに、組織の濃淡を定量評価することにより組成の定量分析が可能となる。
【0017】また、簡単に最良のコントラストの軟X線顕微鏡像が得られる理由は以下の通りである。物質を構成する元素の軟X線に対する吸収係数は、波長によって大きく変化する。炭素、窒素、酸素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リンおよびチタンのK殻吸収端やL殻吸収端が波長1〜20nmの間にあり、この吸収端近傍の波長では吸収係数が大きく変化する。また、吸収端波長は、構成元素の種類によって大きく異なるため観察しょうとする物質の内部組織と媒質を構成する元素の吸収端の間となる波長または吸収係数が大きく異なる波長を選ぶことにより比較的コントラストの強い内部組織の像を得ることができる。
【0018】また、元素分析を行える理由は以下の通りである。分光軟X線顕微鏡で組織の像のコントラストが変化、逆転する波長が存在する。この波長が組織を構成している元素の吸収端である。元素の吸収端波長は、元素の種類によって一義的に決まるため、前記波長より構成元素を決定することができる。例えば、水中の炭素では、波長2.4nmと4.4nmでコントラストの反転やコントラストの急激な減少が見られる。これは酸素のK殻吸収端2.4nmと炭素のK殻吸収端4.4nmに一致する。また、炭素中のケイ素の場合は、波長4.4nmと12.3nmでコントラストの反転およびコントラストの急激な減少が見られ、これは炭素のK殻吸収端とケイ素のL殻吸収端に一致する。。
【0019】(第2発明の作用)スリットを使用する理由は、本来の光源以外からのX線や本来の光源からのX線が容器等の物質で反射したX線を遮断するためである。以上のような光軸から大きくそれたX線が回折格子に侵入すると、本来の光源からのX線の波長と空間位置との関係と無関係に分光されて本来の光源からのX線と重なり吸収端波長を決定する上で混乱を生じる恐れがある。ただし、容器等の内面にX線反射防止のための加工を施したり、本来の光源以外からのX線や本来の光源からのX線が遮断される処理が施されている場合は、これらの光軸から外れたX線による影響はほとんど無視できる。
【0020】
【発明の効果】本発明の軟X線顕微鏡により構成元素が未知の塗膜等の元素分析が可能となる。また、内部組織の構成元素の定量および定性分析が可能となる。さらに本発明の軟X線顕微鏡によれば高コントラストで内部組織観察を行うための軟X線波長の選択が可能となる。
【0021】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
(実施例1)図1は本実施例の軟X線顕微鏡の概略構成を示した図である。図1においてYAGレーザー装置1からのエネルギー0.4ジュール(J)、パルス幅8ナノ秒(ns)のレーザー光をレンズ2で集光し、鉄から構成されるターゲット3に照射した。このターゲット3上での集光径(直径)は40〜80μm以下になるようにした。したがって、レンズ2や真空窓4による表面反射を考慮すると鉄ターゲット3上でのレーザー光の照射強度は1011〜1013w/cm2 となる。これによりレーザープラズマ軟X線を発生させることができる。レーザー光が照射された鉄ターゲット2から発生したレーザープラズマ軟X線は、集光ミラー4であるトロイダルミラーで軟X線検出手段5の位置に集光される。トロイダルミラーを通過した軟X線は分光器6で分光される。被測定材7は軟X線検出手段である軟X線用乾板上に形成される。前記分光された軟X線を被測定材に入照させ、透過した軟X線を軟X線用乾板に露光し被測定材の内部組織の軟X線像を撮影した。被測定材としては、炭素、窒素、酸素、水素、ケイ素を組成とする塗膜を用いた。
【0022】前記した鉄ターゲット、分光器、軟X線検出手段等は真空容器9内に配置され、該真空容器9内は真空ポンプ(図示せず)によって減圧される。このような構成からなる軟X線顕微鏡により塗膜の組成の違いによる軟X線透過率の違いを利用して塗膜を構成する元素を求めた。
【0023】図2は鉄ターゲットからの軟X線スペクトルを斜入射型回折格子からなる分光器を用いて測定した結果を示したものである。照射強度1011〜1013w/cm2 では主として鉄の5価から8価のイオンからの軟X線が発生するため軟X線の波長は7nm以上の輝度の高い軟X線スペクトルとなる。
【0024】図3は軟X線顕微鏡によって撮影したケイ素含有アクリル樹脂とケイ素を含有しないアクリル樹脂をブレントして作製した塗膜のX線写真である。(1)は、波長4nm〜40nmの範囲の像のX線写真であり、(2)は(1)を40倍に拡大したX線写真である。波長4nm付近の組織には中が黒っぽく縁が白っぽい円形の組織が観察され、波長5〜10nm付近では、円形組織のコントラストが波長4nm付近の像のコントラストと反転している。また、波長13nm以上では円形組織のコントラストが急激に弱くなっていた。これらのことより円形組織とその周囲の媒質の構成元素は波長4〜5nmと波長10〜13nmの間に吸収端を有することが予想される。
【0025】波長4〜5nmの吸収端を有する元素としては種々の元素のK殻およびL殻の吸収端波長を示した表1(B.L.HENKE「ATOMIC DATA AND NECLEAR DATA TABLES」27−1,P34(1982)に示された波長)に示すように炭素(吸収端の波長約4.4nm)しかなく、波長10〜13nmに吸収端を有する元素としてはケイ素(吸収端の波長約12.3nm)しかないため、円形組織とその周囲の媒質の構成元素として炭素とケイ素が確定する。さらに、吸収係数の大小により円形組織の内部はケイ素よりなることがわかる。
【0026】
【表1】

【0027】




 

 


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