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発明の名称 軟X線顕微鏡
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−128500
公開日 平成7年(1995)5月19日
出願番号 特願平5−303487
出願日 平成5年(1993)11月8日
代理人
発明者 武市 晃洋 / 東 博純 / 野田 正治
要約 目的
サブミクロンから数10ミクロンの厚さの高分子膜や高分子複合材料膜等の内部組織や構成元素の分布状況を把握するための軟X線顕微鏡を提供する。

構成
レーザー発生装置1と、発生したレーザーを照射させて、少なくとも波長15ナノメートル以上において充分な光量を有する軟X線を発生させるための原子番号23〜29の元素を主成分とするターゲット3と、この軟X線から高分子の組織や構造を観察するための波長を選択するためのアルミニウムまたは/およびケイ素を主体とするフイルター5と、被測定材6を透過した軟X線を検出するための軟X線検出手段7と、からなることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】 レーザー発生装置と、発生したレーザーを照射させて、少なくとも波長15ナノメートル以上において充分な光量を有する軟X線を発生させるための原子番号23〜29の元素を主成分とするターゲットと、この軟X線から高分子の組織や構造を観察するための波長を選択するためのアルミニウムまたは/およびケイ素を主体とするフイルターと、被測定材を透過した軟X線を検出するための軟X線検出手段と、からなることを特徴とする軟X線顕微鏡。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サブミクロンから数10ミクロンの厚さの高分子膜や高分子複合材料膜等の内部組織や構成元素の分布状況を把握するための軟X線顕微鏡に関する。
【0002】
【従来技術】近年、生体観察を目的として、軟X線領域の波長の軟X線を用いた軟X線顕微鏡の開発が行われている。この軟X線顕微鏡は、光源から発した軟X線を物体に照射し、この物体を透過した光を軟X線検出器で検出することにより、物体内部の組成の違いによる軟X線透過率の違いを利用して物体の内部組織の観察を行うものである。
【0003】軟X線の光源としては放射光(シンクロトロン光)とレーザープラズマ軟X線光源があるが、レーザープラズマ軟X線は輝度の高いパルス軟X線光源であるため生体の動的観察が期待されている。このようなレーザープラズマ軟X線を用いる軟X線顕微鏡システムとしては、主として、2次元軟X線検出器と被測定材を密着させ、この被測定材に軟X線を照射し、検出された軟X線像を光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等で拡大観察する密着型の軟X線顕微鏡がある。
【0004】この軟X線顕微鏡は、現在、生体観察に利用するべく検討されている。生体観察に利用するためには、いわゆる「水の窓」波長域(2.5〜4.4ナノメートル) の軟X線を用いる必要があり、その波長域の選択窓を得るために回折格子、フィルター、多層膜およびゾーンプレート等が検討され、これらの幾つかを組合せることにより「水の窓」波長域の軟X線を得てきた。この波長域の軟X線を用いることにより水分と水分以外の物質の軟X線透過率の違いを利用して水溶液中で活動するバクテリア、細胞等の観察や生体内に多く含まれる水分以外の構造物、組織の観察が可能になる。
【0005】一方、新しい高分子材料や高分子複合材料の改良・開発、特性評価には高分子材料の内部組織や構成元素の分布状況を把握することが重要となる。これらの高分子材料の内部組織や構成元素の分布状況の把握する手段として、小型で簡易な高分子観察に適した波長の軟X線を用いた軟X線顕微鏡の開発が望まれている。しかし、水分をあまり含まない高分子材料に対しては高分子を形成する元素によるコントラストが必要となり、前記「水の窓」波長域(2.5〜4.4ナノメートル) の軟X線による観察は効果的でない。ところが、波長15〜80ナノメートルの軟X線の高分子に対する透過率は従来のX線の透過率(〜1μm-1)よりも小さく10-2〜10-40 ミクロン(μm-1)である。この値は、例えば、波長40ナノメートル(nm)に対しアクリロニトリル−ブタジエンースチレン(ABS樹脂)では厚さ1μmの差が10億倍の濃淡差となり、形状変化、密度変化、組織の観察が可能となる。これに対し波長1μm以下のX線では1μmの厚さの差が数倍以下の濃淡差でありコントラストのついた像が観察できない。したがって、15〜80nmの軟X線を用いるとサブミクロンから数10ミクロンの厚さの実用的な高分子膜および高分子複合材料膜の内部組織を観察することが可能となる。
【0006】しかし、現在使用されている「水の窓」波長域の選択窓は波長15〜80nmの選択窓として使うにはフイルターの材質、厚さ、回折格子との組合せの点で不適当である。フイルターとして、厚さ0.1〜3μmの窒化珪素膜、0.3〜0.5μmの鉄またはニッケル膜、0.3〜6μmのベリリウム膜あるいは複数の膜を組み合わせた膜が使用されているが、どのフイルターも15〜80nmの波長を選択することができない。また、多層膜や回折格子による単色化を行って15〜80nmの軟X線を作る場合は、単色の波長のみしか反射していないこと、回折効率が小さいことから充分な光量の軟X線を得ることができない。
【0007】また、従来、高分子膜等の内部組織を観察するのに透過電子顕微鏡による方法があるが、高分子膜等の厚さを1000〜2000オングストローム(Å)と薄くする必要があること,電場や磁場をかけることができないこと、加熱しにくいこと等の問題点があった。また、電子線マイクロ分析法(EPMA)だと電子ビームの照射径が1μm以上であるため分解能が低下する欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、サブミクロンから数10ミクロンの厚さの高分子膜や高分子複合材料膜等の内部組織や構成元素の分布状況を把握するための軟X線顕微鏡を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の軟X線顕微鏡は、レーザー発生装置と、発生したレーザーを照射させて、少なくとも波長15nm以上において充分な光量を有する軟X線を発生させるための原子番号23〜29の元素を主成分とするターゲットと、この軟X線から高分子の組織や構造を観察するための波長を選択するためのアルミニウムまたは/およびケイ素を主体とするフイルターと、被測定材を透過した軟X線を検出するための軟X線検出手段と、からなることを特徴とする。
【0010】レーザー発生装置としては、109 w/cm2 以上の照射強度を達成できるという条件を充足する装置ならば特に限定はなく、例えば、YAGレーザー、ガスレーザー、エキシマレーザー、炭酸ガスレーザーを用いればよい。また、ターゲットとしては、原子番号22〜29の元素を主成分とする。その理由は、照射強度109 〜1013w/cm2 以上において少なくとも波長15nm以上において充分な光量を有する軟X線を発生させることが可能であるためである。
【0011】また、フイルターとしては、アルミニウムまたは/およびケイ素を主体とする材料を用いる。その理由は、波長が約15〜80nmの間の軟X線透過率が高いという特徴を有しているためである。また、フイルターの厚さは、0.5〜30μmがよい。この範囲の厚さであれば、高分子の観察に必要とする軟X線の波長に対する透過率を10-11 〜10-40 程度に調整できるからである。また、軟X線検出手段としては、ミクロン以下の空間分解能を有し、波長15〜80nmの軟X線に感度を有する装置ならば特に限定はなく、例えば、レジスト、軟X線乾板あるいはフイルムを用いればよい。また、被測定材としては、高分子材料や高分子を含有する材料で、例えば、ABS樹脂や塩化ビニル等の構造用プラスチック、塗膜等が対象となる。被測定材の厚さは、サブミクロン〜数10ミクロンがよい。サブミクロンより薄いと組織(元素の種類や密度)の差によるコントラストが得にくく、逆に、数10μmより厚いと軟X線の透過量が全体的に少なくなるため組織が見えにくくなるという問題がある。
【0012】
【作用】レーザープラズマ軟X線光源はレーザーをターゲット上に集光して発生させる。原子番号22〜29の元素を主成分とするターゲットを用いているため照射強度109 〜1013w/cm2 以上において少なくとも波長15nm以上において充分な光量を有する軟X線を発生させることができる。レーザーを集光照射されたターゲットから発生した波長15〜80nmの軟X線を含むレーザープラズマ軟X線をアルミニウムまたは/およびケイ素を主体とする軟X線フィルターを透過させることにより波長が15〜80nmの軟X線を作り出し、この軟X線を高分子膜や高分子複合材料膜等の被測定材を透過させ被測定材の構成元素の軟X線吸収特性の違いによるコントラストによって形成される像を軟X線検出器で検出する。
【0013】高分子膜等に15〜80nmの波長の軟X線を照射すると炭素と水素、アルミニウム、ケイ素、その他の金属元素との軟X線吸収係数の差や密度差によって生ずる軟X線吸収量の差により透過軟X線量に差ができ、軟X線検出器への露光量が組織や密度差に従って変化するためコントラストが得られる。
【0014】このように本軟X線顕微鏡はレーザー光の照射強度、ターゲットの材質、フィルターの組合せにより一種類のフィルターのみで高分子膜や高分子複合体の内部観察に適した波長選択を実現するものである。
【0015】
【発明の効果】本発明の軟X線顕微鏡によりサブミクロンから数10ミクロン厚さの高分子膜や高分子複合材料膜等の内部組織や構成元素の分布状況を把握でき前記高分子膜等の組織観察、構造解析を可能にする。
【0016】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
(実施例1)図1は波長15〜80nmの軟X線を作り出すフィルターを有する軟X線顕微鏡の概略構成を示した図である。図1においてYAGレーザー装置1からのレーザー光をレンズ2で集光し、鉄から構成されるターゲット3に照射した。このターゲット3上での集光径(直径)は40〜80μm以下になるようにした。したがって、レンズ2や真空窓4による表面反射を考慮すると鉄ターゲット3上でのレーザー光の照射強度は1011〜1013w/cm2 となる。これによりレーザープラズマ軟X線を発生させることができる。レーザー光が照射された鉄ターゲット2から発生したレーザープラズマ軟X線をフイルターである厚さ3μmのアルミニウム薄膜5に照射し、透過させる。この透過した軟X線を被測定材である高分子薄膜6に入照させ、高分子を透過した軟X線8を軟X線検出手段7である軟X線用乾板もしくは軟X線用フィルム、レジスト材等に露光し高分子の内部組織の軟X線像を撮影した。前記鉄ターゲット、アルミニウムフイルター、軟X線検出手段等は真空容器9内に配置され、該真空容器9内は真空ポンプ(図示せず)によって減圧される。このような構成からなる軟X線顕微鏡により高分子薄膜の組成の違いによる軟X線透過率の違いを利用して高分子薄膜の内部組織を観察した。
【0017】図2は鉄ターゲットからの軟X線スペクトルを斜入射型回折格子分光器を用いて測定した結果を示したものである。照射強度1011〜1013w/cm2 では主として鉄の5価から8価のイオンからの軟X線が発生するため軟X線の波長は7nm以上の輝度の高い軟X線スペクトルとなる。一方、フィルターとして使用しているアルミニウムの薄膜の軟X線透過特性は図3に示すように波長4nm以下と波長15〜80nmの間に軟X線が透過しやすい特性を有している。したがって、鉄ターゲットから発生したレーザープラズマ軟X線をアルミニウムフィルターを透過させることにより波長15〜80nmの軟X線が得られる。
【0018】次に、被測定材として高分子を形成する臭素等の無機成分やオスミウム等の染色元素は波長領域16〜62nmの軟X線に対する吸収特性が炭素とは大きく異なるためコントラスト差を用いた組織観察が可能となる。
【0019】そこで、前記軟X線顕微鏡を用いて、■臭素を反応させた塩化ビニル樹脂の組織と■オスミウムで染色したABS樹脂中の組織観察を行なった。塩化ビニル樹脂やABS樹脂の組織はミクロンオーダの組織であることが予測されるので軟X線像の検出には感度は低いが分解能の高いレジスト材であるホロテストフィルムを使用し、撮影された軟X線像を光学顕微鏡と投影器を用いて140〜20000倍に拡大して組織観察を行なった。また、レーザー照射回数は、1回の撮影に対し10回および1000回とした。
【0020】(1)臭素を反応させた塩化ビニル樹脂中の組織観察ポリ塩化ビニル樹脂[-(CH2 −CHCl)n- ]は加熱などにより脱塩酸反応を生じる。これに臭素を反応させると脱塩酸反応を生じた部分だけが臭素と反応し軟X線透過率が低下する。図4は厚さ1μmのポリ塩化ビニル樹脂と臭素を反応させたポリ塩化ビニル樹脂[-(CHBr−CHBr)n- ]の軟X線透過特性を示したものである。アルミニウムフィルターを透過した軟X線(波長16nm〜)に対し、臭素が結合した塩化ビニル樹脂の透過率の方が2桁〜8桁程小さくなっている。特に長波長の軟X線に対して透過率の減少量が多く、臭素結合部の組織観察が期待できる。
【0021】観察には厚さ約4μmのポリ塩化ビニル樹脂を使用し、1回の撮影に対してレーザー照射回数は1000回とした。また、軟X線露光量を多くするために軟X線光源と被測定材の距離を約5cmとした。
【0022】図5は臭素を反応させた加熱部を含む領域(a)と臭素を反応させた加熱していない領域(b)の軟X線透過によるX線写真を示した図である。(a)では加熱した側の端面に幅50〜100μm、長さ400〜500μmの変色部(白っぽい部分)が観察される。この変色部は軟X線が透過しにくい領域であり、臭素と反応した部分であると思われる。これに対し、(b)の軟X線透過像には変色部が見られない。このことから(a)で観察された変色部のほとんどは加熱により脱塩酸反応を生じ、臭素と反応した部分であると思われる。この(a)で観察された変色部が臭素濃度の高い領域であるかどうかを確認するためにEPMA分析を行なった。その結果、白っぽく変色した部分には臭素が検出されていた。
【0023】(2)オスミウムで染色したABS樹脂中の組織観察ABS樹脂をオスミウム等で反応させるとブタジエン(CH2 =CH−CH=CH2 )中の2重結合部にオスミウム等が結合する。図6はABS樹脂とABS樹脂中の2重結合部にオスミウムを結合した場合の軟X線透過特性を示したものである。アルミニウムフィルターを透過した軟X線に対して、ブタジエン(CH2 =CH−CH=CH2 )中の2重結合部にオスミウムを結合したものと結合しないものでは透過率が約4桁異なる。このことから、結合元素が0.1%以上含まれている場合には10倍以上のコントラストが得られ、軟X線による組織観察が可能になる。
【0024】観察には厚さ約200nmのオスミウムで染色したABS樹脂膜を使用し、1回の撮影に対してレーザー照射回数は10回とした。また、軟X線光源(鉄ターゲット)と被測定材の距離を約12cmとした。図7はオスミウムを反応させたABS樹脂膜の軟X線透過像(a)と透過電子顕微鏡像(b)によるABS樹脂中のオスミウムの粒子構造を示した図である。軟X線透過像は明瞭ではないが200〜500nmの白っぽい粒状の組織が多く観察される。透過電子顕微鏡によって観察される粒状物と比較すると形状および寸法から判断して軟X線透過像で観察された白っぽい粒状の組織はオスミウムで染色された組織であると推定される。
【0025】以上のようにレーザープラズマ軟X線を用いた密着型軟X線顕微鏡により染色等を行った高分子膜中の組織観察が可能であることがわかった。高分子膜中の金属等の分散状態は透過電子顕微鏡でも観察できるが、試料の準備の容易さ(膜厚:数μm)を考えると軟X線顕微鏡は有力な分析手段であると思われる。
【0026】(実施例2)実施例1で用いた軟X線顕微鏡(図1)におけるターゲットとして鉄の代わりにニッケルを、また、軟X線フィルターとしてアルミニウムの代わりにケイ素を使用し、実施例1とほぼ同じレーザー照射条件でレーザー照射した場合のケイ素フィルター透過軟X線スペクトルを図8に示す。図8において、1はニッケルターゲットからの軟X線スペクトル、2はケイ素フィルターからの透過軟X線スペクトルである。波長17nm〜80nmの輝度の高い軟X線が測定され、このレーザープラズマ軟X線を用い、軟X線顕微鏡による観察をおこなった。
【0027】図9は稲のもみがら10を接着テープ11で軟X線用フイルム上に固定し、その内部構造を軟X線を用いて観察したX線写真である。ケイ素と炭素との軟X線透過率の違いからコントラストを得ることができ、SiO2 を多数の微細な白色粒子として観察することができた。




 

 


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