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発明の名称 構造物をブロック状に切り出す方法,及びその切り出しに使用される装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−5292
公開日 平成7年(1995)1月10日
出願番号 特願平5−143861
出願日 平成5年(1993)6月15日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
発明者 中澤 公一 / 伊東 章 / 立岩 正明
要約 目的
構造物表面からの切り出し深さを任意に変更できると共に、任意の大きさのブロックの切り出しを可能にすることを目的としている。

構成
本体フレーム1が上下方向に延び、その本体フレーム1の上下両端部からそれぞれ構造物の壁面に向けて棒状のワイヤガイド部2が延びている。上記本体フレーム1には、ワイヤ駆動装置4が設置されて、該本体フレーム1と共にワイヤソー装置本体3を構成している。ワイヤガイド部2の先端部には、それぞれガイドプーリが旋回可能に軸支されている。上記ガイドプーリ9間に切断用ワイヤ5が張架されている。上記構成のワイヤソー装置が、装置支持体12の下端部に、伸縮可能な足部13を介して固定されている。
特許請求の範囲
【請求項1】 所定深さの溝を構造物の表面に沿って2条,形成して、ワイヤソー装置の切断用ワイヤによって上記2条の溝間を該構造物の表面から深さ方向に切断し、続けて、その深さ方向の位置を随時変更しながら該切断用ワイヤを溝の延び方向に移動させることで背面切断を行い、さらに、該切断用ワイヤを表面に向けて溝の深さ方向に移動させることで2条の溝間を切断することを特徴とする構造物をブロック状に切り出す方法。
【請求項2】 筒状の中空部を持った構造物に対して、該中空部の内周面に、中空部の延び方向へ相互に所定間隔をあけた2条の溝を、所定深さで且つ周方向に沿ってそれぞれ形成し、ワイヤソー装置の切断用ワイヤによって上記2条の溝間を該構造物の表面から深さ方向に切断し、続けて、その深さ方向の位置を随時変更しながら該切断用ワイヤを中空部の周方向に沿って移動させることで背面切断を行い、さらに、該切断用ワイヤを表面に向けて溝の深さ方向に移動させて2条の溝間を切断することを特徴とする構造物をブロック状に切り出す方法。
【請求項3】 構造物を切断するためのワイヤソー装置において、ワイヤ駆動装置を備えて構造物の表面に沿って移動可能なワイヤソー装置本体と、そのワイヤソー装置本体から該構造物に形成された2条の溝内へその深さ方向にそれぞれ延びる一対のワイヤガイド部と、その各ワイヤガイド部の先端部に、回転軸が旋回及び回動自在に軸着されて切断用ワイヤガイドを案内可能なガイドプーリと、その一対のガイドプーリ間に掛け渡されると共に該ワイヤガイド部に沿って延びる無端環状の切断用ワイヤとを備えたことを特徴とするワイヤソー装置。
【請求項4】 筒状の中空部を持った構造物における該中空部の内周面側を切断するための切り出し装置であって、上記中空部内の空間を該中空部の延び方向に沿って延びる装置支持体と、その装置支持体から中空部内周面に向けて伸縮可能に延びる足部と、その足部の先端部に固定された請求項3のワイヤソー装置とを備えたことを特徴とする切り出し装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子炉における遮蔽壁の解体等のために、構造物をブロック状に切り出す方法,及びその切り出しに使用されるワイヤソー装置や切り出し装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】構造物をブロック状に切り出す必要がある場合としては、例えば,原子炉における筒状の中空部を形成した遮蔽壁の炉芯側解体作業がある。この原子炉における遮蔽壁は、厚さがPWR型原子力発電所の場合で3m程度あり、通常,炉芯側(内周面側)表面から1m程度が放射化されているので、この遮蔽壁を解体する場合には、その放射化されている部分を先行して解体する必要がある。
【0003】そして、従来においては、該遮蔽壁を炉芯側から解体する場合、例えば,特開平2−307097号公報や特開平4−42100号公報に記載されているような方法が提案されている。この方法は、まず、所定間隔を開けて並ぶ2対の孔を遮蔽壁の上端面から垂直且つ下方に向けて切削し、次に、装置本体から下方に延びる一対のワイヤガイド部を備え、そのワイヤガイド部の各先端部に、それぞれガイドプーリが該回転軸をワイヤガイド部の延び方向に直交させた状態で軸着しているワイヤガイド装置を用意して、その一対の孔に上記各ワイヤガイド部を個別に挿入しつつ、該ワイヤソー装置に設置されているワイヤ駆動装置を作動することにより、上記2本のワイヤガイド部のガイドプーリ間に所定張力をもって掛け渡された切断用ワイヤが、上記一対の孔を結ぶ構造物位置を上端面から下方に向けて垂直に切断し、もって、切り出すブロックの背面を形成する。
【0004】次に、上記一対の孔の一方の孔と遮蔽壁の内周面とに沿って、上記と同様に、それぞれ2本のワイヤガイド部を上方から下方に移動させることで、両ワイヤガイド部のガイドプーリ間に掛け渡された切断用ワイヤによって遮蔽壁を厚さ方向に切断して、切り出すブロックの一側面を形成すると共に、他方の孔と遮蔽壁の内周面との間も同様に切断して、切り出すブロックの他方の側面を形成する。
【0005】次に、ガイドプーリの回転軸がワイヤガイド部の延び方向と平行(上下方向)に軸着されている別のワイヤガイド部を一対,用意して、該ワイヤガイド部をそれぞれ上記一対の孔に挿入し、切断用ワイヤを、上記切断した厚さ方向の両切断溝(切り出しブロックの両側面位置)と遮蔽壁内周面に沿って巡るようにして両ガイドプーリ間に掛け渡し、この状態でワイヤソー装置を駆動して遮蔽壁を厚さ方向に切断することにより、切り出すブロックの下面を形成する。
【0006】このようにして切り出すブロックの4面の切断面を形成し、これと上端面及び遮蔽壁内周面とによって6面のブロック状の解体片に切り出す。これを、構造物である遮蔽壁の天端面から下方に向けて、順に、周方向に沿って上記ブロック状の解体片を繰り返し切り出し、撤去することで該遮蔽壁を解体している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来の構造物をブロック状に切り出す方法では、小さなブロック状の解体片に切断しながら該解体片の撤去作業を繰り返し行って解体作業を実施しているが、原子炉の遮蔽壁は全建屋の一部であり狭隘な場所であることから、平行作業を行うことが難しく、解体工期のクリティカルパスとなる恐れがある。
【0008】また、放射化されている範囲は一定の深さになっているとは限らず、凸凹や斜めの背面切断形状が好ましい場合もあるが、上記従来の方法では、構造物の表面からの切り出し深さを調整することなく上記一対の孔間を結ぶ平面を背面形状にして無条件に切断しているため、放射化されている部分だけを有効に切り出すことができないなど、切り出すブロックの背面切断の形状を任意な形状に設定することができない。この現象は、切り出すブロックを大きくする,即ち1対の孔間の距離を大きくとるほど顕著になる。
【0009】また、上記従来の方法では、垂直方向の切断と水平方向の切断とを別のワイヤガイド部を使用して、二工程として実施せざるを得ず、上記切り出しに手間が掛かるという問題もある。本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、構造物表面からの切り出し深さを任意に変更できると共に、任意の大きさのブロックの切り出しを可能にすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の構造物をブロック状に切り出す方法は、所定深さの溝を構造物の表面に沿って2条,形成して、ワイヤソー装置の切断用ワイヤによって上記2条の溝間を該構造物の表面から深さ方向に切断し、続けて、その深さ方向の位置を随時変更しながら該切断用ワイヤを溝の延び方向に移動させることで背面切断を行い、さらに、該切断用ワイヤを表面に向けて溝の深さ方向に移動させることで2条の溝間を切断することを特徴としている。
【0011】また、筒状の中空部を持った構造物に対しては、該中空部の内周面に、中空部の延び方向へ相互に所定間隔をあけた2条の溝を、所定深さで且つ周方向に沿ってそれぞれ形成し、ワイヤソー装置の切断用ワイヤによって上記2条の溝間を該構造物の表面から深さ方向に切断し、続けて、その深さ方向の位置を随時変更しながら該切断用ワイヤを中空部の周方向に沿って移動させることで背面切断を行い、さらに、該切断用ワイヤを表面に向けて溝の深さ方向に移動させて2条の溝間を切断することを特徴としている。
【0012】また、上記切り出しに使用されるワイヤソー装置は、構造物を切断するためのワイヤソー装置において、ワイヤ駆動装置を備えて構造物の表面に沿って移動可能なワイヤソー装置本体と、そのワイヤソー装置本体から該構造物に形成された2条の溝内へその深さ方向にそれぞれ延びる一対のワイヤガイド部と、その各ワイヤガイド部の先端部に、回転軸が旋回及び回動自在に軸着されて切断用ワイヤガイドを案内可能なガイドプーリと、その一対のガイドプーリ間に掛け渡されると共に該ワイヤガイド部に沿って延びる無端環状の切断用ワイヤとを備えたことを特徴としている。
【0013】また、上記切り出しに使用される切り出し装置は、筒状の中空部を持った構造物における該中空部の内周面側を切断するための切り出し装置であって、上記中空部内の空間を該中空部の延び方向に沿って延びる装置支持体と、その装置支持体から中空部内周面に向けて伸縮可能に延びる足部と、その足部の先端部に固定された請求項3のワイヤソー装置とを備えたことを特徴としている。
【0014】
【作用】本願発明の切り出し方法は、放射化された部分などの切り出したい部分とその他の部分との境目に2条の溝を形成し、その2条の溝間の構造物表面をブロック状に切り出す方法であって、その切り出すブロックの背面深さを随時,変更しながら切り出すことを可能とする方法である。
【0015】即ち、上記2条の溝間の所定位置において、切断用ワイヤによって、両溝間を深さ方向に所定深さまで切断して、切り出すブロックの一方の側面を形成する。そのまま、切断用ワイヤを溝の延び方向に沿って移動させることで、該切断用ワイヤによって、構造物表面から所定深さの位置が順次,切断されて、切り出すブロックの背面が形成される。
【0016】上記切断用ワイヤを溝方向に移動させる際に、構造物表面からの深さ位置を随時,変更することで、構造物表面から上記切削背面までの深さが適宜,任意の深さに変更されて、該背面を段状等の形状に切断可能となる。続いて、切断用ワイヤを構造物表面に向けて移動させることで該構造物が切削されて、切り出すブロックの他方の側面が形成される。
【0017】そして、上記切り出した3面と、構造物表面及び2条の溝の内面によって、切り出すブロックが形成されて、構造物から切り離される。上記のような方法で切り出すことで、任意の大きさのブロックに切り出すことができ、しかも、そのブロックの大きさに関係なく、構造物表面からの背面深さを、各部位での任意な深さに合わせて設定できる。
【0018】また、構造物が原子炉の遮蔽壁の炉芯側など、筒形状の中空部を形成する構造物に対しては、請求項2に記載されているようにすることで、周方向に沿って自由な角度の扇状のブロックに切り出したり、背面切削を周方向に1周実施してドーナツ状のブロックに切り出すことができる。そして、上記のような切り出しには、例えば,請求項3に記載されているようなワイヤソー装置を使用する。
【0019】このワイヤソー装置は、その1対のワイヤガイド部をそれぞれ溝内に挿入することで、その一対のワイヤガイドの先端に軸着されたガイドプーリ間に掛け渡された切断用ワイヤによって、該溝間における構造物の表面から深さ方向に切削される。そのまま、装置本体を構造物表面に沿って移動させると、上記各ワイヤガイド部も、溝に沿って移動する。
【0020】このとき、切断用ワイヤには上記移動と反対方向に負荷が掛かり、それにつれて、ガイドプーリの回転軸が自動的に旋回及び回動するので、一度ワイヤガイド部を溝から抜いてガイドプーリの方向を設定しなおす必要がない。このように、切削方向に合わせてガイドプーリの回転軸が、切削方向に追従して自動的に変更されるので、連続して自由な任意形状に切断可能となる。
【0021】そして、上記のようにワイヤガイド部,即ちガイドプーリが溝の延び方向に沿って移動することで、背面切断が行われる。このとき、ワイヤソー装置本体と構造物表面との距離を随時変更させることで、ワイヤガイド部先端部,即ちガイドプーリの溝内における深さ方向の位置を随時変更させ、切り出すブロックの背面を凹凸面や斜面形状などの任意な形状にする。
【0022】また、筒状の中空部を構成する構造物内周面を切断する場合、請求項4に記載されている切り出し装置を採用することで、装置支持体及び足部からなる部材を介して中空部の外からワイヤソー装置が操作可能となり、放射化した位置に作業員が接近する必要がなくなる。
【0023】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、ワイヤソー装置の構成を説明すると、図1に示すように、本体フレーム1が上下方向に延び、その本体フレーム1の上下両端部からそれぞれ構造物の壁面に向けて棒状のワイヤガイド部2が延びて、該本体フレーム1と一対のワイヤガイド部2とによって門型の枠体が形成されている。
【0024】上記本体フレーム1には、ワイヤ駆動装置4が設置されて、該本体フレーム1と共にワイヤソー装置本体3を構成している。上記ワイヤ駆動装置4は、本体フレーム1にモータ部4aが固定され、該モータ部4aからテンショナー4bが、上記ワイヤガイド部2とは反対方向に該本体フレーム1から突設している。そのテンショナー4bは、シリンダ装置などによって該突出方向に伸縮可能となっている。そのテンショナー4bの先端部に切断用ワイヤ5を巻き掛けるワイヤ用ドラム4cが軸着され、そのワイヤ駆動用ドラム4cとモータ部4aの駆動軸との間にべルト4dが掛け渡されている。
【0025】また、上記ワイヤガイド部2の先端部には、図2に示すように、球面対偶のソケット6が形成されて、そのソケット6内に球体7が嵌合し、その球体7に腕部8が固定されている。その腕部8は、球体7から突設する腕本体8aと、ガイドプーリ9の軸を左右から支持する一対の支持部8b,8cとから構成されている。即ち、腕本体8aの一端部が球体7に固定され、その腕本体8aの他端部から左右にそれぞれオフセットした状態で各支持部8b,8cが設けられ、その支持部8b,8cの両端部間にガイドプーリ9を回転自在に支持する支軸10が架設されて、その支軸10によってガイドプーリ9が回転自在に支持されている。
【0026】上記一対の支持部8b,8cのうち,一方の支持部8bは、腕本体8a及び支軸10と一体に成形されているが、他方の支持部8cは、支軸10にその一端部が枢着されていて、その枢軸位置を中心に側方に開閉可能となっていると共に、その他方の支持部8cの他端部と腕本体8a間が公知の嵌着機構で嵌着されて、開方向に所定以上の力が付与された場合にのみ、その嵌着が外れるようになっている。その所定以上の力とは、切断用ワイヤ5をガイドプーリ9から外すために該他方の支持部8cに加えられる強い力を想定しており、また、運転中に切断用ワイヤ5の振動等により切断用ワイヤ5がガイドプーリ9から外れないだけの力を想定している。これによって、切断用ワイヤ5をガイドプーリ9に巻き掛けたり外したりすることが可能となる。
【0027】なお、上記嵌着機構に代えて、腕本体8aと他方の支持部8cとの間を、着脱可能なピンを挿入するなどによって連結するロック機構等で着脱可能に固定してもよい。また、一対のワイヤガイド部2先端部に夫々設けられた上記ガイドプーリ9に切断用ワイヤ5が巻き掛けられて、該ガイドプーリ9間に該切断用ワイヤ5が張架されている。さらに、各ガイドプーリ9に巻き掛けられた切断用ワイヤ5は、それぞれワイヤガイド部2に沿って本体フレーム1に向けて延び、該本体フレーム1に設けられた補助プーリ11を介してワイヤ駆動装置4のワイヤ駆動用ドラム4cに巻き掛けられている。これによって、該切断用ワイヤ5は、無端環状に配置されてワイヤ駆動装置4よって駆動されると共に、テンショナー4bの伸縮によって所定の張力が付与されるようになっている。
【0028】また、上記ソケット6及び球体7からなる球面対偶の構成は、該球体7に固定された腕本体8a,即ちガイドプーリ9が、所定方向にのみ旋回可能(倒れ可能)とするように、ソケット6に対して上記旋回方向に沿って周方向へガイド溝6aが欠切されて、そのガイド溝6aに沿って腕本体8aが旋回可能となっている。
【0029】なお、その旋回方向は、上下方向に延びるように設定されている。さらに、上記球面対偶によって、該ガイドプーリ9が腕本体8aを軸として回動可能となっている。この結果、各ガイドプーリ9は、ワイヤソー装置の駆動の際に、切断用ワイヤ5に負荷される力によって自動的に回転軸が旋回されて、該ガイドプーリ9から切断用ワイヤ5が外れることを防止して、該切断用ワイヤ5を案内するので、従来のようにワイヤガイド部2の交換をする必要がなく、連続して、切断方向を変更することが可能となる。
【0030】さらに、上記構成のワイヤソー装置は、上下方向に延びる装置支持体12の下端部に支持されている。装置支持体12の下端部には、ワイヤソー装置本体3に向けて延びる足部13が固定されていて、該足部13は、その足部13の延び方向にシリンダ装置などによって伸縮可能となっていると共に、その他端部がワイヤソー装置の本体フレーム1に固定されて、上記伸縮によって、ワイヤソー装置本体3を水平方向に進退可能とし、もって、該ワイヤソー装置,足部13,及び装置支持体12が切り出し装置の一部を構成している。
【0031】次に、上記ワイヤソー装置,及び切り出し装置を使用した構造物20をブロック状に切り出す方法を例示する。下記の例では、まず、コンクリート構造物20における、壁面等の垂直な表面側をブロック状に切り出す方法で説明する。まず、公知の切削装置を使用して、所定深さを有すると共にワイヤガイド部2及びガイドプーリ9が挿入可能な広さをもった溝21,22を2条,壁面に切削する。
【0032】その2条の溝21,22は、図3に示すように、壁面20aにおける切り出したい部分の上下位置をそれぞれ左右方向に所定長さだけ延びるように形成されている。次に、2条の溝21,22にそれぞれワイヤガイド部2が挿入されるように、本体フレーム1(ワイヤソー装置本体3)を該壁面20aに接近させると、図4に示すように、該ワイヤガイド部2の先端部に固定されているガイドプーリ9が、それぞれ各溝21,22の底まで挿入された状態となる。なお、図4では、ワイヤソー装置のうちガイドプーリ9のみを図示している。
【0033】この状態においては、両ガイドプーリ9間に掛け渡されている切断用ワイヤ5は、例えば、上手側のワイヤガイド部2に沿って該上手側の溝21,22内に延びて、該溝21,22内のガイドプーリ9に巻き掛けられ、そこから、該溝21,22内を壁面20a表面に向けて再び延び、さらに両溝21,22間の壁面20a表面を経由して、下手側の溝22内に延びて他方のガイドプーリ9に巻き掛けられ、さらに、下手側のワイヤガイド部2に沿って壁面20a表面方向に延びるように配置される。
【0034】このとき、ガイドプーリ9間の切断用ワイヤ5には、溝21,22の延び方向に応力が負荷されるので、各ガイドプーリ9は、その回転軸が略上下方向になるように自動的に旋回されている。そして、ワイヤソー装置本体3を現在の位置に固定して、ガイドプーリ9の移動を防止してから、ワイヤソー装置のワイヤ駆動装置4を作動させる。すると、切断用ワイヤ5が無端運転されて構造物20が壁面20aから溝21,22の深さ方向に切断される。
【0035】即ち、ガイドプーリ9は移動せず、且つ、切断用ワイヤ5には所定の張力が付与されることで、両ガイドプーリ9間に位置する切断用ワイヤ5の長さが順次短縮されて、図5に示すように、両溝21,22間の構造物20が壁面20a表面から溝21,22の深さ方向へ徐々に切断されて、図6に示すように、切り出すブロックBの一方の側面B1が形成される。
【0036】なお、図5においては、未だ切断されていない部分が台形に残っているように示されているが、この台形は説明の都合によるものであって、実際には、2つのガイドプーリ9間の切断用ワイヤ5による切断線は、上側に凸の曲線状に順次切断され、その凸部が次第に低くなり且つ曲線の曲率半径が次第に大きくなるものである。
【0037】続いて、ワイヤソー装置本体3を壁面20aに沿って溝21,22の延び方向に移動させると、それに追従して、溝21,22内にそれぞれ挿入されているワイヤガイド部2も溝21,22に沿って移動する。このとき、該ガイドプーリ9間に張架されている切断用ワイヤ5に、上記移動方向と逆方向の応力が付与されるので、その力によって各ガイドプーリ9に首振り運動が発生して、ガイドプーリ9による切断用ワイヤ5の送りがスムーズに行われる。
【0038】そして、上記ワイヤガイド部2,即ちガイドプーリ9が溝21,22内をその延び方向に移動することによって、図7に示すように、両ガイドプーリ9間に位置する構造物20部分が切断用ワイヤ5によって切断されて、切り出すブロックBの背面B2が形成される。なお、図7では、ガイドプーリ9の回転軸が水平になっているように図示されているが、ワイヤソー装置本体3とガイドプーリ9間の切断用ワイヤ5に作用する張力によって、実際の該ガイドプーリ9の回転軸は傾斜している。
【0039】また、上記背面切断の際、ワイヤソー装置本体3の移動によってのみで切断するのでは、付与される応力はかなり大きなものとなるため、図8に示すように、ワイヤソー装置の一般的な切断状態である切断用ワイヤ5を引っ張るような状態になるように、ガイドプーリ9が切断線よりも先行した位置にする必要がある。そのためには、深さ方向に切断する時よりも切断用ワイヤ5が長くないといけない。そこで、ワイヤソー装置本体3を、深さ方向に切断する場合よりも構造物20の壁面20aに近づけることで、切断用ワイヤ5全体の長さを変えずにガイドプーリ9間の切断用ワイヤに余裕をもたせるようにする。
【0040】なお、上記の背面切断では、溝21,22方向に水平移動するように説明しているが、適宜、ワイヤソー装置本体3を壁面20aから進退させることで、図9に示すように、切断された上記背面B2に斜め形状や段部を形成させてもよい。次に、ワイヤソー装置本体3を壁面20aから離れる方向に再び,移動させることで、図10に示すように、両溝21,22内に位置していた各ガイドプーリ9が壁面20a表面及びその外方まで移動する。そして、切断用ワイヤ5に所定張力を付与することで、該ガイドプーリ9間の切断用ワイヤ5によって該2条の溝21,22間の構造物20部分を構造物20の表面に向けて厚さ方向に切断し、切り出されるブロックの他方の側面B3を形成する。
【0041】これによって、切り出すブロックBの両側面B1,B3及び背面B2が形成されて、図11に示すように、該ブロックが構造物20から切り離された状態となる。なお、上記説明では、2条の溝21,22が水平方向に延びるように形成しているが、斜め方向や垂直方向に延びるように形成して、その両溝21,22間をブロック状に切り出すようにしてもよいし、また、該溝21,22を切り出す形状に合わせて平行且つ波状などに切削してもよい。
【0042】また、ワイヤソー装置おける本体フレーム1を軸方向(上下方向)に伸縮可能に構成して、両ガイドプーリ9間の間隔が適宜変更可能にするならば、2条の溝21,22を平行に切削することもなく、切り出したいブロックの境形状に合わせた形状で延びるように2条の溝21,22を個別に切削して、該2条の溝21,22間の構造物20部分を切り出すようにしてもよい。
【0043】また、構造物20の上端部から切り出す場合には、構造物20の上端面を上手側の溝21,22とみなして、一方の溝21,22だけを壁面20aに沿って切削し、該上端面と溝21,22間をブロック状に切り出すようにする。また、上記説明では構造物20の壁面20a等,構造物20の垂直面側をブロック状に切り出す例を説明しているが、上記例は一例であるので橋等の構造物20にあっては、その上面側や下面側をブロック状に切り出すために採用してもよい。この場合には、ワイヤソー装置は、本体フレーム1が水平に延び、ワイヤガイド部2が上下方向に延びるように配置される。
【0044】次に、筒状の中空部を形成する構造物である,原子炉の遮蔽壁30の炉芯側をブロック状に切り出す場合を説明する。まず、公知の切削装置を使用して、遮蔽壁30内周面における放射化された部分の上下部分を、それぞれ周方向に沿って環状に切削して、2条の溝21,22を形成する。
【0045】次に、遮蔽壁30の上端開口部から装置支持体12を挿入することで、その装置支持体12の下端部に固定されているワイヤソー装置を遮蔽壁30で形成される中空状の炉芯内に挿入し、そのワイヤソー装置を遮蔽壁30に対して水平に対向させる。次に、足部13を所定量だけ伸長させることで、図1に示すように、ワイヤソー装置本体3を遮蔽壁30に接近させ、もって上下に位置する各ワイヤガイド部2を上記形成した各溝21,22内に挿入する。
【0046】すると、該ワイヤガイド部2先端部に固定されているガイドプーリ9が、それぞれ各溝21,22の底まで挿入された状態となる。この状態においては、両ガイドプーリ9間に掛け渡されている切断用ワイヤ5は、例えば、上手側のワイヤガイド部2に沿って上手側の溝21内に延びて、該溝21内のガイドプーリ9に巻き掛けられ、そこから、該溝21内を遮蔽壁30表面に向けて再び延び、さらに両溝21,22間の壁面表面を上下に経由して、下手側の溝22内の底に向けて延びて他方のガイドプーリ9に巻き掛けられ、さらに、下手側のワイヤガイド部2に沿って壁面20a表面方向に延びるように配置される。
【0047】そして、装置支持体12を固定することで、ワイヤソー装置本体3を現在の位置に固定して、ガイドプーリ9の移動を防止してから、ワイヤソー装置のワイヤ駆動装置4を作動させる。すると、切断用ワイヤ5が無端運転されて溝21,22の深さ方向(遮蔽壁30の厚さ方向)に溝21,22間の遮蔽壁30が切断される。
【0048】即ち、ガイドプーリ9は移動せず、且つ、切断用ワイヤ5には所定の張力が付与されることで、両ガイドプーリ9間に位置する切断用ワイヤ5の長さが順次短縮されて、両溝21,22間の構造物20が壁面20aから溝21,22の深さ方向に徐々に切断される。続いて、装置支持体12を軸回転させることで、ワイヤソー装置本体3が遮蔽壁30に沿って周方向に移動し、それに追従して、上下の溝21,22内にそれぞれ挿入されているワイヤガイド部2が溝21,22に沿って移動する。
【0049】このとき、該ガイドプーリ9間に張架されている切断用ワイヤ5に、上記移動方向と逆方向の応力が付与されるので、その力によって各ガイドプーリ9に首振り運動が発生して、ガイドプーリ9による切断用ワイヤ5の送りがスムーズに行われる。そして、上記ワイヤガイド部2,即ちガイドプーリ9が溝21,22内をその延び方向に移動することで、図12に示すように、両ガイドプーリ9間に位置する部分が切断用ワイヤ5によって切断されて、切り出すブロックBの背面が形成される。
【0050】なお、上記の背面切削では、溝21,22方向に沿って移動させているが、適宜、上記移動と同時に、ワイヤソー装置本体3を壁面20aから前後させることで、切削された上記背面に斜め形状や段部を形成してもよい。そして、上記装置支持体12をほぼ一回転させることで、ガイドプーリ9が環状の溝21,22に沿って一周して、両ガイドプーリ9間に位置する切断用ワイヤ5によって壁面20aから所定深さ位置が該壁面20aに沿って切断されて、切り出すブロックBの背面切断が完了する。
【0051】次に、足部13を縮めてワイヤソー装置本体3を遮蔽壁30から後退させて、溝21,22からワイヤガイド部2及びガイドプーリ9を出すと共に、最初に切断した切削部分を介して切断用ワイヤ5を取り出す。これによってドーナツ状のブロックBに遮蔽壁30が切り出されることとなる。
【0052】なお、必ずしも,溝21,22に沿ってガイドプーリ9を一周移動させる必要はなく、途中から、遮蔽壁30表面に向けて切断して、略扇状のブロックに切り出してもよい。これによって、任意の大きさのブロックに切り出しが可能となると共に、該ブロックの背面切削の形状も任意の形状が選択されて、切り出したい部分のみを切断可能となる。
【0053】また、装置支持体12を介してワイヤソー装置を移動及び進退させるので、放射化している部分近傍に、切り出し時に作業員が接近する必要がない。なお、上記説明では、遮蔽壁30の途中を切り出しているが、遮蔽壁30上端面から順次下方に向けてドーナツ状に切り出してもよい。即ち、遮蔽壁30の上端面30aを上手側の溝とみなして、遮蔽壁30に1条の溝22だけを切削しておき、ワイヤソー装置本体3を遮蔽壁30に横から接近させることで、ワイヤソー装置の一方のワイヤガイド部2を遮蔽壁30の上端面30aに沿って遮蔽壁30に厚さ方向に移動させ、図13に示すように、他方のワイヤガイド部2を溝22内に挿入する。
【0054】そして、上記と同様に遮蔽壁30の厚さ方向に切断し、続けて周方向に切断することでドーナツ状の大ブロックBに切り出し、その切り出したブロックBをクレーン等で撤去する。これを遮蔽壁30の上端面30aから下方に向けて実施することで、ブロック状に切り出す作業と撤去作業の回数が減少して、平行作業による、遮蔽壁30の解体の際の工期におけるクリティカルパスが低減する。
【0055】なお、上記実施例では、筒状の中空部を有する遮蔽壁30の炉芯側を解体する例で説明しているが、トンネルの内周面をブロック状に切り出す等、他の構造物20の切り出しにも適用可能なことは勿論である。
【0056】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の構造物をブロック状に切り出す方法では、切り出すブロックの大きさを任意の大きさに設定できるとともに、切り出す厚さを任意な厚さに設定することができる。このとき、本発明のワイヤソー装置を使用することで、構造物から連続して1つのブロックを切り出すことが可能となる。
【0057】また、本発明の切り出し装置を利用することで、放射化された部分等の切り出す位置近傍に作業員が接近する必要がなく、遠隔して切り出しが可能となる。




 

 


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