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発明の名称 放射線像変換パネル
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−287098
公開日 平成7年(1995)10月31日
出願番号 特願平6−101996
出願日 平成6年(1994)4月15日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
発明者 鈴木 英幹
要約 目的
蛍光体の充填密度が高い蛍光体層を有し、且つ蛍光体層と支持体との接着性が優れた放射線像変換パネルを提供する。

構成
支持体と、該支持体上に設けられたポリマー及び輝尽性蛍光体からなる蛍光体層とからなる放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層の層厚の1/2の位置から支持体側にある該蛍光体層の下層を構成するポリマーの軟化温度が、層厚の1/2の位置から反支持体側にある該蛍光体層の上層を構成するポリマーの軟化温度より低いことを特徴とする放射線像変換パネル。
特許請求の範囲
【請求項1】 支持体と、該支持体上に設けられたポリマー及び輝尽性蛍光体からなる蛍光体層とからなる放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層の層厚の1/2の位置から支持体側にある該蛍光体層の下側部分を構成するポリマーの軟化温度が、層厚の1/2の位置から反支持体側にある該蛍光体層の上側部分を構成するポリマーの軟化温度より低くなるようにされていることを特徴とする放射線像変換パネル。
【請求項2】 該下側部分を構成するポリマーの軟化温度が、30〜130℃の範囲にある請求項1に記載の放射線像変換パネル。
【請求項3】 該上側部分を構成するポリマーの軟化温度が、50〜150℃の範囲にある請求項1に記載の放射線像変換パネル。
【請求項4】 該上側部分を構成するポリマーの軟化温度と該下層を構成するポリマーの軟化温度の差が、5〜50℃の範囲にある請求項1に記載の放射線像変換パネル。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、輝尽性蛍光体を用いた放射線像変換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代る方法として、たとえば特開昭55−12145号公報などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートとも称する)を利用するもので、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。
【0003】この放射線像変換方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。従って、この方法は、特に医療診断を目的とするX線撮影等の直接医療用放射線撮影において利用価値の非常に高いものである。
【0004】放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルは、基本構造として、支持体とその片面に設けられた輝尽性蛍光体層とからなるものである。なお、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、この輝尽性蛍光体層の支持体とは反対側の表面(支持体に面していない側の表面)には一般に、透明な保護膜が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0005】輝尽性蛍光体層は一般に、輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるものであり、輝尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収したのち励起光の照射を受けると輝尽発光を示す性質を有するものである。従って、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線は、その放射線量に比例して放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に吸収され、パネルには被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネルギーの蓄積像として形成される。この蓄積像は、上記励起光を照射することにより輝尽発光光として放出させることができ、この輝尽発光光を光電的に読み取って電気信号に変換することにより放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可能となる。
【0006】放射線像変換方法は上述のように非常に有利な画像形成方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルも従来の放射線写真法に用いられる増感紙と同様に、高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれる。放射線像変換パネルの感度は、基本的にはパネルに含有されている輝尽性蛍光体の総輝尽発光量に依存し、この総発光量は蛍光体自体の発光輝度によるのみならず、蛍光体層における蛍光体の含有量によっても異なる。蛍光体の含有量が多いことはまたX線等の放射線に対する吸収も大であることを意味するから、一層高い感度が得られ、同時に画質(特に、粒状性)が向上する。一方、蛍光体層における蛍光体の含有量が一定である場合には、蛍光体粒子が密に充填されているほどその層厚を薄くすることができるから、散乱による励起光の広がりを少なくすることができ、相対的に高い鮮鋭度を得ることができる。
【0007】蛍光体層を支持体上に形成し、そしてこの蛍光体層を圧縮することにより得られる放射線像変換パネルが特開昭59−126299号公報、特開昭59−126300号公報に開示されている。このようにして得られる放射線像変換パネルは、蛍光体層を圧縮処理することで、蛍光体層中の蛍光体の密度をそれまでの放射線像変換パネルよりも高くしたものであった。その結果、この放射線像変換パネルは鮮鋭度においては向上したが、反面、圧縮処理により蛍光体が一部破壊されるために粒状性という面ではむしろ劣化してしまう場合があるという問題があった。
【0008】そこで、特開平2−278197号公報では、蛍光体層のポリマーとして軟化温度または融点が30〜150℃である熱可塑性エラストマーを用いて、この蛍光体層を軟化温度または融点以上の温度で圧縮することにより得られる放射線像変換パネルが提案されている。本発明者の検討によれば、このようにして得られる放射線像変換パネルは、優れた鮮鋭度、そして粒状性を有するものであるが、まだ蛍光体層に使用する蛍光体の材料によっては蛍光体層のその充填密度が充分とは言えず、従って優れた鮮鋭度が得られないこと、さらにはパネルを撮影装置内の搬送中に蛍光体層と支持体との間で剥離し易いとの問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、蛍光体の充填密度が高い蛍光体層を有し、且つ蛍光体層と支持体との接着性が優れた放射線像変換パネルを提供することを目的とする。また、本発明は、優れた鮮鋭度を有する放射線像変換パネルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、蛍光体層を、層中のポリマーの軟化温度または融点以上の温度で圧縮することにより得られる放射線像変換パネルの蛍光体層中の蛍光体の充填密度を上げるために検討を重ねてきた。本発明者は、熱圧縮処理の際の、蛍光体層の表面と支持体側とに実質的に付与される温度に差異があることに着目し、更に検討を重ねた結果、支持体側と表面側(反支持体側)にそれぞれ軟化温度が異なるポリマーを使用する、即ち、支持体側に低い軟化温度のポリマーを、そして表面側に高い軟化温度のポリマーを使用することにより、蛍光体層の内部も蛍光体層表面側とほぼ同様な蛍光体の充填密度が得られることが判明した。また、このような構成の蛍光体層とすることにより蛍光体層と支持体との接着性も顕著に向上し、衝撃により蛍光体層の支持体から剥離することがない耐衝撃性に優れた放射線像変換パネルが得られることも明らかになった。
【0011】本発明は、支持体と、該支持体上に設けられたポリマー及び輝尽性蛍光体からなる蛍光体層とからなる放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層の層厚の1/2の位置から支持体側にある該蛍光体層の下側部分を構成するポリマーの軟化温度が、層厚の1/2の位置から反支持体側にある該蛍光体層の上側部分を構成するポリマーの軟化温度より低くなるようにされていることを特徴とする放射線像変換パネルにより達成することができる。
【0012】上記放射線像変換パネルの好ましい態様は、下記の通りである。
1)蛍光体層の下側部分を構成するポリマーの軟化温度が、30〜130℃(好ましくは30〜80℃)の範囲にある上記放射線像変換パネル。
2)上側部分を構成するポリマーの軟化温度が、50〜150℃(好ましくは50〜120℃)の範囲にある上記放射線像変換パネル。
3)上側部分を構成する結合剤の軟化温度と下側部分を構成するポリマーの軟化温度の差が、5〜50℃の範囲にある上記放射線像変換パネル。
4)上記ポリマーが、熱可塑性エラストマーからなる上記の放射線像変換パネル。
5)上記ポリマーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなる上記放射線像変換パネル。
6)上記蛍光体層が、支持体上に熱圧縮(好ましくはポリマーの軟化温度または融点以上で)により形成あるいは融着されている上記放射線像変換パネル。
本発明で言う上記軟化温度は、ピカット軟化温度である。これは、1kgの荷重が懸かった標準圧子(直径1mm)が試料(ポリマー)表面から1mm侵入した時の温度を測定することにより求められる。
【0013】本発明の放射線像変換パネルは、蛍光体粒子を分散状態で含有支持するポリマーからなる蛍光体層が支持体上に設けられた基本構成を有する。本発明の放射線像変換パネルの一例の断面を示す模式図を図1に示す。支持体1の上に、蛍光体層2が形成されており、その上にさらに透明保護膜3が設けられている。蛍光体層2は、蛍光体層の層厚の1/2の位置から支持体側にあるその蛍光体層の下側部分2aと層厚の1/2の位置から反支持体側にあるその蛍光体層の上側部分2bから構成されている。下側部分2aと上側部分2bは二層に明確に区別されたものでも、外観上区別されないものでも良いが、蛍光体層の下側部分2aを構成するポリマーの軟化温度が、蛍光体層の上側部分2bを構成するポリマーの軟化温度より低いことが必要である。即ち、蛍光体層は一層からなるものでも、あるいは二層以上から形成されていても良いが、上記条件を満足する必要がある。また、軟化温度は、蛍光体層の上側部分及び下側部分の各層に含まれる全ポリマーの平均の軟化温度である。上記蛍光体層を形成するには、下側部分と上側部分を、それぞれの蛍光体シートを作製した後支持体に圧縮して融着する方法、あるいは、下側部分と上側部分を、それぞれの塗布液を支持体上に同時に重層塗布し、その後圧縮、融着する方法を利用することが好ましい。これらの方法は、後で詳述する。
【0014】本発明の放射線像変換パネルは、例えば、次に述べるような方法により製造することができる。本発明の放射線像変換パネルにおける蛍光体層に使用される蛍光体について述べる。輝尽性蛍光体は、先に述べたように放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的な面からは波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体であることが望ましい。本発明の放射線像変換パネルに用いられる輝尽性蛍光体としては、二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体およびセリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体が、高輝度の輝尽発光を示すので好ましい。ただし、本発明に用いられる輝尽性蛍光体は、このような蛍光体に限られるものではなく、放射線を照射したのちに励起光を照射した場合に輝尽発光を示す蛍光体であればいかなるものであってもよい。
【0015】上述のような輝尽性蛍光体とポリマーとを適当な溶剤に加え、これを充分に混合してポリマー溶液中に輝尽性蛍光体が均一に分散した塗布液を調製する。ポリマーとしては、一般に常温で弾力を持ち、加熱されると流動性を持つようになる熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。熱可塑性エラストマーの例としては、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン、塩素化ポリエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、シリコンゴムなどを挙げることができる。ポリウレタン、ポリエステル及びポリオレフィンが好ましく、特にポリウレタンが好ましい。本発明で使用するポリマーは、これらの熱可塑性エラストマーは単独であっても良いし、二種以上の混合物でも良い。また、この熱可塑性エラストマー以外のポリマー(例、エポキシ樹脂)を、更に使用しても良い。エポキシ樹脂は、通常黄変防止のために使用される。上記の熱可塑性エラストマーのうち、軟化温度または融点が30℃〜300℃であるものが一般的に用いられるが、30℃〜200℃のものが好ましく、30℃〜150℃のものを用いるのがさらに好ましい。
【0016】本発明では、蛍光体層の下側部分を構成するポリマーとしては、30〜130℃の軟化温度を有するものが好ましく、さらに30〜80℃の軟化温度のもの、特に30〜60℃の軟化温度のものが好ましい。また、上側部分を構成するポリマーとしては、50〜150℃の軟化温度を有するものが好ましく、さらに50〜120℃の軟化温度のもの、特に50〜100℃の軟化温度のものが好ましい。本発明では、下側部分を構成するポリマーの軟化温度が上側部分を構成するポリマーの軟化温度より低いことが必要であり、その差が、5〜50℃の範囲にあることが好ましく、更に5〜30℃の範囲にあることが好ましい。上記ポリマーの軟化温度は、使用されるポリマーが一種の場合はそのポリマーの軟化温度を意味し、二種以上のポリマーの混合物の場合はその混合物の軟化温度を意味する。本発明で言う軟化温度は、上記のようにピカット軟化温度である。
【0017】塗布液調製用の溶剤の例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;そして、それらの混合物を挙げることができる。塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類などによって異なるが、一般には結合剤と蛍光体との混合比は、1:1乃至1:100(重量比)の範囲から選ばれ、そして特に1:8乃至1:40(重量比)の範囲から選ぶのが好ましい。
【0018】なお、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の蛍光体層中におけるポリマーと蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0019】上記のようにして調製された蛍光体とポリマーとを含有する塗布液を、次に、シート形成用の仮支持体の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、たとえば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。本発明では、通常、蛍光体層の上側部分用と下側部分用、それぞれの塗布液を用意し、二種の塗膜が形成される。仮支持体は、例えば、ガラス、金属の板、あるいは従来の放射線写真法における増感紙(または増感用スクリーン)の支持体として用いられている各種の材料、あるいは放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができる。そのような材料の例としては、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネートなどのプラスチック物質のフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属シート、通常の紙、バライタ紙、レジンコート紙、二酸化チタンなどの顔料を含有するピグメント紙、ポリビニルアルコールなどをサイジングした紙、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、チタニアなどのセラミックスの板あるいはシートなどを挙げることができる。仮支持体上に蛍光体層形成用塗布液を塗布し、乾燥ののち、仮支持体からはがして放射線像変換パネルの蛍光体層となる蛍光体シートとする。従って、仮支持体の表面には予め離型剤を塗布しておき、形成された蛍光体シートが仮支持体からはがし易くなるようにしておくことが好ましい。本発明では、通常、蛍光体シートを蛍光体層の上側部分用と下側部分用の二枚作製する。
【0020】次に、上記のように形成した二枚の蛍光体シートとは別に、放射線像変換パネルの支持体を用意する。この支持体は、蛍光体シートを形成する際に用いる仮支持体と同様の材料から任意に選ぶことができる。公知の放射線像変換パネルにおいて、支持体と蛍光体層の結合を強化するため、あるいは放射線像変換パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、蛍光体層が設けられる側の支持体表面にゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性付与層としたり、あるいは二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明において用いられる支持体についても、これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。さらに、特開昭58−200200号公報に記載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的で、支持体の蛍光体層側の表面(支持体の蛍光体層側の表面に接着性付与層、光反射層あるいは光吸収層などが設けられている場合には、その表面を意味する)には微小の凹凸が形成されていてもよい。
【0021】先に得られた二枚の蛍光体シートを、支持体上に、蛍光体層の下側部分用、上側部分用の順に載せ、ポリマーの軟化温度または融点以上の温度で、圧縮しながら支持体上に接着する。本発明の圧縮処理のために使用される圧縮装置の例としては、カレンダーロール、ホットプレスなど一般に知られているものを挙げることができる。たとえば、カレンダーロールによる圧縮処理は、支持体上に上記蛍光体シートを載せ、ポリマーの軟化温度または融点以上に加熱したローラーの間を一定の速度で通過させることにより行なわれる。ただし、本発明に用いられる圧縮装置はこれらのものに限られるものではなく、上記のようなシートを加熱しながら圧縮することのできるものであればいかなるものであってもよい。圧縮の際の圧力は、50kgw/cm2 以上が一般的で、200〜700Kgw/cm2 が好ましい。上下のロール温度は、上記のように軟化温度または融点以上が一般的であり、軟化温度より10〜50℃高い温度で行なうことが好ましい。また、上と下のロール温度を一般に同じ温度で行なうことが好ましい。送り速度は0.1〜5.0m/分が好ましい。
【0022】あるいは、蛍光体層の上側部分用と下側部分用、それぞれの塗布液を、重層塗布用塗布機を用いて、支持体上に下側部分、上側部分をこの順で同時重層塗布し、二種の塗膜を形成する。次いで、上記と同様にポリマーの軟化温度または融点以上の温度で、圧縮処理を行なうことによって、支持体上に本発明の蛍光体層を設けても良い。
【0023】上記のようにして支持体上に形成された蛍光体層の充填率は、次の(I)式により理論的に求めることができる。

(ただし、V :蛍光体層の全体積Vair :蛍光体層中の空気体積A :蛍光体層の全重量ρx :蛍光体の密度ρy :結合剤の密度a :蛍光体の重量b :結合剤の重量)
【0024】通常の放射線像変換パネルにおいては、前述のように支持体に接する側とは反対側の蛍光体層の表面に、蛍光体層を物理的および化学的に保護するための透明な保護膜が設けられている。このような透明保護膜は、本発明による放射線像変換パネルについても設置することが好ましい。透明保護膜は、たとえば、酢酸セルロース、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体;あるいはポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマーなどの合成高分子物質のような透明な高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の表面に塗布する方法により形成することができる。あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどからなるプラスチックシート;および透明なガラス板などの保護膜形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて接着するなどの方法によっても形成することができる。保護膜の膜厚は一般に約0.1乃至20μmの範囲にある。
【0025】さらに、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的で、上記の少なくともいずれかの層に励起光を吸収し、輝尽発光光は吸収しないような着色層を加えてもよい(特公昭59−23400号参照)。次に本発明の実施例を記載する。ただし、これらの各実施例は本発明を制限するものではない。
【0026】
【実施例】
[実施例1]
下側部分用蛍光体シート組成蛍光体:BaFBr0.85I0.15:Eu2+ 200gポリマー:ポリウレタンエラストマー(T-5265[固形]; 8.0g ピカット軟化温度:45℃;大日本インキ化学工業(株)製)
黄変防止剤:エポキシ樹脂(EP1004[固形]; 2.0g ピカット軟化温度:100℃;油化シエルエポキシ(株)製)
但し、上記ポリウレタンエラストマーとエポキシ樹脂の混合物のピカット軟化温度は45℃であった。上記蛍光体シート組成の材料を、メチルエチルケトンに加え、プロペラミキサーで分散させて、粘度が30PS(25℃)の塗布液を調製した(結合剤/蛍光体比=1/20)。これをシリコン系離型剤が塗布されているポリエチレンテレフタレート(仮支持体、厚み180μm)上に塗布し、乾燥した後、仮支持体から剥離して下側部分用蛍光体シート(厚み150μm)を形成した。
【0027】
上側部分用蛍光体シート組成蛍光体:BaFBr0.85I0.15:Eu2+ 200gポリマー:ポリウレタンエラストマー(U-8165[固形]; 8.0g ピカット軟化温度:69℃;クラレ(株)製)
黄変防止剤:エポキシ樹脂(EP1004[固形]; 2.0g 油化シエルエポキシ(株)製)
但し、上記ポリウレタンエラストマーとエポキシ樹脂の混合物のピカット軟化温度は69℃であった。上記蛍光体シート組成の材料を、メチルエチルケトンに加え、プロペラミキサーで分散させて、粘度が30PS(25℃)の塗布液を調製した(結合剤/蛍光体比=1/20)。これをシリコン系離型剤が塗布されているポリエチレンテレフタレート(仮支持体、厚み180μm)上に塗布し、乾燥した後、仮支持体から剥離して下側部分用蛍光体シート(厚み150μm)を形成した。
【0028】また、さらに別途に下塗層形成用塗布液として、軟質アクリル樹脂(固形分で90g及びニトロセルロース(50g)をメチルエチルケトンに加え分散、混合して、粘度が3〜6PS(25℃)の分散液を調製した。厚さ300μmのポリエチレンテレフタレート(支持体)をガラス板上に水平に置き、上記の下塗層形成用塗布液をドクターブレードを用いて支持体上に均一塗布した後、25℃から100℃に徐々に上昇させて塗布膜の乾燥を行ない、支持体上に下塗層を形成した(塗布膜の厚さ:15μm)。
【0029】さらに、支持体上に形成された下塗層上に、先に作製しておいた下側部分用及び上側部分用の蛍光体シート二枚をこの順で載せ、圧縮を行った。圧縮は、カレンダーロールを用いて、500Kgw/cm2 の圧力、上ロール温度を100℃、下ロール温度を100℃、そして送り速度を1.0m/分の条件にて連続的に行なった。この圧縮により、蛍光体シートと支持体とは完全に融着した。この圧縮の後、ポリエステル系接着剤が片面に塗布されているポリエチレンテレフタレートの透明フィルム(厚さ10μm)を、接着剤側を下にむけて蛍光体層上に接着することによって透明保護膜を形成した。以上のようにして、支持体、下塗層、二層よりなる蛍光体層、透明保護膜から構成された放射線像変換パネルを製造した。
【0030】[比較例1]実施例1において、蛍光体シートとして厚み150μmから300μmに変更した下側部分用蛍光体シートのみを作製し、そしてこの厚み300μmの下側部分用蛍光体シートを用いて、圧縮温度を上下ロール共100℃から80℃に変更して圧縮した以外は実施例1と同様にして支持体、下塗層、蛍光体層及び透明保護膜から構成された放射線像変換パネルを製造した。なお、圧縮温度100℃で行った場合は、蛍光体層がロールに融着したため、パネルを作製することができなかった。
【0031】[比較例2]実施例1において、蛍光体シートとして厚み150μmから300μmに変更した上側部分用蛍光体シートのみを作製し、そしてこの厚み300μmの下側部分用蛍光体シートを用いて圧縮した以外は実施例1と同様にして支持体、下塗層、蛍光体層及び透明保護膜から構成された放射線像変換パネルを製造した。
【0032】得られた放射線像変換パネルを、蛍光体層の充填密度、蛍光体の充填率及びパネルの耐衝撃性について下記のように評価した。
(1)蛍光体層の充填密度得られらたパネルの蛍光体層から、幅方向に5箇所の地点で蛍光体層の一部を採取し、密度を測定し、五個の平均値を充填密度として示した。
(2)蛍光体の充填率得られらたパネルの蛍光体層の蛍光体充填率を(I)式によって求めた。ただし、蛍光体の密度は、5.1g/cm3 結合剤の密度は、1.14g/cm3 である。
(3)パネルの耐衝撃性厚い金属板が垂直に固定された水平な台を用意し、金属板から約50cm離れた台上に、得られたパネルを支持体の裏面が台に接するように載置し、次いでパネルを4m/秒の速度で金属板に向かって移動させ、パネルを金属板に衝突させた(これは、パネルが装置内でパネル集積部に落下する時の衝撃を想定したものである)。この衝撃により、パネルの蛍光体層に発生する異常を観察し、下記のように評価した。
AA:パネルに損傷が見られない。
CC:部分的に蛍光体層の剥離が見られる。
結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
表1 ────────────────────────────── 充填密度 蛍光体充填率 耐衝撃性 (g/cm3) (%)
────────────────────────────── 実施例1 3.69 72.3 AA ────────────────────────────── 比較例1 3.58 70.2 CC 比較例2 3.57 70.0 CC ────────────────────────────── 【0034】表1から明らかなように、実施例1で得られた本発明の放射線像変換パネルは、蛍光体層の内部も表面側とほぼ同様に熱圧縮されているため、充填密度及び充填率が高い。このようなパネルは、高い鮮鋭度を示す。また、同様の理由から蛍光体層の支持体と接する領域に於ても、蛍光体層内のポリマーが充分に熱軟化され、支持体との良好な接着性が確保されているため、耐衝撃性においても優れたものとなっていると考えられる。
【0035】(4)放射線像変換パネルの画質の評価また、上記のようにして製造した各々の放射線像変換パネルの画質を、次に記載する方法により評価した。すなわち、放射線像変換パネルに、管電圧80KVpのX線を照射したのち、He−Neレ−ザ−光(632.8nm)で走査して蛍光体を励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生して表示装置上に画像を得た。得られた蛍光体層から輝尽発光光量測定し、また得られた画像の変調伝達関数(MTF)(空間周波数:2サイクル/mm)により鮮鋭度を測定した。鮮鋭度(%)はCTF(コントラスト伝達関数)(%)として表わした。
【0036】得られた結果をまとめて図2にグラフの形で示す。図2は、たて軸に鮮鋭度(空間周波数2サイクル/mmにおけるCTF値)をとっており、上方にプロットされるほど鮮鋭度が高いことを表わす。よこ軸は、輝尽発光光量を示しており、右にプロットされるほど発光光量が大きいことを示す。図2より明らかなように、本発明の放射線像変換パネルは、従来の蛍光体層中のポリマーの軟化温度が一定なパネルに比較して、鮮鋭度においても輝尽発光光量においても、向上していることが分る。




 

 


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