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発明の名称 蛍光体シート
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−92300
公開日 平成7年(1995)4月7日
出願番号 特願平5−261803
出願日 平成5年(1993)9月24日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
発明者 板橋 正道 / 加藤 昶 / 野々村 正満
要約 目的
耐久性、耐傷性、耐汚れ性等が高い保護膜を持つ放射線像変換パネルや放射線増感スクリーンなどの蛍光体シートで、その蛍光体シートに関連する情報などを示す記号が耐久性の高い状態で鮮明に印字されるよう改良された蛍光体シートを提供する。

構成
蛍光体層そして該蛍光体層上に塗設されたフッ素系樹脂と、ポリシロキサン骨格含有オリゴマーもしくはパーフルオロアルキル基含有オリゴマーとからなる保護膜を含む蛍光体シートにおいて、該保護膜の表面の一部に、非接触表面活性化処理が施されていて、その活性化処理面に該蛍光体シートに関する情報が印字されていることを特徴とする蛍光体シート。
特許請求の範囲
【請求項1】 蛍光体層そして該蛍光体層上に塗設されたフッ素系樹脂と、ポリシロキサン骨格含有オリゴマーもしくはパーフルオロアルキル基含有オリゴマーとからなる保護膜を含む蛍光体シートにおいて、該保護膜の表面の一部に、非接触表面活性化処理が施されていて、その活性化処理面に該蛍光体シートに関する情報が印字されていることを特徴とする蛍光体シート。
【請求項2】 輝尽性蛍光体からなる蛍光体層を有する放射線像変換パネルである請求項1に記載の蛍光体シート。
【請求項3】 瞬時発光性蛍光体からなる蛍光体層を有する放射線増感スクリーンである請求項1に記載の蛍光体シート。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蛍光体シートの改良に関する。更に詳しくは、本発明は、輝尽性蛍光体を利用する放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルおよびX線撮影時などで放射線フィルムと共に用いる放射線増感スクリーンなどの蛍光体シートの耐傷性や耐汚れ性と印字性の双方の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる方法として、たとえば特開昭55−12145号公報に記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。読み取りを終えた該パネルは、残存する画像の消去が行なわれた後、次の撮影のために備えられる。すなわち、放射線像変換パネルは繰り返し使用される。
【0003】放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルは、基本構造として、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層とからなるものである。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。輝尽性蛍光体層は、通常は輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなる。ただし、輝尽性蛍光体層としては、蒸着法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものも知られている。また、輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されている輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルも知られている。これらのいずれの蛍光体層でも、輝尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収したのち励起光の照射を受けると輝尽発光を示す性質を有するものであるから、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線は、その放射線量に比例して放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に吸収され、パネルには被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネルギーの蓄積像として形成される。この蓄積像は、上記励起光を照射することにより輝尽発光光として放出させることができ、この輝尽発光光を光電的に読み取って電気信号に変換することにより放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可能となる。
【0004】輝尽性蛍光体層の表面(支持体に面していない側の表面)には通常、保護膜が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。保護膜には、セルロース誘導体やポリメチルメタクリレートなどのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護膜形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが知られていた。
【0005】これらのうち、塗布によって形成した保護膜は、一般に蛍光体層との接着強度が強く、また比較的簡単な工程で製造できるという利点を持っている。
【0006】ところで、放射線像変換方法の実施において、放射線像変換パネルは、放射線の照射(放射線像の記録)・励起光の照射(記録された放射線像の読出し)・消去光の照射(残存する放射線像の消去)というサイクルで繰り返し使用される。そして放射線像変換パネルの各ステップへの移行はベルト、ローラーなどの搬送手段により行なわれ、一サイクル終了後パネルは通常積層して保存される。ところが、上記のような、塗布によって形成された保護膜を有する放射線像変換パネルを、このように繰返し使用していると、たとえば保護膜表面に擦り傷が発生したり、汚れが付着するなどの理由により、その放射線像変換パネルが形成する放射線画像の画質が徐々に低下する傾向がある。放射線像変換パネルも従来の放射線写真法と同様に、高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれるから、放射線像変換パネルの保護膜の耐傷性や耐汚れ性を向上させて、上記のような擦り傷や汚れの発生を防止することは重要な課題である。
【0007】上記の繰返し使用による放射線像変換パネルの感度低下を防ぐことのできる塗布膜としては、既に本出願人により出願された、輝尽性蛍光体からなる蛍光体層と保護膜とを有する放射線像変換パネルにおいて、前記保護膜がフッ素系樹脂などの膜形成性樹脂と、ポリシロキサン骨格含有オリゴマーもしくはパーフルオロアルキル基含有オリゴマーのいずれか一方、あるいは両方を含む塗布膜から形成された膜であることを特徴とする放射線像変換パネル(特開平4−310900号公報)が知られている。
【0008】上記の放射線像変換パネルのような蛍光体シートの保護膜における耐傷性向上や耐汚れ性向上の必要性は、従来のX線撮影などの放射線像の可視化方法で用いる放射線増感スクリーンにおいても当然存在する。すなわち、従来のX線撮影では、人体などの被写体を透過した画像用のX線束で放射線フィルム(X線フィルム)を露光して、そのフィルム上に画像を記録する方法が利用されている。その際、できるだけ少ないX線量で必要な画像を得るために、放射線増感スクリーン(単に増感スクリーンとも、あるいは増感紙ともいう)をX線フィルムに併用することが多い。すなわち、X線の照射を受けて励起し、瞬時にX線フィルムの感光域内の光を発する蛍光体を膜状に形成し、その上に保護膜を積層してなる放射線増感スクリーンを、X線フィルムの少なくとも一方の面(通常は両面)に重ね合せてX線撮影を実施することにより、X線フィルムに照射される画像様光の総量を増加させて、X線フィルムの感光量を増加させている。
【0009】実際のX線撮影操作においては通常、カセッテの内側の両面に一対の放射線増感スクリーンを装着し、この放射線増感スクリーンの間にX線フィルムを挟み込み、密着させた状態でX線の照射を行なっている。そして、X線フィルムは撮影操作毎に新しいものに取り替えられるが、カセッテは放射線増感スクリーンを装着固定した状態で、X線フィルムを取り替えながら繰り返し使用される。このため、X線フィルムの交換の際に、増感スクリーンの保護膜の表面に細かな傷や汚れが形成されやすい。従って、放射線増感スクリーンの保護膜も、上記の放射線像変換パネルと同様に、フッ素系樹脂と、ポリシロキサン骨格含有オリゴマーもしくはパーフルオロアルキル基含有オリゴマーのいずれか一方、あるいは両方を含む塗布膜として形成することが望ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のような、放射線像変換パネルや放射線増感スクリーンなどの蛍光体シートにおいて、フッ素系樹脂と、ポリシロキサン骨格含有オリゴマーもしくはパーフルオロアルキル基含有オリゴマーとからなる組成物を塗布して形成した保護膜を用いることにより、耐傷性や耐汚れ性が顕著に向上することがわかったが、本発明者の研究によると、今度は蛍光体シートの保護膜表面への印字性が不充分になるとの問題が発生することが判明した。すなわち、放射線像変換パネルや放射線増感スクリーンなどの蛍光体シートは、寸法や外観が似た多数の同タイプものが販売され、また同一箇所で複数の蛍光体シートが使用されることが多く、従って、蛍光体シート間の識別を容易にするために、たとえば蛍光体シートの表面の一部(通常は、端部、側部、隅部など)に、インクジェット法などを利用してインクを吹き付けるか、あるいは熱可塑性樹脂をバインダとするインクをホットプレスして、その蛍光体シートに関する情報を文字、記号などの表示手段で印字することが多い。従来の蛍光体シートでは、このようなインクジェットやホットプレスによる印字法により充分な耐久性を有する印字が可能であった。しかし、前記のフッ素系樹脂と、ポリシロキサン骨格含有オリゴマーまたはパーフルオロアルキル基含有オリゴマーとからなる組成物を塗布して形成した保護膜の表面は、上記のようなインクを均一に展開して固定する能力に欠け、このため保護膜表面にインクが均一に載らないか、あるいは載ったとしても不均一なインク凸部が形成されたり、固定が不充分で、簡単にはがれてしまうとの問題があることがわかった。
【0011】上記のような保護膜表面の印字性の改良方法としては下記のような方法が考えられる。
1)印字部の保護膜を除去し、印字を蛍光体層の表面に行なう。
2)印字部を保護膜を変性させることのできる薬品で処理し、対インク親和性を向上させる。
3)印字済みのテープを保護膜表面に貼り付ける。
4)保護膜形成前の蛍光体層表面に印字する。
5)印字部に相当する保護膜領域にドット状の穴(保護膜を貫通する孔)を形成させ、そこにインクを注入する。しかしながら、1)の方法では、印字操作後に再度、その上に保護膜を塗布形成しなければならないこと、2)の方法では、薬品処理のための各種操作と管理が煩雑なこと、3)の方法では、テープ自体が保護膜表面に充分な強度で固定されないこと、4)の方法では、蛍光体シートは通常は、長尺状のものとして保護膜の形成まで実施して、そののち裁断することにより所定寸法のものを得る方法により製造されているが、後の裁断条件を考慮して印字部を設定することは困難であること、そして5)の方法では、ドット状孔から流し入れたインクが蛍光体層表面でにじむこと、蛍光体シートの使用中に汚れ除去などのために溶剤を用いて拭き取り処理した場合に、その溶剤により溶け出しやすいこと、などの問題があり、実用的ということができない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、 蛍光体層そして該蛍光体層上に塗設されたフッ素系樹脂と、ポリシロキサン骨格含有オリゴマーもしくはパーフルオロアルキル基含有オリゴマーとからなる保護膜を含む放射線像変換パネルや放射線増感スクリーンなどの蛍光体シートであって、該保護膜の表面の一部に、レーザもしくは放電などを利用した非接触表面活性化処理が施されていて、その活性化処理面に該蛍光体シートに関する情報が印字されていることを特徴とする。ここでフッ素系樹脂とは、フッ素を含むオレフィン(フルオロオレフィン)の重合体又はフッ素を含むオレフィンを共重合体成分として含む共重合体をいう。フッ素系樹脂を含む保護膜は、架橋されていてもよい。
【0013】本発明における好ましい態様を、以下に列記する。
(1)非接触表面活性化処理がレーザ処理もしくは放電処理である。
(2)保護膜がフッ素樹脂とポリシロキサン骨格含有オリゴマーとからなるものであって、該ポリシロキサン骨格含有オリゴマーが保護膜中に0.01〜10重量%(好ましくは0.1〜2重量%)含まれている。
(3)保護膜がフッ素樹脂と少なくとも一つの水酸基などの官能基を含むポリシロキサン骨格含有オリゴマーとからなるものである。
(4)保護膜がフッ素樹脂とパーフルオロアルキル基含有オリゴマーとからなるものであって、該パーフルオロアルキル基含有オリゴマーが保護膜中に0.01〜10重量%(好ましくは0.1〜2重量%)含まれている。
(5)保護膜がフッ素樹脂とパーフルオロアルキル基含有オリゴマーとからなるものであって、該パーフルオロアルキル基含有オリゴマーが分子鎖中に少なくとも一つの水酸基などの官能基を有するものである。
(6)保護膜中に、パーフルオロオレフィン樹脂粉末もしくはシリコーン樹脂粉末が保護膜重量当り0.5〜30重量%の量で含まれている。
(7)保護膜中に、平均粒径が0.1〜10μmの範囲にあるパーフルオロオレフィン樹脂粉末もしくはシリコーン樹脂粉末が含まれている。
(8)フッ素系樹脂が、フルオロオレフィンを共重合体成分として含む共重合体(例、フルオロオレフィンとビニルエーテルとの共重合体)、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリテトラフルオロエチレン変成体からなる群より選ばれる少なくとも一つのフッ素系樹脂である。
(9)保護膜表面のレーザもしくは放電による親水化処理が、その親水化処理予定面の周囲をマスクにより保護した状態で行なわれる。
(10)保護膜表面の親水化処理面に、蛍光体シートに関する情報が、カーボンブラックなどの着色成分と熱可塑性樹脂とからなる熱可塑性インク、もしくは紫外線硬化型インクにより印字されている。
【0014】まず、蛍光体シートのひとつである射線像変換パネルについて述べる。放射線像変換パネルにおいて用いる輝尽性蛍光体は、先に述べたように放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的な面からは波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体であることが望ましい。放射線像変換パネルにおいて好ましく用いられる輝尽性蛍光体の例としては、二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体およびセリウム賦活希土類オキシハロゲン化物蛍光体は高輝度の輝尽発光を示すので特に好ましい。但し、輝尽性蛍光体はこれらの蛍光体に限られるものではなく、放射線を照射したのちに励起光を照射した場合に輝尽発光を示す蛍光体であればいかなるものであってもよい。
【0015】放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層は、輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるのものばかりでなく、結合剤を含まないで輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、あるいは輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されている蛍光体層などでもよい。
【0016】次に、蛍光体層が輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなる場合を例にとり、放射線像変換パネルを製造する方法を説明する。まず、輝尽性蛍光体と結合剤とを溶剤に加え、これを充分に混合して、結合剤溶液中に輝尽性蛍光体が均一に分散した塗布液を調製する。塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類などによって異なるが、一般には結合剤と蛍光体との混合比は、1:1乃至1:100(重量比)の範囲から選ばれ、そして特に1:8乃至1:40(重量比)の範囲から選ぶのが好ましい。上記のようにして調製された蛍光体と結合剤とを含有する塗布液を、次に、支持体の表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、たとえば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。
【0017】支持体としては、従来の放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができる。公知の放射線像変換パネルにおいて、支持体と蛍光体層の結合を強化するため、あるいは放射線像変換パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、蛍光体層が設けられる側の支持体表面にゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性付与層としたり、あるいは二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。上記のようにして支持体上に塗膜を形成したのち塗膜を乾燥して、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は20μm乃至1mmとする。ただし、この層厚は50乃至500μmとするのが好ましい。なお、輝尽性蛍光体層は、必ずしも上記のように支持体上に塗布液を直接塗布して形成する必要はなく、たとえば、別に、ガラス板、金属板、プラスチックシートなどのシート上に塗布液を塗布し乾燥することにより蛍光体層を形成したのち、これを、支持体上に押圧するか、あるいは接着剤を用いるなどして支持体と蛍光体層とを接合してもよい。
【0018】本発明の放射線像変換パネルの保護膜は、フッ素系樹脂とポリシロキサン骨格含有オリゴマーまたはパーフルオロアルキル基含有オリゴマーを含む保護膜形成材料塗布液を、ドクターブレードなどの塗布手段を用いて蛍光体層表面に均一に塗布し、これを乾燥することにより形成する。保護膜の形成は同時重層塗布により、蛍光体層の形成と同時に行なってもよい。ポリシロキサン骨格含有オリゴマーとパーフルオロアルキル基含有オリゴマーとは同時に含まれていてもよい。
【0019】保護膜の形成に用いるフッ素樹脂は、公知の保護膜形成用樹脂であるポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂などと併用してもよい。フッ素系樹脂は、フッ素を含むオレフィン(フルオロオレフィン)の重合体またはフッ素を含むオレフィンを共重合体成分として含む共重合体で、その例として、ポリテトラフルオルエチレン、ポリクロルトリフルオルエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオルエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体およびフルオロオレフィン・ビニルエーテル共重合体を挙げることができる。
【0020】フッ素系樹脂は、一般に有機溶媒に不溶であるが、フルオロオレフィンを共重合体成分として含む共重合体は、共重合する他の(フルオロオレフィン以外の)構成単位によっては有機溶媒可溶性となるため、該樹脂を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層上に塗布し、乾燥することで容易に保護膜を成膜することができる。このような共重合体の例としてはフルオロオレフィン・ビニルエーテル共重合体を挙げることができる。また、ポリテトラフルオロエチレンおよびその変成体も、パーフルオロ溶媒のような適当なフッ素系有機溶媒に対して可溶性であるので、上記フルオロオレフィンを共重合体成分として含む共重合体と同様に、塗布によって保護膜を成膜することができる。
【0021】放射線像変換パネルの保護膜には、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などが含有されていてもよい。また、樹脂の強度が増し、保護膜としての耐久性が増大するので、本発明にてフッ素系樹脂を用いる場合は架橋されていることが好ましい。
【0022】保護膜に含有させるポリシロキサン骨格含有オリゴマーは、例えばジメチルポリシロキサン骨格を有するものであり、少なくとも一つの官能基(例、水酸基)を有するものであることが望ましく、また分子量(重量平均)500〜100000の範囲にあることが好ましい。特に、分子量は1000〜100000の範囲にあることが好ましく、さらに3000〜10000の範囲にあることが好ましい。また、パーフロロアルキル基(例、テトラフロオロエチレン基)含有オリゴマーは、分子中に少なくとも一つの官能基(例えば、水酸基:−OH)を含むものであることが望ましく、分子量(重量平均)500〜100000の範囲にあることが好ましい。特に、分子量は1000〜100000の範囲にあることが好ましく、さらに10000〜100000の範囲にあることが好ましい。オリゴマーに官能基が含まれているものを用いれば、保護膜形成時にオリゴマーと保護膜形成樹脂との間で架橋反応が発生し、オリゴマーが膜形成性樹脂の分子構造に取り入れられるため、放射線像変換パネルの長期の繰り返し使用、あるいは保護膜表面のクリーニングなどの操作によっても、オリゴマーが保護膜から取り去られることがなく、オリゴマーの添加効果が長期間にわたり有効となるため、官能基を有するオリゴマーの使用が好ましい。上記のオリゴマーは、保護膜中に0.01〜10重量%の範囲内の量で含まれていることが好ましく、特に0.1〜2重量%の範囲内の量で含まれていることが好ましい。保護膜中には、パーフルオロオレフィン樹脂粉末もしくはシリコーン樹脂粉末が含まれていてもよい。パーフルオロオレフィン樹脂粉末もしくはシリコーン樹脂粉末としては、平均粒径が0.1〜10μmの範囲にあるものが好ましく、特に、平均粒径が0.3〜5μmの範囲にあるものが好ましい。そして、これらのパーフルオロオレフィン樹脂粉末もしくはシリコーン樹脂粉末は、保護膜中に保護膜重量当り0.5〜30重量%の量で含まれていることが好ましく、特に2〜20重量%の量で、さらに5〜15重量%の量で含まれているのが好ましい。
【0023】上記のようにして形成した保護膜の表面の印字部(あるいは印字領域)に、非接触表面活性化処理を行なう。好ましい非接触表面活性化処理法としては、目的の表面領域にレーザを照射する方法、あるいは目的の表面領域を放電処理する方法などがある。また、プラズマ処理なども利用することができる。これらを利用する表面活性化処理自体は、プラスチックフィルムの表面活性化処理法として既に知られており、本発明における表面活性化処理のための条件も公知の条件から適宜選択して利用することができる。表面活性化領域は、印字部を含む連続的な広さを持った領域であってもよく、またインクが付着する部分のみを活性化処理することができる。前者は、その領域に相当する部分に窓(開口部)を設けたマスクを用いて容易に実施することができ、また後者は、マスクに微細な孔部からなるドットを組合せて文字、記号を表示し、そのドットに対応する保護膜表面のみを活性化処理する方法である。
【0024】保護膜表面の印字のためのインクとしては、カーボンブラックなどの着色成分とバインダ(例、熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂)などの混合物が一般的に利用される。印字方法としては、公知のインクジェット、ホットプレス(熱転写)などが利用される。そして、印字操作の後に、インクの種類に応じて加熱や紫外線照射を行ない、インクの硬化固定を行なう。
【0025】保護膜の表面活性化領域に印字される情報としては、放射線像変換パネルの名称、製造メーカー名、ロット番号、製造番号、製造日、品種などがあるが、他の項目であってもよいことは勿論である。また印字される情報としては、放射線像変換装置(特に読み取り装置)における操作条件を示す頭出し位置マーカーなどであってもよい。
【0026】次に放射線増感スクリーンについて説明する。放射線増感スクリーンの構成と製造方法には、蛍光体として通常の瞬時発光性蛍光体を用いる点以外は、上記の放射線像変換パネルと基本的な相違はない。なお、輝尽性蛍光体自体は、X線の照射により瞬時発光も示すので、放射線増感スクリーンに輝尽性蛍光体を用いることもできる。この場合、放射線像変換パネルと放射線増感スクリーンとの実質的な相違は、前述したようなそれぞれの使用の態様の相違にある。本発明の特徴的要件である保護膜の材料、形成方法、表面活性化処理方法、印字方法、用いるインク、印字情報についても、放射線増感スクリーンと放射線像変換スクリーンと特段の相違はない。ただし、放射線増感スクリーンに印字された情報は、X線フィルムにも転写されるべきものが多いため、放射線増感スクリーンへの印字に用いるインクは通常はX線の透過率が低い材料を含んでいる。
【0027】
【実施例】
【0028】[実施例1]下記のようにして、本発明の放射線像変換パネルを製造した。蛍光体層形成材料として、蛍光体(BaFBr0.80.2: 0.001Eu2+)600g、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン(株)製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30PSの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて下塗り付ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後、100℃で15分間乾燥させて、厚さ170μmの蓄積性蛍光体層を形成した。
【0029】次に、保護膜形成材料として、フッ素系樹脂(フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、旭硝子(株)製ルミフロン LF100)100g、架橋剤(イソシアネート、三井東圧化学(株)製オレスターNP38-70S) 30g、およびアルコール変性シリコーンオリゴマー(ジメチルポリシロキサン骨格を有し、両末端に水酸基(カルビノール基)を有するもの、信越化学工業(株)製、X−22−2809)2gをメチルエチルケトンに添加し、塗布液を調製した。この塗布液を上記のようにして予め形成しておいた蛍光体層上にドクターブレードを用いて塗布し、次に120℃で30分間熱処理して熱硬化させるとともに乾燥し、厚さ3μmの保護膜を設けて、放射線像変換パネルを製造した。
【0030】上記の放射線像変換パネルの保護膜の隅に、1cm×3cmの開口を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム(マスクフィルム)を密着させ、その開口内の保護膜露出面に、放電装置(ピンホールテスター、テスラコイルK型、東京高周波電気炉(株)製)を利用して、25℃、65%RH、距離1cm、放電時間3秒間の条件で放電処理を行なった。次いで、この放電処理面に、インクジェットプリンター(GX−S、(株)日立製作所製)を用いて、アルファベットと数字からなる記号を、紫外線硬化型インク(JP−K25、(株)日立製作所製)で印字し、紫外線を照射してインクを硬化させた。
【0031】[実施例2]実施例1に記載の方法で製造した放射線像変換パネルの保護膜表面に、同様な方法で放電処理を行ない、表面活性化領域を設けた。この表面活性化領域に、実施例1と同じ記号を、インクリボン(MSF−AM−B(バイオレット)、中島金属箔粉工業(株)製)を用い、100℃、荷重5kg/cm2 の条件で10秒間ホットプレスした。
【0032】[実施例3]実施例1に記載の方法で製造した放射線像変換パネルの保護膜表面に、放電処理の代わりに下記のレーザ処理を行ない、表面活性化領域を設けた。放射線像変換パネルの保護膜の隅に、1cm×3cmの開口を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム(マスクフィルム)を密着させ、その開口内の保護膜露出面に、レーザーマーカー(レーザ・マーク940、ルモニクス(株)製)を利用して、12Hz、5Jの照射条件で、距離5cm、0.1秒のレーザ処理を行なった。次いで、この放電処理面に、インクジェットプリンター(GX−S、(株)日立製作所製)を用いて、アルファベットと数字からなる記号を、紫外線硬化型インク(JP−K25、(株)日立製作所製)で印字し、紫外線を照射してインクを硬化させた。
【0033】[実施例4]実施例1に記載の方法で製造した放射線像変換パネルの保護膜表面に、実施例3に記載の方法でレーザ処理を行ない、表面活性化領域を設けた。この表面活性化領域に、実施例1と同じ記号を、インクリボン(MSF−AM−B(バイオレット)、中島金属箔粉工業(株)製)を用い、100℃、荷重5kg/cm2 の条件で10秒間ホットプレスした。
[実施例5]実施例1に記載の方法で保護膜を有する放射線像変換パネルを製造した。上記の放射線像変換パネルの保護膜の隅に、1cm×3cmの領域内にアルファベットと数字とからなる記号を連続する多数のドット(点状開口)により形成したポリエチレンテレフタレートフィルム(マスクフィルム)を密着させ、その領域に、放電装置(ピンホールテスター、テスラコイルK型、東京高周波電気炉(株)製)を利用して、25℃、65%RH、距離1cm、放電時間3秒間の条件で放電処理を行なった。次いで、この放電処理面に、紫外線硬化型インク(JP−K25、(株)日立製作所製)を塗布し、5秒間後に拭き取ったのち、記号の形状で残留していたインクに、紫外線を照射して硬化させた。
【0034】[実施例6]実施例1に記載の方法で保護膜を有する放射線像変換パネルを製造した。上記の放射線像変換パネルの保護膜の隅に、1cm×3cmの領域内にアルファベットと数字とからなる記号を連続する多数のドット(点状開口)により形成したポリエチレンテレフタレートフィルム(マスクフィルム)を密着させ、その領域に、実施例3の方法によりレーザ処理を行なった。次いで、このレーザ処理面に、紫外線硬化型インク(JP−K25、(株)日立製作所製)を塗布し、5秒間後に拭き取ったのち、記号の形状で残留していたインクに、紫外線を照射して硬化させた。
【0035】[比較例1]実施例1に記載の方法で製造した放射線像変換パネルの保護膜表面に、放電処理を行なうことなく、保護膜表面の隅部に、実施例1と同じ記号をインクジェットプリンター(GX−S、(株)日立製作所製)を用いて、紫外線硬化型インク(JP−K25、(株)日立製作所製)で印字し、紫外線を照射してインクを硬化させた。
【0036】[比較例2]実施例1に記載の方法で製造した放射線像変換パネルの保護膜表面に、放電処理を行なうことなく、保護膜表面の隅部に、実施例1と同じ記号を、インクリボン(MSF−AM−B(バイオレット)、中島金属箔粉工業(株)製)を用い、100℃、荷重5kg/cm2 の条件で10秒間ホットプレスした。
【0037】[保護膜に付与された印字の評価]
(1)印字性:放射線像変換パネルの保護膜の印字部を目視で観察し、文字の均質性、文字のエッジ部のにじみ具合、平滑性を評価した。
(2)インク固定性:放射線像変換パネルの保護膜の印字部を脱脂綿を用いて空拭きし、印字の消失の有無を観察した。また、エタノールを含ませた脱脂面での拭き取りテストも行ない同様な観察を行なった。
(3)保護膜耐汚れ性:市販の放射線像記録読取装置(FCR7501、富士写真フィルム(株)製)を用い、25℃、50%RHの環境条件で放射線像変換パネルを10000回繰り返し搬送し、装置内の搬送部材のゴムローラー材料などの放射線像変換パネルの保護膜表面への転写(汚れ)を観察した。
(4)保護膜耐久性:上記(3)の耐汚れ性の評価が行なわれた放射線像変換パネルについて、保護膜表面の損傷の有無を観察した。
(5)印字耐久性:上記(3)の耐汚れ性の評価が行なわれた放射線像変換パネルについて、保護膜表面の印字の損傷の有無を観察した。
【0038】得られた結果を下記の表1に示す。
【0039】
表1 試料 印字性 インク固定性 保護膜耐汚れ性 保護膜耐久性 印字耐久性 実施例1 A A A A A実施例2 A A A A A実施例3 A A A A A実施例4 A A A A A実施例5 A A A A A実施例6 A A A A A 比較例1 B C A A B比較例2 C − A A − 【0040】なお、表1の各記号は以下の意味を表わす。
印字性:A(にじみが見られず、インクが鮮明に載る)
B(インクの付着が不均一となる)
C(インクが殆ど付着しない)
インク固定性:A(空拭き、エタノール拭きでも印字部に変化なし)
C(空拭き、エタノール拭きでも印字部が脱落する)
−(インクが載っていないため評価不能)
保護膜耐汚れ性(保護膜耐久性):A(問題となる汚れ、損傷は観察されない)
印字耐久性:A(繰り返し搬送後でも印字部に変化は見られない)
B(繰り返し搬送後に印字部が脱落する)
−(インクが載っていないため評価不能)
【0041】[実施例7]下記のようにして、本発明の放射線増感スクリーンを製造した。蛍光体シート形成材料として、蛍光体(Gd22 S:Tb)200g、ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、パンデックスT−5265M)16g、エポキシ樹脂(エピコート1001、油化シェルエポキシ(株)製)1.6gをメチルエチルケトン混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度30PS(25℃)の塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて、シリコーン形離型剤が塗布されているポリエチレンテレフタレートフィルム(仮支持体、厚み180μm)上に塗布した後、加熱乾燥させて、蓄積性蛍光体膜を形成し、次いで、この蓄積性蛍光体膜を仮支持体からはがして蛍光体シートを得た。
【0042】導電性下塗層形成用塗布液を、アクリル樹脂(クリスコートP1018GS、大日本インキ化学工業(株)製)100gに対してウイスカー状酸化亜鉛(パナテトラ、松下アムテック(株)製)200gを加え、次いでメチルエチルケトンを加えて混合分散し、粘度3〜10PS(25℃)のものとなるようにして調製した。
【0043】二酸化チタン粉末を練り込んだ厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)をガラス板上に置き、上記の導電性下塗層形成用塗布液をドクターブレードを用いて支持体上に均一に塗布した後、25℃から100℃にまで徐々に温度を上昇させながら加熱して塗布膜の乾燥を行ない、支持体上に導電性下塗層を形成した(下塗層の厚さ:15μm)。この下塗層の上に、先に作成しておいた蛍光体シートを載せ、カレンダーロールを用い、400kg/cm2の圧力、80℃の温度で加圧圧縮処理を行なって、層厚120μmの蛍光体層を形成した。
【0044】次に、保護膜形成材料として、フッ素系樹脂(フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、旭硝子(株)製ルミフロン LF100)100g、架橋剤(イソシアネート、三井東圧化学(株)製オレスターNP38-70S) 30g、およびアルコール変性シリコーンオリゴマー(ジメチルポリシロキサン骨格を有し、両末端に水酸基(カルビノール基)を有するもの、信越化学工業(株)製、X−22−2809)2gをメチルエチルケトンに添加し、塗布液を調製した。この塗布液を上記のようにして形成した蛍光体層上にドクターブレードを用いて塗布し、次いで120℃で30分間熱処理して熱硬化させるとともに乾燥し、厚さ3μmの保護膜を設けて、放射線増感スクリーンを製造した。
【0045】上記の放射線増感スクリーンの保護膜の隅に、1cm×3cmの開口を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム(マスクフィルム)を密着させ、その開口内の保護膜露出面に、放電装置(ピンホールテスター、テスラコイルK型、東京高周波電気炉(株)製)を利用して、25℃、65%RH、距離1cm、放電時間3秒間の条件で放電処理を行なった。次いで、この放電処理面にインクジェットプリンター(GX−S、(株)日立製作所製)を用いて、アルファベットと数字からなる記号を、紫外線硬化型インク(JP−K25、(株)日立製作所製)で印字し、紫外線を照射してインクを硬化させた。
【0046】[実施例8]実施例7に記載の方法で製造した放射線増感スクリーンの保護膜表面に、同様な方法で放電処理を行ない、表面活性化領域を設けた。この表面活性化領域に、実施例7と同じ記号を、インクリボン(BLACK−TP)、中島金属箔粉工業(株)製)を用い、100℃、荷重5kg/cm2 の条件で10秒間ホットプレスした。
【0047】[実施例9]実施例7に記載の方法で製造した放射線増感スクリーンの保護膜表面に、放電処理の代わりに下記のレーザ処理を行ない、表面活性化領域を設けた。放射線増感スクリーンの保護膜の隅に1cm×3cmの開口を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム(マスクフィルム)を密着させ、その開口内の保護膜露出面に、レーザーマーカー(レーザ・マーク940、ルモニクス(株)製)を利用して、12Hz、5Jの照射条件で、距離5cm、時間0.1秒のレーザ処理を行なう。次いで、この放電処理面に、インクジェットプリンター(GX−S、(株)日立製作所製)を用いて、アルファベットと数字からなる記号を、紫外線硬化型インク(JP−K25、(株)日立製作所製)で印字し、紫外線を照射してインクを硬化させた。
【0048】[実施例10]実施例7に記載の方法で製造した放射線増感スクリーンの保護膜表面に、実施例9に記載の方法でレーザ処理を行ない、表面活性化領域を設けた。この表面活性化領域に、実施例1と同じ記号を、インクリボン(MSF−AM−B(バイオレット)、中島金属箔粉工業(株)製)を用い、100℃、荷重5kg/cm2 の条件で10秒間ホットプレスした。
【0049】[実施例11]実施例7に記載の方法で保護膜を有する放射線増感スクリーンを製造した。次いで、上記の放射線増感スクリーンの保護膜の隅に設定した1cm×3cmの領域内にアルファベットと数字とからなる記号を連続する多数のドット(点状開口)により形成したポリエチレンテレフタレートフィルム(マスクフィルム)を密着させ、その領域に対して、放電装置(ピンホールテスター、テスラコイルK型、東京高周波電気炉(株)製)を利用して、25℃、65%RH、距離1cm、放電時間3秒間の条件で放電処理を行なった。次いで、この放電処理面に、紫外線硬化型インク(JP−K25、(株)日立製作所製)を塗布し、5秒間後に拭き取ったのち、記号の形状で残留していたインクに、紫外線を照射して硬化させた。
【0050】[実施例12]実施例7に記載の方法で保護膜を有する放射線増感スクリーンを製造した。上記の放射線増感スクリーンの保護膜の隅に、1cm×3cmの領域内にアルファベットと数字とからなる記号を連続する多数のドット(点状開口)により形成したポリエチレンテレフタレートフィルム(マスクフィルム)を密着させ、その領域に、実施例9の方法によりレーザ処理を行なった。次いで、このレーザ処理面に、紫外線硬化型インク(JP−K25、(株)日立製作所製)を塗布し、5秒間後に拭き取ったのち、記号の形状で残留していたインクに、紫外線を照射して硬化させた。
【0051】[比較例3]実施例7に記載の方法で製造した放射線増感スクリーンの保護膜表面に放電処理を行なうことなく、保護膜表面の隅部に、実施例7と同じ記号をインクジェットプリンター(GX−S、(株)日立製作所製)を用いて、紫外線硬化型インク(JP−K25、(株)日立製作所製)で印字し、紫外線を照射してインクを硬化させた。
【0052】[比較例4]実施例7に記載の方法で製造した放射線増感スクリーンの保護膜表面に放電処理を行なうことなく、保護膜表面の隅部に、実施例7と同じ記号を、インクリボン(MSF−AM−B(バイオレット)、中島金属箔粉工業(株)製)を用い、100℃、荷重5kg/cm2 の条件で10秒間ホットプレスした。
【0053】[保護膜に付与された印字の評価]
(1)印字性:放射線増感スクリーンの保護膜の印字部を目視で観察し、文字の均質性、文字のエッジ部のにじみ具合、平滑性を評価した。
(2)インク固定性:放射線増感スクリーンの保護膜の印字部を脱脂綿を用いて空拭きし、印字の消失の有無を観察した。また、エタノールを含ませた脱脂綿での拭き取りテストも行ない同様な観察を行なった。
(3)保護膜耐汚れ性:試料の放射線増感スクリーンの保護膜の表面活性化処理部(印字部を含む)と処理部異会いの場所にそれぞれX線フィルム(superHRS、富士写真フィルム(株)製)の小片を密着させ、60℃、80%RHの環境条件で24時間放置した。次いで、その放射線増感スクリーンの保護膜表面をイソプロピルアルコールを含ませた脱脂綿で拭き、そののち保護膜表面を目視観察して耐汚れ性を評価した。
【0054】(4)写り込み性(撮影後の写真フィルムへの写り込み性):イーストマン・コダック社製MRE片面感光材料(X線写真フィルム)を測定対象の放射線増感スクリーンに接触状態で配置し、X線源に対して前面に感光材料、そしてその後に増感スクリーンを配置してX線撮影を行なった。使用したX線管球は(株)東芝製DRX−3724HDであり、タングステンターゲットを用い、フォーカルスポットサイズ0.6mm×0.6mmとし、三相にパルス発生器で80kVの電圧をかけ、人体とほぼ同化な吸収を持つ水7cmのフィルタを通した。撮影後に感光材料を、富士写真フィルム(株)製のローラー搬送型自動現像機(FPM−5000)のRPモードで、富士写真フィルム(株)の現像液(RDIII )を用いて、35℃で現像処理し、次いで定着液(チオ硫酸アンモニウム(70%重量/容量)200ml、亜硫酸ナトリウム20g、ホウ酸8g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(二水塩)0.1g、硫酸アルミニウム15g、硫酸2g、そして氷酢酸22gの混合物に水を加えて1リットルとしたのち、pHを10.02に調節したもの)を用いて25℃で定着処理して、露光写真フィルム試料を得た。なお、先のX線撮影時の露光量は、この露光写真フィルムの非印字部の光学濃度が1.2となるように調節した。
【0055】得られた結果を下記の表2に示す。
【0056】
表2 試料 印字性 インク固定性 保護膜耐汚れ性 写り込み性 実施例7 A A A A実施例8 A A A A実施例9 A A A A実施例10 A A A A実施例11 A A A A実施例12 A A A A 比較例3 B C A B比較例4 C − A − 【0057】なお、表2の各記号は以下の意味を表わす。
印字性:A(にじみが見られず、インクが鮮明に載る)
B(インクの付着が不均一となる)
C(インクが殆ど付着しない)
インク固定性:A(空拭き、エタノール拭きでも印字部に変化なし)
C(空拭き、エタノール拭きでも印字部が脱落する)
−(インクが載っていないため評価不能)
保護膜耐汚れ性:A(問題となる汚れ、損傷は観察されない)
写り込み性:A(写真フィルム上に記号が鮮明に転写される)
B(写真フィルム上に記号が転写されるが不明瞭となる)
−(増感スクリーンに記号が載っていないため評価不能)
【0058】
【発明の効果】本発明に従って形成された放射線像変換パネルや放射線増感スクリーンなどの蛍光体シートの保護膜は耐汚れ性、耐傷性に優れ、かつ本発明の方法により記号などが印字された場合には、その印字が保護膜表面に確実に固定され、またその印字部分の耐久性も非常に優れていて、蛍光体シートの繰り返し使用によっても殆ど損傷しない。




 

 


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