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発明の名称 磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法及びプラズマCVD成膜方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−121855
公開日 平成7年(1995)5月12日
出願番号 特願平5−262177
出願日 平成5年(1993)10月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小鍜治 明 (外2名)
発明者 植田 英之 / 桑原 賢次 / 関 博司 / 高橋 喜代司 / 小田桐 優 / 村居 幹夫
要約 目的
本発明は、電磁変換特性と実用信頼性(走行安定性、耐久性、耐候性)とを高次元で両立することのできる磁気記録媒体を提供することを目的とする。

構成
非磁性基板1の一方の面に強磁性金属薄膜3を、他方の面にバックコート層5を形成した後、このバックコート層5上にフッ素、ケイ素もしくは窒素を含み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減少するとともに、ケイ素もしくは窒素濃度が最表面から深さ方向に向かって増加する炭素膜6を形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方の面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤とからなるバックコート層をそれぞれ有する磁気記録媒体であって、上記バックコート層上にフッ素、ケイ素を含み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減少する炭素膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属薄膜であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項3】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属薄膜であり、上記強磁性金属薄膜上に炭素を主成分とする保護膜を有し、さらに上記保護膜上に含フッ素系潤滑剤層を有することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項4】炭素膜表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率が5%以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項5】炭素膜中のケイ素濃度が最表面から深さ方向に向かって増加することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項6】炭素膜表面の臨界表面張力γc が30×10-5N/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項7】非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方の面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤とからなるバックコート層をそれぞれ有する磁気記録媒体であって、上記バックコート層上にフッ素、窒素を含み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減少する炭素膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項8】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属薄膜であることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
【請求項9】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属薄膜であり、上記強磁性金属薄膜上に炭素を主成分とする保護膜を有し、さらに上記保護膜上に含フッ素系潤滑剤層を有することを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
【請求項10】炭素膜表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率が5%以上であることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
【請求項11】炭素膜中の窒素濃度が最表面から深さ方向に向かって増加することを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
【請求項12】炭素膜表面の臨界表面張力γc が30×10-5N/cm以下であることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
【請求項13】非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方の面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤とからなるバックコート層をそれぞれ有する磁気記録媒体であって、上記バックコート層上にフッ素、ケイ素、窒素を含み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減少する炭素膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項14】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属薄膜であることを特徴とする請求項13記載の磁気記録媒体。
【請求項15】磁性層がCoを主成分とする強磁性金属薄膜であり、上記強磁性金属薄膜上に炭素を主成分とする保護膜を有し、さらに上記保護膜上に含フッ素系潤滑剤層を有することを特徴とする請求項13記載の磁気記録媒体。
【請求項16】炭素膜表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率が5%以上であることを特徴とする請求項13記載の磁気記録媒体。
【請求項17】炭素膜中のケイ素及び窒素の総濃度が最表面から深さ方向に向かって増加することを特徴とする請求項13記載の磁気記録媒体。
【請求項18】炭素膜表面の臨界表面張力γc が30×10-5N/cm以下であることを特徴とする請求項13記載の磁気記録媒体。
【請求項19】非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方の面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤とからなるバックコート層をそれぞれ形成させた後、上記バックコート層表面を含ケイ素有機系ガスもしくは含窒素有機系ガスもしくは含ケイ素・窒素有機系ガスに対する含フッ素有機系ガスの比率(ガス分圧)を段階的に増加させた混合ガスによるグロー放電プラズマに順次曝すことで炭素膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項20】真空槽内の基板に対向する位置に放電管を設け、さらに上記放電管内に少なくとも一つ以上のしきり板を設け、且つ上記しきり板の先端部分と上記基板との間隙が上記放電管の先端部分と上記基板との間隙よりも大きくし、上記基板表面上にグロー放電プラズマによる連続的に組成が変化した薄膜を形成することを特徴とするプラズマCVD成膜方法。
【請求項21】しきり板の先端部分と基板との間隙が放電管の先端部分と上記基板との間隙の2倍以上であることを特徴とする請求項20記載のプラズマCVD成膜方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オーディオ・ビデオ機器、コンピュータ等に用いられる磁気記録媒体に関するものであり、特に走行安定性、耐久性を改善するためにバックコート層を設けた磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録装置には大容量化、高速化、高画質・高音質化、小型軽量化等が要望されるようになってきた。それに伴い磁気記録媒体としては高密度記録を達成することが必要不可欠であり、従来からの磁性体を結合剤中に分散させた塗布型磁気記録媒体に対し、磁性層の残留磁束密度(Br)及び保磁力(Hc)が共に大きく、磁性層の薄膜化が可能であり、しかも磁性層表面の超平滑化に最適である強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の開発、実用化が積極的に行われている。
【0003】一方、磁性層の表面性の向上に伴い磁気記録媒体の摩擦係数が増大し、走行安定性、耐久性が悪化する傾向にあるため、磁性層形成面とは反対側の非磁性基板上に特定の表面粗さを有するバックコート層を付与する構成が提案されている(例えば、特公平5−9842号公報等に記載)。
【0004】特に強磁性金属薄膜型磁気記録媒体に用いられるバックコート層の表面粗さは、巻き取り工程時あるいは熱処理工程時においてバックコート層の凹凸が磁性層表面上に形状転写する、いわゆる裏移りを低減し、電磁変換特性の悪化を防止するために可能な限り小さく設定する必要がある。そのためバックコート層に含有する充填剤の粒子径を小さくし、充填剤の分散性向上を目的として、過度の分散剤を使用したり、スルホン酸金属塩等の極性基を分子中に比較的多量に導入した結合剤を使用する方法が提案されている。しかしながらこれらの方法では、バックコート層の塗膜強度を低下させることにつながり、テープ走行時に塗膜の削れやテープの折れが生じ易くなる。さらにテープの巻き取り時にバックコート層の摩耗粉が磁性層面に移り、ヘッド目づまりやドロップアウトを増加させたり、出力低下の原因になる場合もある。また長期に渡って保存した際には、磁性層とバックコート層とが互いに張り付くブロッキング現象が生じる等の問題を有していた。
【0005】さらに強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の磁性層は、硬度が低く摩耗しやすいため、走行安定性、耐久性を改善するために磁性層上に保護膜(例えば、ダイヤモンド状炭素膜)、滑り性・撥水性効果を合わせ持つ含フッ素系潤滑剤層を順次形成する構成が数多く提案されている(例えば、特開平1−245417号公報及び特開平2−158909号公報等に記載)。しかしながらダイヤモンド状炭素膜の表面状態が化学的に非常に不活性であるため、高温高湿環境下に保存した場合に潤滑剤成分が裏面のバックコート層上に転写し、ダイヤモンド状炭素膜上の潤滑剤量が減少することとなり、スチルライフが低下する等の問題が起こり、改善が望まれていた。
【0006】そこで最近では、バックコート層の耐摩耗性を改善するとともに、ブロッキング現象やバックコート層への潤滑剤成分の転写を防止することを目的として、磁性層形成面とは反対側の非磁性基板上に形成されたバックコート層上に含フッ素硬質炭素膜を形成する構成が開示されている(特開平4−353616号公報に記載)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した構成においても、優れた電磁変換特性及び耐久性を兼ね備えた磁気記録媒体を提供することは困難であり、未だ数多くの問題が存在している。
【0008】すなわちバックコート層上に直接含フッ素硬質炭素膜を形成する構成では、硬質炭素膜中のフッ素原子と炭素原子との結合エネルギーが非常に強い反面、バックコート層表面上の原子、例えば炭素原子あるいは酸素原子とフッ素原子との相互作用が極めて弱いために、テープ走行時もしくは巻き取り時に含フッ素硬質炭素膜がバックコート層との界面にて剥離し、その剥離片が磁性層面に移り、著しい出力低下を招いたり、長時間のヘッド目づまりを発生させる等の問題を有していた。
【0009】さらに炭素膜中のフッ素原子の含有量が多い場合には、炭素膜自体の硬度が低下するために、走行耐久性が返って悪化する結果を招いてしまう。
【0010】本発明は上記課題を解決するものであり、電磁変換特性を損なうことなく、走行安定性、耐久性、耐候保存性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方の面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤とからなるバックコート層をそれぞれ形成させた後、このバックコート層上にフッ素、ケイ素もしくは窒素を含み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減少するとともに、ケイ素もしくは窒素濃度が最表面から深さ方向に向かって増加する炭素膜を形成する構成とする。
【0012】
【作用】本発明によれば、炭素膜表面に適量存在するフッ素原子により、炭素膜の表面エネルギー(臨界表面張力γC )が低下するため、耐ブロッキング性が改善されるとともに磁性層形成面側からの潤滑剤成分の転写を低減することが可能となる。
【0013】また炭素膜の最表面から深さ方向(バックコ−ト層との界面)に向かってフッ素原子濃度が減少するために、炭素膜の硬度を低下させることなく、バックコート層形成面側の耐摩耗性を向上させることができる。
【0014】さらにバックコート層表面上の原子、例えば炭素原子あるいは酸素原子と化学的親和力の強いケイ素もしくは窒素を炭素膜のバックコート層との界面近傍に多く分布させているために、炭素膜とバックコート層との良好な密着性を確保することができる。
【0015】したがって、炭素膜とバックコート層との良好な密着性を保ちつつ、炭素膜の耐摩耗性、低エネルギー表面特性(撥水・撥油性)を充分に発揮することができるため、電磁変換特性を損なうことなく、走行安定性、耐久性、耐候保存性に優れた磁気記録媒体を提供することが可能となる。
【0016】
【実施例】以下本発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】図1は本発明の強磁性金属薄膜型磁気テープの構成を示す拡大断面図である。図中、1は非磁性基板であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド等の高分子フィルムを用いることができ、磁性層側の基板表面には最大高さ粗さ(Rmax )が10nm〜20nmの微小突起層2が形成されている。3は強磁性金属薄膜であり、真空雰囲気中でCo、Co−Ni等の金属もしくは合金を電子ビーム等で加熱・蒸発させ、真空槽内にわずかな酸素ガスを導入しながら、連続的に入射角を変化させた斜方蒸着法により形成する。その膜厚は150nm〜200nmである。4はダイヤモンド状炭素膜であり、プラズマCVD法、イオンビーム蒸着法、イオンビームスパッタ法、レーザー蒸着法等により形成することができ、その膜厚は短波長領域での再生出力を確保するために、8nm〜12nmが最適である。5はバックコート層であり、カーボンブラック、炭酸カルシウム、ポリエステル樹脂、ニトロセルロース樹脂を主成分とした塗料を塗布・乾燥させることにより形成する。その膜厚は500nm程度である。6は炭素膜であり、この炭素膜はフッ素、ケイ素もしくは窒素を含有し、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減少するとともに、ケイ素もしくは窒素濃度が最表面から深さ方向に向かって増加する構成を有するものである。その膜厚は3nm〜50nmの範囲が好ましく、5nm〜30nmの範囲が望ましい。また7はカルボキシル基等の極性基を分子中に導入した含フッ素系潤滑剤層であり、湿式塗布法あるいは有機蒸着法により形成し、その膜厚は3nm程度である。
【0018】また図2は本発明の強磁性金属薄膜型磁気テープを構成している炭素膜6をプラズマCVD法を用いて形成するための成膜装置の概略図を示したものである。図中、8は真空槽であり、真空ポンプ9を用いて真空槽8内部の圧力が10-4torr〜10-5torrの高真空状態となるように排気を行っている。10は非磁性基板1上に強磁性金属薄膜3、バックコート層5及びダイヤモンド状炭素膜4を形成させた金属薄膜型磁気テープ用原反であり、巻き出しロール11から送り出され、2本のパスロール12、13及び円筒状の冷却キャン14の外周面を経由して巻き取りロール15に巻き取られる。なお冷却キャン14は金属薄膜型磁気テープ用原反10を一定速度で搬送できるように回転制御する働きをしている。
【0019】16、17、18は炭素膜6を金属薄膜型磁気テープ用原反10のバックコート層表面上に成膜するための放電管(非平衡プラズマ発生空間)であり、放電管16、17、18の内部には、パイプ状の放電電極19、20、21がそれぞれ設置されている。パイプ状の放電電極19、20、21はプラズマ発生用電源22、23、24とそれぞれ接続されており、プラズマ発生用電源22、23、24としては、直流電圧または交流電圧のどちらかのみを印加する方式や直流電圧と交流電圧とを重畳させて印加する方式の三種類の放電方式を採用することができる。25、26、27は含フッ素有機系ガス、含ケイ素有機系ガスもしくは含窒素有機系ガスもしくは含ケイ素・窒素有機系ガス及びアルゴン等の無機系ガスを放電管16、17、18内にそれぞれ導入するための原料ガス導入口である。
【0020】また図3は本発明の強磁性金属薄膜型磁気テープを構成している炭素膜6をプラズマCVD法を用いて形成するための成膜装置の概略図を示したものである。図中、8は真空槽であり、真空ポンプ9を用いて真空槽8内部の圧力が10-4torr〜10-5torrの高真空状態となるように排気を行っている。10は非磁性基板1上に強磁性金属薄膜3、バックコート層5及びダイヤモンド状炭素膜4を形成させた金属薄膜型磁気テープ用原反であり、巻き出しロール11から送り出され、2本のパスロール12、13及び円筒状の冷却キャン14の外周面を経由して巻き取りロール15に巻き取られる。なお冷却キャン14は金属薄膜型磁気テープ用原反10を一定速度で搬送できるように回転制御する働きをしている。
【0021】28は炭素膜6を金属薄膜型磁気テープ用原反10のバックコート層表面上に成膜するための放電管(非平衡プラズマ発生空間)であり、放電管28の内部には、しきり板29及びパイプ状の放電電極30、31がそれぞれ設置されている。なお放電管28の先端部分と金属薄膜型磁気テープ用原反10との間隙を0.5mmとし、しきり板29の先端部分と金属薄膜型磁気テープ用原反10との間隙を5mmとしている。放電電極30、31はプラズマ発生用電源32、33と接続されており、プラズマ発生用電源32、33としては、直流電圧または交流電圧のどちらかのみを印加する方式や直流電圧と交流電圧とを重畳させて印加する方式の三種類の放電方式を採用することができる。34、35は含フッ素有機系ガス、含ケイ素有機系ガスもしくは含窒素有機系ガスもしくは含ケイ素・窒素有機系ガス及びアルゴン等の無機系ガスを放電管28内にそれぞれ導入するための原料ガス導入口である。
【0022】実施例(1)
走査型トンネル顕微鏡(STM)による表面形状分析で最大高さ粗さ(Rmax)が15nm程度の微小突起層2が設けられている10μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム1表面上に連続入射角変化蒸着法を用いてCoOからなる強磁性金属薄膜3を膜厚180nm形成する。次に強磁性金属薄膜3表面上にメタン(CH4 :炭化水素系ガス)とアルゴン(Ar:無機系ガス)との混合ガスを用いたプラズマCVD法によりダイヤモンド状炭素膜4を膜厚10nm形成する。さらに湿式塗布法によりポリエチレンテレフタレートフィルム1の反対側の表面上にバックコート層5を膜厚500nm形成する。
【0023】次に図2に示した成膜装置の真空槽8内部に金属薄膜型磁気テープ用原反10を設置し、真空槽8内部を真空排気した後、放電管16内にテトラメチルジシロキサン((CH32HSiOSiH(CH32:含ケイ素有機系ガス)とアルゴンとをそれぞれ導入し、テトラメチルジシロキサンとアルゴンとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.20torrとなるようにガス流量の調整を行う。また放電管17内にオクタフルオロシクロブタン(c−C48:含フッ素有機系ガス)とテトラメチルジシロキサンとアルゴンとをそれぞれ導入し、テトラメチルジシロキサンとオクタフルオロシクロブタンとアルゴンとの圧力比が2:2:1、総ガス圧力が0.20torrとなるようにガス流量の調整を行う。さらに放電管18内にオクタフルオロシクロブタンとアルゴンとをそれぞれ導入し、オクタフルオロシクロブタンとアルゴンとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.20torrとなるようにガス流量の調整を行う。
【0024】その後、金属薄膜型磁気テープ用原反10を15m/minの走行スピードで搬送させるとともに、パイプ状の放電電極19、20、21に直流電圧800Vと交流電圧800V(周波数20kHz)とを重畳させて印加することで、非平衡プラズマを発生させ、金属薄膜型磁気テープ用原反10のバックコート層5表面上にフッ素濃度が最表面から深さ方向(バックコ−ト層との界面)に向かって減少し、且つケイ素濃度が最表面から深さ方向に向かって増加する炭素膜6を膜厚12nm形成する。
【0025】次にC511(CH210COOHのイソプロピルアルコール溶液を湿式塗布法によりダイヤモンド状炭素膜4表面上に膜厚3nm程度形成させた後、8mm幅にスリットして8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0026】なおX線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(1)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は25%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、17.5×10-5N/cmであった。
【0027】実施例(2)
走査型トンネル顕微鏡(STM)による表面形状分析で最大高さ粗さ(Rmax)が15nm程度の微小突起層2が設けられている10μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム1表面上に連続入射角変化蒸着法を用いてCoOからなる強磁性金属薄膜3を膜厚180nm形成する。次に強磁性金属薄膜3表面上にメタンとアルゴンとの混合ガスを用いたプラズマCVD法によりダイヤモンド状炭素膜4を膜厚10nm形成する。さらに湿式塗布法によりポリエチレンテレフタレートフィルム1の反対側の表面上にバックコート層5を膜厚500nm形成する。
【0028】次に図3に示した成膜装置の真空槽8内部に金属薄膜型磁気テープ用原反10を設置し、真空槽8内部を真空排気した後、原料ガス導入口34よりテトラメチルジシロキサン((CH32HSiOSiH(CH32:含ケイ素有機系ガス)とアルゴンとを放電管28内にそれぞれ導入し、テトラメチルジシロキサンとアルゴンとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.20torrとなるようにガス流量の調整を行う。また原料ガス導入口35よりオクタフルオロシクロブタンとアルゴンとを放電管28内にそれぞれ導入し、オクタフルオロシクロブタンとアルゴンとの圧力比が4:1、総ガス圧力が0.20torrとなるようにガス流量の調整を行う。
【0029】その後、金属薄膜型磁気テープ用原反10を15m/minの走行スピードで搬送させるとともに、パイプ状の放電電極30、31に直流電圧800Vと交流電圧800V(周波数20kHz)とを重畳させて印加することで、非平衡プラズマを発生させ、金属薄膜型磁気テープ用原反10のバックコート層5表面上にフッ素濃度が最表面から深さ方向(バックコ−ト層との界面)に向かって連続的に減少し、且つケイ素濃度が最表面から深さ方向に向かって連続的に増加する炭素膜6を膜厚10nm形成する。
【0030】次にC511(CH210COOHのイソプロピルアルコール溶液を湿式塗布法によりダイヤモンド状炭素膜4表面上に膜厚3nm程度形成させた後、8mm幅にスリットして8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0031】なおX線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(2)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は23%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、18.6×10-5N/cmであった。
【0032】実施例(3)
炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロキサンの代わりにテトラメトキシシラン((CH3O)2Si(OCH32:含ケイ素有機系ガス)を用いること、またオクタフルオロシクロブタンの代わりに六フッ化プロピレン(CF3CF=CF2:含フッ素有機系ガス)を用いること以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0033】なお実施例(3)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は10nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(3)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は18%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、19.8×10-5N/cmであった。
【0034】実施例(4)
炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロキサンの代わりにピリジン(C56N:含窒素有機系ガス)を用いること、さらに放電管28内のピリジンとアルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧力を0.25torrとし、直流電圧1000Vと交流電圧1300V(周波数20kHz)とを重畳させてパイプ状の放電電極19に印加すること以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0035】なお実施例(4)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は25nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(4)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は21%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、18.1×10-5N/cmであった。
【0036】実施例(5)
炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロキサンの代わりにピリジン(C56N:含窒素有機系ガス)を用いること、さらに原料ガス導入口34よりピリジンとアルゴンとを放電管28内に導入し、ピリジンとアルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧力を0.25torrとし、直流電圧1000Vと交流電圧1300V(周波数20kHz)とを重畳させてパイプ状の放電電極30に印加すること以外は実施例(2)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0037】なお実施例(5)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は21nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(5)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は20%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、18.9×10-5N/cmであった。
【0038】実施例(6)
炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロキサンの代わりにアリルアミン(CH2=CHCH2NH2 :含窒素有機系ガス)を用いること、またオクタフルオロシクロブタンの代わりに四フッ化エチレン(CF2=CF2:含フッ素有機系ガス)を用いること、また炭素膜6の最表層を形成するための原料ガスとして、オクタフルオロシクロブタンの代わりに四フッ化エチレンとメタンを用いること、さらに放電管17内の四フッ化エチレンとアリルアミンとアルゴンとの圧力比を1:4:1、総ガス圧力を0.18torrとすること、また放電管18内の四フッ化エチレンとメタンとアルゴンとの圧力比を1:3:1、総ガス圧力を0.25torrとすること以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0039】なお実施例(6)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は18nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(6)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は13%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、22.7×10-5N/cmであった。
【0040】実施例(7)
炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロキサンの代わりにヘキサメチルジシラザン((CH33SiNHSi(CH33:含ケイ素・窒素有機系ガス)を用いること、またオクタフルオロシクロブタンの代わりにパーフロロトルエン(C65(CF3) :含フッ素有機系ガス)を用いること、さらに放電管18内のパーフロロトルエンとアルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧力を0.15torrとし、直流電圧1000Vと交流電圧1300V(周波数20kHz)とを重畳させてパイプ状の放電電極21に印加すること以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0041】なお実施例(7)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は15nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(7)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は10%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、23.9×10-5N/cmであった。
【0042】実施例(8)
炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロキサンの代わりにヘキサメトキシジシラザン((CH3O)3SiNHSi(OCH33:含ケイ素・窒素有機系ガス)を用いること、またオクタフルオロシクロブタンの代わりにパーフロロトルエンを用いること、また炭素膜6の最表層を形成するための原料ガスとして、パーフロロトルエンとトルエン(C65(CH3) :炭化水素系ガス)を用いること、さらに放電管17内のパーフロロトルエンとヘキサメトキシジシラザンとアルゴンとの圧力比を1:3:1、総ガス圧力を0.15torrとし、直流電圧1000Vと交流電圧1300V(周波数20kHz)とを重畳させてパイプ状の放電電極20に印加すること、また放電管18内のパーフロロトルエンとトルエンとアルゴンとの圧力比を1:2:1、総ガス圧力を0.16torrとし、直流電圧1000Vと交流電圧1300V(周波数20kHz)とを重畳させてパイプ状の放電電極21に印加すること以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0043】なお実施例(8)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は20nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて実施例(8)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は7%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、27.7×10-5N/cmであった。
【0044】比較例(1)
バックコート層5上に炭素膜6を形成しないこと以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0045】比較例(2)
炭素膜6形成用の原料ガスとして、オクタフルオロシクロブタンの代わりにメタンを用いること以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0046】なお比較例(2)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は14nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて比較例(2)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は0%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、35.1×10-5N/cmであった。
【0047】比較例(3)
炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロキサンの代わりにアリルアミンを用いること、またオクタフルオロシクロブタンの代わりに四フッ化エチレンを用いること、また炭素膜6の最表層を形成するための原料ガスとして、四フッ化エチレンとプロピレン(CH3CH=CH2:炭化水素系ガス)を用いること、さらに放電管17内の四フッ化エチレンとアリルアミンとアルゴンとの圧力比を1:15:4、総ガス圧力を0.20torrとすること、また放電管18内の四フッ化エチレンとプロピレンとアルゴンとの圧力比を1:19:5、総ガス圧力を0.25torrとすること以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0048】なお比較例(3)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は20nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて比較例(3)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は2%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、31.4×10-5N/cmであった。
【0049】比較例(4)
炭素膜6形成用の原料ガスとして、テトラメチルジシロキサンを使用せず、放電管16、17、18内にオクタフルオロシクロブタンとアルゴンとをそれぞれ導入し、オクタフルオロシクロブタンとアルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧力を0.20torrとすること以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0050】なお比較例(4)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は10nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて比較例(4)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は26%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、17.4×10-5N/cmであった。
【0051】比較例(5)
炭素膜6形成用の原料ガスとして、オクタフルオロシクロブタンを使用せず、放電管16、17、18内にテトラメチルジシロキサンとアルゴンとをそれぞれ導入し、テトラメチルジシロキサンとアルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧力を0.20torrとすること以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0052】なお比較例(5)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は18nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて比較例(5)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は0%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、39.1×10-5N/cmであった。
【0053】比較例(6)
放電管16内にオクタフルオロシクロブタンとアルゴンとをそれぞれ導入し、オクタフルオロシクロブタンとアルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧力を0.20torrとすること、また放電管18内にテトラメチルジシロキサンとアルゴンとをそれぞれ導入し、テトラメチルジシロキサンとアルゴンとの圧力比を4:1、総ガス圧力を0.20torrとすること以外は実施例(1)と同様な方法により、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープを作製した。
【0054】なお比較例(6)でバックコート層5表面上に形成した炭素膜6の膜厚は12nmであった。またX線光電子分光法(XPS)を用いて比較例(6)で作製した含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反について炭素膜6表面の組成分析を行った結果、炭素膜6表面近傍の炭素に対するフッ素の原子比率は0%であった。また金属薄膜型磁気テープの炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、37.2×10-5N/cmであった。
【0055】また実施例及び比較例における炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値は、含フッ素系潤滑剤層7未形成の金属薄膜型磁気テープ用原反に対し、炭素膜6表面に表面張力既知のぬれ指数標準液を滴下し、その液滴の接触角θを測定する。次にぬれ指数標準液の表面張力に対して接触角θの余弦(cosθ)をプロットする(Zismann Plotの実施。)。最小二乗法により得られた直線とcosθ=1.0との交点に相当する表面張力の値を求め、その値を炭素膜6表面の臨界表面張力γC 値とした。なお使用したぬれ指数標準液の表面張力は、38、45、54、72×10-5 N/cmである。
【0056】以上の実施例及び比較例にて得られた各8mmVTR用金属薄膜型磁気テープについて以下の測定を行った。
(1)摩擦係数μk直径4mm、表面粗さ0.2Sのステンレス円柱(SUS420J2)に金属薄膜型磁気テープのバックコート層形成面が90゜に渡って接触するようにし、ステンレス円柱に対して、入側張力を30g、テープ走行速度を0.5mm/secに設定した時の出側張力Xgを測定し、次式から摩擦係数を求めた。
【0057】
【数1】

【0058】なお測定環境は25℃−30%RHであり、摩擦係数としては、走行30パス目の測定値を採用することにした。
(2)出力低下5℃−80%RHの環境下、約60分長の金属薄膜型磁気テープに映像信号を記録し、再生を200パス行う(繰り返し走行による耐久試験)。出力低下の定義としては、再生1パス目の出力を基準(0dB)とし、200パス再生中に最も出力が低下した値(最低出力値)をデシベル表示した。
(3)ヘッド目づまり上記繰り返し走行による耐久試験において、6dB以上の再生出力の低下が継続した時間をヘッド目づまり時間とした。
(4)耐ブロッキング性40℃−90%RHの環境下で約30日間金属薄膜型磁気テープを放置し、ブロッキングの発生有無を観察した。
(5)スチルライフ40℃−90%RHの環境下で約10日間放置した金属薄膜型磁気テープを用い、23℃−10%RHの環境下、荷重20gの条件にて、スチルモードによる再生を行い、映像信号が6dB落ち込むまでの時間を示した。なお測定は最長60分間で打ち切った。
【0059】(表1)に各実施例、比較例にて作製した8mmVTR用金属薄膜型磁気テープの評価結果を示す。
【0060】
【表1】

【0061】(表1)から明らかなように、実施例(1)〜(8)は、フッ素、ケイ素もしくは窒素を含み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減少するとともに、ケイ素もしくは窒素濃度が最表面から深さ方向に向かって増加する炭素膜がバックコート層上に設けられているため、炭素膜とバックコート層との良好な密着性を保ちつつ、炭素膜の耐摩耗性、低エネルギー表面特性(撥水・撥油性)を充分に発揮することができるため、走行安定性の確保、出力低下、ヘッド目づまりの大幅な改善、耐ブロッキング性、スチルライフの著しい向上を同時に達成することができた。特に実施例(2)及び実施例(5)においては、炭素膜中のフッ素濃度及びケイ素濃度もしくは窒素濃度が連続的に変化しているため、炭素膜中の内部応力が緩和され、バックコート層との密着性がさらに向上するため、実用信頼性(走行安定性、耐久性、耐候性)が飛躍的に向上した。
【0062】比較例(1)では、バックコート層の塗膜強度が低いために、テープの走行安定性が悪化し、さらにバックコートの摩耗粉に基づく出力低下、長時間のヘッド目づまり等の発生を招く結果となった。
【0063】比較例(2)では、フッ素原子が炭素膜表面近傍に存在しないために、比較例(3)では、炭素膜表面近傍のフッ素原子の含有量が不足しているために、バックコート層の表面エネルギーが高くなり、高温高湿環境下に保存した場合に潤滑剤成分の炭素膜上への転写を抑制することができなくなり、その結果、ダイヤモンド状炭素膜上の潤滑剤量が減少することとなり、スチルライフが短くなった。
【0064】比較例(4)では、炭素膜中のフッ素原子の含有量が多く、炭素膜自体の硬度が低下するとともに、バックコート層との界面近傍にフッ素原子が多く存在しているためバックコート層との接着性が悪化し、大幅な出力低下、長時間のヘッド目づまり、ブロッキングの発生を招く結果となった。
【0065】比較例(5)及び比較例(6)では、潤滑剤分子中に導入された極性基(カルボキシル基)と化学的親和力の強いケイ素もしくは窒素が炭素膜表面近傍に存在するために、潤滑剤成分の炭素膜上への転写が多くなり、スチルライフが著しく減少した。。さらに比較例(6)ではバックコート層との界面近傍にフッ素原子が多く存在しているためバックコート層との接着性が悪化し、大幅な出力低下、長時間のヘッド目づまり、ブロッキングの発生を招く結果となった。
【0066】なお上記実施例では、8mmVTR用金属薄膜型磁気テープのみについて説明したが、これに限定されるものではなく、他の規格の強磁性金属薄膜型磁気テープ、塗布型磁気テープ等の磁気記録媒体についても同様に適用できる。
【0067】また上記実施例では、炭素膜をプラズマCVD法により形成する際の放電形式として直流電圧と交流電圧とを重畳させて印加する方式についてのみ示したが、この方式に限定されるものではなく、直流電圧または交流電圧のどちらかのみを印加する方式を用いることも同様に実施可能である。
【0068】また上記実施例では、ダイヤモンド状炭素膜をプラズマCVD法により形成したが、この作製方法に限定されるものではなく、イオンビーム蒸着法、イオンビームスパッタ法、レーザー蒸着法等を用いることも同様に実施可能である。
【0069】また上記実施例では、極性基としてカルボキシル基を分子中に導入した含フッ素系潤滑剤についてのみ示したが、−OH、−SH、−NH2 、>NH、−NCO、−CONH2 、−CONHR、−CONR2 、−COOR、>PR、>PRO、>PRS、−OPO(OH)2 、−OPO(OR)2 、−SO3 M(ただし、Rは炭素数1〜22の炭化水素基、Mは水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属)から選ばれた少なくとも一つの極性基を有する含フッ素系潤滑剤であれば同様に適用可能である。
【0070】また上記実施例では、含フッ素系潤滑剤層を湿式塗布法により形成する場合についてのみ示したが、有機蒸着法を用いることも同様に実施可能である。
【0071】なお本発明のプラズマCVD成膜方法の一例として、連続的に組成が変化した炭素膜をバックコート層上に形成する場合について示したが、これに限定されるものではなく、強磁性金属薄膜上の保護膜として用いられるプラズマ重合膜、ダイヤモンド状炭素膜、あるいは半導体、液晶用の絶縁膜、光電変換素子に用いられる非晶質シリコン膜、超伝導薄膜等の形成に利用することも可能である。
【0072】
【発明の効果】以上のように本発明は、非磁性基板の一方の面に磁性層を、他方の面にカーボンブラックを主成分とする充填剤と結合剤とからなるバックコート層をそれぞれ形成させた後、このバックコート層上にフッ素、ケイ素もしくは窒素を含み、且つフッ素濃度が最表面から深さ方向に向かって減少するとともに、ケイ素もしくは窒素濃度が最表面から深さ方向に向かって増加する炭素膜を形成する構成により、炭素膜とバックコート層との良好な密着性を保ちつつ、炭素膜の耐摩耗性、低エネルギー表面特性(撥水・撥油性)を充分に発揮することができるため、電磁変換特性を損なうことなく、走行安定性、耐久性、耐候保存性に優れた磁気記録媒体の提供することができ、その実用上の価値は大なるものがある。




 

 


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