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発明の名称 磁気テープ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平7−110935
公開日 平成7年(1995)4月25日
出願番号 特願平4−346179
出願日 昭和60年(1985)3月13日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小鍜治 明 (外2名)
発明者 米澤 武敏 / 黒川 英雄 / 三谷 力
要約 目的
強磁性体金属を記録膜とする磁気テープにおいて、磁気記録膜と磁気ヘッドの損傷が長期にわたり少なく、信頼性に優れた磁気テープを提供する。

構成
担体1上の記録膜2の上に、ビッカース硬度が2000kg/mm2以上のダイヤモンド状炭素膜を保護膜3として形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】非磁性材よりなる担体と、前記担体上に形成された強磁性体金属よりなる記録膜と、前記記録膜の上に形成された保護膜を有する磁気テープであって、前記保護膜は、ビッカース硬度が2000kg/mm2以上のダイヤモンド状炭素膜であることを特徴とする磁気テープ。
【請求項2】保護膜として、炭化水素ガスプラズマ中の少なくともイオンを加速して化学気相成長法により合成されたダイヤモンド状炭素の薄膜を具備することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項3】ダイヤモンド状炭素の比抵抗が107〜1013Ω・cmである請求項2記載の磁気テープ。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は強磁性体金属の薄膜を記録膜とし、ビデオ、オーディオおよびデータ等の信号を高密度に記録する磁気テープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】高密度磁気記録を実現するための記録媒体として、Co、Ni、Cr、Fe等の強磁性体金属の薄膜を用いるものが注目され、その実用化が種々検討されている。
【0003】磁気記録においては、強磁性体よりなる記録膜と、電磁変換素子としての磁気ヘッドとの間隙が大きい場合には損失を生じる。特に信号周波数の高い領域における損失が顕著であり、高密度記録においてはこの間隙を極力小さくしなければならない。
【0004】ビデオやオーディオの信号記録および再生においては、記録媒体である磁気テープは磁気ヘッドと常に接触している構成である。
【0005】データ信号を記録する場合のように、高い信頼性を要求される場合は磁気ヘッドを記録媒体表面から浮上させて非接触にして用いるが、この場合でも、記録媒体を例えば回転させる時の起動時および停止時には両者が接触する様に構成された装置が多い。もっとも、データ信号の場合でもフロッピーディスクの様に比較的信頼性への要求がゆるやかな場合は記録媒体と磁気ヘッドとは接触させている。
【0006】さて、さらに今後の高密度記録化を考えると、理想的には、記録媒体と磁気ヘッドが接触してかつ高い信頼性を確保することが必要である。
【0007】すなわち、磁気記録においては、記録媒体と磁気ヘッドとが接触するという点で、光による記録方式と基本的に異なる課題を持つわけである。
【0008】さて、前述のCo、Cr、Ni、Fe等の強磁性体金属を記録膜とする記録媒体においては、表面に保護膜を形成しない場合にはこの磁気ヘッドとの接触によって、記録膜は短時間ではく離する等の損傷を受けるため、有効な保護膜の形成が重要な課題である。特に前述のように、磁気ヘッドと常に接触して記録・再生が行われる磁気テープでは重要な課題となる。
【0009】従来の、磁性粉末をバインダと混合して担体に塗布するような磁気記録媒体においては、バインダ中に耐摩耗性および潤滑性を付与する物質を添加することによって磁気ヘッドとの接触によって発生する問題を回避してきたが、強磁性体金属薄膜の場合には、記録膜そのものに耐摩耗性、潤滑性、耐環境性等の特性の向上を求めようとすると、記録膜の磁気的性質の劣化が避けられない。
【0010】従って、これらの強磁性体金属薄膜を記録膜とする場合には、この表面に保護膜を形成して耐摩耗性等を確保することが必要である。しかしその様な保護膜は前述の磁気ヘッドとの間隙を生じるものであり、その厚みは極力小さくなければならない。
【0011】しかるに、従来、強磁性体金属薄膜の保護膜としては、有機物質からなる潤滑性材料を塗布もしくは真空蒸着されたものが試みられてきたが、いずれも耐摩耗性に劣り、長時間の使用に耐えられなかった。あるいはグラファイト等の材料を真空蒸着およびスパッタリング等の手法で強磁性体金属表面に無定形炭素の膜を形成するものが考えられているが、これも潤滑性は改善されるものの、耐摩耗性に対しては不十分である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べた様な材料を保護膜とする場合には、耐摩耗性が不十分であるために、保護膜の厚みを大きくせざるを得ず、前述の磁気ヘッドとの間隙を増大させ、大きな損失を生じてしまう。またこれらの保護膜材料は、磁気ヘッドの接触摺動によって損耗するため、生じた微粉末が磁気ヘッドの表面に付着し、時として、著しい再生信号出力の低下等を生じるものである。
【0013】以上の問題点により、強磁性体金属薄膜を記録膜とする高密度磁気記録装置の実用化は著しく制限されており、この問題点を解決しない限り、本来の高密度記録は達成されないと考えられる。
【0014】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、強磁性体金属よりなる記録膜の上に、耐摩耗性に優れた保護膜を有する記録媒体を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】以上に述べた様な従来の保護膜の問題点を解決するために、本願発明の磁気テープは、ビッカース硬度が2000kg/mm2以上のダイヤモンド状炭素膜を保護膜として用いるものである。
【0016】その場合、特に、保護膜は、炭化水素ガスプラズマ中の少なくともイオンを加速して化学気相成長法により合成した保護膜であると、耐摩耗性にも優れた良質の保護膜としての機能が得られる。また、かかる場合、ダイヤモンド状炭素の比抵抗は、107〜1013Ω・cmの範囲であると、いっそう安定した保護膜が得られる。
【0017】
【作用】ダイヤモンド状炭素膜を保護膜として用いる場合、そのビッカース硬度が重要な因子であることを見いだした。即ち、ビッカース硬度が2000kg/mm2以上のダイヤモンド状炭素膜を保護膜として用いることにより、磁気ヘッドが常に接触して摩擦摺動を受ける磁気テープにおいて、磁気記録材料が確実に保護されると共に、磁気記録特性を低下させることがない程度に十分薄い保護膜を実現できるのである。
【0018】そして、かかるダイヤモンド状炭素膜の保護膜を形成するには、本願発明者が発明したPI−CVD法を用いるのが好適である。
【0019】従来、ダイヤモンドの薄膜を形成する技術に関しては以下に列記する如く、多くの報告がなされている。
【0020】(1)難波義捷:ダイヤモンド薄膜の低圧合成の研究、応用機械工学、1984年7月号
(2)松本精一郎:ダイヤモンドの低圧合成、現化化学、1984年9月号
(3)瀬高信雄:ダイヤモンドの低圧合成、日本産業技術振興協会、技術資料No.138、昭和59/6/20しかしながら、いずれも末だ研究段階であって、基板の高温加熱を要する、成膜速度が低い、あるいは広い面積にわたって均一に成膜できない等の理由により実用には至っていない。
【0021】我々は、ダイヤモンドに近い特性を示す高硬度の炭素膜を形成する方法を開発した(黒川 他:プラズマ・インジェクションCVD法による高硬度炭素膜の形成及び評価、昭和60年度精機学会春季大会学術講演論文集、No.422)。
【0022】我々の開発した方法は、メタンガスを材料ガスとして10〜20Paの低圧力でこれをプラズマ化し、プラズマ中の少なくともイオンを加速電界によって基板に噴射し、基板を加熱することなく室温程度の低温で、最高5000Å/分程度の高速で炭素膜を形成することが可能なものであり、我々はプラズマ・インジェクションCVD法と称している(以後、PI−CVD法と略す。ここで、CVDとは、Chemical Vaper Deposition(化学気相成長)の略である。またPI−CVD法の詳細については、前記精機学会春期大会学術講演論文集の他にも、例えば特公昭63−26195号公報(特開昭61−130487号公報)、特開昭61−136678号公報にも記載されている。)。
【0023】PI−CVD法によって形成した炭素膜は、SP3の電子配置を含む、ダイヤモンドに近い接合状態の非晶質であり、ビッカース硬度は2000kg/mm2であり耐摩耗性に優れる。鋼球を使用した摩擦係数の測定では0.1以下の値が得られ、潤滑剤を含んだ磁気テープ等の摩擦係数と同等以下である。さらに熱伝導率は0.6cal/cm・sec・℃程度とほぼ金属並みであり、摩擦熱の放散にも優れている。
【0024】PI−CVD法は、成膜可能な基板材質に二つの条件がある。その第一は、基板材質は比抵抗が1013Ω・cm程度以下であることが望ましい。1013Ω・cm程度を超える材料は一般に良好な電気絶縁材でありPI−CVD法においてはイオンを基板に噴射するため、絶縁材においては帯電を生じ、イオンを反発するため強固な膜を形成することが出来ない。但し、電子ビームを照射する等の中和手段を付加すればこの限りではないが、それでは装置構成が複雑となる等の欠点を生じるため好ましくない。
【0025】第二の条件として、基板材質は炭素との化学的親和力が強く、形成される炭化物の原子間の結合力が強いものであることが好ましい。
【0026】以上2つの条件を満足する材質は、Al、Be、Co、Cr、Fe、Mn、Ni、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W等の金属もしくはそれらを主成分とする合金、およびSi、Ge、B、SiC等の半導体である。特に、Si、BおよびCrは炭素と共有結合等の強い結合が可能である。
【0027】なお、PI−CVD法による高硬度炭素膜の比抵抗は、成膜条件によるが、ほぼ107〜1013Ω・cmの範囲であり、当然のことながら、前記第一の条件を満足している。
【0028】Co、Cr、Ni、Fe等の強磁性体金属は、以上に述べたPI−CVD法による高硬度炭素膜の形成条件を満足しており、この上に強固な保護膜を形成することが可能となる。
【0029】以上に述べたように、Co、Cr、Ni、Fe等の強磁性体金属よりなる記録膜上には、PI−CVD法による高硬度炭素膜の形成が可能であり、特にCo/Cr系の強磁性金属薄膜の場合には表面にCrが多く偏在することが知られており、とりわけ強固な膜が形成される。
【0030】この炭素膜はダイヤモンドに準じる特性を有し、記録膜を極めて有効に保護することができる。さらに、炭素が非晶質状態であるために若干の柔軟性を有しており、PET等のフレキシブルな担体上の記録膜に対する保護膜としても有効である。
【0031】また、膜の強度が高く耐摩耗性に優れるため、膜の厚みは1000Å以下で良く、磁気ヘッドとの間隙を小さくすることが可能であって、高密度記録にも適している。磁気ヘッドとの接触状態に注意すれば500Å以下の膜厚においても高い信頼性が得られる。
【0032】PI−CVD法による高硬度炭素膜の比抵抗は前述のように107〜1013Ω・cmの範囲にあるが、この程度の比抵抗の場合には、1017Ω・cm程度を示すガラス等に比べて、静電気の帯電が少ない。このためディスク状磁気記録媒体の表面保護膜として用いた場合に、磁気ヘッドの摺動や空気との摩擦によって生じる帯電が軽減されるため、微小なゴミ等の付着を防止することが出来る。
【0033】
【実施例】図に本発明の一実施例を示す。1はテープ状の形態をなす担体であり、プラスチック等の非磁性材料よりなる。この上に、Co、Cr、Ni、Fe等の強磁性体金属よりなる記録膜2が真空蒸着、スパッタリング等の手段で形成されている。この厚みは、1000Å程度であり、垂直磁気記録膜として用いる場合等では、例えばCoを主成分とし、Crを10〜20%添加するとによりCoの柱状組織が形成されその境界部にCrが偏析した構造となっている。従って、この場合には記録膜2の表層部はCrリッチとなっている。担体1の記録膜2と反対側の面に耐久性向上あるいは摩擦抵抗減少等の目的のために、各種の表面処理がなされてもよい。
【0034】記録膜2の上には、高硬度炭素よりなる保護膜3がPI−CVD法によって形成されている。この膜厚は1000Å以下、望ましくは500Å以下であるが、要求される信頼性および磁気記録再生装置の構成に応じて適宜決定される。PI−CVD法による成膜速度は最高5000Å/分も可能であり、連続シート状の担体1に対しても、記録膜2を形成後、連続してインライン処理が可能となる。また、記録膜2の成膜速度と保護膜3の成膜速度が異なり、後者の方が遅い場合にはバッチ処理を行ってもよい。
【0035】保護膜3の比抵抗は107〜1013Ω・cm程度であり、石英ガラス(1017Ω・cm)等に比べて小さく、連続シート状の担当1を真空蒸着装置等の内部で走行させた場合にも帯電等のトラブルはあまり発生しない。
【0036】
【発明の効果】強磁性体金属を記録膜とし、この上にPI−CVD法による高硬度炭素を保護膜として形成することにより、磁気ヘッドを保護膜表面に当接した状態で記録再生を行った場合に、保護膜の硬度が高く、摩擦係数が小さいこと、熱電導性が良いこと、および化学的に安定であること等により、磁気ヘッドに損傷を与えることなくかつ記録膜2を長期にわたって保護することが出来る。しかも、保護膜の厚さは1000Å、あるいは500Å以下に設定でき、磁気記録・再生特性を劣化させることも殆どない。
【0037】さらに、比抵抗がガラス等に比べて小さいために、帯電によるゴミ等の付着も防止され、磁気ヘッド、記録媒体の損傷を少なくすることができる。
【0038】以上述べた如く、本発明は強磁性体金属を記録膜とする磁気記録媒体を用いて高密度記録を行う磁気テープを実現する上で極めて有用なものである。




 

 


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